JPH10118781A - レーザ加工装置 - Google Patents

レーザ加工装置

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JPH10118781A
JPH10118781A JP9210259A JP21025997A JPH10118781A JP H10118781 A JPH10118781 A JP H10118781A JP 9210259 A JP9210259 A JP 9210259A JP 21025997 A JP21025997 A JP 21025997A JP H10118781 A JPH10118781 A JP H10118781A
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phase shift
optical axis
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laser
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Hiromoto Ichihashi
宏基 市橋
Hiroshi Yamashita
博 山下
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザビームで穴加工、切断等を行うレーザ
加工装置に関し、大出力であって、被加工物面上でレー
ザビームの集光直径が減少するように集光することがで
きるレーザ加工装置を実現することを目的とする。 【解決手段】 被加工物14上に集光光学系(10から
12)を介してレーザビーム9を集光して被加工物14
を加工するレーザ加工装置であって、位相シフト手段1
1を用いて、加工に用いるレーザビーム9の光波面の位
相を光軸回りの偏角に対応して変化させるレーザ加工装
置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ加工装置に
関し、特にマルチモードレーザビームまたはTEM00
モード等の単一レーザビームを用いて穴加工、切断等を
行うレーザ加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下、従来のレーザ加工装置について説
明をする。
【0003】図17は、従来のレーザ加工装置の概念図
である。図17において、81は凹面状の全反射ミラ
ー、82は全反射ミラー81に対向配置された凹面状の
部分反射ミラー、83は部分反射ミラー82に施された
部分反射膜、84は部分反射ミラー82に施された無反
射膜、85はレーザ媒質であり、例えば炭酸ガスレーザ
等のガスレーザの場合は、放電等で励起されるガス媒質
であり、YAG等の固体レーザの場合は、フラッシュラ
ンプ等により励起される固体媒質である。
【0004】次に、86はレーザビーム径を制御するア
パーチャ、87は周囲を覆う箱体、88はミラー81、
82より構成される安定型共振器の内部に発生するレー
ザビーム、89は部分反射ミラー82より外部へ取り出
されたレーザビーム、90は集光レンズ、91は集光レ
ンズ90に施された無反射膜、92は集光光学系90よ
り集光された集束ビーム、93は被加工物である。
【0005】以上の構成において、次に動作について説
明する。まず、ミラー81、82は、安定型共振器を構
成しているから、発生したレーザビーム88は、アパー
チャ86を通過しつつミラー81、82を往復するうち
にレーザ媒質85により増幅されると共に、レーザビー
ム88の一部が、部分反射膜83及び無反射膜84の施
されたミラー82を介して外部へ取り出される。
【0006】ここで、アパーチャ86は、共振器内に発
生するレーザビーム88の径を調節しながらモード次数
をも制御し、所定のモードのレーザビーム89を得るも
のである。
【0007】そして、外部に取り出されたレーザビーム
89は、集光レンズ90を通過することにより集束ビー
ム92となり、鉄板等の被加工物の切断、穴明け、溶接
等の加工を行う。
【0008】さて、安定型共振器を用いたレーザ発振機
から発振されるレーザビームの内、加工の際、切断によ
く用いられるものに最低次モード、即ちTEM00モー
ドのレーザビームがある。
【0009】このTEM00モードのレーザビームの波
面上の強度分布は、ガウス分布をなし、レーザビームの
光波面の位相分布は、ほぼ等位相であり、このレーザビ
ームは集光レンズ等で集光すると良好な集光性を有す
る。
【0010】このようなTEM00モードのレーザビー
ムを発生させるには、安定型共振器内に設置されたアパ
ーチャ86により、レーザビーム径の広がりを制限すれ
ばよい。
【0011】一方で、アパーチャ86の径を大きくする
と高いレーザ出力が得られるが、マルチモードのレーザ
ビームが発生することになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上より、アパーチャ
86でモード選択を行った場合には、集光性のよいTE
M00モードのレーザビームを得ようとすると大出力の
レーザビームが得られず、加工時間が増加してしまうと
いう課題がある。
【0013】一方で、大出力のレーザビームを得るため
にアパーチャ径を大きくしてマルチモードのレーザビー
ムで加工を行った場合には、レーザビームがマルチモー
ドであるが故に集光性が悪く、結果として加工時間が増
加するという課題が生じる。
【0014】従って、レーザビームの出力の大きさ自体
は確保しながら、多様なモードを有するレーザビームの
集光性を向上し得るレーザ加工装置の実現が大いに望ま
れている。
【0015】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたものであり、大出力のレーザビームとしな
がら、被加工物面上でレーザビームの集光直径が減少す
るように集光することができるレーザ加工装置を実現す
ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、被加工物上に集光光学系を介してレーザビ
ームを集光して被加工物を加工するレーザ加工装置であ
って、位相シフト手段を用いて、加工に用いるレーザビ
ームの光波面の位相を光軸回りの偏角に対応して変化さ
せるレーザ加工装置である。
【0017】このように構成することにより、大出力の
レーザビームとしながら、被加工物面上でレーザビーム
の集光直径が減少するように集光することができるレー
ザ加工装置を実現する。
【0018】
【発明の実施の形態】請求項1記載の本発明は、レーザ
ビームを発振するレーザ発振機と、前記レーザビームを
被加工物上に集光する集光光学系と、前記レーザビーム
の光波面の位相をシフトする位相シフト手段とを有し、
前記位相シフト手段が、前記集光光学系の光軸に垂直な
面における極座標系に対し、前記光軸回りの偏角に対応
して位相をシフトするレーザ加工装置である。
【0019】このような構成により、レーザビームの位
相をシフトをさせ、多様なモードのレーザビームの被加
工物上の集光直径を減少させ、かつ強度分布ピーク値を
増大させ得る。
【0020】例えば、レーザビームは、マルチモードの
レーザビームであっても適用可能であり、TEM00モ
ード、TEM10モード、TEM01モードまたはTE
M11モードに対しても適用可能とする。
【0021】ここで、請求項2記載のように、位相シフ
ト手段は、偏角に対応して連続的に位相をシフトする位
相シフト部材であってもよい。
【0022】より具体的には、請求項3記載のように、
集光光学系は、集光レンズと、前記集光レンズと光軸を
一致させて一体に設けられた位相シフト部材とを有し、
前記位相シフト部材は、光軸方向の厚さが偏角の増加に
対応して連続的に増加する構成であってもよく、請求項
4記載のように、位相シフト部材は、光軸方向の厚さ
が、偏角の増加に比例して連続的に増加する構成であっ
てもよい。
【0023】このような構成により、マルチモードのレ
ーザビームであっても適用可能であり、特にTEM01
モードまたはTEM11モードに対しても適用可能とす
る。
【0024】または、請求項5記載のように、位相シフ
ト手段は、偏角に対応して断続的に位相をシフトする位
相シフト部材であってもよい。
【0025】より具体的には、請求項6記載のように、
集光光学系は、集光レンズと、前記集光レンズと光軸を
一致させてさせて一体に設けられた位相シフト部材とを
有し、前記位相シフト部材は、光軸方向の厚さが偏角の
増加に対応して断続的に増加する構成であってもよく、
請求項7記載のように、位相シフト部材は、偏角につい
て均等に分割された複数の領域を有し、前記領域の光軸
方向の厚さが、偏角の増加に対応して断続的に等しく増
加する構成であってもよい。
【0026】このような構成によっても、マルチモード
のレーザビームであっても適用可能であり、特にTEM
01モードまたはTEM11モードに対しても適用可能
とする。
【0027】一方、請求項8記載のように、位相シフト
手段は、光軸中に2つ配置される構成を有していてもよ
い。
【0028】このような構成によっても、マルチモード
のレーザビームであっても適用可能であり、特にTEM
00モードまたはTEM10モードに対しても適用可能
とする。
【0029】そして、請求項9記載のように、位相シフ
ト手段の一方は、偏角に対応して位相シフト量を増加さ
せ、他方は偏角に対応して位相シフト量を減少させる構
成が好適である。
【0030】ここで、請求項10記載のように、位相シ
フト手段の双方は、偏角に対応して連続的に位相をシフ
トする位相シフト部材であってもよい。
【0031】より具体的には、請求項11記載のよう
に、位相シフト部材の一方は、集光光学系の集光レンズ
と光軸を一致させて一体に設けられており、光軸方向の
厚さが偏角の増加に対応して連続的に増加するものであ
り、他方の位相シフト部材は、レーザ発振機の共振器の
出力鏡と光軸を一致させて一体に設けられており、光軸
方向の厚さが偏角の増加に対応して連続的に減少する構
成であってもよく、請求項12記載のように、位相シフ
ト部材の一方は、光軸方向の厚さが偏角の増加に比例し
て連続的に増加し、他方は、光軸方向の厚さが偏角の増
加に比例して連続的に減少する構成であってもよい。
【0032】または、請求項13記載のように、位相シ
フト手段の双方は、偏角に対応して断続的に位相をシフ
トする位相シフト部材であってもよい。
【0033】より具体的には、請求項14記載のよう
に、位相シフト部材の一方は、集光光学系の集光レンズ
と光軸を一致させて一体に設けられており、光軸方向の
厚さが偏角の増加に対応して断続的に増加するものであ
り、他方の位相シフト部材は、レーザ発振機の共振器の
出力鏡と光軸を一致させて一体に設けられており、光軸
方向の厚さが偏角の増加に対応して断続的に減少する構
成であってもよく、請求項15記載のように、光軸中に
2つ配置される位相シフト部材の一方は、偏角について
均等に分割された複数の領域を有し、前記領域の光軸方
向の厚さが、偏角の増加に対応して断続的に等しく増加
し、他方は、偏角について均等に分割された複数の領域
を有し、前記領域の光軸方向の厚さが、偏角の増加に対
応して断続的に等しく減少する構成であってもよい。
【0034】また、位相シフト部材を一つ設けた構成で
は、請求項16記載のように、位相シフト部材と集光レ
ンズとが同一の光学材料を用いて形成されている構成で
あってもよく、さらに、位相シフト部材を二つ設けた構
成では、請求項17記載のように、位相シフト部材と集
光レンズ、及び/または位相シフト部材とレーザ発振機
の共振器の出力鏡は同一の光学材料を用いて形成されて
いる構成であってもよい。
【0035】以上において、請求項18記載のように、
レーザビームが、マルチモードレーザビームであっても
よいし、請求項19記載のように、レーザビームが、T
EM00モード、TEM10モード、TEM01モード
またはTEM11モードの単一モードレーザビームであ
ってもよい。
【0036】以下、本発明の各実施の形態を用い、図面
を参照しながら、より詳細に説明する。
【0037】(実施の形態1)以下、本発明の第1の実
施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0038】図1は、本実施の形態におけるレーザ加工
装置の断面を示す概念図である。図1において、1は凹
面状の全反射ミラー、2は全反射ミラー1に対向配置さ
れた凹面状の部分反射ミラー、3は部分反射ミラー2に
施された部分反射膜、4は部分反射ミラー2に施された
無反射膜、5はレーザ媒質で、例えば、炭酸ガス(CO
2)レーザ等のガスレーザの場合は、放電等で励起され
るガス媒質であり、またYAG等の固体レーザの場合
は、フラッシュランプ等により励起される固体媒質であ
るが、本実施の形態では、CO2レーザのレーザ媒質を
代表的に用いた。
【0039】そして、6はレーザビーム径を制御するア
パーチャ、7は周囲を覆う箱体で以上がレーザ発振機を
構成する。
【0040】ついで、8はミラー1、2より構成される
安定型共振器の内部に発生するCO 2レーザビーム、9
は部分反射ミラー2より外部へ取り出された好適にはマ
ルチモードのCO2レーザビーム、10は集光レンズ、
10aは集光レンズ前面、10bは集光レンズ後面、1
1は集光レンズ前面10aに付加されそこに入射するレ
ーザビーム位相を光軸に垂直な面における極座標系に対
し、その光軸回りの偏角に対応して位相を連続的にシフ
トする位相シフト部材、12は集光レンズ10と位相シ
フト部材11に施された無反射膜である。これらの集光
レンズ10、位相シフト部材11及び無反射膜12がレ
ーザビームの位相をシフトする機能を有する集光光学系
を構成する。
【0041】そして、13は集光光学系で集光された集
束ビーム、14は被加工物である。なお、本実施の形態
では、位相シフト部材は、代表的にその偏角と同じ角度
だけ位相をシフトする様に構成した。
【0042】また、集光レンズ10の材質は、例えば無
反射膜を施したZnSe等のCO2レーザを透過させる
材質とすればよく、位相シフト部材11の材質も、同様
の材質とし、例えば蒸着、ICB(イオンクラスタビー
ム)コーテイング等の方法で容易にかつ安価な方法で製
作できるものである。
【0043】以上の構成に基づき、さらに詳細構成に触
れながら、動作について説明する。まず、ミラー1、2
は、安定型共振器を構成しているから、発生したレーザ
ビーム8は、アパーチャ6を通過しながらミラー1、2
を往復するうちにレーザ媒質5により増幅されると共
に、CO2レーザビーム8の一部が、部分反射ミラー2
を介して外部へ取り出される。
【0044】ここで、アパーチャ6は、共振器内に発生
するCO2レーザビーム8のモード次数を制御するが、
本実施の形態においては、大出力レーザビームを得るた
めに、そのアパーチャ径は、マルチモードレーザビーム
を得るように設定する。
【0045】具体的には、各モードのエネルギー比をT
EM00:TEM10:TEM01=1.0:1.5:
2.5と設定した。
【0046】そして、外部に取り出されたマルチモード
のCO2レーザビーム9は、集光光学系を通過すること
により集束ビーム13となり、被加工物14の表面に集
光され鉄板等の被加工物の加工、つまり切断、穴明け、
溶接等を効率よく行うこととなる。
【0047】ここで、一般にマルチモードレーザビーム
の中に含まれる各モードの波面上の振幅分布は、以下の
(数1)で与えられる。
【0048】
【数1】
【0049】また、異なるモード間はインコヒーレント
なので、マルチモードレーザの波面上の強度分布は、各
モードの強度分布にそのモードのエネルギーを乗算した
ものの加算値になる。
【0050】図2(a)は、集光光学系の瞳における波
面上でのCO2レーザビーム9の強度分布を示すもの
で、横軸は光軸からの距離を示し、縦軸は強度である。
なお、横軸の単位はmmで、縦軸は強度分布のピーク値
を1.0に規格化し、集光レンズ10の焦点距離は12
7mmとした。
【0051】本実施の形態の場合、位相シフト部材11
は、集光レンズ前面10aに光軸を一致させて設けら
れ、位相シフト部材11の厚さdは、光軸に垂直な平面
内での極座標系に対し、以下の(数2)で与えられるよ
うな連続的に変化させられており、厚さdが偏角の大き
さに比例して連続的に変化している。但し、光軸上の部
分や光軸近傍の変化面の形状は作製しずらいため、位相
シフト機能に影響ない範囲内で、その部分は一定厚さと
してもよい。
【0052】
【数2】
【0053】具体的には、位相シフト部材11の位相シ
フト量は、図2(b)に示され、縦軸は位相を示し、横
軸は光軸に垂直な面内の極座標系に対する偏角であり、
本実施の形態では位相シフト量と偏角とは等しくなって
いる。
【0054】このような機能を有する本実施形態の集光
レンズ10及び位相シフト部材11を、光軸に垂直な面
に対して斜め前方から見た斜視図を図2(c)に示す。
なお、光軸近傍の形状には、作製上等の理由から、さら
に例えば、微小な円筒孔を光軸と中心を一致させながら
底辺の厚さが位相シフト部材11の最も薄い厚さと一致
する深さまで形成することが、実際上は好ましいが、図
面上は省略して概略のみを示している。
【0055】よって、以上のような集光光学系を用いて
CO2レーザビーム9を集光すると、集光光学系を通過
した後の集束ビーム13の強度分布は、図3に示される
結果となった。
【0056】この図3では、本実施の形態の位相シフト
部材11を用いた場合と、比較のための集光レンズ10
と焦点距離が同じで位相シフト部材がない場合とのCO
2レーザビーム9の集光面での強度分布を示している。
【0057】ここで、集光面での振幅分布は、各モード
ごとについては、瞳上の波面の微小部分から発した2次
波が集光面の各点において有する振幅を考え、これら2
次波の影響を波面全体について重ね合わせることによっ
て、以下の(数3)のように計算式が得られる。
【0058】
【数3】
【0059】但し、(数3)中においては、位相シフト
部材11がない場合は、wps=0であり、位相シフト
部材11がある場合には、一般的には、(数2)よりw
ps=2π(n−1)d/λであるが、本実施の形態で
は、図2(b)に示す位相シフト量となる。
【0060】そして、マルチモードレーザビームの集光
面での強度分布は、各モードの強度分布にモードのエネ
ルギーを乗算したものを加算することによって得られ
る。
【0061】図3において、横軸は光軸からの距離、縦
軸は強度を示す。但し、横軸は、集光レンズ10と焦点
距離が同じで位相シフト機能がない光学系で集光した像
面強度分布の強度のピーク値の1/e2倍の強度の点を
結んでできる円の半径を1に規格化した。また、縦軸
は、集光レンズ10と焦点距離が同じで位相シフト機能
がない光学系で集光した像面強度分布のピーク値を1に
規格化した。
【0062】そして、本実施の形態における強度分布を
実線aとし、集光光学系10と同じ焦点距離で位相シフ
ト部材を有さない光学系を用いた場合の強度分布を点線
bで示した。
【0063】ここで、被加工物14の加工の閾値(Th
reshold)は、材質によって異なるので、ここで
は強度が点線bの強度分布のピーク値の0.135倍に
なるところを加工の閾値と想定し、点線cで表した。
【0064】つまり、図3において、点線cより内側の
強度分布の幅が、実際の加工の際の集光直径に相当す
る。
【0065】図3を参照すると理解できるように、位相
シフト機能を有する集光光学系を用い集光した方が、加
工の際の集光直径が約31%小さくなる。更に、強度分
布のピーク値が高いのでエネルギー密度も大きい。
【0066】よって、穴明け切断等の加工において、こ
の位相シフト機能を有する光学系を用いるとことによ
り、通常の集光光学系に比べて加工速度が大幅に速くな
り、加工特性自体も向上することになる。
【0067】ここで、本実施の形態における位相シフト
部材11の位相シフト量は、代表的に、光軸に垂直な面
内の極座標系に対する偏角と位相シフト量とは等しい場
合について説明したが、この偏角に対応して連続的に変
化する位相シフト量を与えれば、加工の際の集光直径が
小さくなり、かつエネルギー密度も大きくなることは同
様である。
【0068】また、レーザビームがマルチモードレーザ
ビームでなく、所定の単一モードに対しても同様の効果
が得られる場合があり、特にTEM01モード、TEM
11モードに対しては良好な効果が認められる。
【0069】以上のように、本実施の形態によれば、加
工に用いるマルチモードレーザビームまたは特定の単一
モードレーザビームの位相を、光軸に垂直な面に対し極
座標の偏角に対応して、例えば同じ角度だけシフトさせ
て集光する光学系を用いることにより、被加工物上での
集束ビームの集光直径を減少させ、かつ強度分布のピー
ク値を増大させることができ、その結果加工速度を速
め、加工特性をも向上することができた。
【0070】なお、本実施の形態では、レーザビーム
は、各モードのエネルギー比をTEM00:TEM1
0:TEM01=1.0:1.5:2.5のマルチモー
ドレーザビームとして説明したが、位相シフト部材と組
み合わせ可能なエネルギー比がこれに限られないことは
もちろんである。
【0071】(実施の形態2)以下、本発明の第2の実
施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0072】図4は、本実施の形態におけるレーザ加工
装置の断面を示す概念図である。図4において、21は
凹面状の全反射ミラー、22は全反射ミラー21に対向
配置された凹面状の部分反射ミラー、23は部分反射ミ
ラー22に施された部分反射膜、24は部分反射ミラー
22に施された無反射膜、25は代表的に示したCO2
レーザ媒質、26はレーザビーム径を制御するアパーチ
ャ、27は周囲を覆う箱体で以上がレーザ発振機を構成
する。
【0073】そして、28はミラー21、22より構成
される安定型共振器の内部に発生するCO2レーザビー
ム、29は部分反射ミラー2より外部へ取り出されるC
2レーザビーム、30は集光レンズ、30aは集光レ
ンズ前面、30bは集光レンズ後面、31は位相シフト
部材である。
【0074】また、32は集光レンズ30と位相シフト
部材31に施された無反射膜であり、集光レンズ30、
位相シフト部材31及び無反射膜32がレーザビームの
位相をシフトさせる機能を有する集光光学系を構成す
る。
【0075】そして、33は集光光学系で集光された集
束ビーム、34は被加工物である。以上の構成におい
て、本実施の形態の構成における実施の形態1との相違
点は、位相シフト部材31にある。
【0076】この位相シフト部材31は、集光レンズ前
面30aに付加され、そこに入射するレーザビームの位
相を光軸に垂直な平面内での極座標系の偏角に対し、実
質的には連続的な変化とみなし得る程度に、その厚さd
が以下の(数4)に示されるような所定の規則性を持っ
て段階的に変化させている。
【0077】
【数4】
【0078】例えば、本実施の形態では、図5(a)に
示されるように、偏角が0ラジアン〜π/6ラジアンの
範囲の位相を0ラジアン、π/6ラジアンからπ/3ラ
ジアンまでの範囲の位相をπ/6ラジアン、π/3ラジ
アンからπ/2ラジアンまでの範囲の位相をπ/3ラジ
アン、π/2ラジアンから2π/3ラジアンまでの範囲
の位相をπ/2ラジアン、2π/3ラジアンから5π/
6ラジアンまでの範囲の位相を2π/3ラジアン、5π
/6ラジアンからπラジアンまでの範囲の位相を5π/
6ラジアン、πラジアンから7π/6ラジアンまでの範
囲の位相をπラジアン、7π/6ラジアンから4π/3
ラジアンまでの範囲の位相を7π/6ラジアン、4π/
3ラジアンから3π/2ラジアンまでの範囲の位相を4
π/3ラジアン、3π/2ラジアンから5π/3ラジア
ンまでの範囲の位相を3π/2ラジアン、5π/3ラジ
アンから11π/6ラジアンまでの範囲の位相を5π/
3ラジアン、11π/6ラジアンから2πラジアンまで
の範囲の位相を11π/6ラジアンだけシフトさせるも
のである。
【0079】図5(b)は、このような位相シフト機能
を実現する本実施の形態の集光レンズ30及び位相シフ
ト部材31を、光軸に垂直な面の斜め方向前側から見た
斜視図を示したものである。なお、光軸近傍の形状にに
ついては、実施の形態1と同様に、作製上等の理由か
ら、微小な円筒孔等を形成してもかまわない。
【0080】以上の構成において、次に動作について説
明する。まず、ミラー21、22は安定型共振器を構成
しているから、CO2レーザビーム28は、ミラー2
1、22を往復するうちにレーザ媒質25により増幅さ
れると共に、CO2レーザビーム28の一部が、部分反
射ミラー22を介して外部へ取り出されることは実施の
形態1と同様である。
【0081】ここで、アパーチャ26は、共振器内に発
生するCO2レーザビーム28のモード次数を制御する
もので、大出力レーザビームを得るために、そのアパー
チャ径は、マルチモードレーザビームを得るように設定
する。本実施の形態でも、一例として、各モードのエネ
ルギー比をTEM00:TEM10:TEM01=1.
0:1.5:2.5とした。
【0082】そして、外部に取り出されたCO2レーザ
ビーム29は、集光光学系を通過することにより集束ビ
ーム33となり、被加工物34の表面に集光され鉄板等
の被加工物の加工、つまり切断、穴明け、溶接等を行う
ことになることも実施の形態1と同様である。
【0083】以上のような集光光学系を用いてレーザビ
ーム29を集光すると、その強度分布は図6のようにな
る。
【0084】図6は、本実施の形態の集光光学系を用い
た場合と、比較のため本実施例の集光光学系と焦点距離
が同じで位相シフト機能がないもの、つまり通常の集光
光学系を用いた場合でのレーザビーム29の集光面での
強度分布を実施の形態1と同様に示したものであり、本
実施の形態の強度分布を実線a、この集光光学系と同じ
焦点距離で位相シフト機能のない通常の集光光学系を用
いた場合の強度分布を点線bで示した。なお、加工の閾
値は、実施の形態1と同様に設定し点線cで示した。
【0085】図6から明らかなように、位相シフト機能
を搭載した集光光学系を用い集光した方が、加工の際の
集光直径が約31%小さくなる。更に、強度分布のピー
ク値が高いのでエネルギー密度も大きい。
【0086】よって、本実施の形態においても、穴明け
切断等の加工において、この位相シフト機能をもつ集光
光学系を用いると通常の集光光学系を用いた場合に比
べ、加工速度が大幅に早くなり、加工特性自体も向上す
ることになる。
【0087】なお、本実施の形態では、位相シフト部材
31をマルチモードレーザビームの進行方向に垂直な面
内での極座標系において、極座標の偏角の0ラジアン〜
2πラジアンまでの間をπ/6ラジアンごとの領域に分
割したが、要は実質的に偏角に対応して厚さが断続的に
変化して、被加工物上に集光されるレーザビームの強度
分布のピーク値を増大しながら集光直径は減少させる機
能を実現することができればよいのであり、区切られる
領域の大きさや隣合う領域間の位相シフト量の差が限定
されるものではなく、領域同士の大きさが異なっていた
り、領域内で連続的に厚さが変わるような構成をもとり
得る。
【0088】また、本実施の形態でも、モード間のエネ
ルギー比を限定するものではなく、単一モードレーザビ
ームに対しても、特にTEM01、TEM11モードに
対しては良好な効果を発揮し得る。
【0089】以上のように、本実施の形態によれば、加
工に用いるマルチモードレーザビームまたは特定の単一
モードレーザビームの位相を、光軸に垂直な面に対し極
座標系の偏角に対応して、例えば同じ角度だけ断続的に
シフトさせて集光する光学系を用いることにより、被加
工物上での集束ビームの集光直径を減少させ、かつ強度
分布のピーク値を増大させることができ、その結果加工
速度を速め、加工特性をも向上することができた。
【0090】なお、以上の実施の形態中においては、位
相シフト部材は集光レンズに一体化したが、別体として
光軸中に設けてもよいことはもちろんである。
【0091】(実施の形態3)以下、本発明の第3の実
施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0092】図7は、本実施の形態におけるレーザ加工
装置の断面を示す概念図である。図7において、41は
凹面状の全反射ミラー、42は全反射ミラー41に対向
配置された凹面状の部分反射ミラー、42aは部分反射
ミラー前面、42bは部分反射ミラー後面、43は部分
反射ミラー前面42aに施された部分反射膜、44は部
分反射ミラー後面42bに付加されそこに入射するレー
ザビーム位相を光軸に垂直な面における極座標系に対
し、その光軸回りの偏角に対応して位相を連続的にシフ
トする位相シフト部材、45は位相シフト部材44に施
された無反射膜、46はレーザ媒質で、例えば、炭酸ガ
ス(CO2)レーザ等のガスレーザの場合は、放電等で
励起されるガス媒質であり、またYAG等の固体レーザ
の場合は、フラッシュランプ等により励起される固体媒
質であるが、本実施の形態では、CO2レーザのレーザ
媒質を代表的に用いた。
【0093】そして、47はレーザビーム径を制御する
アパーチャ、48は周囲を覆う箱体で以上がレーザ発振
機を構成する。
【0094】ついで、49はミラー41、42より構成
される安定型共振器の内部に発生するCO2レーザビー
ム、50は部分反射ミラー42より外部へ取り出された
好適にはTEM00モードのCO2レーザビーム、51
は集光レンズ、51aは集光レンズ前面、51bは集光
レンズ後面、52は集光レンズ前面51aに付加されそ
こに入射するレーザビームの位相を光軸に垂直な面にお
ける極座標系に対し、その光軸回りの偏角に対応して位
相を連続的にシフトする位相シフト部材、53は集光レ
ンズ51と位相シフト部材53に施された無反射膜であ
る。これらの集光レンズ51、位相シフト部材52及び
無反射膜53がレーザビームの位相をシフトする機能を
有する集光光学系を構成する。
【0095】そして、54は集光光学系で集光された集
束ビーム、55は被加工物である。ここで、本実施の形
態では、位相シフト部材52は、代表的にその偏角と同
じ角度だけ位相を増加させる様に構成し、もう一方の位
相シフト部材44は、偏角と同じ角度だけ位相を減少さ
せるように構成した。
【0096】また、部分反射ミラー42及び集光レンズ
51の材質は、例えば無反射膜を施したZnSe等のC
2レーザを透過させる材質とすればよく、位相シフト
部材44、52の材質も、同様の材質とし、例えば蒸
着、ICB(イオンクラスタビーム)コーテイング等の
方法で容易にかつ安価な方法で製作できるものである。
【0097】また、凹面ミラー41、42の曲率半径
は、双方とも4000mm、また凹面ミラー41、42
のミラー間隔は、4000mmとし、部分反射ミラー後
面42から集光レンズ瞳面までの距離は、5435mm
とした。
【0098】また、集光レンズ51の焦点距離は、12
7mmとした。以上の構成に基づき、さらに詳細構成に
触れながら、動作について説明する。
【0099】まず、ミラー41、42は、安定型共振器
を構成しているから、発生したCO 2レーザビーム49
は、アパーチャ47を通過しながらミラー41、42を
往復するうちにレーザ媒質46により増幅されると共
に、CO2レーザビーム49の一部が、部分反射ミラー
42を介して外部へ取り出される。
【0100】また、アパーチャ47は、共振器内に発生
するCO2レーザビーム49のモード次数を制御する
が、本実施の形態においては、そのアパーチャ径は、T
EM00モードのレーザビームを得るように設定する。
【0101】ここで、一般にレーザビームの波面上のT
EM00モードの振幅分布は、以下の(数5)で与えら
れる。
【0102】
【数5】
【0103】なお、本実施の形態に示すような共振器を
用いた場合、部分反射ミラー前面でのCO2レーザビー
ム49の波面の曲率半径は4000mm、ビームスポッ
ト径は3.673736mmである。
【0104】そして、外部に取り出されたTEM00モ
ードのCO2レーザビーム50は、位相シフト部材4
4、52により位相変調をされるとともに、集光光学系
を通過することにより集束ビーム54となり、被加工物
55の表面に集光され鉄板等の被加工物の加工、つまり
切断、穴明け、溶接等を効率よく行うこととなる。
【0105】さて、本実施の形態の場合、位相シフト部
材44は、部分反射ミラー後面42bに光軸を一致させ
て一体に設けられ、位相シフト部材44の厚さdは、光
軸に垂直な平面内での極座標系に対し、以下の(数6)
で与えられるように連続的に変化させられており、厚さ
dが偏角の大きさに比例して連続的に変化している。但
し、光軸上の部分や光軸近傍の変化面の形状は、作製し
づらいため、位相シフト機能に影響ない範囲内で、その
部分は一定厚さとしてもよい。
【0106】
【数6】
【0107】具体的には、位相シフト部材44の位相シ
フト量は、図8(a)に示され、縦軸は位相を示し、横
軸は光軸に垂直な平面内の極座表系に対する偏角であ
り、位相シフト量は、偏角に比例して減少するようにな
っている。
【0108】このような機能を有する本実施形態の部分
反射ミラー42及び位相シフト部材44を、光軸に垂直
な面に対して斜め後方から見た斜視図を図8(b)に示
す。なお、光軸近傍の形状には、作製上等の理由から、
さらに例えば、微小な円筒孔を光軸と中心を一致させな
がら底辺の厚さが位相シフト部材44の最も薄い厚さと
一致する深さまで形成することが、実際上は好ましい
が、図面上は省略して概略のみを示している。
【0109】図9(a)は、位相シフト部材44により
位相シフトされ、部分反射ミラー42より、光軸方向に
5430mm伝播したCO2レーザビーム50の強度分
布を示す。但し、この強度分布は、本実施の形態におけ
るレーザ発振機において、位相シフト部材44がないと
仮定した場合の波面上での強度分布を示すものである。
つまり、ここでいう波面とは、本実施の形態におけるレ
ーザ発振機から出力されるレーザビームに対し、位相シ
フトを行わずに、従来どおりレーザビームを部分反射ミ
ラーから5430mm伝播させた場合の波面のことであ
る。
【0110】この図9(a)において、横軸は光軸から
の距離を示し、縦軸は強度である。なお、横軸の単位は
mmで、縦軸は強度分布のピーク値を1.0に規格化し
た。
【0111】また、図9(b)は、位相シフト部材44
により位相シフトされ、部分反射ミラー42より光軸方
向に5430mm伝播したCO2レーザビーム50の波
面収差を示すものである。但し、この波面収差は、本実
施の形態におけるレーザ発振機において位相シフト部材
44がないと仮定した場合の波面を、参照球面として計
算したものである。つまり、ここでいう参照球面とは、
本実施の形態におけるレーザ発振機から出力されるレー
ザビームに対し、位相シフトを行わず、従来どおりにレ
ーザビームを部分反射ミラー42から5430mm伝播
させた場合の波面のことである。
【0112】なお、本実施の形態おいて、部分反射ミラ
ー42は、実際には有限の厚さを持つが、図9(a)に
示す強度分布と図9(b)に示す波面収差を計算するに
あたっては、部分反射ミラーの厚さは0mmとして扱っ
た。
【0113】ここで、本実施の形態において、部分反射
ミラーの厚さを0mmとして扱った場合、部分反射ミラ
ー上でのレーザビームの振幅分布と、任意の距離伝播し
たレーザビームの光軸上に曲率中心を持つ任意の球面ま
たは光軸に垂直な平面上の振幅分布の関係は、以下の
(数7)で与えられる。
【0114】
【数7】
【0115】この(数7)は、任意の面(光軸上に曲率
中心を持つ任意の球面または光軸に垂直な任意の平面)
上の振幅から観測面(光軸上に曲率中心を持つ任意の観
測球面または光軸に垂直な任意の観測平面)の振幅を計
算するものであり、任意の面(ここでは部分反射ミラー
面)の微小部分から発した2次波を、観測面の各点にお
いて重ね合わるものであり、ここで観測面は、本実施の
形態のレーザ発振機において位相シフト部材44がない
と仮定した場合に、レーザビームが、部分反射ミラーか
ら5435mm伝播したところの波面に相当する。但
し、(数7)中の位相シフト部材44がない場合は、w
ps=0であり、位相シフト部材44がある場合には、
wpsの値は(数6)から一般的に求まるが、本実施の
形態の場合には、図8(a)に示す位相シフト量であ
る。
【0116】一方、位相シフト部材52は、集光レンズ
前面51aに光軸を一致させて設けられ、位相シフト部
材52の厚さdは、光軸に垂直な平面内での極座標系に
対し、以下の(数8)で与えられるように連続的に変化
させられており、厚さdが偏角の大きさに比例して連続
的に変化している。但し、光軸上の部分や光軸近傍の変
化面の形状は、作製しづらいため、位相シフト機能に影
響ない範囲内で、その部分は一定厚さとしてもよい。
【0117】
【数8】
【0118】具体的には、位相シフト部材52の位相シ
フト量は、図10(a)に示され、縦軸は位相を示し、
横軸は光軸に垂直な面内の極座標系に対する偏角であ
り、本実施の形態では位相シフト量と偏角とは等しい構
成にしている。
【0119】(数6)と(数8)、及び図8(a)と図
10(a)を比較して解るように、位相シフト部材44
と位相シフト部材52の偏角に対する位相シフトの変化
量は、絶対値が等しく符号が逆になっている。つまり、
位相シフト部材44で位相シフトされ、集光光学系まで
伝播したレーザビーム50に対し、位相シフト部材52
は位相シフト部材44で位相シフトされた量をもとに戻
す構成となっている。
【0120】このような機能を有する本実施形態の集光
レンズ51及び位相シフト部材52を、光軸に垂直な面
に対して斜め前方から見た斜視図を図10(b)に示
す。なお、光軸近傍の形状には、作製上等の理由から、
例えば、微小な円筒孔を光軸と中心を一致させながら底
辺の厚さが位相シフト部材52の最も薄い厚さと一致す
る深さまで形成することが、実際上は好ましいが、図面
上は省略して概略のみを示している。
【0121】そして、以上のようなレーザ発振機及び集
光光学系を用いてCO2レーザビーム50を集光する
と、集光光学系を通過した後の集束ビーム54の強度分
布は、図11に示される結果となった。
【0122】この図11では、本実施の形態の位相シフ
ト部材44及び52を用いた場合と、比較のための本実
施の形態と条件が同じで位相シフト部材がない場合との
CO 2レーザビーム50の各々のベストフォーカス位置
での強度分布を示している。
【0123】ここで、ベストフォーカス位置におけるレ
ーザビームの振幅分布は、単一モードのレーザビームの
場合、前述した(数7)を用いて求められ、この場合、
観測面がベストフォーカス位置(光軸に垂直な平面)、
任意の面が集光光学系瞳上の波面に相当する。但し、
(数7)中の位相シフト部材52がない場合は、wps
=0であり、位相シフト部材52がある場合には、wp
sの値は(数8)から一般的に求まるが、本実施の形態
の場合には、図10(a)に示すとおりである。また、
集光レンズ51は、無収差の薄レンズとした。
【0124】図11において、横軸は光軸からの距離、
縦軸は強度を示す。但し、縦軸は、本実施の形態と条件
が同じで位相シフト部材がない場合とのCO2レーザビ
ーム50のベストフォーカス位置での強度分布のピーク
値を1に規格化した。
【0125】そして、本実施の形態におけるベストフォ
ーカス位置での強度分布を実線aとし、本実施の形態と
条件が同じで位相シフト部材がない場合のCO2レーザ
ビーム50のベストフォーカス位置での強度分布を点線
bで示した。
【0126】ここで、被加工物55の加工の閾値(Th
reshold)は、材質によって異なるので、ここで
は強度が点線bの強度分布のピーク値の0.135倍に
なるところを加工の閾値と想定し、点線cで表した。
【0127】つまり、図11において、点線cより内側
の強度分布の幅が、実際の加工の際の集光直径に相当す
る。
【0128】図11を参照すると理解できるように、本
実施の形態のような位相シフト機能を有するレーザ発振
機及び集光光学系を用いた場合、位相シフト機能を有さ
ない通常の場合に比べ、加工の際の集光直径が約23%
小さくなる。更に、強度分布のピーク値が高いのでエネ
ルギー密度も大きい。
【0129】よって、穴明け切断等の加工において、こ
の位相シフト機能を有するレーザ発振機及び集光光学系
を用いるとことにより、通常のレーザ発振機及び集光光
学系に比べて加工速度が大幅に速くなり、加工特性自体
も向上することになる。
【0130】また、レーザビームがTEM00モードレ
ーザビームでなく、他の単一モードあるいはマルチモー
ドレーザビームに対しても同様の効果が得られる場合が
あり、特にTEM10モードあるいはこれらのモードを
多く含むマルチモードレーザビームに対しては良好な効
果が認められる。
【0131】以上のように、本実施の形態によれば、光
軸の厚さが偏角の増加に比例して連続的に増加する位相
シフト部材を集光光学系と光軸を一致させて一体に設
け、光軸の厚さが偏角の増加に比例して連続的に減少す
る位相シフト部材をレーザ発振機の部分反射ミラーの後
面と光軸を一致させて一体に設けることで、被加工物上
での集束ビームの集光直径を減少させ、かつ強度分布の
ピーク値を増大させることができ、その結果加工速度を
速め、加工特性をも向上することができた。
【0132】(実施の形態4)以下、本発明の第4の実
施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0133】図12は、本実施の形態におけるレーザ加
工装置の断面を示す概念図である。図12において、6
1は凹面状の全反射ミラー、62は全反射ミラー61に
対向配置された凹面状の部分反射ミラー、62aは部分
反射ミラー前面、62bは部分反射ミラー後面、63は
部分反射ミラー前面62aに施された部分反射膜、64
は部分反射ミラー後面62bに付加される位相シフト部
材、65は位相シフト部材64に施された無反射膜、6
6はレーザ媒質で、例えば、炭酸ガス(CO 2)レーザ
等のガスレーザの場合は、放電等で励起されるガス媒質
であり、またYAG等の固体レーザの場合は、フラッシ
ュランプ等により励起される固体媒質であるが、本実施
の形態では、CO2レーザのレーザ媒質を代表的に用い
た。
【0134】そして、67はレーザビーム径を制御する
アパーチャ、68は周囲を覆う箱体で以上がレーザ発振
機を構成する。
【0135】ついで、69はミラー61、62より構成
される安定型共振器の内部に発生するCO2レーザビー
ム、70は部分反射ミラー62より外部へ取り出された
好適にはTEM00モードのCO2レーザビーム、71
は集光レンズ、71aは集光レンズ前面、71bは集光
レンズ後面、72は集光レンズ前面71aに付加される
位相シフト部材、73は集光レンズ71と位相シフト部
材72に施された無反射膜である。これらの集光レンズ
71、位相シフト部材72及び無反射膜73がレーザビ
ームの位相をシフトする機能を有する集光光学系を構成
する。
【0136】そして、74は集光光学系で集光された集
束ビーム、75は被加工物である。ここで、凹面ミラー
61、62の曲率半径は双方とも4000mm、また凹
面ミラー61、62のミラー間隔は、4000mmとし
た。
【0137】また、部分反射ミラー後面62bから集光
レンズ瞳面までの距離は、5435mmとした。
【0138】また、集光レンズ71の焦点距離は127
mmとした。なお、部分反射ミラー62及び集光レンズ
71の材質は、例えば無反射膜を施したZnSe等のC
2レーザを透過させる材質とすればよく、位相シフト
部材64、72の材質も、同様の材質とし、例えば蒸
着、ICB(イオンクラスタビーム)コーテイング等の
方法で容易にかつ安価な方法で製作できるものである。
【0139】以上の構成において、本実施の形態の構成
における実施の形態3との相違点は、位相シフト部材6
4及び72にある。
【0140】位相シフト部材64は、部分反射ミラー6
2に追加され、そこに入射するレーザビームの位相を光
軸に垂直な平面内での極座標系の偏角に対し、実質的に
は連続的な変化と見なし得る程度に、その厚さdが以下
の(数9)に示される様な所定の規則性を持って段階的
に変化されている。
【0141】
【数9】
【0142】例えば、本実施の形態では、図13(a)
に示されるように、偏角が0ラジアン〜π/6ラジアン
の範囲の位相を11π/6ラジアン、π/6ラジアンか
らπ/3ラジアンまでの範囲の位相を5π/3ラジア
ン、π/3ラジアンからπ/2ラジアンまでの範囲の位
相を3π/2ラジアン、π/2ラジアンから2π/3ラ
ジアンまでの範囲の位相を4π/3ラジアン、2π/3
ラジアンから5π/6ラジアンまでの範囲の位相を7π
/6ラジアン、5π/6ラジアンからπラジアンまでの
範囲の位相をπラジアン、πラジアンから7π/6ラジ
アンまでの範囲の位相を5π/6ラジアン、7π/6ラ
ジアンから4π/3ラジアンまでの範囲の位相を2π/
3ラジアン、4π/3ラジアンから3π/2ラジアンま
での範囲の位相をπ/2ラジアン、3π/2ラジアンか
ら5π/3ラジアンまでの範囲の位相をπ/3ラジア
ン、5π/3ラジアンから11π/6ラジアンまでの範
囲の位相をπ/6ラジアン、11π/6ラジアンから2
πラジアンまでの範囲の位相を0ラジアンだけシフトさ
せるものである。
【0143】図13(b)は、このような位相シフト機
能を実現する本実施の形態の部分反射ミラー62及び位
相シフト部材64を、光軸に垂直な面の斜め方向後ろ側
からみた斜視図を示したものである。なお、光軸近傍の
形状については、作製上等の理由から、微少な円筒孔等
を形成しても構わない。
【0144】一方、位相シフト部材72は、集光レンズ
71に追加され、そこに入射するレーザビームの位相を
光軸に垂直な平面内での極座標系の偏角に対し、実質的
には連続的な変化と見なし得る程度に、その厚さdが、
以下の(数10)に示される様な所定の規則性を持って
段階的に変化されている。
【0145】
【数10】
【0146】例えば、本実施の形態では、図14(a)
に示されるように、偏角が0ラジアン〜π/6ラジアン
の範囲の位相を0ラジアン、π/6ラジアンからπ/3
ラジアンまでの範囲の位相をπ/6ラジアン、π/3ラ
ジアンからπ/2ラジアンまでの範囲の位相をπ/3ラ
ジアン、π/2ラジアンから2π/3ラジアンまでの範
囲の位相をπ/2ラジアン、2π/3ラジアンから5π
/6ラジアンまでの範囲の位相を2π/3ラジアン、5
π/6ラジアンからπラジアンまでの範囲の位相を5π
/6ラジアン、πラジアンから7π/6ラジアンまでの
範囲の位相をπラジアン、7π/6ラジアンから4π/
3ラジアンまでの範囲の位相を7π/6ラジアン、4π
/3ラジアンから3π/2ラジアンまでの範囲の位相を
4π/3ラジアン、3π/2ラジアンから5π/3ラジ
アンまでの範囲の位相を3π/2ラジアン、5π/3ラ
ジアンから11π/6ラジアンまでの範囲の位相を5π
/3ラジアン、11π/6ラジアンから2πラジアンま
での範囲の位相を11π/6ラジアンだけシフトさせる
ものである。
【0147】図14(b)は、このような位相シフト機
能を実現する本実施の形態の集光レンズ71及び位相シ
フト部材72を、光軸に垂直な面の斜め方向前側からみ
た斜視図を示したものである。なお、光軸近傍の形状に
ついては、実施の形態3と同様に、作製上等の理由か
ら、微少な円筒光等を形成しても構わない。
【0148】(数9)と(数10)、及び図13(a)
と図14(a)を比較して解るように、位相シフト部材
64と位相シフト部材72の偏角に対する位相シフトの
変化量は、絶対値が等しく符号が逆になっている。つま
り、位相シフト部材64で位相シフトされ、集光光学系
まで伝播したレーザビーム70に対し、位相シフト部材
72は位相シフト部材64で位相シフトされた量をもと
に戻す構成となっている。
【0149】以上の構成に基づき、さらに詳細構成に触
れながら、動作について説明する。まず、ミラー61、
62は、安定型共振器を構成しているから、発生したC
2レーザビーム69は、アパーチャ67を通過しなが
らミラー61、62を往復するうちにレーザ媒質66に
より増幅されると共に、CO2レーザビーム69の一部
が、部分反射ミラー62を介して外部へ取り出されるこ
とは実施の形態3と同様である。
【0150】ここで、アパーチャ67は、共振器内に発
生するCO2レーザビーム69のモード次数を制御する
が、本実施の形態においては、実施の形態3同様そのア
パーチャ径は、TEM00モードのレーザビームを得る
ように設定する。
【0151】また、本実施の形態に示すような共振器を
用いた場合、部分反射ミラー前面でのCO2レーザビー
ム49の波面の曲率半径は4000mm、ビームスポッ
トは3.673736mmである。
【0152】そして、外部に取り出されたTEM00モ
ードのCO2レーザビーム70は、位相シフト部材6
4、72により位相変調をされるとともに集光光学系を
通過することにより集束ビーム74となり、被加工物7
5の表面に集光され鉄板等の被加工物の加工、つまり切
断、穴明け、溶接等を効率よく行うこととなる。
【0153】図15(a)は、位相シフト部材64によ
り位相シフトされ、部分反射ミラー62より光軸方向に
5430mm伝播したCO2レーザビーム70の強度分
布である。但し、この強度分布は、本実施の形態におけ
るレーザ発振機において位相シフト部材64がないと仮
定した場合の波面上での強度分布を示すものである。つ
まり、ここでいう波面とは、レーザ発振機から出力され
るレーザビームに対し、位相シフトを行わず従来どおり
にレーザビームを部分反射ミラーから5430mm伝播
させた場合の波面のことである。
【0154】この図15(a)において、横軸は光軸か
らの距離を示し、縦軸は強度である。なお、横軸の単位
はmmで、縦軸は強度分布のピーク値を1.0に規格化
した。
【0155】また、図15(b)は、位相シフト部材6
4により位相シフトされ、部分反射ミラー62より光軸
方向に5430mm伝播したCO2レーザビーム60の
波面収差を示すものである。但し、この波面収差は、本
実施の形態におけるレーザ発振機において位相シフト部
材64がないと仮定した場合の波面を参照球面として計
算したものである。つまり、ここでいう参照球面とは、
レーザ発振機から出力されるレーザビームに対し、位相
シフトを行わず従来どおりにレーザビームを部分反射ミ
ラー62から5430mm伝播させた場合の波面のこと
である。
【0156】また、本実施の形態おいて部分反射ミラー
62は、実際には有限の厚さを持つが図15(a)に示
す強度分布と図15(b)に示す波面収差を計算するに
あたっては、部分反射ミラーの厚さは0mmとして扱っ
た。
【0157】ここで、本実施の形態において、部分反射
ミラーの厚さを0mmとして扱った場合、部分反射ミラ
ー上でのレーザビームの振幅分布と任意の距離伝播した
レーザビームの光軸上に曲率中心を持つ任意の球面また
は光軸に垂直な平面上の振幅分布の関係は、前述の(数
7)で与えられ、任意の面は、部分反射ミラー面であ
り、観測面は、位相シフト部材64がないと仮定した場
合にレーザビームが部分反射ミラーから5435mm伝
播したところの波面に相当する。但し、(数7)中の位
相シフト部材64がない場合は、wps=0であり、位
相シフト部材64がある場合には、wpsは、一般的に
は前述の(数9)で示されるが、具体的には、図13
(a)に示す位相シフト量になる。
【0158】以上のようなレーザ発振機及び集光光学系
を用いてCO2レーザビーム70を集光すると、集光光
学系を通過した後の集束ビーム74の強度分布は、図1
6に示される結果となった。
【0159】この図16では、本実施の形態の位相シフ
ト部材64及び72を用いた場合と、比較のための本実
施の形態と条件が同じで位相シフト部材がない場合との
CO 2レーザビーム70の各々のベストフォーカス位置
での強度分布を示している。
【0160】ここで、ベストフォーカス位置におけるレ
ーザビームの振幅分布は、単一モードのレーザビームの
場合前述の(数7)から得られる。この場合、(数7)
において観測面がベストフォーカス位置(光軸に垂直な
平面)、任意の面が集光光学系瞳上の波面に相当する。
但し、(数7)中の位相シフト部材72がない場合は、
wps=0であり、位相シフト部材72がある場合に
は、wpsは、前述の(数10)で一般的に示される
が、具体的には図14(a)に示す位相シフト量にな
る。また、集光レンズ71は無収差の薄レンズとした。
【0161】図16において、横軸は光軸からの距離、
縦軸は強度を示す。但し、縦軸は、本実施の形態と条件
が同じで位相シフト部材がない場合とのCO2レーザビ
ーム70のベストフォーカス位置での強度分布のピーク
値を1に規格化した。
【0162】そして、本実施の形態における強度分布を
実線aとし、本実施の形態と条件が同じで位相シフト部
材がない場合のCO2レーザビーム70のベストフォー
カス位置での強度分布を点線bで示した。
【0163】ここで、被加工物75の加工の閾値(Th
reshold)は、材質によって異なるので、ここで
は強度が点線bの強度分布のピーク値の0.135倍に
なるところを加工の閾値と想定し、点線cで表した。
【0164】つまり、図16において、点線cより内側
の強度分布の幅が、実際の加工の際の集光直径に相当す
る。
【0165】図16を参照すると理解できるように、本
実施の形態のような位相シフト機能を有するレーザ発振
機及び集光光学系を用いた場合、位相シフト機能を有さ
ない通常の場合に比べ、加工の際の集光直径が約23%
小さくなる。更に、強度分布のピーク値が高いのでエネ
ルギー密度も大きい。
【0166】よって、穴明け切断等の加工において、こ
の位相シフト機能を有するレーザ発振機及び集光光学系
を用いるとことにより、通常のレーザ発振機及び集光光
学系に比べて加工速度が大幅に速くなり、加工特性自体
も向上することになる。
【0167】なお、本実施の形態では、位相シフト部材
64及び72をレーザビームの進行方向に垂直な面内で
の極座標系において、極座標の偏角の0ラジアン〜2π
ラジアンまでの間をπ/6ラジアンごとの領域に分割し
たが、要は実質的に偏角に対応して厚さが断続的に変化
して、被加工物上に集光されるレーザビームの強度分布
のピーク値を増大しながら集光直径は減少させる機能を
実現することができればよいのであり、区切られる領域
の大きさや隣合う領域間の位相シフト量の差が限定され
るものではなく、領域同士の大きさが異なっていたり、
領域内で連続的に厚さが変わるような構成をも採り得
る。
【0168】また、レーザビームがTEM00モードレ
ーザビームでなく、他の単一モードあるいはマルチモー
ドレーザビームに対しても同様の効果が得られる場合が
あり、特にTEM10モードあるいはこれらのモードを
多く含むマルチモードレーザビームに対しては良好な効
果が認められる。
【0169】以上のように、本実施の形態によれば、光
軸の厚さが偏角の増加に比例して断続的に増加する位相
シフト部材を集光光学系と光軸を一致させて一体に設
け、光軸の厚さが偏角の増加に比例して断続的に減少す
る位相シフト部材をレーザ発振機の部分反射ミラーの後
面と光軸を一致させて一体に設けることで、被加工物上
での集束ビームの集光直径を減少させ、かつ強度分布の
ピーク値を増大させることができ、その結果加工速度を
速め、加工特性をも向上することができた。
【0170】なお、実施の形態3及び4中においては、
位相シフト部材は、部分反射ミラー及び集光レンズに一
体化したが、別体として光軸中に設けてもよいことはも
ちろんである。
【0171】また、以上の実施の形態中においては、レ
ーザビームとしてCO2レーザビームを用いて、代表的
に説明したが、加工の用途等に応じ、YAGレーザ、ル
ビーレーザ等のその他のレーザを用いることも可能であ
る。
【0172】
【発明の効果】以上のように、本発明の位相シフト手段
を有するレーザ加工装置は、レーザビームの位相をシフ
トしない場合に比べて、レーザビームの被加工物上での
集光直径を減少させ、かつ強度分布のピーク値を増大さ
せることができ、集光ビーム径を減少させ、かつ加工強
度を増大しながらシャープに集光することができる。
【0173】よって、きわめて簡便な構成により、従来
より加工速度を向上することができ、あわせて、より微
細な加工を高品質に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるレーザ加工
装置の構成図
【図2】(a)同集光光学系入射直前での強度分布を示
す図 (b)同位相シフト部材の位相シフト量を示す図 (c)同集光光学系の光軸に垂直な面に対しての斜視構
成図
【図3】同レーザビームの集光面上での強度分布と、位
相シフトしない集光面上での強度分布とを比較した図
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるレーザ加工
装置の構成図
【図5】(a)同位相シフト部材の位相シフト量を示す
図 (b)同集光光学系の光軸に垂直な面に対しての斜視構
成図
【図6】同レーザビームの集光面上での強度分布と、位
相シフトしない集光面上での強度分布とを比較した図
【図7】本発明の第3の実施の形態におけるレーザ加工
装置の構成図
【図8】(a)同位相シフト部材44の位相シフト量を
示す図 (b)同部分反射ミラーと位相シフト部材44の光軸に
垂直な面に対しての斜視構成図
【図9】(a)同集光光学系入射直前での強度分布を示
す図 (b)同集光光学系入射直前での波面収差を示す図
【図10】(a)同位相シフト部材52の位相シフト量
を示す図 (b)同集光光学系の光軸に垂直な面に対しての斜視構
成図
【図11】同レーザビームのベストフォーカス位置上で
の強度分布と、位相シフトしないベストフォーカス位置
での強度分布とを比較した図
【図12】本発明の第4の実施の形態におけるレーザ加
工装置の構成図
【図13】(a)同位相シフト部材64の位相シフト量
を示す図 (b)同部分反射ミラーと位相シフト部材64の光軸に
垂直な面に対しての斜視構成図
【図14】(a)同位相シフト部材72の位相シフト量
を示す図 (b)同集光光学系の光軸に垂直な面に対しての斜視構
成図
【図15】(a)同集光光学系入射直前での強度分布を
示す図 (b)同集光光学系入射直前での波面収差を示す図
【図16】同レーザビームのベストフォーカス位置での
強度分布と、位相シフトしないベストフォーカス位置で
の強度分布とを比較した図
【図17】従来のレーザ加工装置の構成図
【符号の説明】
1 全反射ミラー 2 部分反射ミラー 3 部分反射膜 4 無反射膜 5 レーザ媒質 6 アパーチャ 7 箱体 8 レーザビーム 9 レーザビーム 10 集光レンズ 10a 集光レンズ前面 10b 集光レンズ後面 11 位相シフト部材 12 無反射膜 13 集束ビーム 14 被加工物 21 全反射ミラー 22 部分反射ミラー 23 部分反射膜 24 無反射膜 25 レーザ媒質 26 アパーチャ 27 箱体 28 レーザビーム 29 レーザビーム 30 集光レンズ 30a 集光レンズ前面 30b 集光レンズ後面 31 位相シフト部材 32 無反射膜 33 集束ビーム 34 被加工物 41 全反射ミラー 42 部分反射ミラー 42a 部分反射ミラー前面 42b 部分反射ミラー後面 43 部分反射膜 44 位相シフト部材 45 無反射膜 46 レーザ媒質 47 アパーチャ 48 箱体 49 レーザビーム 50 レーザビーム 51 集光レンズ 51a 集光レンズ前面 51b 集光レンズ後面 52 位相シフト部材 53 無反射膜 54 集束ビーム 55 被加工物 61 全反射ミラー 62 部分反射ミラー 62a 部分反射ミラー前面 62b 部分反射ミラー後面 63 部分反射膜 64 位相シフト部材 65 無反射膜 66 レーザ媒質 67 アパーチャ 68 箱体 69 レーザビーム 70 レーザビーム 71 集光レンズ 71a 集光レンズ前面 71b 集光レンズ後面 72 位相シフト部材 73 無反射膜 74 集束ビーム 75 被加工物 81 全反射ミラー 82 部分反射ミラー 83 部分反射膜 84 無反射膜 85 レーザ媒質 86 アパーチャ 87 箱体 88 レーザビーム 89 レーザビーム 90 集光レンズ 91 無反射膜 92 集束ビーム 93 被加工物

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザビームを発振するレーザ発振機
    と、前記レーザビームを被加工物上に集光する集光光学
    系と、前記レーザビームの光波面の位相をシフトする位
    相シフト手段とを有し、前記位相シフト手段が、前記集
    光光学系の光軸に垂直な面における極座標系に対し、前
    記光軸回りの偏角に対応して位相をシフトするレーザ加
    工装置。
  2. 【請求項2】 位相シフト手段は、偏角に対応して連続
    的に位相をシフトする位相シフト部材である請求項1記
    載のレーザ加工装置。
  3. 【請求項3】 集光光学系は、集光レンズと、前記集光
    レンズと光軸を一致させて一体に設けられた位相シフト
    部材とを有し、前記位相シフト部材は、光軸方向の厚さ
    が偏角の増加に対応して連続的に増加する請求項2記載
    のレーザ加工装置。
  4. 【請求項4】 位相シフト部材は、光軸方向の厚さが、
    偏角の増加に比例して連続的に増加する請求項3記載の
    レーザ加工装置。
  5. 【請求項5】 位相シフト手段は、偏角に対応して断続
    的に位相をシフトする位相シフト部材である請求項1記
    載のレーザ加工装置。
  6. 【請求項6】 集光光学系は、集光レンズと、前記集光
    レンズと光軸を一致させてさせて一体に設けられた位相
    シフト部材とを有し、前記位相シフト部材は、光軸方向
    の厚さが偏角の増加に対応して断続的に増加する請求項
    5記載のレーザ加工装置。
  7. 【請求項7】 位相シフト部材は、偏角について均等に
    分割された複数の領域を有し、前記領域の光軸方向の厚
    さが、偏角の増加に対応して断続的に等しく増加する請
    求項6記載のレーザ加工装置。
  8. 【請求項8】 位相シフト手段は、光軸中に2つ配置さ
    れる請求項1記載のレーザ加工装置。
  9. 【請求項9】 位相シフト手段の一方は、偏角に対応し
    て位相シフト量を増加させ、他方は偏角に対応して位相
    シフト量を減少させる請求項8記載のレーザ加工装置。
  10. 【請求項10】 位相シフト手段の双方は、偏角に対応
    して連続的に位相をシフトする位相シフト部材である請
    求項9記載のレーザ加工装置。
  11. 【請求項11】 位相シフト部材の一方は、集光光学系
    の集光レンズと光軸を一致させて一体に設けられてお
    り、光軸方向の厚さが偏角の増加に対応して連続的に増
    加するものであり、他方の位相シフト部材は、レーザ発
    振機の共振器の出力鏡と光軸を一致させて一体に設けら
    れており、光軸方向の厚さが偏角の増加に対応して連続
    的に減少する請求項10記載のレーザ加工装置。
  12. 【請求項12】 位相シフト部材の一方は、光軸方向の
    厚さが偏角の増加に比例して連続的に増加し、他方は、
    光軸方向の厚さが偏角の増加に比例して連続的に減少す
    る請求項11記載のレーザ加工装置。
  13. 【請求項13】 位相シフト手段の双方は、偏角に対応
    して断続的に位相をシフトする位相シフト部材である請
    求項9記載のレーザ加工装置。
  14. 【請求項14】 位相シフト部材の一方は、集光光学系
    の集光レンズと光軸を一致させて一体に設けられてお
    り、光軸方向の厚さが偏角の増加に対応して断続的に増
    加するものであり、他方の位相シフト部材は、レーザ発
    振機の共振器の出力鏡と光軸を一致させて一体に設けら
    れており、光軸方向の厚さが偏角の増加に対応して断続
    的に減少する請求項13記載のレーザ加工装置。
  15. 【請求項15】 光軸中に2つ配置される位相シフト部
    材の一方は、偏角について均等に分割された複数の領域
    を有し、前記領域の光軸方向の厚さが、偏角の増加に対
    応して断続的に等しく増加し、他方は、偏角について均
    等に分割された複数の領域を有し、前記領域の光軸方向
    の厚さが、偏角の増加に対応して断続的に等しく減少す
    る請求項14記載のレーザ加工装置。
  16. 【請求項16】 位相シフト部材と集光レンズとは、同
    一の光学材料を用いて形成されている請求項3、4、6
    または7記載のレーザ加工装置。
  17. 【請求項17】 位相シフト部材と集光レンズ、及び/
    または位相シフト部材とレーザ発振機の共振器の出力鏡
    は同一の光学材料を用いて形成されている請求項11、
    12、14または15記載のレーザ加工装置。
  18. 【請求項18】 レーザビームが、マルチモードレーザ
    ビームである請求項1から17のいずれかに記載のレー
    ザ加工装置。
  19. 【請求項19】 レーザビームが、TEM00モード、
    TEM10モード、TEM01モードまたはTEM11
    モードの単一モードレーザビームである請求項1から1
    7のいずれかに記載のレーザ加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015150567A (ja) * 2014-02-12 2015-08-24 三菱重工業株式会社 レーザ切断装置
JP2020098814A (ja) * 2018-12-17 2020-06-25 住友重機械工業株式会社 光共振器

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