JPH10101830A - ポリオレフィン系樹脂成形体の表面処理方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂成形体の表面処理方法

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JPH10101830A
JPH10101830A JP9015223A JP1522397A JPH10101830A JP H10101830 A JPH10101830 A JP H10101830A JP 9015223 A JP9015223 A JP 9015223A JP 1522397 A JP1522397 A JP 1522397A JP H10101830 A JPH10101830 A JP H10101830A
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resin molded
fluorine
polyolefin
gas
oxygen
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JP9015223A
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Isao Kawakami
功 川上
Hiroshi Kawakami
博 川上
Masayuki Watanabe
真之 渡辺
Masako Shibayama
雅子 柴山
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池セパレータ、フィルター等の用途に適す
るように、ポリオレフィン系樹脂成形体表面の中性乃至
アルカリ性水溶液に対する親和性を向上させる。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂成形体を、フッ素
0.01〜8容量%、酸素0.1〜95容量%及び二酸
化硫黄1〜95容量%を含有する混合ガスと接触させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂成形体の表面を、フッ素、酸素、二酸化硫黄を含む
ガスで処理して、成形体表面に、親水性、特に中性乃至
アルカリ性水溶液に対する親液性を付与する方法に関す
る。本発明の処理方法は、特に、電池用セパレータ、フ
ィルター分野に用いられるポリオレフィン素材の処理に
好適である。
【0002】
【従来の技術】従来、ニッケル−カドミウム二次電池、
ニッケル−水素二次電池等のセパレータとしてはナイロ
ン不織布等が多く用いられてきた。ナイロンは適度な強
度、ガス透過性、親水性を有しているが、耐アルカリ
性、耐酸化性等の耐薬品性は十分で無く、特に高温で、
電池を充電した場合には、電池内で発生した酸素により
ナイロンが二酸化炭素、水、アンモニウム等に分解され
るが、この炭酸ガスやアンモニアは電池特性に悪影響を
及ぼす。また更に分解が進むとセパレータとしての電気
絶縁能力が失われる結果となる。これを解決するため、
セパレータとしてポリオレフィン系樹脂の使用が試みら
れている。ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系樹脂は、耐アルカリ性、耐酸性に優れ、強度や
ガス透過性もナイロンと同等であるが、親水性に乏し
く、電解液との親和性、保持能力が劣るという欠点があ
る。
【0003】ポリオレフィン樹脂成形体の表面を親水化
する方法として、発煙硫酸や三酸化硫黄ガスを用いて、
スルホン基を導入する方法(特開平1−132044
号)が知られているが、発煙硫酸や三酸化硫黄は強い酸
であるため、ポリオレフィンの表面のみならず、内部ま
でスルホン化され、機械的強度の低下を招くだけでな
く、表面のスルホン基は、処理工程中に脱離したり酸化
されて、表面には必ずしも十分なスルホン基が導入され
ず、表面の親水性、特に、中性乃至アルカリ性水溶液に
対する親液性は十分でない。
【0004】これらの問題を解決するために、発煙硫酸
法においては、処理後、稀薄な硫酸水溶液に徐々に浸漬
し、マイルドに後処理する方法が行われているが、工程
が煩雑になり工業的には満足な方法とは言えない。特公
昭59−5601号にはポリエステル、ポリアミド、ポ
リアクリロニトリル、ポリオレフィン等の繊維形成樹脂
をフッ素ガス単独或いは二酸化硫黄の存在下、フッ素ガ
スで処理してこれらの繊維の表面層のみフッ素−カルボ
キシル化或いはスルホフッ素化し、水の吸収性、移動性
或いは耐油性を改良する方法が示されている。明細書に
依れば、この場合酸素の存在は好ましくなく、酸素は、
フッ素ガス単独の場合は5%以下、二酸化硫黄が共存す
る場合は21%以下でなければならないとされ、実際に
は、実質的に酸素不在下で実施することが提案されてい
る。特公平4−7548及び特公平5−46056は、
フッ素と酸素或いはフッ素と二酸化硫黄を含有するガス
をポリオレフィン繊維等のセパレータ素材と接触させる
セパレータの製法を提案している。しかしながら、フッ
素と二酸化硫黄混合ガスとポリオレフィン樹脂の反応
は、ラジカル反応であり、親水性を示すスルホン基のみ
成らず、本来疎水性であるフッ素も表面に導入されるた
め親水性は必ずしも十分でなく、特にアルカリ親液性の
向上は不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリオレフ
ィン系樹脂成形体の親水性、特に電池セパレータ、フィ
ルター等に望まれるアルカリ水溶液に対する親和性を向
上させる表面処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等はポリオレフ
ィン系樹脂をアルカリ性水溶液に対して親液化する方法
を鋭意検討した結果、ポリオレフィン系樹脂をフッ素、
酸素及び二酸化硫黄を含む混合ガスで処理したものは、
従来の二成分混合ガスによる処理に比し、卓越したアル
カリ水溶液親和性を示すこと、また、この優れたアルカ
リ水溶液親和性を有する成形体はESCAにて測定した
特定の表面物性を有するものであることを見出し本発明
を達成した。即ち本発明の目的は、ポリオレフィン系樹
脂成形体を、フッ素0.01〜8容量%、酸素0.1〜
95容量%及び二酸化硫黄1〜95容量%を含有する混
合ガスと接触させることを特徴とするポリオレフィン系
樹脂成形体の表面処理方法により達成される。本発明は
また、電池セパレータとして有用な特定の表面物性を有
するポリオレフィン系樹脂成形体にも関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるポリオレフィ
ン系樹脂成形体は、ポリオレフィンを主体とするもので
あればその形状は特に限定されるものではなく、例えば
シート、フィルム、糸、布等が挙げられるが、電池セパ
レータの用途には多孔体、例えば、不織布、織布、微多
孔性フィルムやこれを多層に張り合わせたラミネートシ
ート等が挙げられる。具体的には、織布、不織布の場
合、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニル
アルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等
の単一成分からなる繊維や、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体よりなる複合繊維、或いはこれら
の繊維の混合物等が挙げられる。微多孔性フィルムでは
高分子量ポリオレフィン、特に、超高分子量ポリエチレ
ンやポリプロピレンの微多孔膜等が挙げられる。中で
も、ポリオレフィン系繊維の不織布が好ましい。
【0008】本発明の親水化処理は、不織布化前の原料
繊維に対する表面処理或いは不織布自体の表面処理のい
ずれも可能であるが、処理工程の簡便さの点から不織布
自体の表面処理が好ましい。ポリオレフィンとしては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、両者のブレンド或いは
芯成分がポリプロピレン、鞘成分がポリエチレン或いは
その逆の構成からなる複合繊維からなる不織布であって
もよい。不織布の製法や、規格も特に限定されるもので
はなく、電池セパレータ用に適用されるものであれば良
い。好ましくは、目付が100g/m2 以下であり、厚
みは0.01〜5mm、好ましくは0.1〜1mmであ
る。
【0009】特に、繊維径が1μm以上50μm以下の
ポリオレフィン系樹脂を用いた不織布が好ましい。繊維
径が1μm未満ではフッ素ガス含有ガスによる表面処理
は表面に留まらず、マトリックスの品質、特に機械的強
度、弾性率低下の原因になる。また50μmを越えると
セパレータに要求される最適通気度と孔径を同時に満足
させることが難しい。
【0010】これらのポリオレフィン系不織布を製造す
る方法は公知の種々の技術が利用できる。例えば、ポリ
オレフィン繊維を水中に均一に懸濁し、これを金網等で
すくいシート状にする湿式製造法や、繊維を空気中に飛
散させた後、金網に集めてカード状にするエアーレイド
法や紡糸機から直接ウェブを形成するスパンボンド法や
メルトブロー法が挙げられる。
【0011】本発明の処理方法は、特に限定されるもの
ではないが、密閉された反応容器中に調湿したポリオレ
フィン系樹脂成形体を保持し、容器内を脱気した後、フ
ッ素、酸素、二酸化硫黄を含有する混合ガスを導入する
か、あるいは容器内を乾燥不活性ガスで満たし、混合ガ
スを徐々に置換して、被処理材と処理気体とを接触させ
る方法が挙げられる。この場合、混合ガスの接触効率を
高めるため、被処理材同志が接触しないように固定した
り、容器内でロール状シートの巻き出し、巻取を行うこ
とが望ましい。
【0012】フッ素ガスと亜硫酸ガスと酸素ガスを導入
する方法は、乾燥した不活性ガス中に処理されるポリオ
レフィン系樹脂成形体を置き、そこにフッ素ガス又は更
に酸素、二酸化硫黄を混合したガスを導入してもよい
し、予じめフッ素ガスと亜硫酸ガスと酸素ガスを所定の
濃度に混合した後、ポリオレフィン系樹脂成形体を導入
し接触させても良い。
【0013】本発明方法に使用される混合ガスのフッ素
ガス含有量は8容量%以下、好ましくは5容量%以下で
且つ0.01容量%以上である。本発明方法はフッ素ガ
スを低濃度にし、表面へのフッ素の導入を抑制し、且つ
フッ素が樹脂成形体内部まで拡散することを極力抑え、
−CF2 −基や−CF3 基等の疎水基が多く生成するこ
とを阻止する為である。このことは表面改質や目指す本
発明では重要である。
【0014】フッ素ガス濃度が0.01容量%以下で
は、処理される成形体表面に効率よく表面改質に関与す
るラジカルを形成させることが困難である。また、フッ
素ガスが高濃度になると二酸化硫黄と爆発的に反応する
危険がある。二酸化硫黄の含有量はフッ素ガス濃度に依
存し、フッ素ガスの濃度が高い場合、例えばフッ素ガス
10容量%の場合、二酸化硫黄20容量%で爆発的に反
応する。そのため、フッ素ガス濃度は5容量%以下が好
ましく、この際の二酸化硫黄の濃度は1容量%以上95
容量%以下である。
【0015】好ましくは、二酸化硫黄濃度は、フッ素ガ
ス濃度よりも多い容量%が選ばれ、より好ましくはF2
/SO2 (容量比)≦1.0である。酸素ガスの添加
は、表面にカルボキシル基、水酸基を生成し、親液性を
改善する効果がある。また、表面に導入されるフッ素を
減少させる効果があるが、酸素0.1容量%未満ではそ
の効果が低い。従って酸素の濃度は0.1容量%以上9
5容量%以下、好ましくは1〜95容量%、より好まし
くは5〜95容量%である。また、フッ素ガスと亜硫酸
ガスを混合すると、SO2 2 の生成反応が進行する
が、酸素ガスを併存させることによりこの生成反応が抑
えられるためフッ素ガスの消費を抑えることができ、フ
ッ素ガスを有効に利用することが可能となる。これは、
特に連続的な表面処理を行う場合には有用であり、工業
的に生産する上での意味は大きい。
【0016】本発明で使用されるフッ素、二酸化硫黄及
び酸素を含む混合ガスは必要に応じ、例えば窒素の様な
反応に不活性なガスで希釈して用いる。混合ガスとポリ
オレフィン系樹脂成形体の反応時間は適宜選ばれ、具体
的には1秒から1時間の間から選ばれる。温度は0℃か
ら80℃の間から選ばれる。圧力は通常、フッ素ガスの
環境へのリークを極力抑える観点から、0.1気圧から
2気圧の間から選ばれる。
【0017】反応終了後、未反応の処理ガスや、副生す
るフッ化水素等のガスを除去する。除去される排ガスの
無毒化方法は公知の技術が利用できる。例えば、未反応
のフッ素ガスはアルミナ粒子を封入した管を通過させて
フッ化アルミニウムとして固定化する方法やアルカリ水
溶液にガスを通過吸収させる方法が挙げられる。また、
微量発生するフッ化水素はフッ化ナトリウム粒子に吸着
させる方法等も挙げられる。
【0018】本発明により、フッ素、酸素、二酸化硫黄
を含有する混合ガスにより表面処理されたポリオレフィ
ン樹脂成形体は、特定の表面物性を有している。即ち、
本発明により得られたポリオレフィン樹脂成形体は、従
来の親水化処理法である発煙硫酸により表面処理された
成形体と比較した場合、表面に多くの硫黄分が導入さ
れ、反面、内部の硫黄分が少ない。一方、酸素を含まず
フッ素及び二酸化硫黄の二成分系ガスで処理された場合
に比し、成形体表面の酸素/硫黄比が大きい。
【0019】即ち、本発明により得られた、ポリオレフ
ィン樹脂成形体は、ESCAにて測定した炭素に対する
硫黄の元素組成比(S/C)が0.001〜0.50、
炭素に対するフッ素の元素組成比(F/C)が0.02
〜1.0、硫黄に対する酸素の元素組成比(O/S)が
4.50〜1000である。S/Cは、0.001未満
の場合、硫黄の導入量が不足し十分な親水性が得られ
ず、また0.5を上回る量の導入は困難である。F/C
は、1.0を上回る場合はフッ素が多くなりすぎ親水化
にとって好ましくなく、0.02未満となるようなガス
組成では硫黄の導入が困難で好ましくない。O/Sは好
ましくは5.0以上である。O/Sが1000以上の場
合は、硫黄の導入量が僅かになるので好ましくない。な
お、ESCA(電子分光法)は試料にX線を照射し、光
電効果で飛び出してきた光電子を検出する手法であり、
光電子の脱出深さが約50Åと非常に浅いため、ESC
Aにて測定される元素組成は、試料の最表面から数十Å
の組成である。
【0020】一方、同様に元素組成の測定手法に使用さ
れるXRF(蛍光X線分析)は、試料にX線源からのX
線を照射し発生する2次X線を分光して検出する手法で
ある。2次X線の脱出深さは、例えば後記実施例で使用
した装置、試料、測定条件においてはC−Kα、O−K
α、F−Kαでは〜8μm、またS−Kαでは〜250
μmとESCAに比べてかなり深く、得られる強度は反
応層の各元素濃度と反応層の深さに依存する。各分析線
の強度は、反応によるF、O、Sの導入量を反映し、ま
たこれらの強度比はESCAによる表面原子比を反映す
る。
【0021】本発明方法により三成分混合ガスで処理さ
れたポリオレフィン素材は、ポリオレフィン素材が本来
有する優れた耐薬品性、耐溶剤性、耐候性、機械的強
度、耐熱性等の特性を損なうことなく、その表面に高度
の親水性を付与することが出来る。親水化されたポリオ
レフィン素材は種々の用途が期待出来る。特に、後述の
実施例に示すように、本発明により得られた特定の表面
物性を有するポリオレフィン不織布はアルカリ水溶液に
対する親和性が増大しており、電池用セパレータとして
好適である。
【0022】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に
限定されるものではない。なお、以下の例において、各
測定は次の方法によって行った。 (1)KOH染み込み速度 温度24℃、湿度65%の環境で、水平に静置した不織
布に10μlの電解液(30重量%の水酸化カリウム水
溶液)を滴下したとき、電解液が不織布に全て染み込む
までの時間を計測した。
【0023】(2)XRF測定 理学電機株式会社製蛍光X線分析計RIX3001を使
用し、Rh管球を一次X線源として40kV−70mA
の条件下で、真空中で、F−Kα線及びO−Kα線には
同社製分光結晶RX40を用い、S−Kα線には同社製
Geを用いて夫々分光した後、夫々ガスフロー型比例計
数管を用いて強度(kcps)を測定した。尚、強度の
値は同装置付属のソフトウェアにより出力された値を用
いている。
【0024】(3)ESCA測定 PERKIN ELMER PHI社製のESCA−5
500MCを用いて試料の表面元素組成分析を行った。
測定条件は、使用した励起源はAl−Kα線で、出力1
4kV、150W、モノクロメーター使用、分析面積
0.8mm×3.5mm、取り出し角65度とした。ま
た「%」は、ガスの組成は「容量%」を示し、他は「重
量%」を意味する。
【0025】実施例1及び比較例1 ポリエチレン35%、ポリプロピレン65%混合繊維の
不織布(目付け55g、厚み0.15mm、繊維径15
μm、18cm×18cm)2枚をフッ素に耐性のある
容器に入れ、真空排気後、0.1容量%のフッ素と1
0.0容量%の二酸化硫黄、10容量%の酸素、79.
9容量%の窒素の混合ガスを導入して5分間反応させ
た。
【0026】反応を終了し真空排気の後、窒素で復圧し
て不織布を取り出し、水中に室温で1時間浸漬後50℃
にて4時間乾燥させた。その後30%KOH水溶液10
μlの染み込み速度を測定した。またXRFにてF−K
α、S−Kα、O−Kα線の強度を、ESCAにてF、
S、Oの量を測定した。結果を表−1に示した。比較例
1として酸素の代わりに窒素ガスを補充した以外実施例
1と同じ組成の混合ガスを用い、実施例1と同様に処理
した。結果を表−1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】表−1より混合ガス中に酸素を存在させる
ことにより、アルカリ水溶液に対する親和性を示すKO
H染み込み速度が著しく向上したことが認められる。 実施例2及び比較例2 実施例1と同種の不織布を用い、フッ素1%、二酸化硫
黄10%、酸素85%、窒素4%の混合ガスで5分処理
した。以下実施例1と同じ操作を行った。比較例2とし
て酸素の代わりに窒素ガスを補充した以外実施例2と同
じ組成の混合ガスを用い同様に処理した。以上の結果を
表−2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】表−2から明らかな様に、実施例2は比較
例2に比べ、F及びSの導入量は小さいが、KOH染み
込み速度は著しく向上している。 実施例3 実施例1と同様の不織布を用い、フッ素0.1%、二酸
化硫黄10%、酸素89.5%、窒素0.4%の混合ガ
スで20分処理した。その後実施例1と同じ操作を行っ
た。結果を表−3に示した。
【0031】
【表3】
【0032】実施例4〜6 実施例1と同種の不織布を用い表−4に示す条件で混合
ガス処理を行った。その後、実施例1と同じ操作を行っ
た。結果を表−4に示した。
【0033】
【表4】
【0034】実施例7及び比較例3 実施例1と同種の不織布を用い、フッ素5%、二酸化硫
黄10%、酸素10%、窒素75%の混合ガスで5分処
理した。その後実施例1と同じ操作を行った。また、比
較例3として、酸素の代わりに窒素を補充した以外実施
例7と同じ組成の混合ガスを用い同様に処理した。以上
の結果を表−5に示した。
【0035】
【表5】 表−5 KOH染み込み速度 XRF強度(kcps) F S O 実施例7 31秒 0.49 5.30 0.09 比較例3 30分以上 1.76 9.45 0.10 (ほとんど染み込まず)
【0036】表−5から明らかな様に、酸素を使用しな
い比較例3の方が、F、Sの導入量は多いが、KOH染
み込み速度は極めて遅い。 実施例8 実施例1と同種の不織布を用い、フッ素1%、二酸化硫
黄85%、酸素10%、窒素4%の混合ガスで5分処理
した。以下実施例1と同じ操作を行った。結果を表−6
に示した。
【0037】
【表6】 表−6 KOH染み込み速度 XRF強度(kcps) F S O 実施例8 16秒 0.32 9.74 0.10
【0038】参考例1 実施例1と同種の不織布を20%発煙硫酸に20分浸漬
し、スルホン化処理を行った。これを90%硫酸、60
%硫酸、30%硫酸に次々浸漬しながら、不織布に付着
した発煙硫酸を希釈し、最後に脱塩水に1夜浸漬し、染
み込んだ硫酸を溶出させた。水洗、乾燥後、実施例1と
同様にして、KOH染み込み速度及びXRF強度を測定
した。結果を表−7に示した。また比較のため実施例1
の結果を併せて表示した。
【0039】
【表7】
【0040】発煙硫酸によるスルホン化法に比し、本発
明方法のKOH染み込み速度は著しく向上している。E
SCAの測定値より、実施例1では、表面層に十分なス
ルホン基が導入されていること、また、XRFの測定値
より実施例1は内部へのスルホン化の程度は著しく低い
ことがわかる。 参考例2 タンク内でフッ素20%と窒素80%からなる混合ガス
5容量部を、窒素3容量部で希釈し、次いで二酸化硫黄
2容量部を加えた混合ガス(F2 10%、SO 2 20
%、N2 70%)を調製したところ、直ちに、タンク内
でフッ素と二酸化硫黄が爆発的に反応した。高濃度フッ
素の使用は非常に危険である。 参考例3 実施例6の混合ガス(F2 /SO2 /O2 =1/10/
10)を2時間放置したところ、SO2 2 の生成量は
仕込んだF2 の5%であった。これに対し、酸素ガスを
含まない混合ガス(F2 /SO2 =1/10)を2時間
放置した場合の、SO2 2 の生成量は仕込んだF2
78%であった。
【0041】
【発明の効果】本発明方法に依れば、簡便なプロセスに
より、ポリオレフィン系樹脂成形体表面のアルカリ水溶
液に対する親液性を大幅に向上させることができる。従
って、ニッケル−カドミウム二次電池、ニッケル−水素
二次電池等のアルカリ二次電池あるいはリチウム二次電
池等の電池セパレータ、フィルター等に使用するポリオ
レフィン系樹脂素材の処理に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴山 雅子 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂成形体を、フッ素
    0.01〜8容量%、酸素0.1〜95容量%及び二酸
    化硫黄1〜95容量%を含有する混合ガスと接触させる
    ことを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形体の表面処
    理方法。
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン系樹脂成形体がポリエチ
    レン及び/又はポリプロピレンを50重量%以上含有し
    ていることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン
    系樹脂成形体の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂成形体が、不織
    布、或いは織布から成り、構成する繊維として、繊維径
    が1〜50μmの繊維を50重量%以上含有することを
    特徴とする請求項1又は2記載のポリオレフィン系樹脂
    成形体の表面処理方法。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン系樹脂成形体が電池用セ
    パレータ素材であることを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれか1項記載のポリオレフィン系樹脂成形体の表面
    処理方法。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系樹脂からなる不織布或
    いは織布であって、ESCAにて測定した炭素に対する
    硫黄の元素組成比(S/C)が0.001〜0.50、
    炭素に対するフッ素の元素組成比(F/C)が0.02
    〜1.0、硫黄に対する酸素の元素比(O/S)が4.
    50〜1000であることを特徴とする電池用セパレー
    タ素材。
JP9015223A 1996-08-07 1997-01-29 ポリオレフィン系樹脂成形体の表面処理方法 Pending JPH10101830A (ja)

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