JPH10100041A - 送りネジ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ナット部に発熱対策を施し、長時間連続で使
用しても位置決め精度が悪化し難い送りネジ装置を提供
する。 【解決手段】 送りネジ部１１とこれに係合するナット
部２０を備えた送りネジ装置において、ナット部２０に
冷却手段を設けてナット部２０を冷却し、ナット部２０
の熱膨張を抑える構成にしたことを特徴とする送りネジ
装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、送りネジ部とこ
れに係合するナット部を備えた送りネジ装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】数値制御工作機械は、近年、高速化・高
精度化が急速に進んでいる。

【０００３】高速化を図るためには、「早送り位置決
め」動作における送り速度をより速くすることが必要で
ある。

【０００４】一般に、送り速度を高速化すると、ボール
ネジが高速で回転するため、ネジ部とナット部で発生す
る摩擦熱もそれだけ大きくなる。

【０００５】ネジ部は、摺動面が露出しており、ナット
部と較べて正味の摺動長さも長いため、加熱し難い。

【０００６】しかしながら、ナット部は、摺動面が内側
にあって壁部に囲まれており、実質的な摺動長さもネジ
部に較べて著しく短いため、加熱し易い。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このため、長時間連続
で工作機械を稼働させた場合には、ボールネジのナット
部が発熱して熱変位を起こし、これが原因で位置決め精
度が悪化することがあった。

【０００８】また、ヒンパンに「早送り位置決め」を行
う工程での加工精度とそうでない工程での加工精度の間
に差異が生じることもあった。

【０００９】このような従来技術の問題点に鑑み、本発
明は、ナット部に発熱対策を施し、長時間連続で使用し
ても位置決め精度が悪化し難い送りネジ装置を提供する
ことを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本願発明は、送りネジ部
（１１）とこれに係合するナット部（２０）を備えた送
りネジ装置において、ナット部（２０）に冷却手段を設
けてナット部（２０）を冷却し、ナット部（２０）の熱
膨張を抑える構成にしたことを特徴とする送りネジ装置
を要旨としている。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明の送りネジ装置は、送りネ
ジ部とこれに係合するナット部を備えた送りネジ装置に
おいて、ナット部に冷却手段を設けてナット部を冷却
し、ナット部の熱膨張を抑える構成にしたことを特徴と
する。

【００１２】冷却手段は、ナット部に形成した通路に冷
却油を流す構成にできる。

【００１３】冷却油を流す通路は、螺旋状に形成可能で
ある。

【００１４】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。

【００１５】図１は本発明の送りネジ装置を示す斜視
図、図２はその断面図である。

【００１６】送りネジ装置１０は、送りネジ部１１と、
これに係合するナット部２０で構成されている。

【００１７】ナット部２０は、ナット本体１２と、その
外側に取り付けられるハウジング１３で形成される。

【００１８】送りネジ部１１とナット本体１２は、通常
のボールネジの送りネジとナットをそのまま用いること
ができる。

【００１９】図３はナット本体１２からハウジング１３
を取り外した状態を示す斜視図、図４は取り外したハウ
ジング１３を示す斜視図である。

【００２０】ハウジング１３は全体的に円筒形状であ
り、一方の側に軸芯と平行な平板状の取付部１５を有し
ている。取付部１５は図１では上側に位置しており、４
個の取付穴１４を有している。送りネジ装置１０は、取
付穴１４によって、例えば図示しないＸ−Ｙテーブル等
の移動体に固定される。

【００２１】ハウジング１３は軸方向に貫通穴２１を有
しており、その周面には螺旋状の溝１６が形成されてい
る。螺旋状の溝１６の両端部は、周面から半径方向に形
成された通路２２，２３を経て、さらに軸方向通路２
４，２５を介し、冷却油供給管１７と冷却油回収管１８
に接続されている。配管１７と１８はフレキシブルな材
料で構成される。

【００２２】螺旋状の溝１６の両端部の外側には、オイ
ルシール３０が配置されている。

【００２３】供給管１７と回収管１８には図示しない冷
却油循環装置が接続され、所定温度の冷却油を供給・回
収できる構成になっている。必要に応じ、ナット本体１
２の温度や回収した冷却油の温度を測定し、その温度に
基づいて供給する冷却油の温度が調整される。

【００２４】ナット本体１２の一端には、取付穴２６を
有する取付用フランジ９が形成されている。ハウジング
１３には、取付ネジ穴２７が設けられている。ナット本
体１２とハウジング１３は、この取付穴２６と取付ネジ
穴２７を用いて、取付ボルト２８で固定される。

【００２５】

【発明の効果】本発明の送りネジ装置においては、冷却
手段によってナット部の発熱が抑制されるため、「早送
り位置決め」動作における送り速度をより速くすること
ができ、また、長時間連続で使用しても位置決め精度が
悪化し難い。

【００２６】なお、本発明は前述の実施例に限定されな
い。例えば、冷却油通路の形状は、螺旋状に限らず、数
本の分枝状通路であっても良い。また、ハウジングは、
２つの分割体で形成することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の送りネジ装置の実施例を示す斜視図。

【図２】図１の断面図。

【図３】ナット本体からハウジングを取り外した状態を
示す斜視図。

【図４】取り外したハウジングを示す斜視図。

【符号の説明】

１０ 送りネジ装置 １１ 送りネジ部 １２ ナット本体 １３ ハウジング １６ 螺旋状の溝 １７，１８ 冷却油用配管

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 送りネジ部（１１）とこれに係合するナ
   ット部（２０）を備えた送りネジ装置において、ナット
   部（２０）に冷却手段を設けてナット部（２０）を冷却
   し、ナット部（２０）の熱膨張を抑える構成にしたこと
   を特徴とする送りネジ装置。
2. 【請求項２】 冷却手段が、ナット部（１２）に設けた
   通路（１６）に冷却油を流す構成になっていることを特
   徴とする請求項１に記載の送りネジ装置。
3. 【請求項３】 通路（１６）が螺旋状であることを特徴
   とする請求項２に記載の送りネジ装置。