JPH0999212A - 排ガス浄化用素子、その製造方法および窒素酸化物の浄化方法 - Google Patents
排ガス浄化用素子、その製造方法および窒素酸化物の浄化方法Info
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- JPH0999212A JPH0999212A JP7282602A JP28260295A JPH0999212A JP H0999212 A JPH0999212 A JP H0999212A JP 7282602 A JP7282602 A JP 7282602A JP 28260295 A JP28260295 A JP 28260295A JP H0999212 A JPH0999212 A JP H0999212A
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- oxygen
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 酸素を含む排ガスから窒素酸化物を少ない電
流量で効率よく除去する。 【解決手段】 酸素イオン導電性を有する固体電解質の
両面に金属電極材が塗布された素子において、少なくと
も一方の電極が、パラジウムを含み、かつ平面的な網目
構造を有する電極側に酸素を含む排ガスを流通させる。
流量で効率よく除去する。 【解決手段】 酸素イオン導電性を有する固体電解質の
両面に金属電極材が塗布された素子において、少なくと
も一方の電極が、パラジウムを含み、かつ平面的な網目
構造を有する電極側に酸素を含む排ガスを流通させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排ガス浄化素子およ
び窒素酸化物の浄化方法、さらに詳しくは、酸素を含む
燃焼ガスから大気汚染物質である窒素酸化物を効率的に
浄化する方法に関するものである。
び窒素酸化物の浄化方法、さらに詳しくは、酸素を含む
燃焼ガスから大気汚染物質である窒素酸化物を効率的に
浄化する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】環境保全の観点から、大気汚染物質の浄
化は大きな社会的な課題である。とりわけ産業活動の拡
大に伴う燃焼排ガスの浄化は現在緊急の課題である。
化は大きな社会的な課題である。とりわけ産業活動の拡
大に伴う燃焼排ガスの浄化は現在緊急の課題である。
【0003】固定発生源である工場や移動発生源である
自動車から排出される燃焼排ガス中に含まれる窒素酸化
物は、光化学スモッグの原因といわれ、また人体に有害
なガスである。特に一酸化窒素(NO)は浄化が難し
く、最も重要な検討課題となっている。これまでにも燃
焼排ガス中の窒素酸化物を浄化するいくつかの方法が提
案されている。例えばアンモニア等の還元剤を用いて触
媒上で窒素酸化物を窒素と水にして分解する方法であ
る。しかしながら、この方法は還元剤を用いるためコス
トの点で高くつき、また還元剤の保管に関する安全性や
未反応還元剤の回収漏れの対策が必要となる。このよう
なことからこの方法は規模が大きな固定発生源について
は有効であるが、自動車のような移動発生源には適さな
い。これまで理論空燃比付近で運転されるガソリンエン
ジンの排ガスの浄化には貴金属系成分を活性成分とする
三元触媒装置が一般に使用されている。しかしながらこ
れらの触媒装置は過剰な酸素共存下では窒素酸化物を浄
化できないのでディーゼルエンジンや希薄燃焼方式のガ
ソリンエンジンの排ガス処理には用いることができな
い。最近、炭化水素を還元剤として用いて新たな触媒装
置で除去する方法が提案されているが、炭化水素の窒素
酸化物還元効率が低いことおよび触媒の耐久性が十分で
ないことなどの多くの問題を抱えている。このため新し
い除去方法の開発が望まれている。
自動車から排出される燃焼排ガス中に含まれる窒素酸化
物は、光化学スモッグの原因といわれ、また人体に有害
なガスである。特に一酸化窒素(NO)は浄化が難し
く、最も重要な検討課題となっている。これまでにも燃
焼排ガス中の窒素酸化物を浄化するいくつかの方法が提
案されている。例えばアンモニア等の還元剤を用いて触
媒上で窒素酸化物を窒素と水にして分解する方法であ
る。しかしながら、この方法は還元剤を用いるためコス
トの点で高くつき、また還元剤の保管に関する安全性や
未反応還元剤の回収漏れの対策が必要となる。このよう
なことからこの方法は規模が大きな固定発生源について
は有効であるが、自動車のような移動発生源には適さな
い。これまで理論空燃比付近で運転されるガソリンエン
ジンの排ガスの浄化には貴金属系成分を活性成分とする
三元触媒装置が一般に使用されている。しかしながらこ
れらの触媒装置は過剰な酸素共存下では窒素酸化物を浄
化できないのでディーゼルエンジンや希薄燃焼方式のガ
ソリンエンジンの排ガス処理には用いることができな
い。最近、炭化水素を還元剤として用いて新たな触媒装
置で除去する方法が提案されているが、炭化水素の窒素
酸化物還元効率が低いことおよび触媒の耐久性が十分で
ないことなどの多くの問題を抱えている。このため新し
い除去方法の開発が望まれている。
【0004】ところで還元剤を用いずに一酸化窒素を直
接窒素と酸素に分解する方法は排ガスを処理装置に通じ
るだけで済み、理想的な処理方法である。しかし、これ
まで提案されている触媒を用いた方法では窒素酸化物の
分解により生成した酸素が触媒表面から脱離しないため
に、失活していた。
接窒素と酸素に分解する方法は排ガスを処理装置に通じ
るだけで済み、理想的な処理方法である。しかし、これ
まで提案されている触媒を用いた方法では窒素酸化物の
分解により生成した酸素が触媒表面から脱離しないため
に、失活していた。
【0005】近年、酸素イオン導電性を有する固体電解
質からなる素子を用いて窒素酸化物を電気化学的に分解
除去する方法が開発され、Jounal of Electrochemical
Society, 122, 896,(1975)に開示されている。すなわち
酸化スカンジウム安定化ジルコニアの両側に多孔質の白
金電極を被覆し、その一方側に酸素を含まない窒素酸化
物を含有するガスを供給するとともに、この電極がカソ
ード極になるように両電極に直流電圧を印加する。これ
により電極上で窒素酸化物を窒素と酸素に分解し、生成
した酸素をイオン化し、これを印加電圧を駆動力として
この電極上から固体電解質を通して対極側に移動させ、
反応系から排除する。(この際、酸素イオンが固体電解
質中を流れることにより、素子内に電流が流れ、電気エ
ネルギーが消費される)この結果、窒素酸化物の分解を
促進させることができることを示している。
質からなる素子を用いて窒素酸化物を電気化学的に分解
除去する方法が開発され、Jounal of Electrochemical
Society, 122, 896,(1975)に開示されている。すなわち
酸化スカンジウム安定化ジルコニアの両側に多孔質の白
金電極を被覆し、その一方側に酸素を含まない窒素酸化
物を含有するガスを供給するとともに、この電極がカソ
ード極になるように両電極に直流電圧を印加する。これ
により電極上で窒素酸化物を窒素と酸素に分解し、生成
した酸素をイオン化し、これを印加電圧を駆動力として
この電極上から固体電解質を通して対極側に移動させ、
反応系から排除する。(この際、酸素イオンが固体電解
質中を流れることにより、素子内に電流が流れ、電気エ
ネルギーが消費される)この結果、窒素酸化物の分解を
促進させることができることを示している。
【0006】さらに、Chemistry Letters P.927(1994)
に700℃で固体電解質の両側に多孔質のパラジウム電
極を形成させた素子を用いると酸素共存下でも窒素酸化
物の分解除去ができることが開示された。
に700℃で固体電解質の両側に多孔質のパラジウム電
極を形成させた素子を用いると酸素共存下でも窒素酸化
物の分解除去ができることが開示された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら多孔質の
白金電極を用いる上記方法では燃焼排ガスのように過剰
の酸素が含まれている場合、上記素子では窒素酸化物の
分解反応は進行せず、過剰に共存している酸素のみがイ
オン化し、固体電解質中を流れてしまう課題があった。
白金電極を用いる上記方法では燃焼排ガスのように過剰
の酸素が含まれている場合、上記素子では窒素酸化物の
分解反応は進行せず、過剰に共存している酸素のみがイ
オン化し、固体電解質中を流れてしまう課題があった。
【0008】また、多孔質のパラジウム電極を用いる方
法では、窒素酸化物を分解除去するには電流密度500
mA/cm2 以上の大きな電流を通電する必要があっ
た。すなわち上記素子では窒素酸化物の分解除去は酸素
過剰下でも可能であるが、分解反応とは関係ない排ガス
に過剰に含まれる共存酸素が同時に固体電解質中をイオ
ン化して流れてしまうため、窒素酸化物を分解するには
多量の電流を流す必要であった。つまり素子中を流れる
電流量に対する窒素酸化物の分解除去効率は極めて低い
ものであった。
法では、窒素酸化物を分解除去するには電流密度500
mA/cm2 以上の大きな電流を通電する必要があっ
た。すなわち上記素子では窒素酸化物の分解除去は酸素
過剰下でも可能であるが、分解反応とは関係ない排ガス
に過剰に含まれる共存酸素が同時に固体電解質中をイオ
ン化して流れてしまうため、窒素酸化物を分解するには
多量の電流を流す必要であった。つまり素子中を流れる
電流量に対する窒素酸化物の分解除去効率は極めて低い
ものであった。
【0009】従って酸素過剰存在下でも効率よく窒素酸
化物を分解できる装置の開発が望まれている。すなわち
本発明の目的は酸素共存下で窒素酸化物分解反応を進行
させ、分解生成した酸素をイオン化して固体電解質中を
透過させるとともに、共存する酸素の透過を抑制するこ
とで、少ない電流量で効率よく窒素酸化物を除去できる
排ガス浄化用素子および窒素酸化物の浄化方法を提供す
ることにある。
化物を分解できる装置の開発が望まれている。すなわち
本発明の目的は酸素共存下で窒素酸化物分解反応を進行
させ、分解生成した酸素をイオン化して固体電解質中を
透過させるとともに、共存する酸素の透過を抑制するこ
とで、少ない電流量で効率よく窒素酸化物を除去できる
排ガス浄化用素子および窒素酸化物の浄化方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するためのものであり、本発明者らは酸素イオン導電性
を有する固体電解質の両面に金属電極材が塗布された素
子において、少なくとも一方の電極がパラジウムを含
み、かつ平面的な網目構造を有する電極形態を形成して
いる排ガス浄化用素子に該電極がカソード極になるよう
に直流電圧を印加すると酸素を含む排ガス中の窒素酸化
物を少ない電流量で効率よく除去できることを見いだし
た。
するためのものであり、本発明者らは酸素イオン導電性
を有する固体電解質の両面に金属電極材が塗布された素
子において、少なくとも一方の電極がパラジウムを含
み、かつ平面的な網目構造を有する電極形態を形成して
いる排ガス浄化用素子に該電極がカソード極になるよう
に直流電圧を印加すると酸素を含む排ガス中の窒素酸化
物を少ない電流量で効率よく除去できることを見いだし
た。
【0011】すなわち本発明は、酸素イオン導電性を有
する固体電解質の両面に金属電極材が塗布された素子に
おいて、少なくとも一方の電極が、パラジウムを含み、
かつ平面的な網目構造を有することを特徴とする排ガス
浄化用素子、該素子の製造方法、および該素子の、パラ
ジウムを含み、かつ平面的な網目構造を有する電極側に
酸素を含む排ガスを流通させることを特徴とする窒素酸
化物の浄化方法である。以下、本発明を詳細に説明す
る。
する固体電解質の両面に金属電極材が塗布された素子に
おいて、少なくとも一方の電極が、パラジウムを含み、
かつ平面的な網目構造を有することを特徴とする排ガス
浄化用素子、該素子の製造方法、および該素子の、パラ
ジウムを含み、かつ平面的な網目構造を有する電極側に
酸素を含む排ガスを流通させることを特徴とする窒素酸
化物の浄化方法である。以下、本発明を詳細に説明す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で用いる酸素イオン導電性
を有する固体電解質は特に限定されない。酸素イオン導
電性を有する固体電解質の例としては蛍石型構造を有す
る金属酸化物で、安定化ジルコニア、安定化酸化ビスマ
スおよび安定化セリアなどが挙げられる。これらのうち
高い導電性と強度を有することが好ましく、特に高い強
度を有する安定化ジルコニアが好ましく用いられる。安
定化ジルコニアとしては (a) イットリア安定化ジルコニア(但し、イットリア濃
度:8〜15モル%) (b) 酸化カルシウム安定化ジルコニア(但し、酸化カル
シウム濃度:5〜10モル%) (c) 酸化マグネシウム安定化ジルコニア(但し、酸化マ
グネシウム濃度:5〜10モル%) (d) 酸化セリウム安定化ジルコニア(但し、酸化セリウ
ム濃度:15〜35モル%) などが挙げられる。
を有する固体電解質は特に限定されない。酸素イオン導
電性を有する固体電解質の例としては蛍石型構造を有す
る金属酸化物で、安定化ジルコニア、安定化酸化ビスマ
スおよび安定化セリアなどが挙げられる。これらのうち
高い導電性と強度を有することが好ましく、特に高い強
度を有する安定化ジルコニアが好ましく用いられる。安
定化ジルコニアとしては (a) イットリア安定化ジルコニア(但し、イットリア濃
度:8〜15モル%) (b) 酸化カルシウム安定化ジルコニア(但し、酸化カル
シウム濃度:5〜10モル%) (c) 酸化マグネシウム安定化ジルコニア(但し、酸化マ
グネシウム濃度:5〜10モル%) (d) 酸化セリウム安定化ジルコニア(但し、酸化セリウ
ム濃度:15〜35モル%) などが挙げられる。
【0013】固体電解質の形状は特に限定されないが、
通常、板状、管状、あるいはハニカム状などに成型され
て用いられる。その厚みは強度および導電性の点から1
μm〜5mmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜
2mmである。1μm以下の厚みでは十分な強度のある
ものが得られず、一方5mm以上の厚みでは酸素の移動
速度が遅くなってしまう。
通常、板状、管状、あるいはハニカム状などに成型され
て用いられる。その厚みは強度および導電性の点から1
μm〜5mmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜
2mmである。1μm以下の厚みでは十分な強度のある
ものが得られず、一方5mm以上の厚みでは酸素の移動
速度が遅くなってしまう。
【0014】形状としては管状が好ましく用いられる。
管の直径、長さは特に限定されない。また、管の断面の
形状も円形、だ円形、多角形、星型など特に限定されな
い。複数の管を束ねて用いることも可能である。さらに
管の外側、内側のいずれにパラジウムを含み、かつ平面
的な網目構造を有する電極を形成することも可能であ
る。したがって排ガスを流通させるのは管の外側であっ
ても内側であってもかまわない。
管の直径、長さは特に限定されない。また、管の断面の
形状も円形、だ円形、多角形、星型など特に限定されな
い。複数の管を束ねて用いることも可能である。さらに
管の外側、内側のいずれにパラジウムを含み、かつ平面
的な網目構造を有する電極を形成することも可能であ
る。したがって排ガスを流通させるのは管の外側であっ
ても内側であってもかまわない。
【0015】これらの製造方法を以下に述べる。まず所
定の濃度のイットリア、酸化カルシウム、酸化マグネシ
ウムあるいは酸化セリウムなどの安定化剤を含むジルコ
ニア粉末を粉末混合法、中和共沈法、加水分解法、熱分
解法、水熱分解法、あるいはアルコキシド法などのいず
れかにより調製する。この安定化ジルコニア粉末をプレ
ス成型、あるいは押し出し成型により目的の形状を得
る。但し、成型を容易にするために有機系のバインダー
あるいはさらに水を加えて良く混合してから成型を行っ
てもよい。成型体はバインダーを脱脂後、例えば140
0〜1600℃にて2〜3時間焼成することにより、気
孔の無い緻密な焼結体を得ることができる。
定の濃度のイットリア、酸化カルシウム、酸化マグネシ
ウムあるいは酸化セリウムなどの安定化剤を含むジルコ
ニア粉末を粉末混合法、中和共沈法、加水分解法、熱分
解法、水熱分解法、あるいはアルコキシド法などのいず
れかにより調製する。この安定化ジルコニア粉末をプレ
ス成型、あるいは押し出し成型により目的の形状を得
る。但し、成型を容易にするために有機系のバインダー
あるいはさらに水を加えて良く混合してから成型を行っ
てもよい。成型体はバインダーを脱脂後、例えば140
0〜1600℃にて2〜3時間焼成することにより、気
孔の無い緻密な焼結体を得ることができる。
【0016】本発明の素子は固体電解質の両面に金属電
極材が塗布されている。本発明のパラジウムを含む電極
に対極する電極は固体電解質を透過してきた酸素イオン
から電子を受容し、気体酸素分子として気相へ拡散させ
ることのできるものであれば特に限定されないが、電子
受容効率および導電性が高く、高温でも耐久性を有する
ものが好ましく、例えば、金、白金、銀、パラジウム、
銅、ニッケル等の少なくとも一種以上の金属電極、ある
いは合金電極が挙げられる。これらの電極形成法は特に
限定されるものではなく、電極材をペースト状にして塗
布する方法、スパッタリング法、メッキ法あるいは真空
蒸着法などが挙げられる。
極材が塗布されている。本発明のパラジウムを含む電極
に対極する電極は固体電解質を透過してきた酸素イオン
から電子を受容し、気体酸素分子として気相へ拡散させ
ることのできるものであれば特に限定されないが、電子
受容効率および導電性が高く、高温でも耐久性を有する
ものが好ましく、例えば、金、白金、銀、パラジウム、
銅、ニッケル等の少なくとも一種以上の金属電極、ある
いは合金電極が挙げられる。これらの電極形成法は特に
限定されるものではなく、電極材をペースト状にして塗
布する方法、スパッタリング法、メッキ法あるいは真空
蒸着法などが挙げられる。
【0017】一方、本発明のパラジウムを含む電極は平
面的な網目構造をもつ電極形態を形成していることを特
徴とする電極である。本発明でいう平面的な網目構造と
は電極部を走査型電子顕微鏡で1,000〜5,000
倍で観察されるように、電極を形成する電極材の粒子が
固体電解質の表面に沿って凝集することにより、二次元
的に網目状につながった構造をいう。
面的な網目構造をもつ電極形態を形成していることを特
徴とする電極である。本発明でいう平面的な網目構造と
は電極部を走査型電子顕微鏡で1,000〜5,000
倍で観察されるように、電極を形成する電極材の粒子が
固体電解質の表面に沿って凝集することにより、二次元
的に網目状につながった構造をいう。
【0018】これら電極は電極材をペースト状にして塗
布する方法、スパッタリング法、メッキ法あるいは真空
蒸着法により塗布され形成されるが、電極形成法は特に
限定されるものではない。例えばペーストで塗布する場
合、均一に塗布するためにテルピレオール等の溶剤にペ
ーストを分散させてから用いてもよい。
布する方法、スパッタリング法、メッキ法あるいは真空
蒸着法により塗布され形成されるが、電極形成法は特に
限定されるものではない。例えばペーストで塗布する場
合、均一に塗布するためにテルピレオール等の溶剤にペ
ーストを分散させてから用いてもよい。
【0019】平面的な網目構造をもつ電極の作製法はパ
ラジウムペーストを固体電解質に塗布した後、900℃
以上の高温で焼き付けるか、あるいはスパッタリング、
真空蒸着、メッキ等でパラジウム電極部を形成した後、
900℃以上で処理をするなどの方法が挙げられるが特
に限定されるものではない。
ラジウムペーストを固体電解質に塗布した後、900℃
以上の高温で焼き付けるか、あるいはスパッタリング、
真空蒸着、メッキ等でパラジウム電極部を形成した後、
900℃以上で処理をするなどの方法が挙げられるが特
に限定されるものではない。
【0020】熱処理の時間は、電極が平面的な網目構造
を形成するのに十分な時間であれば特に限定するもので
はない。素子や電極の大きさや形状によって異なるが、
通常30分〜10時間が好ましい。
を形成するのに十分な時間であれば特に限定するもので
はない。素子や電極の大きさや形状によって異なるが、
通常30分〜10時間が好ましい。
【0021】本発明の処理方法は該素子の両電極間に直
流電圧が印加できるように電源に接続し、該パラジウム
電極側に酸素と窒素酸化物を含有する排ガスを流通さ
せ、該電極がカソード極になるように両電極間に直流電
圧を印加することにより窒素酸化物を窒素と酸素に分解
し、生成した酸素をイオン化して電源より印加した電圧
を駆動力として該電極上から固体電解質を通してアノー
ド電極側に移動させ、アノード電極から酸素分子として
気相へ排出されるものである。これにより窒素酸化物の
分解を促進しようとするものである。
流電圧が印加できるように電源に接続し、該パラジウム
電極側に酸素と窒素酸化物を含有する排ガスを流通さ
せ、該電極がカソード極になるように両電極間に直流電
圧を印加することにより窒素酸化物を窒素と酸素に分解
し、生成した酸素をイオン化して電源より印加した電圧
を駆動力として該電極上から固体電解質を通してアノー
ド電極側に移動させ、アノード電極から酸素分子として
気相へ排出されるものである。これにより窒素酸化物の
分解を促進しようとするものである。
【0022】印加する電圧の範囲はジルコニアの厚みに
対して1.0〜7.0V/mmが好ましく、さらに好ま
しくは2.0〜5.0V/mmである。印加電圧が1.
0V/mmより低い場合は酸素の移動が遅すぎて窒素酸
化物の分解反応が十分進行しない。一方、7.0V/m
mより高くなると気相からの酸素の拡散が追いつかず、
代わりに固体電解質自身の酸素が移動してしまい、最後
には固体電解質が壊れてしまう。
対して1.0〜7.0V/mmが好ましく、さらに好ま
しくは2.0〜5.0V/mmである。印加電圧が1.
0V/mmより低い場合は酸素の移動が遅すぎて窒素酸
化物の分解反応が十分進行しない。一方、7.0V/m
mより高くなると気相からの酸素の拡散が追いつかず、
代わりに固体電解質自身の酸素が移動してしまい、最後
には固体電解質が壊れてしまう。
【0023】反応温度の範囲は300〜1200℃で、
好ましくは500〜1000℃である。300℃より低
温では窒素酸化物の分解反応の速度が遅く、しかも固体
電解質中の酸素移動速度も極めて小さいため、十分な窒
素酸化物の分解除去は行えない。一方、1200℃を越
えるとN2 +O2 →2NOの逆反応が起こり易くなり、
電極で生成した窒素が再び酸素と反応して窒素酸化物に
戻ってしまう。
好ましくは500〜1000℃である。300℃より低
温では窒素酸化物の分解反応の速度が遅く、しかも固体
電解質中の酸素移動速度も極めて小さいため、十分な窒
素酸化物の分解除去は行えない。一方、1200℃を越
えるとN2 +O2 →2NOの逆反応が起こり易くなり、
電極で生成した窒素が再び酸素と反応して窒素酸化物に
戻ってしまう。
【0024】
【実施例】以下実施例にしたがって説明する。 実施例1 (固体電解質の管作製)8mol%イットリア添加の安
定化ジルコニア粉末に有機系バインダーおよび蒸留水を
添加し十分混合後、混練り成型機を用いて管状に押しだ
した。これを乾燥後、1600℃で2時間焼成すること
で、外径3.8mmφ、内径2.5mmφ、長さ240
mmの緻密な安定化ジルコニア焼結体管(以下、ジルコ
ニア管)を得た。
定化ジルコニア粉末に有機系バインダーおよび蒸留水を
添加し十分混合後、混練り成型機を用いて管状に押しだ
した。これを乾燥後、1600℃で2時間焼成すること
で、外径3.8mmφ、内径2.5mmφ、長さ240
mmの緻密な安定化ジルコニア焼結体管(以下、ジルコ
ニア管)を得た。
【0025】(電極の形成)上記の方法で得たジルコニ
ア管の中央部の外周25mmの長さにパラジウムペース
ト(徳力化学研究所製シルベストNo.1)を均一に筆塗り
し、カソード電極(電極面積3cm2 )を形成した。次
に、カソード電極に対極するように内側に同じパラジウ
ムペーストを用いてアノード電極を形成した。これを1
300℃の電気炉を用いて2時間焼成することにより平
面的な網目構造のパラジウム電極を有する素子を作製し
た。走査型電子顕微鏡を用いて倍率2,000倍、加速
電圧5keVの条件で観察された該カソード電極の形態
の模式図を図1に示す。図1において、1はパラジウム
電極の部分、2は固体電解質が露出した部分を示してい
る。
ア管の中央部の外周25mmの長さにパラジウムペース
ト(徳力化学研究所製シルベストNo.1)を均一に筆塗り
し、カソード電極(電極面積3cm2 )を形成した。次
に、カソード電極に対極するように内側に同じパラジウ
ムペーストを用いてアノード電極を形成した。これを1
300℃の電気炉を用いて2時間焼成することにより平
面的な網目構造のパラジウム電極を有する素子を作製し
た。走査型電子顕微鏡を用いて倍率2,000倍、加速
電圧5keVの条件で観察された該カソード電極の形態
の模式図を図1に示す。図1において、1はパラジウム
電極の部分、2は固体電解質が露出した部分を示してい
る。
【0026】(窒素酸化物の浄化テスト)図2に示すよ
うに、両方の電極4、5に白金線をリード線として固定
し、直流電源に接続した。カソード電極4側(固体電解
質3の管の外側)に一酸化窒素1000ppm、酸素2
%、バランスとして、ヘリウムを含むモデルガス50m
l/min.を流し、アノード電極5側(管の内側)に
はヘリウムを50ml/min.で流した。そして、素
子中の電流密度が単位電極面積あたり43.9mA/c
m2 となるように直流電圧を印加した。なお性能評価は
反応温度700℃で行い、アノード電極側から出てきた
ガス中に存在する窒素の量をガスクロマトグラフィーを
用いて分析し、窒素酸化物が窒素に転化した割合を窒素
酸化物の除去率として求めた。この評価結果を表2に示
す。
うに、両方の電極4、5に白金線をリード線として固定
し、直流電源に接続した。カソード電極4側(固体電解
質3の管の外側)に一酸化窒素1000ppm、酸素2
%、バランスとして、ヘリウムを含むモデルガス50m
l/min.を流し、アノード電極5側(管の内側)に
はヘリウムを50ml/min.で流した。そして、素
子中の電流密度が単位電極面積あたり43.9mA/c
m2 となるように直流電圧を印加した。なお性能評価は
反応温度700℃で行い、アノード電極側から出てきた
ガス中に存在する窒素の量をガスクロマトグラフィーを
用いて分析し、窒素酸化物が窒素に転化した割合を窒素
酸化物の除去率として求めた。この評価結果を表2に示
す。
【0027】実施例2 実施例1において、電極の焼成温度を1100℃とした
他は、実施例1と同様に行った。
他は、実施例1と同様に行った。
【0028】実施例3 実施例1で作成したものと同じジルコニア管の中央部の
外周25mmの長さ、およびこれに対極するようなパラ
ジウム電極が形成されるように内側を塩化パラジウム5
g/l、塩化ヒドラジン50g/l、塩酸20g/lを
含む水溶液で浸し、80℃の湯浴中で無電解メッキを施
した。これを1300℃で2時間焼成することにより平
面的な網目構造のパラジウム電極を有する素子を作製し
た。これを用いて実施例1と同様に評価を行った。
外周25mmの長さ、およびこれに対極するようなパラ
ジウム電極が形成されるように内側を塩化パラジウム5
g/l、塩化ヒドラジン50g/l、塩酸20g/lを
含む水溶液で浸し、80℃の湯浴中で無電解メッキを施
した。これを1300℃で2時間焼成することにより平
面的な網目構造のパラジウム電極を有する素子を作製し
た。これを用いて実施例1と同様に評価を行った。
【0029】実施例4 アノード側の電極材を白金として実施例1と同様に素子
を作製し、同様に評価を行った。
を作製し、同様に評価を行った。
【0030】比較例1 実施例1で作成したジルコニア管に実施例1の方法でパ
ラジウムのアノード電極を1300℃で2時間焼き付け
た。その後パラジウムペーストを用いカソード電極を筆
塗りで形成し、800℃で2時間焼き付けた。このパラ
ジウムカソード電極は三次元的に多孔質な構造であっ
た。これを用いて実施例1と同様に評価を行った。
ラジウムのアノード電極を1300℃で2時間焼き付け
た。その後パラジウムペーストを用いカソード電極を筆
塗りで形成し、800℃で2時間焼き付けた。このパラ
ジウムカソード電極は三次元的に多孔質な構造であっ
た。これを用いて実施例1と同様に評価を行った。
【0031】比較例2〜4 比較例2および3は電極材として白金電極を形成し、比
較例4は銀電極を形成した素子を作製した。これを用い
て実施例1と同様に評価を行った。
較例4は銀電極を形成した素子を作製した。これを用い
て実施例1と同様に評価を行った。
【0032】比較例5〜6 比較例2および4の素子を用い、素子中の電流密度が6
5.8および78.9mA/cm2 となるように直流電
圧を印加した。
5.8および78.9mA/cm2 となるように直流電
圧を印加した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表2の結果から明らかなように酸素イオン
導電性を有する固体電解質の両面に金属電極材が塗布さ
れた素子において、少なくとも一方の電極がパラジウム
電極でかつ該電極が平面的な網目構造をもつ電極形態を
形成していることを特徴とする排ガス浄化用素子を用い
れば、酸素を含む排ガスから窒素酸化物を少ない電流量
で効率よく除去できることがわかった。
導電性を有する固体電解質の両面に金属電極材が塗布さ
れた素子において、少なくとも一方の電極がパラジウム
電極でかつ該電極が平面的な網目構造をもつ電極形態を
形成していることを特徴とする排ガス浄化用素子を用い
れば、酸素を含む排ガスから窒素酸化物を少ない電流量
で効率よく除去できることがわかった。
【0036】
【発明の効果】本発明の素子を用いれば過剰の酸素を含
む燃焼等の排ガスから窒素酸化物を効率よく浄化でき
る。
む燃焼等の排ガスから窒素酸化物を効率よく浄化でき
る。
【図1】実施例1で作成したパラジウム電極の模式図で
ある。
ある。
【図2】実施例1における実施の形態を示す略図であ
る。
る。
1 パラジウム電極の部分 2 固体電解質が露出した部分 3 固体電解質 4 カソード電極 5 アノード電極
Claims (6)
- 【請求項1】 酸素イオン導電性を有する固体電解質の
両面に金属電極材が塗布された素子において、少なくと
も一方の電極が、パラジウムを含み、かつ平面的な網目
構造を有することを特徴とする排ガス浄化用素子。 - 【請求項2】 酸素イオン導電性を有する固体電解質が
安定化ジルコニアであることを特徴とする請求項1記載
の排ガス浄化用素子。 - 【請求項3】 酸素イオン導電性を有する固体電解質が
管状の形状を有することを特徴とする請求項1または2
に記載の排ガス浄化用素子。 - 【請求項4】 酸素イオン導電性を有する固体電解質の
両面に金属電極材が塗布された素子の製造方法におい
て、少なくとも一方のパラジウムを含む電極を900℃
以上で熱処理をすることを特徴とする請求項1〜3のい
ずれか1項に記載の排ガス浄化用素子の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の排
ガス浄化用素子の、パラジウムを含み、かつ平面的な網
目構造を有する電極側に酸素を含む排ガスを流通させる
ことを特徴とする窒素酸化物の浄化方法。 - 【請求項6】 請求項5において、パラジウムを含み、
かつ平面的な網目構造を有する電極がカソード電極とな
るように直流電圧を印加することを特徴とする窒素酸化
物の浄化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7282602A JPH0999212A (ja) | 1995-10-04 | 1995-10-04 | 排ガス浄化用素子、その製造方法および窒素酸化物の浄化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7282602A JPH0999212A (ja) | 1995-10-04 | 1995-10-04 | 排ガス浄化用素子、その製造方法および窒素酸化物の浄化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0999212A true JPH0999212A (ja) | 1997-04-15 |
Family
ID=17654649
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7282602A Pending JPH0999212A (ja) | 1995-10-04 | 1995-10-04 | 排ガス浄化用素子、その製造方法および窒素酸化物の浄化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0999212A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103418217A (zh) * | 2013-08-06 | 2013-12-04 | 大连理工大学 | 一种沿面和填充床复合放电处理工业废气装置 |
CN105169900A (zh) * | 2014-05-30 | 2015-12-23 | 通用电气公司 | 氮氧化物分解方法和装置 |
CN108680422A (zh) * | 2018-08-02 | 2018-10-19 | 济南兰光机电技术有限公司 | 去除高纯度惰性气体中水分的净化装置、系统及方法 |
-
1995
- 1995-10-04 JP JP7282602A patent/JPH0999212A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103418217A (zh) * | 2013-08-06 | 2013-12-04 | 大连理工大学 | 一种沿面和填充床复合放电处理工业废气装置 |
CN105169900A (zh) * | 2014-05-30 | 2015-12-23 | 通用电气公司 | 氮氧化物分解方法和装置 |
CN108680422A (zh) * | 2018-08-02 | 2018-10-19 | 济南兰光机电技术有限公司 | 去除高纯度惰性气体中水分的净化装置、系统及方法 |
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