JPH10100319A - 積層部材の製造方法 - Google Patents

積層部材の製造方法

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JPH10100319A
JPH10100319A JP25609496A JP25609496A JPH10100319A JP H10100319 A JPH10100319 A JP H10100319A JP 25609496 A JP25609496 A JP 25609496A JP 25609496 A JP25609496 A JP 25609496A JP H10100319 A JPH10100319 A JP H10100319A
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敬一郎 渡邊
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Abstract

(57)【要約】 【課題】支持体と、この支持体の表面を被覆する被膜と
を備えている積層部材を製造する方法において、支持体
の劣化、特に支持体の表面におけるマイクロクラックや
微小亀裂等の欠陥の発生を防止し、被膜の物性を一層向
上させる。 【解決手段】除去可能な担体1の表面2に被膜3を形成
し、次いで担体1、被膜3および被膜3に対して一体化
されている支持体4を備えている積層体30を製造す
る。次いで積層体30から担体1を除去し、支持体4
と、支持体4の表面を被覆する被膜3とを備えている積
層部材6を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、支持体と、この支持体
の表面を被覆する被膜とを備えている積層部材を製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、ガスタービン部品、ディーゼルエ
ンジン部品のライナー等、高温雰囲気で使用されるセラ
ミックス部材の表面耐酸化膜として、緻密質の炭化珪素
膜の被膜が有効であることが知られている。また、他に
も半導体製造装置など、幾つかの用途において、セラミ
ックス部材の表面を緻密質の炭化珪素薄膜や窒化珪素薄
膜によって被覆することが知られている。こうしたセラ
ミックス薄膜を形成する方法としては、化学的気相成長
法、電気化学的気相成長法、スパッタリング法、溶射法
等が知られている。例えば、気相法によると、高純度で
緻密質の良質な薄膜を形成できるので、現在のところ多
用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】こうした緻密質の薄膜
を支持体上に形成する際には、通常は過酷な成膜条件を
適用する必要がある。例えば、化学的気相成長法等の気
相法の場合には、支持体を高温で保持すると共に、塩素
系のガスに対して支持体を暴露する必要がある。また、
溶射法の場合には、溶融した原料粉末を支持体の表面に
衝突させる必要がある。これらの理由から、支持体の表
面には、マイクロクラックや微小亀裂などの欠陥部分が
発生し易く、また平坦性が劣化し易い。このため、支持
体と被膜とを備えている積層部材を製造するのに際し
て、支持体が不可避的に劣化し易く、この結果被膜の物
性も劣化し易い。
【0004】本発明の課題は、支持体と、この支持体の
表面を被覆する被膜とを備えている積層部材を製造する
方法において、支持体の劣化、特に支持体の表面におけ
るマイクロクラックや微小亀裂等の欠陥の発生を防止
し、被膜の物性を一層向上させることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持体と、こ
の支持体の表面を被覆する被膜とを備えている積層部材
を製造する方法であって、除去可能な担体の表面に被膜
を形成し、次いで担体、被膜およびこの被膜に対して一
体化されている支持体を備えている積層体を製造し、次
いで積層体から担体を除去することを特徴とする。
【0006】本発明の作用効果および好適な実施形態に
ついて、図1〜3を適宜参照しつつ、説明する。最初
に、例えば図1(a)に示すような担体1を準備する。
担体1は、盤状の本体1bと、本体1bの一方の主面か
ら突出している盤状突起1aとを備えている。むろん、
本発明を実施するのに際しては、担体の形状は、最終的
に目的とする被膜の形状に合わせて種々変更することが
できる。この段階では、通常は担体を構成する材質を加
工することによって、所定形状の担体1を製造する。次
いで、担体1の表面2を覆うように被膜3を形成する。
【0007】被膜3を形成した後、図1(b)に示すよ
うに、被膜3に対して接するように支持体4を形成す
る。特に好ましくは、被膜3と支持体4とが、被膜3の
全面にわたって隙間無く接触している。本実施例では、
支持体4は、盤状の本体4aと、本体4aの周縁部分か
ら突出している環状の突起4bとを備えている。本体4
a上および環状突起4bの内側に凹部5が形成されてい
る。この際、支持体4に対して被膜3を一体化すること
によって、積層体30が得られる。
【0008】次いで、図1(c)に示すように、担体1
を除去し、被膜3を担体のあった側に向かって露出させ
る。この結果、支持体4と被膜3とからなる積層部材6
が得られる。積層部材6の凹部16は、被膜3に面して
いる。
【0009】図1(a)〜(c)の実施形態において
は、支持体と被膜とを直接に一体化させた。しかし、支
持体と被膜との一体化に際して接合材を使用することが
できる。この実施形態について、図2(a)〜(c)を
参照しつつ、説明する。
【0010】最初に、前記したようにして担体1を準備
する。次いで、担体1の表面2を覆うように被膜3を形
成する。被膜3上に接合材層7を形成する。図2(b)
に示す積層体31においては、支持体9は、盤状の本体
9aと、本体9aの周縁部分から突出している環状の突
起9bとを備えている。本体9a上および環状突起9b
の内側に凹部5が形成されている。支持体9に対して接
合材層8を介して被膜3が接合されており、これによっ
て支持体9と被膜3とが一体化されている。特に好まし
くは、被膜3と支持体9とが、支持体9の全接合面にわ
たって、接合材層8を介して隙間無く接触している。
【0011】次いで、図2(c)に示すように、担体1
を除去し、被膜3を担体のあった側に向かって露出させ
る。この結果、支持体9、接合材層8および被膜3から
なる積層部材10が得られる。積層部材10の凹部16
は、被膜3に面している。
【0012】本発明によれば、前記したように、担体1
の方に直接に被膜3を形成しており、被膜3を形成する
過酷な工程で担体1の特に表面にマイクロクラックや微
小亀裂等の欠陥が発生しても、被膜3は最終的には過酷
な成膜プロセスを経ていない支持体9の方に一体化され
る。従って、積層部材の被膜3は、担体1の劣化の影響
を受けることはなく、従って積層部材の特性が良好であ
り、特に被膜3と支持体との界面付近における物性が特
に良好になる。
【0013】担体上に被膜を形成する方法としては、化
学的気相成長法、物理的気相成長法、電気化学的気相成
長法、スラリーコート法、溶射法、昇華法を好適な方法
として例示できる。被膜の相対密度が99%以上である
場合、および/または被膜を構成する材質の純度が98
%以上である場合には、化学的気相成長法、物理的気相
成長法、電気化学的気相成長法、昇華法が特に好まし
い。
【0014】担体の材質としては、カーボン、セラミッ
クス、金属、有機物を使用することが好ましい。担体の
材質としてカーボン、金属または有機物を使用すると、
特に担体の機械加工が容易である。また、被膜を形成す
る工程で、800°C以上での熱処理が必要な場合に
は、カーボンまたはセラミックスを使用することが好ま
しい。
【0015】被膜の材質としては、セラミックス、金
属、有機物が好ましい。被膜に耐食性が要求される場合
には、セラミックスが好ましい。耐食性と、600°C
以上の高温に対する耐久性が要求される場合には、炭化
珪素セラミックス、窒化珪素セラミックス、窒化アルミ
ニウムセラミックスが特に好ましい。
【0016】被膜と支持体とを備えている積層体を製造
する方法としては、次の2つの方法が好ましい。第一の
方法においては、支持体を金属または有機物によって形
成する場合には、例えば図1(a)に示すように担体上
に被膜を形成した後、被膜3上に、金属または有機物の
溶融物を流し込み、次いで溶融物の温度を低下させ、溶
融物を固化させる。むろん、この際には支持体4の形状
に対応する形状を有する型を使用し、支持体4を成形す
る。こうした方法であれば、被膜3と支持体4との間の
界面に残留応力が残りにくいので、最終的に得られた積
層部材において、被膜の剥離が発生しにくい。
【0017】また、被膜3に対して追従しうる表面形状
を有する支持体4、9を、予め成形しておくことができ
る。この場合には、図1に示すように、支持体4を、担
体1上の被膜3に対して直接接触させることができる。
または、支持体9を、担体1上の被膜3に対して、前記
した接合材層7を介して接触させることができる。被膜
3に対して追従しうる表面形状を有する支持体の材質と
しては、金属、有機物またはセラミックスを使用でき
る。
【0018】こうした実施形態においては、支持体と被
膜との接合力を向上させることは一般には難しいので、
接合材を使用するか、または後述する反応焼結法を応用
することが特に好ましい。
【0019】この際、接合材を使用する場合も、反応焼
結法を使用する場合も、共に一体化工程の間に支持体
4、9の寸法が変化するが、これが被膜3の剥離や亀裂
の原因となりうる。これを有効に防止するためには、支
持体を被膜と一体化する前の支持体の寸法と、支持体を
被膜と一体化した後の支持体の寸法との変化の差を、一
体化前の支持体の寸法を100%としたときに、5%以
下とすることが好ましく、1%以下とすることが一層好
ましいことが判明した。
【0020】接合材を使用することによって、支持体と
被膜との密着性が一層向上し、接合が強固となる。接合
材としては、セラミックス、金属、ガラス、シリコーン
樹脂、有機物を使用でき、またこれらの混合物を使用で
きる。このうち、シリコーン樹脂やポリエーテルスルホ
ン樹脂等の有機物を使用すると、比較的に低温で被膜と
支持体とを接合することができ、また、接合材の弾性に
より、支持体と被膜の剥離や亀裂の原因となる内部応力
の発生を抑制できるため、更に好ましい。
【0021】担体を除去する方法としては、担体を加熱
して熱分解する方法、担体を酸化して除去する方法、担
体を加工によって除去する方法、担体を酸処理すること
によって除去する方法、担体を溶解させて除去する方法
がある。これらの除去方法は、使用する担体の材質に応
じて選択することができる。このうち、特にカーボンか
らなる担体を使用すると、酸化によって比較的に簡単に
除去することができるので、特に好ましい。
【0022】次に反応焼結法を応用した方法について、
図3(a)〜(c)を参照しつつ、説明する。図1
(a)に示すような担体1を準備する。次いで、担体1
の表面2を覆うように被膜3を形成する。次いで、図3
(a)に示す所定形状のセラミックス成形体11を準備
する。この成形体11は、盤状の本体11aと、本体1
1aの周縁部分から突出している環状の突起11bとを
備えている。この段階では、成形体11の内側表面に対
して被膜3が接触しているが、接合はしていない。成形
体11を構成するセラミックスとしては、炭化珪素、窒
化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムを例示で
きる。
【0023】成形体11の上側表面に、反応焼結可能な
物質を含有する層12を形成する。層12は、好ましく
は、前記物質を含有する圧粉体からなる。この圧粉体中
には、前記物質の粉末以外には、分散媒体と、必要に応
じて有機物とを含有させる。成形体が炭化珪素、窒化珪
素からなる場合には、珪素粉末を使用し、成形体が窒化
アルミニウム、酸化アルミニウムからなる場合には、ア
ルミニウム粉末を使用する。
【0024】次いで、このアセンブリの全体を加熱し、
反応焼結を進行させる。この過程で、アルミニウムや珪
素が層12から下方へと向かって浸透していき、反応す
る。アルミニウムや珪素の一部分は、成形体11を横断
し、被膜3と成形体との界面に達する。これによって、
図3(b)に示す積層体33が得られる。積層体33に
おいては、反応焼結体13が、前記の珪素またはアルミ
ニウムを主成分とする接合材層14を介して、被膜3に
対して接合されている。
【0025】この積層体33から、前記したようにして
担体1を除去し、図3(c)に示す積層部材15を得
る。積層部材15においては、支持体13の表面に接合
材層14を介して被膜3が形成されている。支持体13
は、盤状の本体13aと、本体13aの周縁部分から突
出している環状の突起13bとを備えている。
【0026】本発明においては、従来製造できなかった
組み合わせの被膜と支持体とを備えている積層部材を製
造できる。特に、支持体として耐熱性の一般に低い有機
物を使用しつつ、被膜としてセラミックス被膜(特に化
学的気相成長法、物理的気相成長法、電気化学的気相成
長法、昇華法による被膜)を形成できる点が画期的であ
る。
【0027】本発明において被膜を昇華法によって形成
することにより、高純度で、耐食性に優れた被膜を得る
ことができる。この場合、特に多結晶セラミックス膜を
形成することが好適であり、炭化珪素多結晶膜を形成す
ることが一層好ましい。この実施態様について説明す
る。
【0028】本発明者は、多結晶の炭化珪素膜を形成す
る方法を模索していたが、この過程で、単結晶の製造方
法として知られている昇華法に着目した。そして、基板
等を種々変更して実験を重ねた結果、セラミックス原料
(特に炭化珪素原料)を加熱して気化させ、この原料の
蒸気を担体上に堆積させることによって、高純度の多結
晶膜が得られることを見いだした。こうして得られたセ
ラミックス膜は、例えば強力な腐食力を有するハロゲン
系腐食性ガスに対しても強い耐食性を有しているとい
う、驚くべき結果を得た。
【0029】ハロゲン系腐食性ガスとしては、CF4
NF3 、ClF3 、HF、HCl、HBrを例示でき
る。CF4 、NF3 、ClF3 の中で、ClF3 が特に
Fラジカルの解離度が高く、同じ温度およびプラズマ出
力下で比較すると、最も強い腐食性を有している。
【0030】このような結果が得られた原因はいまだ完
全には明らかではないが、次の理由によるものと推定さ
れる。即ち、炭化珪素原料を気化させて、基体上に堆積
させる段階で、炭化珪素原料中の不純物を清浄化する効
果があり、ある程度純度の高い原料粉末、特に好ましく
は純度99.5%以上の原料粉末を選択することによっ
て、金属不純物の含有量が10ppm以下という極めて
高純度の炭化珪素多結晶膜を形成できる。
【0031】ここで、炭化珪素多結晶膜を昇華法によっ
て形成した場合に、混酸に対して耐性があることが確認
された。この理由は、おそらく、基体上に堆積するとき
の温度が、昇華法による場合の方が高く、2000℃程
度に上昇することによって、堆積される膜内の結晶性お
よび結晶粒子の成長の度合いと形状とが影響したものと
考えられる。
【0032】本発明者は更に具体的に、これらの点を検
討した結果、炭化珪素多結晶体が、平均粒径が10μm
以上である六角柱状粒子の集合体からなることが特に好
ましいことを見いだした。この平均粒径は、通常は、6
μm以下である。更に、主として3Cの結晶相からなる
六角柱状粒子の集合体であることか好ましい。
【0033】ここで炭化珪素多結晶膜の結晶のタイプに
ついて説明する。SiCの原子構造を見ると、SiとC
とのつくる正四面体が平面状に並んで層を形成してお
り、各層が積層されている。SiCには多数の多形が知
られているが、工業材料として重要な多形は、2H、3
C、4H、6Hおよび15Rである。これらの表記法
は、ラムズデル(Ramsdell)の表記法に従った
ものである。H、C、Rは、それぞれ、六方晶、立方
晶、菱面体を表す。各数字は、単位格子内の積層の数で
ある。立方晶(3C)の炭化珪素をβ型炭化珪素と呼
び、立方晶以外の非等軸晶をα型炭化珪素と呼ぶ。
【0034】炭化珪素多結晶膜の密度は3.15g/c
c以上、3.21g/cc以下であることが特に好まし
い。
【0035】また、炭化珪素多結晶膜の結晶性について
は、炭化珪素多結晶体のX線回折チャートにおける最強
ピークの半価幅が0.30°以下であることが特に好ま
しい。これは0.20°以上であり、通常は0.24°
以上である。
【0036】前記半価幅の測定方法について述べる。炭
化珪素多結晶体の試料を粉砕して平均粒径30μm以下
の粉末を得、この粉末を試料ホルダーにセットする。X
線回折装置においては、管球として銅を使用し、ゴニオ
メーター半径185mmとし、DSスリット1°とし、
SSスリット1°とし、RSスリット0.3mmとし、
回折側にグラファイト単結晶のモノクロメーターを設置
した。
【0037】図4は、上記の方法に従って、炭化珪素多
結晶被膜を製造するための装置の一例を模式的に示す断
面図である。ルツボ17の内側空間22は、隔壁19に
よって2つに仕切られている。本実施形態では、隔壁1
9の上側の空間22aを原料室として使用し、隔壁19
の下側の空間22bを成膜室として使用する。隔壁19
は、原料室22aと成膜室22bとを区分している。隔
壁19は、原料の蒸気が通過できるものであることが必
要であり、このために通気孔が設られているか、あるい
は蒸気の通過が可能なほどに十分に多孔質でなければな
らない。
【0038】原料室22aは蓋21によって密閉されて
おり、原料室22a内に炭化珪素原料20が収容されて
いる。成膜室22bの下端部に担体1が固定されてい
る。蓋21および担体1は、原料室22a、成膜室22
b中の蒸気が外に漏れることを、妨げる役割をしてい
る。
【0039】ルツボ17内において、原料室22a側は
相対的に温度が高く、担体1側の成膜室22bは、相対
的に温度が低い。原料20からの蒸気が、矢印Aのよう
に隔壁19を通過して、低温側である成膜室へと移動
し、担体1の表面に炭化珪素膜3が形成される。
【0040】炭化珪素原料20は、昇華し易さの点から
は粉末であることが好ましいが、粉末に限定はされな
い。粉末の成形体を使用すると、原料室22a内に充填
できる原料粉末の重量を多くできるし、原料の取り扱い
も容易となるため、好ましい。
【0041】担体1は、多様な材料で作製できるが、多
結晶セラミックスからなっていることが、良質な炭化珪
素多結晶体を生成させるために好ましい。基体の材質と
しては、例えば、SiC、Si3 4 、AlN,Al2
3 、ZrO2 、SiO2 、MgO、C、Siおよびこ
れらの複合体を例示できる。
【0042】また、炉の低温部分と高温部分とは、いず
れが上になっていても良い。しかし、図4に示すよう
に、高温部分(セラミックス原料のある部分)の方を上
にすると、下側から上方へと向かって熱が上昇してくる
ために、低温部分(担体1のある部分)と高温部分との
間の温度差を一定に保つことが容易になるため、好まし
い。また、高温部分と低温部分とが水平になるように、
配置しても良い。
【0043】原料の加熱方法としては、いろいろな方法
が適用できるが、比較的手軽に高温状態を生成できる抵
抗加熱法や高周波加熱法が好ましい。高周波加熱法によ
る場合には、高周波の放電が生じない圧力以上で、反応
を行わせる必要がある。炭化珪素多結晶体の結晶性およ
び堆積速度を向上させるためには、10Torr以下の
圧力とすることが好ましく、0.5Torr以下の圧力
とすることが、更に好ましい。このような低い圧力下で
堆積を行う場合には、抵抗加熱法によって原料を加熱す
ることが好ましい。
【0044】また、均質な結晶性を有する炭化珪素多結
晶膜や、均一な厚さを有する炭化珪素多結晶体を形成で
きるようにするためには、担体の温度を均一に保つ必要
がある。この点から、担体内の温度分布は±20℃以内
にすることが好ましく、±5℃以内とすることが、更に
好ましい。
【0045】本発明によって製造された積層部材は、各
種の製品、例えば耐食性部材に対して、適用することが
できる。こうした製品として、ガスタービン等の高温雰
囲気で使用されるセラミックス部品があげられる。具体
的にはガスタービン用の燃焼器、静翼、動翼、熱交換
器、燃焼ガス通路部品に適用できる。
【0046】また、本発明の積層部材を、電磁波透過体
に対して適用できる。これには、電磁波透過窓、高周波
電極装置、高周波プラズマを発生させるためのチュー
ブ、高周波プラズマを発生させるためのドームを例示で
きる。また、本発明の積層部材は、半導体ウエハーを設
置するためのサセプターに対して適用できる。こうした
サセプターとしては、セラミック静電チャック、セラミ
ックスヒーター、高周波電極装置を例示することができ
る。この他、ダミーウエハー、シャドーリング、半導体
ウエハーを支持するためのリフトピン、シャワー板等の
各半導体製造用装置の基材として、使用することができ
る。
【0047】
【実施例】以下、更に具体的な実験結果について述べ
る。 (実施例1)図2(a)〜(c)で参照しつつ説明した
方法に従って、本発明の実施例に係る積層部材を製造し
た。カーボン製の円盤状担体1を使用した。担体1は、
直径30cm、高さ10cmの突起1aと、直径34c
m、高さ2cmの本体1bとを備えている。担体1上に
化学的気相成長法(CVD法)によって厚さ1mmの炭
化珪素膜を形成した。CVD処理条件は1350°で1
0時間とし、原料として四塩化炭素、メタン、水素を使
用した。
【0048】別途、内径30cm、外径34cm、高さ
12cm、底面の厚さ2cmの円筒状の窒化アルミニウ
ム焼結体を支持体9として用意した。支持体9の焼成条
件は、1900°で3時間とした。炭化珪素膜3付きの
担体1と支持体9とを嵌め合わせる際、両者の隙間が
0.1mmとなるように、両者を加工した。炭化珪素膜
付きの担体1の表面に、珪素粉末を含有するスラリーを
塗布して塗布層7を形成し、この塗布面を支持体9に対
して嵌め合わせ、真空中で、1500°で1時間熱処理
した。この熱処理によって、珪素粉末が溶解し、接合材
層8が形成され、炭化珪素膜3付きの担体1と支持体9
とが強固に接合された。次いで、カーボン製の担体1を
機械加工によってほぼ除去した。最終的には、積層体を
500℃×4時間の酸化処理に供することによって、機
械加工後に残留したカーボンを完全に除去した。以上に
よって、炭化珪素膜が内張りされた窒化アルミニウム製
のルツボを製造することに成功した。
【0049】(実施例2)図2(a)〜(c)で参照し
つつ説明した方法に従って、本発明の実施例に係る積層
部材を製造した。カーボン製の円盤状担体1を使用し
た。担体1は、直径30cm、高さ10cmの突起1a
と、直径34cm、高さ2cmの本体1bとを備えてい
る。担体1上に、後述する方法に従って、厚さ1mmの
炭化珪素膜を形成した。具体的には、図5に示す成膜装
置を使用し、カーボンからなる担体1の上に炭化珪素膜
3を形成した。ただし、図5において、図4に示した部
材と同じ部材には同じ符号を付け、その説明は省略す
る。
【0050】ルツボ17は円筒形をしており、ルツボの
材質は高密度のカーボン(C)からなっている。平均粒
径0.5μm、純度99.5%のα−SiC粉末を、1
00kgf/cm2 の荷重で一軸プレスし、直径φ30
mm×厚さ5mmの円板状成形体20を得た。この成形
体20を、原料室22aに充填した。原料20を充填し
たルツボ17を、図5に示す真空加熱炉中に設置した。
ただし、23は炉床であり、24は炉壁である。
【0051】炉内に抵抗加熱ヒーター25を設置し、ヒ
ーター25の内側を2200℃に加熱した。なお、加熱
温度は、SiCの昇華が始まる2000℃以上とする必
要があり、2200〜2400℃が好ましい。この時、
炉内の雰囲気はアルゴンとし、圧力は0.01Torr
とした。温度制御を原料室22aの近傍で行っているこ
とから、原料室22aの温度は2200℃となっている
が、ヒーター25の無い成膜室22bは、原料室22a
よりも若干低い温度となっている。炉床23に接してい
る担体1は、担体1から炉床23へと熱が逃げるため
に、成膜室22b内よりも一層低い温度となっている。
本実施例では、原料室の温度と担体の温度との差を50
℃とした。なお、原料室の温度と担体の温度との差は、
20℃以上、500℃以下とすることが好ましい。
【0052】ルツボ17内を多結晶の成長温度まで昇温
する際には、担体1上に不安定な結晶核の成長が起こら
ないように、ルツボ17内にアルゴン雰囲気を満たし
た。所定の成長温度に到達した後に、ルツボ17内を減
圧し、多結晶の成長を開始させた。
【0053】この結果、膜厚1mm程度の緻密質の多結
晶炭化珪素膜3が担体1上に堆積した。この膜3の表面
は、滑らかで透明感があった。この膜3の密度は3.1
9g/ccであり、平均粒径は200μmであり、純度
は99.999%以上であった。
【0054】別途、内径30cm、外径34cm、高さ
12cm、底面の厚さ2cmの円筒状の窒化アルミニウ
ム焼結体を支持体9として用意した。支持体9の焼成条
件は、1900°で3時間とした。炭化珪素膜3付きの
担体1と支持体9とを嵌め合わせる際、両者の隙間が
0.05mmとなるように、両者を加工した。炭化珪素
膜付きの担体1の表面に、シリコーン樹脂のペーストを
塗布して塗布層7を形成し、この塗布面を支持体9に対
して嵌め合わせ、真空中で、プレス処理した。次いで、
カーボン製の担体1を機械加工によって完全に除去し
た。以上によって、炭化珪素膜が内張りされた窒化アル
ミニウム製の耐食性積層部材を製造することに成功し
た。
【0055】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、支持体と、この支持体の表面を被覆する被膜とを備
えている積層部材を製造する方法において、支持体の劣
化、特に支持体の表面におけるマイクロクラックや微小
亀裂等の欠陥の発生を防止し、被膜の物性を一層向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、担体1上に被膜3を形成した状態を
示す断面図であり、(b)は、積層体30を示す断面図
であり、(c)は、積層部材6を示す断面図である。
【図2】(a)は、担体1上に被膜3および接合材層7
を形成した状態を示す断面図であり、(b)は、積層体
31を示す断面図であり、(c)は、積層部材10を示
す断面図である。
【図3】(a)は、担体1上に被膜3、成形体11およ
び反応焼結する物質の層12を形成した状態を示す断面
図であり、(b)は、積層体33を示す断面図であり、
(c)は、積層部材15を示す断面図である。
【図4】本発明の積層部材を製造するのに際して、多結
晶膜を製造するために使用できる装置の一例を模式的に
示す断面図である。
【図5】本発明の積層部材を製造するのに際して、多結
晶膜を製造するために使用できる装置の一例を模式的に
示す断面図である。
【符号の説明】
1担体 2 担体1の表面 3 被膜 4、9
支持体 4a、9a、13a 盤状の本体 4b、9b、13
b 環状の突起 6、10、15 積層部材 8、14 接合材層
11 セラミックス成形体 12 反応焼結可能な
物質を含有する層 13 反応焼結体(支持体)
16 凹部 30、31、33 積層体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相原 靖文 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体と、この支持体の表面を被覆する被
    膜とを備えている積層部材を製造する方法であって、除
    去可能な担体の表面に被膜を形成し、次いで前記担体、
    前記被膜およびこの被膜に対して一体化されている支持
    体を備えている積層体を製造し、次いで前記積層体から
    前記担体を除去することを特徴とする、積層部材の製造
    方法。
  2. 【請求項2】前記被膜の表面に追従しうる表面形状を有
    する支持体を、前記被膜に対して接触させ、一体化する
    ことを特徴とする、請求項1記載の積層部材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】前記支持体を前記被膜と一体化する前の前
    記支持体の寸法と、前記支持体を前記被膜と一体化した
    後の前記支持体の寸法との差が、一体化前の前記支持体
    の寸法に対して5%以下であることを特徴とする、請求
    項2記載の積層部材の製造方法。
  4. 【請求項4】前記支持体と前記被膜との一体化に際して
    接合材を使用することを特徴とする、請求項1〜3のい
    ずれか一つの請求項に記載の積層部材の製造方法。
  5. 【請求項5】前記担体の除去方法が、熱分解、酸化、加
    工、酸処理または溶解であることを特徴とする、請求項
    1〜4のいずれか一つの請求項に記載の積層部材の製造
    方法。
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