JPH10101824A - 帯電防止プラスチックプレートの製造方法 - Google Patents

帯電防止プラスチックプレートの製造方法

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JPH10101824A
JPH10101824A JP9063505A JP6350597A JPH10101824A JP H10101824 A JPH10101824 A JP H10101824A JP 9063505 A JP9063505 A JP 9063505A JP 6350597 A JP6350597 A JP 6350597A JP H10101824 A JPH10101824 A JP H10101824A
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JP
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gas
plastic plate
glow discharge
conductive
discharge plasma
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Application number
JP9063505A
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English (en)
Inventor
Yoshio Nishimura
善雄 西村
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布方式による高度帯電防止プラスチックプ
レートの製造方法であって、プラスチックプレートに変
形や歪みを与えることなく帯電防止塗膜を均質に、且
つ、強固に積層する。 【解決手段】 不活性ガスを主体とする処理ガス雰囲気
もしくは圧力1×10-4〜100Torrの処理ガス雰
囲気でプラスチックプレートの表面をグロー放電プラズ
マ処理し、該グロー放電プラズマ処理面に、熱硬化型も
しくは放射線硬化型導電性塗料を塗布・乾燥・硬化され
て形成された導電層を重ね合わせて積層することを特徴
とする帯電防止プラスチックプレートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止プラスチ
ックプレートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体ウェハー保存容器の材料や、電子
部品、半導体等各種の極もしくは超微細加工を要する製
造工場における床材や壁材は、帯電による塵埃の付着、
これら塵埃の落下や再分散による2次汚染等を防止する
目的で、高度に帯電防止されたプラスチックプレートが
使用される。従来、上記目的に使用される帯電防止され
たプラスチックは、アルミニウム、亜鉛等の金属微粉
末、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の金属酸化物、導
電性カーボン粉末、導電性ポリアニリン粉末等からなる
導電性物質をプラスチックプレート等の成型品の表面に
薄く均一に塗布したり、プラスチックをシートやプレー
ト等の加工素材や半導体ウェハー保存容器の如き成型品
を成型する際に、プラスチック中に均質に練り込んでお
き、これらの導電性プラスチック組成物を押出成型や射
出成型によって成型して導電性プラスチック成形品を製
造していたのである。
【0003】しかし、上記プラスチック中に導電性物質
を均質に練り込んでおき、これらの導電性プラスチック
組成物を押出成型や射出成型によって成型した成型品
は、光線透過率を高めるために、練り込まれる導電性物
質の粒度を0.2μm以下の微粒子とする等、光学的に
工夫してはいるが、殆どの場合、プラスチック中に分散
した導電性物質によって著しく透明性が阻害されるもの
であった。
【0004】従って、高度に帯電防止され、且つ、透明
性に優れたプラスチックプレートを製造するためには、
帯電防止能を有する部分が表面部分に濃縮された塗布方
式が採用され、上記帯電防止能を有する塗膜が透光性を
保持するため極めて薄い層で形成される。従って、極端
な厚さのバラツキが発生して帯電防止能にバラツキが発
生することのないように塗膜の厚さの精度を高める必要
があった。
【0005】上記の如き導電性樹脂シートとその製造方
法として、特開平6−263899号公報に、熱可塑性
樹脂と導電性材料とから成る塗料を熱可塑性樹脂離型フ
ィルムの表面に塗布し硬化させて導電性塗膜を形成し、
次いで、当該離型フィルムを、その塗膜面を熱可塑性樹
脂の基材シートの表面に対面させて当該樹脂基材シート
と熱圧着する導電性樹脂シートの製造方法、上記導電性
材料がポリアニリンである導電性樹脂シートの製造方法
及び上記熱可塑性樹脂と導電性ポリアニリンとから成る
導電性塗膜層が、熱可塑性樹脂基材シートの表面に、熱
圧一体に積層形成されてなる導電性樹脂シートが開示さ
れている。
【0006】しかし、上記特開平6−263899号公
報に開示された導電性樹脂シートの製造方法では、導電
性塗膜層を熱可塑性樹脂基材シートの表面に、熱圧一体
に積層するためには、導電性塗膜層を相当高温に加熱し
なければ熱可塑性樹脂基材シートの表面に密着させるこ
とができず、従って、このような高温に加熱して熱圧す
ると熱可塑性樹脂基材シートが熱変形してしまうという
問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、叙上の事実
に鑑みなされたものであって、その目的とするところ
は、塗布方式による高度帯電防止プラスチックプレート
の製造方法であって、プラスチックプレートに変形や歪
みを与えることなく帯電防止塗膜を均質に、且つ、強固
に積層することのできる帯電防止プラスチックプレート
の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、不活性ガスを主体とする処理ガス雰囲気もしくは圧
力1×10-4〜100Torrの処理ガス雰囲気でプラ
スチックプレートの表面をグロー放電プラズマ処理し、
該グロー放電プラズマ処理面に、熱硬化型もしくは放射
線硬化型導電性塗料を塗布・乾燥・硬化されて形成され
た導電層を重ね合わせて積層することを特徴とする帯電
防止プラスチックプレートの製造方法をその要旨とする
ものである。
【0009】又、請求項2記載の発明は、上記処理ガス
が、酸素含有ガス、窒素含有ガス及びフッ素含有ガスの
群から選ばれたガスであり、上記不活性ガスが、ヘリウ
ム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン及びラド
ンの群から選ばれた希ガスであることを特徴とする請求
項1記載の帯電防止プラスチックプレートの製造方法を
その要旨とするものである。
【0010】又、請求項3記載の発明は、上記グロー放
電プラズマ処理が、少なくとも一方の電極面に固体状誘
電体が被覆されている一対の対向する金属電極間に電圧
を印加して発生するグロー放電プラズマをプラスチック
プレートの表面に被曝させて行われることを特徴とする
請求項1記載の帯電防止プラスチックプレートの製造方
法をその要旨とするものである。
【0011】請求項1記載の発明において用いられる上
記熱硬化型もしくは放射線硬化型導電性塗料は、(a)
熱硬化性樹脂もしくは放射線硬化性樹脂、(b)導電性
粉末、(c)アルキル(メタ)アクリレート系重合体を
構成成分とする。
【0012】上記熱硬化性樹脂は、熱で架橋し、硬化す
るものであれば特に限定されるものではないが、例え
ば、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイ
ル基を有する(メタ)アクリレート化合物、不飽和ポリ
エステル、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ウ
レタン樹脂等が挙げられる。又、放射線硬化性樹脂は、
α線、β線、γ線、X線等の電離性放射線で架橋し、硬
化するものであれば特に限定されるものではないが、例
えば、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロ
イル基を有する(メタ)アクリレート化合物、不飽和ポ
リエステル、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、
ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0013】上記分子内に少なくとも2個以上の(メ
タ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合
物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ
(メタ)アクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチ
ル)−イソシアヌル酸エステル(メタ)アクリレート、
2,2−ビス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニ
ル〕プロパン、3−フェノキシ−2−プロパノイルアク
リレート、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒド
ロキシプロピル)−ヘキシルエーテル、テトラメチロー
ルメタンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】又、上記(メタ)アクリレート化合物以外
に、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレー
トも好適に使用される。即ち、これらの分子内にウレタ
ン結合を有する(メタ)アクリレートの少なくとも1種
の添加は、得られる導電層の耐擦傷性を高める等の好ま
しい性能を付与する。上記分子内にウレタン結合を有す
る(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリ
スリトールアクリレートヘキサメチレンジイソシアネー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロン
ジイソシアネート、ペンタエリスリトールトリアクリレ
ートトリレンジイソシアネート等のウレタンプレポリマ
ー等が挙げられる。
【0015】又、更に、上記(メタ)アクリレート化合
物以外に、分子内にエステル結合を有し、且つ、分子内
に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を有す
るポリエステル(メタ)アクリレートも好適に使用され
る。即ち、これらのポリエステル(メタ)アクリレート
の少なくとも1種の添加は、得られる導電層を構成する
熱硬化性樹脂及び放射線硬化性樹脂を高度に架橋し、該
導電層の硬度と耐擦傷性を高める等の好ましい性能を付
与する。
【0016】上記不飽和ポリエステル樹脂としては、特
に限定されるものではないが、例えば、不飽和多塩基性
酸又はその無水物と多価アルコールを反応して得られる
不飽和ポリエステルを重合性単量体に溶解した通常の不
飽和ポリエステル樹脂を用いることができる。上記不飽
和多塩基性酸又はその無水物としては、例えば、マレイ
ン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、カービ
ック酸、無水カービック酸等が挙げられ、必要に応じて
無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、モノクロ
ロフタル酸、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸等の飽
和多塩基性酸を添加してもよい。就中、耐熱水性を高め
るためには、イソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、
ビスフェノールA系不飽和ポリエステル樹脂等が好適に
使用される。
【0017】一方、多価アルコールとしては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレン
グリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物
等のグリコール類やグリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール等
が挙げられる。
【0018】上記不飽和ポリエステルは、分子内に二重
結合を含有する重合性単量体に溶解して用いられる。上
記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルト
ルエン、ジビニルベンゼン、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチルメタクリレート等が好適に用いられる。
【0019】上記不飽和ポリエステル樹脂を硬化させる
ために、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、
ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物やア
ゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等の硬化剤が
用いられる。上記硬化剤に必要に応じて、例えば、ナフ
テン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、オクテン酸コバ
ルト等の金属石鹸類、ジメチルアニリン等の芳香族第三
級アミン類、ジメチルベンジルアンモニウムクロライド
等の第四級アンモニウム塩類等の硬化促進剤を併用して
もよい。
【0020】上記エポキシ樹脂としては、特に限定され
るものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹
脂等が好適に用いられる。上記エポキシ樹脂を硬化させ
るために、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレ
ンテトラミン、メタフェニレンジアミン等のアミン類、
ポリアミン類、ポリアミド類、無水フタル酸、テトラハ
イドロフタル酸酸無水物、ヘキサハイドロフタル酸酸無
水物等の酸無水物、多硫化物等からなる硬化剤が好適に
用いられる。
【0021】上記ウレタン樹脂としては、特に限定され
るものではないが、例えば、ポリオールと分子内に2個
以上のイソシアネート基を有する化合物とを付加重合す
る公知の方法で製造されるウレタン樹脂が用いられる。
上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコー
ル、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオ
ール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン
等の短鎖のジオール、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、並
びに、アジピン酸とエチレングリコール、アジピン酸と
プロパンジオール、アジピン酸とブタンジオール、アジ
ピン酸とペンタンジオール、アジピン酸とヘキサンジオ
ールとの縮合ポリエステルグリコール等の長鎖のジオー
ル等が挙げられる。上記ポリオールの内、短鎖のジオー
ルは、得られる導電層の表面高度を高めることができる
ので好適に用いられる。
【0022】分子内に2個以上のイソシアネート基を有
する化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、トル
エンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、メ
チレンジシクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられ
る。これらの熱硬化性樹脂は、(メタ)アクリレート化
合物単独で用いられてもよいが、(メタ)アクリレート
化合物と不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレ
タン樹脂等が併用されてもよい。
【0023】上記導電性粉末は、透光性を著しく阻害す
るものでなければ特に限定されるものではなく、無機質
の導電性粉末、有機質の導電性粉末から適宜選択使用さ
れる。上記無機質の導電性粉末として、例えば、粒子の
表面もしくは粒子全体が酸化錫成分からなる導電性粉
末、上記酸化錫成分に酸化アンチモン成分0.1〜20
重量%を添加した導電性粉末等が挙げられる。上記酸化
錫成分からなる導電性粉末は、高い導電性を示すが、粒
子径が大きくなると可視光線を散乱し、得られる導電性
塗膜の透明性が低下するので、その粒子径は0.4μm
以下であることが望ましい。しかし、硫酸バリウム等の
透明性を有する粒子の表面に酸化錫をコーティングした
導電性粉末の場合には、上記可視光線の散乱は少ないの
で、その粒子径は0.4μm以上であってもよい。
【0024】酸化アンチモン含有酸化錫を硫酸バリウム
等の透明性を有する粒子の表面にコーティングした導電
性粉末は、その高い透明性から好適に使用される。上記
酸化アンチモン含有酸化錫を硫酸バリウム粒子の表面に
コーティングした導電性粉末の粒子径は、0.01〜2
μmの範囲で好適に使用される。上記粒子径が0.01
μm未満である場合、必要な導電性を示す厚さに形成さ
れた導電性塗膜において、芯材である硫酸バリウム粒子
の体積比率が小さくなり、該導電性塗膜の透明性が低下
する。又、上記粒子径が2μmを超えると、形成される
導電性塗膜の平滑性が低下し、充填された導電性粉末間
に微小な空気孔が生じ、導電性塗膜が曇り、その透明性
を低下させる。
【0025】上記無機質の導電性粉末の配合量は、熱硬
化性樹脂もしくは放射線硬化性樹脂100重量部に対し
100〜500重量部が好ましい。上記配合量が100
重量部未満である場合、形成される導電性塗膜の導電性
が低下し、必要な帯電防止効果が得られず、又、上記配
合量が500重量部を超えると、形成される導電性塗膜
の透明性が低下する。
【0026】上記有機質の導電性粉末として、例えば、
アニリン系重合体、ピロール系重合体、チオフェン系重
合体等の導電性粉末が挙げられる。就中、導電性アニリ
ン系重合体は、熱安定性に優れることから好適に使用さ
れる。上記導電性アニリン系重合体の配合量は、熱硬化
性樹脂もしくは放射線硬化性樹脂100重量部に対し
0.1〜30重量部が好ましい。上記配合量が0.1重
量部未満である場合、形成される導電性塗膜の導電性が
低下し、必要な帯電防止効果が得られず、又、上記配合
量が30重量部を超えると、形成される導電性塗膜の透
明性が低下する。
【0027】上記アルキル(メタ)アクリレート系重合
体は、本発明において用いられる熱硬化型もしくは放射
線硬化型の導電性塗料において、導電性粉末を均一に分
散させるための分散剤として作用するものであり、アル
キル(メタ)アクリレートの単独重合体及び/又は共重
合体である。上記アルキル(メタ)アクリレートとして
は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブ
チル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。上記アルキル(メ
タ)アクリレートの単独重合体及び共重合体の製造方法
は特に限定されるものではなく、例えば、一般に用いら
れる溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法
によって重合される。
【0028】上記アルキル(メタ)アクリレートの単独
重合体及び共重合体の分子量は、小さくなると、増粘の
効果が発現せず塗工性に劣り、又、大き過ぎると熱硬化
型もしくは放射線硬化型の導電性塗料の粘度が高くなり
過ぎ塗工性に劣るので、10万〜100万程度、好まし
くは30万〜80万である。
【0029】上記アルキル(メタ)アクリレート系重合
体の配合量は、熱硬化性樹脂もしくは放射線硬化性樹脂
100重量部に対し、好ましくは10〜100重量部、
より好ましくは30〜80重量部である。上記アルキル
(メタ)アクリレート系重合体の配合量が熱硬化性樹脂
もしくは放射線硬化性樹脂100重量部に対し10重量
部未満であると、熱硬化型もしくは放射線硬化型の導電
性塗料の各成分が均一に分散せず、増粘の効果も得られ
ないので、該熱硬化型もしくは放射線硬化型の導電性塗
料の塗工性に劣り、且つ、得られる導電層の透明性も低
下する。又、上記配合量が100重量部を超えると、得
られる導電層の耐擦傷性が低下する。
【0030】上記熱硬化型もしくは放射線硬化型の導電
性塗料は、熱硬化性樹脂もしくは放射線硬化性樹脂、導
電性粉末の他、必要に応じて、有機溶剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤等が添加されてもよい。
【0031】上記有機溶剤は、特に限定されるものでは
ないが、沸点が低いもの、もしくは揮発性の高いものは
塗工中に蒸発により熱硬化型もしくは放射線硬化型の導
電性塗料粘度が変化するという問題があり、高沸点のも
のでは乾燥工程に時間を要するので、沸点70〜160
℃程度のものが好ましい。上記有機溶剤としては、例え
ば、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノメチル
エーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、ジエチレング
リコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、イソプロピル
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケ
トン、トルエン、キシレン、アニソール等が挙げられ
る。
【0032】上記紫外線吸収剤としては、特に限定され
るものではないが、例えば、サリチル酸系紫外線吸収
剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤
等が挙げられる。上記酸化防止剤としては、例えば、フ
ェノール系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、イオウ系
酸化防止剤等が挙げられる。上記重合禁止剤としては、
例えば、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール等が挙
げられる。
【0033】又、導電性粉末のバインダーとして使用さ
れる熱可塑性樹脂への分散性を向上させるために上記導
電性粉末を予め、シランカップリング剤、チタンカップ
リング剤、アルミネートカップリング剤等で表面処理を
行っておくことも有効である。
【0034】上記熱硬化型もしくは放射線硬化型の導電
性塗料の調製は、上記アルキル(メタ)アクリレート系
重合体、導電性粉末を有機溶剤に加えて混合した後、
(メタ)アクリレート化合物、熱硬化性樹脂もしくは放
射線硬化性樹脂、硬化触媒等を加えて更に混合して行わ
れる。上記混合には、微粉末を充分に分散させるため、
例えば、サンドミル、ボールミル、アトライター、高速
回転攪拌装置、3本ロール等の混合装置が用いられる。
【0035】本発明において、上記熱硬化型もしくは放
射線硬化型の導電性塗料を塗布・乾燥させて塗膜を形成
する際に用いられるプラスチックフィルムとしては、特
に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンや
ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエチ
レンテレフタレートの如きポリエステルフィルムが挙げ
られる。上記透明なプラスチックフィルムは、1軸もし
くは2軸の延伸処理が施されたものであってもよく、必
要に応じて表面離型処理が施されたものであってもよ
い。
【0036】上記プラスチックフィルム上に上記熱硬化
型もしくは放射線硬化型の導電性塗料が塗工されるが、
上記工程において、採られる塗工方法としては、精密塗
工ができる方法であれば特に限定されるものではない
が、例えば、スプレー法、バーコート法、ドクターブレ
ード法、ロールコート法、ディッピング法等が挙げられ
る。
【0037】上記プラスチックフィルム上に形成される
導電層の厚さは、好ましくは0.5〜5μmである。上
記導電層の厚さが0.5μm未満であると、導電性が不
充分となり、必要な帯電防止効果が得られない。又、上
記導電層の厚さが5μmを超えると、全光線透過率が低
下し、透明性が低下する。
【0038】上記プラスチックフィルム上に形成された
熱硬化型の導電性塗膜の硬化の工程において用いられる
加熱手段は、特に限定されるものではないが、例えば、
熱風加熱、マイクロ波加熱、赤外線加熱等が挙げられ、
特に赤外線加熱は上記導電性塗膜を均一に且つ安定して
加熱できるので、好適に用いられる。これらの加熱手段
は、単独もしくは2以上の手段が併用されてもよい。
【0039】上記加熱温度が低温に過ぎると、熱硬化型
導電性塗料から得られる導電層とプラスチックプレート
の積層時の密着性が不十分となり、高温に過ぎると、導
電層が変形するので、好ましくは40〜130℃、より
好ましくは50〜100℃である。
【0040】又、上記放射線硬化型の導電性塗膜の硬化
の工程において用いられる電離性放射線照射手段は、特
に限定されるものではないが、例えば、β線(電子線)
照射装置等が挙げられる。上記照射線量は、少な過ぎる
と架橋密度が低くなり、得られる導電層の表面硬度が低
下し、多くなり過ぎると得られる導電層が着色するなど
光学特性を低下させるので、好ましくは1〜20Mra
d、より好ましくは5〜10Mradである。
【0041】本発明で用いられる上記プラスチックプレ
ートとしては、特に限定されるものではないが、例え
ば、塩化ビニル(PVC)系樹脂、ポリカーボネート
(PC)樹脂、ポリメタクリレート(アクリル)系樹
脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン)系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファ
イド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(P
EEK)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹
脂、ポリサルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテ
ルイミド樹脂、フッ素樹脂等のプラスチックから成型さ
れたプレートが挙げられる。
【0042】上記プラスチックプレートの表面のグロー
放電プラズマ処理において、該グロー放電プラズマ処理
雰囲気の圧力は、不活性ガスを主体とする処理ガス雰囲
気においては1気圧近傍、100〜800Torr、好
ましくは700〜780Torrであり、上記処理ガス
雰囲気乃至処理ガスを主体とする処理ガス雰囲気におい
ては1×10-4〜100Torrである。不活性ガスを
主体とする処理ガス雰囲気において、上記処理雰囲気の
圧力が800Torrを超えると、グロー放電プラズマ
処理装置の圧力調整装置が大がかりなものとなり、経済
性を失うばかりか、その処理操作も極めて煩瑣なものと
なる。
【0043】上記グロー放電プラズマ処理工程において
用いられる処理ガスは、活性元素のラジカルを発生し得
る気体からなり、例えば、酸素、オゾン、水蒸気、一酸
化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素等の酸素
含有ガス、アンモニア、窒素等の窒素含有ガス及び四フ
ッ化炭素(CF4 )、六フッ化炭素(C2 F6 )、六フ
ッ化プロピレン、一塩化三フッ化炭素(CClF3 )、
六フッ化硫黄(SF6)等のフッ素含有ガス等が挙げら
れる。これらの処理ガスは単独又は2種以上が併用され
てもよい。就中、上記酸素含有ガスに、50体積%以下
の混合比率で上記フッ素含有ガスを混合した処理ガスは
被処理プラスチックプレートの表面活性化の程度が高
く、且つ、均一に処理されるので好適に用いられる。
【0044】又、処理ガス、就中、活性元素のラジカル
を発生し易い処理ガスの使用に際し、ヘリウム、ネオ
ン、アルゴン、キセノン等の希ガスを含む不活性ガスを
併用してもよい。上記不活性ガスの混合比率は50体積
%程度もしくはそれ以下である。上記混合比率が50体
積%程度を超えて多くなり過ぎると、被処理プラスチッ
クプレートの表面活性化の程度が落ちる。
【0045】上記グロー放電プラズマ処理工程におい
て、1気圧近傍の処理雰囲気でグロー放電プラズマを照
射する際に用いられる処理ガスは、不活性ガスを主体と
する処理ガスであって、ヘリウム、ネオン、アルゴン、
キセノン等の希ガスを含む不活性ガスのみからなる処理
ガスであってもよく、不活性ガスを主体とし、これに上
記活性元素のラジカルを発生し得る酸素含有ガス、窒素
含有ガス、フッ素含有ガス等を混合した処理ガスであっ
てもよい。不活性ガスを主体とし、これに上記活性元素
のラジカルを発生し易い酸素含有ガス、窒素含有ガス、
フッ素含有ガス等を混合して用いる場合、不活性ガスと
して、就中、準安定状態の寿命の長いヘリウムガスが励
起し易く、且つ、均一に処理されるので好適に用いられ
る。
【0046】又、希ガスを含む不活性ガスに上記活性元
素のラジカルを発生し得る酸素含有ガス、窒素含有ガ
ス、フッ素含有ガス等を混合して用いる場合、これら酸
素含有ガス、窒素含有ガス、フッ素含有ガス等に加え、
アセトン、メタノール、メタン、エタン等の有機化合物
の蒸気を混合することによって、上記ヘリウムガス同
様、励起し易く、且つ、均一に処理されるので好適に用
いられる。上記有機化合物の蒸気の混合比率は、2体積
%以下である。上記混合比率が2体積%を超えると、グ
ロー放電プラズマが発生しにくくなる。上記不活性ガス
の混合比は、90体積%以上、好ましくは95〜99.
9体積%である。上記不活性ガスの混合比が90体積%
未満の場合、グロー放電プラズマが発生しにくくなる。
【0047】上記処理ガスは、グロー放電プラズマによ
って励起される。上記処理ガスを励起させるグロー放電
プラズマ発生手段は、特に限定されるものではないが、
例えば、少なくとも一方の電極面に固体状誘電体が被覆
されている一対の対向する金属電極を配設し、該電極間
に直流電流を印加してプラズマ分解する方法、高周波電
流を印加してプラズマ分解する方法、マイクロ波電流を
印加してプラズマ分解する方法等が挙げられる。
【0048】上記グロー放電に用いられる電源の周波数
は、kHzオーダーであり、耐熱性の小さい被処理プラ
スチックプテートの場合、5〜30kHz程度の比較的
低い周波数が好ましい。又、用いられる電圧は、使用さ
れる処理ガスの種類及び被処理プラスチックプレートの
種類や厚さ等によって適宜設定されるが、好ましくは、
その電界強度が1〜40kV/cmとなるように印加さ
れる。上記電界強度が1kV/cm未満であると、プラ
スチックプレートの表面処理に長時間を要し、40kV
/cmを超えると、アーク放電に移行する挙動を示し、
プラスチックプレートの表面処理が均一にできなくな
る。
【0049】上記グロー放電プラズマ処理時間は、使用
される処理ガスの種類、印加電圧の大きさ及び被処理プ
ラスチックプレートの種類や厚さ等によって適宜設定さ
れるが、例えば、厚さ3mmのアクリル樹脂プレートを
ヘリウムガスを用いてグロー放電プラズマ処理を行う場
合、上記5〜30kHz程度の印加電圧範囲では15秒
程度で表面活性化は充分に行われ、その効果が飽和する
ので、これ以上の処理時間は必要ない。
【0050】以下、図1に示されたグロー放電プラズマ
処理装置を参照しながら本発明の帯電防止プラスチック
プレートの製造方法を説明する。
【0051】図1に示されたグロー放電プラズマ処理装
置は、電源部1、パイレックスガラス製の表面処理室側
壁2、ステンレス鋼板製の表面処理室天板3及び表面処
理室底板4を主要構成部材とする表面処理室容器、上記
表面処理室容器内の表面処理室天板3近くに設けられた
上部電極6及び表面処理室底板4近くに設けられた下部
電極7からなる電極並びにガス排気口11、上記上部電
極6内より導入されるガス導入口8及び上記上部電極6
及び下部電極7間に噴出されるガス導入口9及びこれに
連なる複数個のガス噴出口101、101、・・・を備
えたパイレックスガラス製のガス噴出リング10等から
なるガス導入及び排出装置等から構成されている。
【0052】上記上部電極6及び下部電極7の電極材料
は、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレ
ス鋼、真鍮等の多成分系の金属や、銅、アルミニウム等
の単一成分からなる金属が挙げられる。
【0053】上記上部電極6及び下部電極7の形状は、
特に限定されるものではなく、被処理プラスチックプレ
ートをグロー放電プラズマに暴露する形態によって前記
する電極群から適宜選定さてるが、図1においては、一
対の相対する平行平板型が示されている。上記上部電極
6及び下部電極7には、その電極面に各々固体誘電体6
1及び71が被覆されている。上記固体誘電体は、必ず
しも両電極6及び7を共に被覆する必要はなく、上部電
極6のみに被覆されるものであってもよい。
【0054】上記固体誘電体としては、特に限定される
ものではないが、例えば、ポリテトラフロロエチレン
(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)
等の有機固体誘電体や酸化珪素(SiO2 )、酸化アル
ミニウム(Al2 O3 )、酸化ジルコニウム(ZrO2
)、酸化チタン(TiO2 )等の無機固体誘電体が挙
げられる。これらの固体誘電体は、フィルムもしくはシ
ート状であってもよく、又、上記電極形状の型窩を有す
る成形体であってもよい。上記電極面を被覆する固体誘
電体の厚さは、0.05〜4mm程度が好ましい。上記
電極面に4mmを超えて余り厚いと、グロー放電プラズ
マを発生させるのに高電圧を要し、0.05mm未満の
余り薄い被覆であると電圧印加時に絶縁破壊が起こり易
く、アーク放電に移行するおそれがある。
【0055】上記表面処理室容器は、図1に示されてい
るグロー放電プラズマ処理装置において、パイレックス
ガラス製の表面処理室側壁2、ステンレス鋼板製の表面
処理室天板3及び表面処理室底板4を主要構成部材とし
ているが、各構成部材が上記上部電極6及び下部電極7
等の電極と充分に絶縁がとれているならば、ステンレス
鋼やアルミニウム板等の導電性材料からなる構成部材で
あってもよい。
【0056】図1に示されているグロー放電プラズマ処
理装置において、被処理プラスチックプレートAは、下
部電極7の電極面を被覆する固体誘電体71上に載置さ
れて、上部電極6から下部電極7に向けて流れるグロー
放電プラズマの照射を受けるので、被処理プラスチック
プレートAの上部電極6に対向する表面のみがグロー放
電プラズマ処理される。
【0057】上記被処理プラスチックプレートAの表裏
両面をグロー放電プラズマ処理しようとする場合、再
度、被処理プラスチックプレートAの裏面について同じ
操作を行ってもよいが、被処理プラスチックプレートA
を上記上部電極6と下部電極7の間に上記両電極と平行
に、且つ、上記両電極と被処理プラスチックプレートA
の間に処理用ガスが充分に接触し得る前記高さ1mm以
上の処理雰囲気を設ける必要がある。
【0058】上記上部電極6と下部電極7間のグロー放
電プラズマ処理部に処理用ガスもしくは処理用ガス及び
不活性ガスを均一に供給するために、図1においては、
上部電極6を多孔構造とし、上部電極6の電極面を被覆
する固体誘電体61を貫通する複数個の処理用ガス供給
口62、62、・・・を穿設し、ガス導入管8から供給
される処理用ガスを可及的均一に上記グロー放電プラズ
マ処理部に分散して供給し得る如くなされているが、ガ
ス攪拌装置等の付加設備を用い、上記グロー放電プラズ
マ処理部に供給する等適宜ガス攪拌手段を講ずるなら
ば、上部電極6を多孔構造とする必要はない。
【0059】又、上記上部電極6と下部電極7間のグロ
ー放電プラズマ処理部に、ガス導入管9から供給される
処理用ガスを、ガス噴出リング10の複数個のガス噴出
口101、101、・・・より噴出させ、上記上部電極
6の複数個の処理用ガス供給口62、62、・・・から
供給される処理用ガスと均一に混合して上記グロー放電
プラズマ処理部に供給し得る如くなされているが、上記
多孔構造とした上部電極6と同様に、適宜ガス攪拌手段
を講ずることによって、ガス噴出リング10に置き換え
ることができる。
【0060】上記処理用ガスもしくは処理用不活性ガス
は、図示していないが、ガス導入管8及び9並びにガス
排出口11においてマスフローコントローラー等で流量
制御されている。
【0061】請求項3記載の発明の帯電防止プラスチッ
クプレートの製造方法において、上記表面処理室容器内
は減圧されるが、図示していない減圧装置によって、排
気口12より減圧される。
【0062】上記のようにグロー放電プラズマ処理され
たプラスチックプレート上に、第2工程で得られた導電
層が積層されて、プラスチックフィルム/導電層/プラ
スチックプレート積層体が形成される。上記積層手段
は、特に限定されるものではないが、例えば、請求項1
記載の発明において用いられた積層方法等が有効に使用
できる。
【0063】然る後、上記積層体の導電層表面からプラ
スチックフィルムが剥離されて帯電防止プラスチックプ
レートが製造される。
【0064】請求項1〜3記載の本発明の帯電防止プラ
スチックプレートの製造方法は、叙上の如く構成されて
いるので、導電層がプラスチックプレート上に強固に積
層接着され、該導電層の表面硬度を大きく形成でき、且
つ、高い透明性を付与し得るものである。よって、得ら
れる帯電防止プラスチックプレートは、上記の如く高度
に帯電防止され、内部が透視でき、且つ、耐擦傷性の高
いものであるので、例えば、内部を透視しながら作業す
るクリーンベンチの如き半導体関連設備用に好適に用い
られる。
【0065】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて、本発明の
実施の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実
施例のみに限定されるものではない。
【0066】(実施例1) 〔放射線硬化型導電性塗料の調製〕ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート(日本化薬社製、商品名「DP
HA」)100重量部、導電性粉末(三菱マテリアル社
製、商品名「T−1」)300重量部、ポリメチルメタ
クリレート(根上工業社製、商品名「ハイパールHP
A」)50重量部、メチルエチルケトン200重量部及
びシクロヘキサノン800重量部をアトライターを用い
て8時間攪拌分散させて放射線硬化型導電性塗料Aを調
製した。
【0067】上記放射線硬化型導電性塗料Aを厚さ25
μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人社
製、商品名「テトロンフィルムHP7」、以下、PET
フィルムと称する)上にバーコーターを用いて乾燥後の
膜厚が2μmとなるように塗布し、乾燥して放射線硬化
型導電層を形成した(第1工程)。第1工程で得られた
放射線硬化性導電層にβ線(電子線)を5Mrad照射
して硬化させ、導電層を形成した(第2工程)。
【0068】これとは別に、電極間距離30mmの図1
に示すような高周波容量結合型プラズマ処理装置を用
い、厚さ3mmのアクリル樹脂プレートAを上記電極6
及び7間に置き、装置内を1×10-3Torrに減圧
し、次いで、装置内に酸素ガスをガス流量10sccm
で導入し、装置内を0.1Torrに調節する。この状
態を維持しながら70Wの電力を1分間印加してグロー
放電プラズマを照射してアクリル樹脂プレート表面を活
性化処理した(第3工程)。アクリル樹脂プレートの上
記表面処理面に硬化した導電層が接するように積層し、
温度120℃に加熱された圧着ロールにより4kg/c
2 の圧力で熱圧着して、アクリル樹脂プレート/導電
層/PETフィルム積層体を作製し(第4工程)、最後
に上記積層体の導電層表面のPETフィルムを剥離して
(第5工程)、帯電防止透明アクリル樹脂プレートを作
製した。
【0069】(実施例2) 〔放射線硬化型導電性塗料の調製〕ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート(日本化薬社製、商品名「DP
HA」)100重量部、導電性粉末(三井金属社製、商
品名「パストランType−IV」)300重量部、ポ
リメチルメタクリレート(根上工業社製、商品名「ハイ
パールHPA」)50重量部、メチルエチルケトン20
0重量部及びシクロヘキサノン800重量部をアトライ
ターを用いて8時間攪拌分散させて放射線硬化型導電性
塗料Bを調製した。実施例1の放射線硬化型導電性塗料
Aに替えて、上記放射線硬化型導電性塗料Bを用いたこ
と以外、実施例1と同様にして帯電防止透明アクリル樹
脂プレートを作製した。
【0070】(実施例3) 〔放射線硬化型導電性塗料の調製〕ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート(日本化薬社製、商品名「DP
HA」)100重量部、導電性粉末(アライドシグナル
社製、商品名「Versicon」、アニリン重合体)
15重量部、ポリメチルメタクリレート(根上工業社
製、商品名「ハイパールHPA」)50重量部、メチル
エチルケトン80重量部及びシクロヘキサノン320重
量部をアトライターを用いて8時間攪拌分散させて放射
線硬化型導電性塗料Cを調製した。実施例1の放射線硬
化型導電性塗料Aに替えて、上記放射線硬化型導電性塗
料Cを用いたこと以外、実施例1と同様にして帯電防止
透明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0071】(実施例4)グロー放電プラズマ照射処理
条件を、ヘリウムをガス流量10sccm、四フッ化炭
素をガス流量20sccmで導入し、装置内を1Tor
rに調節し、100Wの電力を1分間印加したこと以
外、実施例1と同様にして帯電防止透明アクリル樹脂プ
レートを作製した。
【0072】(実施例5)実施例4の放射線硬化型導電
性塗料Aに替えて、実施例2の放射線硬化型導電性塗料
Bを用いたこと以外、実施例4と同様にして帯電防止透
明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0073】(実施例6)実施例4の放射線硬化型導電
性塗料Aに替えて、実施例3の放射線硬化型導電性塗料
Cを用いたこと以外、実施例4と同様にして帯電防止透
明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0074】(実施例7)図1に示すような高周波容量
結合型プラズマ処理装置におけるグロー放電プラズマ発
生装置の電極間距離を7mmとし、該電極間空間に厚さ
2mm、直径120mmのTiO2 焼結体円板71を装
着した下部電極上に厚さ3mmの透明アクリル樹脂プレ
ートAを置き、装置内を1Torrになるまで油回転ポ
ンプで排気し、次いで、ヘリウムガスをガス流量500
sccmをガス導入管9から装置内に導入し、装置内を
757Torrに調節し、この状態で電極に、15kH
z、3.1kVの電圧を15秒間印加してグロー放電プ
ラズマ照射処理したこと以外、実施例1と同様にして帯
電防止透明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0075】(実施例8)実施例7の放射線硬化型導電
性塗料Aに替えて、実施例2の放射線硬化型導電性塗料
Bを用いたこと以外、実施例7と同様にして帯電防止透
明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0076】(実施例9)実施例7の熱硬化型導電性塗
料Aに替えて、実施例3の熱硬化型導電性塗料Cを用い
たこと以外、実施例7と同様にして帯電防止透明アクリ
ル樹脂プレートを作製した。
【0077】(実施例10)グロー放電プラズマ発生装
置の電極間距離を5mmとし、該電極間空間に厚さ2m
m、120mm×120mmの石英ガラス板71を装着
した下部電極上に厚さ3mm、100mm×100mm
の被処理アクリル樹脂プレートAを置き、装置内を1T
orrになるまで油回転ポンプで排気し、次いで、酸素
ガスを流量15sccmで多孔構造62、62、・・・
の上部電極6から導入し、又、ヘリウムガスをガス流量
985sccmでカス導入管9よりパイレックスガラス
製のガス噴出リング10を経て導入して装置内を757
Torrに調節し、この状態で電極に、15kHz、
4.1kVの電圧を15秒間印加してグロー放電プラズ
マ照射処理したこと以外、実施例1と同様にして帯電防
止透明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0078】(実施例11)実施例10の放射線硬化型
導電性塗料Aに替えて、実施例2の放射線硬化型導電性
塗料Bを用いたこと以外、実施例10と同様にして帯電
防止透明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0079】(実施例12)実施例10の放射線硬化型
導電性塗料Aに替えて、実施例3の放射線硬化型導電性
塗料Cを用いたこと以外、実施例10と同様にして帯電
防止透明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0080】(比較例1)グロー放電プラズマ照射処理
を行わなかったこと以外、実施例1と同様にして帯電防
止透明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0081】(比較例2)比較例1の放射線硬化型導電
性塗料Aに替えて、実施例2の放射線硬化型導電性塗料
Bを用いたこと以外、比較例1と同様にして帯電防止透
明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0082】(比較例3)比較例1の放射線硬化型導電
性塗料Aに替えて、実施例3の放射線硬化型導電性塗料
Cを用いたこと以外、比較例1と同様にして帯電防止透
明アクリル樹脂プレートを作製した。
【0083】上記実施例及び比較例で得られた帯電防止
プラスチックプレートの性能を評価するため、以下に示
す試験項目について、以下に示す方法で試験した。試験
結果は表1に示す。 (試験項目及び試験方法) 1.表面固有抵抗:ASTM D257に準拠して、帯
電防止プラスチックプレートの導電層の表面固有抵抗
(Ω/□)を測定した。尚、測定温度及び湿度は、23
℃、50%RHであった。
【0084】2.全光線透過率:ASTM D1003
に準拠して、帯電防止プラスチックプレートの全光線透
過率を測定した。
【0085】3.ヘーズ(%):ASTM D1003
に準拠して、帯電防止プラスチックプレートのヘーズ
(Haze)を測定した。
【0086】4.密着性:帯電防止プラスチックプレー
トの導電層の密着性を碁盤目テストにより評価した。碁
盤目テストは、帯電防止プラスチックプレートの導電層
に1mm角の切れ目を縦横方向に入れて100個の碁盤
目を作製し、積水化学工業社製、商品名「セキスイセロ
ハン粘着テープNo.252」を常法に従い上記碁盤目
に貼付し、これを引き剥がして行った。テスト結果は、
100個の碁盤目(分母)の内、剥がれなかった個数を
分子に表示した。
【0087】5.接触角:グロー放電プラズマ処理され
たプラスチックプレート及び比較例のこれに相当する段
階のプラスチックプレートの性能を評価するため、接触
角の測定を行った。測定方法は以下の通りである。被測
定表面に直径2mmφの水滴を1cm間隔で滴下し、協
和界面科学社製の接触角測定装置(商品名「CA−
D」)を用いて静的接触角を測定した。
【0088】
【表1】
【0089】実施例1〜12で得られた帯電防止透明ア
クリル樹脂プレートは、表面固有抵抗、全光線透過率及
び表面硬度のいずれも優れた性能を示し、且つ、導電層
が透明アクリル樹脂プレート上に該透明アクリル樹脂プ
レートを熱変形などのトラブルなく強固に接着している
ことを示している。比較例1〜3で得られた帯電防止透
明アクリル樹脂プレートは、導電層と透明アクリル樹脂
プレートの接着力は弱く、碁盤目テストによって導電層
は殆ど剥離されてしまったことを示している。導電層と
透明アクリル樹脂プレートの上記接着力は、接触角の測
定結果が示すようにグロー放電プラズマ処理が大いに寄
与していることを示唆している。
【0090】
【発明の効果】本発明の帯電防止プラスチックプレート
の製造方法は、叙上の如く構成されているので、導電層
がプラスチックプレート上に強固に積層接着され、該導
電層の表面硬度を大きく形成でき、且つ、高い透明性を
付与し得るものである。よって、得られる帯電防止プラ
スチックプレートは、上記の如く高度に帯電防止され、
内部が透視でき、且つ、耐擦傷性の高いものであるの
で、例えば、内部を透視しながら作業するクリーンベン
チの如き半導体関連設備用に好適に用いられる。
【0091】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電防止プラスチックプレートの製造
方法を実施するための装置の一例を示す一部切欠断面図
である。
【符号の説明】
1 電源部 2 表面処理室側壁(パイレックスガラス製) 3 表面処理室天板(ステンレス鋼板製) 4 表面処理室底板(ステンレス鋼板製) 5 表面処理部 6 上部電極 7 下部電極 61、71 固体誘電体 62 ガス供給口 8、9 ガス導入管 10 ガス噴出リング(パイレックスガラス製) 101 ガス噴出口 11 ガス排出口 12 排気口 13 絶縁体 A 被処理プラスチックプレート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01B 1/20 H01B 1/20 B // B29L 9:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不活性ガスを主体とする処理ガス雰囲気
    もしくは圧力1×10-4〜100Torrの処理ガス雰
    囲気でプラスチックプレートの表面をグロー放電プラズ
    マ処理し、該グロー放電プラズマ処理面に、熱硬化型も
    しくは放射線硬化型導電性塗料を塗布・乾燥・硬化され
    て形成された導電層を重ね合わせて積層することを特徴
    とする帯電防止プラスチックプレートの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記処理ガスが、酸素含有ガス、窒素含
    有ガス及びフッ素含有ガスの群から選ばれたガスであ
    り、上記不活性ガスが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、
    クリプトン、キセノン及びラドンの群から選ばれた希ガ
    スであることを特徴とする請求項1記載の帯電防止プラ
    スチックプレートの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記グロー放電プラズマ処理が、少なく
    とも一方の電極面に固体状誘電体が被覆されている一対
    の対向する金属電極間に電圧を印加して発生するグロー
    放電プラズマをプラスチックプレートの表面に被曝させ
    て行われることを特徴とする請求項1記載の帯電防止プ
    ラスチックプレートの製造方法。
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