JPH10119548A - 能力可変型ビスカスヒータ - Google Patents

能力可変型ビスカスヒータ

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JPH10119548A
JPH10119548A JP12696697A JP12696697A JPH10119548A JP H10119548 A JPH10119548 A JP H10119548A JP 12696697 A JP12696697 A JP 12696697A JP 12696697 A JP12696697 A JP 12696697A JP H10119548 A JPH10119548 A JP H10119548A
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孝志 伴
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隆宏 諸井
Tatsuyuki Hoshino
辰幸 星野
Fumihiko Kitani
文彦 木谷
Tsutomu Sato
努 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】能力可変制御を迅速確実に行いうる能力可変型
ビスカスヒータを提供する。 【解決手段】軸方向に対向する界域に発熱室5を形成し
た両側板2、3は、前部ハウジング1から延在する碗形
状の円筒部1c内に囲封されるとともに、側板の一方は
円筒部1cの開放端に結合される後部ハウジング4との
間で挟持される前部側板2となされ、他方は軸方向の進
退動により発熱室5の幅員を調節可能な可動側板3とな
されているため、可動側板3の進退動を介した直接的な
発熱量の調節により、暖房能力を迅速確実に制御するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘性流体をせん断
により発熱させ、放熱室内を流動する循環流体に熱交換
して暖房熱源に利用する能力可変型ビスカスヒータに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、実開平3−98107号公報に能
力可変型のビスカスヒータが開示されている。このビス
カスヒータでは、前部及び後部ハウジングが対設された
状態で締結され、内部に発熱室と、この発熱室の外域に
ウォータジャケットとを形成している。ウォータジャケ
ット内では循環水が入水ポートから取り入れられ、出水
ポートから外部の暖房回路へ送り出されるべく循環され
ている。前部及び後部ハウジングには軸受を介して駆動
軸が回転可能に支承され、駆動軸には発熱室内で回転可
能なロータが固着されている。発熱室の壁面とロータの
外面とは互いに近接する軸方向のラビリンス溝を構成
し、これら発熱室の壁面とロータの外面との間隙にはシ
リコーンオイル等の粘性流体が封入されている。
【0003】また、このビスカスヒータの特徴的な構成
として、前部及び後部ハウジングの下方には内部にダイ
アフラムを備えた上下カバーが設けられ、上カバーとダ
イアフラムとにより制御室が区画されている。発熱室は
前部及び後部ハウジングの上端に設けられた貫通孔によ
り大気と連通されるとともに、上下カバーに設けられた
連通管により制御室と連通されており、ダイアフラムは
マニホールド負圧及びコイルスプリング等により制御室
の内部容積を調整可能になされている。
【0004】車両の暖房装置に組み込まれたこのビスカ
スヒータでは、駆動軸がエンジンにより駆動されれば、
発熱室内でロータが回転するため、粘性流体が発熱室の
壁面とロータの外面との間隙でせん断により発熱する。
この発熱はウォータジャケット内の循環水に熱交換さ
れ、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房に供され
ることとなる。
【0005】ここで、このビスカスヒータの能力変化は
同公報によれば以下の作用となる。すなわち、暖房が強
大に過ぎる場合、マニホールド負圧でダイアフラムを下
方に変位させて制御室の内部容積を拡大する。これによ
り、発熱室内の粘性流体が制御室内に回収されるため、
発熱室の壁面とロータの外面との間隙の発熱量が減少
し、暖房が弱められることとなる。逆に、暖房が弱小で
ある場合、気圧調整孔及びコイルスプリングの作用でダ
イアフラムを上方に変位させて制御室の内部容積を縮小
する。これにより、制御室内の粘性流体は発熱室内に供
給されるため、発熱室の壁面とロータの外面との間隙の
発熱量が増大し、暖房が強められることとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のビ
スカスヒータでは、発熱室の下方に制御室を設けている
ため、能力縮小の際には、粘性流体をその自重によって
制御室内へ回収することになるが、ロータの回転中は、
粘性流体が下方に移動しにくく、とくにこのビスカスヒ
ータでは、発熱室の壁面とロータの外面とが互いに近接
する軸方向のラビリンス溝を構成しているため、粘性流
体の移動は一層困難となって、迅速な能力縮小が期待し
えないといった問題がある。
【0007】また、このビスカスヒータでは、粘性流体
を発熱室から制御室内に回収する際、これによる発熱室
内の負圧は貫通孔からの導入空気により補填されるが、
このように能力縮小の都度新たな空気と接触する粘性流
体は、空気中の含有水分によって劣化が早められ、発熱
効率も短期間に低下してしまう。本発明の課題は、能力
縮小制御が迅速確実に行われ、長期の使用にも耐えうる
能力可変型ビスカスヒータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1記載の能力可変型ビスカスヒータは、内
部に発熱室及び該発熱室に隣接して循環流体を循環させ
る放熱室を形成するハウジングと、該ハウジングに軸受
装置を介して回動可能に支承された駆動軸と、該発熱室
内で該駆動軸に回動可能に設けられるとともに該発熱室
の壁面との間に液密的間隙を形成するロータと、該液密
的間隙に介在して該ロータの回動により発熱される粘性
流体とを有するビスカスヒータにおいて、上記ハウジン
グは、軸方向に対向する界域に上記発熱室を形成すると
ともに、上記放熱室を画成する側板を含み、該発熱室
は、発熱室の壁面の進退動に基づき軸方向の幅員が調節
可能となされていることを特徴としている。
【0009】このビスカスヒータでは、発熱室の軸方向
の幅員が発熱室の壁面の進退動に基づき調節可能となさ
れており、発熱室壁面の微動によって、発熱量とは反比
例的な関係因子である発熱室壁面とロータとの間の液密
的間隙を、直接的かつ速やかに調節することができる。
また、このビスカスヒータでは、能力縮小に伴って発熱
室壁面とロータとの液密的間隙、つまり発熱室容積が拡
大される際、該発熱室内に不可避的に介在する空気の熱
膨張層が、この容積拡大によって生じる負圧を補填すべ
く働くので、粘性流体は新たな空気に触れることなく、
その含有水分によって劣化を早められる虞れはない。
【0010】(2)請求項2記載の能力可変型ビスカス
ヒータは、請求項1記載の能力可変型ビスカスヒータに
おいて、上記側板は、軸方向の進退動により上記発熱室
の幅員を調節可能な可動側板よりなることを特徴として
いる。このビスカスヒータでは、軸方向に対向する界域
に発熱室を形成するとともに、放熱室を画成する側板
が、軸方向の進退動により発熱室の幅員を調節可能な可
動側板となされており、可動側板自体の微動によって、
発熱量とは反比例的な関係因子である発熱室内壁とロー
タとの液密的間隙を、直接的かつ速やかに調節すること
ができる。
【0011】(3)請求項3記載の能力可変型ビスカス
ヒータは、請求項1記載の能力可変型ビスカスヒータに
おいて、上記側板は、上記放熱室を画成する固定側板
と、軸方向に対向する界域に上記発熱室を形成するとと
もに、軸方向の進退動により上記発熱室の幅員を調節可
能な可動側板とからなることを特徴としている。このビ
スカスヒータでは、軸方向に対向する界域に発熱室を形
成する可動側板自体の微動によって、発熱量とは反比例
的な関係因子である発熱室内壁とロータとの間隙を、直
接的かつ速やかに調節することができる。
【0012】ここで、側板が可動側板のみよりなる場合
は、可動側板の軸方向の進退動に伴って放熱室の幅員も
軸方向に変化し、これにより放熱室の容積が変化するこ
ととなる。かかる場合、放熱室内を流動する循環流体の
流速が放熱室の容積変化に伴って変化してしまい、脈動
による振動や騒音を発生させるおそれがある。この点、
このビスカスヒータでは、側板が、放熱室を画成する固
定側板と、軸方向の進退動により発熱室の幅員を調節可
能な可動側板とに分離されていることから、可動側板が
軸方向に進退動したとしても、放熱室自体は軸方向の幅
員が変化することがない。このため、放熱室内を流動す
る循環流体の流速が変化することもなく、脈動により振
動や騒音が発生するおそれもない。
【0013】(4)請求項4記載の能力可変型ビスカス
ヒータは、請求項2又は3記載の能力可変型ビスカスヒ
ータにおいて、上記可動側板は上記進退動に基づいて相
対移動を生じる部材との間に、発熱室の幅員の調節限界
を定める規制部が設けられていることを特徴としてい
る。このビスカスヒータでは、可動側板の進退動によっ
て調節される発熱室壁面とロータとの液密的間隙、つま
り発熱室の幅員の調節限界が規制部によって正確に定め
られるので、最も効率的な発熱範囲を任意に選択するこ
とができる。
【0014】(5)請求項5記載の能力可変型ビスカス
ヒータは、請求項1、2、3又は4記載の能力可変型ビ
スカスヒータにおいて、上記ロータは軸方向の移動可能
に駆動軸に装着されていることを特徴としている。この
ビスカスヒータでは、ロータが例えば駆動軸とスプライ
ン嵌合することにより軸方向移動を許されているので、
発熱室の幅員が可変調節されても、ロータはバランスに
より常に発熱室の中央に位置して前後の液密的間隙内で
は均等な発熱が維持される。
【0015】(6)請求項6記載の能力可変型ビスカス
ヒータは、請求項1、2、3又は4記載の能力可変型ビ
スカスヒータにおいて、上記ロータは駆動軸に固着され
ていることを特徴としている。このビスカスヒータで
は、ロータが駆動軸に固着されているので、能力縮小時
に可動側板が退動されると、該可動側板に形成された発
熱室壁面とロータとの液密的間隙のみが一方的に拡大さ
れて、ロータの前後の液密的間隙内での発熱に差が生じ
ることになるが、発熱の小さい側に属する可動側板で
は、その退動によってハウジングとの間に形成される放
熱室容積も応分に縮減されるので、このような観点から
すれば、むしろかかる形態が合理的ともいうことができ
る。
【0016】(7)請求項7記載の能力可変型ビスカス
ヒータは、請求項2、3、4、5又は6記載の能力可変
型ビスカスヒータにおいて、上記可動側板及びハウジン
グ相互の対向部分には、上記発熱室の幅員を縮小する向
きに該可動側板を進動させる付勢手段が配設されている
ことを特徴としている。このビスカスヒータでは、可動
側板を進動(能力を増大)させる付勢手段のみを有し、
退動(能力を縮減)させる力は、過熱された粘性流体に
より発熱室内部の上昇圧力を利用しており、構造の簡素
化に加えて粘性流体の熱劣化を巧みに防護することがで
きる。
【0017】(8)請求項8記載の能力可変型ビスカス
ヒータは、請求項2、3、4、5又は6記載の能力可変
型ビスカスヒータにおいて、上記可動側板及びハウジン
グ相互の対向部分に形成された制御領域には、該可動側
板を進退させる駆動手段が配設されていることを特徴と
している。このビスカスヒータでは、可動側板及びハウ
ジング相互の対向部分に形成された制御領域に可動側板
の駆動手段が配設されており、該駆動手段を介した可動
側板の進退動によって随時、発熱室の幅員を調節するこ
とができる。
【0018】(9)請求項9記載の能力可変型ビスカス
ヒータは、請求項8記載の能力可変型ビスカスヒータに
おいて、上記制御領域は密封空間に形成され、上記駆動
手段は外部信号によりばねの付勢力に抗して該制御領域
に作用するエンジン負圧であることを特徴としている。
このビスカスヒータでは、制御領域が密封空間に形成さ
れて、可動側板の駆動手段にはばねの付勢力と対抗させ
てエンジン負圧が利用されているので、外部信号により
エンジン負圧を選択的に作用させることによって、能力
制御を簡単に行うことができる。
【0019】(10)請求項10記載の能力可変型ビス
カスヒータは、請求項8記載の能力可変型ビスカスヒー
タにおいて、上記可動側板には鉄心が結合され、上記駆
動手段は外部信号によりばねの付勢力に抗して該鉄心を
吸引するソレノイドであることを特徴としている。この
ビスカスヒータでは、エンジン負圧に代えて可動側板に
結合された鉄心を吸引するソレノイドが採用されてお
り、外部信号に基づくソレノイドの励磁により同じく能
力制御を簡単に行うことができる。
【0020】(11)請求項11記載の能力可変型ビス
カスヒータは、請求項9又は10記載の能力可変型ビス
カスヒータにおいて、上記外部信号はヒータによる給熱
の要否(縮小を含む)を判別した温度検出信号であるこ
とを特徴としている。このビスカスヒータでは、能力制
御を行うための外部信号を、例えば循環流体温度、車室
温度等の温度検出信号に求めたので、実情に即した能力
制御を自動的に行うことができる。
【0021】(12)請求項12記載の能力可変型ビス
カスヒータは、請求項2、3又は4記載の能力可変型ビ
スカスヒータにおいて、上記ロータは駆動軸に固着され
るとともに、該ロータ及び上記可動側板相互の対向面の
うちの少なくとも一方は、ばねの付勢力に抗して上記発
熱室の幅員を拡大する向きに該可動側板を退動させるべ
く、該ロータ及び該可動側板間の液密的間隙の大きさを
変化せしめることにより該液密的間隙における上記粘性
流体の圧力をロータの回転に伴い上昇させる圧力上昇手
段を有していることを特徴としている。
【0022】このビスカスヒータでは、駆動軸に固着さ
れたロータ及び可動側板相互の対向面のうちの少なくと
も一方が有する圧力上昇手段により、ロータの回転に伴
い、ロータ及び可動側板間の液密的間隙における粘性流
体の圧力が上昇する。この液密的間隙における粘性流体
の圧力上昇は、駆動軸に固着されたロータに対して、ば
ねの付勢力に抗して上記発熱室の幅員を拡大する向きに
可動側板を退動させる。このため、ロータ回転数の増
大、ひいては液密的間隙における粘性流体の圧力上昇に
伴って、可動側板を大きく退動させて、発熱量とは反比
例的な関係因子である液密的間隙を大きくすることがで
きる。したがって、高速時に発熱量過多となることを未
然に防ぐことができ、粘性流体の熱劣化を効果的に抑え
る可能となる。
【0023】一方、ロータの低速回転時には、上記圧力
上昇手段による液密的間隙における粘性流体の圧力上昇
は小さく、ばねの付勢力により可動側板は発熱室の幅員
を縮小する向きに進動されるので、液密的間隙が小さく
なって十分な発熱量を確保することができる。 (13)請求項13記載の能力可変型ビスカスヒータ
は、請求項12記載の能力可変型ビスカスヒータにおい
て、上記圧力上昇手段は、上記ロータ及び上記可動側板
間の液密的間隙の大きさを連続的に変化せしめる傾斜面
であることを特徴としている。
【0024】このビスカスヒータでは、ロータ及び可動
側板間の液密的間隙の大きさが傾斜面により連続的に変
化している。このため、ロータ回転時の液密的間隙にお
ける粘性流体の圧力は、該液密的間隙の大きい方から小
さい方へ向かって徐々に高くなる。この粘性流体の圧力
傾斜により、いわゆるくさび効果が発揮され、駆動軸に
固着されたロータに対して、ばねの付勢力に抗して発熱
室の幅員を拡大する向きに可動側板を退動させることが
できる。
【0025】(14)請求項14記載の能力可変型ビス
カスヒータは、請求項13記載の能力可変型ビスカスヒ
ータにおいて、上記傾斜面は、上記駆動軸に対して寸法
公差の許容範囲内で傾斜して固着された上記ロータの対
向面であることを特徴としている。このビスカスヒータ
では、寸法公差の許容範囲内で傾斜するように駆動軸に
対してロータを固着することにより、ロータの可動側板
との対向面を傾斜面としており、請求項13記載のビス
カスヒータと同様に、ロータの回転時における粘性流体
の圧力を介するくさび効果により、駆動軸に固着された
ロータに対して可動側板を発熱室の幅員を拡大する向き
に退動させることができる。
【0026】(15)請求項15記載の能力可変型ビス
カスヒータは、請求項12記載の能力可変型ビスカスヒ
ータにおいて、上記圧力上昇手段は、非円周方向に延
び、かつ、周方向に交互に配設された凹部及び凸部であ
ることを特徴としている。このビスカスヒータでは、非
円周方向に延び、かつ、周方向に交互に配設された凹部
及び凸部により圧力上昇手段が構成されている。このよ
うな凹凸部においては、凹部と凸部とを比較すると、凸
部の方が対向面との間隔が小さくなる。このため、ロー
タ回転に伴って粘性流体が周方向の従動回転すると、周
方向に交互に配設された凹部から凸部に該粘性流体が流
動する際に圧力が上昇する。この圧力上昇により、駆動
軸に固着されたロータに対して可動側板を発熱室の幅員
を拡大する向きに退動させることができる。
【0027】また、上記凹部及び凸部は、せん断向上手
段としても機能しうる。すなわち、凹部及び凸部の存在
により、液密的間隙の大きさは周方向において変化せし
められているので、その間隙の大小により粘性流体にお
ける分子の拘束作用が助長される。この作用により、ロ
ータの回転に伴う粘性流体の従動回転が阻止され、粘性
流体に与えるせん断力を向上させることができ、発熱量
の向上を図ることができる。
【0028】(16)請求項16記載の能力可変型ビス
カスヒータは、請求項1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14又は15記載の
能力可変型ビスカスヒータにおいて、上記側板はハウジ
ングから延在する碗形状の筒部内に囲封されていること
を特徴としている。このビスカスヒータでは、ハウジン
グから延在する筒部内に側板が囲封されていることか
ら、この筒部の開放端を覆蓋することにより、シール性
を効果的に向上させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)以下、請求項1、2、4〜6及び
8、9、11、16記載の発明を具体化した第1の実施
形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2におい
て、1はビスカスヒータの外郭を構成する前部ハウジン
グであって、該前部ハウジング1はクラッチ等の電動機
構を装着すべく前方(図示左方)に向かって突出した中
空筒状のボス部1aと、該ボス部1aの基端壁1bから
後方に向かって大きく碗形状に延在した円筒部1cとか
らなり、該円筒部1cには前部側板2及び可動側板3が
内装されて、これらは該円筒部1cの開放端を覆蓋すべ
く結合される後部ハウジング4によって囲封されてい
る。そして前部側板2には基壁2aから前後に延在して
円筒部1cの全内周壁と嵌合するリム部2bが設けら
れ、これが結合される両ハウジング1、4の対向壁面に
よって挟着される一方、可動側板3はその基壁3aの外
周面が、後方に向けて延在する該リム部2aの内周面に
対し軸方向の移動可能に密合されており、両基壁2a、
3aの軸方向に対向する界域には、基壁2aに設けられ
た円形凹陥部と基壁3aの平坦面とで発熱室5が形成さ
れている。
【0030】なお、本実施形態では、前部ハウジング
1、前部側板2及び後部ハウジング4によりハウジング
が構成され、前部側板2のリム部2bが可動側板3を囲
封する筒部となる。両側板2、3は対向する両ハウジン
グ1、4との間の各中央領域で、それぞれ軸方向に延び
る相対嵌合部6、7を有し、該相対嵌合部6と該リム部
2bとの間で発熱室5の前方側に隣接する環状空間は、
前部放熱室(ウォータジャケット)FWに形成され、一
方相対嵌合部7とリム部2bとの間で発熱室5の後方側
に隣接する環状空間は、後部放熱室(ウォータジャケッ
ト)RWに形成されている。なお、両ハウジング1、4
の結合界面には両放熱室FW、RWを外方に向けて封止
するOリングS1 が介装され、一方、相対嵌合部6、7
の各嵌合周面には、嵌合部相互の軸方向移動を許容しつ
つ各放熱室FW、RWを内方に向けて封止するOリング
2 、S3 が介装されている。また、上記円形凹陥部が
形成された基壁2aの後端面には、基壁3aの前端面と
衝合して発熱室5の最小幅員を定める規制部2cが設け
られている。
【0031】前部ハウジング1のボス部1a内に挿通さ
れる駆動軸8は2個の軸受9、10に支承されて延在
し、その後端には発熱室5内で回転可能なロータ11が
スプライン嵌合により装着されており、前部側板2に設
けられた相対嵌合部(ボス部)6の内方域、つまり前部
放熱室FWの近傍域には、後述する粘性流体の漏出を封
止する軸封装置(オイルシール)12が駆動軸8との間
に介装されている。
【0032】図2から明瞭なように、両側板2、3の各
放熱室FW、RWを形成する基壁2a、3aには、軸方
向に同心円弧状をなす複数条のフィン2d、3dが突設
されている。そして各放熱室FW、RW内は前部プレー
ト2、可動側板3の径方向に延設された直壁13(図2
は可動側板3の直壁のみを示す)によって区画され、さ
らにフィン2d、3dによって各流路a〜cに分岐され
るとともに、その両端部分はそれぞれ流入ポート14及
び流出ポート15を介して前部ハウジング1に連結され
る図示しない循環流体の配管に接続されている。なお、
各流路a〜cの流路幅は外周側ほど拡張(a>b>c)
されて流速の均斉化が図られている。
【0033】各放熱室FW、RW内を区画する上述の直
壁13は、それぞれ両側板2、3の回り止め部をも兼ね
ており、両ハウジング1、4の内壁に形成された各係合
部16と軸方向に係合されている。なお、放熱室FW、
RWを形成する側板2、3の内壁面はすべて鋳肌面(粗
面)となされている。OリングS4 によって封止された
上記発熱室5の内壁面とロータ11の外面とで形成され
る液密的間隙には粘性流体としてシリコーンオイルが封
入され、一方、可動側板3と後部ハウジング4とで形成
される相対嵌合部7の内方空洞部は、該可動側板3を軸
方向に進退動させる密封状の制御領域17に構成されて
いる。該制御領域17内には可動側板3の駆動手段とし
て、これを常に前部側板2に向けて進動すべく付勢する
コイルばね18が配設されるとともに、該制御領域17
は導圧管19によってエンジンの吸気マニホールドに接
続されている。このため、例えば循環流体温度や車室温
度等の検出信号に応動する電磁弁(図示せず)を介して
該制御領域17には随時負圧がもたらされ、これがコイ
ルばね18の付勢力に抗して可動側板3の退動を促すよ
う構成されている。なお、該可動側板3の退動による発
熱室5の最大幅員は、基壁3aの一部が相対嵌合部7を
形成する後部ハウジング4側のボス部端縁4aと干渉す
ることにより規制されている。
【0034】車両の暖房装置に適用される本実施形態の
ビスカスヒータでは、プーリ又は電磁クラッチ等を介し
てエンジンと連結された駆動軸8が回転されると、発熱
室5内でロータ11が回転されるため、封入されたシリ
コーンオイルが発熱室5の壁面とロータ11の外面との
液密的間隙でせん断作用を受けて発熱し、この熱は前部
及び後部放熱室FW、RW内を流動する循環流体たる循
環水に熱交換され、加熱された循環水は暖房回路を経由
して車両の暖房に供される。
【0035】このとき発熱室5と共に前部及び後部放熱
室FW、RWを形成する両側板2、3は前部ハウジング
1の円筒部1c内に囲封され、外周方向に露出する要シ
ール部は、該円筒部1cの開放端を覆蓋する後部ハウジ
ング4との結合面のみに局限されている。したがって、
循環水の漏洩の虞れはきわめて少なく、加えて後部ハウ
ジング4の形状の単純化や最も簡便なOリングS1 の採
用も可能となって、生産性の観点からも頗る有利であ
る。
【0036】また、このビスカスヒータでは、各側板
2、3の放熱室FW、RWを形成する壁面に複数条のフ
ィン2d、3dが突設され、さらには同壁面が鋳肌面と
なされているため、有効表面積が著しく拡大されて熱交
換効率の向上に大きく貢献することができる。両側板
2、3は両ハウジング1、4との間の各中央領域で実質
的に放熱室FW、RWの内周縁を画定し、かつ軸方向に
延びる相対嵌合部6、7を有しており、その嵌合周面に
は嵌合部相互の軸方向移動を許容するOリングS2 、S
3 が介装されているので、熱変形や後述する能力調節な
どによって各側板2、3と各ハウジング1、4との間に
相対的な軸方向移動が生じても、循環水の封止を良好に
確保することができる。
【0037】前部ハウジング1に連結された配管を介し
て導入される循環水は、両放熱室FW、RWにそれぞれ
開口されている流入ポート14からフィン2d、3dに
よって分岐される各流路a〜cへと分流されて周回し、
直壁13を隔てて対称的に開口されている流出ポート1
5を経て連結配管へと導出されるが、同心円弧状をなす
フィン2d、3dによって形成される各流路a〜cの流
路幅は外周側ほど拡張されて、流路形状と流路長とによ
って定まる各流路a〜cの流速が均斉化するよう構成さ
れているので、放熱室FW、RWを形成する両側板2、
3の全壁面にわたって循環水との熱交換が万遍なく遂行
される。
【0038】さて、このビスカスヒータでは、運転の継
続中、暖房回路を経由した給熱の縮小若しくは休止を必
要とするとき、これを判別したオペレータの指令信号又
は循環流体温度、車室温度等の温度検出信号によって電
磁弁を切換え、それまで導圧管19を介して大気と連通
されていた制御領域17をエンジンの吸気マニホールド
と接続させる。これにより該制御領域17は急速に負圧
状態に移行し、この負圧がコイルばね18の付勢力に抗
して可動側板3を退動させ、該可動側板3の退動は基壁
3aの一部が後部ハウジング4のボス部端縁4aと干渉
することによって規制される。
【0039】したがって、発熱量を直接的に支配する発
熱室5の内壁とロータ11との液密的間隙が拡大されて
発熱量(暖房能力)は所望の値まで縮減される。そし
て、このように発熱室5の容積が拡大される際、該発熱
室5内に不可避的に介在する空気の熱膨張層が、この容
積拡大によって生じる負圧を補填すべく働くので、シリ
コーンオイルは新たな空気に触れることなく、その含有
水分によって劣化を早められる虞れはない。
【0040】その後、暖房能力を改めて増大させる場合
には、上述の外部信号により電磁弁を切り替えて導圧管
19を再び大気と連通させれば、可動側板3はコイルば
ね18の付勢力により進動を開始し、基壁3aの前端面
が前部側板2の規制部2cと衝合することによって、発
熱量は最大状態に復帰する。すなわちクラッチを介した
ヒータの断続運転を行うことなく、暖房能力を迅速確実
に制御することができる。
【0041】なお、本実施形態におけるロータ11は、
駆動軸8に対して軸方向の移動可能にスプライン嵌合さ
れているので、発熱室5の幅員が可変調節されてもロー
タ11はバランスにより常に発熱室5の中央に位置し
て、前後の液密的間隙内では均等な発熱が維持される。
また、当該部分の別例として、ロータ11を駆動軸8に
圧入固着した形態で実施することも可能であり、この場
合は能力縮小時に、可動側板3の退動によって該可動側
板3に形成された発熱室5の内壁とロータ11との液密
的間隙のみが一方的に拡大され、ロータ11の前後の液
密的間隙における発熱に差を生じることになるが、発熱
の小さい側に属する可動側板3では、その退動によって
後部ハウジング4との間に形成される放熱室RWの容積
も応分に縮減されるので、このような観点からすれば、
むしろかかる実施形態が合理的ともいうことができる。
【0042】また、ロータ11の内周域においては、ロ
ータ11の前端面と軸封装置12との間に大きな隙間が
存在するが、この隙間は前記液密的間隙には含まれな
い。 (第2の実施形態)図3は第2の実施形態を示すもの
で、このビスカスヒータでは、第1の実施形態と比較し
て両側板2、3の配置関係が逆転している点で相違して
いる。すなわち、可動側板3Bはその基壁3Ba外周面
が、後部側板2Bの前方に向けて延在するリム部2Bb
の内周面に対し軸方向に移動可能に密合されており、該
可動側板3Bと前部ハウジング1Bとの対向部分に形成
される制御領域17Bは、シール軸受10Bの採用によ
って密封空間となされている。そして該制御領域17B
内には、可動側板3Bの駆動手段としてコイルばね18
Bが配設されるとともに、該制御領域17Bは導圧管1
9Bによってエンジンの吸気マニホールドに接続されて
いる。なお、可動側板3Bの進退動、つまり発熱室5の
幅員の限界規制や他の主たる機能に関しては第1の実施
形態と全く同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0043】なお、上述した第1及び第2の実施形態に
おける独立した前部側板2、後部側板2Bが前部又は後
部ハウジング1、1B又は4に包含し、実質的に存在す
る放熱室を可動側板3、3Bとハウジングとの間、つま
り片側のみに限定することも可能である。この場合であ
っても、可動側板自体の微動により発熱量の速やかな調
節が可能となる点では、上記実施形態と同等の機能を発
揮する。
【0044】また、請求項7記載の発明に係るビスカス
ヒータも同様に図示は省略されているが、可動側板3、
3B及びハウジング1、4相互の対向部分に、発熱室5
の幅員を縮小する向きに可動側板3、3Bを進動させる
付勢手段(例えばコイルばね18)が設けられるもの
の、該可動側板3、3Bの退動に関しては積極的な駆動
手段を有しない点に特異性がある。
【0045】すなわち、発熱が過大な場合、過熱された
粘性流動による発熱室5内部の上昇圧力が、上記付勢手
段に抗して可動側板3、3Bの退動を促し、発熱量の縮
減に伴って該粘性流体の熱劣化を自動的に防護するもの
である。 (第3の実施形態)図4は第3の実施形態を示すもの
で、このビスカスヒータでは、制御領域17Aを形成す
る可動側板3Aの中央部後面に筒状のボス部20が突設
され、その筒内にはさらに有底筒状の鉄心21が圧入さ
れて後方に向け延在されている。そして同様に制御領域
17Aを形成する後部ハウジング4A側の座繰孔には、
可動側板3Aを進動すべく付勢するコイルばね18A
と、該コイルばね18Aの付勢力に抗して該鉄心21と
もども可動側板3Aを退動させるソレノイド22が配設
されている。なお、該ソレノイド22はオペレータの指
令信号又は温度検出信号に基づくスイッチ操作によっ
て、励磁又は消磁されるようになされており、他の構成
は第1の実施形態と全く同様である。
【0046】このビスカスヒータでは、スイッチ操作に
よりソレノイド22を消磁することで第1の実施形態と
同様発熱室5は最小の幅員を保持して、運転初期には最
大の能力で暖房に寄与している。そして暖房の縮小若し
くは休止を必要とするときは、スイッチ操作によるソレ
ノイド22の励磁により、吸引される鉄心21ともども
可動側板3Aはコイルばね18Aの付勢力に抗して退動
し、発熱室5の内壁とロータ11との液密的間隙が拡大
されて、発熱量(暖房能力)は所望の値に縮減される。
なお、可動側板3Aの退動限界は、上記ボス部20の端
面が対向する後部ハウジング4Aの一部と干渉すること
により規制されている。
【0047】なお、外部信号として粘性流体の温度を利
用したり、ロータ11の回転数(粘性流体の劣化防止を
目的とする場合はとくに高回転域)を利用することもで
きる。 (第4の実施形態)図5及び図6は第4の実施形態を示
すもので、このビスカスヒータでは、両ハウジング1、
4によって囲封される前部側板2、後部固定側板23
は、共に円筒部1cの内壁と嵌合するリム部2b、23
bが両ハウジング1、4の対向壁面によって挟着されて
いる。
【0048】後部固定側板23の中央領域には、相対嵌
合部7と同一内径の中央孔23cが軸方向に貫設されて
いる。また、後部固定側板23の基壁23aには円形凹
陥部が設けられ、この円形凹陥部内に軸方向の移動可能
に可動側板24が内装されている。そして、可動側板2
4の基壁24a及び前部側板2の基壁2aの軸方向に対
向する界域には、基壁2aに設けられた円形凹陥部と可
動側板24の基壁24aとで発熱室5が形成されてい
る。
【0049】可動側板24の基壁24aの中央域には、
後方に向かって突出する中空筒状部24bが設けられて
おり、この中空筒状部24b内には前方端部に軸受25
が嵌合固定されている。軸受25は、駆動軸8の後端部
に軸方向の移動可能に遊嵌されている。そして、軸受2
5、後部ハウジング4相互の対向部分には、発熱室5の
幅員を縮小する向きに可動側板24を進動させる付勢手
段としてのコイルばね26が設けられている。また、後
部固定側板23の中央孔23cの内方空洞部は、粘性流
体を回収する密封状の貯留室27に構成されて、該貯留
室27は可動側板24に貫設された回収孔24c及び供
給孔24dを介して発熱室5に連通されている。
【0050】発熱室5内で回転可能なロータ11は、図
6に示すように、駆動軸8に対して寸法公差の許容範囲
内で傾斜して固定されている。これにより、ロータ11
の可動側板24との対向面が圧力上昇手段としての傾斜
面11aとされている。このロータ11の斜角度θは、
1〜5度程度とすることができる。なお、その他の構成
については、第1の実施形態と基本的に同様であるた
め、詳しい説明は省略する。
【0051】このビスカスヒータでは、ロータ11及び
可動側板34間の液密的間隙の大きさがロータ11の傾
斜面11aにより連続的に変化している。このため、ロ
ータ11の回転時、液密的間隙における粘性流体の圧力
は、該液密的間隙の大きい方から小さい方へ向かって徐
々に高くなる。この粘性流体の圧力傾斜により、いわゆ
るくさび効果が発揮される。そして、このくさび効果は
ロータ11が高速回転になるほど大きくなる。また、こ
のくさび効果により、駆動軸8に固着されたロータ11
に対して、発熱室5の幅員を拡大する向きに可動側板2
4を退動させようとするスラスト荷重が該可動側板24
に働く。このため、ロータ11の回転数の増大、ひいて
は圧力上昇手段たる傾斜面11aによる粘性流体の圧力
上昇に伴って、可動側板24を大きく退動させて、発熱
量とは反比例的な関係因子である液密的間隙を大きくす
ることができる。したがって、高速時に発熱量過多とな
ることを未然に防ぐことができ、粘性流体の熱劣化を効
果的に抑える可能となる。
【0052】一方、ロータ11の低速回転時には、上記
圧力上昇手段たる傾斜面11aによる粘性流体の圧力上
昇は小さく、したがって上記くさび効果も小さい。この
ため、コイルばね26の付勢力により可動側板24は発
熱室5の幅員を縮小する向きに進動されるので、液密的
間隙が小さくなって十分な発熱量を確保することができ
る。
【0053】また、このビスカスヒータでは、後部側の
側板において、放熱室RWを画成する後部固定側板23
と、軸方向の進退動により発熱室5の幅員を調節可能な
可動側板24とに分離されていることから、可動側板2
4が軸方向に進退動したとしても、後部側の放熱室RW
自体は軸方向の幅員が変化することがない。このため、
放熱室RW内を流動する循環流体の流速が変化すること
もなく、脈動により振動や騒音が発生するおそれもな
い。
【0054】さらに、このビスカスヒータでは、貯留室
27が発熱室5の液密的間隙の容積を超える粘性流体を
収容可能であるため、粘性流体の厳しい収容量管理が不
要となる。そして、回収孔24cを介して発熱室5から
貯留室27内に粘性流体を回収可能であるとともに、供
給孔24dを介して貯留室27から発熱室8内に粘性流
体供給可能である。こうして、このビスカスヒータで
は、発熱室8と貯留室27との間で粘性流体を入れ換え
つつ、十分な発熱量を発揮するために必要な粘性流体の
収容量を確保できるとともに、粘性流体の収容割合の増
大に伴う内圧上昇により軸封装置12の軸封能力が低下
することを防止できる。
【0055】また、このビスカスヒータでは、貯留室2
7内に発熱室5の液密的間隙の容積を超える粘性流体を
収納可能であることから、せん断される粘性流体の量に
余裕を生じ、特定の粘性流体のみを常にせん断すること
にならないため、粘性流体の劣化遅延を図ることが可能
になる。 (第5の実施形態)図7及び図8は第5の実施形態を示
すもので、このビスカスヒータでは、圧力上昇手段とし
て、ロータ11を駆動軸8に対して傾斜させて固着する
代わりに、ロータ11の後端面に複数のくさび状傾斜面
28を形成したものである。このくさび状傾斜面28
は、ロータ11の回転方向P(図7参照)と逆側に向か
うに連れて、高さが徐々に高くなっており、各くさび状
傾斜面28の回転方向Pと逆側の端部が凸部29とさ
れ、各くさび状傾斜面28の回転方向P側の端部が凹部
30とされている。したがって、これらの凸部29及び
凹部30は半径方向に延び、かつ、周方向に交互に配設
されている。その他の構成は、第4の実施例と基本的に
同様である。
【0056】このビスカスヒータでは、ロータ11の回
転中、ロータ11の後端面に形成された各くさび状傾斜
面28と各該くさび状傾斜面28に対向する可動側板2
4との間の液密的間隙に存在する粘性流体の圧力は、凹
部30の部分で最も低く、該凹部30から凸部29に向
かって徐々に高くなる。ロータ11の後端面と可動側板
24との間の液密的間隙における粘性流体の圧力傾斜に
より、くさび効果が発揮され、これにより、駆動軸8に
固着されたロータ11に対して、発熱室5の幅員を拡大
する向きに可動側板24を退動させようとするスラスト
荷重が該可動側板24に働く。したがって、第4の実施
形態と同様、高速時に、可動側板24を退動させて液密
的間隙を大きくすることにより、発熱量過多となること
を未然に防ぐことができ、粘性流体の熱劣化を効果的に
抑える可能となる。
【0057】また、上記凸部29及び凹部30は、せん
断向上手段としても機能しうる。すなわち、凸部29及
び凹部30の存在により、液密的間隙の大きさは周方向
において変化せしめられているので、その間隙の大小に
より粘性流体における分子の拘束作用が助長される。こ
の作用により、ロータ11の回転に伴う粘性流体の従動
回転が阻止され、粘性流体に与えるせん断力を向上させ
ることができ、発熱量の向上を図ることができる。
【0058】(第6の実施形態)図9及び図10は第6
の実施形態を示すもので、このビスカスヒータでは、圧
力上昇手段として、半径方向に延び、かつ、周方向に交
互に配設された凸部29及び凹部30を採用したもので
ある。すなわち、ロータ11の後端面には、外周側に半
径方向に延びる複数の段差が設けられ、これにより、凸
部29及び凹部30が周方向に交互に配設されている。
【0059】このビスカスヒータでは、凸部29と凹部
30とを比較すると、凸部29の方が対向面たる可動側
板24の前端面との間隔が小さくなる。このため、ロー
タ11の回転に伴って粘性流体が周方向に従動回転する
と、周方向に交互に配設された凹部30から凸部29に
該粘性流体が流動する際に圧力が上昇する。この圧力上
昇により、駆動軸に固着されたロータ11に対して可動
側板24を発熱室5の幅員を拡大する向きに退動させる
ことができる。
【0060】なお、この実施形態における凸部29及び
凹部30もせん断向上手段として機能しうることは勿論
である。 (第7の実施例)図11及び図12は第7の実施形態を
示すもので、このビスカスヒータでは、圧力上昇手段と
して、半径方向に対してロータの回転方向P側に湾曲し
て延び、かつ、周方向に交互に配設されたスパイラル状
の凸部29及び凹部30を採用したものである。すなわ
ち、ロータ11の後端面には、外周側に半径方向に対し
てロータの回転方向P側に湾曲して延びる複数の段差が
設けられ、これにより、スパイラル状の凸部29及び凹
部30が周方向に交互に配設されている。
【0061】このビスカスヒータも、凸部29及び凹部
30の存在により、第6の実施形態と同様の作用効果を
奏する。また、上述の第5〜第7の実施形態では、圧力
上昇手段としての凸部29及び凹部30をロータ11の
後端面に設ける例について説明したが、これらの凸部2
9及び凹部28は、可動側板24の前端面に設けること
も可能である。
【0062】(第8の実施形態)図13は第8の実施形
態を示すもので、このビスカスヒータは、図5に示す第
4の実施形態において、可動側板24の中空筒状部24
bを駆動軸8に対して軸方向の移動可能に保持させる軸
受25をなくしたものである。すなわち、このビスカス
ヒータの可動側板24は中空筒状部24bの前方端部に
中央壁24eが設けられ、この中央壁24e、後部ハウ
ジング4相互の対向部分にコイルばね26が配設されて
いる。そして、可動側板24は、後部固定側板23の円
形凹陥部の外周側面に軸方向の移動可能に保持されてい
る。
【0063】その他の構成は基本的には第4の実施形態
と同様であり、このビスカスヒータも第4の実施形態と
同様の作用効果を奏する。
【0064】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明に係る能
力可変型ビスカスヒータは、各請求項記載の手段の採用
により、以下に掲記する優れた効果を奏する。請求項1
〜16記載の能力可変型ビスカスヒータは、発熱量を直
接的に支配する発熱室内壁とロータとの間隙を、軸方向
に移動可能となした可動側板の進退動によって調節しう
るようにしたので、暖房能力を迅速に制御することがで
きる。
【0065】そして請求項3記載の能力可変型ビスカス
ヒータでは、放熱室を画成する固定側板とは別個に可動
側板を軸方向に進退動させるようにしたので、放熱室内
を流動する循環流体に脈動が発生して振動や騒音の原因
となることがない。また請求項7記載の能力可変型ビス
カスヒータでは、構造の簡素化に加えて粘性流体の保全
にきわめて有効であり、また、請求項8〜11記載の能
力可変型ビスカスヒータでは、能力可変を随時行うこと
が可能で、その応答性も格段と向上させることができ
る。
【0066】とくに請求項11記載の能力可変型ビスカ
スヒータのように、可動側板を進退動させる駆動手段を
温度検出信号等によって発動させるようにしたもので
は、実情に即した能力制御を全て自動的に実行すること
ができる。さらに、請求項12〜15記載の能力可変型
ビスカスヒータでは、ロータが高速回転になることに応
じて液密的間隙を大きくすることができるので、高速時
に発熱量過多となることを未然に防ぐことができ、粘性
流体の熱劣化を効果的に抑える可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る能力可変型ビス
カスヒータの縦断面図。
【図2】同ビスカスヒータの主として可動側板を示す側
面図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る能力可変型ビス
カスヒータの縦断面図。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る能力可変型ビス
カスヒータの縦断面図。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る能力可変型ビス
カスヒータの縦断面図。
【図6】同ビスカスヒータの主としてロータを示す正面
図。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る能力可変型ビス
カスヒータのロータの側面図。
【図8】同ビスカスヒータのロータの部分断面図であ
り、図7のA−A線矢視断面図。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る能力可変型ビス
カスヒータのロータの側面図。
【図10】同ビスカスヒータのロータの部分断面図であ
り、図9のB−B線矢視断面図。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る能力可変型ビ
スカスヒータのロータの側面図。
【図12】同ビスカスヒータのロータの部分断面図であ
り、図11のC−C線矢視断面図。
【図13】本発明の第8の実施形態に係る能力可変型ビ
スカスヒータの縦断面図。
【符号の説明】
1は前部ハウジング、1cは円筒部、2は前部側板、2
cは規制部、3は可動側板、4は後部ハウジング、5は
発熱室、8は駆動軸、11はロータ、17は制御領域、
18はコイルばね、19は導圧管、21は鉄心、22は
ソレノイド、23は後部固定側板、24は可動側板、1
1aは傾斜面、28はくさび状傾斜面、29は凸部、3
0は凹部、FWは前部放熱室、RWは後部放熱室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星野 辰幸 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 木谷 文彦 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 佐藤 努 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に発熱室及び該発熱室に隣接して循環
    流体を循環させる放熱室を形成するハウジングと、該ハ
    ウジングに軸受装置を介して回動可能に支承された駆動
    軸と、該発熱室内で該駆動軸に回動可能に設けられると
    ともに該発熱室の壁面との間に液密的間隙を形成するロ
    ータと、該液密的間隙に介在して該ロータの回動により
    発熱される粘性流体とを有するビスカスヒータにおい
    て、 上記ハウジングは、軸方向に対向する界域に上記発熱室
    を形成するとともに、上記放熱室を画成する側板を含
    み、該発熱室は、発熱室の壁面の進退動に基づき軸方向
    の幅員が調節可能となされていることを特徴とする能力
    可変型ビスカスヒータ。
  2. 【請求項2】上記側板は、軸方向の進退動により上記発
    熱室の幅員を調節可能な可動側板よりなることを特徴と
    する請求項1記載の能力可変型ビスカスヒータ。
  3. 【請求項3】上記側板は、上記放熱室を画成する固定側
    板と、軸方向に対向する界域に上記発熱室を形成すると
    ともに、軸方向の進退動により上記発熱室の幅員を調節
    可能な可動側板とからなることを特徴とする請求項1記
    載の能力可変型ビスカスヒータ。
  4. 【請求項4】上記可動側板は上記進退動に基づいて相対
    移動を生じる部材との間に、発熱室の幅員の調節限界を
    定める規制部が設けられていることを特徴とする請求項
    2又は3記載の能力可変型ビスカスヒータ。
  5. 【請求項5】上記ロータは軸方向の移動可能に駆動軸に
    装着されていることを特徴とする請求項1、2、3又は
    4記載の能力可変型ビスカスヒータ。
  6. 【請求項6】上記ロータは駆動軸に固着されていること
    を特徴とする請求項1、2、3又は4記載の能力可変型
    ビスカスヒータ。
  7. 【請求項7】上記可動側板及びハウジング相互の対向部
    分には、上記発熱室の幅員を縮小する向きに該可動側板
    を進動させる付勢手段が配設されていることを特徴とす
    る請求項2、3、4、5又は6記載の能力可変型ビスカ
    スヒータ。
  8. 【請求項8】上記可動側板及びハウジング相互の対向部
    分に形成された制御領域には、該可動側板を進退動させ
    る駆動手段が配設されていることを特徴とする請求項
    2、3、4、5又は6記載の能力可変型ビスカスヒー
    タ。
  9. 【請求項9】上記制御領域は密封空間に形成され、上記
    駆動手段は外部信号によりばねの付勢力に抗して該制御
    領域に作用するエンジン負圧であることを特徴とする請
    求項8記載の能力可変型ビスカスヒータ。
  10. 【請求項10】上記可動側板には鉄心が結合され、上記
    駆動手段は外部信号によりばねの付勢力に抗して該鉄心
    を吸引するソレノイドであることを特徴とする請求項8
    記載の能力可変型ビスカスヒータ。
  11. 【請求項11】上記外部信号はヒータによる給熱の要否
    を判別した温度検出信号であることを特徴とする請求項
    9又は10記載の能力可変型ビスカスヒータ。
  12. 【請求項12】上記ロータは駆動軸に固着されるととも
    に、該ロータ及び上記可動側板相互の対向面のうちの少
    なくとも一方は、上記発熱室の幅員を拡大する向きにば
    ねの付勢力に抗して該可動側板を退動させるべく、該ロ
    ータ及び該可動側板間の液密的間隙の大きさを変化せし
    めることにより該液密的間隙における上記粘性流体の圧
    力をロータの回転に伴い上昇させる圧力上昇手段を有し
    ていることを特徴とする請求項2、3又は4記載の能力
    可変型ビスカスヒータ。
  13. 【請求項13】上記圧力上昇手段は、上記ロータ及び上
    記可動側板間の液密的間隙の大きさを連続的に変化せし
    める傾斜面であることを特徴とする請求項12記載の能
    力可変型ビスカスヒータ。
  14. 【請求項14】上記傾斜面は、上記駆動軸に対して寸法
    公差の許容範囲内で傾斜して固着された上記ロータの対
    向面であることを特徴とする請求項13記載の能力可変
    型ビスカスヒータ。
  15. 【請求項15】上記圧力上昇手段は、非円周方向に延
    び、かつ、周方向に交互に配設された凹部及び凸部であ
    ることを特徴とする請求項12記載の能力可変型ビスカ
    スヒータ。
  16. 【請求項16】上記側板はハウジングから延在する碗形
    状の筒部内に囲封されていることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
    2、13、14又は15記載の能力可変型ビスカスヒー
    タ。
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