JPH1010292A - 放射性廃棄物処理方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】固液分離した廃活性炭スラッジの水分を吸着し
て、焼却前のスラッジ収納容器（ドラム缶）から廃活性
炭スラッジの抜出しを容易にする。 【解決手段】放射性廃液に粉末活性炭を投入して廃活性
炭スラリーとし、この廃活性炭スラリーをろ過装置10で
固液分離し、この固液分離した廃活性炭スラッジをスラ
ッジ収納容器８に投入する。つぎに高分子吸水剤容器15
から高分子吸収剤を加え、スラッジ管撹拌装置18により
撹拌する。高分子吸水剤はでん粉とアクリロニトリルの
グラフト重合体、またはアクリル酸ナトリウムと橋かけ
剤の橋かけ重合体である。その望ましい添加量は廃活性
炭スラッジ１ｌに対して高分子吸水剤6.25ｇである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、原子力施設で発生
する例えば洗濯廃液等を処理するための放射性廃棄物処
理方法およびその装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】原子力発電所において定期検査時および
通常運転時に管理区域から発生する保護衣類を洗濯設備
で洗濯した洗濯廃液は一般につぎのように処理される。
すなわち、原子力発電所で発生する放射性廃液に粉末活
性炭を投入して混合し、この混合スラリーを固液分離す
るろ過装置において、排出される廃活性炭スラッジは焼
却処理するために一時的にスラッジ収納容器、例えばド
ラム缶に貯蔵し、焼却設備に搬送する。

【０００３】焼却設備に搬送されたスラッジ収納容器は
図５に示すように、容器蓋外し工程１を経て、スラッジ
抜出工程２で廃活性炭スラッジを掻き出す。掻き出され
た廃活性炭スラッジは乾燥工程３で乾燥後、破砕工程４
で破砕し、焼却工程５で焼却処理し、焼却灰貯蔵６され
る。

【０００４】ここで、スラッジ抜出工程２では廃活性炭
スラッジの抜出しを行うためにスラッジ収納容器の転倒
を行う。乾燥工程３ではスラッジの水分が除去され、破
砕工程４では乾燥スラッジの破砕が行われる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たろ過装置にて固液分離した廃活性炭スラッジの含水率
は60〜70％と高いため、一時的にスラッジ収納容器に貯
蔵しておくと、水と廃活性炭が分離してしまい、分離し
た水の処理方法についての課題がある。

【０００６】また、スラッジ収納容器内に充填した廃活
性炭スラッジは圧密状態となってスラッジ収納容器の壁
面に固着してしまう。そのため、廃活性炭スラッジの抜
出しが困難となり、かつ抜出した廃活性炭スラッジはか
たまりが大きく、一般可燃物と比較して燃焼速度が遅
く、泥漿状であるため、そのままでは焼却処理が不可能
である。したがって、焼却時の前処理として廃活性炭ス
ラッジを乾燥し、破砕する必要がある。さらにスラッジ
抜出工程２ではスラッジ掻出機を必要とするなどの課題
がある。

【０００７】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、固液分離しそた廃活性炭スラッジの水分を
吸着して、焼却前のスラッジ収納容器からの廃活性炭ス
ラッジの抜出しを容易とし、焼却時の前処理を簡略化で
きる放射性廃棄物処理装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、放射
性廃液に粉末活性炭を投入して混合スラリーとし、この
混合スラリーを固液分離し、この固液分離した廃活性炭
スラッジに高分子吸水剤を投入し撹拌処理することを特
徴とする。

【０００９】請求項２の発明は、前記高分子吸水剤はで
ん粉とアクリロニトリルのグラフト重合体またはアクリ
ル酸ナトリウムと橋かけ剤の橋かけ重合体からなること
を特徴とする。請求項３の発明は、前記廃活性炭スラッ
ジを受け入れるスラッジ収納容器にあらかじめ高分子吸
水剤を投入しておくことを特徴とする。

【００１０】請求項４の発明は、原子力発電所で発生す
る放射性廃液に粉末活性炭を投入して混合した混合スラ
リーを固液分離するろ過装置と、このろ過装置で固液分
離した廃活性炭スラッジを収納するスラッジ収納容器
と、このスラッジ収納容器内の前記廃活性炭スラッジに
高分子吸水剤を投入するための高分子吸水剤投入装置
と、前記スラッジ収納容器内の高分子吸水剤と廃活性炭
スラッジを撹拌するスラッジ撹拌装置とを具備したこと
を特徴とする。

【００１１】請求項５の発明は、前記高分子吸水剤投入
装置は高分子吸水剤容器と高分子吸水剤計量器からなる
ことを特徴とする。請求項６の発明は、前記スラッジ収
納容器に取着した界面計と、前記スラッジ収納容器内投
入物の重量変化を計測する複数の計量器と、前記スラッ
ジ収納容器を移送するコンベヤとを具備したことを特徴
とする。

【００１２】本発明装置によれば、廃活性炭スラッジ高
分子吸水剤を投入することにより、スラッジ収納容器内
で分離した水を処理し、スラッジ収納容器からの廃活性
炭スラッジの抜出しを容易とし、スラッジ焼却時の前処
理を簡略化することが可能となる。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１および図２により放射性廃棄
物処理方法およびその装置の第１の実施の形態を説明す
る。図１中、符号７は第１のコンベヤで、この第１のコ
ンベヤ７上に例えばドラム缶等のスラッジ収納容器８が
載置される。スラッジ収納容器８が載置される位置の第
１のコンベヤ７の下面には重量測定用第１の計量器９が
設置されている。スラッジ収納容器８には界面計19が取
着され、スラッジ収納容器８の上方にはろ過装置10に接
続したスラッジ出口配管11が設けられている。このスラ
ッジ出口配管11から廃活性炭スラッジがスラッジ収納容
器８内に投入される。

【００１４】符号12は第１のコンベヤ７に隣接した第２
のコンベヤで、この第２のコンベヤ12には第１のコンベ
ヤ７から移動した廃活性炭スラッジを収納したスラッジ
収納容器８が載置される。スラッジ収納容器８が載置さ
れる位置の第２のコンベヤ12の下面には第２の計量器13
が設置されている。第２のコンベヤ12上のスラッジ収納
容器８の上方には高分子吸水剤投入装置としての高分子
吸水剤計量器14および高分子吸水剤容器15が設置されて
いる。高分子吸水剤容器15から高分子吸水剤がスラッジ
収納容器８内に投入される。

【００１５】符号16は第２のコンベヤ12に隣接した第３
のコンベヤで、この第３のコンベヤ16には第２のコンベ
ヤ12から移動し廃活性炭スラッジと高分子吸水剤を収納
したスラッジ容器８を固定する容器ストッパ17が設けら
れており、第３のコンベヤ16上のスラッジ収納容器８の
上方には上下動自在にスラッジ撹拌装置18が設けられて
おり、廃活性炭スラッジと高分子吸水剤を撹拌し混合す
る。

【００１６】図１において、放射性廃液に粉末活性炭を
投入して混合し、この混合スラリーをろ過して固液分離
するろ過装置10から廃活性炭スラッジをスラッジ出口配
管11を介して排出し、スラッジ収納容器８に充填する。
廃活性炭スラッジの充填量は第１の計量器９および界面
計19によって計測し、第２のコンベヤ12によって高分子
吸水剤投入装置へ移送する。

【００１７】高分子吸水剤投入装置の高分子吸水剤容器
15から必要量の高分子吸水剤を高分子吸水剤計量器14に
よって計測し、スラッジ収納容器８内へ投入する。高分
子吸水剤投入後のスラッジ収納容器８は充填スラッジ第
２の計量器13および界面計19によって計測し、第３のコ
ンベヤ16によってスラッジ撹拌装置18へ移送する。

【００１８】スラッジ撹拌装置18は上昇・下降機能を備
えているものである。スラッジ撹拌装置18に移送された
高分子吸水剤および廃活性炭スラッジを充填したスラッ
ジ収納容器８は、容器ストッパ17により固定し、スラッ
ジ撹拌装置18で撹拌する。撹拌後のスラッジ収納容器８
は蓋締めを行い。焼却設備へ移送する。

【００１９】ここで、放射性廃液としては原子力施設に
おける定期検査時および通常運転時に管理区域内から発
生する保護衣類を洗濯設備で洗濯した洗濯廃液で、主成
分は垢，糸屑，髪の毛等のほかせっけん類である。

【００２０】放射性廃液に粉末活性炭を約 1000ppm程度
の割合で投入して混合スラリーとし、この混合スラリー
を例えば、ロータリーフィルタからなるろ過装置10で混
合スラリーをろ液と廃活性炭スラッジに固液分離する。
廃活性炭スラッジとは活性炭スラリーを固液分離したこ
とによって得られる固形分のことを指している。

【００２１】通常の粉末活性炭は含水率50％でぱさぱさ
した状態であるが、含水率が60〜70％になると泥漿状で
あり、そのため高分子吸水剤を投入して水分を吸収する
ことにより廃活性炭スラッジをぱさぱさの状態となる。
廃活性炭スラッジはろ過操作によってその含水率は60〜
70％の泥漿状となる。

【００２２】高分子吸水剤としてはでん粉とアクリロニ
トリルのグラフト重合体ないしアクリル酸ナトリウムと
橋かけ剤（ポリビニルアルコール等）の橋かけ重合体を
使用し、その添加量は廃活性炭スラッジ１ｌに対して高
分子吸水剤を6.25ｇ加えると優れた効果がある。

【００２３】廃活性炭スラッジをスラッジ収納容器に受
け入れる前に高分子吸水剤を投入する前と後では本質的
には差異はない。スラッジ計量器９は例えばロードセル
であり、界面計19はスラッジのレベルを計測する液位計
であり、高分子吸水剤計量器14はホッパである。

【００２４】図２は本実施の形態における放射性廃棄物
処理方法を工程順に要約してその効果を示したブロック
図である。すなわち、本実施の形態では第１のコンベヤ
７に載置するスラッジ収納容器８の蓋外し工程１と、ろ
過装置10からのスラッジ出口配管11からスラッジ収納容
器８へのスラッジ抜出し工程２と、高分子吸水剤添加し
撹拌後、焼却設備へ移送して焼却する焼却工程５とから
なっている。焼却工程５の後は焼却灰貯蔵６される。

【００２５】しかして、本実施の形態によれば、ろ過装
置１から排出された廃活性炭スラッジ中に高分子吸水剤
を投入し混合することにより、廃活性炭スラッジ中の水
分を吸収し、安定したスラッジを得ることが可能とな
る。また、図２に示したようにスラッジ抜出工程２から
直接焼却工程５へ移行することができ、図５に示した従
来の乾燥工程３と破砕工程４を省略することができる。

【００２６】つぎに、図３により本発明に係る放射性廃
棄物処理装置の第２の実施の形態について説明する。な
お、図３中、図１と同一部分には同一符号を付して重複
する部分の説明は省略する。

【００２７】本実施の形態が第１の実施の形態と異なる
部分はろ過装置10に高分子吸水剤容器15および高分子吸
水剤計量器14からなる高分子吸水剤投入装置を接続し、
ろ過装置10内へ高分子吸水剤を直接投入したことにあ
る。

【００２８】しかして、本実施の形態によれば、ろ過装
置１から高分子吸水剤および廃活性炭スラッジの混合物
をスラッジ出口配管11を介して排出し、第１のコンベヤ
７上に載置したスラッジ収納容器８内に充填する。スラ
ッジ充填量は第１の計量器９および界面計19によって計
測した後に蓋締めを行い、焼却設備へ移送する。

【００２９】本実施の形態によればろ過装置10内で高分
子吸水剤と廃活性炭スラッジを混合することにより、ろ
過装置10から直接に安定したスラッジを排出することが
可能となる。

【００３０】つぎに、図４により本発明に係る放射性廃
棄物処理装置の第３の実施の形態について説明する。な
お、図４中、図１と同一部分には同一符号を付して重複
する部分の説明は省略する。

【００３１】本実施の形態が第１の実施の形態と異なる
部分は第１の実施の形態を前後逆にして予めスラッジ収
納容器８内に高分子吸水剤を高分子吸水剤投入装置であ
る高分子吸水剤容器15から高分子吸水剤計量器14を通し
て投入したことにある。

【００３２】しかして、本実施の形態によれば、スラッ
ジ収納容器８に高分子吸水剤投入装置である高分子吸水
剤容器15および高分子吸水剤計量器14によって高分子吸
水剤を投入する。スラッジ収納容器８内に受け入れた高
分子吸水剤投入量は第２の計量器13および界面計19によ
って計測し、第２のコンベヤ12によってろ過装置10に移
送する。ろ過装置10から廃活性炭スラッジをスラッジ出
口配管11を通してスラッジ収納容器８に受け入れる。ス
ラッジ収納容器８内に受け入れた廃活性炭スラッジ量は
充填スラッジ容器計量器９および界面計19によって計測
し、第３のコンベヤ16によってスラッジ撹拌装置18に移
送する。

【００３３】本実施の形態によれば、スラッジ収納容器
８に高分子吸水剤を投入し、廃活性炭スラッジを受け入
れ、混合することにより、廃活性炭スラッジ中の水分を
吸収し、安定したスラッジを得ることが可能となる。

【００３４】

【発明の効果】本発明によれば、ろ過装置からスラッジ
収納容器に排出された廃活性炭スラッジに高分子吸水剤
を投入，混合、または予め高分子吸水剤をスラッジ収納
容器に投入後、ろ過装置より廃活性炭スラッジを投入，
混合することにより、安定したスラッジを得ることが可
能となる。

【００３５】また、ろ過装置に高分子吸水剤を投入する
ことにより、ろ過装置から直接安定したスラッジを得る
ことが可能となる。そのため、スラッジ収納容器からの
廃活性炭スラッジ抜出しが容易となり、スラッジ焼却処
理において廃活性炭スラッジの乾燥および乾燥後の廃活
性炭スラッジを破砕することなく焼却処理を行うことが
でき、設備の効率的な運用が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る放射性廃棄物処理方法およびその
装置の第１の実施の形態を説明するための概略構成図。

【図２】図１による実施の形態の効果を説明するための
工程図。

【図３】本発明に係る放射性廃棄物処理方法およびその
装置の第２の実施の形態を説明するための概略構成図。

【図４】本発明に係る放射性廃棄物処理方法およびその
装置の第３の実施の形態を説明するための概略構成図。

【図５】従来の放射性廃棄物処理装置における容器蓋外
しから焼却灰貯蔵までの流れを示す工程図。

【符号の説明】

１…容器蓋外し工程、２…スラッジ抜出工程、３…乾燥
工程、４…破砕工程、５…焼却工程、６…焼却灰貯蔵、
７…第１のコンベヤ、８…スラッジ収納容器、９…第１
の計量器、10…ろ過装置、11…スラッジ出口配管、12…
第２のコンベヤ、13…第２の計量器、14…高分子吸水剤
計量器、15…高分子吸収剤容器、16…第３のコンベヤ、
17…容器ストッパ、18…スラッジ撹拌装置、19…界面
計。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 放射性廃液に粉末活性炭を投入して混合
   スラリーとし、この混合スラリーを固液分離し、この固
   液分離した廃活性炭スラッジに高分子吸水剤を投入し撹
   拌処理することを特徴とする放射性廃棄物処理方法。
2. 【請求項２】 前記高分子吸水剤はでん粉とアクリロニ
   トリルのグラフト重合体またはアクリル酸ナトリウムと
   橋かけ剤の橋かけ重合体からなることを特徴とする請求
   項１記載の放射性廃棄物処理方法。
3. 【請求項３】 前記廃活性炭スラッジを受け入れるスラ
   ッジ収納容器にあらかじめ高分子吸水剤を投入しておく
   ことを特徴とする請求項１記載の放射性廃棄物処理方
   法。
4. 【請求項４】 原子力発電所で発生する放射性廃液に粉
   末活性炭を投入して混合した混合スラリーを固液分離す
   るろ過装置と、このろ過装置で固液分離した廃活性炭ス
   ラッジを収納するスラッジ収納容器と、このスラッジ収
   納容器内の前記廃活性炭スラッジに高分子吸水剤を投入
   するための高分子吸水剤投入装置と、前記スラッジ収納
   容器内の高分子吸水剤と廃活性炭スラッジを撹拌するス
   ラッジ撹拌装置とを具備したことを特徴とする放射性廃
   棄物処理装置。
5. 【請求項５】 前記高分子吸水剤投入装置は高分子吸水
   剤容器と高分子吸水剤計量器からなることを特徴とする
   請求項４の放射性廃棄物処理装置。
6. 【請求項６】 前記スラッジ収納容器に取着した界面計
   と、前記スラッジ収納容器内投入物の重量変化を計測す
   る複数の計量器と、前記スラッジ収納容器を移送するコ
   ンベヤとを具備したことを特徴とする請求項４記載の放
   射性廃棄物処理装置。