JPH10102204A - 耐火性に優れた建築用電縫溶接鋼管 - Google Patents

耐火性に優れた建築用電縫溶接鋼管

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JPH10102204A
JPH10102204A JP25849796A JP25849796A JPH10102204A JP H10102204 A JPH10102204 A JP H10102204A JP 25849796 A JP25849796 A JP 25849796A JP 25849796 A JP25849796 A JP 25849796A JP H10102204 A JPH10102204 A JP H10102204A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 火災時の高温における降伏強度が高く、耐火
被覆の簡略化または省略が可能な、建築用鋼材として適
切な常温降伏強度および耐火強度を有する建築用電縫溶
接鋼管を提供する。 【解決手段】 Cが0.07重量%未満、下記の式で表
されるC当量Ceqが0.36以下、時効強化指数Aが
0.3以上0.4未満であり、丸管もしくは角管への成
形後の降伏強度が、常温で295MPa以上445MP
a以下で、かつ、600℃で197MPa以上であるこ
とを特徴とする耐火性に優れた建築用電縫溶接鋼管。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Mo/4+V/1
4 A=4.8(C/2+0.1)×(Mn/5+Mo+
V) ここで、各元素記号はそれぞれの重量%を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐火性に優れた建
築用電縫溶接鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料の降伏強度は、その使用温度が
高くなると一般的に低下する。建築用等に使用される構
造用鋼材においても同様であり、その使用温度が350
℃を越えて高温になると、著しく低下することが知られ
ている。そのため、火災時に高温状態になることが懸念
される構造物、特に、人間が居住する建築物において
は、法的規制が設けられている。
【0003】例えば、使用する鋼材に耐火被覆を行い、
環境が高温状態になった場合も、一定時間内は鋼材の温
度が350℃を越えることがないこと、したがって、そ
の間は建造物が破壊したり著しく変形することが無く、
安全性が確保される様な設計および施工を行うことが義
務付けられてきた。しかし、鋼材にロックウール等の耐
火被覆を施すことは、工事費がかさむこと、施工の環境
が悪いこと、室内容積の減少をもたらすこと、美観を損
ねること等の問題点がある。
【0004】これに対して近年になって、建築基準法の
改正を機に、従来の設計思想である「火災の場合に耐火
被覆により、鋼材の温度の上昇を防ぎ、鋼材の強度を維
持する方法」に対して、「高温において強度の低下が少
ない鋼を用いることにより、高温状態においても、構造
物が破壊することを防止する方法」が注目を集め始め
た。
【0005】すなわち、鋼材の高温における降伏強度が
保証される場合は、鋼材の温度が高くなることを可とす
る考え方の採用が、可能になったものである。例えば6
00℃程度の高温においても、一定程度の強度を有する
鋼を用いて、構造物を製作する方法であり、これによ
り、従来は必須とされていた耐火被覆を削除したり、ま
たは、減少した設計を行うことが可能となった。
【0006】従来より、高温における降伏強度が保証
(高温における降伏強度が認められている。)されてい
る鋼材はもちろん存在する。たとえば、JIS規格のG
3462「ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管」には、Cr
やMoを含む耐熱電縫溶接鋼管が相当数載せられてい
る。
【0007】しかしながら、これらの鋼管は高温の伝熱
管用や配管用等の、鋼の温度が常時500℃以上にもな
るような環境において、年単位の長期間の使用を予定し
たものである。これは、本発明が対象としている「通常
の使用環境は常温であるが、火災時等の極めて限られた
時間内だけ高温になる環境での使用」を目的としたもの
ではない。そのため、材料特性の中では、500℃以上
の高温におけるクリープ強度を高く保つことに、重点を
置いた合金設計が行われている。
【0008】その結果、ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管
には、次のような特徴がある。 Mo、Cr、Nb等の、高温長時間のクリープ強度
を高く保つための合金元素を、比較的多量に含有させて
いる。 室温での強度を高くする合金設計は、ともすれば高
温長時間の強度(クリープ強度)を低くすることが多
く、特にプラント等の施工時において、曲げ加工性等に
問題を生じる可能性があるため、好ましくないとされ
る。そのため、通常は、常温の降伏強度を下げることに
重点を置いた熱処理が行われことが多く、その結果とし
て、高温の降伏強度も低い。 冷間加工は常温強度を上げ、逆に高温強度を下げる
傾向にあるため、好ましくない。
【0009】このように、これらの鋼管では、必然的に
合金元素の含有量が高くなりがちであり、また、高温で
安定した組織を得るために、熱処理は通常、高温で長時
間行われることが多く、結果的に相当に高価な鋼となっ
ている。そして、その常温の降伏強度は、20〜30k
gf/mm2 程度であり、600℃の降伏強度も、15
〜20kgf/mm2 程度と必ずしも高くはない。
【0010】一方、上記した建築基準法の改正に対応し
て、短時間の高温強度を高めた、いわゆる耐火鋼が近年
になって多数開発された。開示されている技術も多く、
その中で電縫溶接鋼管に関するものには、特開平4−2
28520号公報や、特開平4−228521号公報に
示されている技術がある。
【0011】電縫溶接鋼管は、通常は鋼帯を冷間で成形
して製品とする。したがって、鋼に耐火性を与えるため
の、C、Mn、Mo等の合金化と、冷間成形との関係が
重要である。上記の公報に開示されている電縫溶接鋼管
の実施例の内で、冷間成形後に焼き戻し処理を行ってい
ないものの常温の降伏強度は、いずれも45kgf/m
2 を越えており、建築用の電縫溶接鋼管としては使い
にくい。
【0012】たとえば、建築用に用いる角鋼管であるボ
ックスコラムロール鋼管(以下、BCR鋼管と呼ぶ)と
しては、常温の降伏強度が30〜45kgf/mm2
600℃の降伏強度が20kgf/mm2 以上が一応の
目安となる。これは、常温の降伏強度が、45kgf/
mm2 を越えると施工しにくくなること、また、600
℃の降伏強度が20kgf/mm2 未満の場合は、耐火
被覆の削減効果が少なくなり、メリットが出てこないこ
とによる。
【0013】もちろん、焼き戻し処理が行われた場合
は、上記のBCR鋼管に要求される条件を満足すること
は可能であるが、工程数の増加によるコスト増が懸念さ
れる。冷間加工後に焼き戻しを行っている例は、他に
も、特開平4−128316号公報、特開平4−165
017号公報、および特開平4−168219号公報等
にも記載されている。
【0014】また、特開平4−176821号公報に
は、冷間成形後に鋼管をAc3 変態点以上の温度に上
げ、必要に応じて、さらに焼き戻しを行う技術が開示さ
れている。これらの開示例は冷間加工のままでは、上記
の常温の降伏強度の条件を満足することが困難なことを
示している。
【0015】一方、特開平4−176818号公報や、
特開平4−176819号公報には、Ac3 変態点以上
の温度で成形する技術が、また、特開平4−21861
5号公報には、(Ac3 −200℃)〜(Ac3 −20
℃)の温度範囲で成形する技術が示されている。これら
の場合は、常温の降伏強度は十分に低くなるが、この様
な高温での加工が、コスト高になることは言うまでもな
い。
【0016】同様の技術が、特開平4−218616号
公報、特開平5−59435号公報、にも示されてお
り、特開平4−218620号公報および特開平5−3
9436号公報は、さらに焼き戻しを行っている。上記
の公報に開示されている多数の実施例は、いずれも60
0℃において、20kgf/mm2 以上の降伏強度を示
している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明が目的としてい
る建築用電縫溶接鋼管においては、火災時におけるよう
な、比較的短時間の間の強度が一定値以上であれば十分
であり、上記した耐熱鋼のような、高温における長時間
の強度が高いことは必要でない。したがって、合金設計
も当然異なってくる。
【0018】一方、上記した従来の、いわゆる耐火性が
あるとされている電縫溶接鋼管は、厚板や形鋼等の、熱
処理後に冷間加工を行わない鋼材と、同一の合金設計思
想を基本としている。ここで、冷間加工とは、冷間歪み
を与える加工のことであり、温度域としては、加工直後
の機械的性質が実質的に変化しない温度域を指すものと
する。したがって、いわゆる温間加工も含む。
【0019】電縫溶接鋼管の製造においては、製造プロ
セス中に鋼材に加えられる冷間歪みを無視することはで
きない。従って、従来技術のように、通常のプロセスに
より鋼管を製造する場合の合金設計は、鋼に必然的に相
当量の冷間歪みが加えられる電縫溶接鋼管に対しては、
最適の合金設計にはなっていない。
【0020】この発明は、上記の従来技術の問題点を解
決し、火災時の高温における降伏強度が高く、耐火被覆
の簡略化または省略が可能な、建築用鋼材として適切な
常温降伏強度および耐火強度を有する建築用電縫溶接鋼
管を提供する。
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、Cが
0.07重量%以下、下記の式で表されるC当量Ceq
が0.36以下、時効強化指数Aが0.3以上0.4未
満であり、丸管もしくは角管への成形後の降伏強度が、
常温で295MPa以上445MPa以下で、かつ、6
00℃で197MPa以上であることを特徴とする耐火
性に優れた建築用電縫溶接鋼管である。
【0022】Ceq=C+Si/24+Mn/6+Mo
/4+V/14 A=4.8(C/2+0.1)×(Mn/5+Mo+
V) ここで、各元素記号はそれぞれの重量%を表す。
【0023】この発明は、通常の鋼管では強度が低下す
る600℃前後の強度の低下を抑制する機構について、
鋭意検討した結果なされたものである。発明者らは、6
00℃程度の高温での降伏強度に対して、冷間歪みが有
効に作用することに着目した。冷間加工により鋼の内部
に導入された格子欠陥と、鋼中の合金元素との相互作用
が、高温における降伏強度と密接な関係を持つためであ
る。
【0024】合金元素の中では、C、Mn、Mo、Vが
高温での強度低下を抑制する効果が強い。この効果は、
特に加工歪(冷間加工歪)が存在する際に顕著である。
この強度低下を抑制する効果について検討する中で、こ
の発明のような合金元素の低い領域では、加工歪εを2
〜5%の範囲で加えた鋼の600℃における降伏応力σ
600(ε) が、次の式で表されることを見いだした。
【0025】 σ600(ε) =σ600(0) +41.2εA (1) ここで、σ600(0) は加工歪が0%の場合の600℃に
おける降伏応力、Aは時効強化指数、応力の単位はMP
aである。時効強化指数Aは、冷間加工がない場合と比
べた時効強化の大きさ、即ち歪時効による強化を表して
いると言うこともできる。
【0026】これらC、Mn、Mo、V等の元素の効果
は、従来技術のような降伏応力に対して加算的なもので
はなく、このような時効強化の機構と密接に結びついて
いることが明らかとなった。検討の結果、時効強化指数
Aが次のように表されることを解明した。
【0027】 A=0.48(Mn/5+Mo+V)+2.4C(Mn/5+Mo+V) (2) ここで、各元素記号はそれぞれの重量%を表す。
【0028】この式の形から、右辺第1項は、Mn、M
o、Vが固溶状態で寄与する項、同第2項は、これらの
元素とCとの相互作用が寄与する項と考えられる。ここ
で、Mn、Mo、VとCとの相互作用の寄与とは、炭化
物あるいは炭素原子とのクラスター形成による降伏応力
への寄与と考えられる。この式(2)の右辺を整理する
と、請求項1の式が得られる。
【0029】 A=4.8(C/2+0.1)×(Mn/5+Mo+V) (3) この時効強化指数Aが0.3未満では、時効強化が小さ
く歪導入後でも高温強度(600℃における降伏応力)
の確保が困難となる。一方、時効強化指数Aが0.4を
超える場合は、合金元素の添加量が多くなるため、常温
での降伏強度が高くなりすぎ上限値以下にするのが困難
となる。また、合金コストの観点からも好ましくない。
【0030】Cは、鋼の常温および高温の降伏強度を確
保するめに必要な元素である。しかし、0.07%を超
えると、常温での降伏強度が高くなりすぎ、建築材料と
して必要な低い降伏応力が得られないので、この値を上
限とする。
【0031】C当量Ceqについては、BCR規格で
は、 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Mo/4+V/14 (4) とするとき、0.36以下であり、これに従った。ま
た、成形後の降伏強度は、同じくBCR規格では、常温
で295MPa以上445MPa以下であり、これに従
い決定した。
【0032】請求項2の発明は、重量%で、 C:0.03〜0.07%、 Si:0.1%以下、 Mn:0.05〜1.0%、 Al:0.1%以下、 Mo:0.2〜0.7%、 V:0.01〜0.10%、 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる請
求項1記載の耐火性に優れた建築用電縫溶接鋼管であ
る。
【0033】Cは、鋼の常温および高温の降伏強度を確
保するめに必要な元素である。C量が0.03%未満で
は高温での耐力確保に必要な炭化物の析出が不十分とな
る。一方、0.07%を超えて含有させると、常温での
降伏強度が高くなりすぎ、建築材料として必要な低い降
伏応力が得られない。したがってC量の範囲は0.03
〜0.07%とする。
【0034】Siは、通常、脱酸元素として用いられる
が、このSiの脱酸効果はAl等の他の元素によっても
代替可能である。Siは、常温の降伏強度を上昇させる
が高温強度への寄与は殆どない。したがって、常温の降
伏強度に上限が規定されており、高温の降伏強度が高い
ことが要求される耐火鋼用の合金元素としては、必ずし
も好ましいものではない。具体的にはSiの含有量が
0.1%を越えると、常温の降伏強度は大きく上昇し、
BCR鋼管の規格の上限を越えるため、その量を0.1
%以下に制限する。
【0035】Mnは、鋼中に含まれるSによる熱間圧延
時の割れ防止に有効な元素であるため、少なくとも0.
05%の添加が必要である。一方、1.0%を越えて含
有させると常温の降伏強度が高くなりすぎ、また、溶接
性や靱性が劣化する。したがって、Mn量の範囲は0.
1〜1.0%とする。なお、Mnは高温強度への寄与が
あり、この観点からは0.5%以上の添加が望ましい。
【0036】Moは、火災による温度上昇時に鋼中に炭
化物として析出し、高温での耐力を上昇させる。Moの
効果は含有量が0.2%未満の場合は効果が薄い。一
方、0.7%を超えて含有させると、固溶強化により常
温の降伏強度を上昇させる。また、製造コストも上昇す
る。したがって、Mo量の範囲は0.2〜0.7%とす
る。
【0037】Vは、Moの析出を促進し、高温での耐力
を上昇させるために非常に有用な元素である。しかし、
V量が0.01%未満では、その効果は期待できない。
また、0.10%を超えて添加しても効果が飽和する。
したがって、V量の範囲は0.01〜0.10%とす
る。
【0038】Alは、高温強度への寄与が少ないので、
特に添加する必要はない。但し、Siと同様に脱酸元素
であり、必要に応じて用いてよい。その場合、Al量が
0.1%を超えると靱性を劣化させる等の悪影響が出て
くるため、0.1%を上限とする。
【0039】不可避的不純物については、その中で、
P、S、Nは、高温強度へ大きな影響を与えないので、
その量は特に規定しない。鋼の清浄度当の観点からは、
Pは0.01%以下、Sは0.005%以下、Nは0.
005%以下とするのが望ましい。
【0040】なお、不可避的不純物にはP、S、N以外
にも、製鋼その他の製造工程で、スクラップ等から混入
する種々の元素が含まれる(金属元素も含む)。これら
は、通常の鋼管で許容できる範囲であれば、含まれてい
ても差し支えないことは言うまでもない。
【0041】
【発明の実施の形態】化学成分を請求項1記載のC当量
と時効強化指数Aの範囲内、又はさらに請求項2記載の
範囲内に調製した鋼をスラブとなし、この鋼スラブを高
温のままもしくは1100〜1250℃に再加熱し、8
40〜950℃の仕上温度で熱延鋼板を製造する。熱延
後は、冷却速度は5〜30℃/sで冷却し、650℃以
下で巻き取る。この熱延鋼板を用いて、電縫溶接法によ
り鋼管を製造すれば、この発明の耐火性に優れた建築用
電縫溶接鋼管が得られる。
【0042】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼をスラブとなし、こ
の鋼スラブを1200℃に再加熱して860℃の仕上温
度で熱延鋼板を製造した。熱延後の巻取温度は550℃
である。この熱延鋼板を、実際の電縫溶接法における造
管の際の歪と同様の大きさの歪を実験室的に加えた。歪
の導入は、実際のプロセスにおける歪(板厚/直径)に
等しい伸長率2〜5%で圧延することにより行った。
【0043】なお、実際の造管の際は複雑な加工歪が導
入されるので、実際のプロセスで加工された管のデータ
と実験室的に歪を導入した場合のデータを比較した。そ
の結果、常温および高温(600℃)の降伏強度および
引張強度への歪の影響は、実際のプロセスにおける歪
(板厚/直径)に等しい伸長率で圧延した場合と同等で
あることが、検討により判明した。
【0044】このようにして導入した歪の大きさ(%)
を、表1に示してある。歪の導入後の熱延鋼板からは、
試験片を採取し常温および高温で引張試験を行った。常
温での引張試験は、JIS規格のZ2241に基づき行
った。
【0045】引張試験結果を表1に示す。表の中で、Y
S−RTとTS−RTは常温における降伏強度と引張強
度、YS−600とTS−600は高温(600℃)に
おける降伏強度(σ600 )と引張強度をそれぞれ示す。
なお、表1には、式(3)、(4)より計算した時効強
化指数A、C当量Ceqも示してある。
【0046】
【表1】
【0047】表1では、鋼符号1〜3は時効強化指数A
が発明の範囲0.3〜0.4の中に入っており、鋼符号
5と7は時効強化指数Aが0.19〜0.22で発明の
範囲より小さく、鋼符号6は時効強化指数Aが0.49
で発明の範囲より大きい。
【0048】表1からわかるように、発明の鋼は、常温
における降伏強度YS−RTが323〜416MPaで
あり、高温(600℃)における降伏強度YS−600
が201〜276MPaで、BCR規格(常温で295
MPa以上445MPa以下600℃で197MPa以
上)を満足している。
【0049】これに対して、鋼符号5と7は、高温(6
00℃)における降伏強度YS−600が138〜19
5MPaで、上記BCR規格の範囲より低い。また、鋼
符号6は、常温における降伏強度YS−RTが459〜
508MPaであり、上記BCR規格の範囲より高い。
このように、比較鋼はいずれも常温における降伏強度あ
るいは高温(600℃)における降伏強度が、BCR規
格の範囲からはずれている。
【0050】
【発明の効果】この発明では、C、Mn、Mo、V等の
元素と時効強化の機構との関係から時効強化指数を求
め、この指数を、常温における降伏強度が低く、高温
(600℃)における降伏強度が高くなるよう、所定の
範囲に規定している。これにより、目的とする鋼の化学
成分が得られる。
【0051】このようにして、建築等の構造物等に用い
られる、火災時の高温における降伏強度が高く、耐火被
覆の簡略化または省略が可能な、建築用鋼材として適切
な常温降伏強度および耐火強度を有する電縫溶接鋼管が
実現できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cが0.07重量%以下、下記の式で表
    されるC当量Ceqが0.36以下、時効強化指数Aが
    0.3以上0.4未満であり、丸管もしくは角管への成
    形後の降伏強度が、常温で295MPa以上445MP
    a以下で、かつ、600℃で197MPa以上である耐
    火性に優れた建築用電縫溶接鋼管。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Mo/4+V/1
    4 A=4.8(C/2+0.1)×(Mn/5+Mo+
    V) ここで、各元素記号はそれぞれの重量%を表す。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C:0.03〜0.07%、 Si:0.1%以下、 Mn:0.05〜1.0%、 Al:0.1%以下、 Mo:0.2〜0.7%、 V:0.01〜0.10%、 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる請
    求項1記載の耐火性に優れた建築用電縫溶接鋼管。
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