JPH10111184A - 感温素子用酸化物磁性材料及びそれを用いた感温素子 - Google Patents

感温素子用酸化物磁性材料及びそれを用いた感温素子

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JPH10111184A
JPH10111184A JP8266913A JP26691396A JPH10111184A JP H10111184 A JPH10111184 A JP H10111184A JP 8266913 A JP8266913 A JP 8266913A JP 26691396 A JP26691396 A JP 26691396A JP H10111184 A JPH10111184 A JP H10111184A
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temperature
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oxide magnetic
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Tadakuni Sato
忠邦 佐藤
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Tokin Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェライト材料に電気導体を接触させて構成
できる感温磁性材料を使用することにより,小型化が可
能になるとともに,素子の作製工程も簡略化できるとい
った工業的有用性を備えた酸化物磁性材料とこれを用い
た感温素子とを提供すること。 【解決手段】 感温素子用酸化物磁性材料は,Ni,C
u,Zn,Feの夫々の酸化物を主成分として含有する
スピネル型フェライト材料において,一般式a(Ni
1-x Cux )O・bZnO・cFe2 3 (但し,a,
b,c,xの夫々は,a+b+c=100,0≦x≦
0.70,19.5≦b≦43.5,及び38.0≦c
≦49.8の関係を満たす数)で示す化学組成を備えて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,磁性材料のキュー
リー温度Tcを利用してなる感温酸化磁性材料と,それ
を利用した感温素子に関係するものである。
【0002】
【従来の技術】従来,感温素子はある特定の温度に達す
るとON,OFFの動作を示すように構成を有してい
る。この感温素子の中で,磁性材料のTcを利用したサ
ーマルリードスイッチや,電気抵抗の温度変化を利用し
たサーミスタが良く知られている。
【0003】これまで,前者の磁性材料のTcを利用し
た感温素子用材料としては,Mn−Cu系フェライトを
代表とする酸化物磁性材料やNi−Cu系合金を代表と
する金属磁性材料がある。前者フェライト系磁性材料
は,後者の金属磁性材料に比較して,室温前後の温度設
定が容易であり,電気抵抗も5桁程度は容易に高くとれ
るといった利点を有している。
【0004】これまで感温酸化物磁性材料はスピネル系
フェライトの中でも,透磁率とその温度変化を高くとれ
ることから,Mn−Cu系フェライト材料が用いられて
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,この材
料の焼結温度は約1250℃であり,電気抵抗は約10
4 Ω・cm以下である。そのため,低抵抗の電気導電材
料との同時焼成が不可能であり,導体の形成にも磁性材
と導体材の間に電気絶縁層が必須となる等,工業的には
不利益な面も多い。したがって,この材料が最も用いら
れるのは,磁界印加用磁石と組み合せて構成されるサー
マルリードスイッチが専らであり,小型化や高速応答性
には負の要因となっていた。
【0006】そこで,本発明の技術的課題は,フェライ
ト材料において低温焼成化ができ且つ,高抵抗を備え
た,感温素子用酸化物磁性材料とそれを用いた感温素子
とを提供することにある。
【0007】また,本発明の別の技術的課題は,フェラ
イト材料に電気導体を接触させて構成できる感温磁性材
料を使用することにより,小型化が可能になるととも
に,素子の作製工程も簡略化できるといった工業的有用
性を備えた酸化物磁性材料とこれを用いた感温素子とを
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では,酸化物を感
温材料として使用する範囲は,一般的には−100℃〜
+300℃程度が工業的有用性が高いと判断し,Tcが
−100℃〜+300℃の範囲と規定している。また,
磁性材料としての電気抵抗は直流比抵抗ρDCとして,1
6 Ω・cm以上であれば磁性体と接触させて電気導体
を形成して感温素子を構成することが可能となるが,本
発明では製造上のバラツキを考慮し,ρDCが108 Ω・
cm以上となる領域で組成範囲を規定した。
【0009】また,本発明においては,磁気的性質を応
用した感温素子を構成しており,磁束の収束能力やイン
ダクタンス等を利用することから,磁性体の透磁率μが
300以上である範囲と設定した。
【0010】また,本発明においては,酸化物磁性粉末
を焼結する製法であり,焼結体の機械的強度及び耐候性
(特に吸湿性による電気的特性変化)を大きくとるため
に,フェライト焼結体の焼結密度が理論密度に対し95
%以上となる範囲と設定した。
【0011】本発明によれば,(1)Ni,Zn,Fe
の夫々の酸化物を主成分として含有するスピネル型フェ
ライト材料において,一般式aNiO・bZnO・cF
23 (但し,a,b,cの夫々は,a+b+c=1
00,19.5≦b≦43.5,及び38.0≦c≦4
9.8の関係を満たす数)で示す化学組成を備えている
ことを特徴とする感温素子用酸化物磁性材料が得られ
る。
【0012】また,本発明によれば,(2)Ni,C
u,Zn,Feの夫々の酸化物を主成分として含有する
スピネル型フェライト材料において,一般式a(Ni
1-x Cux )O・bZnO・cFe2 3 (但し,a,
b,c,xの夫々は,a+b+c=100,0<x≦
0.70,19.5≦b≦43.5,及び38.0≦c
≦49.8の関係を満たす数)で示す化学組成を備えて
いることを特徴とする感温素子用酸化物磁性材料が得ら
れる。
【0013】ここで,本発明において,上記組成範囲で
あれば,本発明における焼結温度が1200℃以下,焼
結体の相対密度が95%以上,μが300以上,Tcが
−100〜+300℃,ρDCが108 Ω・cm以上,の
要求材料特性を満足することができる。また,本発明に
おいて,xを0≦x≦0.70としたのは,焼結温度を
1200℃以下にでき,xが0.7以下でρDCが108
Ω・cmとなるからである。また,xが0.07≦x≦
0.60としたのは,xが0.07以上で焼結温度を1
000℃以下にでき,ρDCが約1010Ω・cm以上とな
るからである。また,本発明において,bを19.5≦
b≦43.5としたのは,bが19.5以上でTcは3
00℃以下,bが43.5%以下でTcは−100℃以
上となるからである。さらに,本発明において,cを3
8.0≦c≦49.8としたのは,cが38.0以上で
μは300以上となり,cが49.8以下でρDCは10
8Ω・cm以上となるからである。
【0014】また,本発明によれば,(3)前記(2)
項の感温素子用酸化物磁性材料において,xを0.07
≦x≦0.60としたことを特徴とする感温素子用酸化
物磁性材料が得られる。ここで,本発明において,0.
07≦x≦0.60の範囲に限定したのは,xをこの範
囲に限定することにより,焼結温度を1000℃以下と
して,ρDCを約1010Ω・cm以上とできるからであ
る。
【0015】上記の組成範囲にある感温磁性材料と電気
導体を接触させて感温素子を構成することができるの
で,従来材の使用に比べ素子の小型化,薄型化,軽量
化,高速応答化,製造工程の簡略化等に有用となる。
【0016】また,本発明によれば,(4)前記(1)
乃至(3)項の内のいずれかの感温素子用酸化物磁性材
料において,実質的に焼結体からなることを特徴とする
感温素子用酸化物磁性材料が得られる。
【0017】また,本発明によれば,(5)前記(1)
乃至(3)項の内のいずれかの感温素子用酸化物磁性材
料の粉末成形体と電気導体粉末成形体とを一体焼成して
なることを特徴とする感温素子が得られる。
【0018】また,本発明によれば,(6)前記(5)
項の感温素子において,前記電気導体粉末成形体は,A
g−Pd又はAgから実質的になり,前記一体焼成の際
の温度は,1000℃以下であることを特徴とする感温
素子が得られる。
【0019】また,本発明によれば,(7)前記(4)
項の感温素子用酸化物磁性材料に磁界を印加するための
永久磁石を設けたことを特徴とする感温素子が得られ
る。
【0020】また,本発明によれば,(8)前記(7)
項の感温素子において,前記永久磁石の残留磁化の温度
係数は,−0.20%/℃以下であることを特徴とする
感温素子が得られる。
【0021】また,本発明によれば,(9)前記(4)
項の感温素子用酸化物磁性材料と電気導体とからなるこ
とを特徴とする感温素子が得られる。
【0022】また,本発明によれば,(10)前記
(9)項の感温素子において,前記電気導体は,前記焼
結体に,直接設置されていることを特徴とする感温素子
が得られる。
【0023】また,本発明によれば,(11)一般式a
NiO・bZnO・cFe2 3 (但し,a,b,cの
夫々は,a+b+c=100,19.5≦b≦43.
5,及び38.0≦c≦49.8の関係を満たす数)で
示す化学組成を備えるNi,Zn,Feの夫々の酸化物
を主成分として含有するスピネル型フェライト材料の粉
末成形体を焼結することを特徴とする感温素子用酸化物
磁性材料の製造方法が得られる。
【0024】また,本発明によれば,(12)一般式a
(Ni1-x Cux )O・bZnO・cFe2 3 (但
し,a,b,c,xの夫々は,a+b+c=100,0
<x≦0.70,19.5≦b≦43.5,及び38.
0≦c≦49.8の関係を満たす数)で示す化学組成を
備えているNi,Cu,Zn,Feの夫々の酸化物を主
成分として含有するスピネル型フェライト材料の粉末成
形体を焼成することを特徴とする感温素子用酸化物磁性
材料の製造方法が得られる。
【0025】また,本発明によれば,(13)前記(1
2)項の感温素子用酸化物磁性材料の製造方法におい
て,xを0.07≦x≦0.60としたことを特徴とす
る感温素子用酸化物磁性材料の製造方法が得られる。
【0026】また,本発明によれば,(14)前記(1
1)乃至(13)項のいずれかの感温素子用酸化物磁性
材料の製造方法において,前記スピネル型フェライト材
料の粉末成形体に,電気導体粉末成形体を追加し,一体
焼成してなることを特徴とする感温素子の製造方法が得
られる。
【0027】ここで,本発明のように,感温磁性粉末成
形体と電気導体粉末成形体とを一体焼成して感温素子を
構成する場合,市販されている電気良導体粉末としてN
i,Cu,Ag−Pd,Ag粉末を使用するのが一般的
である。これらの粉末の焼結は一般的には1200℃以
下の領域で実施される。したがって,感温磁性粉末は1
200℃以下の領域で焼結できることが必須となる。中
でも,Ag−Pb粉末やAg粉末の焼結は,大気中,1
000℃以下の領域で実施できるので,1000℃以下
で焼結できる感温磁性材料であることが,工業上極めて
有用となる。
【0028】本発明における感温酸化物磁性材料は,酸
化物で構成されており,大気中等の酸化性雰囲気で焼成
できることは,磁気特性や電気特性(特に高抵抗化)の
安定化に有用である。しかし,Ni粉末やCu粉末の焼
結には,非酸化性雰囲気中,1000℃以上の温度で実
施する必要があり,感温酸化物の磁気特性や電気特性の
劣化(主にFe2価イオン,Cu1価イオンの生成に起
因する)を伴い,その対策として複雑な処理を施すた
め,コストアップや品質低下の要因となるので,本発明
の範囲から除外した。
【0029】また,本発明によれば,(15)前記(1
4)項の感温素子の製造方法において,前記電気導体粉
末成形体は,Ag−Pd又はAgから実質的になり,前
記一体焼成の際の温度は,1000℃以下であることを
特徴とする感温素子の製造方法が得られる。
【0030】また,本発明によれば,(16)前記
(4)項の感温素子用酸化物磁性材料に磁界を印加する
ための永久磁石を設けることを特徴とする感温素子の製
造方法が得られる。
【0031】また,本発明によれば,(17)前記(1
6)項の感温素子の製造方法において,前記永久磁石の
残留磁化の温度係数は,−0.20%/℃以下であるこ
とを特徴とする感温素子の製造方法が得られる。
【0032】また,本発明によれば,(18)前記
(4)項の感温素子用酸化物磁性材料の一面の少なくと
も一部に電気導体を設けることを特徴とする感温素子の
製造方法が得られる。
【0033】さらに,本発明によれば,(19)前記
(18)項の感温素子の製造方法において,前記電気導
体は,前記焼結体表面に,直接形成されていることを特
徴とする感温素子が得られる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0035】(第1の実施の形態)組成比を19(Ni
1-x Cux )O・32ZnO・49Fe2 3 とし,こ
こでx=0.005,0.1,0.2,0.3,0.
4,0.5,0.6,0.7となるように,酸化鉄(α
−Fe2 3 )と酸化ニッケル(NiO)と酸化第2銅
(CuO)及び酸化亜鉛(ZnO)を原料とし,ボール
ミルにて20時間湿式混合した。
【0036】次に,これら原料混合粉末を大気中800
℃で2時間仮焼した後,ボールミルにて3時間湿式粉砕
し,成形用粉末とした。
【0037】次に,これら粉砕粉末にPVAを1wt%
湿式混合した後,成形圧1ton/cm2 で外径約18
mm,内径約12mm,高さ約7mmの成形体となるよ
うに金型を使用し,圧縮成形した。次に,これら成形体
を大気中にて,800℃〜1300℃の範囲で各々保持
温度を変化し,4時間保持,焼結した。
【0038】次に,これら焼結体の密度d,直流比抵抗
ρDC,100kHzでの透磁率μ,キューリー温度Tc
を測定した。それらの内,焼結密度が理論密度の97%
に到達する焼結温度TdとρDCの関係を図1に示す。
【0039】図1から明らかなように,Tdはx=0〜
0.7の範囲で焼結温度は1130℃〜840℃とな
り,1200℃以下の範囲にある。また,焼結温度10
00℃以下はx=0.07〜0.70の範囲となってい
る。一方,ρDCはx=0〜0.7の範囲で108 Ω・c
m以上の値を示すが,xが0.7を越える領域では著し
い低下を示す。他の特性でTcは100〜170℃を示
し,μは800〜1200となっている。したがって,
x=0〜0.7の範囲が有用である。特にx=0.07
〜0.60の範囲では,1000℃以下での緻密化と高
抵抗化が顕著であり,Ag−Pd合金,Ag粉末を使用
して導体と磁性体の同時焼成が大気中で可能となり,極
めて有用な部品化製造方法を提供することができる。
【0040】(第2の実施の形態)第1の実施の形態と
同様にして,組成比を(51−b)(Ni0.7 ・Cu
0.3)O・bZnO・48Fe2 3 とし,ここでb=
15,20,25,30,35,40,45となるよう
に,920℃で焼結してフェライト焼結体を得た後,
d,ρDC,μ,Tcを測定した。それらの内,Tcとの
関係を図2に示す。
【0041】図2において,Tcが−100℃〜+30
0℃となる範囲は,b=19.5〜43.5の範囲とな
る。その他の特性は,dは理論密度の98%以上,ρDC
は3×108 〜5×1011Ω・cm以上,μは400〜
4500となっている。
【0042】したがって,b=19.5〜43.5の範
囲が有用であることが判明した。
【0043】(第3の実施の形態)第1の実施の形態と
同様にして,組成比を(67−c)(Ni0.7 ・Cu
0.3)O・33ZnO・cFe2 3 とし,ここでc=
38,40,42,44,46,48,49.0,4
9.5,49.8,50.0となるように,900℃で
焼結してフェライト焼結体を得た後,d,ρDC,μ,T
cを測定した。それらの内,μとρDCの関係を図3に示
す。ここでのμはTcより約30℃低い温度で測定した
値である。図3から明らかなように,ρDCが108 Ω・
cm以上となる範囲はcが49.8以下であり,一方,
μが300以上となる範囲はcが38以上である。その
他の特性は,dは理論密度の97%以上,Tcは80〜
180℃の範囲であった。
【0044】したがって,c=38.0〜49.8の範
囲が有用となる。
【0045】(第4の実施の形態)実施例1と同様にし
て,組成式が18.5(Ni0.7 ・Cu0.3 )O・3
2.5ZnO・49Fe2 3 の成形用粉末を作製し
た。次に,この粉末にポリビニルブチラールを主成分と
するバインダーと,エチレングリコールモノエチルエー
テルを主成分とする溶剤を混合して印刷用インキを作製
した。また,導体用印刷インキとして市販されているA
g−Pd系合金ペーストを使用し,スクリーン印刷によ
り,フェライト粉末厚膜とAg−Pd粉末膜を積層した
後,900℃にて一体焼成し,内部導体が9ターンで,
外側寸法が3.0×1.5×1.0mmとなるチップ状
インダクタを作製した。このインダクタは室温で,10
0kHz,10mAで約10μHのインダクタンスを有
していた。
【0046】次に,この積層チップインダクタンスを共
振回路のインダクタンスとして用い低温側でON,高温
側でOFFとなるように感温スイッチを構成した。この
検温素子部をオーブン中に設置して加温,冷却を繰り返
したところ,約90℃にてON,OFFを繰り返した。
【0047】したがって,本発明の第4の実施の形態に
おいて,感温フェライトと電気導体を一体焼成すること
により,感温素子が構成できる。
【0048】(第5の実施の形態)第1の実施の形態と
同様にして,組成式が24(Ni0.7 ・Cu0.3 )O・
28ZnO・49Fe2 3 の成形用粉末を作製した
後,950℃で焼結し5×5×2mmのフェライト角板
を得た。このフェライト板の特性は,焼結密度が理論密
度の約99%,ρDCが5×109 Ω・cm,μが90
0,飽和磁化が約4000Gであった。
【0049】このフェライト角板に,メッキ法により一
底面を除きCu層を約50μmの厚さで形成し,電気導
体層を形成した後,銅メッキ層のない底面部にフェライ
ト板と同形状の低面方向に異方性を有したバリウムフェ
ライト磁石を配置し,一方の低面部にはバネ性を有した
ケイ素鋼を金メッキ処理したリードを配置して,感温素
子を構成し,低温部ではリードとフェライト導体部が接
触してスイッチONとなり,高温部ではリードとフェラ
イト導体部がリードのバネ性により約1mmの空隙を生
じてスイッチOFFとなるように設定してある。リード
の接触は,フェライト素子部を磁束が通り,リードのケ
イ素鋼材部を磁気的に吸着するためである。したがっ
て,温度がフェライト材のTc以上になると磁気吸着力
が激減するために,リードのバネ性により非接触とな
る。
【0050】この感温素子部を,オーブンの中に設置し
て直流を通電しながら加温,冷却を繰り返したところ,
約160℃でON,OFFを繰り返した。
【0051】(第6の実施の形態)第5の実施の形態と
同様にして感温素子を構成し,磁界印加用のバリウムフ
ェライトについて,組成の一部をAl2 3 及びZnO
で置換し,磁石の残留磁束密度Brの温度係数を−0.
2〜−0.5%/℃まで変化し,スイッチングON,O
FF温度の変動幅を測定した。その結果を下記表1に示
す。
【0052】
【表1】
【0053】バリウムフェライト磁石の通常の市販品の
温度計数は−0.18〜−0.20%/℃程である。し
たがって,本発明の第6の実施の形態においては,上記
表1に示すように,磁界印加用磁石のBrの温度変化を
−0.2%/℃以下とすることにより,スイッチングの
精度を向上できることがわかる。
【0054】ここで,本発明における感温素子の構成に
おいて,磁性材料成形体と導体粉末の一体焼成につい
て,上述した実施の形態では,Ag−Pd粉末を用いて
いるが,これのみ限定されるものでなく,Ni,Cu,
Au,Ag等の粉末にもこの手法が適用できることは,
容易に理解できるものである。
【0055】また,感温フェライト焼結体上に電気導体
を後付けする方法として,Cuメッキについてのみ述べ
ているが,他の電気良導体を,後の手法(例えば,焼付
け,スパッタ,蒸着,接着等)で形成しても良いこと
は,容易に理解できる。
【0056】また,上述した実施の形態では,磁気的吸
着を利用した構成としてリードを用いたが,磁気的に接
続する回路を構成するものでよく,またリード材として
の磁性材としてケイ素鋼板に限定されるものでなく,軟
磁性材料であれば機能することは容易に理解できる。
【0057】また,上述した実施の形態では,磁束の供
給用として,バリウムフェライトについてのみ述べた
が,永久磁石であれば,これに限定されるものでない。
また,この印加磁界用永久磁石の温度係数を−0.20
%/℃以下とすることで,磁化の温度変化率を更に大き
くとれるので,スイッチング動作の温度バラツキ幅を低
減することができる。
【0058】また,粉末の成形法についても,上述した
本発明の実施の形態においては,金型を用いた圧縮成
形,印刷成膜についてのみ述べたが,これに限定される
ものでなく,押出成形,射出成形等圧粉の成形体を得て
焼結工程を経るものであればよいことは,容易に理解で
きる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように,本発明において
は,フェライト材料において低温焼成化ができ且つ,高
抵抗を備えた,感温素子用酸化物磁性材料とそれを用い
た感温素子とを提供することができる。
【0060】更に,具体的には,本発明において,フェ
ライト材料に電気導体を接触させて構成できる感温磁性
材料を使用することにより,小型化が可能になるととも
に,素子の作製工程も簡略化できるといった工業的有用
性を備えた酸化物磁性材料とこれを用いた感温素子とを
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態において,組成式1
9(Ni1-x ・Cux )O・32ZnO・49Fe2
3 におけるCuOの置換値Xと直流ρDCと焼結密度が理
論密度の97%に達する焼結温度Tdとの関係を示す図
である。
【図2】本発明の第2の実施の形態において,組成式
(51−b)(Ni0.7 ・Cu0. 3 )O・bZnO・4
8Fe2 3 におけるZnOの組成値bとキューリー温
度Tcとの関係を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態において,組成式
(67−c)(Ni0.7 ・Cu0. 3 )O・33ZnO・
cFe2 3 におけるFe2 3 の組成値とρDC,10
0kHzでの透磁率μとの関係を示す図である。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni,Zn,Feの夫々の酸化物を主成
    分として含有するスピネル型フェライト材料において,
    一般式aNiO・bZnO・cFe2 3 (但し,a,
    b,cの夫々は,a+b+c=100,19.5≦b≦
    43.5,及び38.0≦c≦49.8の関係を満たす
    数)で示す化学組成を備えていることを特徴とする感温
    素子用酸化物磁性材料。
  2. 【請求項2】 Ni,Cu,Zn,Feの夫々の酸化物
    を主成分として含有するスピネル型フェライト材料にお
    いて,一般式a(Ni1-x Cux )O・bZnO・cF
    2 3 (但し,a,b,c,xの夫々は,a+b+c
    =100,0<x≦0.70,19.5≦b≦43.
    5,及び38.0≦c≦49.8の関係を満たす数)で
    示す化学組成を備えていることを特徴とする感温素子用
    酸化物磁性材料。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の感温素子用酸化物磁性材
    料において,xを0.07≦x≦0.60としたことを
    特徴とする感温素子用酸化物磁性材料。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の内のいずれかに記載の
    感温素子用酸化物磁性材料において,実質的に焼結体か
    らなることを特徴とする感温素子用酸化物磁性材料。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3の内のいずれかに記載の
    感温素子用酸化物磁性材料の粉末成形体と電気導体粉末
    成形体とを一体焼成してなることを特徴とする感温素
    子。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の感温素子において,前記
    電気導体粉末成形体は,Ag−Pd又はAgから実質的
    になり,前記一体焼成の際の温度は,1000℃以下で
    あることを特徴とする感温素子。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の感温素子用酸化物磁性材
    料に磁界を印加するための永久磁石を設けたことを特徴
    とする感温素子。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の感温素子において,前記
    永久磁石の残留磁化の温度係数は,−0.20%/℃以
    下であることを特徴とする感温素子。
  9. 【請求項9】 請求項4記載の感温素子用酸化物磁性材
    料と電気導体とからなることを特徴とする感温素子。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の感温素子において,前
    記電気導体は,前記焼結体に,直接設置されていること
    を特徴とする感温素子。
  11. 【請求項11】 一般式aNiO・bZnO・cFe2
    3 (但し,a,b,cの夫々は,a+b+c=10
    0,19.5≦b≦43.5,及び38.0≦c≦4
    9.8の関係を満たす数)で示す化学組成を備えるN
    i,Zn,Feの夫々の酸化物を主成分として含有する
    スピネル型フェライト材料の粉末成形体を焼結すること
    を特徴とする感温素子用酸化物磁性材料の製造方法。
  12. 【請求項12】 一般式a(Ni1-x Cux )O・bZ
    nO・cFe2 3(但し,a,b,c,xの夫々は,
    a+b+c=100,0<x≦0.70,19.5≦b
    ≦43.5,及び38.0≦c≦49.8の関係を満た
    す数)で示す化学組成を備えているNi,Cu,Zn,
    Feの夫々の酸化物を主成分として含有するスピネル型
    フェライト材料の粉末成形体を焼成することを特徴とす
    る感温素子用酸化物磁性材料の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の感温素子用酸化物磁
    性材料の製造方法において,xを0.07≦x≦0.6
    0としたことを特徴とする感温素子用酸化物磁性材料の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項11乃至13の内のいずれかに
    記載の感温素子用酸化物磁性材料の製造方法において,
    前記スピネル型フェライト材料の粉末成形体に,電気導
    体粉末成形体を追加し,一体焼成してなることを特徴と
    する感温素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の感温素子の製造方法
    において,前記電気導体粉末成形体は,Ag−Pd又は
    Agから実質的になり,前記一体焼成の際の温度は,1
    000℃以下であることを特徴とする感温素子の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 請求項4記載の感温素子用酸化物磁性
    材料に磁界を印加するための永久磁石を設けることを特
    徴とする感温素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の感温素子の製造方法
    において,前記永久磁石の残留磁化の温度係数は,−
    0.20%/℃以下であることを特徴とする感温素子の
    製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項4記載の感温素子用酸化物磁性
    材料の一面の少なくとも一部に電気導体を設けることを
    特徴とする感温素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の感温素子の製造方法
    において,前記電気導体は,前記焼結体表面に,直接形
    成されていることを特徴とする感温素子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006206415A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Tdk Corp フェライト、電子部品及びそれらの製造方法
JP2011518331A (ja) * 2008-04-18 2011-06-23 メトグラス・インコーポレーテッド 遠隔温度検知デバイス及びそれに関連する遠隔温度検知方法
JP2011518330A (ja) * 2008-04-18 2011-06-23 メトグラス・インコーポレーテッド 温度検知器及び関連する遠隔温度検知方法
JP2015532662A (ja) * 2012-08-10 2015-11-12 マンデッリ,マルコ 温度変動感受性化学組成物並びにその製造及び使用方法

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