JPH10109853A - エレベーターの緩衝装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単で低コストに構成することのでき
る乗りかごの過上昇防止を高信頼で行うことのできるエ
レベーターの緩衝装置を提供する。 【解決手段】 乗りかご６は、ガイドレール２に案内さ
れて昇降する。乗りかご６はかご枠３に支持され、かご
枠３の上梁３ａにガイドレールに摺動可能なガイドロー
ラ７ａが乗りかご６の他の部分より上方に配置される。
また、乗りかご６の過上昇を防止するための停止板１０
が、ガイドレール２に直に上下方向に調整可能に取り付
けられている。乗りかごの過上昇時、乗りかごの昇降を
ガイドするガイドローラ（弾性体）が、ガイドレールに
取付けた停止板に弾接し、乗りかごを確実に停止させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エレベーターの緩
衝装置に係り、特に、乗りかごの過上昇を防止し衝撃を
緩衝するためのエレベーターの緩衝装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】乗りかごの過上昇を防止し衝撃を緩衝す
るためのエレベーターの緩衝装置に関する従来技術とし
て、例えば、実開平１−７０７７３号公報等に記載され
た技術が知られている。

【０００３】図３は従来技術によるエレベーターの緩衝
装置の構成を示す図であり、以下、図３を参照して従来
技術によるエレベーターの緩衝装置について説明する。
図３において、２はガイドレール、３は乗りかご支持
枠、８は綱車、９はガイドレール支持梁、１１は緩衝体
支持棒、１２は緩衝体である。

【０００４】従来技術による緩衝装置は、図３に示すよ
うに、棒状の緩衝体支持棒１１の先端にゴム、バネ等の
弾性体による緩衝体１２を設け、この緩衝体支持棒１１
をガイドレール２の支持梁９に取り付けて構成されてい
る。そして、緩衝体支持棒１１は、複数の部品を介して
支持梁９に取り付けられ、乗りかごの過上昇時、先端部
に設けられる緩衝体１２が、乗りかご支持枠３の上部に
弾接するようにされている。

【０００５】また、乗りかご支持枠３の上部には、他の
部品等が設けられているため、緩衝体１２が取り付けら
れている緩衝体支持棒１１は、これらの他の部品に衝突
しないように、ガイドレール２の支持梁９に調整可能に
取り付けられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術によ
る緩衝装置は、乗りかごの過上昇を機械的に停止させる
ための緩衝体１２が取り付けられた緩衝体支持棒１１を
ガイドレール２の支持梁９に取り付けるために取り付け
用の部品を要し、また、乗りかご支持枠３の上部でこの
緩衝体１２に衝突させるための調整部材を追加する必要
があるという問題点を有している。

【０００７】また、従来技術による緩衝装置は、乗りか
ごの過上昇による衝撃時、乗りかご支持枠３の上部の他
の部位が、ガイドレール等の部位と衝突しないように、
また、他の部品と衝突しないように、緩衝体支持棒１１
の取り付け位置を調整しなければならない等、多くの制
約条件の中で緩衝体支持棒１１の取り付け位置を決めな
ければならず、複雑な構造をとらなければならないとい
う問題点を有している。

【０００８】本発明の目的は、前述した従来技術の問題
点を解決し、構造が簡単で乗りかご支持枠上の調整部材
を不要とし、部品数の低減、コストの低減を図ることが
できる乗りかごの過上昇による衝撃を緩衝するためのエ
レベーターの緩衝装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明によれば前記目的
は、乗りかごの昇降を案内する一対のガイドレールと、
乗りかご支持枠に設けられ、ガイドレールに沿って乗り
かごを案内するガイドローラとを備えて構成されるエレ
ベーターの乗りかごの過上昇時の衝撃を緩衝するエレベ
ーターの緩衝装置において、前記ガイドレールの上端部
近傍に停止板を取り付け、乗りかごの過上昇時、前記ガ
イドローラを前記停止板に弾接させることにより達成さ
れる。また、前記目的は、コ字状の長手部材により形成
される前記ガイドレールの底面部に上下方向に調整可能
停止板を取り付けることにより達成される。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明によるエレベーター
の緩衝装置の一実施形態を図面により詳細に説明する。

【００１１】図１は本発明の一実施形態による緩衝装置
を備えたエレベーターの概略構造を示す図、図２は本発
明の一実施形態による緩衝装置の詳細な構造を示す図で
ある。図１、図２において、１は昇降路、３ａは上梁、
３ｂは下梁、４は主索、５は巻上機、６は乗りかご、７
ａ、７ｂはガイドローラ、１０は停止板であり、他の符
号は図３の場合と同一である。なお、図１、図２に示す
本発明の一実施形態は、エレベーターの駆動方式を巻胴
式とし、主索の過巻きによる乗りかごの過上昇を防止す
る緩衝装置に本発明を適用したものである。

【００１２】本発明が適用されるエレベーターは、図１
に示すように、エレベーター昇降路１内に、昇降路１の
壁面に沿って立設されたコ字状の断面を有する長手部材
により形成される一対のガイドレール２を備え、このガ
イドレール２に案内されて昇降運動する乗りかご支持枠
３により支持されたエレベーター用の乗りかご６を備え
て構成されている。乗りかご支持枠３は、上梁３ａ及び
下梁３ｂを有して構成され、上梁３ａにはガイドレール
２に摺動可能に取り付けられた上側のガイドローラ７ａ
が取り付けられ、下梁３ｂにはガイドレール２に摺動可
能に取り付けられた下側のガイドローラ７ｂが取り付け
られている。そして、ガイドローラ７ａは、上昇する乗
りかごの部位の中で最も高い位置に配置されている。

【００１３】また、乗りかご６の過上昇を停止させる停
止板１０が、一対のガイドレール２のそれぞれの上端部
の近傍に上下方向に調整可能に、かつ、コ字状のガイド
レール２の底面に直接取り付けられており、また、乗り
かご６の下降の行き過ぎを阻止するバネ等による衝撃緩
和装置１１が昇降路１の床面の乗りかご６の真下の位置
に設けられている。前述の停止板１０は、Ｌ字型部材に
より形成され、取り付け面に直交する面がガイドレール
２の長手方向の下向きとなるように取り付けられる。

【００１４】前述した乗りかご支持枠３内に支持された
乗りかご６は、昇降路１の上部において一対の案内レー
ル２の間に設けられる支持梁９に軸支されている２つの
綱車８に巻き掛けられた２本の主索４を介して昇降路１
の床面に設置された巻上機５と連結され、巻上機５の駆
動力により昇降動作させられる。

【００１５】前述したように構成される本発明の一実施
形態による緩衝装置を備えたエレベーターは、巻上機５
の駆動力が強く作動して乗りかご６をオーバーランさせ
た場合、乗りかご支持枠３の上梁３ａに取り付けられた
ガイドローラ７ａが、ガイドレール２の上下方向に調整
可能にガイドレール２に取り付けられた停止板１０に確
実に最初に弾接し、乗りかご上部の他の部位が停止板１
０に衝突することなく、安全に乗りかご６を停止させる
ことができる。

【００１６】そして、通常、ガイドローラ７ａは、ロー
ラの外周部にゴム、軟質樹脂等の弾性体が備えられて構
成されているため、ガイドローラ７ａが、停止板１０に
衝突した場合にも、ガイドローラの弾性体の作用によ
り、衝撃を緩衝させて乗りかごを停止させることができ
る。

【００１７】停止板１０は、図２に示すように、一対の
ガイドレール２のそれぞれに直に取り付けられるが、こ
のために、ガイドレール２に複数の取り付け穴が設けら
れ、停止板１０をこの取り付け穴を用いて、上下方向に
調整して取り付けることが可能にされている。これによ
り、ガイドローラ７ａ以外の乗りかご３の上部の部位が
停止板１０を含む昇降路１の上部の機材に衝突しないよ
うに、停止板１０を調整して取り付けることができる。

【００１８】一般に、ガイドローラは、ガイドレールの
取り付け面、すなわち、コ字状のガイドレールの底面に
接するローラと、コ字状のガイドレールの内側の側面部
に接するローラとを備えて構成される。前述の図１、図
２に示す本発明の実施形態では、コ字状のガイドレール
の底面に接するローラを上側に配置してガイドローラ７
ａを構成しており、ガイドレールの底面に接するローラ
が停止板１０に弾接するように構成しているが、本発明
は、コ字状のガイドレールの内側の側面部に接するロー
ラを上側に配置して、このローラが停止板１０に弾接す
るように構成してもよい。

【００１９】前述した本発明の一実施形態によれば、ガ
イドローラ７ａに確実に弾接させることができる簡単な
構造の部品点数の少ない低コストのエレベーターの緩衝
装置を得ることができ、乗りかご６を確実に停止させる
ことができる。また、前述した本発明の一実施形態によ
れば、他の部品に衝突させることのない位置に停止板１
０を調整して取り付けることができる。

【００２０】なお、前述した本発明の一実施形態は、本
発明をエレベーターの駆動方式が巻胴式であり、主索の
過巻きによる乗りかごの過上昇を防止する緩衝装置に本
発明を適用したものとして説明したが、本発明は、昇降
路の上部に設けられる機械室内に巻上機を備えたつるべ
式のエレベーターの緩衝装置に対しても適用することが
できる。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、乗
りかごの過上昇時の機械的な緩衝装置を簡単化すること
ができ、部品点数の低減、低コスト化を図ることができ
る。また、本発明によれば、ガイドローラを停止板に弾
接させているため、乗りかごの過上昇を確実に防止する
ことができ、省スペースで停止板を設置することができ
る。さらに、本発明によれば、停止板を直にガイドレー
ルに取り付けることができるため、工事性がよく、調整
作業が容易となり、工事費の低コスト化を図ることがで
きる。

【００２２】また、本発明によれば、エレベーターの緩
衝装置を簡単な構造として、乗りかご上の調整部材を不
要とすることができ、部品数を低減してコストの低減を
図ることができる。また、本発明によれば、ガイドロー
ラを乗りかごを構成する部品の最も高い位置に配置する
ことにより、乗りかごの過上昇時、ガイドローラがガイ
ドレールに取り付けた停止板に衝突しても、乗りかご上
部の他の部品への衝突がなく、確実に乗りかご上部のス
ペースを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態による緩衝装置を備えたエ
レベーターの概略構造を示す図である。

【図２】本発明の一実施形態による緩衝装置の詳細な構
造を示す図である。

【図３】従来技術によるエレベーターの緩衝装置の構成
を示す図である。

【符号の説明】

１ 昇降路 ２ ガイドレール ３ 乗りかご支持枠 ３ａ 上梁 ３ｂ 下梁 ４ 主索 ５ 巻上機 ６ 乗りかご ７ａ、７ｂ ガイドローラ ８ 綱車 ９ ガイドレール支持梁 １０ 停止板 １１ 緩衝体支持棒 １２ 緩衝体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺西 勝也 茨城県ひたちなか市堀口832番地の２ 日 立エレベータエンジニアリング株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 乗りかごの昇降を案内する一対のガイド
   レールと、乗りかご支持枠に設けられ、ガイドレールに
   沿って乗りかごを案内するガイドローラとを備えて構成
   されるエレベーターの乗りかごの過上昇時の衝撃を緩衝
   するエレベーターの緩衝装置において、前記ガイドレー
   ルの上端部近傍に停止板を取り付け、乗りかごの過上昇
   時、前記ガイドローラを前記停止板に弾接させることを
   特徴とするエレベーターの緩衝装置。
2. 【請求項２】 前記ガイドレールは、コ字状の長手部材
   により形成され、前記停止板は、ガイドレールの底面部
   に上下方向に調整可能に取り付けられることを特徴とす
   る請求項１記載のエレベーターの緩衝装置。