JPH10101090A - 含硫食品缶詰用アルミニウム缶体及びその製造方法 - Google Patents

含硫食品缶詰用アルミニウム缶体及びその製造方法

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JPH10101090A
JPH10101090A JP25258396A JP25258396A JPH10101090A JP H10101090 A JPH10101090 A JP H10101090A JP 25258396 A JP25258396 A JP 25258396A JP 25258396 A JP25258396 A JP 25258396A JP H10101090 A JPH10101090 A JP H10101090A
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aluminum
layer
top coat
paint
epoxy resin
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JP25258396A
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Koji Tanaka
廣司 田中
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Hokkaican Co Ltd
Original Assignee
Hokkaican Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】含硫食品缶詰用の、開缶時に視覚的にも嗅覚的
にも不快感を与えることのないツー・ピース・アルミニ
ウム缶体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】缶内面の金属下地5上に設けられたアルミ
キレート硬化型エポキシ樹脂塗料の下塗り塗膜層6と、
下塗り塗膜層6上に設けられた酸化亜鉛粉末を含有する
熱硬化型油性塗料の上塗り塗膜層7とを備える。下塗り
塗膜層6を形成す工程と、上塗り塗膜層7を形成する工
程と、缶内面に前記両塗膜層6,7の塗装が施された缶
用アルミニウム板Wに絞り加工を施して有底筒状缶体1
aを形成する絞り加工工程とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含硫蛋白質を有す
る食品の缶詰に用いられるアルミニウム缶体及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スイートコーン等の農産物、鶏肉
等の畜産物、えび、かに等の甲殻類、帆立貝等の水産加
工品等のように含硫蛋白質を有する食品を内容物とする
缶詰容器として、スリー・ピース・スチール缶体が用い
られている。ところが、前記含硫蛋白質を有する食品を
内容物とする缶詰容器では、缶詰製造時のレトルト殺菌
処理工程及びその後の保存中に前記内容物から硫化物が
発生し、開缶時に硫黄臭を感じさせ、内容物のフレーバ
ーを低下させるという問題がある。また、前記硫化物は
前記缶体を構成する鉄や錫と反応して、黒色の硫化鉄や
灰色の硫化錫を生成するために、開缶時に視覚的不快感
を与えて商品価値を下げるという問題もある。
【0003】前記問題を解決するために、スリー・ピー
ス・スチール缶体の缶内面側に酸化亜鉛粉末を含有する
熱硬化型油性塗料、所謂Cエナメルを塗布することが行
われている。酸化亜鉛は硫化物と反応しやすいので、前
記Cエナメルを缶内面側に塗布することにより、前記内
容物から発生する硫化物を前記酸化亜鉛に補捉させるこ
とができ、開缶時の硫黄臭を防止することができると共
に硫化鉄、硫化錫の発生を防止することができる。
【0004】一方、缶体素材金属として、前記鋼板に替
えて、塑性変形性に優れ、加工が容易なアルミニウム板
が用いられている。前記アルミニウム板は、その加工容
易性を利用して絞り加工により有底筒状缶体を形成し、
該有底筒状缶体の開放端部に缶蓋を巻締めてツー・ピー
ス缶体とされることが多い。
【0005】前記ツー・ピース・アルミニウム缶体で
は、前記絞り加工により形成される缶胴部の塑性変形が
非常に大きいので、通常、ビニルオルガノゾル等のよう
な前記塑性変形に追随できる樹脂が塗装される。前記ツ
ー・ピースのアルミニウム缶体では、前記スチール缶体
と異なり、硫化鉄等の生成がなく開缶時の視覚的不快感
を低減することができる。しかし、前記ビニルオルガノ
ゾルでは硫化物を捕捉することができないので、開缶時
の硫黄臭によるフレーバーの低下が避けられないという
不都合がある。
【0006】前記不都合を解消するために、まず、前記
ビニルオルガノゾルに酸化亜鉛粉末を含有させることが
考えられるが、酸化亜鉛粉末を添加したビニルオルガノ
ゾルは塗料としての安定性に欠け、塗装作業性が悪くな
る。また、前記缶体素材のアルミニウム板の缶内面側と
なる面に直接Cエナメルを塗布したのち、該アルミニウ
ム板を絞り加工した場合、Cエナメルは缶体素材のアル
ミニウム板に対する密着性が低いため、缶胴部では前述
のようなアルミニウム板の非常に大きな塑性変形に追随
することができず、レトルト処理後に塗膜剥離をおこ
し、下地金属の露出部分が多くなり、缶品質が低下する
という不都合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる不都
合を解消して、水産加工品等のように含硫蛋白質を有す
る食品の缶詰に用いられ、開缶時に視覚的にも嗅覚的に
も不快感を与えることのないツー・ピース・アルミニウ
ム缶体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明の含硫食品缶詰用アルミニウム缶体は、缶
内面の金属下地上に設けられたアルミキレート硬化型エ
ポキシ樹脂塗料からなる下塗り塗膜層と、該下塗り塗膜
層上に設けられた酸化亜鉛粉末を含有する熱硬化型油性
塗料からなる上塗り塗膜層とを備える缶用アルミニウム
板を有底筒状に絞り加工して得られた缶体であることを
特徴とする。
【0009】前記本発明のアルミニウム缶体は、缶用ア
ルミニウム板の缶内面となる側の金属下地上にアルミキ
レート硬化型エポキシ樹脂塗料を塗布して下塗り塗膜層
を形成する下塗り塗膜層形成工程と、前記下塗り塗膜層
上に酸化亜鉛粉末を含有する熱硬化型油性塗料を塗布し
て上塗り塗膜層を形成する上塗り塗膜層形成工程と、缶
内面に前記両塗膜層の塗装が施された缶用アルミニウム
板に絞り加工を施して有底筒状缶体を形成する絞り加工
工程とを備える製造方法により有利に製造することがで
きる。
【0010】本発明の製造方法によれば、缶用アルミニ
ウム板の缶内面となる側の金属下地上にアルミキレート
硬化型エポキシ樹脂塗料を塗布して下塗り塗膜層を形成
し、次いで該下塗り塗膜層上に酸化亜鉛粉末を含有する
熱硬化型油性塗料、所謂Cエナメルを塗布して上塗り塗
膜層を形成する。前記アルミキレート硬化型エポキシ樹
脂塗料は、前記缶用アルミニウム板に対して優れた密着
性を備えているとともに、前記Cエナメルに対しても優
れた親和性を備えているので、前記下塗り塗膜層及び上
塗り塗膜層が形成された缶用アルミニウム板に絞り加工
を施したときに、前記下塗り塗膜層は缶胴部の大きな塑
性変形にも十分に追随することができ、塗装欠陥のない
塗膜層を得ることができる。
【0011】また、本発明のアルミニウム缶体によれ
ば、その内面側の全面に酸化亜鉛粉末を含有する熱硬化
型油性塗料、所謂Cエナメルからなる塗膜層が設けられ
ているので、前記内容物の含硫食品から発生する硫化物
を前記酸化亜鉛に補捉させることにより前記硫化物によ
る硫黄臭の発生を防止して開缶時の嗅覚的不快感を防止
することができ、スチール缶の如き黒色の硫化物の発生
がないので、開缶時の視覚的不快感も防止することがで
きる。従って、内容物のフレーバー性に優れ、基体金属
の内容物への溶出の無い優れた缶体を提供することがで
きる。
【0012】前記アルミキレート硬化型エポキシ樹脂塗
料は、それ自体公知のアルミキレート硬化剤により硬化
するエポキシ樹脂塗料であり、前記アルミキレート硬化
剤としては、例えば、特開昭56−2359号に記載の
もの等を用いることができる。特開昭56−2359号
に記載のアルミキレート硬化剤は、アルミニウムアルコ
ラートまたはテトラアルキルチタン酸エステルのキレー
ト化合物である。
【0013】前記アルミニウムアルコラートとしては、
アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシ
ド、アルミニウムイソブトキシド等を挙げることがで
き、前記テトラアルキルチタン酸エステルとしては、チ
タニウムイソプロポキシド、チタニウムブトキシド、テ
トラオクチルチタン酸エステル、テトラオクタデシルチ
タン酸エステル等を挙げることができる。
【0014】また、前記アルミニウムアルコラートまた
はテトラアルキルチタン酸エステルと反応してキレート
化合物を形成することができるキレート化剤としては、
アセチルアセトン、三塩化アセチルアセトン、ベンゾイ
ルアセトン等のβ−ジケントン類及びアセト酢酸エチル
等のβ−ケト酸のエステルを挙げることができる。
【0015】前記アルミニウムアルコラートまたはテト
ラアルキルチタン酸エステルを前記キレート化剤により
キレート化合物とする反応は、それ自体公知の方法によ
り行うことができ、例えば、アルミニウムアルコラート
またはテトラアルキルチタン酸エステルのアルコール、
ベンゼン、トルエン等の溶液に前記キレート化剤を溶解
し、反応させることにより行われる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、添付の図面を参照しながら
本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図
1及び図2は本発明のアルミニウム缶体の構成例を示す
説明的断面図であり、図3は本発明のアルミニウム缶体
の製造方法の工程を示すフローチャート、図4は本発明
のアルミニウム缶体の製造方法に用いられる絞り加工装
置の一構成例を示す説明的断面図である。
【0017】図1(a)に示す本発明のアルミニウム缶
体1aは、缶用アルミニウム板を絞り加工して得られる
ものであり、底面2から立ち上がる缶胴部3の上端縁に
フランジ部4を備えている。
【0018】アルミニウム缶体1aの底面2及び缶胴部
3には、図1(a)のA部を拡大して図1(b)に示す
ように、缶内面側に、金属下地5上にアルミキレート硬
化型エポキシ樹脂塗料からなる下塗り塗膜層6が設けら
れ、下塗り塗膜層6上に酸化亜鉛粉末を含有する熱硬化
型油性塗料(Cエナメル)からなる上塗り塗膜層7が設
けられている。また、缶外面側には、缶体に所要の表示
や美粧性を付与するための印刷層8が設けられている。
【0019】本実施態様において、下塗り塗膜層6を形
成する前記アルミキレート硬化型エポキシ樹脂塗料は、
エポキシ樹脂(シェル社製、商品名:エポキシ樹脂10
07)27重量%、アルミキレート硬化剤2重量%、セ
ロソルブアセート及びキシレンの混合溶剤71重量%か
らなり、樹脂成分を30重量%含んでいる。
【0020】また、上塗り塗膜層7を形成する前記Cエ
ナメルは、アマニ油、エポキシ樹脂、フェノール樹脂か
らなる熱硬化型樹脂40重量部、酸化亜鉛粉末4重量
部、芳香族系溶剤64重量部からなるものを用いた。
【0021】また、印刷層8は、前記アルミキレート硬
化型エポキシ樹脂塗料の塗膜の上にホワイト塗料の塗装
を施し、さらにその上に多色印刷を施すことにより形成
されている。
【0022】アルミニウム缶体1aは、厚さ0.25m
mのアルミニウム板を前記のように絞り加工して得ら
れ、図1(a)示の上径a=84mm、下径b=77m
m、高さh=44mmであって、缶胴部3に複数の段部
3aが形成されており、183mlの内容積を備えてい
る。
【0023】図2(a)に示す本発明のアルミニウム缶
体1bは、上径a=75mm、下径b=69mm、高さ
h=32mmであって、缶胴部3の2か所に段部3aが
形成されており、97mlの内容積を備えている以外
は、図1(a)示のアルミニウム缶体1aと全く同一の
構成となっている。
【0024】アルミニウム缶体1bの底面2及び缶胴部
3には、図2(a)のB部を拡大して図2(b)に示す
ように、缶内面側に、金属下地5上にアルミキレート硬
化型エポキシ樹脂塗料からなる下塗り塗膜層6が設けら
れ、下塗り塗膜層6上にCエナメルからなる上塗り塗膜
層7が設けられている。また、缶外面側には、缶体に所
要の表示や美粧性を付与するための印刷層8が設けられ
ている。アルミニウム缶体1bにおいて、前記アルミキ
レート硬化型エポキシ樹脂塗料、Cエナメル及び印刷層
8の構成は前記アルミニウム缶体1aと全く同一であ
る。
【0025】アルミニウム缶体1a,1bは、内容物と
して例えばずわいがにが充填されたのち、フランジ部4
に別途製造された内面ビニルオルガノゾル樹脂被覆のイ
ージーオープン缶蓋(図示せず)が二重巻締めされて缶
詰とされる。缶外面側には、缶体に所要の表示や美粧性
を付与するための印刷層が設けられていてもよい。
【0026】次に、本発明のアルミニウム缶体の製造方
法について説明する。
【0027】まず、図3示のように、缶用アルミニウム
板の缶内面側に対して塗装を施す。前記塗装は、初めに
金属下地上に前記アルミキレート硬化型エポキシ樹脂塗
料を塗布して焼付けを行うことにより下塗り塗膜層6を
形成し、次いで、下塗り塗膜層6上に前記Cエナメルを
塗布して焼付けを行うことにより上塗り塗膜層7を形成
する。
【0028】次に、缶外面側に対して、印刷を施す。前
記印刷は、初めに金属下地上に前記アルミキレート硬化
型エポキシ樹脂塗料を塗装して、下塗り塗膜層を形成し
たのち、該下塗り塗膜層上にホワイト塗料を塗装し、該
ホワイト塗料の塗膜上に多色印刷を施すことにより印刷
層8を形成する。
【0029】次に、前記塗膜層6,7及び印刷層8の塗
装が施されたアルミニウム板にワックスを塗布する。前
記ワックスとしては、パーム油とアルコールとの脂肪酸
エステル系ワックスが用いられ、ローラーコートにより
塗布される。
【0030】次に、前記ワックスが塗布されたアルミニ
ウム板をスリッターにより短冊状の原板に裁断する。
【0031】次に、前記原板を絞り加工することによ
り、アルミニウム缶体1a,1bを製造する。前記絞り
加工は、図4示の絞り加工装置を用いて行う。
【0032】図4示の絞り加工装置は、基台11上に固
定され、加工する缶体(ここではアルミニウム缶体1a
の場合を示す)の内形に対応する形状の凸部12を有す
るパンチ13と、パンチ13の外周に上下動自在に設け
られた環状の押さえ部材14と、押さえ部材14の外周
に設けられた打ち抜き用切刃部材15と、基台11に立
設されたシリンダ16のロッド17に直交するように設
けられたアーム18に固定され、パンチ13の凸部12
に対応する凹部19を有するダイ20とを備えている。
【0033】パンチ13には、前記缶底部2を形成する
缶底部成形部21と、前記缶胴部3を形成する缶胴部成
形部22とが、凸部12の外面側に備えられている。ま
た、ダイ20には、パンチ13の凸部12に対応して、
前記缶底部2を形成する缶底部成形部23と、前記缶胴
部3を形成する缶胴部成形部24とが、凹部19の内面
側に備えられており、凹部19の外周に所定幅の水平面
からなるフランジ部成形部25が備えられている。
【0034】前記押さえ部材14には、その上端面にダ
イ20のフランジ部形成部25に原板Wを介して当接す
る押さえ面26が備えられており、該押さえ面26は押
さえ部材14の移動方向となる下方に延設されたロッド
27を介し、基板11の下面に配設されたシリンダ28
によって上方に付勢されている。
【0035】前記打ち抜き用切刃部材15には、その先
端の全周に切刃29が備えられており、ダイ20のフラ
ンジ部成形部25の外周縁との間で塗装アルミニウム原
板Wを切断できるようになっている。
【0036】図4示の絞り加工装置によれば、図1
(a)示のアルミニウム缶体1aの製造のために856
mm×834mmの大きさの短冊状に裁断された原板W
がパンチ13上に供給されると、ダイ20がシリンダ1
6によりパンチ13方向に下降し、まず、パンチ13の
押さえ面26と、ダイ20のフランジ部形成部25との
間に原板Wが挟持、固定される。次いで、ダイ20がさ
らにパンチ13側に移動すると、ダイ20の移動に随従
して押さえ部材14が下方に移動し、パンチ13の凸部
12とダイ20の凹部19との間で原板Wが絞り加工さ
れる。
【0037】同時に、切刃29とダイ20のフランジ部
成形部25の外周縁との間で原板Wが切断され、1回の
絞り加工で有底筒状缶体が得られる。
【0038】次に、図3示のように、前記絞り加工によ
り得られた前記有底筒状缶体のフランジ部のトリミング
を行うことにより、図1(a)示のようなアルミニウム
缶体1aが得られる。
【0039】前述のようにして得られたアルミニウム缶
体1aは、次に、図3示のように、ライトテスターによ
り塗膜欠陥の有無等の検査が行われ、良品については、
次いでカートン箱詰めされて出荷される。そして、缶詰
工場で、内容物が充填されたのち別途製造されたイージ
ーオープン缶蓋等の缶蓋が二重巻締めされ、缶詰が製造
される。
【0040】尚、前述の製造方法は、図1示のアルミニ
ウム缶体1aを製造する場合を例に挙げて説明している
が、図2示のアルミニウム缶体1bの場合にも、パンチ
13の凸部12及びダイ20の凹部19の形状をアルミ
ニウム缶体1bに対応する形状に替えると共に、原板W
として前述の817mm×711mmのものを用いる以
外は、アルミニウム缶体1aと同一の方法により製造す
ることができる。
【0041】次に、本発明のアルミニウム缶体の実施例
及び比較例を示す。
【0042】
【実施例1】本実施例では、まず、厚さ0.25mmの
缶用アルミニウム板の缶内面側に対して、金属下地上に
前記アルミキレート硬化型エポキシ樹脂塗料を塗布し、
190〜215℃の範囲の温度で10分間焼付けを行う
ことにより、厚さ2μmの下塗り塗膜層6を形成した。
尚、下塗り塗膜層6は、通常、2〜3.5μmの厚さに
形成される。
【0043】次に、下塗り塗膜層6上に前記Cエナメル
を塗布し、190〜210℃の範囲の温度で10分間焼
付けを行うことにより、厚さ7μmの上塗り塗膜層7を
形成した。尚、上塗り塗膜層7は、通常、6〜9μmの
厚さに形成される。
【0044】次に、缶外面側に対して、金属下地上に前
記アルミキレート硬化型エポキシ樹脂塗料を塗装して下
塗り塗膜層を形成し、該下塗り塗膜層上にホワイト塗料
及び多色印刷を順次施すことにより印刷層8を形成し
た。
【0045】次に、前記塗膜層6,7及び印刷層8の塗
装が施されたアルミニウム板にパーム油とアルコールと
の脂肪酸エステル系ワックスをローラーコートにより塗
布した後、該アルミニウム板をスリッターにより856
mm×834mmの大きさの短冊状の原板に裁断した。
【0046】次に、前記短冊状の原板を図4示の絞り加
工装置により絞り加工を施し、1回の絞り加工で有底筒
状缶体を得た。そして、該有底筒状缶体のフランジ部を
トリミングして図1示のアルミニウム缶体1aを得た。
【0047】次に、前記アルミニウム缶体1aについ
て、缶内面側の塗膜層6,7の物性の試験を行った。前
記試験は、まず、肉眼による塗膜密着性及びクロスカッ
トによる耐傷付き性を検査したところ、いずれも良好で
あった。
【0048】次に、前記アルミニウム缶体1aを120
℃の温度で80分加熱してレトルト処理を行い、該レト
ルト処理の前後のエナメルレーターバリュー(ERV)
を測定することにより塗膜欠陥の有無を判定した。前記
レトルト処理前のERVは0.10mA、レトルト処理
後のERVは2.92mAであり、レトルト処理により
塗膜欠陥の発生は、実用上無視できる程度であった。
【0049】次に、60℃水中で30分間抽出を行った
後に、抽出成分の過マンガン酸カリ(KMnO4 )消費
量から前記塗膜の溶出量を、メチルエチルケトン(ME
K)に対する溶解量から前記塗膜のMEK抽出量を判定
したところ、いずれも極めて微量で良好であった。
【0050】次に、前記アルミニウム缶体1aに内容物
としてずわいがにを充填し、缶内面側にエポキシフェノ
ール樹脂被膜を設けたアルミニウム板から別途製造した
イージーオープン缶蓋を二重巻締めして缶詰を製造し
た。この缶詰を室温で3カ月保存したのち、開缶し、開
缶時の臭気を検査したところ、硫黄臭がなく良好であっ
た。
【0051】前記各試験の結果をまとめて表2に示す。
【0052】
【比較例1】実施例1において、缶内面側に実施例1の
塗膜層6,7に替えて、ビニルオルガノゾル塗料を塗布
して塗膜を形成した以外は、全く同一の方法により、ア
ルミニウム缶体を製造した。
【0053】前記アルミニウム缶体について、実施例1
と同一の方法で塗膜密着性及び耐傷付き性を検査したと
ころ、いずれも良好であった。
【0054】次に、実施例1と同一の方法でレトルト加
工による塗膜欠陥の有無を判定した。レトルト処理前の
ERVは0.87mA、レトルト加工後のERVは4.
32mAであり、レトルト処理により塗膜欠陥の発生
は、実用上無視できる程度であったが、実施例1に比較
すると、やや劣る結果であった。
【0055】次に、実施例1と同一の方法で前記塗膜の
溶出量及び抽出量を判定したところ、いずれも良好であ
った。
【0056】次に、実施例1と同一の方法で缶詰を製造
し、室温で3カ月保存したのち、開缶し、開缶時の臭気
を検査したところ、硫黄臭が多く不良であった。
【0057】前記各試験の結果をまとめて表2に示す。
【0058】
【比較例2】実施例1において、缶内面側に実施例1の
塗膜層6,7に替えて、酸化亜鉛を含むビニルオルガノ
ゾル塗料を塗布して塗膜の形成を試みた。しかし、前記
酸化亜鉛を含むビニルオルガノゾル塗料は、塗料安定性
が悪く、アルミニウム板に対する塗布自体が困難で、塗
膜を形成することができなかった。
【0059】本比較例では、アルミニウム板の缶内面側
に塗膜を形成することができなかったので、アルミニウ
ム缶体の製造は行わず、従って実施例1の各試験は行わ
なかった。結果を表2に示す。
【0060】
【比較例3】実施例1において、缶内面側に実施例1の
塗膜層6,7に替えて、Cエナメルを塗布して塗膜を形
成した以外は、全く同一の方法により、アルミニウム缶
体を製造した。前記アルミニウム缶体は、レトルト処理
後塗膜密着性が劣っているため塗膜剥離が生じていた。
また、実施例1と同一の方法でレトルト加工による塗膜
欠陥の有無を判定したが、前記塗膜剥離のために、ER
Vは前記レトルト処理の前後とも不良であった。
【0061】また、前記アルミニウム缶体は、前記塗膜
剥離が生じているので、前記塗膜の溶出量及び抽出量の
判定は行わず、缶詰の製造も行わなわず、従ってこれに
対応する実施例1の各試験は行わなかった。結果を表2
に示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1から、本発明のアルミニウム缶体によ
れば、有底筒状缶体の内面側の全面に前記Cエナメルか
らなる塗膜を形成することができ、内容物を充填した缶
詰を保存した後、開缶しても硫黄臭を感じることがな
く、嗅覚的不快感を与えることを防止することができる
ことが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミニウム缶体の一構成例を示す説
明的断面図。
【図2】本発明のアルミニウム缶体の他の構成例を示す
説明的断面図。
【図3】本発明のアルミニウム缶体の製造方法の工程を
示すフローチャート。
【図4】本発明のアルミニウム缶体の製造方法に用いら
れる絞り加工装置の一構成例を示す説明的断面図。
【符号の説明】
1a,2a…アルミニウム缶体、 6…下塗り塗膜層、
7…上塗り塗膜層。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】缶内面の金属下地上に設けられたアルミキ
    レート硬化型エポキシ樹脂塗料からなる下塗り塗膜層
    と、該下塗り塗膜層上に設けられた酸化亜鉛粉末を含有
    する熱硬化型油性塗料からなる上塗り塗膜層とを備える
    缶用アルミニウム板を有底筒状に絞り加工して得られた
    缶体であることを特徴とする含硫食品缶詰用アルミニウ
    ム缶体。
  2. 【請求項2】缶用アルミニウム板の缶内面となる側の金
    属下地上にアルミキレート硬化型エポキシ樹脂塗料を塗
    布して下塗り塗膜層を形成する下塗り塗膜層形成工程
    と、 前記下塗り塗膜層上に酸化亜鉛粉末を含有する熱硬化型
    油性塗料を塗布して上塗り塗膜層を形成する上塗り塗膜
    層形成工程と、 缶内面に前記両塗膜層の塗装が施された缶用アルミニウ
    ム板に絞り加工を施して有底筒状缶体を形成する絞り加
    工工程とを備えることを特徴とする含硫食品缶詰用アル
    ミニウム缶体の製造方法。
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