JPH10118103A - 皮膚付属器官様構造体を含む人工皮膚及びその製造方法 - Google Patents

皮膚付属器官様構造体を含む人工皮膚及びその製造方法

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JPH10118103A
JPH10118103A JP8279433A JP27943396A JPH10118103A JP H10118103 A JPH10118103 A JP H10118103A JP 8279433 A JP8279433 A JP 8279433A JP 27943396 A JP27943396 A JP 27943396A JP H10118103 A JPH10118103 A JP H10118103A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】医薬品、化粧品の薬効試験、安全性試験、また
は生体材料として利用するのに適した皮膚付属器官様構
造体を含む人工皮膚およびその製造方法を提供する。 【解決手段】人工皮膚の真皮層を構成する支持体の一部
に、皮膚付属器官様構造体を有し、さらに、該支持体の
上に表皮層を有することを特徴とする皮膚付属器官様構
造体を含む人工皮膚、ならびに人工皮膚の真皮層を構成
する支持体の中またはその上に、皮膚付属器官を構成す
る細胞の凝集塊を置き、必要により培養し、さらにその
表面に表皮角化細胞を播種し、次いで培養することを特
徴とする皮膚付属器官様構造体を含む人工皮膚の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬品、化粧品の薬
効試験、安全性試験、または生体材料として利用するの
に適した皮膚付属器官様構造体を含む人工皮膚およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より医薬品、化粧品など人体に直接
適用される物質については、その開発段階において種々
の薬効試験、薬理試験、安全性試験が行われている。通
常、これらの試験ではマウス、ラットなどを用いた動物
実験が行われているが、経費、時間、データの信頼性な
どの問題に加え、最近では動物愛護の観点から、動物実
験の見直しが求められている。これを受け、様々な動物
実験代替法が開発されている。これらの方法のうち、培
養細胞を用いた細胞試験では単層に培養した単一種類の
細胞が用いられることが多い。しかし、体内では単一種
類の細胞が孤立して存在しているわけではなく、種々の
細胞が相互に作用して、それぞれの細胞の生存と機能保
持を行っている。そこで、より生体に近い結果を得るた
めには、多種類の細胞の相互作用を重視し、細胞の三次
元配列をも考慮したモデル系を用いる必要がある。ま
た、さらに高次な組織間の作用を検出する場合は、複数
の組織器官を含んだ、より高次な組織モデル系も必要と
される。
【0003】一方、臨床の場においては、創傷、熱傷の
被覆材として、また整形用移植器材として、人工材料を
用いた種々の人工臓器の開発が行われ、適用されてき
た。しかし、これらは人工物であるがゆえ、生体適合性
や治癒後の形状等の点において問題が指摘されている。
これを受け、近年の細胞生物学の進歩に伴い、人工臓器
作製のため積極的に細胞培養技術を応用しようとする試
みが行われつつある。
【0004】このような状況により、現在までに培養細
胞を用いた種々の人工臓器モデルや、その製造方法が開
発されてきた。例えば、皮膚のモデルである人工皮膚を
例に挙げると、表皮角化細胞を多層上のシート上に培養
したもの(Gallico,G.G.,etal., Eng.J.Med., 311, p44
8, 1984)、繊維芽細胞をコラーゲンゲル内で培養し、
ゲルが収縮した後に、そのゲルの上に表皮角化細胞を播
種、培養したもの(米国特許第4,485,096 号明細書)、
やナイロンメッシュに繊維芽細胞を播種、培養してメッ
シュ空孔が繊維芽細胞の分泌物により埋まった時点でそ
の上に表皮角化細胞を播種、培養したもの(Slivka,S.
R.,et al. J.Invest.Dermatol. 96:544A,1991 )、ある
いはコラーゲンスポンジに繊維芽細胞を播種、培養した
後、フィルム状のコラーゲンスポンジを重ね、さらに表
皮角化細胞を播種、培養したもの(特開平6-292568号公
報)などがある。
【0005】生体内において皮膚は、層状に分化した表
皮角化細胞により構成される表皮層と、繊維芽細胞とコ
ラーゲンにより構成される真皮層からなり、さらに毛
包、汗腺、皮脂腺、爪などの皮膚付属器官を含んでい
る。しかしながら、上記人工皮膚は表皮角化細胞もしく
は表皮角化細胞と繊維芽細胞の2種類の細胞によっての
み構成されているため、表皮層及び真皮層は認められる
が、皮膚付属器官は存在せず、これら皮膚付属器官をも
含めた人工皮膚を構築するに至っていない。よって、こ
のような人工皮膚では皮膚付属器官を標的とした薬効性
試験、安全性試験を行うことはできず、また、移植材と
して適用しても皮膚付属器官の再生は困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点を解消すべく皮膚付属器官様構造体を含む
人工皮膚を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を行った結果、表皮角化細胞から
なる表皮層を構成要素として有する人工皮膚に、細胞凝
集塊を組み込むことにより皮膚付属器官様構造体を形成
させた新規な人工皮膚を見出し、本発明を完成するに至
った。
【0008】すなわち、本発明は人工皮膚の真皮層を構
成する支持体の一部に、皮膚付属器官様構造体を有し、
さらに、該支持体の上に表皮層を有することを特徴とす
る皮膚付属器官様構造体を含む人工皮膚である。
【0009】また、本発明は人工皮膚の真皮層を構成す
る支持体の中またはその上に、皮膚付属器官を構成する
細胞の凝集塊を置き、必要により培養し、その表面に表
皮角化細胞を播種し、次いで培養することを特徴とする
皮膚付属器官様構造体を含む人工皮膚の製造方法であ
る。
【0010】
【発明の実施態様】本発明における人工皮膚の真皮層を
形成する支持体とは、播種した表皮角化細胞の培養、分
化に好適な、真皮層に相当する基底材であって、例えば
コラーゲン、フィブロネクチン、コンドロイチン硫酸な
どの生体親和性高分子により被覆された培養器やそれら
生体親和性高分子からなるゲルやスポンジ、または繊維
芽細胞を播種、あるいは内封した前記生体親和性高分子
などがある。また、ベルらの開発した人工皮膚では支持
体として、繊維芽細胞とコラーゲン溶液の混合物を平板
状にゲル化させたものを用いているが、本発明において
も、これを支持体として用いることにより、細胞塊の組
み込みを好適に行うことができる。このようなコラーゲ
ンゲルの特に好ましい様態としては、コラーゲン溶液に
1〜10×10 4 細胞/mlの繊維芽細胞を混合し、適当
な容器内にてゲル化し、細胞の作用によりコラーゲンゲ
ルが平板状に収縮し、コラーゲン密度が20〜100mg
/mlになるまで培養することにより得られる。
【0011】人工皮膚の真皮層を構成する支持体の一部
とは、平板状の該真皮層の上面に接する状態であるか、
あるいはその内部に含まれた状態に位置するものであっ
て、該一部に皮膚付属器官様構造体を有するとは、平板
状の真皮層に対して上記状態に位置する皮膚付属器官様
構造体を意味する。
【0012】本発明における皮膚付属器官とは、例え
ば、毛包、汗腺、乳腺、爪などの本体となる皮膚組織に
属した器官を指す。また、皮膚付属器官様構造体とは、
かかる皮膚付属器官に形態的および/あるいは生化学的
に類似した性質を有する構造体を指し、本発明において
は、該皮膚付属器官を構成する細胞の凝集塊を人工皮膚
とともに培養して形成されるものである。該構造体は、
さらに具体的には人工皮膚の真皮層を構成する支持体の
中またはその上に、皮膚付属器官を構成する細胞の凝集
塊を置き、必要により培養し、その表面に表皮角化細胞
を播種し、次いで培養して形成される。
【0013】本発明に用いられる皮膚付属器官を構成す
る細胞の凝集塊とは、生体内において毛包、汗腺、乳
腺、爪などの皮膚付属器官を構成する細胞を分離、培養
したものを人工的に凝集させた細胞塊を意味する。この
ような細胞種としては、毛乳頭細胞、乳腺細胞、汗腺細
胞等が挙げられる。該凝集塊は、細胞を遠心操作などに
より物理的に作製することもできるが、より好ましくは
細胞を細胞間の作用により自発的に集積させて作製する
ことが望ましい。このように作製した多細胞性球状凝集
塊は、一般にスフェロイドと呼ばれる。また、スフェロ
イドを作製する方法としては、適当な細胞を基材に接着
させず、培養液中に浮遊した状態で培養することにより
行う。そのために用いられる培養基材は種々考案されて
おり、市販のスフェロイド培養用培養容器等を用いて作
製することができる。このように作製したスフェロイド
は、通常の単層培養時と異なり、生体と類似した構造、
機能を保持していることが知られている。
【0014】本発明における新規な人工皮膚は、人工皮
膚の真皮層を構成する支持体の一部に、皮膚付属器官様
構造体を有し、さらに、該支持体の表面に表皮層を有す
ることを特徴とする。本発明おける、表皮層は表皮角化
細胞を支持体上に播種し、培養することにより、分化
し、多層化したシート状の細胞層を形成させることによ
り作製する。その一例としては、繊維芽細胞を内封した
コラーゲンゲルからなる支持体の一部に毛包様構造体を
有し、さらに、該コラーゲンゲルの上に表皮を有する人
工皮膚がある。
【0015】本発明の製法は、人工皮膚の真皮層を構成
する支持体の中またはその上に、皮膚付属器官を構成す
る細胞の凝集塊を組み込み、必要により培養し、その表
面に表皮角化細胞を播種し、次いで培養して、皮膚付属
器官様構造体を含む人工皮膚の製造する方法である。皮
膚付属器官を構成する細胞の凝集塊を上記支持体に組み
込む方法としては、あらかじめ前記細胞凝集塊を上記支
持体に接着あるいは内封させることにより行う。その
後、表皮角化細胞を真皮層を構成する支持体の表面に播
種、培養することにより、多層化したシート状の表皮角
化層下に細胞凝集塊を組み込む。細胞凝集塊を支持体に
接着あるいは内封させる方法としては、例えば、支持体
上に細胞凝集塊をのせ、湿潤状態下で接着させる。ま
た、支持体がコラーゲン等の生体親和性高分子からなる
ゲルである場合は、コラーゲン溶液と細胞凝集塊の混合
液を支持体上に重層することにより内封することができ
る。細胞塊の大きさは人工皮膚に組み込める大きさであ
れば、特に限定しないが、好ましくは0.1〜10×1
4 細胞/塊のものを用い、支持体に対して、1〜50
個/cm2 の密度で接着、あるいは内封させる。また、
表皮角化細胞については、支持体に対して、好ましく
は、0.5〜1×105 細胞/cm2 の密度で播種す
る。
【0016】本発明においては、上記細胞凝集塊を組み
込んだ支持体に表皮角化細胞を播種した後、適当な条件
下で維持、培養することにより、皮膚付属器官様構造体
を形成させる。これは細胞凝集塊を構成する細胞(皮膚
付属器官を構成する細胞)と人工皮膚を構成する細胞
(表皮角化細胞)の相互作用により、内因的に形態変
化、分化誘導が起こった結果、生じたものであり、発生
学的な器官形成と類似した作用によるものと考えられ
る。該構造体を形成させる培養条件としては、使用した
細胞に応じて適宜、選択する必要があるが、表皮角化細
胞を空気中で露出させた状態で培養するエアーリキッド
インターフェイス培養法などがあげられる。このような
培養条件としては、例えば、真皮層が培養液下で、か
つ、表皮角化細胞が空気中に出るよう培地を添加し、3
7℃、10%CO2 下で10〜15日間培養して行う。
本発明では、例えば、細胞凝集塊を構成する細胞として
毛乳頭細胞を用いた場合、皮膚付属器官様構造体として
毛包様構造体形成させることができる。
【0017】本発明方法の一実施態様は、下記工程を含
む。 a.繊維芽細胞を含むコラーゲン溶液をゲル化させ、 b.スフェロイドを該コラーゲンゲルに接着あるいは内
封させ、 c.該スフェロイドを接着あるいは内封させたコラーゲ
ンゲルに表皮角化細胞を播種し、 d.該スフェロイドに含まれた細胞と該表皮角化細胞と
の生長により、皮膚付属器官様構造物を形成するに充分
な条件下に維持する。
【0018】
【実施例】次に、本発明を具体的に実施例にて説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。参考例1 毛乳頭細胞スフェロイドの作製実体顕微鏡下
でラット頬髭毛包より毛乳頭を分離し、コラーゲンでコ
ート処理した35mmプラスチックシャーレ(コースタ
ー社製)を用い、10%牛血清含有ダルベッコ変法イー
グル培地(DMEM)にて毛乳頭細胞の分離培養を行っ
た。細胞がコンフレントに達したところで継代し、7〜
8継代目のものについて、同培地にて細胞を回収し、毛
乳頭細胞懸濁液を得た。毛乳頭細胞懸濁液をスフェロイ
ド培養用96穴プレート(住友ベークライト社製)に細
胞が0.5〜2x104 個/穴になるよう播種し、37
℃、5%CO2 下で3〜5日間培養し、毛乳頭細胞スフ
ェロイドを作製した。
【0019】参考例2 人工皮膚支持体コラーゲンゲル
の作製 コラーゲンゲル作製方法はベルらの方法(Bell,E., et
al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 76,1274-,1979)に準じ
て行った。オルガノジェネシス社から購入したヒト繊維
芽細胞を10%牛血清含有DMEMにて培養し、サブコ
ンフレントに達した後、同培地にて細胞を回収し、繊維
芽細胞懸濁液を得た。4℃において、9容量のコラーゲ
ン溶液(オルガノジェネシス社製)に1容量の10倍濃
度のイーグル最小必須培地(ギブコ社製)を加え、重曹
をpHが中性付近になるまで攪拌しながら加えた。さら
に10%量の牛血清を加えた後、上記繊維芽細胞懸濁液
を、最終細胞濃度が2.5x104 個/mlになるよう
ゆっくり加え、良く攪拌した。かかる混合溶液を6穴プ
レートに入ったトランスウェル(コースター社製)の内
側に3mlずつ加え、室温にて15分間静置し、ゲル化
させた。コラーゲンがゲル化した後、トランスウェルに
10%牛血清含有DMEMを静かに添加し、37℃、1
0%CO2 下で5〜7日間培養し、繊維芽細胞の作用に
よってコラーゲンゲルを収縮させた後、人工皮膚の支持
体に供した。
【0020】実施例1 毛包様構造体を含む人工皮膚の
作製 トランスウェルから培地を抜き取った後、作製した毛乳
頭細胞スフェロイドを約10個ずつ、該コラーゲンゲル
上に播種した。これを37℃、5%CO2 下で約1時間
静置させることにより、スフェロイドをコラーゲンゲル
に接着させた。次いで表皮角化細胞の播種、培養はベル
らの方法(Parenteau,N.L.,etal.,J.Cellular Bioche
m.,45,245-,1991 )に従い、行った。すなわち、オルガ
ノジェネシス社から購入したヒト表皮角化細胞をCa無
添加DMEM:ハムF12培地=3:1を基礎とする培
地、エピダーマリゼイション用培地(東洋紡社製)に懸
濁して細胞懸濁液を得た。上記スフェロイドを接着させ
たコラーゲンゲル上に該細胞懸濁液を、細胞が0.5〜
1×105 個/cm2 になるように添加した。次いで、
同培地をトランスウェルに静かに添加し、37℃、10
%CO2 下で3〜5日間培養し、表皮角化細胞を充分、
伸展させた。次に、Ca無添加DMEM:ハムF12培
地=1:1を基礎とする培地、メインテナンス用培地
(東洋紡社製)を、真皮層が培養液下で、かつ、表皮角
化細胞が空気中に出るよう添加し、37℃、10%CO
2 下で10〜15日間培養した。その結果、毛包様構造
体を含む人工皮膚が得られた。
【0021】実施例2 皮膚付属器官様構造体の確認 実施例1にて得られた毛包様構造体を含む人工皮膚をホ
ルマリン固定し、組織切片を作製後、HE染色を行っ
た。得られた組織切片像を図1および図2に示す。これ
らの図は毛包様構造体を含む人工皮膚のHE染色像を示
した図面に代わる写真であり、図1では表皮層/真皮層
境界部に毛乳頭細胞スフェロイドが組み込まれた像を示
しており、図2では表皮層部に毛幹様の角化した領域が
形成されていることを示している。図1および2から明
らかなように、人工皮膚は天然皮膚に非常によく似た形
態を示し、さらに、毛包様構造体として、表皮層/真皮
層境界部に細胞が毛包状の毛乳頭細胞スフェロイドが組
み込まれている像や、表皮層部に毛幹様の角化した領域
があるのが確認された。さらに、得られた組織切片を毛
乳頭細胞のマーカータンパク質の1つであるマウス抗ヒ
トタイプIVコラーゲン抗体(モノサン社製)と反応さ
せ、アビジンービオチン法(ベクター社製キット使用)
にて毛乳頭細胞の局在を調べた。得られた染色像を図3
に示す。ここに示すように、毛包様の毛乳頭細胞スフェ
ロイドが真皮層/表皮層境界に存在することが示され
た。
【0022】
【発明の効果】本発明の人工皮膚は、生体組織と形態的
におよび/あるいは生化学的に類似した皮膚付属器官様
構造体を含む。したがって、これを動物実験代替のモデ
ル系として利用することにより、より生体に近い様態
で、薬効試験、安全性試験を行うことができる。さら
に、移植用の生体材料としても好適に用いることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】毛包様構造体を含む人工皮膚のHE染色像を示
した図面に代わる写真であり、表皮層/真皮層境界部に
毛乳頭細胞スフェロイドが組み込まれた像を示す。
【図2】毛包様構造体を含む人工皮膚のHE染色像を示
した図面に代わる写真であり、表皮層部に毛幹様の角化
した領域が形成されていることを示す。
【図3】毛包様構造体を含む人工皮膚のマウス抗ヒトタ
イプIVコラーゲン抗体の免疫染色像を示した図面に代
わる写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川村 良久 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社敦賀バイオ研究所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人工皮膚の真皮層を構成する支持体の一
    部に、皮膚付属器官様構造体を有し、さらに、該支持体
    の上に表皮層を有することを特徴とする皮膚付属器官様
    構造体を含む人工皮膚。
  2. 【請求項2】 人工皮膚の真皮層を構成する支持体が、
    生体親和性高分子または繊維芽細胞を播種、あるいは内
    封した生体親和性物質からなる物質である請求項1記載
    の人工皮膚。
  3. 【請求項3】 生体親和性高分子がコラーゲンまたはコ
    ラーゲンゲルである請求項2記載の人工皮膚。
  4. 【請求項4】 皮膚付属器官が毛包、汗腺、乳腺または
    爪である請求項1記載の人工皮膚。
  5. 【請求項5】 表皮層が表皮角化細胞からなる請求項1
    記載の人工皮膚。
  6. 【請求項6】 繊維芽細胞を内封したコラーゲンゲルか
    らなる支持体の一部に毛包様構造体を有し、さらに、該
    コラーゲンゲルの上に表皮を有することを特徴とする皮
    膚付属器官様構造体を含む人工皮膚。
  7. 【請求項7】 人工皮膚の真皮層を構成する支持体の中
    またはその上に、皮膚付属器官を構成する細胞の凝集塊
    を置き、必要により培養し、さらにその表面に表皮角化
    細胞を播種し、次いで培養することを特徴とする皮膚付
    属器官様構造体を含む人工皮膚の製造方法。
  8. 【請求項8】 人工皮膚の真皮層を構成する支持体が、
    生体親和性高分子または繊維芽細胞を播種、あるいは内
    封した生体親和性物質からなる物質である請求項7記載
    の人工皮膚の製造方法。
  9. 【請求項9】 生体親和性高分子がコラーゲンまたはコ
    ラーゲンゲルである請求項8記載の人工皮膚の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 皮膚付属器官を構成する細胞の凝集塊
    が、多細胞性球状凝集塊(スフェロド)である請求項7
    項記載の人工皮膚の製造方法。
  11. 【請求項11】 皮膚付属器官を構成する細胞が毛乳頭
    細胞、乳腺細胞または汗腺細胞である請求項10記載の
    人工皮膚の製造方法。
  12. 【請求項12】 皮膚付属器官様構造体が毛包様構造体
    である請項7記載の人工皮膚の製造方法。
  13. 【請求項13】 下記工程を含むことを特徴とする皮膚
    付属器官様構造体を含む人工皮膚の製造方法。 a.繊維芽細胞を含むコラーゲン溶液をゲル化させ、 b.皮膚付属器官を構成する細胞のスフェロイドを該コ
    ラーゲンゲルに接着あるいは内封させ、 c.該スフェロイドを接着あるいは内封させたコラーゲ
    ンゲルに表皮角化細胞を播種し、 d.該スフェロイドに含まれた細胞と該表皮角化細胞と
    の生長により、皮膚付属器官様構造物を形成するに充分
    な条件下に維持する。
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