JPH10114006A - 光拡散機能を有するガラス飛散防止フィルム - Google Patents

光拡散機能を有するガラス飛散防止フィルム

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JPH10114006A
JPH10114006A JP8287270A JP28727096A JPH10114006A JP H10114006 A JPH10114006 A JP H10114006A JP 8287270 A JP8287270 A JP 8287270A JP 28727096 A JP28727096 A JP 28727096A JP H10114006 A JPH10114006 A JP H10114006A
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JP
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light diffusion
glass
film according
diffusion layer
film
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Application number
JP8287270A
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English (en)
Inventor
Koichi Tanaka
興一 田中
Shigeki Furuhashi
繁樹 古橋
Teruji Takahashi
照士 高橋
Hiroyuki Emori
洋之 江森
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Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラスの飛散防止フィルムを貼付した際に、外
光や蛍光灯による反射を防止し、貼付した向こう側を不
鮮明にすることによりプライバシーを保護することので
きるガラス飛散防止フィルムを提供する。 【解決手段】フィルムの表面に光拡散層を有しているこ
とを特徴とするガラス飛散防止フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物や電車等の
ドアガラスや窓ガラス等に用いられる、地震等の天災に
よる災害時の衝撃、あるいは人災による衝撃によって破
壊されたガラスの飛散を防止するフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスの飛散防止フイルムは、例えば基
材にポリエステル等の一定以上の引張強度を有するフイ
ルム支持体を使用し、ガラスへの貼付側に一定範囲の接
着強度を有するアクリル系粘着剤を10〜20μm塗
工、反対側にはガラスへフイルムを貼付する際に使用す
るゴムヘラによる殺傷を保護する目的等でUV樹脂等の
ハードコート剤を3〜5μm塗工したものである。
【0003】近年、建築物等において外光の室内への入
射による眩しさの低減や、プライバシーの保護が要望さ
れている。しかしながら、従来のハードコート層を設け
た飛散防止フィルムでは、外光が直接入ってくるところ
では非常に眩しく、また外部からの視認性も良いため
に、例えば家屋の窓ガラス等に使用した場合などでは、
災害等の衝撃に伴うガラスの飛散を防止出来るものの、
室内の様子が外部から容易に確認され、プライバシーが
侵害されてしまうという問題があった。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、ガラスの飛
散防止フィルムを貼付した際に、外光や蛍光灯による反
射を防止し、貼付した向こう側を不鮮明にすることによ
りプライバシーを保護することのできるガラス飛散防止
フィルムを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点について鋭意
検討を重ねた結果、飛散防止フィルムの表面に光拡散層
を設けることにより、窓ガラスやドアガラスに貼付した
場合に、外光や蛍光灯による反射を低減する(防眩)だ
けでなく、光が拡散されることにより貼付した向こう側
が不鮮明になるために視認性が低下し、プライバシーを
保護することができることを新規に見出し、本発明に至
った。即ち本発明は、(1)フィルムの表面に光拡散層
を有していることを特徴とするガラス飛散防止フィル
ム、(2)該光拡散層が表面に微細な凹凸を多数有して
いることを特徴とする(1)に記載のガラス飛散防止フ
ィルム、(3)該光拡散層が、微細な凸部を多数有する
丘陵部と該丘陵部を分ける溝部を多数有することを特徴
とする(1)または(2)に記載のガラス飛散防止フィ
ルム、(4)溝部の幅が1〜1000μmである(3)
に記載のガラス飛散防止フィルム、(5)光拡散層が少
なくとも紫外線硬化型樹脂組成物と微粒子の混合物の硬
化皮膜である(1)ないし(4)のいずれか1項に記載
のガラス飛散防止フィルム、(6)紫外線硬化型樹脂組
成物中に4官能以上のアクリレートモノマーを30〜9
0重量部含有することを特徴とする(5)に記載のガラ
ス飛散防止フィルム、
【0006】(7)微粒子が珪素化合物または金属化合
物または高分子化合物またはそれらの混合物であること
を特徴とする(1)ないし(6)のいずれか1項に記載
のガラス飛散防止フィルム、(8)微粒子の粒径がコー
ルターカウンター法による平均粒径として0.5〜20
0μmである(7)に記載のガラス飛散防止フィルム、
(9)平均粒径が異なる微粒子を複数用いることを特徴
とする(7)又は(8)に記載のガラス飛散防止フィル
ム、(10)紫外線硬化型樹脂組成物と微粒子の混合物
中に溶剤乾燥型樹脂化合物が含有されていることを特徴
とする(1)ないし(9)のいずれか1項に記載のガラ
ス飛散防止フィルム、(11)溶剤乾燥型樹脂がセルロ
ース系樹脂化合物である(10)に記載のガラス飛散防
止フィルム、(12)セルロース系樹脂化合物がヒドロ
キシ(C1〜C5)アルキルセルロース系樹脂である
(11)に記載のガラス飛散防止フィルム、(13)光
拡散層の厚さが1〜50μmである(1)ないし(1
2)のいずれか1項に記載のガラス飛散防止フィルム、
(14)光拡散層上にフッ素系樹脂層または多層反射防
止膜が形成された(1)ないし(13)のいずれか1項
に記載のガラス飛散防止フィルム、(15)光拡散層が
着色されていることを特徴とする(1)ないし(14)
のいずれか1項に記載のガラス飛散防止フィルム、に関
する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の光拡散機能を有するガラ
ス飛散防止フィルムは、基板となるフィルム、光拡散
層、および粘着層よりなり、フィルムの一方の面に光拡
散層を、他方の面に粘着層を設けたものである。本発明
に用いられる光拡散層は、入射してくる光を拡散、ある
いは散乱させることにより、直接眼に入る光の量が低減
されるため、防眩性を有するだけでなく、フィルムを通
した向こう側の像が不鮮明になるためにプライバシーを
保護することができる。この光拡散層は、表面に微細な
凹凸を形成する方法や、層内での屈折率差を利用する方
法等によって得られる。表面に微細な凹凸を形成する方
法としては、透明合成樹脂シートの表面に微粉末固体を
吹き付けて凸凹をつけるサンドブラスト方式や、凸凹状
に加工したガラスや金型、ロールなどを用いて樹脂シー
トに凸凹状模様を転写するエンボス加工方式や、シリカ
などの微粒子を紫外線硬化型樹脂組成物に含有させてフ
ィルム上に塗布した後、紫外線を照射して凸凹を有する
硬化皮膜を形成する方法等が挙げられるが、加工の容易
性や生産性、光拡散性の調節の容易性から、紫外線硬化
型樹脂組成物中に微粒子を分散させた混合分散液をフィ
ルム上に塗布後、紫外線を照射して凸凹を有する硬化皮
膜を形成する方法が好ましい。
【0008】微粒子を分散させた紫外線硬化型樹脂組成
物を利用して光拡散層を設ける場合、紫外線硬化型樹脂
組成物としては、アクリル系、ウレタン系、アクリルウ
レタン系、エポキシ系、シリコーン系等の反応性化合物
に光重合開始剤を配合したものが好ましく用いられ、特
に紫外線により硬化した皮膜が支持体との密着性に優
れ、なおかつハードコート性を有するものが好ましい。
特にハードコート性を有するためには、反応性化合物と
して4官能以上の官能基を有するモノマーを使用し、さ
らに該モノマー以外の反応性化合物に光重合開始剤を配
合したものが好ましい。4官能以上の官能基を有するモ
ノマーとしては例えば、ジペンタエリスリトールモノヒ
ドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスルトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
とイプシロン−カプロラクトンとを反応させたヘキサ
(メタ)アクリレート等があげられる。
【0009】4官能以上の官能基を有するモノマー以外
の反応性化合物としては、例えば該モノマー以外の反応
性モノマーや反応性オリゴマーがあげられる。反応性モ
ノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、
t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−シ
アノ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリル
アミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプ
ロラクタム、フェノキシジエチレングリコール(メタ)
アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、等が挙げられる。また、反応性オリゴマーとして
は、例えばポリエステルポリオールと(メタ)アクリル
酸との反応によって得られるポリエステル(メタ)アク
リレート、ビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)ア
クリレートまたはヒドロキシ(メタ)アクリレートとの
反応によって得られるエポキシ(メタ)アクリレート、
有機ポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレ
ート化合物との反応、あるいはポリオールと有機ポリイ
ソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物
との反応によって得られるウレタン(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。
【0010】光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン、(1−6−η−ク
メン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(1+)六フッ
化リン酸(1−)、2,2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチル−〔4
−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−
プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−クロ
ロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、
2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピル
チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジ
フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメト
キシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホ
スフィンオキサイド等が挙げられる。これらの光重合開
始剤は、1種でも、2種以上でも、任意の割合で混合使
用することができる。
【0011】また、その配合量は、紫外線硬化型樹脂組
成物100重量部中に4官能以上の官能基を有するモノ
マーが好ましくは30〜95重量部、より好ましくは3
5〜90重量部、他の反応性化合物が好ましくは5〜6
5重量部、より好ましくは10〜60重量部、光重合開
始剤が好ましくは0.01〜15重量部、好ましくは
0.1〜10重量部程度がよい。
【0012】また、微粒子としては所望とする光拡散
性、プライバシー保護性により異なるが、コールカウン
ター法による平均粒径が好ましくは0.5〜200μ
m、さらに好ましくは1〜100μm程度が良い。これ
ら平均粒径の異なる複数の微粒子を配合して用いること
も可能である。その材質は透明性を有しているものが好
ましく、シリカまたは金属化合物または高分子化合物が
好適に用いられる。シリカとしては例えば、二酸化珪素
の合成粒子が挙げられる。また、金属化合物としてはア
ルミナ、チタニア、ジルコニア等が挙げられる。また、
高分子化合物としては、ポリメチル(メタ)アクリレー
ト樹脂等が挙げられる。
【0013】また、その配合量は目的とする防眩性、プ
ライバシー保護性および用いる微粒子の粒径、光拡散層
の厚さなどにより異なるが、本発明の効果を顕著に発現
させるために光拡散性(ヘイズ値)が好ましくは5%以
上、より好ましくは10〜90%、さらに好ましくは1
5〜90%程度がよく、このヘイズ値を有するものは例
えば紫外線硬化型樹脂組成物100重量部に対して該微
粒子を好ましくは0.1〜90重量部、より好ましくは
0.5〜80重量部、さらに好ましくは1〜70重量部
程度含有させることにより得られる。このときプライバ
シー保護性の指標の一つである透過像鮮明度が光学くし
幅0.5mmにおいて好ましくは10%以下、より好ま
しくは5%以下になるように該微粒子の粒径、その配合
量、添加剤(例えば溶剤乾燥型樹脂化合物等)等を適宜
調節すればよい。
【0014】また、光拡散層は微細な凸部を多数有する
丘陵部と、該丘陵部を分ける溝部を多数有する層であっ
ても良い。この溝部は、光拡散層表面を顕微鏡で拡大し
て観察した時に、該表面上で微細な凹凸が多数密集する
丘陵部を分けるように不規則に存在しており、その幅は
好ましくは1〜1000μm、より好ましくは1〜50
0μm、さらに好ましくは1〜100μm程度がよい。
この溝部を有することにより、低い光拡散性においても
本発明の飛散防止フィルムを通して見た向こう側の像を
不鮮明にすることができ、プライバシー保護効果に優れ
たフィルムを得ることが出来るので好ましい。
【0015】この溝を形成する方法は特に限定されない
が、製造上の容易性や、表面のハードコート性を考慮す
ると、紫外線硬化型樹脂組成物中に微粒子を分散させ
て、溶剤乾燥型樹脂化合物を添加した後、フィルム上に
塗布後、加熱(40〜120℃)による溶剤の除去およ
び紫外線照射によって硬化させることにより光拡散層を
形成する方法が好ましい。
【0016】溶剤乾燥型樹脂化合物は常温で個体で、か
つ溶剤に可溶な化合物である。本発明で使用する該化合
物は、溶剤に可溶で、かつ、微粒子の分散性が紫外線硬
化型樹脂とは異なっていることが好ましく、そのような
化合物としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、含フッ素樹脂、セルロース系樹脂、ポリ
オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、アクリレート樹脂等が挙げられ、好ましくはセルロ
ース系樹脂、より好ましくはヒドロキシ(C1〜C5)
アルキルセルロース系樹脂、(C1〜C5)アルキルセ
ルロース系樹脂、さらに好ましくはヒドロキシプロピル
セルロース等のヒドロキシ(C1〜C5)アルキルセル
ロース系樹脂があげられる。これらの樹脂化合物を添加
することにより、その樹脂化合物によって様々な溝部を
有する本発明の光拡散層を得ることができる。またその
添加量は、所望とする溝部の大きさや用いる溶剤乾燥型
樹脂化合物の種類によって異なるが、微粒子を分散させ
た紫外線硬化型樹脂組成物中に添加する場合は紫外線硬
化型樹脂組成物100重量部に対して0.1〜50重量
部、好ましくは0.5〜40重量部、さらに好ましくは
0.5〜30重量部程度がよい。
【0017】さらに、フィルム上に塗布する際の塗布面
の均一性と形成した光拡散層の耐擦傷性を付与するため
に、種々のレベリング剤を用いることができる。そのよ
うなものとしては例えばシリコーン系またはフッ素系の
ワニスや界面活性剤、カップリング剤などが挙げられ
る。
【0018】本発明における光拡散層の厚さは、例えば
紫外線硬化型樹脂組成物と微粒子により、本発明の光拡
散層を作製する場合、硬化した樹脂層が厚くなりすぎる
ことにより該微粒子がすべて樹脂中に埋没してしまい光
拡散性が失われたり、光拡散層の硬化収縮によりフィル
ムが極端にカールするなど作成上および使用上問題とな
らなければ特に限定されないが、好ましくは0.5〜5
0μm、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましく
は1.5〜10μm程度が良い。
【0019】本発明における光拡散層をフィルム上に形
成する場合、紫外線硬化型樹脂組成物、上記微粒子、さ
らに必要に応じて溶剤乾燥型樹脂化合物を溶媒中に均一
に溶解分散させ、所望の濃度となるように調節した混合
物分散液を、フィルム上に均一な膜厚になるよう塗布
し、溶媒を好ましくは加熱により除去し、次いで紫外線
を照射して該混合物を硬化させることにより得ることが
できる。溶媒としては紫外線硬化型樹脂および溶剤乾燥
型樹脂を用いる場合には溶剤乾燥型樹脂も溶解する溶媒
が好ましく、例えばトルエン、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセト
ン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢
酸ブチル等のエステル類等があげられる。これらの溶媒
は単独でも、又任意の割合で混合して用いても良い。
又、混合物分散液を塗布する方法は特に限定されない
が、光拡散層の特性を一定にするために均一な膜厚にす
ることが好ましく、例えばワイヤーバー方式、ディップ
コート方式、スピンコート方式、グラビア方式、マイク
ログラビア方式、ドクターブレード方式等種々の塗工方
式を用いることができる。
【0020】さらに、これらの混合分散液に色素を添加
することにより、本発明の光拡散層を着色することも可
能である。該光拡散層を着色することにより、光の透過
率を低減させ、プライバシー保護性を向上させるだけで
なく、ファッション性を付与することができる。色素と
しては有機溶剤への溶解性から分散染料、水不溶性有機
色素が好ましく、例えばKayalon Polyes
ter Colours、Kayaset Colou
rs(いずれも日本化薬社製)が挙げられる。またその
配合量は目的とする透過率、光拡散層の厚さによって適
宜定められる。
【0021】本発明の飛散防止フィルムにおいて、光拡
散層の上にさらに反射防止膜層として、例えば低屈折率
のフッ素系樹脂層を形成することも可能であり、また二
酸化珪素や金属化合物の薄膜を多数積層した多層反射防
止膜を形成することも可能である。光拡散層の上に光干
渉効果によって反射光を低減するように光学設計された
上記の層を設けることで、プライバシー保護効果を維持
したまま、光拡散層表面で拡散する反射光を低減するこ
とができる。この効果により、反射光によってフィルム
表面が白っぽくなることを防ぐことができる。この反射
防止膜層の層厚や多層反射防止膜の層の数は、使用する
素材の屈折率により、適宜定められる。
【0022】光拡散層を形成した後、フィルムの反対側
にアクリル樹脂等の粘着剤を公知の塗工方法によって塗
工、乾燥せしめ、10〜20μmの粘着層を形成するこ
とによりガラスの低反射飛散防止フィルムを作成出来
る。この場合の接着強度は160〜1000g/cmの
範囲、好ましくは500〜800g/cmの範囲に設計
する必要がある。範囲以下では充分な飛散防止性能を発
揮できず、以上では剥離の際の糊残りが生じ、飛散防止
フィルムとしては大きな欠点が生じる。
【0023】更に本発明に用いる光拡散機能を有する飛
散防止フィルムのフィルムとしては、該フィルムの引張
強さが4Kgf/10mm以上の性能を有していれば、
いかなるものであっても良い。そのような特性を有する
フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、エチレン・ビニルアルコール、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリカーボネート、アクリル、フッ素樹脂、ポ
リアクリロニトリル、ポリイミド等の樹脂からなるフィ
ルムを挙げることが出来る。さらに好ましくはポリエス
テル、ポリカーボネートのフィルムを挙げることができ
る。
【0024】本発明のガラス飛散防止フィルムはプライ
バシー保護性の指標の一つである透過像鮮明度が光学く
し幅0.5mmにおいて好ましくは10%以下、より好
ましくは5%以下のものが良い。本発明のガラス飛散防
止フィルムをガラスに貼付する場合は、飛散防止をさせ
る建物等の窓ガラスやドアガラス表面に該ガラスと同じ
面積の本発明のガラス飛散防止フィルムを粘着層を用い
て貼り合わせればよい。この時、ガラス表面のごみや汚
れをできるだけ除去し、さらにゴムヘラ等により弛みや
皺を無くし均一に貼り合わせることが好ましい。また、
ガラスは透明なガラスに限らず曇りガラスであっても良
い。特に曇りガラスの凹凸面に本発明のガラス飛散防止
フィルムを貼付することにより、貼付した部分が透明に
なることなく、プライバシー保護性を維持したまま飛散
防止効果を付与できる。
【0025】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、これらの実施例が本発明を限定するものでな
いことは言うまでもない。
【0026】実施例1 平均粒径1.0μmのシリカ微粒子を10.0重量部お
よび光重合開始剤(イルガキュアー184:チバガイギ
ー社製)5重量部、およびジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレートを90重量部含有する紫外線硬化型のア
クリル系樹脂100重量部をトルエンとイソプロピルア
ルコール混合溶媒中で高速撹拌後、ヒドロキシプロピル
セルロース1.5重量部含有するトルエンとイソプロピ
ルアルコール混合溶液を添加し、固形分30重量%の分
散液を調製し、それを膜厚50μm易接着ポリエステル
フイルム(東洋紡社製A−4300)の片側にを紫外線
照射による硬化後の膜厚が4μmになるようにディップ
コート法により塗工、次いで紫外線照射により硬化させ
て光拡散層を形成した。この光拡散層の表面を顕微鏡で
320倍に拡大して観察したところ幅約3μmの溝を有
していた。次いで該フイルムの光拡散層とは反対側の面
にアクリル系粘着剤SKダイン906(綜研化学社製ア
クリル粘着剤)を乾燥後の膜厚が15μmになるように
コンマコーターを用いて塗工、乾燥し、巻き取り時に2
5μmのポリエステル製セパレ−タ−を粘着層に貼付し
本発明のガラス飛散防止フイルムを得た。得られた飛散
防止フィルムの光拡散性およびプライバシー保護性、飛
散防止性能を表1に示した。
【0027】実施例2 平均粒径1.0μmのシリカ微粒子を2.0重量部およ
び光重合開始剤(イルガキュアー184:チバガイギー
社製)5重量部、およびカヤノバーFOP−1200
(日本化薬社製UVハードコート剤)100重量部をト
ルエンとイソプロピルアルコール混合溶媒中で高速撹拌
後、エチルセルロース4.0重量部含有するトルエンと
イソプロピルアルコール混合溶液を添加し、固形分30
重量%の分散液を調製し、実施例1と同様の操作により
本発明の光拡散層を形成した。この光拡散層の表面を顕
微鏡で320倍に拡大して観察したところ幅約10μm
の溝を有していた。次にこのシートの光拡散層とは反対
側の面に実施例1と同様の操作により、粘着剤層を形成
して本発明のガラス飛散防止フイルムを得た。得られた
飛散防止フィルムの光拡散性およびプライバシー保護
性、飛散防止性能を表1に示した。
【0028】実施例3 平均粒径4.2μmのシリカ微粒子を5.0重量部およ
び光重合開始剤(イルガキュアー184:チバガイギー
社製)5重量部、およびカヤノバーFOP−1500
(日本化薬社製UVハードコート剤)100重量部をト
ルエンとイソプロピルアルコール混合溶媒中で高速撹拌
し、固形分35重量%の分散液を調製し、実施例1と同
様の操作により本発明の光拡散層を形成した。次にこの
シートの光拡散層とは反対側の面に実施例1と同様の操
作により、粘着剤層を形成して本発明のガラス飛散防止
フイルムを得た。得られた飛散防止フィルムの光拡散性
およびプライバシー保護性、飛散防止性能を表1に示し
た。
【0029】比較例 平均粒径4.2μmのシリカ微粒子を用いない以外は実
施例3と同様の操作によりガラス飛散防止フィルムを得
た。得られた飛散防止フィルムの光拡散性およびプライ
バシー保護性、飛散防止性能を表1に示した。
【0030】
【表1】 表1 プライバシー保護性 ヘイズ値 鉛筆硬度 密着性 (透過像鮮明度) 飛散防止性能 実施例170% 3H 100/100 0.4% 99%以上 実施例230% 3H 100/100 2.0% 99%以上 実施例319% 3H 100/100 3.0% 99%以上 比較例10.7% 3H 100/100 90% 99%以上
【0031】(1)鉛筆硬度:JIS K5400によ
る (2)密着性試験:JIS K5400碁盤目テープ法
(すきま間隔1mm)による。 (3)光拡散性:ヘイズメータ(東京電色社製)を用い
てヘイズ値を測定。 (4)プライバシー保護性:JIS K7105像鮮明
度測定法に準じ、写像性測定器(スガ試験機社製)を用
いて光学くし幅5mmにおける透過像鮮明度を測定。 (5)飛散防止性能:JIS A5759飛散防止性能
試験B法による。
【0032】表1の結果より、本発明のフィルムは、比
較例に比べて防眩性に優れるだけでなく、透過した像が
不鮮明であるためにプライバシー保護性にも優れたガラ
ス飛散防止フィルムであることが判る。
【0033】
【発明の効果】本発明は、光拡散層を有するガラスの飛
散防止フィルムであって、このフィルムを建築物や電車
等のドアガラスや窓ガラス等に用いることにより、ガラ
スの飛散防止性能を落とすことなく、外光や蛍光灯から
の反射を低減し、さらにプライバシーを保護することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 5/02 G02B 1/10 A

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィルムの表面に光拡散層を有しているこ
    とを特徴とするガラス飛散防止フィルム。
  2. 【請求項2】該光拡散層が表面に微細な凹凸を多数有し
    ていることを特徴とする請求項1に記載のガラス飛散防
    止フィルム。
  3. 【請求項3】該光拡散層が、微細な凸部を多数有する丘
    陵部と該丘陵部を分ける溝部を多数有することを特徴と
    する請求項1または2に記載のガラス飛散防止フィル
    ム。
  4. 【請求項4】溝部の幅が1〜1000μmである請求項
    3に記載のガラス飛散防止フィルム。
  5. 【請求項5】光拡散層が少なくとも紫外線硬化型樹脂組
    成物と微粒子の混合物の硬化皮膜である請求項1ないし
    4のいずれか1項に記載のガラス飛散防止フィルム。
  6. 【請求項6】紫外線硬化型樹脂組成物中に4官能以上の
    アクリレートモノマーを30〜90重量部含有すること
    を特徴とする請求項5に記載のガラス飛散防止フィル
    ム。
  7. 【請求項7】微粒子が珪素化合物または金属化合物また
    は高分子化合物またはそれらの混合物であることを特徴
    とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のガラス
    飛散防止フィルム。
  8. 【請求項8】微粒子の粒径がコールターカウンター法に
    よる平均粒径として0.5〜200μmである請求項7
    に記載のガラス飛散防止フィルム。
  9. 【請求項9】平均粒径が異なる微粒子を複数用いること
    を特徴とする請求項7又は8に記載のガラス飛散防止フ
    ィルム。
  10. 【請求項10】紫外線硬化型樹脂組成物と微粒子の混合
    物中に溶剤乾燥型樹脂化合物が含有されていることを特
    徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のガラ
    ス飛散防止フィルム。
  11. 【請求項11】溶剤乾燥型樹脂がセルロース系樹脂化合
    物である請求項10に記載のガラス飛散防止フィルム。
  12. 【請求項12】セルロース系樹脂化合物がヒドロキシ
    (C1〜C5)アルキルセルロース系樹脂である請求項
    11に記載のガラス飛散防止フィルム。
  13. 【請求項13】光拡散層の厚さが1〜50μmである請
    求項1ないし12のいずれか1項に記載のガラス飛散防
    止フィルム。
  14. 【請求項14】光拡散層上にフッ素系樹脂層または多層
    反射防止膜が形成された請求項1ないし13のいずれか
    1項に記載のガラス飛散防止フィルム。
  15. 【請求項15】光拡散層が着色されていることを特徴と
    する請求項1ないし14のいずれか1項に記載のガラス
    飛散防止フィルム。
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