JPH0998710A - 製パン改良剤及びそれを用いた製パン法 - Google Patents

製パン改良剤及びそれを用いた製パン法

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JPH0998710A
JPH0998710A JP27830395A JP27830395A JPH0998710A JP H0998710 A JPH0998710 A JP H0998710A JP 27830395 A JP27830395 A JP 27830395A JP 27830395 A JP27830395 A JP 27830395A JP H0998710 A JPH0998710 A JP H0998710A
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知雄 磯部
Yasuo Suzuki
康生 鈴木
Isamu Kokawara
勇 高河原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】生地の伸展性、安定性、食感を向上させるため
の製パン用改良剤の提供及びそれを使用した製造方法を
提供する。 【構成】製パン改良剤は、少なくとも、ピラノースオキ
シダーゼを含有し、任意によりカタラーゼ及びL−アス
コルビン酸、あるいはL−シスチンを含有する。該ピラ
ノースオキシダーゼの添加量は、小麦粉1Kgに対し1
〜120U単位の範囲が好ましい。また、該製パン改良
剤を使用した製パン方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製パン改良剤、特に未だ
利用されていなかった天然物酵素を含む新規な製パン改
良剤に関する。また本発明の製パン改良剤を用いてパン
を製造する新しい製パン法にも関する。
【0002】
【従来の技術】良質なパンを製造するため改良剤成分と
して、多くの酸化剤が知られている。古くは、臭素酸カ
リウム、ヨウ素酸カリウム、過硫酸アンモニウム等など
が知られており、製パン業界では、臭素酸カリウムが多
用されてきたが、最近になって、臭素酸カリウムに変
り、L−アスコルビン酸が使用されるようになった。
【0003】また、天然物系酸化剤として、グルコ−ス
オキシダ−ゼ(以下GODという)が利用されており、
主として、パン生地の酸化及びグルテンの三次構造の結
合を促進する作用を有しているが、単独使用の場合、か
ま伸び効果が弱い為、カタラ−ゼ、L−アスコルビン
酸、あるいはL−シスチンとの併用で利用されている。
さらに、天然物のみからなる改良剤として、カタラ−
ゼ、リポオキシダ−ゼ、リパ−ゼ等との複合製剤などが
工夫されている。例えば、GOD及びシスチンを通常の
パン類原料成分に添加・混捏せしめてなるパン類の製造
方法(特開昭57−58844)や、GOD、シスチン
及びカタラーゼを生地に添加・混捏せしめてなるパン類
の製造方法(特公昭63−58534)等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】これら、既知の酸化
剤の多くは、速効性酸化剤として作用し、使用量によっ
ては、生地が締り、パンのかま伸びも充分でなく、パン
の内相も荒れてくる好ましくない性質を与えることが知
られている。そのため、その他成分との配合調整が重要
になってくる。このようなことから、天然系で、より生
地安定性のある酸化剤が望まれているのが現状である。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明はこのような問
題点を解決すべく、天然の酸化酵素を検索し従来使用さ
れていない酸化酵素が、製パン性を改善することを見出
しこの酵素を用いた製パン改良剤を完成させた。すなわ
ち本発明は、少なくともピラノースオキシダーゼ(以下
PrODという)を使用し、カタラ−ゼ及びL−アスコ
ルビン酸あるいは、L−シスチンとの併用からなる点を
重要なポイントとする製パン改良剤、及びそれを使用す
る製パン法に関するものである。
【0006】本発明の製パン改良剤の必須成分であるP
rODは、グルコ−スなどのピラノ−ス類を酸化し、生
産されるH22による生地酸化効果が得られる。また、
カタラ−ゼ、L−アスコルビン酸あるいはL−シスチン
との併用により、各々の単独使用よりも比容積の増加効
果を有する。
【0007】本発明のPrOD(酵素番号1.1.3.
10)は、グルコースをグルコソンに、キシロースをキ
シロソンに、ソルボースを5−ケトラクトースに酸化す
る反応を触媒し、各々の物質を酸化する際に酸素を吸収
しH22を生成する作用を有する酵素である。該PrO
Dの用途として例えば、生体試料中、食品中に存在する
グルコース量の迅速な測定試薬としての利用、また、糖
尿病の診断マーカーである1,5−アンヒドログルシト
ールを酵素的に定量する等、臨床検査で利用されてい
る。
【0008】本発明のPrODを生産能を有する微生物
として、ダエダレオプシス属、コリオラス属、プロイロ
タス属、グロエオフイルム属、ポリポラス属、パシジオ
マイセタウス.フンギ等が挙げられる。
【0009】上記微生物より得られるPrODの理化学
的性質の一例として以下に示しる。 (1)基質特異性 D−グルコースに対する作用が最も高く、L-ソルボー
ス、D-キシロース、D-マルトース、D-ガラクトー
ス、2-デオキシ-D-グルコース、δ−D−グルコノラ
クトン等にも作用する。 (2)至適pH及び安定性 至適pHが5.0〜8.0であり、37℃、60分間処
理ではpH5.0〜9.0の範囲で安定である。 (3)至適温度及び熱安定性 至適温度が50〜60℃であり、pH6.0、10分間
処理では60℃までは安定である。 (4)分子量 ゲル濾過法により測定した分子量が20万〜30万であ
る (5)阻害剤特性 Ag+、Hg++等によって阻害される。
【0010】またPrODの添加量としては、小麦粉1
Kgに対し1〜120U単位で特に10〜80U単位の
範囲が好ましい。PrOD添加量が1単位以下では、使
用効果が認められず、一方120単位以上では、生地に
粘着性がでて、かま伸びが悪く、またパンの内相が低下
する原因となる。本発明でいう、PrOD活性の単位
は、pH5.3、55℃にて、1分間に1μmoleの
グルコ−スを酸化触媒する酵素量を1単位とする。かか
るPrODと併用されるL−アスコルビン酸の添加量
は、小麦粉1Kgに対し5〜100ppm、特に10〜
50ppmが適当である。添加量はこれ以下では、効果
がなく、またこれ以上であるとグルテンの酸化が進みす
ぎて、生地が締りすぎの傾向になり、取扱い中に生地に
ダメ−ジを与える。
【0011】本発明のカタラ−ゼ添加量は、小麦粉1K
gに対し2〜2000単位で、特に10〜1000単位
の範囲が好ましい。カタラ−ゼ添加量が2単位以下で
は、使用効果が認められず、一方1000単位以上で
は、グルテンの酸化が過度に進み、生地が締りすぎ、作
業工程中に生地にダメ−ジを与える。また、本発明でい
うカタラ−ゼ活性の単位は、pH5.3、30℃にて1
分間に1μmoleの過酸化水素を酸素と水に分解する
酵素量を1単位とする。
【0012】本発明のL−シスチンの添加量は、5〜1
00ppmで、特に10〜60ppmの範囲が好まし
い。一方100ppm以上では、酸化が進みすぎて、パ
ンの外観、内相に荒れがでて好ましくない。
【0013】本発明で使用されるPrOD、カタラ−ゼ
は、精製されたもののほか、粗精製酵素も使用すること
ができる。また、これらの酵素は、微生物による醗酵法
や、抽出法等によって調節することができるが、その培
養物(微生物菌体、培養液、培養濾過、抽出液等)等も
酵素に代えて、使用することができる。必要があればこ
れらを濃縮、乾燥、または希釈してなる、処理物も使用
することが可能である。このようにして、調整した、製
パン改良剤を用いてパンを製造するには、従来から用い
られている改良剤と同様に使用すればよく、例えば、生
地混捏時に添加して充分混捏すればよい。
【0014】製パン法としては、ノ−タイム法、ストレ
−ト法、中種法、オ−バ−ナイト法、低温長時間法、冷
凍生地等いずれの製パン法にも使用することができる。
特に中種法にあっては、中種時と本捏時に分割して添加
することも、これら物質をいずれか、一方に分離して添
加して、好ましく、中種時に両者を添加することが更に
好ましい。
【0015】本発明によれば、充分な容積のパン類が得
られ更に外観、内相、食感等も満足なものとなり、且つ
作業工程も生地のべたつき等がなく、また生地の安定性
があり、操作が容易になり、すぐれた効果が顕著に発現
する。
【0016】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定される
ものではない。
【0017】
【実施例1】表1に示した中種製パン法に準じて、製パ
ン改良剤としての各種成分を単独、あるいは組合せによ
り製パン試験を行った。なお製パン改良剤としては、表
2に示したように、PrOD、カタラ−ゼ、L−アスコ
ルビン酸をそれぞれ、所定の割合で各種配合したものを
使用した。結果を同表中に示した。表2、3の表中の評
価は経験的評価であり、◎、○、○△、△、×(順に
優、良、普通、やや劣る、劣る)で表示した。
【0018】
【表1】 標準中種法(食パン配合) ──────────────────────────────────── 配合 工程 ──────────────────────────────────── 中種(%) 本捏(%) 中種 本捏 ──────────────────────────────────── 強力小麦粉 70 30 ミキシング時間(分) L1M2 L1M6H2 食塩 2 捏ね上げ温度(℃) 24 28 砂糖 5 醗酵時間(h) 4 ショ−トニング 4 フロア−時間(分) 15,30 イ−スト 2 − 分割生地量(g) 450 水 40 28 ベンチタイム(分) 15 改良剤 * ホイロ(分) 型上 焼成時間(分) 20 ──────────────────────────────────── 注)(1)発酵は28℃、湿度75%の条件下に調節 (2)ホイロは35℃、湿度95%の条件下に調節 (3)小麦粉は総量2Kgとし、混捏は関東混合機堅型20クオートミキサ ーを使用
【0019】表2中試験区1、2〜5、6、11は順に
製パン改良剤無添加、PrOD(10、40、80、1
20U/Kg粉)、カタラーゼ(1,000U/Kg
粉)、L-アスコルビン酸(10ppm)をそれぞれ、
単独で添加した試験結果を示しており、PrODは、同
酸化剤のL-アスコルビン酸と比較して、生地処理性に
ついては同等かそれ以上の、容積では同等の結果を示し
た。
【0020】ついで、上記改良剤の各種成分の組合せに
ついて試験した。試験区7〜8のカタラーゼ添加量を
1,000U/Kg粉に固定し、PrOD添加量を振っ
た試験。試験区12〜16のカタラーゼ1,000U
/Kg粉、L-アスコルビン酸10ppmに固定し、P
rOD量を0、10、40、80、120U/Kg粉に
振った試験。試験区17〜20のPrOD40U/K
g粉、L-アスコルビン酸10ppmに固定し、カタラ
ーゼ量を10、100、1,000、2,000U/Kg
粉に振った試験。試験区21〜24のPrOD40U
/Kg粉、カタラーゼ500U/Kg粉に固定し、L−
アスコルビン酸量を5、20、50、100ppmに振
った試験を行った。PrODにカタラーゼ、L-アスコ
ルビン酸を組合せて使用することにより、更に生地処理
性、パンの容積等の効果が高まることが示された。
【0021】
【実施例2】実施例1と同様にして、表1に示した中種
製パン法に準じて、製パン改良剤としての各種成分を単
独、あるいは組合せにより製パン試験を行った。なお製
パン改良剤としては、表3に示したように、PrOD、
カタラ−ゼ、L−シスチンをそれぞれ、所定の割合で各
種配合したものを使用した。結果を同表中に示した。
【0022】製パン改良剤の対照として臭素酸カリウム
10ppmを添加した。試験区にカタラーゼ添加量を
1,000U/Kg粉、L-シスチン添加量を20ppm
に固定し、PrOD添加量を0、10、40、80、1
20U/Kg粉に振って試験を行った。各種組合せの中
でPrOD量が40、80U/Kg粉の改良剤が対照
と、生地処理性、食感等の総合評価が同等であることが
示された。
【0023】
【発明の効果】本発明に係わる製パン改良剤は、少なく
ともPrODを含む新規の改良剤である。そのうえ、本
発明に係わる製パン改良剤は、どのような製パン法にも
広く適用することができ、しかも、本製パン改良剤を用
いることにより、ソフトで、生地の伸展性、安定性にす
ぐれ、外観や内相、食感にすぐれたパンを製造すること
ができる。また、臭素酸カリウム等を用いた従来からの
製パン改良剤の代替品となることが立証された。
【表2】
【表3】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともピラノ−スオキシダ−ゼを含有
    してなることを特徴とする製パン改良剤。
  2. 【請求項2】少なくともピラノ−スオキシダ−ゼ及びカ
    タラ−ゼを含有してなることを特徴とする製パン改良
    剤。
  3. 【請求項3】少なくともピラノ−スオキシダ−ゼ、カタ
    ラ−ゼ、L−アスコルビン酸を含有してなることを特徴
    とする製パン改良剤。
  4. 【請求項4】少なくともピラノ−スオキシダ−ゼ、カタ
    ラ−ゼ、L−シスチンを含有してなることを特徴とする
    製パン改良剤。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の製パ
    ン改良剤を使用することを特徴とする製パン法。
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