JPH10103199A - スタータ - Google Patents

スタータ

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JPH10103199A
JPH10103199A JP21076997A JP21076997A JPH10103199A JP H10103199 A JPH10103199 A JP H10103199A JP 21076997 A JP21076997 A JP 21076997A JP 21076997 A JP21076997 A JP 21076997A JP H10103199 A JPH10103199 A JP H10103199A
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pinion
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正浩 宗
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安藤  和広
Yoshito Takagi
由人 高木
Tsuyoshi Araki
剛志 荒木
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02NSTARTING OF COMBUSTION ENGINES; STARTING AIDS FOR SUCH ENGINES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F02N11/00Starting of engines by means of electric motors
    • F02N11/08Circuits or control means specially adapted for starting of engines
    • F02N11/0851Circuits or control means specially adapted for starting of engines characterised by means for controlling the engagement or disengagement between engine and starter, e.g. meshing of pinion and engine gear

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動式のエンジンスタータにおいて、ピニオ
ンの噛み合い衝撃を緩和し、その衝撃荷重の軽減によ
り、より軽量なスタータを提供すること。 【解決手段】 モータ100に駆動される出力軸22に
スプライン22cが形成されており、スプライン嵌合に
より出力軸22に保持されているピニオン移動体26
と、マグネットスイッチ12に駆動されてピニオン移動
体26の回転規制を行うコイル状弾性部材25およびピ
ニオン移動体26を前方へ押し出すレバー37とを備え
る。レバー37によりリングギヤ34との噛み合い直前
の位置にピニオンギヤ26aが押し出されてから、メイ
ンスイッチ60が閉じ、モータ100が出力軸22を駆
動し始め、スプライン22cによりピニオンギヤ26a
はさらに押し出されて、リングギヤ34と噛み合う。噛
み合い時に出力軸22の回転が上がっていないので、噛
み合い衝撃が小さく、各部材の軽量化が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明のスタータは、自動車
等のエンジンを始動するスタータ(始動装置)の技術分
野に属する。
【0002】
【従来の技術】特開昭50−5807号公報には、駆動
軸のヘリカルスプラインとの嵌合により、ピニオンギヤ
がエンジンのリングギヤと噛み合う位置にまで、ピニオ
ン移動体が押し出されるスタータが、従来技術として開
示されている。同スタータには、駆動軸が回転を始める
際にピニオン移動体の回転を規制し、もってスプライン
の推進作用を高める回転規制手段が装備されている。そ
れゆえ、ドライブレバー等を介し、マグネットスイッチ
の力そのものでピニオン移動体をリングギヤ側へ移動さ
せる必要がない。その結果、小型軽量なマグネットスイ
ッチで十分であるから、その分スタータが小型軽量化さ
れ、コストダウンにもなるという効果を持っていた。
【0003】同スタータの起動時には、ピニオン移動体
は、駆動軸が回転を始める時からスプラインの作用で急
激に加速され、また、移動の途中で回転速度も上がりつ
つ、ピニオンギヤがリングギヤと噛み合う位置にまで突
進する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術による
スタータでは、前述のように、スタータ休止時のピニオ
ン移動体が最もリングギヤから離れている位置から、い
きなりスプラインの作用で急激に加速される。また、駆
動軸の回転により回転速度もあがっているので、ピニオ
ンギヤは、相当の前進速度および回転速度をもってリン
グギヤと噛み合っていた。
【0005】すなわち、ピニオンギヤがリングギヤと噛
み合い始める時点では、かなりの回転数でピニオン移動
体およびスタータモータのアーマチャは回転しており、
大きな噛み合い衝撃を生じていた。それゆえ、ピニオン
移動体や駆動軸などの駆動系には大きな衝撃に耐えるだ
けの剛性強度が要求され、耐用寿命を満たすよう十分頑
丈に作るためには、重量や容積が増加せざるを得なかっ
た。
【0006】そこで本発明は、ピニオンギヤがエンジン
のリングギヤと噛み合う際の噛み合い衝撃が小さく、よ
り軽量なスタータを提供することを解決すべき課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決するために、発明者らは以下の手段を発明
した。 (第1手段)本発明の第1手段は、請求項1記載のスタ
ータである。本手段では、ピニオン移動手段の作用によ
り、ピニオン移動体がリングギヤの端面の付近(端面直
前でもすでに噛み合っていてもどちらでも良い)にまで
移動する。その後、マグネットスイッチのメインスイッ
チが閉じてモータに通電される。モータの回転駆動力に
より駆動軸が回転を始めると、回転規制されているピニ
オン移動体は捩じれスプラインの作用によりさらに押し
出され、モータの駆動力でピニオンギヤを介してエンジ
ンを駆動できる位置まで移動し、ピニオンギヤがリング
ギヤに噛み合ってリングギヤを回転駆動する。
【0008】すなわち、メインスイッチが閉じてモータ
に通電され、駆動軸が回転を始める時点には、すでにピ
ニオン移動体はピニオン移動手段の作用でリングギヤの
端面の付近の所定位置にまで移動している。それゆえ、
駆動軸が回転を始めて捩じれスプラインの作用でピニオ
ンギヤが移動を始めると、わずかの距離の移動でリング
ギヤを通常駆動できる噛み合い位置に到達する。駆動軸
が回転を始めてからリングギヤと噛み合い始めるまでご
く短時間しか経っていないので、モータのアーマチャお
よびピニオン移動体の回転速度はまだ低い段階で、ピニ
オンギヤはリングギヤと噛み合う。
【0009】その結果、噛み合い衝撃は軽微になるの
で、モータからピニオンギヤに至るまでの駆動系にかか
る衝撃荷重は小さくなり、この駆動系を構成している各
部品の剛性強度に対する要求は大きく緩和される。それ
ゆえ、スタータをより軽量に製造することが可能にな
り、部品の容積が小さくなる分、価格も安価になる。し
たがって本手段によれば、噛み合い衝撃が小さくて、よ
り軽量なスタータを安価に提供することが可能になると
いう効果がある。あわせて、ピニオンギヤとリングギヤ
との噛み合い衝撃が小さいので、衝撃騒音が小さくなる
ばかりではなく、両ギヤの歯の一部が欠けるなどの破損
も防止され、両ギヤの寿命が延びるという効果も生じ
る。また、スタータを支持している部分への衝撃荷重も
減少し、いっそう軽量化を進めることができる。
【0010】(第2手段)本発明の第2手段は、請求項
2記載のスタータである。本手段では、ピニオン移動手
段はレバーであり、レバーの一端側でマグネットスイッ
チの可動鉄心に駆動されてレバーが支点回りに傾動する
と、レバーは他端側でピニオン移動体に当接し、ピニオ
ン移動体をリングギヤの方へ移動させる。可動鉄心の移
動距離は一定であり、これによるレバーの傾動角度も一
定であるので、レバーによるピニオン移動体の移動距離
も所定距離に定まっている。それゆえ、レバーの一端側
と他端側とでアーム長の比率を適正に設定することによ
り、メインスイッチが閉じて駆動軸が回転を始める時
に、リングギヤとの噛み合い寸前の所定位置にピニオン
移動体を移動させておくことができる。
【0011】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、簡素な構成のピニオン移動手段によ
り、最も適正な位置にピニオン移動体を移動させること
ができ、噛み合い衝撃を最小化できるという効果があ
る。また、ピニオン移動手段の構成が簡素で、しかもピ
ニオン移動手段がアーム長を調整容易なレバーであるの
で、ピニオン移動体の設計が容易であるという効果もあ
る。
【0012】(第3手段)本発明の第3手段は、請求項
3記載のスタータである。本手段では、回転規制手段
は、ピニオン移動体の回転を規制する第1突出部と、ピ
ニオン移動手段のレバーの溝に係合している第2突出部
とを有する、回転規制部材である。回転規制部材が可動
鉄心の移動により駆動されると、第1突出部はピニオン
移動体の凹凸部に係合して回転を規制する。一方、第2
突出部は係合している溝に沿ってスライドしてレバーを
傾動させ、レバーの他端でピニオン移動体を所定位置に
まで押し出す。それゆえ、マグネットスイッチの可動鉄
心が所定距離移動し、メインスイッチが閉じてモータに
通電される時までには、回転規制手段によるピニオン移
動体の回転規制と、ピニオン移動手段によるピニオン移
動体の所定位置までの押し出しとが完了している。この
状態からモータの回転駆動力で駆動軸が回転を始め、回
転を規制されているピニオン移動体は、スプラインの作
用でリングギヤとの噛み合い位置へと強力に押し出され
る。
【0013】すなわち、本手段では、スプラインによる
ピニオン移動体の押し出し作用が始まる時点で、簡素な
構成の回転規制部材およびレバーにより、ピニオン移動
体の回転規制および所定位置までの押し出しがなされて
いる。したがって本手段によれば、前述の第2手段およ
び第3手段の効果に加えて、簡素かつ安価に回転規制手
段およびピニオン移動手段を製造することができ、いっ
そう軽量安価で信頼性が高いスタータを提供することが
できるという効果がある。
【0014】(第4手段)本発明の第4手段は、請求項
4記載のスタータである。本手段では、回転規制部材が
ピニオン移動手段に係合した時に、ピニオン移動手段を
駆動軸の反回転方向に相対回転させるように付勢するた
めに、ピニオン移動手段は、駆動軸の捩じれスプライン
に沿って所定位置まで前進する。そして、駆動軸が回転
すると、回転規制手段はそのままピニオン移動手段を回
転規制しているので、ピニオン移動手段は駆動軸との相
対回転によってさらに前進し、通常の噛み合い駆動位置
に到達する。
【0015】したがって本手段によれば、特に別の部品
を用意することなく、回転規制部材にピニオン移動体所
定位置までの前進とピニオン移動体の回転規制という2
つの機能を持たせることができる。その結果、部品点数
の低減、さらなる小型軽量化、および大幅なコストダウ
ンが図れるという効果がある。 (第5手段)本発明の第5手段は、請求項5記載のスタ
ータである。
【0016】本手段では、マグネットスイッチの可動鉄
心が移動してメインスイッチが閉じ、モータに通電され
て駆動軸が回転を始める際には、すでにピニオン移動手
段および前記回転規制手段が作動している。すなわち、
駆動軸が回転を始める際には、すでに、ピニオン移動手
段によりピニオン移動体はリングギヤ寸前の適正な位置
へ移動済みであり、また、回転規制手段によりピニオン
移動体の回転は規制されていてスプラインの押し出し作
用が強力に得られる。
【0017】しかも、ピニオン移動手段および回転規制
手段の作動は、マグネットスイッチの可動鉄心の移動の
一挙動によって行われている。それゆえ、ピニオン移動
手段および回転規制手段を駆動する駆動手段は、マグネ
ットスイッチ一つで事足り、構成が簡素になっている。
したがって本手段によれば、前述の各手段の効果に加え
て、ピニオン移動手段および回転規制手段(さらにモー
タも)がマグネットスイッチの一挙動で作用し、構成が
簡素であるから、スタータはよりいっそう安価になりそ
の信頼性も向上するという効果がある。
【0018】
〔実施例1〕
(実施例1の構成)本発明の実施例1としてのスタータ
(エンジン始動装置)では、図1に示すように、構造部
材が前方から、フロントケース(ハウジング)2、セン
タケース17、ヨーク(継鉄)3、ブラシホルダ5、リ
ヤケース10の順で配設されている。フロントケース2
とリヤケース10との間に図示しないスルーボルトが渡
されており、両ケース2,10の間にセンタケース1
7、ヨーク3およびブラシホルダ5が挟持され、互いに
隣り合う部材と嵌合して固定されている。
【0019】ブラシホルダ5およびリヤケース10は、
それぞれ絶縁性の樹脂成形部材で軽量であるから、フロ
ントケース2からの慣性モーメントが小さく、スタータ
が揺れ振動しにくい。なお、本実施例のスタータの前方
・後方などの方向の表記については、各図中に付記され
た方向を示す矢印に従うものとする。フロントケース2
およびセンターケース17の内部には、駆動軸としての
出力軸22が、軸方向に移動規制され軸回りに回転自在
に軸支されている。すなわち、出力軸22の先端部22
dは、フロントケース2の先端部に固定されている軸受
け31に支承されている。また、出力軸22の後部22
eは、センタケース17の有底部17aの中央の筒部1
7bにおいて、略回転対称形状のセンタケース17に対
して同軸に固定されている軸受け32に支承されてい
る。
【0020】フロントケース2内部にある出力軸22の
中間部には、外周面の一部に捻れ(捩れまたはヘリカル
とも)スプライン22cが形成されている。出力軸22
のスプライン22cには、ピニオン移動体26の中央の
貫通孔の内周面に形成されている捻れスプライン26c
が係合しており、ピニオン移動体26は、出力軸22の
スプライン22cに沿って軸方向に移動可能に保持され
ている。
【0021】ピニオン移動体26の前部から中間部にか
けては、エンジンの駆動軸(例えばクランク軸)に設け
られているリングギヤ34と噛み合うピニオンギヤ26
aが、一体に形成されている。一方、ピニオン移動体2
6の後端部には、ピニオンギヤ26aの外径よりも外径
が大きく、外周面に周方向に複数の凹凸が配設されてい
る凹凸部26dが、同様に一体に形成されている。さら
に、ピニオン移動体26の後端面には、コロ35で軸方
向に支承され回転自在でありながら、軸方向にはピニオ
ン移動体26に対して移動が規制されているワッシャ3
6が配設されている。すなわち、ピニオン移動体26の
後端面とコロ35とワッシャ36とで、スラスト軸受け
状の構造が形成されている。また、ピニオン移動体26
は、その前端面に一端を当接している付勢スプリング
(圧縮コイルばね)29により、常時後方に押圧付勢さ
れている。
【0022】センタケース17の内部には、インターナ
ルギヤ18、遊星ギヤ19およびサンギヤ8cを構成要
素とする遊星減速装置50が収容されている。すなわ
ち、センタケース17の内周面に接合してインターナル
ギヤ18が固定されており、インターナルギヤ18の内
周面のギヤ部18aには、複数の遊星ギヤ19が内接し
て噛み合っている。
【0023】各遊星ギヤ19は、それぞれその軸心にお
いて軸受け20を介してピン21で回転自在に軸支され
ており、各ピン21は、それぞれ出力軸22の後端部を
形成している鍔部22aに固定されている。それゆえ、
出力軸22の鍔部22aにより、各遊星ギヤ19は出力
軸22回りに公転可能に保持されている。各遊星ギヤ1
9の中心には、モータ100の回転軸(電機子軸)80
の先端部付近に形成されているサンギヤ部8cが配設さ
れており、全ての遊星ギヤ19と噛み合っている。した
がって、モータ100の軸出力は、回転軸80から遊星
減速装置50を介して回転数が数分の一程度に減速さ
れ、出力軸22からピニオンギヤ26cへと伝達され
る。
【0024】遊星減速装置50とモータ100とは、隔
壁23により仕切られている。なお、インターナルギヤ
18の前部内周にはカム室18bが一体に形成されてお
り、カム室18bとセンタケース17の中央筒部17b
の外周面と両者に介在している複数のローラ101と
で、ワンウェイクラッチが形成されている。モータ10
0は、ヨーク3および固定磁極4とからなる固定子40
と、回転軸80にサンギヤ8cが形成されている電機子
(アーマチャ)8と、複数のブラシ6を保持しているブ
ラシホルダ5とから構成されている。モータ100の回
転軸80は、先端部8dで出力軸22の後端面に開口し
ている凹部(盲孔)22b内に固定されている軸受け3
2により、後端部8bでブラシホルダ5の中央部の盲孔
5bに固定されている軸受け30により、回転自在に支
承されている。
【0025】回転軸80を中心に回転する電機子8の後
部には、円筒状の整流子8aが配設されている。一方、
ブラシホルダ5の複数の箱状凹部5aに保持された各ブ
ラシ6は、それぞれスプリング7により中心方向へ付勢
されており、所定の押圧力で整流子8aと摺動可能に当
接して、整流子8aと電気的に導通している。スタータ
の後端部分には、椀状のリヤケース10がブラシホルダ
5の後端部と嵌合して固定されている。リヤケース10
の内部には、マグネットスイッチ12が軸心を上下方向
に配設されて固定されている。マグネットスイッチ12
は、可動鉄心14と可動鉄心14を磁気吸引する電磁コ
イル13とを有し、可動鉄心14の上部には、可動接点
15が可動鉄心14から上方へ突出しているロッドに固
定保持されている。
【0026】リヤケース10の上部には、正極端子11
が外側に突出して固定されており、リヤケース10の上
部の内部には、正極端子11と導通している固定接点1
1aが固定されている。リヤケース10の内部には、固
定接点11aと所定距離を空けて隣接している固定接点
(図略)があり、ブラシ6の半数に図示しない被覆導線
で導通している。
【0027】リヤケース10の内部空間の上部には、可
動接点15、固定接点11aおよび他の上記固定接点
(図略)からなるメインスイッチ60が構成されてい
る。電磁コイル13に通電されて、可動鉄心14が電磁
コイル13内に吸引されると、可動接点15は可動鉄心
14とともに上方へ移動し、固定接点11aおよび他の
上記固定接点(図略)とを導通させ、メインスイッチ6
0が閉じてモータ100に通電される。ここで、非通電
時の可動接点15と固定接点11aとの距離をL2と定
義しておく。
【0028】可動鉄心14の下端部14aには、ステン
レス鋼の縒り線等からなるワイヤケーブル16の一端
(後端部)16aが接続されている。ワイヤケーブル1
6は、この一端16aから下方に延在し、リヤケース1
0に軸支されているシーブ16cで前方に向きを変え、
リヤケース10の内部空間の下部に前後方向に形成され
ている溝を通って前方に延在している。ワイヤケーブル
16は、さらにブラシホルダ5、ヨーク3およびセンタ
ケース17の下面の外周面に沿って前方に延在し、フロ
ントケース2の内部空間の下部に前後方向に形成され得
ている溝に導入されている。ブラシホルダ5、ヨーク3
およびセンタケース17の下面の外周面には、ワイヤケ
ーブル16が露出しないように下方に凸の樋上のカバー
38が固定され、ワイヤケーブル16を覆っている。
【0029】フロントケース2に導入されているワイヤ
ケーブル16は、フロントケース2に軸支されているシ
ーブ16dで上方に向きを変え、他端(前端部)16b
を略上方に延在させている。ワイヤケーブル16の他端
16bは、その先端で回転規制部材としてのコイル状弾
性部材25の第2突出部としての下部突出部25bに接
合されている。ここで、シーブ16c,16dは、溝が
十分に深く、溝の外縁部がリヤケース10およびフロン
トケース2の内壁面に近接しているので、ワイヤケーブ
ル16が緩んでもワイヤケーブル16がシーブ16c,
16dから外れることはない。
【0030】コイル状弾性部材25は、図2に示すよう
に、ばね鋼等からなる線材を屈曲させて形成されている
部材であり、回転規制手段の一部をなす回転規制部材で
ある。コイル状弾性部材25は、略コイル状の本体部分
25cの上端から直角に屈曲して前方に突出している第
1突出部材としての棒状の上部突出部25aを有してい
る。また、本体部分25cの下端部からは、直角に屈曲
した第2突出部としての棒状の下部突出部25bが前方
へ突出しており、下部突出部25bの前端部25dは右
方へ直角に屈曲して、所定の長さの水平部分を形成して
いる。
【0031】コイル状弾性部材25の上部突出部25a
の根本部分は、マグネットスイッチ12が作動してワイ
ヤケーブル16が引かれると、貫通溝24bに沿って下
降する。すると、ピニオン移動体26の外周の凹凸部2
6dの凹部(図1および図3参照)に、はまり込んで、
ピニオン移動体26の回転を規制する。上部突出部25
aの長さは、モータ100作動時にピニオン移動体26
が所定距離前進しても、ピニオンギヤ26aがリングギ
ヤ34に十分な深さで噛み合うまで上記凹部に係合し、
ピニオン移動体26の回転を規制するだけの長さがあ
る。なお、ピニオン移動体26の凹凸部26dの凸部と
上部突出部25aとの間隔は、距離L1と定義する。
【0032】一方、コイル状弾性部材25の下部突出部
25bは、中間部分または根本部分でワイヤケーブル1
6の他端部16bが巻き付けられて溶接されており、前
端部25dはレバー37の溝37cを貫通してレバー3
7の下半部と係合している。コイル状弾性部材25の上
部突出部25aおよび下部突出部25bは、再び図1に
示すように、プレート24の上半部および下半部に開け
られている貫通溝24b,24cをそれぞれ貫通して、
フロントケース2の内部空間に突出している。それゆえ
図3に示すように、コイル状弾性部材25には貫通溝2
4b,24cに沿って上下動可能に保持されている。
【0033】また、図3に示すように、一端がプレート
24の前面に固定されているスプリング(ねじりコイル
ばね)33が、上部突出部25aを上方に押圧付勢して
おり、コイル状弾性部材25は常時上方に付勢されてい
る。それゆえ、マグネットスイッチ12の作動時以外に
は、コイル状弾性部材25は可動範囲の上端に位置して
いる。なお、再び図1に示すように、コイル状弾性部材
25の本体部分25cは、プレート24とセンタケース
17の有底部17aとの間の間隙に収容されているの
で、コイル状弾性部材25の各方向への傾動は規制され
ている。
【0034】レバー37は、外形が「く」の字型の機能
部材であり、鋼板打ち抜き加工によって形成されてい
る。レバー37は、プレート24から切り起こされて前
方へ突出している支柱24aに、レバー37の形状が屈
折している中央部のピボット37aで軸支されており、
前後に傾動可能である。レバー37の下半部は下端部を
やや前方に出す方向に傾いており、同下半部には貫通溝
37cが形成されている。この貫通溝37cには、コイ
ル状弾性部材25の下部突出部25bの前端部25dが
貫通して、貫通溝37cに沿ってスライド可能に係合し
ている。
【0035】それゆえ、マグネットスイッチ12が作動
してコイル状弾性部材25が下方に移動すると、コイル
状弾性部材25の下部突出部25bは貫通溝37cをス
ライドし、レバー37の下半部の傾きが減って上下方向
に沿って立つ。すると、ピボット37aを挟んで反対側
にあるレバー37の上端部37bは、レバー37の傾動
に伴って前方へ移動する。この上端部37aは、ピニオ
ン移動体26の後端面を形成しているワッシャ36に当
接しているので、ピニオン移動体26はレバー37の上
端部37bに押されて前方の所定位置まで押し出され
る。この所定位置は、図4に示すように、ピニオンギヤ
26aがリングギヤ34に噛み合う直前の位置である。
【0036】なお、前述のように、マグネットスイッチ
12が作動していない状態で、コイル状弾性部材25の
上部突出部25aとピニオン移動体26の鍔部26bと
の間隔を距離L1とし、マグネットスイッチ12のメイ
ンスイッチ60の固定接点11aと可動接点15との間
隔を距離L2とする。すると、L2はL1と同等か、L
1よりもやや長めに設定されている。それゆえ、マグネ
ットスイッチ12が作動して可動鉄心14が吸引され、
コイル状弾性部材25がワイヤケーブル16を介して引
き下げられる際に、コイル状弾性部材25の上部突出部
25aがピニオン移動体26の凹凸部26dと係合する
までは、メインスイッチ60が閉じることがない。
【0037】(実施例1の作用)以上のように構成され
ている本実施例のスタータは、図示しないキースイッチ
操作によりマグネットスイッチ12の吸引コイル13に
通電されると、次のように作用する。まず、可動鉄心1
4が吸引コイル13に磁気吸引されて上方へ移動し、そ
れに連動してワイヤケーブル16がマグネットスイッチ
12側へ引っ張られて、コイル状弾性部材25がスプリ
ング33の付勢力に抗して引き下げられる。すると、コ
イル状弾性部材25の下部突出部25bの前端部25d
は、レバー37の貫通溝37c内をスライドしてレバー
37を図1中で反時計回りに傾動させる。
【0038】その結果、レバー37の上端部37bはピ
ニオン移動体26を後方から押して、前方へ所定距離だ
け前進させる。その際、ピニオン移動体26は、まだ回
転を始めていない出力軸22の捩れスプライン22cに
沿って螺旋状(ヘリカル)に回動しつつ前進する。ピニ
オン移動体26の後端面を形成しているワッシャ36
は、コロ36を介してモーメントフリーにピニオン移動
体26に取り付けられているので回動せず、レバー37
の上端部37bに無理な横力を与えてこれを破損するこ
とがない。
【0039】マグネットスイッチ12の可動鉄心14に
引かれたワイヤケーブル16により傾動して、ピニオン
移動体26を前方の所定位置に押し出すレバー37は、
ピニオン移動手段を構成している。ピニオン移動手段の
作動の結果、ピニオン移動体26は、図4に示すよう
に、ピニオンギヤ26aがリングギヤ34の端面の付近
に前進する。
【0040】一方、コイル状弾性部材25の上部突出部
25aは、再び図4に示すように、ピニオン移動体26
の凹凸部26dの凹部にはまりこみ、ピニオン移動体2
6の回転を規制するに至る。すなわち、ピニオン移動体
26の凹凸部26dと係合しているコイル状弾性部材2
5の上部突出部25aで、回転規制手段が構成されてい
る。
【0041】次に、この状態で、メインスイッチ60の
可動接点15が固定接点11aおよび図示しない固定接
点に当接してメインスイッチ60が閉じ、モータ100
に通電される。すると、電機子8が回転を始め、その回
転軸80からの軸出力が遊星減速装置50で減速されて
出力軸22を回転駆動する。しかし、ピニオン移動体2
6は上記回転規制手段により回転が規制されているの
で、回転を始めた出力軸22のスプライン22cは、ピ
ニオン移動体26を前方へ押し出し始める。
【0042】その結果、ピニオンギヤ26aがリングギ
ヤ34に噛み合い始め、図5に示すように、所定の噛み
合い深さに達すると、コイル状弾性部材25の上部突出
部25aがピニオン移動体26の凹凸部26dから外れ
て回転規制が解かれる。すると、上部突出部25aは、
コイル状弾性部材25のばね弾性により下方へわずかに
移動して、ピニオン移動体26の後端面を形成している
ワッシャ36に対面し、ピニオン移動体26の後退を規
制する作用も果たす。
【0043】こうして上部突出部25aが凹凸部26d
から外れて回転規制が解かれると、ピニオン移動体26
は出力軸22に駆動されて回転を始め、リングギヤ34
を回転駆動し始める。その際、出力軸22からピニオン
移動体26にかかるトルクにより、スプライン22cに
沿ってピニオン移動体26はモータ100の駆動力で強
力に前方へ押し出される。
【0044】そして、完全にピニオンギヤ26aがリン
グギヤ34と噛み合う位置にまでピニオン移動体26が
前進すると、ピニオン移動体26の前進は止まり、出力
軸22に対してピニオン移動体26が滑ることなく、強
力にリングギヤ34を回転駆動するに至る。こうしてエ
ンジンが始動される。逆に、キースイッチ(図略)の操
作により、マグネットスイッチ12の吸引コイル13へ
の通電が停止すると、可動鉄心14を上方へ吸引してい
た磁気力が消失する。すると、スプリング33のバネ弾
性力により、コイル状弾性部材25が上方へ押し戻さ
れ、上部突出部25aがピニオン移動体26の後方から
外れて、ピニオン移動体26の後退規制が解除される。
【0045】コイル状弾性部材25の復帰に伴って、レ
バー37も傾動して元の位置(図1参照)に復帰し、コ
イル状弾性部材25も、下部突出部25bがレバー37
の貫通溝37cに沿ってスライドして、元の位置(図1
参照)に復帰する。コイル状弾性部材25の復帰に伴
い、その下部突出部25bに端部16bが接合されてい
るワイヤケーブル16も前方へ引き出され、可動鉄心1
4とともに元の位置(図1参照)に復帰する。
【0046】この際、可動鉄心14とともに可動接点1
5が下降するので、可動接点15は固定接点11aとの
接触が無くなり、メインスイッチ60が開いてモータ1
00への通電が遮断される。すると、ピニオン移動体2
6は、逆にトルクがかかっているスプライン22cとス
プリング29との作用により後方へ押し戻され、図1に
示す元の位置へ復帰する。
【0047】このとき、仮にコイル状弾性部材25およ
びレバー37が復帰途上であっても、ピニオン移動体2
6の元の位置への復帰に伴い、レバー37の上端部37
bがピニオン移動体26のワッシャ36に押し戻され
る。それゆえ、レバー37、コイル状弾性部材25、ワ
イヤケーブル16および可動鉄心14は、完全に元の位
置(図1参照)に復帰し、スタータの作用は終了する。
【0048】(実施例1の効果)本実施例のスタータ
は、以上のように構成されており作用するので、次に述
べる効果を発揮する。第1に、スタータが軽量化される
効果がある。すなわち、メインスイッチ60が閉じてモ
ータ100に通電され、出力軸22が回転を始める時点
では、すでにピニオン移動体26はピニオン移動手段で
あるレバー37に押し出され、リングギヤ34と噛み合
う直前の所定位置にまで移動している。それゆえ、出力
軸22が回転を始めて捩じれスプライン22cの作用で
ピニオンギヤ26aが移動を始めると、わずかの距離の
移動でリングギヤ34と噛み合い始める。出力軸22が
回転を始めてからリングギヤ34と噛み合い始めるまで
ごく短時間しか経っていないので、出力軸22の回転速
度はまだ低い段階にあり、ピニオンギヤ26aはリング
ギヤ34と比較的ゆっくりと噛み合う。
【0049】その結果、噛み合い衝撃は軽微になるの
で、モータ100からピニオンギヤ26aに至るまでの
遊星減速装置50を含む駆動系にかかる衝撃荷重は、大
幅に小さくなる。その結果、この駆動系を構成している
各部品の剛性強度に対する要求は大きく緩和される。そ
れゆえ、スタータをより軽量に製造することが可能にな
るという効果がある。
【0050】第2に、前述のように軽量なスタータを、
より安価に提供できるという効果がある。すなわち、上
記駆動系の剛性強度の要求が緩和され、各部品の容積が
小さくて済む分、部品価格も安価になるので、スタータ
の価格を安価にすることが可能になる。
【0051】第3に、ピニオンギヤ26aとリングギヤ
34との噛み合い衝撃が小さいので、噛み合い時の衝撃
騒音が小さくなるという効果がある。同時に、両ギヤ2
6a,34の歯の一部が欠けるなどの破損も防止され、
両ギヤ26a,34の寿命が延びるという効果も生じ
る。また、スタータを支持している部分への衝撃荷重も
減少し、スタータ全体およびエンジン側の取り付け部
で、いっそう軽量化を進めることができるという効果も
ある。
【0052】第4に、信頼性も高いという効果がある。
すなわち、モータ100に通電され出力軸22が回転を
始める際に、回転規制手段によりピニオン移動体26の
回転が規制されている。それゆえ、出力軸22が回転を
始めてしばらく、ピニオン移動体26は回転しないの
で、スプライン嵌合の作用により、ピニオン移動体26
はリングギヤ34と噛み合うまで強力に押し出される。
【0053】また、ピニオンギヤ26aがリングギヤ3
4とある程度噛み合うと、回転規制手段のコイル状弾性
部材25の上部突出部25aが本体部分25cの弾性で
下降し、ピニオン移動体26の後端面に対向する。それ
ゆえ、ピニオン移動体26の後退が規制される作用も生
じており、噛み合いの信頼性は向上している。さらに、
ピニオン移動手段や回転規制手段を構成しているコイル
状弾性部材25およびレバー37の構造が簡素であり、
設計しやすく製造しやすい。また、コイル状弾性部材2
5およびレバー37の操作は、マグネットスイッチ12
の可動鉄心14の一挙動で行われているので、信頼性が
高い。
【0054】したがって、リングギヤへのピニオンギヤ
の噛み合いが、より速やかに、かつ確実に行われなが
ら、信頼性もいっそう向上するという効果がある。 (実施例1の変形態様1)リヤケース10は、前述の実
施例1ではモータ100の後蓋を形成しているブラシホ
ルダ5と同程度の直径の椀型の形状としている。しか
し、マグネットスイッチ12を格納して保持しているの
が、リヤケース10の主要な機能であるから、リヤケー
ス10を小型化した変形態様が可能である。
【0055】すなわち、図6に示すように、リヤケース
10’の平面形状をスリム化した変形態様が可能であ
る。本変形態様では、リヤケース10’の内部空間は、
ほとんどマグネットスイッチ12を収容する空間のみで
ある。リヤケース10’は、上下左右をボルトでブラシ
ホルダ5’に固定されているが、実施例1よりも容積が
かなり減少し、エンジンルーム内の空間の占有率も減少
している。そればかりではなく、軽量にもなっているの
でスタータがいっそう軽量化されるという効果がある。
また、スタータ取り付け部から最もモーメントアームが
長い部分での重量軽減であるから、慣性モーメントの減
少も大きく、スタータの揺れ振動がより少なくなるとい
う効果もある。
【0056】(実施例1の変形態様2)実施例1では、
コイル状弾性部材25を駆動するのに、ワイヤケーブル
16を使用していたが、ワイヤケーブル16以外の手段
でマグネットスイッチ12の可動鉄心14の移動を伝達
する変形態様も可能である。可動鉄心14の駆動力の伝
達手段としては、例えば、プッシュプルロッドによる伝
達機構や、トルクロッドによる伝達機構、またはガイド
チューブ内に挿置されているフレキシブルワイヤ等があ
る。いずれの伝達手段によっても、前述の実施例1の作
用効果を得る設計が可能である。
【0057】[実施例2]ここで、本実施例以下の各実
施例では、前述の実施例1と符号が異なっていることを
お断りしておく。 (実施例2の構成)本実施例のスタータ1は、図7に示
すように、回転力を発生する始動モータ2、始動モータ
2の回転を減速する遊星歯車減速装置(後述)、この減
速装置の回転出力を受けて回転する出力軸(駆動軸)
3、出力軸3に嵌合するピニオン移動体4、始動モータ
2への通電を制御する電磁スイッチ(マグネットスイッ
チ)5、始動モータ2が回転する前にピニオン移動体4
の回転を規制する回転規制部材(回転規制手段)6(図
8参照)、及びこの回転規制部材6によるピニオン移動
体4の回転規制を解除させるためのプレート7(図11
参照)等から構成されている。
【0058】始動モータ2は、磁気枠を形成する円筒形
状の継鉄8、この継鉄8の内周面に固着された固定磁極
9(例えば複数の永久磁石)、固定磁極9の内周に回転
自在に配されたアーマチャ10、及びアーマチャ10の
後端面(図7の右端面)に設けられた整流子11に摺接
するブラシ12等より構成される。アーマチャ10は、
回転軸13の一端が、アーマチャ10と減速装置との間
を隔てる隔壁板14に保持された軸受15を介して回転
自在に支持され、回転軸13の他端が、アーマチャ10
と電磁スイッチ5との間を隔てる隔壁板16に保持され
た軸受17を介して回転自在に支持されている。
【0059】上記の遊星歯車減速装置は、回転軸13の
一端側外周に形成されたサンギヤ18(外歯)、サンギ
ヤ18の径方向外周に位置するインターナルギヤ19
(内歯)、サンギヤ18とインターナルギヤ19との間
に配されて両ギヤ18、19に噛み合う複数の遊星ギヤ
20、及び遊星ギヤ20を回転自在に支持するキャリア
部21より構成されている。
【0060】インターナルギヤ19は、フロントハウジ
ング22の内周に回転規制されたギヤ構成部材23の内
周面に形成されている。遊星ギヤ20は、キヤリア部2
1に圧入されたピン24の外周に嵌合する軸受25を介
して、回転自在に支持されている。キャリア部21は、
出力軸3の後端部外周に位置し、その出力軸3の後端部
との間にローラ26が介在されて、出力軸3の後端部及
びローラ26とともに一方向クラッチを構成している。
その一方向クラッチは、減速装置の回転出力をローラ2
6を介して出力軸3に伝達する。
【0061】出力軸3は、回転軸13と同軸に配され
て、一端がフロントハウジング22に保持された軸受2
7を介して回転自在に支持され、他端側がギヤ構成部材
23の内筒部23aに保持された軸受28を介して回転
自在に支持されている。出力軸3の両軸受27、28間
の外周面にはヘリカルスプライン(捩じれスプライン)
3aが形成されて、そのヘリカルスプライン3aにピニ
オン移動体4の内周に形成されたヘリカルスプライン4
aが嵌合している。
【0062】ピニオン移動体4は、エンジンの駆動軸に
設けられたリングギヤ29と噛み合うためのギヤ部(ピ
ニオンギヤ)30と、ピニオンギヤ30の後端側(図7
の右端側)に、ピニオンギヤ30より外径が大きく外周
に多数の凹凸部31a(図8参照)が形成された鍔部3
1を有し、この鍔部31の後端面にコロ32を介して回
転自在に支持されたワッシャ33(スラストベアリン
グ)が配設されている。
【0063】このピニオン移動体4は、出力軸3のヘリ
カルスプライン3aとピニオン移動体4のヘリカルスプ
ライン4aとが噛み合うことで、出力軸3上を軸方向に
移動可能に設けられ、ピニオンギヤ30の前方に配され
たスプリング34によって、常時スタータ1の後方側
(反リングギヤ29側)へ付勢されている。電磁スイッ
チ5は、スタータ1の後端に配されて、碗状を成すリヤ
ケース35の内周に固定されている。
【0064】この電磁スイッチ5は、キースイッチ36
(図12参照)が閉じて通電される吸引コイル37と、
この吸引コイル37の内周を移動可能に配されたプラン
ジャ(可動鉄心)38とを具備し、そのプランジャ38
の移動に伴って始動モータ2の通電回路(図12参照)
に介在されたモータ接点(後述)を開閉する。なお、吸
引コイル37及びプランジャ38は、プランジャ38の
移動方向がリヤケース35の径方向(図7の上下方向)
となる様に配設されている。
【0065】モータ接点は、図12に示す様に、プラン
ジャ38の上端部に取り付けられた可動接点39、リヤ
ケース35に固定されるバッテリ端子40と一体に設け
られたバッテリ側固定接点41、およびブラシ12(正
極側)に接続されたモータ側固定接点42から成り、プ
ランジャ38が吸引されて図7の上方へ移動した時に、
可動接点39が両固定接点41、42に当接することで
両固定接点41、42が導通する。
【0066】回転規制部材6は、図8に示す様に、例え
ば金属製の棒状部材をループ状に巻回して、両端部6
a、6bを略直角に同一方向へ折り曲げて形成されてい
る。この回転規制部材6は、ループ状に巻回された部位
が、ギヤ構成部材23の前方に配されたプレート7とギ
ヤ構成部材23との間に形成される空間内で、ギヤ構成
部材23の内筒部23a外周に配されて、同一方向へ折
り曲げられた両端部6a、6bがプレート7より前方へ
取り出され、プレート7に対して全体が図7の上下方向
に移動可能に設けられている。
【0067】プレート7より前方へ取り出された一方の
端部6a(以下、上部突出部6aと言う)は、プレート
7の径方向上部(ピニオン移動休4の鍔部31の外周面
より径方向外側)より取り出されて、その先端面がピニ
オン移動体4の鍔部31より前方に位置している。ま
た、他方の端部6b(以下、下部突出部6bと言う)
は、プレート7の径方向下部より取り出されて、その先
端面がピニオン移動体4のワッシャ33より後方に位置
している。
【0068】図9及び図10はピニオン移動体4の凹凸
部31aと回転規制部材6の静止時と作動時の関係を、
また、図11は回転規制部材6とプレート7の関係を示
しており、それぞれピニオン移動体の前進方向(リング
ギヤ側)から見た図である。回転規制部材6の下部突出
部6bは、回転規制部材6の移動方向下方のほぼ中央に
位置しており、上部突出部6aは、ピニオン移動体4を
挟んで反対側の移動方向上方から図中やや左方へ変位し
た位置に設けられている。回転規制部材6は、その弧状
の両側部がプレート7の一部を折り曲げられて設けられ
たガイド壁7dによって摺接支持され、図中上下方向に
摺動できるようになっている。
【0069】回転規制部材6は、プレート7に固定され
たスプリング43が下部突出部6bに係合して、そのス
プリング43の付勢力によって常時図7の上方へ付勢さ
れている。また、ロッド44を通じて電磁スイッチ5の
作動力(プランジャ38の移動)が伝達されることによ
り、スプリング43の付勢力に抗して図7の下方へ移動
することができる。
【0070】ロッド44は、再び図7に示すように、プ
ランジャ38に係合してプランジャ38の移動に追従す
る移動部44aと、下部突出部6bに係合して下部突出
部6bを作動させる作動部44bと、移動部44aと作
動部44bとを繋ぐ棒状の連結部44cとから成り、こ
の連結部44cがアーマチャ10の径方向外側及び減速
装置の外側を回転軸13と略平行に延びている。このロ
ッド44においては、連結部44cが2個の軸受(図示
しない)によって回転自在に支持されており、移動部4
4aがプランジャ38に追従して移動すると、その移動
部44aの動きが連結部44cの回転運動に変換され
て、その連結部44cと共に回転する作動部44bが下
部突出部6bを作動させることができる。
【0071】プレート7は、図11に示す様に略円形に
設けられており、外周縁に形成された2箇所の突起部7
aでフロントハウジング22に対して回転規制されてい
る。このプレート7には、上部突出部6aが取り出され
る開口部7bと下部突出部6bが取り出される開口部7
cとが設けられており、上部突出部6aが取り出される
開口部7bは、上部突出部6aが鍔部31の凹凸部31
aに係合したままピニオン移動体4の回転に引きずられ
て移動できる様に、ピニオン移動体4の回転方向へ延び
て形成されている。
【0072】また、この実施例において、出力軸3の回
転方向は図7左方から見て右回転であり、出力軸3のヘ
リカルスプライン(捩じれスプライン)3aの捩じれ方
向は、ピニオン移動体4がリングギヤ29に噛み合うよ
うに移動する方向に向かって右ねじの方向である。 (実施例2の作用)次に、本実施例の作動を説明する。
【0073】図12に示すように、キースイッチ36を
閉じると、バッテリ45から電磁スイッチ5の吸引コイ
ル37に電流が流れて磁力が発生し、その磁力によりプ
ランジャ38が図7の上方へ吸引されて移動する。この
プランジャ38の移動により図10に示すようにロッド
44がA方向に回動し、作動部44bを介して回転規制
部材6に伝達されて、荷重Fの力で回転規制部材6がス
プリング43(図11参照)を撓ませながら図10の下
方へ移動する。
【0074】すると、回転規制部材6の上部突出部6a
がピニオン移動体4の鍔部31の外周に設けられた凹凸
部31aに係合するが、ピニオン移動体4に掛かる荷重
Fがピニオン移動体4の中心Opに向かわず、左にずれ
て掛かるように係合するので、ピニオン移動体4には、
中心Opに向かう荷重Fcと周方向に働く荷重Fsが分
力として働く。すなわち、ピニオン移動体4は図10中
左回転方向に荷重Fsの回転力を受けることになる。
【0075】ピニオン移動体4は出力軸3のヘリカルス
プライン3aに嵌合しており、そのヘリカルスプライン
3aはピニオン移動体4がリングギヤ29に噛み合うよ
うに移動する方向に向かって右ねじの方向に捩じれてい
るため、ピニオン移動体4は図10の手前側に前進する
ことになる。回転規制部材6は、以上のようにピニオン
移動体4がヘリカルスプライン3aに沿って前進しなが
ら僅かに回転するのを許容しているが、それは回転規制
部材6の弾性変形の範囲のことであり、それ以上の回転
は許容しないように回転規制することになる。そして、
回転規制部材6は、上部突出部6aがピニオン移動体4
の凹凸部31aに係合したまま左回転方向に移動すると
ともに、ロッド44のA方向への回動でさらに下部突出
部6bが下方へ移動するように全体が弾性変形する。
【0076】一方、図12に示すように、電磁スイッチ
5では、プランジャ38の移動により可動接点39が両
固定接点41、42に当接して両固定接点41、42間
を閉じることにより、バッテリ45からアーマチャ10
に電流が流れてアーマチャ10が回転を開始する。再び
図7に示すように、アーマチャ10の回転は、減速装置
で減速された後、出力軸3に伝達されて出力軸3が回転
する。この出力軸3の回転によってピニオン移動体4も
回転しようとするが、前述のようにピニオン移動体4が
回転規制部材6によって回転規制されているため、出力
軸3の回転がヘリカルスプライン3a、4aの噛み合い
によってピニオン移動体4に推力として作用する。これ
により、ピニオン移動体4が出力軸3上をさらに前進し
て、ピニオン移動体4のピニオンギヤ30の端面がリン
グギヤ29の端面に当接する。
【0077】この時、鍔部31の凹凸部31aに係合し
ている上部突出部6aは、ピニオン移動体4の回転方向
に撓むことができるため、ピニオン移動体4が少なくと
もピニオンギヤ30の1ピッチ分回転する間にピニオン
ギヤ30の歯溝とリングギヤ29の歯筋が合って噛み合
い可能となり、再びピニオン移動体4が出力軸3上を前
進してピニオンギヤ30がリングギヤ29と噛み合う。
【0078】ピニオン移動体4が充分に前進してピニオ
ンギヤ30とリングギヤ29とが噛み合うと、それまで
凹凸部31aに係合していた上部突出部6aが凹凸部3
1aから外れてピニオン移動体4後端に設けられたワッ
シャ33の後方に入り込むことで、ピニオン移動体4の
後退を阻止する。エンジンが始動した後は、キースイッ
チ36(図12参照)を開いて吸引コイル37への通電
を停止すると、電磁スイッチ5のプランジャ吸引力が消
滅して、ロッド44を介して回転規制部材6を図7の下
方へ付勢していた荷重がなくなる。この結果、スプリン
グ43の反力によって回転規制部材6が図7の上方へ押
し戻されるため、上部突出部6aはピニオン移動体4後
端面のワッシャ33の後方から離れて、スタータ起動前
の静止位置(図7に示す位置)へ復帰する。
【0079】(実施例2の効果)本実施例によれば、電
磁スイッチ5の接点が導通してアーマチャ10に通電さ
れ始動モータが回転を始める時点で、既にピニオン移動
体4のピニオンギヤ30はリングギヤ29の端面近くま
で前進している。そこからアーマチャ10が回転を始め
ても、アーマチャ10や減速装置の慣性による回転エネ
ルギーが高まらないうちにピニオンギヤ30とリングギ
ヤ29の噛み合いが完了する。それゆえ、ピニオンギヤ
30やリングギヤ29、及び駆動力伝達経路の各部に与
える衝撃荷重は格段に低く抑えることができ、これらの
損傷や破損を防止できる優れた効果がある。
【0080】また、ピニオン移動体4が回転規制された
状態でアーマチャ10が回転し、出力軸3との相対回転
によってヘリカルスプライン3a、4aの作用でピニオ
ン移動体4が前進するということは、ピニオン移動体4
の前進力が出力軸3の回転速度に比例するということ、
すなわち、出力軸3が回転し始めてから所定の回転速度
に到達するまでは時間とともに前進力が上がることを意
味している。それゆえ、従来技術のようにピニオン移動
体4の静止位置から出力軸3の回転が始まるものに比
べ、本実施例では、ピニオンギヤ30がリングギヤ29
の端面に到達する時点の前進力および回転力は低く抑え
られることになり、ピニオンギヤ30とリングギヤ29
の端面同士が当接した時のバウンスがほとんど発生しな
い。したがって、ギヤ同士の歯溝と歯筋の飛び越し(回
転方向に最短距離で歯溝と歯筋が合うまでピニオンギヤ
30が回転しても噛み合い方向に前進せず、そのまま回
転し続けてしまうこと)も発生することがないので、噛
合性が高いスタータを提供することができる。
【0081】(実施例2の変形態様)本実施例では、電
磁スイッチ5の接点が導通して出力軸3が回転し始める
時点でピニオンギヤ30がリングギヤ29の端面近傍ま
で前進しているものと設定して説明した。しかし、回転
規制部材6の上部突出部6aによる回転方向の付勢力に
よってピニオンギヤ30がリングギヤ29に少なからず
噛み合い始めた時点で、始動モータへの通電が開始され
るような寸法及び移動設定をした変形態様でも、上記の
実施例2と同様の効果が得られることは明らかである。
【0082】[実施例3] (実施例3の構成)図13及び図14は、実施例3にお
けるピニオン移動体4の凹凸部31aと、回転規制部材
6及びプレート7のガイド壁7d、開口部7cとの静止
時および作動時の関係を示す、リングギヤ29側から見
た正面図である。
【0083】本実施例は、実施例2に対し、回転規制部
材6及びプレート7のガイド壁7dの位置と、回転規制
部材6の移動方向とが異なるものである。回転規制部材
6は両側の弧状部の中心をほぼ軸対称とした形状であ
り、上部突出部6aと下部突出部6bは、その軸上のほ
ぼ上下に位置して形成されている。そして、巻回の回数
および両突出部6a,6bの突出方向等は、実施例2と
同様である。
【0084】プレート7のガイド壁7dは、図中右上か
ら左下に向けて傾斜して設けられており、これは回転規
制部材6の下部突出部6bが貫通する開口部7cの長手
方向に対しても傾斜している。 (実施例3の作用)本実施例の作動のうち実施例2と異
なる部分を中心に詳述する。
【0085】電磁スイッチ5の作動により、ロッド44
の作動部44bが回転規制部材6の下部突出部6bを下
方に移動させると、回転規制部材6はプレート7のガイ
ド壁7dに沿って移動させられることとなる。ここで、
開口部7cに対してガイド壁7dが傾斜しているため、
下部突出部6bは開口部7c内で下方に移動するのみで
あるが、回転規制部材6はガイド壁7dの作用で左方に
回動しながら下方へ移動することになる。つまり、静止
時には上部突出部6aはピニオン移動体4の回転軸中心
Opを挟んで下部突出部6bのほぼ反対側に位置してい
るが、スタータが作動すると、上部突出部6aは凹凸部
31aに対し、図14中右側のガイド壁7d上を転がる
ように回転規制部材6が回動する。それゆえ、回転規制
部材6が斜め左下方向に移動してきて係合することにな
り、上部突出部6aが凹凸部31aに係合した状態で付
勢する荷重の方向は、図14のF’の方向となる。この
荷重F’の方向とピニオン移動体4の中心Opとの関係
は、ほぼ実施例2の関係と同様となる。従って、ピニオ
ン移動体4の上部突出部6a係合部に、ピニオン移動体
4を左方に回転させる力Fs’も実施例2と同様に発生
する。
【0086】(第3実施例の効果)このことにより、実
施例2と同様に電磁スイッチ5の接点が閉じ、アーマチ
ャ10に通電されて回転し始めるまでに、ピニオン移動
体4のピニオンギヤ30はリングギヤ29に近接するこ
とになる。それゆえ、アーマチャ10や減速装置の慣性
による回転エネルギーが高まらないうちに、ピニオンギ
ヤ30とリングギヤ29の噛み合いを完了させることが
できる。その結果、ピニオンギヤ30やリングギヤ2
9、及び駆動力伝達経路の各部に与える衝撃荷重が格段
に低く抑えられ、これら部品の損傷や破損を防止できる
優れた効果がある。
【0087】[実施例4] (実施例4の構成)図15〜図18はいずれも、実施例
4におけるピニオン移動体4、回転規制部材6、プレー
ト7のガイド壁7d及びピニオン移動体4がリングギヤ
29に噛み合ってエンジンを駆動している際にピニオン
移動体4の後方端面に当接する後退規制部材106及び
ロッド44の作動を後退規制部材106に伝達する作動
ばね107の関係を示す図である。図15および図16
は、スタータ休止時の状態、図17および図18は、回
転規制部材6の上部突出部6aがピニオン移動体4の凹
凸部31aに係合した状態である。図15〜図18は、
それぞれリングギヤ29側から見た要部正面図と一部軸
方向断面を表す要部側面図とである。
【0088】本実施例は、実施例2および実施例3に対
し、新たに後退規制部材106と作動ばね107とを追
加したものである。それゆえ、実施例2および実施例3
に対し、形状、構成の異なる部分のみ詳述し、他の共通
の部分の説明は省略する。回転規制部材6は、実施例3
のそれとほぼ同様の形状をしており、両側の弧状部の中
心をほぼ軸対称とした形状に金属製の棒状部材をループ
状に巻回して形成されている。
【0089】プレート7のガイド壁7dは、実施例2と
同様に、図中上下方向に縦長で平行に形成されており、
回転規制部材6が図中上下方向に摺動可能なように外形
を摺接支持している。後退規制部材106は、図中下方
に2本の足部106aを備え、プレート7に設けられた
支持部7eによって出力軸3の軸に垂直な軸を中心に回
動可能に支持されている。足部106aの一方には腕部
106bが設けられ、端部には渦巻き状に形成された作
動ばね107が嵌着保持されている。また図16に示す
ように、足部106aの支点を中心として回動する端部
106cは、ピニオン移動体4の後端面をほぼ覆う様に
延設されており、出力軸3を挟んだ両側で『く』字状に
屈曲して凸状部側がピニオン移動体4の後端面に当接し
ている。
【0090】渦巻き状に形成された作動ばね107は、
外周側に位置する端部107aが外形の接線方向に延設
され、ロッド44の作動部44bに当接している。この
状態で作動ばね107は若干撓んでおり、端部106c
がピニオン移動体4の後端面を前進方向に付勢するよう
になっている。この作動ばね107による荷重は、スプ
リング34(図7参照)を撓ませてピニオン移動体4を
前進させるほどの値には設定していない。
【0091】(実施例4の作用)実施例4の作動を次に
説明する。電磁スイッチ5(図7参照)が作動すると、
図17および図18に示すように、ロッド44が回動し
作動部44bが回転規制部材6の下部突出部6bを図中
下方へ押し下げるとともに、作動ばね107の端部10
7aをさらに撓ませる。作動ばね107の荷重が上がる
と、作動ばね107は、後退規制部材106を足部10
6aの支点部を中心に前進方向へ付勢し、ピニオン移動
体4をさらに前進方向へ付勢する。この荷重がスプリン
グ34の荷重を越えて、ピニオン移動体4を前進させ
る。
【0092】ピニオン移動体4がある程度(所定位置ま
で)前進すると、回転規制部材6の上部突出部6aがピ
ニオン移動体4の凹凸部31aに係合する。一方、回転
規制部材6は、上部突出部6aが凹凸部31aに係合し
ても、下部突出部6bが電磁スイッチ5の作動でさらに
撓み、ロッド44がさらに回動と電磁スイッチ5の接点
が閉じ、始動モータ1への通電が開始されてアーマチャ
10が回転し、出力軸3を駆動する。すると、回転規制
されたピニオン移動体4と出力軸3との間に相対回転が
生じて、ピニオン移動体4がリングギヤ29を駆動でき
る位置まで前進することになる。
【0093】ピニオン移動体4が充分に前進すると、回
転規制部材6の上部突出部6aが、ピニオン移動体4の
後端面に追従してきた後退規制部材106の端部106
cの後方に入り込み、後退規制部材106と共同してピ
ニオン移動体4のエンジン駆動時の後退を規制する。エ
ンジンが始動した後は、再び図15および図16に示す
ように、電磁スイッチ5のプランジャが復帰してロッド
44、回転規制部材6、後退規制部材106はそれぞれ
スタータ休止時の位置に戻る。
【0094】本実施例によれば、実施例2および実施例
3と同様に、電磁スイッチ5の接点が閉じて、アーマチ
ャ10が回転し、出力軸3が回転を始める時点で、既に
ピニオン移動体4の所定位置までの前進と回転規制部材
6によるピニオン移動体4の回転規制が行われている。
それゆえ、実施例2および実施例3と同様に、噛み合い
時の衝撃の発生が低く抑えられ、ギヤ類や駆動伝達経路
の各部の損傷、破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1としてのスタータの構成を示す側断
面図
【図2】 実施例1の回転規制部材の形状を示す斜視図
【図3】 実施例1の要部の構成を示す要部正面図
【図4】 実施例1の作用を電磁スイッチ作動時の状態
で示す側断面図
【図5】 実施例1の作用をモータ作動時の状態で示す
側断面図
【図6】 実施例1の変形態様1のリヤケースの形状を
示す平面図
【図7】 実施例2としてのスタータの構成を示す側断
面図
【図8】 実施例2のスタータの要部構成を示す斜視図
【図9】 実施例2のスタータの要部構成を示す正面図
【図10】実施例2のスタータの要部の作用を示す正面
【図11】実施例2のスタータの要部構成を示す背面図
【図12】実施例2のスタータの通電回路図
【図13】実施例3のスタータの要部構成を示す正面図
【図14】実施例3のスタータの要部の作用を示す正面
【図15】実施例4のスタータの要部構成を示す正面図
【図16】実施例4のスタータの要部構成を示す側面図
【図17】実施例4のスタータの要部の作用を示す正面
【図18】実施例4のスタータの要部の作用を示す側面
【符号の説明】
[実施例1] 2:フロントケース 3:ヨーク(継鉄) 4:固
定磁極 5,5’:ブラシホルダ 5a:箱状凹部 5b:
盲孔 6:ブラシ 7:スプリング 8:電機子(アーマチャ) 80:回転軸(モータ軸
または電機子軸) 8a:整流子(コンミテータまたはコミュニテータ) 8b:後端部 8c:サンギヤ部 8d:先端部 9:後部プレート 10,10’:リヤケース 11:正極端子 11a,11b:固定接点 11
c:被覆導線 12:マグネットスイッチ(電磁スイッチ) 13:吸引コイル(電磁コイルとして) 14:可動鉄心 14a:下端部 15:可動接点 16:ワイヤケーブル(ステンレスの縒線ワイヤからな
る紐状部材) 16a:一端 16b:他端 16c,16d:シ
ーブ(滑車) 17:センタケース 17a:有底部 17b:筒
部 18:インターナルギヤ 18a:ギヤ部 19:遊星ギヤ 20:軸受け 21:ピン 22:出力軸(駆動軸として) 22a:鍔部 2
2b:凹部(盲孔) 22c:捻れスプライン部(ヘリカルスプライン、捩れ
スプラインとして) 22d:先端部 22e:後部 23:隔壁 24:プレート 24a:支柱(切り起こしによる突
出部) 24b,24c:貫通溝 24d:切り起こし後の開
口部 25:コイル状弾性部材(回転規制部材として) 25a:上部突出部(第1突出部として) 25b:下部突出部(第2突出部として) 25c:コイル状の本体部部分 25d:前端部 26:ピニオン移動体 26a:ピニオンギヤ 2
6b:鍔部 26c:捻れスプライン部 26d:凹凸部 29:付勢スプリング(圧縮コイルばね) 31,32:軸受け 33:スプリング(ねじりコイ
ルばね) 34:リングギヤ 35:コロ 36:ワッシャ 37:レバー 37a:支点(ピボット) 37b:上端部(他端側として) 37c:貫通溝(一端側の溝として) 38:カバー 40:固定子 50:遊星減速装置 60:メイン
スイッチ 100:モータ 101:ローラ(ワンウェイクラッ
チの) [実施例2〜4] 1:スタータ 2:始動モータ 8:継鉄 9:固定磁極 10:アーマチャ 11:整流子 12:ブラシ 13:回転軸 14:隔壁板 15,17:軸受 3:出力軸(駆動軸) 3a:ヘリカルスプライン
(捩じれスプライン) 4:ピニオン移動体 4a:ヘリカルスプライン(捩
じれスプライン) 5:電磁スイッチ(マグネットスイッチ) 37:吸引コイル 38:プランジャ(可動鉄心) 39:可動接点 41,42:固定接点 6:回転規制部材(回転規制手段) 6a:上部突出部(端部) 6b:下部突出部(端
部) 7:プレート 7a:突起部 7b,7c:開口部 7d:ガイド
壁 7e:支持部 18:サンギヤ 19:インターナルギヤ 20:遊星ギヤ 21:キャリア部 22:フロントハウジング 23:ギヤ構成部材
24:ピン 25,27,28:軸受 26:ローラ 30:ピニオンギヤ(ギヤ部) 31:鍔部 31a:凹凸部 32:コロ 33:ワッシャ(スラストベアリング) 34:スプリング 35:リヤケース 40:バッテリ端子 43:スプリング 44:ロッド 44a:移動部 44b:作動部 44c:連結部 106:後退規制部材 106a:足部 106b:腕部 106c:端部 107:作動ばね 29:リングギヤ(エンジン側) 36:キースイッチ 45:バッテリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H02K 7/10 H02K 7/10 E (72)発明者 荒木 剛志 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】通電により回転駆動力を生じるモータと、 外周面に捩じれスプラインが形成されており、このモー
    タに駆動される駆動軸と、 エンジン側のリングギヤと噛み合うピニオンギアを含
    み、スプライン嵌合によりこの駆動軸に軸方向に移動可
    能に保持されているピニオン移動体と、 電磁コイルと可動鉄心とメインスイッチとを含み、この
    電磁コイルへの通電によりこの可動鉄心を吸引し、この
    メインスイッチを閉じて前記モータへ通電するマグネッ
    トスイッチと、を有するスタータにおいて、 前記ピニオン移動体を前記リングギヤの方向へ所定距離
    移動させるピニオン移動手段と、 前記ピニオン移動体に係合しこのピニオン移動体を回転
    規制する回転規制手段とを有し、 このピニオン移動手段による前記ピニオン移動体の移動
    後に前記メインスイッチが閉じて前記モータに通電さ
    れ、前記駆動軸が回転を始めると、この回転規制手段に
    より回転規制されたこのピニオン移動体が、前記捩じれ
    スプラインの作用で、前記モータの駆動力で前記ピニオ
    ンギヤを介して前記エンジンを駆動できる位置にまで押
    し出されることを特徴とするスタータ。
  2. 【請求項2】前記ピニオン移動手段は、支点回りに傾動
    自在に軸支されており、一端側で前記可動鉄心の移動に
    伴う駆動力を受けて傾けられ、他端側で前記ピニオン移
    動体と当接してこのピニオン移動体を所定位置にまで押
    し出すレバーである、 請求項1記載のスタータ。
  3. 【請求項3】前記回転規制手段は、前記ピニオン移動体
    の外周面に周方向に交互に形成されている凹凸部と、こ
    の凹凸部に係合してこのピニオン移動体の回転を規制す
    る棒状の第1突出部を有する回転規制部材とからなり、 前記レバーの前記一端側には溝が形成されており、この
    溝に係合してスライドする第2突出部をこの回転規制部
    材は有し、 この回転規制部材が前記可動鉄心の移動により駆動され
    ることにより、この第1突出部はこの凹凸部に係合し、
    この第2突出部はこの溝に沿ってスライドしてこのレバ
    ーを傾動させ前記ピニオン移動体を所定位置にまで押し
    出す、 請求項2および請求項3に記載のスタータ。
  4. 【請求項4】前記回転規制手段は、前記ピニオン移動手
    段に係合して前記駆動軸の反回転方向に付勢することに
    より、前記ピニオン移動手段を前記駆動軸に対して相対
    回転せしめ、前記捩じれスプラインに沿って所定位置ま
    で前進させるとともに、その後は前記ピニオン移動手段
    を回転規制する、 請求項1記載のスタータ。
  5. 【請求項5】前記モータに通電され前記駆動軸が回転を
    始める際に、すでに前記可動鉄心の前記移動の一挙動に
    より、前記ピニオン移動手段および前記回転規制手段が
    作動している、 請求項1〜4のうちいずれかに記載のスタータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112582944A (zh) * 2021-01-14 2021-03-30 成都淌兴梗电子商务有限公司 一种用于电缆布设的起重机辅助装置

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FR2887377A1 (fr) * 2005-05-30 2006-12-22 Denso Corp Demarreur de moteur a combustion interne d'automobile et machine electrique tournante concus pour resister aux effets de vibrations
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