JPH0997523A - 絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents

絶縁電線及びその製造方法

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JPH0997523A
JPH0997523A JP25517295A JP25517295A JPH0997523A JP H0997523 A JPH0997523 A JP H0997523A JP 25517295 A JP25517295 A JP 25517295A JP 25517295 A JP25517295 A JP 25517295A JP H0997523 A JPH0997523 A JP H0997523A
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Japan
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microcapsules
conductor
ultraviolet
resin
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JP25517295A
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English (en)
Inventor
Hitoyasu Hongo
仁康 本郷
Hiroo Matsuda
裕男 松田
Tetsuo Harada
哲夫 原田
Seiji Endo
誠治 遠藤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低誘電率被覆を備えた細径の絶縁電線を提供
する。 【解決手段】 モノマー、オリゴマー及びプレポリマー
から成る群より1つ以上選択される紫外線硬化型樹脂原
料と、熱膨張性のマイクロカプセルとを含有する原料組
成物を、線状の導体から成る導体線の外周に付着させる
原料組成物付着のステップと、原料組成物付着のステッ
プの後、導体線の外周上に付着された原料組成物に紫外
線を照射する第1の紫外線照射のステップと、第1の重
合のステップの後、原料組成物を加熱し、原料組成物に
含まれるマイクロカプセルを膨張させる加熱膨張のステ
ップと、加熱のステップの後、原料組成物に紫外線を照
射し、原料組成物に含まれる紫外線硬化型樹脂原料を重
合させる第2の重合反応を行い、原料組成物が硬化した
樹脂組成物から成る絶縁層を導体線の表面に形成する第
2の紫外線照射のステップとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同軸ケーブル等に
用いられる絶縁電線に関し、特に、低誘電率で細径の絶
縁電線に関する。
【0002】
【従来の技術】内部導体と、その外部に同心的に配置さ
れた円筒形の外部導体と、これらの導体の間に配置され
た絶縁体とを備えた同軸ケーブルは電気信号の伝送に多
用されているが、特に近年、細径の高密度信号伝送線へ
の要求が、主に医療、コンピュータ計測等の分野を中心
に高まっている。
【0003】同軸ケーブルには、伝送される信号を正し
く、しかも高速で伝える性能が要求される。一般に、伝
送線路内の進行波の伝搬速度はνg =c/ε1/2 (c:
真空中の光速度、ε:電界が発生する部分の比誘電率)
で与えられるため、該同軸ケーブルを構成する絶縁電線
の絶縁被覆に対しては、低誘電率であること(例えば比
誘電率ε=1.6以下)が要請される。
【0004】導体上に薄膜の絶縁層を形成する技術に
は、例えば、特公昭57−30253号公報に記載され
るような発泡押出技術がある。これは一般に、アゾジカ
ルボンアミドのような化学発泡剤、窒素、アルゴン等の
不活性な気体あるいは気体又は液体状の炭化水素又はフ
ルオロカーボンのいずれかあるいはそれらの併用によ
り、ポリオレフィン系の樹脂を発泡させ、大きな空隙率
を得て低誘電率の絶縁層を形成するものである。
【0005】また、例えば、米国特許第3,953,5
66号明細書あるいは米国特許第4,187,390号
明細書に示されるような、大きな空隙率を有するフッ素
樹脂テープを延伸により導体上に巻き付けることにより
絶縁層を形成する方法がある。更に、特公昭56−43
564号及び特公昭57−39006号公報には、アル
ミナ等の無機材料の中空球又は発泡状球体の表面に熱可
塑樹脂を被覆したものを溶融押出しする方法や、熱可塑
樹脂と無機材料中空球体とを溶剤に分散させたものを導
体に塗布し乾燥することにより、絶縁電線を得る方法が
開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の発泡押出法においては、薄肉で高い発泡度を維
持しつつ低誘電率の被覆を形成することが技術的に困難
であり、また、上記した多孔質のテープを導体に巻付け
る方法においては、生産速度が非常に遅く大量生産に適
しないという問題がある。
【0007】一般に、信号を高速で伝送する同軸ケーブ
ル中の絶縁電線の被覆は、該被覆全体として低誘電率で
あったとしても、導体近傍に位置する被覆の誘電率が高
いと、実測される信号の伝送速度は遅くなり、実用性が
低下する。即ち、絶縁被覆の実効誘電率は高くなってし
まう傾向がある。
【0008】本出願人による特開平2−160312号
公報には、中空球と紫外線硬化型樹脂等のエネルギー線
硬化型樹脂との混合組成物を用いて高空隙率の薄肉被覆
を作製する方法が開示されている。更に、特開平2−2
42536号公報、特開平2−276109号公報及び
米国特許第5,115,103号明細書には、膨張性中
空球(熱膨張性マイクロカプセル)と紫外線硬化型樹脂
等のエネルギー線硬化型樹脂との混合組成物を用いて高
空隙率の薄肉被覆を作製する方法が開示されている。
【0009】しかしながら、近年における伝送信号量
(単位時間当たり)の飛躍的増大に伴い、該伝送の手段
たる同軸ケーブルに対しても、更に高いレベルでの高速
伝送性が要求されるようになった。
【0010】本発明は、上記の状況に鑑みてなされたも
のであり、上記した従来技術の問題点を解決する絶縁電
線を提供することを目的とする。
【0011】本発明の他の目的は、低誘電率被覆を備え
た細径の絶縁電線の製造方法を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、高速伝送用の同軸ケ
ーブルに特に適するように、導体近傍の被覆が高空隙率
であって実効誘電率が低い絶縁被覆を有する絶縁電線を
製造する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の絶縁電線の製造
方法は、紫外線による重合性を有する紫外線硬化型樹脂
原料と熱膨張性のマイクロカプセルとを含有する絶縁被
覆原料組成物が外周上に付着された導体に紫外線を照射
して、絶縁被覆原料組成物をに含まれる紫外線硬化型樹
脂原料を予備重合する第1の重合反応を行う第1の紫外
線照射のステップと、第1の重合のステップの後、導体
を加熱し、絶縁被覆原料組成物に含まれるマイクロカプ
セルを膨張させる加熱膨張のステップと、加熱のステッ
プの後、導体に紫外線を照射し、絶縁被覆原料組成物に
含まれる紫外線硬化型樹脂原料を重合させる第2の重合
反応を行い、紫外線硬化型樹脂原料が硬化した樹脂組成
物と膨張したマイクロカプセルとを含む絶縁層を導体の
表面に形成する第2の紫外線照射のステップとを備える
ことを特徴とする。
【0014】マイクロカプセルの膨張に先立ち、第1の
紫外線照射のステップによって、マイクロカプセルに接
触している紫外線硬化型樹脂の第1の重合反応によるか
らの発熱がマイクロカプセルに伝えられることにより、
絶縁被覆原料組成物中のマイクロカプセルは均一に所望
の温度まで加熱される。第1の重合反応は、また、本発
明の絶縁電線の製造方法は、熱硬化性樹脂原料が重合し
て樹脂組成物となる際の重合反応の反応熱が、+50c
al./g以上であることを特徴としてもよい。
【0015】このような反応熱の高い樹脂原料を用いる
事により、第1の紫外線照射のステップにおけるマイク
ロカプセルの加熱が容易となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付した図面を参照して、
本発明を更に詳しく説明する。尚、添付した図面におい
ては、共通の要素には共通の符号を付し、重複する説明
を省略した。
【0017】図1は、本発明に従った絶縁電線の一例の
断面図である。この図1は寸法に関して多少誇張して描
かれている。
【0018】本発明に従った絶縁電線は、例えば、図1
に示される絶縁電線1のように、高密度信号伝送用の導
体2の周囲を絶縁層3が被覆している。絶縁層3では、
樹脂5の中にマイクロカプセル4が均一に分散してい
る。
【0019】本発明に従った構成により、例えば図1に
示されるような絶縁電線1の構成において、細径の低静
電容量の絶縁電線を実現できる理由は、特開平2−24
2536号公報、および特開平2−276109号公報
に記載されると同様に、以下の通りである。
【0020】まず、空隙率と誘電率の関係を説明する。
図1に示される絶縁層3を構成する紫外線硬化樹脂(5
の部分を構成する)とマイクロカプセル(4の部分を構
成する)の「樹脂カプセル混合組成物」(3全体を構成
する)の空隙率Vは、下記(1)式により算出される; V = (ρ0 −ρ)/ρ0 X 100 ...(1), ここで、ρ0 は紫外線硬化型樹脂の密度、ρは樹脂カプ
セル混合組成物の密度である。
【0021】このρ0 及びρは、様々な周知の手段で容
易に測定でき、これらの密度から(1)式により空隙率
が算出される。
【0022】樹脂カプセル混合組成物の誘電率εは、紫
外線硬化樹脂の誘電率ε1 と、マイクロカプセル内に充
填されている充填物の誘電率ε2 、更に上記の空隙率V
により決定され、より具体的に下記の(2)式で表され
ることは周知である。
【0023】 ε=ε1 {2 ε1 +ε2 −2 V(ε1 −ε2 )}/{2 ε1 +ε2 +V(ε1 − ε2 )} ...(2)。
【0024】従って、マイクロカプセルを形成する材
質、紫外線硬化型樹脂の種類、樹脂カプセル混合組成物
の空隙率、並びに、混合組成物中のマイクロカプセルの
含有率を選択することにより、混合組成物を付着して硬
化する被覆層の空隙率を所望の値に安定させることが可
能となる。
【0025】このとき、例えば、樹脂カプセル混合組成
物の誘電率εを、同軸ケーブルに用いるために好ましい
誘電率である1.60以下にするためには、適当なε1
を与える樹脂5を選択し、且つ、絶縁層3のための樹脂
カプセル混合組成物の空隙率Vを40%以上とすればよ
い。
【0026】次に、製造工程及び製造装置に関して説明
をする。
【0027】図2は、本発明の絶縁電線の製造方法を実
現するための製造装置の一例を示す構成図である。図2
に例示されるように、本発明の絶縁電線の製造装置10
においては、導体を製造装置に供給するためのサプライ
12からの導体11aが、矢印Aの方向に進行する。導
体線11a(又は絶縁電線11b)の移送速度は、線速
で10〜100m/分程度(更には30〜80m/分程
度)であることが好ましい。
【0028】導体11aは以下のように、硬化後の樹脂
カプセル混合組成物(簡単のため、以下、「樹脂組成
物」と略す。これは硬化後の状態を指す)で被覆されて
絶縁電線となる。図2に示されるように、硬化して樹脂
組成物とするための、モノマー、オリゴマー又はプレポ
リマーとマイクロカプセルの混合物である絶縁材料原料
組成物(簡単のため、以下、「原料組成物」と称する。
これは硬化前の状態を指す)が導体11aに塗布されて
これに付着される塗布ダイ14へと導入される。塗布ダ
イ14には、塗布ダイ14へ原料組成物を供給するため
の原料組成物供給用タンク13が具備される。塗布ダイ
14へ導入された導体11aは、ここで原料組成物が略
一定の厚みをもって導体線11aの外周に付着し、第1
紫外線照射装置15へと進む。尚、塗布ダイ14におい
ては、液状の原料組成物は、導体11aの周りに供給さ
れた後、ダイによって搾り取られて、適切な量が導体1
1aの周囲に残される。また、別の塗布付着方法とし
て、導体11aに対して周知のスプレー装置によってカ
プセル混合モノマーをスプレーする方法等を使用しても
よいし、更にスプレーの後に、ダイによってカプセル混
合モノマーを搾りとってもよい。このようにして導体1
1aの表面上に塗布された原料組成物層の厚さは、該導
体11aの直径ないし製造されるべき絶縁電線の直径に
よっても異なるが、通常、10〜100μm程度(更に
は10〜50μm程度)であることが好ましい。
【0029】第1紫外線照射装置15は、塗布された原
料組成物に紫外線を照射する水銀ランプを備える。第1
紫外線照射装置15に導入された導体11a表面に紫外
線が照射されて、塗布された原料組成物が第1の重合反
応を開始する。ここで、第1の重合反応は、原料組成物
の予備重合である。ここでいう予備重合とは、重合反応
によりマイクロカプセルを適度に膨張させるにに充分な
熱量を発するまで重合が進行し、且つ、その後の加熱に
よるマイクロカプセルの膨張が適切になされる程度に原
料組成物が流動性を有する段階までで重合の進行が止め
られるよに、重合反応を進行させることをいう。
【0030】後述するマイクロカプセルを適度に膨張さ
せるためには、このマイクロカプセルが分散している1
0〜100cal./gの反応熱を有する原料組成物を
重合反応をさせて、予めマイクロカプセルを適切な温度
まで加熱しておく事が適切である。ここで、次のマイク
ロカプセルの膨張のための加熱工程までにマイクロカプ
セルをある程度の温度まで加熱すれば充分であるが、加
熱工程以前に樹脂の硬化が進んで流動性が失われてしま
っては、マイクロカプセルが膨張できない。このため、
第1紫外線照射装置における第1の重合反応において
は、重合反応をある程度まで進行させて、途中で止める
必要がある。これは、第1紫外線照射工程において紫外
線照射の量によって調整することができる。そして、紫
外線照射装置の種類、製造速度、樹脂の硬化速度等によ
って異なるが、モノマーの反応率としてはおよそ50%
以下を目安にすることが好ましい。この反応率は、熱電
対などにより塗布された原料組成物の発熱プロファイル
を測定し、重合が完全に進行した場合の発熱プロファイ
ルと比較する等により、容易に決定できる。約50%以
下の反応率では、原料組成物の粘度の急激な上昇は見ら
れないので、その後のマイクロカプセルの膨張工程で、
マイクロカプセルは自由に膨張することができる。これ
が例えば反応率70%程度となれば、樹脂の種類によっ
ては粘度が著しく上昇して原料組成物は流動性をほぼ失
い、その後のマイクロカプセルの膨張が阻害されること
になる場合が生じる。従って、第1紫外線照射装置15
では、重合反応率がおよそ50%以下となるように、紫
外線強度や照射の時間等が調整される。
【0031】重合反応率は、以下のようにゲル分率によ
る測定が可能である。反応率を測定しようとするサンプ
ルを有機溶剤に浸漬する。この浸漬によって、未反応分
が有機溶媒に抽出される。有機溶剤には、例えば、メチ
ルエチルケトン(MEK)が好ましい。また、浸漬条件
については例えば、60℃のMEKに16時間浸漬すれ
ば、未反応分の溶出には充分である。そして、浸漬によ
り未反応分が溶出した後のサンプルを乾燥して有機溶媒
を除いた後、重量を測定し、最初のサンプル重量との比
(未反応分溶出後の重量/最初の重量)をもってゲル分
率としてこれを重合反応率として用いればよい。
【0032】図2に示されるように、表面の原料組成物
の重合反応が半ば進行した状態の導体11aは、第1紫
外線照射装置から吐出されて、加熱炉16へと導入され
る。加熱炉16では、後述するマイクロカプセルの膨張
開始温度よりも高い温度に原料組成物中のマイクロカプ
セルを加熱する加熱工程が行われ、マイクロカプセルが
均一に充分に膨張する。上記した加熱炉16による「外
周外部からの加熱」は、導体11a上の原料組成物表面
の温度が、150〜200℃程度となるように行うこと
が好ましい。加熱炉16の炉長(導体1の長手方向の大
きさ)は、通常、30〜100cm程度であることが好
ましい。
【0033】次いで、第2の紫外線照射装置17に導体
11aは導入される。この第2の紫外線照射装置17
は、第1の紫外線照射装置15と同様に紫外線を照射す
るための水銀ランプを備える。第2の紫外線照射装置1
7により紫外線を照射する第2紫外線照射工程による第
2の重合反応によって、導体11aの表面の半ば硬化反
応が進行した原料組成物は完全に重合反応(硬化)が完
了し、図2に示されるように完成した絶縁電線11bと
して第2の紫外線照射装置17から吐出される。第2の
紫外線照射装置17の川下には、導体11aないし絶縁
電線11bを進行させるための駆動装置18が配置され
て、絶縁電線11bを引っ張り、完成した絶縁電線11
bは、巻き取り19に巻き取られて保管される。
【0034】次に、本発明の絶電線を構成する要素に関
して詳細に説明する。前述のように、本発明では、導体
に塗布すべき原料組成物は、熱膨張性のマイクロカプ
セルと、紫外線硬化型の熱硬化性樹脂(thermosettin
g resin )のモノマー、オリゴマー又はプレポリマー、
ないしこれらの混合物とを備える。
【0035】本発明では、原料組成物中に分散混合して
存在するマイクロカプセルとして、熱膨張剤からなる芯
材(内包物)と、該芯材を包む外殻とからなる熱膨張性
マイクロカプセルが好適に用いられる。
【0036】本発明の方法により製造されるべき絶縁電
線の絶縁被覆を薄肉(例えば、厚さ400μm以下の薄
肉)で低誘電率とすることが容易たらしめるためには、
上記熱膨張性マイクロカプセルは、その理想膨張(膨張
を妨げる力を実質的に受けていない状態での膨張)した
後の球径が、平均直径で4〜50μmφ(更には20〜
40μm)となるマイクロカプセルであることが好まし
い。同様に、絶縁被覆の薄肉化および低誘電率化のため
には、理想膨張後の中空率が90%以上(更には95%
以上)となるようなマイクロカプセルであることが好ま
しい。ここに、上記「中空率」とは、マイクロカプセル
の中空殻部の体積をマイクロカプセルの体積で除した値
をいう。この「中空率」は、中空殻部の球径と中空殻部
の殻厚とを測定することにより求めることができる。
【0037】上記マイクロカプセルの膨張前の平均粒径
は、1〜25μmφ(更には5〜10μm)であること
が好ましい。このマイクロカプセルの膨張率は、4程度
であることが好ましい。ここに、上記「膨張率」とは、
膨張前(常温:25℃)における平均粒径(直径)をD
r とし、膨張後(150℃)における平均粒径をDh
した場合の両者の比(Dh /Dr )をいう。
【0038】また、上記マイクロカプセルの膨張開始温
度が80〜200℃程度であるようにマイクロカプセル
の構成を選択することが好ましく、更には、80〜12
0℃程度であることが更に好ましい。ここに、上記「膨
張開始温度」とは、その平均粒径が、膨張前(常温:2
5℃)における平均粒径Dr の1.1倍となる温度をい
う。従って、前述の第1紫外線照射装置における第1の
重合のステップでは、マイクロカプセルは、(膨張開始
温度−30℃)〜(膨張開始温度)の範囲の温度まで加
熱されている事が好ましく、(膨張開始温度−20℃)
〜(膨張開始温度)の温度まで加熱されている事が更に
好ましい。そして、前述の加熱工程では、膨張開始温度
以上の温度に原料組成物を加熱することが好ましく、膨
張開始温度より5〜100℃高い温度に原料組成物を加
熱することが更に好ましい。
【0039】上記したような好ましい膨張性を与える限
り、熱膨張性マイクロカプセルを構成する熱膨張剤(芯
材)の膨張の原理ないしメカニズムは特に制限されな
い。この熱膨張剤としては、例えば、低沸点液体、およ
び/又は発泡剤が使用可能である。
【0040】上記した低沸点の液体としては、ブタン、
iーブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタ
ン等のアルカンないし炭化水素、トリクロロフルオロメ
タン等のフレオン類等が好ましく用いられる。また、上
記発泡剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(加熱
によりN2 ガスを発生)等の熱分解性の化学発泡剤等が
好ましく用いられる。
【0041】一方、上記熱膨張剤を内包する外殻は、通
常は、熱可塑性樹脂等の高分子を主成分とする。該熱可
塑性樹脂には、ビニルモノマー(例えば塩化ビニル、塩
化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタア
クリル酸、アクリレート、メタアクリレート、スチレン
等)等の単量体から形成された重合体、あるいは2種以
上の単量体から形成された共重合体が好ましく用いられ
る。
【0042】本発明で用いる熱膨張性マイクロカプセル
は、この外殻の軟化温度以上の適正な範囲(例えば、外
殻が塩化ビニリデンーアクリロニトリル共重合体の場
合、80℃〜150℃の範囲)で膨張する。
【0043】一方、本発明の原料組成物に含まれる、紫
外線硬化型樹脂のためのモノマー、オリゴマー又はプレ
ポリマー(以下、「紫外線硬化型樹脂の原料」と称す
る)には、例えば、ウレタンアクリレート樹脂、エポキ
シアクリレート樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアク
リレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂等の汎用
の紫外線硬化型樹脂の原料であるモノマー、オリゴマー
又はプレポリマーを用いることが可能である。本発明に
よる方法で形成される絶縁被覆の誘電率を低下させる点
からは、上記紫外線硬化型樹脂の硬化後の誘電率は、
4.0以下(更には3.0以下)であることが好まし
い。これらの紫外線硬化型樹脂の原料は、紫外線の照射
により重合し硬化する。また、紫外線硬化型樹脂の原料
であるモノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、混合
物であってもよく、例えば、オリゴマー及び/又はプレ
ポリマーがモノマー中に分散している形態であってもよ
い。更にこれらが溶剤を含んでいてもよい。
【0044】また、上記紫外線硬化型樹脂及びその原料
には、一般的に樹脂に含有されてしかるべき添加物、例
えば、可塑剤や帯電防止剤の如き添加物が含有されてい
てもよい。
【0045】また、本発明の製造方法では、紫外線によ
る硬化の際の反応熱を利用して膨張性マイクロカプセル
を膨張させているため、上記の紫外線硬化型樹脂の重合
反応速度を調整することにより、所望の反応熱を得るこ
とができる。この場合、反応熱が大きい方が、膨張性マ
イクロカプセルの膨張に効果がある。
【0046】上記硬化型樹脂の原料の粘度は、該樹脂中
への熱膨張性マイクロカプセルの均一な混合分散を容易
にする点と、得られた混合組成物の導体上への塗布加工
を容易とする点からは、25℃において、100〜10
000cps(更には500〜5000cps)の範囲
とすることが望ましい。このような粘度は、例えば、B
型粘度計を用いて、(粘度500〜5000cpsの範
囲の樹脂の場合)以下のような測定条件の範囲で測定す
ることが可能である。
【0047】粘度計機種名:東京計器(株)社製、商品
名B 型粘度;型名BM型 容器径:70mmφ以上 内筒(ローター)径:18.7mmφ(NO.2ローター) ローター回転数:6〜60rpm 熱膨張性マイクロカプセルと紫外線硬化型樹脂との原料
組成物において、好ましい誘電率を得るためには、形成
された被覆の空隙率を40%以上とする必要がある。そ
して、完成後の被覆における空隙率を40%以上とする
ためには、上記マイクロカプセルの混合比率は5体積%
以上である必要があり、更には10体積%以上であるこ
とが好ましい。一方、マイクロカプセルの混合率が高く
なり過ぎると、混合物の粘度が大きくなり過ぎて、連続
塗布あるいは平滑性に支障が生じる。このため、紫外線
硬化型樹脂に対する熱膨張性マイクロカプセルの混合比
率は50容量%以下(更には40容量%以下)とするこ
とが好ましい。
【0048】一方、被覆の平滑性等の点から、被覆の空
隙率の上限は90%程度とすることが好ましい。ここ
に、従来からの方法に従った、マイクロカプセル膨張の
ための加熱の前に樹脂の重合の開始が行われない製造方
法では、空隙率を大きくして誘電率を小さくしようとし
ても、誘電率は充分に小さくならなかった。この原因
は、従来からの方法では、加熱炉により被覆の外側から
熱を与えられるのみであり、中心に配置されている導体
は一般に熱容量が高いため、原料組成物中のマイクロカ
プセルは、特に導体に近い部分では充分な熱量を受けと
ることができなかったからである。従って、比較的外側
のマイクロカプセルに比べて、導体近傍のマイクロカプ
セルの内部の膨張は不完全である。
【0049】これに対して、製造速度を遅くしたり加熱
温度を高くする等の手段を講じて、被覆の内側の導体近
傍のマイクロカプセルをより大きく膨張させようとすれ
ば、導体近傍のマイクロカプセルの膨張は大きくなるも
のの、外側のマイクロカプセルが急速にしぼむ傾向がみ
られ、その結果、マイクロカプセルの膨張が均一に起こ
らず全体の空隙率が小さくなり、誘電率も大きくなって
しまう。このように、マイクロカプセル膨張のための加
熱の工程の前の第1の硬化の工程を含まない従来の方法
では、内側部分の膨張率と外側部分の膨張率とをバラン
スさせて加熱の条件を設定しなければならず、このバラ
ンスが困難であった。
【0050】これに対して、本発明の方法では、マイク
ロカプセルの周囲に存在する紫外線硬化性樹脂の原料が
重合(発熱反応)する際の発熱を利用する。原料組成物
の重合反応は、樹脂の種類によって異なるが、概ね10
〜100cal./gの範囲内にあると見積もることが
でき、この発熱は原料組成物自身に生じるものであるた
め、原料組成物内部でほぼ均一に生じる。従って、外部
からの放射のみで加熱する場合に生じるような温度分布
はほぼ生じない。
【0051】例えば、嵩密度0.7g/mlのマイクロ
カプセルを5〜50体積%含み、反応熱が10〜100
cal./gである樹脂原料を含む原料組成物を塗布し
た導体を、第1の紫外線照射装置15に導入して、反応
率を概ね50%程度にて重合反応を行えば、原料組成物
の温度は、3〜48℃程度上昇する。
【0052】原料組成物の粘度は、導体上への塗布加工
を容易とする点からは、25℃において、1, 000〜
100,000cps(更には1,000〜10,00
0cps)の範囲とすることが望ましい。このような粘
度は、紫外線硬化型樹脂原料の粘度の測定と同様な方法
で測定することが可能である。この100,000cp
sの粘度を与えるためには、前述のように紫外線硬化型
樹脂に対する熱膨張性マイクロカプセルの混合比率は5
0容量%以下とすることが好ましい。
【0053】また、塗布後硬化までの間に原料組成物の
「液だれ」を生じないように、原料組成物には周知の方
法でチクソトロピー性が付与されていてもよい。
【0054】このように調製された原料組成物は、第1
の紫外線照射による予備重合の工程を経て、反応炉16
で所定の温度に加熱されて、充分にマイクロカプセルが
膨張された後、第2の紫外線照射装置17にて、第2の
紫外線照射による硬化の工程が行われる。ここに、重合
反応が進めば原料組成物の粘度が上昇し、マイクロカプ
セル膨張後の周囲を樹脂が覆うことになる。即ち、膨張
が完了した後で樹脂硬化が完了するため、マイクロカプ
セルがしぼんだり不完全な膨張のままであったりするこ
とがない。このため、硬化後の樹脂組成物においてはマ
イクロカプセルの周囲はほぼ樹脂で覆われ、マイクロカ
プセル同士の結合力が向上する結果、被覆の強度が改善
される。
【0055】このような樹脂とマイクロカプセルを含む
樹脂組成物によって形成される被覆の厚さは、現実には
制限はない。但し、紫外線の照射により硬化する事と、
本発明の利点が薄膜被覆にある事から、被覆はあまり厚
くしない方が好ましく、具体的には導体への被覆の厚さ
は、0.4mm以下とすることが好ましい。
【0056】本発明の混合組成物は、あらゆる導体に対
して塗布を行って硬化することが可能である。より具体
的には例えば、従来公知の金属性の電気導体(銅、アル
ミニウム、ニッケルあるいはこれらの合金等)、これら
電気導体の表面をメッキしたもの等を上記導体として使
用し、この周囲に上記原料組成物を塗布、硬化して、絶
縁電線を形成することが可能である。導電性等の電線と
しての性能から、銅あるいは銅合金を用いることが好ま
しい。但し、導体の熱容量が大きい場合はマイクロカプ
セルの膨張性が優れないことから、0.2mmφの銅あ
るいは銅合金の熱容量に相当する熱容量以下である導体
を用いることが好ましい。
【0057】図3は、本発明の絶縁電線を用いた同軸ケ
ーブル20の断面図である。図3に示されるように、導
体2の外側に、本発明に従った製造方法で、マイクロカ
プセル4と樹脂5とを備えた絶縁層3を形成した後、絶
縁層3の表面に絶縁層3の保護のため、5μm厚のポリ
エチレンテレフタレート製のテープを横巻きして形成し
た保護絶縁層21を形成した。更に、導体2のシールド
のため、保護絶縁層21の表面上に、外形30μmφの
合金線の編組からなるシールド層22を形成し、その上
に、5μm厚のポリエチレンテレフタレート製のテープ
を横巻きした外被23を形成し、図3に示す断面構造を
有する同軸ケーブル20が作製される。この同軸ケーブ
ル20においては、絶縁層3の形成方法以外は、全て周
知の方法で形成される。
【0058】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を明らかにす
る。
【0059】(実施例1)図1に示される製造装置10
を用い、本発明の製造方法に従って、0.2mmφの銅
線に絶縁層を塗布して硬化させ、絶縁電線を得た。
【0060】まず、塩化ビニリデン系樹脂を殻とする中
空球内に液体のイソブタンを充填した平均球径(直径)
10μmの熱膨張性マイクロカプセルを、室温(25
℃)で粘度14psのシリコーンアクリレートを主成分
とする紫外線硬化型樹脂の原料(硬化後の誘電率:2.
8,反応熱:3x101 cal./g)とを、マイクロ
カプセルの含有量が25容量%となるように添加し、撹
拌混合して粘度6x103 cpsの原料組成物を作製し
た。
【0061】次に、加圧式の原料組成物供給タンク13
から、流動する原料組成物を加圧式塗布ダイ14に供給
しつつ、導体サプライ12から巻出した外径0.2mm
φの銅線(導体)11aを、出口側に250μmφの開
口を有する塗布ダイ14中を線速10m/分で通過させ
ることにより、銅線11aの外周に上記の原料組成物を
約20μmの厚みで塗布した。銅線11aの線速は、駆
動装置18によって調整された。
【0062】図1に示されるように、表面に原料組成物
が塗布された銅線11aは、第1の紫外線照射装置15
に導入された。第1の紫外線照射装置15は、炉長25
cmであり、内部に出力120Wの水銀ランプが具備さ
れる。銅線11aは、長さ25cmの第1の紫外線照射
装置15内を線速40m/分で通過した。このとき、第
1の紫外線照射装置15内部で紫外線照射を受ける時間
は約0.4秒程度であった。ここに、原料組成物に含ま
れる樹脂原料が半ば重合反応した。続いて銅線11a
は、電熱式の加熱炉16(炉長30cm)を通過した。
そして、第2の紫外線照射装置17に導入されて、原料
組成物の重合反応が完結した。この第2の紫外線照射装
置17は、第1の紫外線照射装置15と同じく、炉長2
5cmで、内部に出力120Wの水銀ランプが具備され
る。第2の紫外線照射装置17内で約O.4秒間紫外線
の照射を受けて、第2の紫外線照射装置17から吐出さ
れ、ここに、図1(a)に示されるような断面を有する
絶縁層3の厚さが0.19mm、外径0.58mmの絶
縁電線11bが作製された。そして、駆動装置18によ
って線速を維持継続しつつ、絶縁電線11bの作製を続
けた。
【0063】作製された絶縁電線を切断して断面の走査
電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、被覆された絶縁層
3の様子を観察したところ、絶縁層3の外側においても
銅線近傍においても、マイクロカプセル4は均一に膨張
していることが確認された。また、被覆された絶縁層3
における静電容量を、調べたところ、66pF/mであ
った。
【0064】(比較例1)実施例1に示された本発明の
製造方法の有用性を確認するため、従来から用いられて
いる方法で、図1で示されると同様の断面の絶縁電線を
作製し、上記の実施例1で得られた絶縁電線と比較し
た。
【0065】図4は、本比較例で用いられた絶縁電線の
製造装置30の構成図である。本比較例の製造装置30
は、第1の紫外線照射装置15がない以外は、図2に示
される製造装置10の構成と同じである。各装置の仕様
等も、図2に示される装置10のものと全く同じであ
り、例えば、紫外線照射装置17には、炉長25cm、
出力120Wの水銀ランプが具備されている。
【0066】本比較例では、図4に示されるように、塗
布ダイ14にて、銅線11aに対し実施例1と同じ組成
の原料組成物が実施例1と同じ厚さに塗布された後、紫
外線照射を行わずに加熱炉16に導入された。加熱炉1
6でマイクロカプセルの膨張が行われた後、紫外線照射
装置に導入されて、原料組成物の硬化が行われて絶縁電
線11cが作製された。
【0067】得られた絶縁電線の外径は、0.57mm
であった。本比較例の絶縁電線と実施例1の絶縁電線の
絶縁層の強度等を比較するため、これらの表面を手の指
でしごいたところ、比較例で作製された絶縁層よりも、
実施例1で作製された絶縁層の方が強いことが判明し
た。
【0068】更に絶縁層を切断してその断面をSEMで
観察した結果、実施例1で得られた絶縁電線の絶縁層と
比較して、本比較例で得られた絶縁電線の絶縁層のマイ
クロカプセルは、膨張の程度が低く、また、膨張にばら
つきが認められた。実施例1では、外径は0.58mm
であり、マイクロカプセルの膨張の差が、この外径にも
反映されていたと考えることができる。また、実施例1
の絶縁層の断面では、各マイクロカプセルが完全に樹脂
で覆われていたが、比較例の絶縁層の断面では、マイク
ロカプセルが露出し樹脂に覆われていない部分があるこ
とが確認された。従って、マイクロカプセルの膨張のた
めの加熱に先立って、紫外線を照射して樹脂原料の重合
反応を半ば行いマイクロカプセルに均一に熱を与えるこ
とが、均一な絶縁層を形成する上で重要であることが明
らかになった。
【0069】(実施例2)実施例1と同じ装置を用い、
原料組成物に含まれる樹脂原料のみを変えて、本発明の
製造方法に従って、0.2mmφの銅線に絶縁層を塗布
して硬化させ、図1の断面の構造を有する絶縁電線を作
製した。
【0070】本実施例では、塩化ビニリデン系樹脂を殻
とする中空球内に液体のイソブタンを充填した平均球径
10μmの熱膨張性マイクロカプセルを、室温(25
℃)で粘度7psのシリコーンアクリレートを主成分と
する紫外線硬化型樹脂の原料(硬化後の誘電率:2.
8,反応熱:5x101 cal./g)とを、マイクロ
カプセルの含有量が25容量%となるように添加し、撹
拌混合して粘度6x103 cpsの原料組成物を作製し
た。
【0071】次に、原料組成物供給タンク13から原料
組成物を塗布ダイ14に供給しつつ、導体サプライ12
から巻出した外径0.2mmφの銅線(導体)11a
を、出口側に250μmφの開口を有する塗布ダイ14
中を線速10m/分で通過させ、銅線11aの外周に上
記の原料組成物を約20μmの厚みで塗布した。
【0072】図1に示されるように、表面に原料組成物
が塗布された銅線11aは、第1の紫外線照射装置15
に導入され、長さ25cmの第1の紫外線照射装置15
内を線速40m/分で通過した。このとき、第1の紫外
線照射装置15内部で紫外線照射を受ける時間は約1.
5秒程度であり、原料組成物に含まれる樹脂原料が半ば
重合反応した。続いて銅線11aは、加熱炉16を通過
し、第2の紫外線照射装置17に導入されて、約0.4
秒間紫外線の照射を受けて原料組成物の重合反応が完結
した後、第2の紫外線照射装置17から吐出され、ここ
に、図1に示されるような断面を有する外径0.585
mmの絶縁電線11bが作製された。そして、駆動装置
18によって線速を維持継続しつつ、絶縁電線11bの
作製を続けた。
【0073】作製された絶縁電線を切断して断面の走査
電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、被覆された絶縁層
3の様子を観察したところ、絶縁層3の外側においても
銅線近傍においても、マイクロカプセル4は均一に膨張
していることが確認された。このSEM写真を、実施例
1の絶縁層と比較したところ、本実施例の絶縁層内のマ
イクロカプセルの方が膨張の程度が高いことが明らかに
なった。また、被覆された絶縁層3における静電容量
を、調べたところ、65pF/mであった。
【0074】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の絶
縁電線の製造方法によれば、マイクロカプセルの膨張に
先立ち、第1の重合のステップによって、マイクロカプ
セルに接触している樹脂原料組成物からの発熱がマイク
ロカプセルに伝えられることにより、原料組成物中のマ
イクロカプセルは均一に所望の温度まで加熱され、マイ
クロカプセルの膨張が絶縁被覆において均一になされ
る。
【0075】従って、高いレベルでの高速伝送性を備え
た細径の絶縁電線を製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従った絶縁電線の一例の断面図であ
る。
【図2】本発明に従った製造方法に用いることができる
絶縁電線の製造装置の構成図である。
【図3】本発明に従った絶縁電線を用いた同軸ケーブル
の断面図である。
【図4】従来からの技術に従った製造方法に用いること
ができる絶縁電線の製造装置の構成図である。
【符号の説明】
1…絶縁電線、2…導体線、3…絶縁層、4…マイクロ
カプセル、5…樹脂、10,30…絶縁電線製造装置、
11a,11c…導体、11b…絶縁電線、12…導体
サプライ、13…原料組成物供給用タンク、14…塗布
ダイ、15…第1の紫外線照射装置、16…加熱炉、1
7…第2の紫外線照射装置、18…駆動装置、19…巻
き取り、20…同軸ケーブル、21…保護絶縁層、22
…シールド層、23…外被。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 誠治 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紫外線による重合性を有する紫外線硬化
    型樹脂原料と熱膨張性のマイクロカプセルとを含有する
    絶縁被覆原料組成物が外周上に付着された導体に紫外線
    を照射して、前記絶縁被覆原料組成物をに含まれる前記
    紫外線硬化型樹脂原料を予備重合する第1の重合反応を
    行う第1の紫外線照射のステップと、 前記第1の重合のステップの後、前記導体を加熱し、前
    記絶縁被覆原料組成物に含まれる前記マイクロカプセル
    を膨張させる加熱膨張のステップと、 前記加熱のステップの後、前記導体に紫外線を照射し、
    前記絶縁被覆原料組成物に含まれる前記紫外線硬化型樹
    脂原料を重合させる第2の重合反応を行い、前記紫外線
    硬化型樹脂原料が硬化した樹脂組成物と膨張したマイク
    ロカプセルとを含む絶縁層を前記導体の表面に形成する
    第2の紫外線照射のステップとを備えることを特徴とす
    る絶縁電線の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記紫外線硬化型樹脂原料が重合して前
    記樹脂組成物となる際の重合反応の反応熱が、+50c
    al./g以上であることを特徴とする請求項1に記載
    の絶縁電線の製造方法。
JP25517295A 1995-10-02 1995-10-02 絶縁電線及びその製造方法 Pending JPH0997523A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020511661A (ja) * 2017-03-21 2020-04-16 アステロープ リミテッドAsterope Ltd 被覆の判定
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