JPH10122140A - ピストン式圧縮機における起動ショック緩和装置 - Google Patents

ピストン式圧縮機における起動ショック緩和装置

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Publication number
JPH10122140A
JPH10122140A JP8272232A JP27223296A JPH10122140A JP H10122140 A JPH10122140 A JP H10122140A JP 8272232 A JP8272232 A JP 8272232A JP 27223296 A JP27223296 A JP 27223296A JP H10122140 A JPH10122140 A JP H10122140A
Authority
JP
Japan
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valve
chamber
spool
discharge
pressure
Prior art date
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Pending
Application number
JP8272232A
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English (en)
Inventor
Isato Ikeda
勇人 池田
Tomoji Taruya
知二 樽谷
Yasushi Sato
裕史 佐藤
Motonobu Kawakami
素伸 川上
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絞り通路を短く設定しても絞り作用を効果的
に奏することが可能なピストン式圧縮機における起動シ
ョック緩和装置を提供すること。 【解決手段】 可動吐出弁53はリヤ側吐出孔52に対
応して配設されている。同可動吐出弁53はスプール4
8の移動によって作用位置と不作用位置との間を移動さ
れる。同スプール48の不作用位置から作用位置への移
動は、フロント側圧縮室23Αの圧力が、圧力供給通路
61を介して制御室60へ供給されることで行われる。
そして、この供給圧力を絞るための第1絞り通路62
は、フロント側弁形成体13の内部において、バルブプ
レート13aの後面72の一部をショットピーニング加
工により粗面72aとし、同粗面72aを吸入弁形成板
13dの前面71により閉塞することで構成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば車両空調用
のピストン式圧縮機に関し、特に、同圧縮機に適用され
る起動ショック緩和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に固定容量型の両頭ピストン式圧縮
機においては、両頭型のピストンが、シリンダブロック
に形成された複数のシリンダボア内にそれぞれ収容され
ている。フロントハウジング及びリヤハウジングは、同
シリンダブロックに対してそれぞれ弁形成体を介して接
合固定されている。同弁形成体は、吸入孔及び吐出孔が
形成されたバルブプレートや、吸入弁が形成された吸入
弁形成板等の板体を複数重合することで構成されてい
る。吸入室及び吐出室は、同フロントハウジング及びリ
ヤハウジング内にそれぞれ区画形成されている。そし
て、吸入室内の冷媒ガスは、前記両頭ピストンの往復動
作によってシリンダボア内に吸入されて圧縮され、吐出
室内へ吐出される。
【0003】ところで、前記両頭ピストン式圧縮機にお
いては、吐出孔が各シリンダボアに対応して両弁形成体
にそれぞれ形成されている。固定型の吐出弁は同吐出孔
に対応して設けられており、冷媒ガスの吸入時には閉弁
され、また、冷媒ガスの吐出時には開弁される。
【0004】このような圧縮機においては、クラッチの
接続により、圧縮機が車両エンジン等の外部駆動源に作
動連結されてピストンの往復動が開始されると、圧縮機
の圧縮負荷が急激に立ち上がる。従って、この急激な圧
縮負荷の変化が、負荷トルクの変動として車両エンジン
に伝達されて、回転数の変動が励起される。このエンジ
ン回転数の変動は、体感フィーリングの悪化を招くもの
であった。
【0005】また、圧縮機の起動に際して、シリンダボ
ア内に溜った液冷媒に圧縮力が作用されることがある。
圧縮機が液圧縮状態となると、ピストンに大きな圧縮負
荷が作用して、衝撃的な振動や騒音が発生するという問
題があった。
【0006】このような問題を解決するために、従来の
両頭ピストン式圧縮機においては、起動ショック緩和装
置を備えたものが存在する。すなわち、可動吐出弁が一
方の弁形成体の吐出孔に対応して配設されている。同可
動吐出弁はスプールに固定されており、同スプールの移
動によって、吐出孔と対応する状態で弁形成体に密着し
た作用位置と、弁形成体から離間して吐出孔を吐出室に
バイパスさせる不作用位置との間を移動される。この一
連の動作を制御する制御室は、スプールの背面に形成さ
れている。圧力供給通路はその途中に絞り通路を有し、
同圧力供給通路を介して前記制御室と高圧領域とが接続
されている。同絞り通路は、例えば、弁形成体内部にお
いて板体の接合面間に形成されており、一方の板体の接
合面に溝を凹設し、同溝を他方の板体の接合面により閉
塞することで構成されている。
【0007】そして、圧縮機が起動時されると、高圧領
域の高圧冷媒ガスが圧力供給通路を介して制御室に供給
される。スプールはその供給圧力によって、不作用位置
にある可動吐出弁を作用位置に移動させる。この時、絞
り通路によって供給冷媒ガスが絞られ、制御室内の昇圧
は緩慢となる。このため、圧縮機の起動後、直ちに可動
吐出弁が作用位置に移動されることはない。従って、吐
出孔と吐出室との間のバイパス量が徐々に減少されて、
圧縮負荷は緩やかに上昇される。その結果、クラッチの
接続時における体感フィーリングの悪化や、液冷媒の圧
縮に起因した振動や騒音の発生が低減される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記絞り通
路においては、冷媒ガスが同絞り通路の延在方向に沿っ
て流動されるのみである。従って、制御室へ供給される
冷媒ガスをより効果的に絞ろうとすると、例えば、同絞
り通路を長く設定する必要がある。しかし、特に、弁や
孔等が多数形成されている弁形成体の内部において、同
弁及び孔を避けて絞り通路を長く設定することは、スペ
ース的に厳しかった。その結果、絞り通路による冷媒ガ
スの絞りが不十分となり、起動ショックのさらなる緩和
を達成するまでには至らなかった。
【0009】本発明は、上記従来技術に存在する問題点
に着目してなされたものであって、その目的は、絞り通
路を短く設定しても絞り作用を効果的に奏することが可
能なピストン式圧縮機における起動ショック緩和装置を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明では、吐出室内に配設されたスプール
支持部と、同スプール支持部に嵌挿支持され、前記弁形
成体に対して近接・離間方向へ移動可能なスプールと、
前記弁形成体上の少なくとも1つの吐出孔に対応し、前
記スプールに連動して、吐出孔を閉塞可能な作用位置
と、同吐出孔から離間される不作用位置との間を移動可
能な可動吐出弁と、同可動吐出弁を不作用位置に配置す
るように、前記スプールを付勢する付勢手段と、前記ス
プールの背面側に区画形成された制御室と、同制御室
と、圧縮機の起動時において前記スプールの前面側に作
用される圧力より高圧な雰囲気となる高圧領域とを接続
する圧力供給通路と、同圧力供給通路の途中において、
前記ハウジング構成体の接合面間、ハウジング構成体と
弁形成体との接合面間、或いは弁形成体における板体の
接合面間に設けられ、少なくとも一方の接合面を部分的
に粗面とし、同粗面が他方の接合面により覆われること
で構成された絞り通路とを備えた起動ショック緩和装置
である。
【0011】請求項2の発明では、前記粗面の凹凸は周
囲の面内に収まっている。請求項3の発明では、前記高
圧領域は、可動吐出弁が対応されない圧縮室である。
【0012】請求項4の発明では、前記絞り通路は、圧
力供給通路において、可動吐出弁が対応されない圧縮室
との接続位置に設けられている。請求項5の発明では、
前記絞り通路を第1絞り通路とし、前記圧力供給通路の
途中に第2絞り通路を設けたものである。
【0013】請求項6の発明では、前記第2絞り通路
は、圧力供給通路をその途中位置においてスプール支持
部のスプールとの嵌合周面で開口させることで、同スプ
ール支持部とスプールとの対向する嵌合周面間のクリア
ランスにより構成されている。
【0014】(作用)上記構成の請求項1の発明におい
ては、圧縮機が停止された状態にてスプールが付勢手段
により付勢されて可動吐出弁が不作用位置に配置されて
いる。この状態で圧縮機が起動されると、可動吐出弁が
対応されない圧縮室においては通常の圧縮動作がなされ
る。しかし、可動吐出弁が対応された圧縮室において
は、不作用位置にある同可動吐出弁によって、殆どの冷
媒ガスが吐出孔から吐出室へバイパスされて圧縮動作が
なされない。
【0015】一方、圧縮機の起動により、高圧領域の冷
媒ガスは圧力供給通路を介して制御室へ供給される。そ
して、制御室内の圧力とスプールの前面側に作用される
圧力との差圧が上昇し、付勢手段による付勢力との釣り
合いにより、スプールは可動吐出弁を作用位置に配置す
べく弁形成体に対する近接方向へ移動される。この時、
前記制御室内の圧力上昇は、圧力供給通路の途中に設け
られた絞り通路によって絞られて緩慢となり、スプール
の移動はゆっくりしたものとなる。従って、吐出孔と吐
出室との間のバイパス量が徐々に減少されて、圧縮負荷
は緩やかに上昇される。
【0016】さて、前記絞り通路は、ハウジング構成体
の接合面間、ハウジング構成体と弁形成体との接合面
間、或いは同弁形成体における板体の接合面間におい
て、少なくとも一方の接合面を部分的に粗面とし、同粗
面が他方の接合面により覆われることで構成されてい
る。従って、同粗面が有する多数の凹凸が、絞り通路内
における縦横方向の通過断面積を変化させ、同通路内を
流動される冷媒ガスは効果的に絞られる。言い換えれ
ば、同絞り通路を短く設定しても、十分な冷媒ガスの絞
り作用を期待できる。
【0017】請求項2の発明において粗面の凹凸は、周
囲の面内に収まっている。ここで、例えば、同粗面の凹
凸が周囲の面から突出された構成においては、同突出部
分の逃げのために、他方の接合面に凹部を形成する必要
がある。しかし、本発明においては、他方の接合面は平
面でも良く、凹部を形成する手間が省ける。
【0018】請求項3の発明において高圧領域は、可動
吐出弁が対応されない圧縮室である。従って、可動吐出
弁が対応されない圧縮室の圧力と、スプールの前面側に
作用する吸入圧力との差は、吐出圧力と吸入圧力との差
圧と比較して小さい。従って、吐出圧力を制御室に導入
する構成の装置と比較して、スプールの不作用位置から
作用位置への移動が緩慢となる。
【0019】また、圧縮機の停止により、制御室の圧力
とスプールの前面側に作用する吸入圧力との少ない差は
速やかに解消され、作用位置にある可動吐出弁は不作用
位置へ迅速に移動される。
【0020】請求項4の発明において絞り通路は、圧力
供給通路において可動吐出弁が対応されない圧縮室との
接続位置に設けられている。従って、高圧領域から制御
室に供給される圧力が同絞り通路によって直ちに絞ら
れ、圧力供給通路の容積が、可動吐出弁が対応されない
圧縮室のデッドボリューム(圧縮比)に影響を与えるこ
とを極力抑制できる。
【0021】請求項5の発明においては、制御室に供給
される圧力が第1及び第2絞り通路により段階的に絞ら
れる。従って、例えば、第1絞り通路のみで所定の値ま
で絞る構成と比較して、同第1絞り通路(粗面)の精度
管理が容易となる。
【0022】請求項6の発明において第2絞り通路は、
相対移動されるスプール支持部とスプールとの対向する
嵌合周面間のクリアランスにより構成されている。従っ
て、同第2絞り通路内において、冷媒ガス中の異物が停
留されたとしても、スプールがスプール支持部に対して
移動されることにより、同異物の停留状態は安定されな
い。従って、同異物が冷媒ガスの流動によって同絞り通
路外へ排出される自浄作用を期待できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を両頭ピストン式圧
縮機において具体化した一実施形態について説明する。
【0024】図1に示すように一対のシリンダブロック
11は、対向端縁において互いに接合されている。フロ
ントハウジング12は、フロント側のシリンダブロック
11の前端面にフロント側弁形成体13を介して接合さ
れている。同フロント側弁形成体13は、バルブプレー
ト13aの前面にリテーナ形成板13b及び吐出弁形成
板13cを、後面に吸入弁形成板13dをそれぞれ重合
することで構成されている。リヤハウジング14は、リ
ヤ側のシリンダブロック11の後端面にリヤ側弁形成体
15を介して接合されている。同リヤ側弁形成体15
は、バルブプレート15aの前面に吸入弁形成板15b
を重合することで構成されている。前記シリンダブロッ
ク11、フロントハウジング12及びリヤハウジング1
4は、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)材料に
より構成されている。また、前記バルブプレート13
a,15a、リテーナ形成板13b、吐出弁形成板13
c及び吸入弁形成板13d,15bは、それぞれ金属製
の板材により構成されている。
【0025】複数(図1中には一つのみが表れる)のボ
ルト挿通孔16は、フロントハウジング12から両シリ
ンダブロック11及び両弁形成体13,15を貫通して
リヤハウジング14に穿設されている。同数の通しボル
ト17は、ボルト挿通孔16に対してフロントハウジン
グ12側より挿入され、その先端部に形成されたネジ部
17aを以てリヤハウジング14のボルト挿通孔16が
構成するネジ孔16aに螺合されている。そして、これ
らの通しボルト17によりフロントハウジング12及び
リアハウジング14がシリンダブロック11の両端面に
締結固定されている。
【0026】駆動軸18は、前記シリンダブロック11
及びフロントハウジング12の中央に、一対のラジアル
ベアリング19を介して回転可能に支持されている。リ
ップシール20は、駆動軸18の前端外周とフロントハ
ウジング12との間に介装されている。そして、同駆動
軸18は、図示しないクラッチを介して車両エンジン等
の外部駆動源に作動連結され、クラッチの接続時に外部
駆動源の駆動力が伝達されて回転駆動される。
【0027】複数のシリンダボア21は、前記駆動軸1
8と平行に延びるように、各シリンダブロック11の両
端部間に同一円周上で所定間隔おきに貫通形成されてい
る。両頭型のピストン22は各シリンダボア21内に往
復動可能に嵌挿支持され、それらの両端面と弁形成体1
3,15との間において各シリンダボア21内には、フ
ロント側及びリヤ側圧縮室23,24がそれぞれ形成さ
れている。
【0028】クランク室25は、前記両シリンダブロッ
ク11の中間内部に区画形成されている。斜板26はク
ランク室25内において駆動軸18に嵌合固定され、そ
の外周部がシュー27を介してピストン22の中間部に
係留されている。そして、同ピストン22は、駆動軸1
8の回転により斜板26を介して往復動される。一対の
スラストベアリング28は、斜板26の両端面と各シリ
ンダブロック11の内端面との間に介装され、このスラ
ストベアリング28を介して斜板26が両シリンダブロ
ック11間に挟着保持されている。このクランク室25
は、図示しない吸入フランジを介して外部冷媒回路に接
続されており、吸入圧領域を構成している。
【0029】フロント側吸入室29及びリヤ側吸入室3
0は、前記フロントハウジング12及びリヤハウジング
14内の外周部において環状に区画形成されている。吸
入通路31は、シリンダブロック11及び両弁形成体1
3,15に形成され、前記フロント側吸入室29及びリ
ヤ側吸入室30をクランク室25に接続している。
【0030】フロント側吐出室32及びリヤ側吐出室3
3は、フロントハウジング12及びリヤハウジング14
内の内周部に区画形成されている。吐出フランジ43
は、リヤ側のシリンダブロック11の外周面に接合固定
されている。前記フロント側吐出室32及びリヤ側吐出
室33は、連通路44,45を介して吐出フランジ43
内で合流され、同吐出フランジ43を介して図示しない
外部冷媒回路に接続されている。
【0031】フロント側吸入弁機構34及びリヤ側吸入
弁機構35は、前記各弁形成体13,15のバルブプレ
ート13a,15a及び吐出弁形成板13cに形成さ
れ、各シリンダボア21に対応する複数の吸入孔36,
37と、吸入弁形成板13d,15bに形成され、同吸
入孔36,37を開閉する吸入弁38,39とを備えて
いる。そして、ピストン22の上死点位置から下死点位
置への移動に伴って、これら吸入弁機構34,35によ
り、両吸入室29,30から各圧縮室23,24に冷媒
ガスが吸入される。
【0032】フロント側吐出弁機構40は、前記フロン
ト側弁形成体13のバルブプレート13a及び吸入弁形
成板13dに形成され、各シリンダボア21に対応する
複数の吐出孔41と、吐出弁形成板13cに形成され、
各吐出孔41を開閉する複数の固定型の吐出弁42と、
リテーナ形成板13bに形成され、各吐出弁42の開度
を規定するリテーナ75とを備えている。そして、ピス
トン22の下死点位置から上死点位置への移動に伴っ
て、この吐出弁機構40により、各フロント側圧縮室2
3の冷媒ガスが所定の圧力にまで圧縮されてフロント側
吐出室32に吐出される。
【0033】次に、上記構成の両頭ピストン式圧縮機に
適用された起動ショック緩和装置について説明する。図
1及び図5に示すように、収容孔46は、リヤ側のシリ
ンダブロック11からリヤ側弁形成体15にかけてその
中央部に穿設されており、リヤ側吐出室33内で開口さ
れている。略円筒状をなすスプール支持部47は、リヤ
側吐出室33内においてリヤハウジング14の内壁面中
央部に突設されている。有底円筒状をなすスプール48
は、スプール支持部47の内空間に嵌入されている。同
スプール48は、その外周面48aがスプール支持部4
7の内周面47aによって案内されることで、リヤ側弁
形成体15に対して近接・離間方向へスライド移動可能
である。
【0034】複数のリヤ側吐出孔52は、前記各シリン
ダボア21に対応してリヤ側弁形成体15のバルブプレ
ート15a及び吸入弁形成板15bに形成されている。
可動吐出弁53は、前記スプール48の前面側におい
て、リテーナ54とともにボルト51により固定されて
いる。同可動吐出弁53は、スプール48のスライド移
動に連動して、リヤ側弁形成体15の裏面に密着した作
用位置と、同弁形成体15から離間した不作用位置との
間を移動される。各リヤ側吐出孔52に接離可能に対応
する開閉部53aは、可動吐出弁53の外周部に複数が
放射形成されている。ガイドピン55は、リヤハウジン
グ14とリヤ側弁形成体15との間で架設配置されると
ともに、前記可動吐出弁53及びリテーナ54の一部に
若干の遊びを持って挿通されている。従って、同可動吐
出弁53及びリテーナ54は、ガイドピン55により回
動が規制され、軸線方向への移動のみが許容されてい
る。
【0035】バネ座56は、前記収容孔46内におい
て、リヤ側のラジアルベアリング19の後端に固定され
ている。付勢手段としてのバネ57は、同バネ座56と
可動吐出弁53の前面との間に介装されている。そし
て、図1に示すように、同バネ57の付勢力によりスプ
ール48が後方側に移動付勢されて、可動吐出弁53が
不作用位置に配置されている。なお、この不作用位置の
位置決めは、前記リテーナ54の背面とスプール支持部
47の端面との当接によってなされる。
【0036】通路59はリヤ側のシリンダブロック11
に形成され、収容孔46の内空間をクランク室25に接
続している。同通路59及び収容孔46の内空間によ
り、リヤ側吐出室33とクランク室25とを接続するバ
イパス通路58が構成されている。
【0037】制御室60は、前記スプール48の背面側
においてスプール支持部47に囲まれて形成されてい
る。シール部材収容溝48bは、スプール48の外周面
において円環状に凹設されている。シール部材としての
円環状をなすシールリング68は、同シール部材収容溝
48bに嵌入固定されるとともに、スプール支持部47
の内周面47aに対して環状領域で圧接されることで、
制御室60をリヤ側吐出室33からシールしている。
【0038】遮断面46aは、リヤ側弁形成体15(バ
ルブプレート15a)の裏面に表れる収容孔46の開口
周囲に環状形成されている。同遮断面46aに接離可能
な遮断部53bは、可動吐出弁53の前面内周部に環状
形成されている。そして、可動吐出弁53が作用位置に
配置されることにより、同遮断部53bが遮断面46a
に密着されて、バイパス通路58が遮断される。
【0039】制御弁としての逆止弁69は連通路45上
に介在され、常には同連通路45を閉鎖している。同逆
止弁69は、リヤ側吐出室33内の圧力が吐出圧力付近
の高圧力に上昇された場合にのみ同通路45を開放す
る。
【0040】図1〜図5に示すように、可動吐出弁53
が対応されないフロント側圧縮室23のうちの一つ(2
3Α)と、前記制御室60とは、圧力供給通路61を介
して接続されている。従って、同フロント側圧縮室23
Αの冷媒ガスの一部は、ピストン22の往復動によって
圧力供給通路61を介して制御室60に供給される。
【0041】前記圧力供給通路61について説明する
と、図1に示すように、絞り通路としての第1絞り通路
62は、フロント側弁形成体13の内部において、吸入
弁形成板13dとバルブプレート13aとの接合面7
1,72間で構成されている。フロント側圧縮室23Α
と、第1通路63であるボルト挿通孔16のうちの一つ
とは、同第1絞り通路62を介して接続されている。第
2通路64は、リヤ側のシリンダブロック11の後端面
に溝64aを凹設し、同溝64aをリヤ側弁形成体15
の吸入弁形成板15bが、吸入弁39や吐出孔52等の
非形成(平面)部分を以て閉塞することで構成されてい
る。第3通路65は、リヤハウジング14からリヤ側弁
形成体15にかけて形成され、第2通路64に接続され
ている。
【0042】第4通路66はスプール支持部47におい
てその内周面47a側から穿設され、前記第3通路65
に接続されている。同第4通路66は、スプール48が
作用位置と不作用位置との間を移動されたとしても、常
には、シールリング68のシール位置よりも制御室60
側に位置されるスプール支持部47の内周面47aで開
口されている。第2絞り通路67は、前記スプール支持
部47の内周面47aと、それに対向されるスプール4
8の外周面48aとの間のクリアランスにより構成され
ている。前記第1絞り通路62及び第2絞り通路67の
通過断面積は、第1通路63〜第4通路66の通過断面
積より狭い。前記第4通路66と制御室60とは、同第
2絞り通路67を介して接続されている。
【0043】さて、図3及び図4に示すように、本実施
形態において前記第1絞り通路62は、フロント側弁形
成体13においてバルブプレート13aの後面72の一
部を、その凹凸が周囲の面内に収まるように形成された
粗面72aとし(図3において網掛け線によって示
す)、同粗面72aを吸入弁形成板13dの前面71
が、吸入弁38等の非形成(平面)部分を以って閉塞す
ることで構成されている。同粗面72aは、バルブプレ
ート13aの後面72において、シリンダボア21に対
応する位置から、ボルト挿通孔16(第1通路63)の
開口周囲にかけて形成されている。従って、同粗面72
aが有する多数の凹凸が、第1絞り通路62内における
縦横方向の通過断面積を不規則に変化させ、同通路62
内を流動される冷媒ガスは効果的に絞られる。
【0044】前述した粗面72aの形成は、例えば、シ
ョットピーニング加工により行われる。同ショットピー
ニング加工は、バルブプレート13aの後面72におい
て、粗面72aを形成したい個所以外にマスキングを施
し、鋼鉄球等の小径の球体を同後面72に多数衝突させ
ることで、同個所にのみ微小な凹凸を多数形成するもの
である。同粗面72aの粗度、つまり、第1絞り通路6
2の絞り度合いは、球体の重量、サイズ或いは衝突速度
や衝突数によって調節され、例えば、本実施形態におい
ては、粗度Rz5〜50μmに設定されている。
【0045】次に、前記構成の両頭ピストン式圧縮機の
作用について説明する。圧縮機の停止時には、図1に示
すように、スプール48がバネ57の付勢力により後方
に移動され、可動吐出弁53が不作用位置に配置されて
いる。この状態でのクラッチの接続により、車両エンジ
ン等の外部駆動源から駆動軸18に駆動力が伝達される
と、斜板26の回転に連動してピストン22の往復動が
開始される。
【0046】ピストン22の往復動が開始されると、各
フロント側圧縮室23では、同ピストン22の往復動に
伴って、冷媒ガスの吸入室29からの吸入、圧縮室23
内での圧縮及び吐出室32への吐出のサイクル(通常の
圧縮動作)が開始される。
【0047】一方、ピストン22の往復動に伴ってリヤ
側吸入室30から圧縮室24に吸入された冷媒ガスは、
可動吐出弁53が不作用位置に配置されているため、ほ
とんど圧縮されることなくリヤ側吐出室33に吐出さ
れ、バイパス通路58を介してクランク室25に逃がさ
れる。なお、フロント側吐出室32に吐出された圧縮冷
媒ガスは、連通路44及び吐出フランジ43を介して、
外部冷媒回路に向けて排出される。この時、逆止弁69
により連通路45は閉鎖されているため、同圧縮冷媒ガ
スがリヤ側吐出室33内に流入されることはない。
【0048】ここで、前記制御室60は、圧力供給通路
61を介してフロント側の一つの圧縮室23Αと連通さ
れている。従って、圧縮機の起動によりピストン22の
往復動が開始されることで、同圧縮室23Αの冷媒ガス
の一部が、圧力供給通路61を介して制御室60に供給
される。同圧縮室23Αの冷媒ガスの圧力は、ピストン
22が往復動されるのに従って、同ピストン22が下死
点付近に達した場合の最小圧力と、上死点付近に達した
場合の最大圧力との間で変動される。
【0049】しかし、前記圧縮室23Aの圧力の変動
は、第1及び第2絞り通路62,67を介することによ
って緩やかとなる。従って、同制御室60には、ピスト
ン22が1ストロークを移動される間の圧縮室23Αに
おける略平均的な圧力(中間圧)が供給されることにな
る。また、同第1及び第2絞り通路62,67によって
制御室60へ供給される圧力が絞られ、同制御室60に
おける圧力の上昇は緩慢となる。なお、第1絞り通路6
2は、制御室60へ供給される冷媒ガスの圧力を所定の
50%程度にまで絞るように、また、第2絞り通路67
はそこからさらに所定の値まで絞るように、それぞれの
絞り度合いが設定されている。
【0050】圧縮機の起動から所定時間が経過された
後、制御室60の圧力と可動吐出弁53の前面側に作用
されるクランク室25の圧力との差圧が上昇するため、
バネ57による付勢力との釣り合いから、図5に示すよ
うに、同スプール48が可動吐出弁53を作用位置に配
置すべく、前方側に移動される。
【0051】可動吐出弁53が作用位置に配置される
と、リヤ側圧縮室24においてもピストン22の往復動
により通常の圧縮動作が開始され、圧縮冷媒ガスがリヤ
側吐出室33内に吐出される。また、同可動吐出弁53
の遮断部53bが遮断面46aに密着してバイパス通路
58を遮断し、リヤ側吐出室33とクランク室25との
連通が遮断される。従って、同リヤ側吐出室33内に吐
出された圧縮冷媒ガスは、逆止弁69をその圧力により
押し開いて、連通路45及び吐出フランジ43を介して
外部冷媒回路に排出される。
【0052】以上のように、圧縮機の起動時から、例え
ば、数秒程度、リヤ側吐出孔52からリヤ側吐出室3
3、ひいてはバイパス通路58を介してクランク室25
に冷媒ガスがバイパスされることになる。従って、同リ
ヤ側圧縮室24で発生し、ピストン22に作用する圧縮
負荷の上昇は緩やかとなる。その結果、圧縮機の起動シ
ョックに基づく振動や騒音の発生が抑制される。
【0053】また、圧縮機の起動時において、リヤ側圧
縮室24内に停留された液冷媒は、可動吐出弁53が不
作用位置から作用位置へ移動される間に前記ピストン2
2の往復動によって同圧縮室24外へ排出される。その
結果、リヤ側圧縮室24における液圧縮が防止され、振
動や騒音の発生が低減される。
【0054】一方、クラッチの接続が解消されると、車
両エンジン等の外部駆動源から駆動軸18への駆動力の
伝達が停止される。そして、ピストン22の往復動が停
止されて、フロント側圧縮室23Αから制御室60への
圧力の供給が停止される。従って、同制御室60の圧力
が、圧力供給通路61を介してフロント側圧縮室23
Α、ひいてはピストン22とシリンダボア21との間の
サイドクリアランスを介してクランク室25へ逃がされ
て低下される。そして、同制御室60の圧力とクランク
室25内の圧力との差が減少し、バネ57の付勢力との
釣り合いから、スプール48は可動吐出弁53を不作用
位置に配置すべく後方側に移動される。
【0055】上記構成の本実施形態においては、次のよ
うな効果を奏する。 (1)第1絞り通路62は、フロント側弁形成体13に
おいてバルブプレート13aの後面72の一部を粗面7
2aとし、同粗面72aを吸入弁形成板13dの前面7
1により閉塞することで構成されている。従って、同粗
面72aが有する多数の凹凸が、第1絞り通路62内を
流動される冷媒ガスの絞り効果を高め、同通路62の長
さを短く設定することが可能となる。言い換えれば、ス
ペースが限られた弁形成体13内部においても、十分な
絞り作用を奏する第1絞り通路62を設定することが可
能となる。その結果、不作用位置にある可動吐出弁53
の作用位置への移動を、従来技術と比較して緩慢にで
き、起動ショックの緩和がさらに効果的に奏される。
【0056】(2)ショットピーニング加工による粗面
72aの粗度管理、すなわち、第1絞り通路62の絞り
精度管理は、従来技術における絞り通路用の溝(例え
ば、切削加工により形成される)の精度管理より容易で
ある。これは、第1絞り通路62の加工コストの低減、
ひいては圧縮機の製造コストの低減につながる。
【0057】(3)ショットピーニング加工は、粗面7
2aにおいてその凹凸を不規則に形成する。従って、第
1絞り通路62による絞り効果がさらに高められる。 (4)前記粗面72aの凹凸は、バルブプレート13a
の後面72において周囲の面内に収まっている。ここ
で、例えば、同粗面の凹凸が周囲の面から突出された構
成においては、同突出部分の逃がしのために、吸入弁形
成板13dの前面71に凹部を形成する必要がある。し
かし、本実施形態においてはその必要がなく、吸入弁形
成板13dに対する凹部の形成手間分だけ加工コストを
低減できる。
【0058】(5)制御室60に供給されるフロント側
圧縮室23Αの圧力と、スプール48の前面側に作用す
る吸入圧との差は、吐出圧と吸入圧との差と比較して小
さい。従って、吐出圧を制御室60に導入する構成と比
較して、スプール48の不作用位置から作用位置への移
動を緩慢とすることができ、ピストン22に作用する圧
縮負荷の立ち上がりを緩和するのに効果的となる。
【0059】また、圧縮機の停止により、制御室60と
クランク室25との少ない圧力差は速やかに解消され、
作用位置にある可動吐出弁53を迅速に不作用位置へ移
動させることができる。従って、次回の圧縮機の起動
が、今回の圧縮機の停止から間もなく行われたとして
も、本起動ショック緩和装置は可動吐出弁53を不作用
位置から動作させることが可能となる。つまり、圧縮機
の次回の起動に対する本装置の追従性が向上される。
【0060】(6)第1絞り通路62は、圧力供給通路
61においてフロント側圧縮室23Αとの接続位置に設
けられ、制御室60へ供給される冷媒ガスを直ちに絞
る。従って、圧力供給通路61の容積が、フロント側圧
縮室23Αのデッドボリューム(圧縮比)に影響を与え
ることを抑制できる。このため、フロント側圧縮室23
Αのデッドボリュームを、他の圧縮室23,24に合わ
せて調整する手間が省ける。
【0061】(7)第2絞り通路67が圧力供給通路6
1に設けられ、同第2絞り通路67と第1絞り通路62
とにより、制御室60に供給される冷媒ガスの圧力を段
階的に絞る。従って、第1絞り通路62の精度管理(粗
面72aの粗度管理)がさらに容易となる。これは、圧
縮機の製造コストの低減につながる。
【0062】(8)第2絞り通路67は、スプール支持
部47とスプール48の互いに対向される周面47a,
48a間のクリアランスによって構成されている。従っ
て、たとえ、冷媒ガス中に含まれる異物が第2絞り通路
67内において停留されたとしても、スプール48のス
プール支持部47に対する移動によってその停留状態が
不安定となる。このため、冷媒ガスの流動により、やが
ては同異物が第2絞り通路67外へ排出される自浄作用
が期待でき、同通路67内において異物が停留し難くな
る。その結果、圧力供給通路61内における異物の詰ま
りを低減でき、起動ショック緩和装置の信頼性が向上さ
れる。
【0063】なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲
で、例えば、以下の態様でも実施できる。 (1)鋼鉄球等の球体以外にも研磨粉を衝突させる等、
ショットピーニング加工以外のショットブラスト加工に
よって粗面72aを形成しても良い。
【0064】(2)上記実施形態において、ショットピ
ーニング加工によって形成された粗面72aの粗度を、
研磨粉を衝突させるショットブラスト加工によって微調
節すること。このようにすれば、第1絞り通路62の絞
り精度がさらに向上される。
【0065】(3)ショットブラスト加工以外にも、ロ
ーレット加工等によって粗面72aを形成しても良い。 (4)粗面72aをバルブプレート13aの後面72で
はなく、吸入弁形成板13dの前面71側に形成し、同
粗面72aをバルブプレート13aの後面72により閉
塞して第1絞り通路62を形成すること。或いは、両方
13a,13dに粗面を形成して第1絞り通路62を形
成すること。
【0066】(5)第1絞り通路62を、吸入弁形成板
13dとバルブプレート13aとの接合面71,72間
ではなく、吐出弁形成板13cとバルブプレート13a
との接合面間に形成すること。この場合、吐出弁形成板
13c側及び/又はバルブプレート13a側に粗面72
aを形成する。
【0067】(6)第1絞り通路62を、フロント側弁
形成体13の内部ではなく、フロントハウジング12と
フロント側のシリンダブロック11との接合面間、フロ
ント側弁形成体13とフロントハウジング12との接合
面間或いはフロント側弁形成体13とフロント側のシリ
ンダブロック11との接合面間において形成すること。
【0068】(7)第1絞り通路62を、フロント側弁
形成体13の内部ではなく、リヤ側弁形成体15の内
部、同リヤ側弁形成体15とリヤ側のシリンダブロック
11との接合面間、リヤ側のシリンダブロック11とリ
ヤハウジング14との接合面間或いは同リヤ側弁形成体
15とリヤハウジング14との接合面間において形成す
ること。
【0069】(8)第2絞り通路67を、リヤ側弁形成
体15の内部、同リヤ側弁形成体15とリヤ側のシリン
ダブロック11との接合面間或いは同リヤ側弁形成体1
5とリヤハウジング14との接合面間において、前記第
1絞り通路62と同様に形成すること。
【0070】(9)粗面72aの凹凸を周囲の面から突
出するように構成し、同粗面72aを覆う吸入弁形成板
13dの前面71に、同突出部分を逃がす(収容する)
ための凹部を形成すること。
【0071】(10)制御室60を、例えば、フロント
側吐出室32等の吐出圧領域に接続して吐出圧を制御圧
として利用すること。この場合、収容室46内には、上
記実施形態と同様に吸入圧を導入しても良いし、収容室
46とクランク室25及びリヤ側吐出室33とを遮断し
て、同収容室46内にフロント側圧縮室(可動吐出弁5
3が対応されない圧縮室)23Aの圧力を制御圧として
導入しても良い。
【0072】(11)リヤ側の吐出弁機構において固定
吐出弁と可動吐出弁53とを混在させ、固定吐出弁が対
応されるリヤ側圧縮室24の圧力を制御室60に導入し
て制御圧とすること。このようにすれば、圧力供給通路
61を圧縮機のリヤ側において取り廻すのみで良く、同
通路61を短くしてその加工が容易となる。
【0073】(12)フロント側吐出弁機構40を可動
吐出弁(53)とし、リヤ側の吐出弁機構53を固定吐
出弁(42)として、起動ショック緩和装置を上記実施
形態とは逆に、圧縮機のフロント側に配設すること。
【0074】(13)片頭ピストン式圧縮機において具
体化すること。この場合、吐出弁機構において可動吐出
弁と固定吐出弁とを混在させるとともに、可動吐出弁が
配置される吐出室と、固定吐出弁が配置される吐出室と
を隔離形成し、可動吐出弁が対応される圧縮室と制御室
とを連通する。
【0075】上記実施形態から把握できる技術的思想に
ついて記載すると、前記粗面72aは、ショットブラス
ト加工により形成されている請求項1〜6に記載の起動
ショック緩和装置。
【0076】このようにすれば、粗面72aの粗度管
理、つまり、第1絞り通路62の絞り精度管理が容易と
なる。また、絞り通路62内における縦横方向の通過断
面積が不規則に変化され、同通路62内を流動される冷
媒ガスの圧力は効果的に絞られる。
【0077】
【発明の効果】上記構成の請求項1の発明によれば、粗
面が有する多数の凹凸が、絞り通路内における縦横方向
の通過断面積を変化させ、同通路内を流動される冷媒ガ
スの圧力は効果的に絞られる。言い換えれば、同絞り通
路を短く設定しても、十分な絞り作用を奏することが可
能となる。従って、不作用位置にある可動吐出弁の作用
位置への移動を従来技術と比較して緩慢にでき、起動シ
ョックの緩和がさらに効果的に奏される。
【0078】請求項2の発明によれば、粗面の凹凸が周
囲の面内に収まっているため、他方の接合面は平面で良
く、他方の接合面側に凹部等を形成する手間が省ける。
請求項3の発明によれば、可動吐出弁が対応されない圧
縮室の圧力と、スプールの前面側に作用する吸入圧力と
の差は、吐出圧力と吸入圧力との差圧と比較して小さ
い。従って、吐出圧力を制御室に導入する構成の装置と
比較して、スプールの不作用位置から作用位置への移動
が緩慢となる。その結果、起動ショックの緩和がさらに
効果的に奏される。
【0079】また、圧縮機の停止により、制御室の圧力
とスプールの前面側に作用する吸入圧力との少ない差は
速やかに解消され、作用位置にある可動吐出弁は不作用
位置へ迅速に移動される。従って、本起動ショック緩和
装置における圧縮機の次回の起動に対する追従性が向上
される。
【0080】請求項4の発明によれば、高圧領域から制
御室に供給される圧力が絞り通路によって直ちに絞ら
れ、圧力供給通路の容積が、可動吐出弁が対応されない
圧縮室のデッドボリューム(圧縮比)に影響を与えるこ
とを極力抑制できる。従って、同圧縮室のデッドボリュ
ームを、他の圧縮室に合わせて調整する手間が省け、圧
縮機の製造コストを低減できる。請求項5の発明によれ
ば、制御室に供給される圧力が第1及び第2絞り通路に
より段階的に絞られる。従って、例えば、第1絞り通路
のみで所定の値まで絞る構成と比較して、同第1絞り通
路(粗面)の精度管理が容易となる。
【0081】請求項6の発明によれば、第2絞り通路内
において、冷媒ガス中の異物が停留されたとしても自浄
作用を期待でき、起動ショック緩和装置の信頼性が向上
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 両頭ピストン式圧縮機の縦断面図。
【図2】 図1のA−A線に対応する断面図。
【図3】 図1のB−B線に対応する断面図であり、部
分的に破断して示す図。
【図4】 図3のC−C線端面図。
【図5】 図1の部分拡大図であって、動作を説明する
図。
【符号の説明】
1…ハウジング構成体としてのシリンダブロック、12
…ハウジング構成体としてのフロントハウジング、13
…フロント側弁形成体、13a…板体としてのバルブプ
レート、13d…板体としての吸入弁形成板、21…シ
リンダボア、22…ピストン、23…フロント側圧縮
室、23A…高圧領域としてのフロント側圧縮室、24
…リヤ側圧縮室、29…フロント側吸入室、30…リヤ
側吸入室、32…フロント側吐出室、33…リヤ側吸入
室、41…吐出孔、47…スプール支持部、48…スプ
ール、52…吐出孔、53…可動吐出弁、57…付勢手
段としてのバネ、60…制御室、61…圧力供給通路、
71…接合面としての吸入弁形成板の前面、72…接合
面としてのバルブプレートの後面、72a…粗面、62
…第1絞り通路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 素伸 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のハウジング構成体が接合されてな
    るハウジング内には、吸入室及び吐出室が区画形成され
    るとともに、ピストンを収容する複数のシリンダボアが
    形成され、同吸入室及び吐出室が形成されたハウジング
    構成体とシリンダボアが形成されたハウジング構成体と
    の間には、複数の板体を重合してなる弁形成体が介在さ
    れ、前記ピストンの往復動によって、冷媒ガスを吸入室
    からシリンダボア内の圧縮室に吸入して圧縮した後、前
    記弁形成体に形成された吐出孔を介して吐出室内へ吐出
    する構成のピストン式圧縮機において、 前記吐出室内に配設されたスプール支持部と、 同スプール支持部に嵌挿支持され、前記弁形成体に対し
    て近接・離間方向へ移動可能なスプールと、 前記弁形成体上の少なくとも1つの吐出孔に対応し、前
    記スプールに連動して、吐出孔を閉塞可能な作用位置
    と、同吐出孔から離間される不作用位置との間を移動可
    能な可動吐出弁と、 同可動吐出弁を不作用位置に配置するように、前記スプ
    ールを付勢する付勢手段と、 前記スプールの背面側に区画形成された制御室と、 同制御室と、圧縮機の起動時において前記スプールの前
    面側に作用される圧力より高圧な雰囲気となる高圧領域
    とを接続する圧力供給通路と、 同圧力供給通路の途中において、前記ハウジング構成体
    の接合面間、ハウジング構成体と弁形成体との接合面
    間、或いは弁形成体における板体の接合面間に設けら
    れ、少なくとも一方の接合面を部分的に粗面とし、同粗
    面が他方の接合面により覆われることで構成された絞り
    通路とを備えた起動ショック緩和装置。
  2. 【請求項2】 前記粗面の凹凸は周囲の面内に収まって
    いる請求項1に記載の起動ショック緩和装置。
  3. 【請求項3】 前記高圧領域は、可動吐出弁が対応され
    ない圧縮室である請求項1又は2に記載の起動ショック
    緩和装置。
  4. 【請求項4】 前記絞り通路は、圧力供給通路におい
    て、可動吐出弁が対応されない圧縮室との接続位置に設
    けられている請求項3に記載の起動ショック緩和装置。
  5. 【請求項5】 前記絞り通路を第1絞り通路とし、前記
    圧力供給通路の途中に第2絞り通路を設けた請求項1〜
    4のいずれかに記載の起動ショック緩和装置。
  6. 【請求項6】 前記第2絞り通路は、圧力供給通路をそ
    の途中位置においてスプール支持部のスプールとの嵌合
    周面で開口させることで、同スプール支持部とスプール
    との対向する嵌合周面間のクリアランスにより構成され
    ている請求項5に記載の起動ショック緩和装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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