JPH0995781A - プレーナー・マグネトロン・スパッタリングシステム - Google Patents

プレーナー・マグネトロン・スパッタリングシステム

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JPH0995781A
JPH0995781A JP8366396A JP8366396A JPH0995781A JP H0995781 A JPH0995781 A JP H0995781A JP 8366396 A JP8366396 A JP 8366396A JP 8366396 A JP8366396 A JP 8366396A JP H0995781 A JPH0995781 A JP H0995781A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ターゲットの効用を最大にする、優れたコー
ティング均一性、ステップカバレージを生じさせるプレ
ーナー・マグネトロン・スパッタリングシステム。 【解決手段】 ターゲット上の他の領域に比較してター
ゲット上に少なくとも一つの増大したスパッタ強度の領
域を生成するマグネトロン組立体を有しており、マグネ
トロン組立体は、内側磁極片と、内側磁極片と同一平面
にありかつ内側磁極片を囲み内側磁極片との間に一様な
ギャップを生成する外側磁極片と、一つの磁極片に磁気
極性をかつ他の磁極片に反対の磁気極性を付与してギャ
ップを横切って磁界を生成する磁石構造体と、内側及び
外側磁極片を含む平面に実質的に垂直な軸の回りに共通
の回転速度で内側及び外側磁極片を回転するモータとを
備え、ターゲットがスパッタされている間に軸の回りの
磁極片の回転で、少なくとも二つの増大したスパッタリ
ングレートの領域が軸から異なる半径でターゲット上に
形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】図面において、数字二つの参照番号の第1
数字は、その参照番号が指す要素が示されている最初の
図を指し、数字四つの参照番号の始めの二つの数字は、
その参照番号が指す要素が最初に示されている図を指
す。
【0002】
【従来技術とその問題点】この発明は、スパッタリング
蒸着に関し、特に、プレーナー・マグネトロン・スパッ
タリングにより作られる被膜の厚みの均一性とステップ
カバレージの問題に関する。スパッタリング装置では、
ターゲットが高エネルギーイオンによる衝撃を受けてタ
ーゲットから物質を半導体ウェーハなどの工作物上に放
出する。一般に、ターゲット及びウェーハは、典型的に
は3・10-4Torr未満の程度の圧力まで排気される真空
チャンバ内に置かれる。物理的スパッタリングでは、衝
撃粒子は、一般には、アルゴンなどの重い不活性ガスの
イオンであり、ターゲットの露出した前面に実質的に垂
直な方向に高速に加速される。産業的に受け入れること
の出来る速度では、割合に高密度のイオン化した衝撃粒
子を生じさせることが重要である。最も費用対効果の大
きなイオン源は、低圧グロー放電である。電気的にバイ
アスするグロー放電スパッタリング装置では、ウェーハ
は、スパッタリング反応装置アノード又は別のアノード
としてバイアスされるペデスタル上に取りつけられ、タ
ーゲットはスパッタリング反応装置カソードとしてバイ
アスされる。これにより、ターゲットの位置に、ターゲ
ットの露出した前面に対して実質的に垂直であって、タ
ーゲットの前面に対して実質的に垂直な軌道に沿ってタ
ーゲットの露出した面にイオンを加速させる電界が生じ
る。
【0003】高エネルギー電子とガス分子との衝突によ
って、これら中性粒子の一部がイオン化して、ターゲッ
トに衝突するイオンを補充する。このイオン化により、
反応チャンバ内にプラズマ・シース(plasma sheaths)と
呼ばれる自由電子不足領域によりカソード及びアノード
から分離された導電性プラズマ体が生じる。このプラズ
マ体は導電性であるので、加速する電界は、実質的に、
ウェーハ及びターゲットの位置のプラズマ・シース領域
に限定される。プレーナー・マグネトロン・スパッタリ
ング装置では、ターゲット・シース内に電子を捕らえて
ターゲット付近に向ける磁界を生じさせることによって
ターゲットの位置におけるイオン密度が、高められる。
これらのトラップ内の高い電子密度により、これらの領
域内でのイオン生成率が高まって、ターゲットの、これ
らのトラップ領域付近の部分でのイオン密度が向上す
る。ターゲット・シース内の電界Eはターゲットの露出
した面に対して実質的に垂直であるので、磁界Bがター
ゲット面に対して実質的に平行となる様な領域では、E
×Bドリフト場は電子をターゲットの表面に平行に押
す。E×Bドリフト場がターゲット表面に平行となる様
な領域が、電子を中に捕らえる閉じた通路を形成する様
に磁界を構成することによって電子が捕らえられる。該
ドリフト場の構成は、磁界の場所及び形状の協働的選択
により達成される。
【0004】典型的には、ターゲット材料は、反応装置
内に装置される裏当て板に取りつけられる。裏当て板か
ら弾き出された粒子は集積製造プロセスを汚染するの
で、ターゲットのスパッタリングがこの裏当て板に達し
ないことが重要である。従って、裏当て板のスパッタリ
ングが行なわれる前に、普通はターゲットが置換され
る。遺憾なことに、その結果として、元のターゲット材
料をまだ相当の割合で含有しているターゲットが置換さ
れることになる。多くのターゲットは、金などの高価な
材料から成っており、ターゲットを置換するために生産
時間が失われるという著しい損失があるために、ターゲ
ットを置換しなければならなくなる前に行なえるスパッ
タリングの量を最大にすることが大切である。1977
年2月18日にスローンテクノロジーコープ(Sloan Tec
hnology Corp) が提出したカソードスパッタリング装置
(Kathodenzerstaeubungsvorrichtung)という名称のドイ
ツ公開公報2707144号においては、磁石/磁極組
立体がx及びy方向に縦に掃引され、或いは軸外れ極組
立体が回転軸の周囲に半径方向に掃引されて、ターゲッ
トからのスパッタの時間平均均一性が向上したターゲッ
トスパッタのパターンを生じさせる。
【0005】1984年4月24日にチャールズB.ギャ
レット(Charles B. Garrett)に対して発行されたプレー
ナー・マグネトロン・スパッタリング装置(Planar Magn
etron Sputtering Device)という名称の米国特許4,444,
643 号においては、可動磁界源をターゲットの面に平行
に移動させて、ターゲット全体にわたって向上した均一
性を有するターゲットの時間平均スパッタを生じさせる
ことによって、一つのターゲットの使用により処理でき
るウェーハの数を増やす。1987年12月22日にケ
ネスF.フリーマン他(Kenneth F. Freeman et al.)に対
して発行された「磁界が周方向及び半径方向に組合せ移
動するプレーナー・マグネトロン・スパッタリング装
置」(Planar Magnetron Sputtering DaviceWith Combi
ned Circumferential And Radial Movement Of Magneti
c Fields) という名称の米国特許4,714,536 号において
は、この様な従来の装置では磁石組立体上の一定の点が
常にターゲット上の与えられた半径方向位置の上を回転
するので円形の溝が形成される傾向があると述べられて
いる。ターゲットのもっと均一なスパッタを生じさせる
ために、磁界がターゲットの中心の周囲に軸外れに回転
させられるときに該磁界は半径方向に出し入れされる。
【0006】ターゲットの利用効率を向上させることに
は明らかなコスト上の利益があるけれども、均一な厚み
を有するウェーハ被膜を作ることも重要である。図1A
及び図1Bはバリアンアソシエーツ(Varian Associate
s )のCONMAG I及び CONMAGIIシステムをそれぞれ示し
ており、これらは各々、金属支持体10上にステップカ
バレージ(step coverage) 及び均一性を改善する円錐形
ターゲット11を有する。単一の電源が支持体10及び
ウェーハペデスタルの間に接続されている。CONMAG II
実施例は、第2のターゲット12を有し、これは円錐形
ターゲット11の軸Aを中心とし、且つこれに垂直であ
る。これらのターゲットは、いずれも回転はしない。円
錐形ターゲット11は金属支持体13上に装置され、タ
ーゲット12は別の金属支持体14上に装置される。2
個のプラズマ領域を生成出来る様に、別の電源がこれら
2個の金属支持体の各々のために設けられる。CONMAG I
I実施例では、ターゲット12と、別の金属支持体14
とを付加するにはターゲット11及び12間の間隔が最
適でないことが必要であるので、これら二つのターゲッ
トからのコーティングの均一性が低下することになる。
アネルバ(Anelva)による1000シリーズ・スパッタリ
ングシステムでは、図2に示されている形状を有する1
対の磁極片21及び22によってターゲットに単一の広
い溝が作られる。外側磁極片21の側は、点Cを中心と
する曲率半径Rを有する。上側24及び下側25は、真
っ直ぐであり、それぞれ距離d1 及びd 2 だけ点Cから
垂直に離れている。内側磁極片22は、外側磁極片と実
質的に同じ形状を有する周囲を持っている。磁界は、こ
れら2個の磁極片により形成される。
【0007】上記文献には幾つかの問題点がある。米国
特許4,714,536 号では、回転及び半径方向の組合せ運動
を生じさせる歯車は、このターゲットのための冷却水中
に置かれる。これら歯車には潤滑がないので、これら歯
車は急速に腐食し、非常に頻繁な交換を必要とする。ま
た、プラズマシースは割合に短いので、何時でも、基板
の小部分だけにスパッタリング蒸着が行われる。ドイツ
公開公報2707144号、米国特許4,444,643 号、及
び米国特許4,714,536 号では、ターゲット利用効率が高
められるけれども、スパッタリングによりウェーハ上に
作られる被膜の質に対する効果については何の考慮もし
ていない。特にサブミクロン集積回路製造では、厚みが
均一でステップカバレージが優れている層を作ることが
非常に大切である。層がパターン付けされるとき、層の
或る部分が他の部分より厚いならば、その各々の部分は
異なる時点でパターン完成を達成することになる。若し
或る領域が過剰エッチングされて他の領域でエッチング
完了したならば、その過剰エッチングされた領域でのラ
イン幅は設計値未満に減少する。従って、これらのシス
テムの層の均一性及びステップカバレージは、現状の技
術水準の回路における殆どのスパッタリングアプリケー
ションには不十分である。上記のプロセスからは25%
程度の厚み変動が生じる可能性があるので、該プロセス
は実質的にウェーハのバックグラウンド平面の蒸着にだ
け適している。
【0008】正確なマスク・アライメントを保つために
も均一なコーティングは重要である。アライメントマー
クは一般にはウェーハ上の隆起した特徴から成るので、
該ウェーハ上に数個の層が蒸着された後でもなお見え
る。アライメントマークの位置での非対称的コーティン
グは、これらのマークの見かけ上の位置に偽の結果を生
じさせて、その後のパターン付けのアライメントを狂わ
せる可能性がある。Anelvaスパッタリングシステムで
は、ターゲットをウェーハから一般的距離(40−50
mm程度)よりも遠い距離(80mm程度)に位置決めする
ことによって層の厚みの均一性を良好にすることが出来
る(3%程度の厚み変動)。遺憾なことに、この間隔で
は、このシステムは、広角入射スパッタリング粒子から
の充分な蒸着がないので、不十分なステップカバレージ
を生じさせる。
【0009】
【発明の概要】図示した好適な実施例では、1対の磁極
片の形状が優れたコーティング均一性、優れたステップ
カバレージ及び優れたステップカバレージ均一性を生じ
させるプレーナー・マグネトロン・スパッタリングシス
テムが与えられる。これらの磁極片の、ターゲットの表
面に平行な断面の形状は、ターゲットから離れてゆくス
パッタリングされた粒子の角度分布の解析と、均一なコ
ーティング、優れたステップカバレージ及び優れたステ
ップカバレージ均一性を生じさせるのに必要なスパッタ
リングされた粒子の分布の分析とを動機とする。ある種
の実施例では、これらの磁極片の、ターゲットの表面に
垂直な断面の形状は、ターゲット利用効率と、コーティ
ング厚みの均一性、ステップカバレージ及びステップカ
バレージ均一性との両方を動機とする。
【0010】図3に、ターゲット35からウェーハ34
へスパッタリングされた粒子36の経路が図示されてい
る。特に、この経路は、この粒子の、穴31への入射角
の効果を示す。穴31に到達する粒子の入射角θが斜め
すぎると、この穴の一側壁の上隅32が、この穴の反対
側の側壁のベース33を陰にする可能性がある。よっ
て、幅がWで深さがDの穴については、0から tan-1
/Dまでの範囲内の角度θから到達する粒子だけが、左
側壁上にコーティングを生成するのに有効である。同様
に、0から tan-1W/Dまでの範囲内の角度θから到達
する粒子だけが、右側壁上にコーティングを生成するの
に有効である。優れたステップカバレージを得るには、
ウェーハ全体にわたって、穴、溝、又はラインの両側か
ら充分な粒子のフラックスがあること、その様な構造の
両側がコーティングされることが必要である。優れたス
テップカバレージ均一性を得るには、ウェーハの上面全
体にわたって、全ての穴、溝及びラインの各側からほぼ
同じフラックスが来ること、及び、平らな面上の平均の
厚みの、側壁上の平均厚みに対する比が約5以下の程度
の適当に小さな数であることとが必要である。物理的ス
パッタリング(化学的スパッタリングに対して)では、
入射衝撃粒子は、ターゲット内に、運動量方向の統計的
分布を有する衝突カスケードを生じさせると考えられて
いる。この統計的プロセスにより、ターゲット粒子がラ
ンダムな方向に放出されるので、ターゲットからの粒子
の放出は実質的にコサイン角度分布をなす。経験的試験
は、この分布が実際に2000eV程度のスパッタリン
グ・電圧について発生すること、そして、スパッタリン
グ電圧がもっと高い場合には、この分布は、ターゲット
面にもっと平行な方向に幾分それることを示している。
【0011】図4に示されている様に、ウェーハ42の
点Pにおいて、角度極座標θ、φを中心とする立体角d
θdφの中に入射する粒子の強度I(P、θ、φ)は次
の(1)ないし(4)の因子の積に等しい:即ち、
(1)角度範囲dθ及びdφの中のターゲットの部分の
面積r2 tan θ・dθdφ;(2)フラックスの球対称
分布についての強度低下のr-2因子;(3)ウェーハへ
の法線と、これら粒子についての入射フラックスベクト
ルとの間の角度θを考慮するcos (θ)射影因子;
(4)時間平均局所プラズマ強度により決まる、ターゲ
ットのこの無限小面積からのスパッタリング速度S。よ
って、ガス散乱の効果を無視すれば、この立体角内で点
Pに入射する粒子の強度は I(P、θ、φ)=S(Q)・sin θ・dθdφ (1) となり、ここでQは、スパッタリングがそこからこれら
の入射粒子を生じさせるところのターゲットの点であ
る。ターゲットの効用を最大にしようとする上記従来特
許の目的がそうである様に、S(Q)が実質的に定数で
あるときには、点Pにおけるこのフラックスは、ウェー
ハの点Pにおいて、ターゲットのこの無限小面積と対向
する立体角に丁度等しい。従って、これらの装置につい
ては、ウェーハの点P上の粒子の総強度I(P)=∫I
(P、θ、φ)dθdφは、点Pでターゲットと相対す
る立体角に等しい。一般に、ウェーハは、ターゲットの
下に中心を有すると共にターゲットに平行であるので、
点Pがウェーハの中心にあるときに最大対向立体角が生
じる。従って、これらの従来のスパッタリングシステム
は、ウェーハ上に確かに不均一なコーティング厚みを生
じさせる。ウェーハ/ターゲット・システムは軸対称で
あるので、厚みTは、点Pの、ウェーハ中心Cw からの
半径方向距離rw のみの関数であり、図5に示されてい
る形状を有する。
【0012】ターゲットは有限の半径Rt を有するの
で、点Pを通る垂直線の周囲の任意の与えられた角度φ
について、それについてフラックスがゼロでないところ
の方位角θの最大値がある。θの値がもっと大きいと、
方向θ、φの立体角dθdφの円錐はターゲットと交差
しないので、この方向からは粒子はスパッタリングされ
ない。従って、点Pでの粒子の角度分布は、点Pの軸A
からの距離、ターゲットの半径Rt 、ウェーハの半径R
w 、ウェーハとターゲットとの間の距離D、及び、ター
ゲット内でのスパッタリング強度分布の関数である。タ
ーゲットからの空間的に均一なスパッタリング速度で
は、軸Aの方向から点P上へのスパッタリング蒸着速度
は、軸Aから点Pまでの距離と共に増大し、ターゲット
の周囲上の最も近い点の方向からのスパッタリング速度
は、軸Aから点Pまでの距離と共に減少する。従って、
ターゲットの均一なスパッタリングを生じさせる従来の
システムは、ステップカバレージ均一性が良くない。タ
ーゲットの中心Ct とウェーハの中心Cw とを通る軸A
に関してシステムが軸対称であるので、Sがターゲット
の中心Ct からの半径方向距離rt のみの関数である場
合に限って蒸着された強度I(P、θ、φ)は軸対称性
を保つ。即ち、S=S(rt )であり、ターゲットの半
径Rt より大きなrt についてはゼロとなる。この選択
では、ウェーハの中心から半径方向距離rw にある点P
で、総強度I(P)は、点Pの(軸Aの周囲の)角度位
置φw から独立しており、従ってrw のみの関数であ
る。数学的には、I(rw )は、全てのθ及びφについ
ての積分であり、角θ及びφについて、点Qは、この方
向に入射粒子を生じさせるように位置する。回転対称性
であるので、ウェーハ上のx=rw 及びy=0の点とい
う特別の場合について、その値を図6に示されている様
に計算出来る。 I(rw)=∫E〔S({u2+v21/2)・D・{(rw-u)2+v2+D2-3/2〕dudv (2) ここでDはウエーハとターゲットとの間の間隔であり、
E は、ターゲット内の(u,v)範囲上の積分であ
り、S({u2 +v2 1/2)は{u2 +v2 1/2がタ
ーゲット半径Rt より大きければゼロである。被積分関
数は点(u,v,D)でのスパッタリング強度分布(即
ち、ターゲットからのスパッタリング粒子の率の分布)
と、ウェーハへの法線と、点(u,v,D)及び
(rw ,0,0)を結ぶベクトルとのなす角のコサイン
と、球対称フラックスのr-2因子特性との積である。
【0013】ウェーハ上に実質的に均一なコーティング
厚みを生じさせるために、S(rt)は、図7に示され
ている理想的関数従属性SI (rt )を持たなければな
らない。このスパッタリングプロフィールは、ターゲッ
トにN個の軸対称の溝の組をエッチングすることにより
近似することが出来、ここでk番目の溝はスパッタリン
グ強度分布Sk (rt )を生じさせ、実際のスパッタリ
ング率Sa (rt )は、 Sa (rt )=ΣN k=1Sk (rt ) (3) である。これは、N=2の場合について図8A及び図8
Bのグラフに示されている。図8Aは、二つの溝の各々
についてのスパッタリング強度分布を示し、図8Bは実
際の総スパッタリング強度分布と理想的スパッタリング
強度分布とを比較し、理想的分布への適度な近似を実際
に生じさせて1対の同心円形溝を適切な半径、幅及び深
さのターゲットにスパッタリングすることが出来る。タ
ーゲットにおける選択された溝の形成は、スパッタリン
グ強度Sa (rt )を生じさせる磁極片を有する特別に
設計されたマグネトロン源により達成することが出来
る。N=2で、この実際のスパッタリングプロフィール
を達成する磁極片が図9Aに示されている。このデザイ
ンを他のNの値に容易に適合させることが出来る。
【0014】このデザインは、マグネトロンスパッタリ
ングシステムでは、スパッタリングの大半は、磁界がタ
ーゲットとほぼ平行となる場所で生じ、これが生じる領
域は、その中に電子が捕らえられてイオン生成と、それ
に付随する局所スパッタリング率とを高めることの出来
るところの閉じた通路を形成しなければならないという
事実を利用している。ターゲットに円形対称的スパッタ
リングパターンを生じさせるために、ターゲットの中心
軸の周囲に磁極片と磁石とを回転させる。磁界がターゲ
ットに実質的に平行となる領域は2個の磁極片の間のト
ラックに沿って生じる。磁極片は、このトラックが次の
3個の領域、即ち、(1)軸Aを中心とする半径R1
第1のほぼ円形の弧、(2)軸Aを中心とする半径R2
の第2のほぼ円形の弧、及び(3)この第1及び第2の
弧を結合させて閉じた経路を形成する2個のセクション
と、から成ることとなる様に設計される。軸Aにおい
て、第1の弧は角度α1 に対向し、第2の弧は角度α2
に対向する。これらの磁極片が軸Aの周囲に回転させら
れるとき、α1 /α2 の相対的深さを有する半径R1
びR2 の2個の溝が作られる。これら2個の弧を結合さ
せるトラックのセクションは、これら2個の溝の間の領
域のスパッタリングを生じさせることにより、これら2
個の溝の間のスパッタリングされた領域を平らにする。
該トラックの第1及び第2のセクションの弧の長さ及び
半径は、ターゲットからウェーハ上にスパッタリングさ
れるコーティング厚みの平坦性を最適にするように選択
される。
【0015】優れたステップカバレージを得るには、両
方の側壁が充分にコーティングされるのに充分な程度に
ステップ全体に充分な厚みのカバレージを設けること、
及び、ライン、溝又は穴の両方の側壁に充分なスパッタ
リング蒸着が行われることが必要である。優れたステッ
プカバレージ均一性を得るには、ステップが非対称的に
被覆されない様に、上向き及び下向きの両方のステップ
が実質的に均等に覆われることが必要である。アライメ
ントマークが非対称的に覆われると、後続の層のアライ
メント外れを生じさせる可能性がある。下側の特徴が非
対称的に覆われると、それらの特徴が、後続の層の特徴
とアライメント外れになる可能性がある。スパッタリン
グ率S(rt )の単調に増大する形は、ウェーハの中心
に向かう方向において点Pに斜めに入射する粒子の割合
を増大させることによりステップカバレージ均一性を向
上させる。ステップカバレージの均一性は、ターゲット
半径Rt 及びウェーハ半径Rw の比Rt /Rw の関数で
もある。この比及びスパッタリング率S(rt )を選ん
で、優れたステップカバレージ均一性及び優れたコーテ
ィング厚み均一性を達成することが出来る。回転軸Aは
これらの磁極の境界内にあるので、何時でも、これらの
磁極によりカバーされる面積はターゲットの全面積の相
当の部分となっている。これは、何時でもターゲットの
小部分だけからスパッタリングが行われる米国特許4,71
4,536 号及びドイツ公開公報2707144号のシステ
ムにより生成されるスパッタリング率より遥かに大きな
スパッタリング率を生じさせる。単一トラップ領域トラ
ックが生成されるので、上記のCONMAG II の場合の様
に、複数のプラズマ領域のうちのどれが実際にプラズマ
を生じさせるかという不安定性はない。この不安定性
は、プラズマの非線形性の故に発生するものである。若
しプラズマの一部が過剰なイオン化を生じさせると、そ
れは導電性を大きくさせて、その領域により大きな電流
を引込み、更に一層イオン化を促進する。よって、この
単一のトラップ領域は、上記のCONMAG II で各トラップ
領域に必要とされる別々の電源を必要としない。
【0016】次に、本発明の上記目的を解決する手段の
構成を纏める。本発明の上記目的は、ターゲット及びウ
ェーハが配置されるような真空チャンバを有しているス
パッタリング装置において、該スパッタリング装置は、
該ターゲットの方向にイオンを加速して該ターゲットを
スパッタするために該ターゲットに入射する電界を生成
する手段を更に含み、該ターゲット上の他の領域に比較
して該ターゲット上に少なくとも一つの増大したスパッ
タ強度の領域を生成するマグネトロン組立体を有してお
り、マグネトロン組立体は、内側磁極片と、内側磁極片
と同一平面にありかつ該内側磁極片を囲み該内側磁極片
との間に均一なギャップを生成する外側磁極片と、一つ
の磁極片に磁気極性をかつ他の磁極片に反対の磁気極性
を付与してギャップを横切って磁界を生成する磁石構造
体と、内側及び外側磁極片を含む平面に実質的に垂直な
軸の回りに共通の回転速度で該内側及び外側磁極片を回
転するモータとを備え、ターゲットがスパッタされてい
る間に軸の回りの磁極片の回転で、少なくとも二つの増
大したスパッタリングレートの領域が軸から異なる半径
でターゲット上に形成されるマグネトロン組立体によっ
て達成される。
【0017】本発明では、ギャップは、閉じた経路を形
成すべく実質的に一定の幅及び複数の弧からなる形状を
有するように構成してもよい。本発明では、軸は、外側
磁極片の内側表面及び内側磁極片の外側表面によって境
界が付けられた領域において磁極片を通って伸張しても
よい。本発明では、ウェーハは、軸に中心が置かれるよ
うに構成してもよい。本発明では、磁界は、磁極片の間
に伸張し、かつターゲットのスパッタされていない表面
に実質的に平行な部分を有している複数の磁力線を含む
ように構成してもよい。本発明の上記目的は、ターゲッ
トからウェーハ上に粒子をスパッタリングするスパッタ
リングシステムであって、ターゲット及びウェーハが配
置されるような真空チャンバを囲む反応装置と、ターゲ
ットから粒子をスパッタすべく該ターゲットにイオンを
加速するために当該ターゲットに実質的に垂直な電界を
生成する手段と、プレーナー強磁性体内側磁極片と、垂
直断面がボール形状であり、内側磁極片と実質的に同一
平面にあるリムを有し、かつこれら二つの磁極片間にギ
ャップを生成すべく内側磁極片を取り囲む強磁性体外側
磁極片と、これら二つの磁極片の間のギャップを横切っ
て磁界を生成する手段と、磁極片を含んでおりかつその
上にウェーハがこの軸に垂直に中心が置かれる平面に実
質的に垂直な軸Aの回りに共通回転速度でこれら磁極片
を回転する手段とを備え、ギャップは、単一閉ループの
形状を有しているスパッタリングシステムによって達成
される。
【0018】本発明では、ギャップは、軸Aに中心が置
かれた円周2πρt の円が、ギャップ内に配置されたそ
の円周の部分Si (ρt )を実質的に有するような形状
を有し、それにより、これら内側及び外側磁極片を用い
ているスパッタリングシステムにおけるターゲットのス
パッタリングの間に、スパッタの深さが、半径ρt の関
数として、Si (ρt )に実質的に等しいように生成さ
れてもよい。本発明では、ギャップは、数字の3の形状
を有するように構成してもよい。本発明では、ギャップ
は、螺旋の両端で接続された一対の非交差型部分螺旋の
形状を有するように構成してもよい。本発明では、ギャ
ップの形状は、それぞれが単一の閉じた経路を形成すべ
く直列に接続された、一定の曲率半径を有している複数
の弧で構成してもよい。本発明では、ギャップは、実質
的に一定の幅を有してもよい。本発明では、ギャップ
は、回転軸Aを交差し、それによりウェーハの中心が著
しくスパッタされるように構成してもよい。本発明で
は、ギャップを横切って磁界を生成する手段は、少なく
とも一つの希土類磁石を含み、それによりトラッピング
の増大した効率が達成されるように構成してもよい。
【0019】本発明では、ギャップを横切って磁界を生
成する手段は、少なくとも一つの棒磁石を含み、それに
より磁気材料の増大した密度が磁極片間に生成されるよ
うに構成してもよい。本発明では、磁界を生成する手段
について防水型筺体を生成すべく外側磁極片に取り付け
られたフェースプレートを更に備えていてもよい。本発
明の目的は、一般的にプレーナーなターゲットから基板
へ粒子をスパッタするスパッタリングシステムであっ
て、ターゲット及び基板を取り付ける手段を含む真空チ
ャンバと、ターゲットにイオンを加速すべく当該ターゲ
ットに実質的に垂直な電界を生成して該ターゲットの表
面から粒子をスパッタする手段と、ターゲットのスパッ
タリング表面に平行でかつ隣接し、該ターゲットに平行
な平面における、プラズマ形成を向上する単一電子トラ
ップ領域を形成する所定の閉ループ経路に一般に垂直な
磁界を生成する手段と、回転対称なスパッタリング強度
分布を供給すべくターゲット及び基板に実質的に垂直な
軸の回りに、磁界を生成する手段を回転する手段とを備
え、磁界を生成する手段は、ターゲットの中心から該側
壁の厚みによって主に決定される距離によりその周囲か
ら離間する地点まで電子トラップ領域を伸張させる、比
較的薄い連続側壁を有している外側磁極片を含むスパッ
タリングシステムによって達成される。
【0020】本発明では、外側磁極片は、一般的にU形
状断面を有するチャネル部材として形成され、磁界を生
成する手段は、外側磁極片の壁によって取り囲まれた内
側磁極片と、チャネル部材に配置されかつ外側及び内側
磁極片に結合された複数の磁石とを更に含むように構成
してもよい。本発明では、外側磁極片は、 閉端を有す
る一般的にU形状断面を有している曲線チャネル部材と
して形成され、連続側壁は、単一の同一平面にエッジを
有し;磁界を生成する手段は、外側磁極片側壁と同一平
面にありかつそれによって完全に囲まれた、チャネル部
材の幅よりも狭い、内側プレーナー磁極片であり、それ
により2つの磁極片間に単一の連続ギャップを形成する
該内側プレーナー磁極片と、その中心が所定の経路と一
致し、ギャップを横切って磁界を供給すべく、チャネル
部材に配置された複数の磁石とを更に含み、電子トラッ
プ領域を形成しているギャップがターゲット周囲にアプ
ローチできる程度は、チャネル部材の壁の厚みによって
制限されるように構成してもよい。本発明では、磁界を
生成する手段は、磁石のセンタリングを確実にすべく磁
石とチャネル部材の壁の間に設置された複数の非磁性ス
ペーサと、実質的に均一なギャップとを更に含むように
構成してもよい。
【0021】本発明では、磁石は、棒磁石であり、かつ
できるだけ強力な磁界として供給すべく互いに隣接して
配置されるように構成してもよい。本発明では、電子ト
ラップ領域を形成しているギャップは、基板上に実質的
に均一な作用を結果として生ずる理想的なスパッタリン
グレート分布を供給すべく構成してもよい。本発明で
は、回転の軸からの各径方向距離に配置されたギャップ
の割合いは、理想的なスパッタリングレート分布に一致
すべく選択してもよい。本発明では、ギャップは、太い
数字の3の輪郭をなぞるように構成してもよい。本発明
では、ギャップは、螺旋の両端で接続される一対の非交
差型部分螺旋の形状を有するように構成してもよい。本
発明では、ギャップの形状は、それぞれが、経路を形成
すべく直列に接続された、一定の曲率半径を有してい
る、複数の弧から構成してもよい。本発明では、経路に
少なくとも3つの一定半径の弧が存在するように構成し
てもよい。
【0022】本発明では、磁界を生成する手段について
防水型筺体を生成すべく外側磁極片に取り付けられたフ
ェースプレートを更に備えて構成してもよい。上記本発
明の目的は、マグネトロン型ターゲットからの粒子を基
板にスパッタするスパッタリングシステムであって、タ
ーゲット及び基板を囲むための真空チャンバと、ターゲ
ットのスパッタリング表面からの粒子をスパッタするた
めにイオンをターゲットに加速すべくマグネトロンター
ゲットに入射する電界を生成する電圧源手段と、強磁性
内側磁極片を含んでいる、ターゲットの別の表面に隣接
して配置された磁石構造体と、強磁性外側磁極片であ
り、これら二つの磁極片間にギャップを形成すべく内側
磁極片を取り囲む該強磁性外側磁極片と、これら二つの
磁極片間のギャップを横切って磁界を生成する磁石手段
と、磁極片に実質的に垂直な軸Aの回りに共通回転速度
でこれら磁極片を回転しかつその上にウェーハがこの軸
に垂直に中心が置かれるモータ手段とを備え、ギャップ
は、軸Aからの各径方向距離(ρt )での該ギャップの
部分が基板上にスパッタされた粒子の均一な厚みを生成
する分布Si (ρt )に実質的に等しい閉ループの形状
を有しているスパッタリングシステムによって達成され
る。
【0023】本発明では、ギャップは、実質的に一定の
幅を有してもよい。本発明では、磁極片は、ギャップの
幅に等しい幅のカットを一枚の強磁性材料にミリングす
ることによって形成してもよい。本発明では、ギャップ
は、回転軸Aと交差して、ターゲットの中心が著しくス
パッタされるように構成してもよい。本発明では、ギャ
ップの形状は、閉じた経路を形成すべく直列に接続され
た、それぞれが実質的に一定の曲率半径である一組の4
つの弧からなるように構成してもよい。本発明では、半
径R1 及び弧長Lの第1の弧は、軸A上に実質的に中心
が置かれ、他の弧は、軸Aの回りの半径R1 の円内であ
り、それにより、スパッタされた溝が第1の弧の弧長に
比例する深さでターゲットに形成されるように構成して
もよい。本発明では、4つの弧のそれぞれは、関連曲率
半径を有しかつこれら4つの半径は、基板上のスパッタ
された被覆の付着の均一性を最適化すべく選択されるよ
うに構成してもよい。
【0024】本発明では、ギャップの形状は、閉じた経
路を形成すべく直列に接続された、それぞれが一定の曲
率半径を有している、複数の弧で構成してもよい。本発
明では、第1の弧は、一定の曲率半径R1 及び弧長Lを
有し、軸A上に実質的に中心が置かれ;他の弧は、軸A
の回りの半径R1 の円内であり、それによりスパッタさ
れた溝が第1の弧の弧長に比例する深さでターゲットに
形成されてもよい。本発明では、第1の弧は、R1 より
も小さい距離δによりオフセットされる中心点を有し、
それによりターゲットに形成された関連溝は、δがゼロ
であるときよりもおおよそ2δ幅広であってもよい。本
発明では、弧のそれぞれは、関連曲率半径を有しかつこ
れらの半径は、基板上のスパッタされた被覆の付着の均
一性を最適化すべく選択してもよい。本発明では、ター
ゲットは、基板上の付着された被覆の厚みの均一性を最
大にする最適ターゲット半径に実質的に等しい半径を有
してもよい。本発明では、ターゲットは、基板上のステ
ップカバレージの均一性を最大にする最適ターゲット半
径に実質的に等しい半径を有するように構成してもよ
い。
【0025】更に、本発明の上記目的は、マグネトロン
型ターゲットからの粒子を基板の表面領域にスパッタす
る方法であって、ターゲットのスパッタリング表面から
の粒子をスパッタすべく当該ターゲットにイオンを加速
する電界を生成し;二つの磁極片間にギャップを有して
外側磁極片が内側磁極片を取り囲むように、ターゲット
の別の表面に隣接して該内側強磁性磁極片及び該外側強
磁性磁極片を配置し、磁極片間のギャップを横切って磁
界を生成し、基板表面領域に実質的に垂直でありかつそ
れに実質的に中心が置かれる軸の回りに共通回転速度で
磁極片を回転し、二つの磁極片間のギャップが、そのよ
うな距離ρt の分布Si (ρt )が基板表面領域上にス
パッタされた粒子の実質的に均一な空間分布を生成する
ように軸の回りの角度位置で変化する軸Aからの径方向
距離ρt を有している、閉ループの形状を有するように
二つの磁極片の対応形状を確立する段階を具備する方法
によって達成される。本発明では、確立段階は、ギャッ
プが実質的に一定の幅を有するように二つの磁極片の対
応形状を確立することを更に具備してもよい。また、本
発明の上記目的は、ターゲットからの粒子をウェーハに
スパッタするスパッタリングシステムであって、ターゲ
ット及びウェーハが配置されるような真空チャンバを囲
む反応装置と、ターゲットからの粒子をスパッタするた
めにイオンを該ターゲットに加速すべく該ターゲットに
実質的に垂直な電界を生成する手段と、プレーナー強磁
性内側磁極片と、内側磁極片と実質的に同一平面にあり
かつこれら二つの磁極片間にギャップを生成すべく内側
磁極片を取り囲むプレーナー強磁性外側磁極片と、これ
ら二つの磁極片間のギャップを横切って磁界を生成する
手段と、磁極片を含んでいる平面に実質的に垂直であり
かつその上にウェーハがこの軸に垂直に中心が置かれる
軸Aの回りに共通回転速度でこれら磁極片を回転する手
段とを備え、ギャップは、単一閉ループの形状を有しか
つ軸Aの回りに回転されたときに複数のピークスパッタ
リングの環状領域を供給するスパッタリングシステムに
よって達成される。
【0026】本発明では、複数のピークスパッタリング
の環状領域は、二つの領域であってもよい。本発明で
は、軸は、磁極片間に配置されるように構成してもよ
い。一実施例では、一組の馬蹄型磁石により磁界が生成
されるが、その各磁石は、第1磁極片に付された第1極
性の極を有し、その反対の極性の極は第2磁極片に付さ
れている。これらの磁極片の間のギャップに、該磁極片
間の磁界と、イオンをターゲットへ加速する電界とによ
ってトラップ領域が生成される。これら磁極片は、ター
ゲットと、磁極片を含む平面とに対して垂直な軸Aの周
囲に回転させられるので、円筒対称的スパッタリングパ
ターンがターゲットに生じる。この形状は、図8A及び
8Bに示されているピークに似た1対のピークを有する
スパッタリング強度パターンを生じさせる。ターゲット
からのスパッタリングの実際の深さの測定された分布が
図11に示されている。別の実施例では、第1の磁極片
は実質的に平らであり、第2の磁極片は、第1磁極片の
平面に垂直な平面内にU形状の断面を有する。この実施
例は、ターゲットの外側の境界に遥かに近い実質的スパ
ッタリングを可能にして、ターゲット利用率を向上させ
る。半径rにおける幅Wのスパッタリングされていない
バンドはほぼ2πrWに等しい面積を有するので、増大
したrの最大値までスパッタリングする能力は、ターゲ
ットの利用率を著しく増大させる。この実施例は、マグ
ネトロン組立体内により大量の磁性材料を詰め込むこと
が出来るので、磁極片間の磁界の強度を強めることも可
能にするものである。
【0027】本発明のこれらの目的、長所、及びその他
の目的、長所は、図面と関連させて好適な実施例を説明
する以下の詳細な記述から明らかとなる。この詳細な記
述は本発明を説明するものであるが、それを限定するも
のではない。
【0028】
【実施例】図9A及び9Bは、均一な厚み、優れたステ
ップカバレージ及び優れたステップカバレージ均一性を
有するスパッタリングコーティングの生成を可能にする
強磁性磁極片91及び92を有するマグネトロン組立体
90の上断面図及び側断面図をそれぞれ示す。このマグ
ネトロン組立体は、図10に示されている様なスパッタ
リングシステム真空チャンバの蓋として利用されてい
る。上断面図は、本書では『平行断面』とも称するが、
それは、この断面が、ターゲットに平行な平面内にある
からである。同様に、側断面図を本書では『垂直断面
図』とも称するが、それは、それがターゲットに対して
垂直だからである。代表的スパッタリングシステムは真
空チャンバ1001を包含しており、その中に高真空が
生成される。チャンバ1001は、一般的には、側壁1
002と、該真空チャンバの蓋としても作用するマグネ
トロン組立体90とにより閉塞される。該側壁は、しば
しば、ステンレススチール又はアルミニウムなどの金属
から成る。該蓋の下側には、ウェーハ42にスパッタリ
ングされるべき材料から成るターゲット41が取りつけ
られている。チャンバ1001の底にペデスタル100
3があり、処理時にはその上にウェーハが置かれる。電
圧源1004は壁1002とマグネトロン組立体90と
の間にdc又はrf電位差を生成してイオンをターゲッ
ト中へ加速してターゲット粒子をウェーハ上にスパッタ
リングする。金属リング1005は、側壁の頂部に取り
つけられていて、溝1006を包含し、その中にゴム製
Oリングがある。このOリングは、金属リング1005
と、テフロン又はセラミックなどの非導電性材料から成
るリング1007との間に真空シールを形成する。非導
電性リング1006は、側壁1002とマグネトロン組
立体90との間に電圧差を生じさせることを可能にする
ものである。ターゲット上に高エネルギーイオンが衝突
して熱を発生させるので、水冷チャンバ94などの冷却
システムがターゲットに熱的に接続されている。ターゲ
ットの冷却を強化するために、マグネトロン組立体内の
受け板911は、銅などの高度に熱伝導性の材料から成
る。
【0029】マグネトロンスパッタリングシステム内で
は、ターゲット付近に電子を捉えることによりターゲッ
ト付近でのイオンの生成を増大させるためにチャンバ1
001内でターゲット41付近に磁界が生成される。こ
の電子トラップは、一般的には、その中では磁界がター
ゲットに実質的に平行となるところの1個以上の閉じた
ループから成る。これらの領域内では、電界及び磁界は
実質的に垂直で、電子をターゲットの表面に平行に押す
E×Bドリフト場を生成する。これらの領域は閉じたル
ープを形成するので、電子はターゲット付近に捉えられ
て、ターゲットに衝突するイオンを効果的に生じさせ
る。このスパッタリングシステムでは、マグネトロン組
立体90がこれらの電子トラップ領域を生じさせる。図
9A及び9Bに示されている様に、マグネトロン組立体
90は、磁極片91及び92、磁石93、シーリング・
リム96、ターゲット41、及び、磁極片91及び92
をモータ95に結合させるモータ取付け板94を包含す
る。これらの磁石の全てが、磁極片91と接触する同一
極性磁極を有する。電磁石を使って磁極片間に磁界を生
じさせることも出来るが、永久磁石の方が磁界強度が大
きいので好都合である。
【0030】モータ95は、ウェーハペデスタル100
3上に中心を有する軸Aの周囲に磁極片91及び92及
び磁石93を回転させて、円形対称の時間平均スパッタ
リングパターンを生じさせる。以下にもっと詳しく述べ
るように、この回転は、ターゲット41に、軸Aを中心
とする円形のスパッタリングされた溝97及び98を生
じさせる。軸Aに対するこれらの溝の幅、深さ及び間隔
は、ウェーハ42上に非常に均一なコーティング厚みを
生じさせるために選択される。溝98はターゲット全体
に多数の斜行イオンを生じさせ、これらのイオンがあら
ゆる横部分(即ち、ウェーハ42に平行なあらゆるベク
トル成分)を有するので、あらゆる向きのステップにつ
いてウェーハ全体に優れたステップカバレージが得られ
る。図13において、溝98の部分1301は、点P
に、軸Aに向かって内向きの半径方向成分を有するイオ
ンのフラックスを生じさせることが分かる。溝98の部
分1302と、溝97の全てとは、点Pに、軸Aから外
向きの半径方向成分を有するイオンのフラックスを生じ
させる。溝98の部分1301は、溝97より深く長く
て、且つ溝97の大部分及び部分1302の大部分より
点Pに近いので、部分1301からのフラックスは、こ
れらの他の発生源からのフラックスと同じ大きさとなり
得る。溝97、溝98、ウェーハ42及びターゲット4
1の半径は、これらの溝の幅及び深さと関連して、ウェ
ーハ全体にわたって実質的に一定の層厚みと最大のステ
ップコーティング均一性とを生じさせる。これを達成す
る1対の磁極片が図9Aに示されている。
【0031】図12A−12Cは、図9Aの磁極片形状
を得るのに利用されるステップを示す。図12Aは、そ
れぞれ半径R1 及びR2 の2個のギャップ領域1204
及び1205を作る一組の3個の強磁性磁極片を示す。
これらのギャップ領域の各々を中心とするバンド内で
は、磁界は実質的にターゲット41に平行であるので、
これら領域の各々は電子トラップとして作用することが
出来る。しかし、プラズマプロセスは非線形であるの
で、プラズマは一般的にはこれらトラックの一つにだけ
に生じる。これを避けるために、磁極片は、半径R1
弧の部分1204′と、半径R2 の弧の部分1205′
と、これら2個の弧を結合させて閉じた経路を形成させ
る1対の半径方向セクション1206及び1207とを
含む単一のトラックを形成する様に作り直される。この
磁極片の組は、今、C形状の磁極片1202′と、円形
磁極片1201、環状磁極片1203、及びこれら先の
2個の磁極片を結合させる半径方向セグメントを含む磁
極片1203′とから成っている。磁極片1202′及
び1203′の経験に基づく変更の結果として、図9A
の磁極片91及び92が得られた。磁極片91は腎臓形
状であり、磁極片92は、磁極片91の外側縁910に
ほぼ平行な内側縁99を有するので、これら2個の縁の
間のギャップ912は実質的に一定の幅を有する。この
ギャップの一定の幅は、ギャップ912の全長にわたっ
て磁界を実質的に一定にすることにより、磁極片120
2′及び1203′間のギャップの部分付近にだけプラ
ズマが生じる傾向を弱める。
【0032】図12Cは、図9A及び12Aの磁極片の
組を比較して、軸AからほぼR1 及びR2 の距離にある
部分を含むギャップ912を生じさせる磁極片91を磁
極片91及び92が作り出すことを示す。点aから点b
までのギャップ912の部分は、ギャップ1205の約
50%とほぼ同じで、ターゲットから半径R1 の環状溝
をスパッタリングする。若しこの部分が回転軸Aから僅
かに心外れになっていると、それは、その溝がターゲッ
トに食い込んでエッチングされるという結果をもたら
す。該溝の幅は、ギャップ1205の幅にも影響され
る。該溝の深さは、この弧が軸Aに対向する程度を変え
ることによって、変化させることが出来る。ギャップ9
12の、点cから点dまでの部分、及び点eから点fま
での部分とは、ギャップ1204の約15%とほぼ同じ
である。ギャップ912の、点bから点cまでの部分
と、点fから点aまでの部分とは、図12Aの磁極片1
202の真下のターゲット環状領域のスパッタリングを
生じさせる。ギャップ912の、点dから点eまでの部
分は、図12Aの磁極片1201により覆われる円形領
域のスパッタリングを生じさせる。電子は、ギャップ9
12の中心付近に位置するトラック(図12及び14で
破線1208により表されている)の中に捉えられる。
ギャップ912の幅は実質的に一定であるので、電子捕
獲特性は、電子トラップ領域全体にわたって実質的に一
定である。図9Aにおいて、ギャップ912が回転軸A
を覆うので、ターゲットのスパッタリングもターゲット
の中心で行われることが分かる。これは、図8の領域8
1及び82のスパッタリング強度を向上させて、Si (
ρt ) にほぼ等しいスパッタリング分布を生じさせる。
剥落してウェーハ上に積もる可能性のある微粒子を生じ
させる薄いバックスパッタリングされた領域の形成を防
止するために、ターゲットの全ての点に少なくともある
程度のスパッタリングを生じさせることが重要である。
【0033】図9A及び12Cの実施例は、4個のセク
ション1401−1404(図14に示されている)か
ら成るギャップを有し、その各々が円の弧となってい
る。その結果として、半径R1 、r1 、r2 及びr3
連続する4個の円形弧を順次にフライス削りする様にプ
ログラムされたプログラマブルな工作機械による切削に
よりギャップを容易に製造することが出来ることとな
る。これにより、一定幅のギャップが生じると共に、両
方の縁99及び910(図9に示されている)が生じ
る。これらの弧の半径r1 、r2 及びr3 と、それぞれ
の弧の長さとは、点d及びe間のトラック1208の部
分が実質的に回転軸Aから距離R2 に位置することとな
る様に選ばれる。点bから点cまでのトラック1208
の部分を作って領域82の下側部分をスパッタリングさ
せるために、半径r1 はr3 より小さく選ばれる。同様
に、半径r3 は、点fからaまでのトラック1208の
部分を作って、領域82の上側部分の追加のスパッタリ
ングを生じさせる様に選ばれる。コーティング厚みの均
一性は、平均の厚みの分数としての厚みの可変性として
測定される。磁極片のパラメータは、この厚みの分数変
化を最小にするために選ばれる。ステップカバレージは
次のようにして測定される。穴又は溝において、コーテ
ィングの最小厚みは1対の相対する側壁の各々の垂直高
さに沿って測定される。ウェーハ面上のフィルム厚さに
対する最小側壁厚みの比は、その穴又は溝の分数ステッ
プカバレージである。ステップカバレージ均一性は、こ
の比の平均値の分数として、この比の可変性として測定
される。
【0034】回転軸aから距離ρt に位置するトラップ
領域の分数のプロットはSi ( ρt) にほぼ等しいの
で、磁極片が軸aの周囲に回転させられるときには、S
i ( ρ t ) にほぼ等しい回転対称スパッタリングパター
ンが生じる。同じく、ギャップの中心線は、その和が回
転軸Aから距離rに位置するトラップ領域の分数に等し
い2個の単調なセクションを有する軸Aから該中心線ま
での半径方向距離rの角度関数θ(r)により数学的に
表される。ウェーハ直径は典型的には100、125、
150又は200mmであり、ターゲット直径は、100
mmの直径のウェーハについての250mmから、直径20
0mmのウェーハについての325mmまでの範囲にわた
る。ウェーハとターゲットとの間の間隔Dは、典型的に
は35mmないし55mmの範囲内にある。直径150mmの
ウェーハについては、図12Aにおける半径R1 は10
2mmであり、半径R2は35mmである。半径102mmの
溝におけるスパッタリングの相対的深さは、半径35mm
の溝におけるそれの2倍である。図9A及び9Bのマグ
ネトロン組立体90は、優れたコーティング厚み均一
性、ステップカバレージ及びステップカバレージ均一性
を生じさせるけれども、馬蹄形磁石の厚みTは、トラッ
ク1208のマグネトロンの側壁912までの最接近距
離D(図9Aに示されている)をTより大きくすること
を余儀無くさせる。
【0035】マグネトロン組立体90の別の実施例が図
15AB−16ABに示されている。電子は、2個の磁
極片1501及び1502の間に形成されたギャップの
中に位置する電子トラップ(破線の中心線で指示されて
いる)の中に捉えられる。該ギャップの幅は実質的に一
定であるので、電子捕獲特性は電子トラップ領域全体に
わたって実質的に一定である。図15Aにおいて、ギャ
ップが回転軸Aを覆うのでターゲットのスパッタリング
がターゲットの中心でも行われることが分かる。これに
より、図8の領域81でのスパッタリング強度が高ま
る。図15AB−16AB及び10のシステムにより生
じる実際のスパッタリング分布Sa ( ρt) は図12に
示されている。ある程度のスパッタリングがターゲット
の全ての点で行われることに注意するべきである。これ
は、剥落してウェーハ上に積る可能性のある微粒子を生
じさせる薄いバックスパッタリングされた領域の形成を
防止するために重要である。図15Aに示されている磁
極片断面を作る能力は、磁極片及び磁石の構造全体によ
りもたらされるものである。この構造が図15AB−1
6ABに示されている。図15Bは、磁石を通る高さで
マグネトロン90を横切る平行断面である。この図は、
該マグネトロン内の磁石1503の位置を示す。これら
の磁石は、外側磁極片1505の底に機械で作られた溝
1504内に位置する。該溝の主な目的は、磁石の頂部
を全て確実に均一な高さに位置せしめることである。磁
極片は、ステンレススチールの程度の磁性を有する強い
強磁性を有する材料であるので、外側磁極片1505と
磁石1503との間の磁気的引力は磁石をこの溝の底に
極めて固く結合させる。しかし、図16Aに示されてい
る様に、マグネトロンがモータ95により回転させられ
るとき、外側磁極片内での磁石の心出しを保証するため
に、ナイロンなどの非圧縮性の非磁性材料1506を磁
石1503と外側磁極片1505の側壁との間に包含さ
せて、外側磁極片1505内での磁石1503の実質的
横心出しを保証する。磁界強度がトラップ領域の全長に
わたって実質的に一定となって、このトラップ領域内に
おいて実質的に均一にイオンを生成せしめるために、磁
石1503を外側磁極片1505の側壁の間に心出しす
ることが重要である。
【0036】この磁極片の対は、概ね3の形状を有す
る。これら磁極片の回転の故に、3の字の先端にブリッ
ジ1507が含まれていて、構造的強度を外側磁極片に
与えている。この磁極片の、モータ取つけ板94への取
り付けを可能にするために、外側磁極片に板1508が
取り付けられている。図16Aは、図15Bに指示され
ているカットに沿う垂直断面図である。この図は、外側
磁極片1505が、内側磁極片1510と実質的に同一
平面をなす縁1509のあるボウル形状であることを示
す。縁1509と内側磁極片1510との間には、ほぼ
一定の幅を有するギャップ1502がある。この図は、
これらの磁極片が、ターゲットの外周囲に遥かに近い強
い磁界を提供することを可能にする構造上の利点をも示
している。トラップ領域とマグネトロンの側壁77との
間隔は、外側磁極片1505の側壁の厚みに磁石150
3と外側磁極片の側壁との間のギャップの幅の約半分を
加えた程度である。この距離は一般には図9の実施例の
最小距離Dより遥かに小さいので、最も外側の溝は、図
9の実施例で達成できるよりも遥かにターゲットの周囲
に接近し得る。この構造は、図9の実施例におけるより
も大量の強磁性材料をマグネトロンに包含させることを
可能にする。これにより、トラップ領域における磁界強
度が増し、従って電子捕獲の有効性が向上する。これに
より、該ギャップにおける電子密度が高まり、従って捕
獲された電子によるイオン化も大量となる。
【0037】図16Bは、カバー板1511を通る平行
断面図である。その中で磁極片が回転するところの凹部
は、ターゲットから受け板を通して冷却水への熱伝達を
促進するために、一般的には水で満たされる。磁石はそ
の水で腐食するので、磁石のために耐水性環境を与える
ことが重要である。これは、カバー板1511を外側磁
極片の側壁の上縁に取りつけることによって達成され
る。外側磁極片には強磁性ステンレススチールが使わ
れ、非磁性ステンレススチールが面板に使われる。磁石
1503の各々は好ましくはネオジム−鉄−硼素磁石又
はサマリウム−コバルト磁石などの極めて強い希土類元
素磁石であるので、特に強い磁界が生成される。強い磁
界は、電子の捕獲力を改善することにより、これらトラ
ップ領域でのイオンの生成を改善する。しかし、使用さ
れる磁石の種類は別として、図15B及び9Aを比較す
れば、図9の実施例に使用することが出来るよりも遥か
に多数の磁石を図15A−16Bの実施例に利用出来る
ことが分かる。ボウル形状の外側磁極片は、馬蹄形磁石
の代わりに棒磁石を使うことを可能にすることにより、
2個の磁極片の間の磁石材料の密度を遥かに高くするこ
とを可能にする。このマグネトロンにより作られる実際
のスパッタリング強度プロフィールが図17に示されて
いる。最も外側のピークが最も深く、且つそれが回転軸
から最も遠いところに生じるので、このピークが少し半
径方向外側に位置決めされても、ターゲット利用が著し
く向上する。これは、図17の強度プロフィールが、図
9Aの磁極片による34.6%のターゲット利用に比べて
(図11に示されている)48.6%のターゲット利用を
行わせることに留意すれば分る。これは、ターゲット利
用の40%向上を表す。ターゲット利用は、均一な腐食
でスパッタリングされる最大量に比してスパッタリング
されるターゲット材料のパーセンテージを表す。
【0038】図11及び17は、11.3”ターゲットの
場合についてのデータを示す。図19は、スパッタリン
グ強度プロフィールと、図18に示されている別の実施
例の場合の様な磁極片について10”ターゲットに得ら
れるターゲット利用とを示す。53.3%のターゲット利
用は、図11のそれに比べて54%の向上を表す。この
構造の他の利点は、図7の従来の実施例により作ること
が出来るよりも鋭い曲がりを持ったトラップ領域を作る
ことが出来ることである。これにより、図9Aの実施例
の2ピークの代わりに3スパッタリングピークの生成が
可能になる。これにより、内側磁極片の形状の選択の柔
軟性も大いに増す。磁極片の平行断面形状は、3という
数字の形状でなくてもよい。この形状が選択された理由
は、それが、コーティング厚み均一性、ステップカバレ
ージ及びステップカバレージ均一性を実質的に最適化す
る3個のスパッタリングピークを作るからである。しか
し、上記の分析によると、内側磁極片の形状は、図8A
及び8Bに示されている理想的分布Si ( rt ) に近似
するスパッタリング強度分布をつくり出す様に選択され
る。実際の分布Sa ( rt )は、トラップ領域の半径方
向分布により決定される。回転軸Aから距離rt に位置
するトラップ領域の一部のプロットはSa ( rt )に実
質的に等しいので、磁極片が軸Aの周囲に回転させられ
るとき、実質的にS a ( rt ) に等しい回転対称スパッ
タリングパターンが生じる。磁極片の別の形状が図18
に示されている。これらの磁極片は、両端で互いに結合
された1対の部分的螺旋の形状を有するギャップを生じ
させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1A及び1Bは、コーティング均一性及びス
テップカバレージを改善する円錐形ターゲットを含むバ
リアンアソシエーツ (Varian Associates)のCONMAG I及
びCONMAG II システムをそれぞれ示す。
【図2】図2は、アネルバ (Anelva) によるスパッタリ
ングシステムを示し、このシステムでは中心点Cの周囲
に回転させられる1対の磁極片によって広い単一の溝が
ターゲットに生成される。
【図3】図3は、高度に斜めの入射粒子について生じる
陰を示す。
【図4】図4は、ウェーハ上にスパッタリングされる粒
子の角度分布を決定する因子を示す。
【図5】図5は、ターゲットが実質的に均一にスパッタ
リングされるときにウェーハ上にスパッタリング蒸着さ
れる粒子の半径方向分布を示す。
【図6】図6は、半径rw におけるウェーハの点Pでの
総フラックスの計算を示す。
【図7】図7は、スパッタリング蒸着されるコーティン
グ厚みを実質的に均一にするのに必要なスパッタリング
強度への理想的半径依存性を示す。
【図8】図8A及び8Bは、深さ、幅及び位置を制御さ
れた1対の溝をスパッタリングすることにより得られる
スパッタリングの理想的半径依存性の近似を示す。
【図9】図9A及び9Bは、優れたスパッタリング蒸着
コーティング厚み均一性、優れたステップカバレージ及
び優れたステップカバレージ均一性を生じさせる磁極片
を有するマグネトロン組立体の上面図及び側面図であ
る。
【図10】図10は、図9A及び9Bのマグネトロン組
立体を利用するスパッタリングシステムを示す。
【図11】図11は、図9Aに示されている磁極片から
生じる実際の2ピーク・スパッタリング分布を示す。
【図12】図12A−12Cは、2トラックスパッタリ
ングシステムから図9A及び9Bのそれへの展開を示
す。
【図13】図13は、ウェーハの点P上に半径方向内向
きの粒子のフラックスを生じさせるスパッタリングされ
る溝の一部を示す。
【図14】図14は、4個の円形の弧から成る一定幅閉
塞カットのある金属シートのフライス削りによりトラッ
クを形成する磁極片の実施例を示す。
【図15】図15Aは、1対の磁極片の形状が、外側ス
パッタリングピークを、図9Aに示されているマグネト
ロンの磁極片により達成されるよりも遥かにターゲット
の外周囲近くまで延長させるマグネトロンの上断面図で
ある。図15Bは磁石の位置を示す図15Aのマグネト
ロンの断面図を示す。
【図16】図16Aは外側磁極片、内側磁極片及び永久
磁石の構造を示す磁極片の垂直断面図を示す。図16B
は磁極片/磁石組立体の遮蔽板を通した頂部断面図を示
す。
【図17】11.3インチターゲットの図15A及び図1
0のシステムによって発生された実際のスパッタリング
分布Sa ( ρt ) を示す。
【図18】マグネトロン磁極片の図9Aと類似する別の
実施例の図。
【図19】図17で示された図9Aの別の実施例によっ
て発生された10インチターゲットに生成された実際の
スパッタリング分布Sa ( ρt ) を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ノーマン ウィリアム パーカー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94533 フェアフィールド バーレル ド ライヴ 2611

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ターゲット及びウェーハが配置されるよ
    うな真空チャンバを有しているスパッタリング装置にお
    いて、該スパッタリング装置は、該ターゲットの方向に
    イオンを加速して該ターゲットをスパッタするために該
    ターゲットに入射する電界を生成する手段を更に含み、
    該ターゲット上の他の領域に比較して該ターゲット上に
    少なくとも一つの増大したスパッタ強度の領域を生成す
    るマグネトロン組立体を有しており、前記マグネトロン
    組立体は、前記内側磁極片と、前記内側磁極片と同一平
    面にありかつ該内側磁極片を囲み当該内側磁極片との間
    に均一なギャップを生成する外側磁極片と、一つの前記
    磁極片に磁気極性をかつ他の前記磁極片に反対の磁気極
    性を付与して前記ギャップを横切って磁界を生成する磁
    石構造体と、前記内側及び外側磁極片を含む平面に実質
    的に垂直な軸の回りに共通の回転速度で該内側及び外側
    磁極片を回転するモータとを備え、前記ターゲットがス
    パッタされている間に前記軸の回りの前記磁極片の回転
    で、少なくとも二つの増大したスパッタリングレートの
    領域が前記軸から異なる半径で前記ターゲット上に形成
    されることを特徴とするマグネトロン組立体。
  2. 【請求項2】 ターゲットからウェーハ上に粒子をスパ
    ッタリングするスパッタリングシステムであって、前記
    ターゲット及びウェーハが配置されるような真空チャン
    バを囲む反応装置と、前記ターゲットから粒子をスパッ
    タすべく該ターゲットにイオンを加速するために当該タ
    ーゲットに実質的に垂直な電界を生成する手段と、プレ
    ーナー強磁性体内側磁極片と、垂直断面がボール形状で
    あり、前記内側磁極片と実質的に同一平面にあるリムを
    有し、かつこれら二つの磁極片間にギャップを生成すべ
    く前記内側磁極片を取り囲む強磁性体外側磁極片と、こ
    れら二つの磁極片の間の前記ギャップを横切って磁界を
    生成する手段と、前記磁極片を含んでおりかつその上に
    前記ウェーハがこの軸に垂直に中心が置かれる平面に実
    質的に垂直な軸Aの回りに共通回転速度でこれら磁極片
    を回転する手段とを備え、前記ギャップは、単一閉ルー
    プの形状を有していることを特徴とするスパッタリング
    システム。
  3. 【請求項3】 一般的にプレーナーなターゲットから基
    板へ粒子をスパッタするスパッタリングシステムであっ
    て、前記ターゲット及び前記基板を取り付ける手段を含
    む真空チャンバと、前記ターゲットにイオンを加速すべ
    く当該ターゲットに実質的に垂直な電界を生成して該タ
    ーゲットの表面から粒子をスパッタする手段と、前記タ
    ーゲットのスパッタリング表面に平行でかつ隣接し、該
    ターゲットに平行な平面における、プラズマ形成を向上
    する単一電子トラップ領域を形成する所定の閉ループ経
    路に一般に垂直な磁界を生成する手段と、回転対称なス
    パッタリング強度分布を供給すべく前記ターゲット及び
    前記基板に実質的に垂直な軸の回りに、前記磁界を生成
    する手段を回転する手段とを備え、前記磁界を生成する
    手段は、前記ターゲットの中心から該側壁の厚みによっ
    て主に決定される距離によりその周囲から離間する地点
    まで電子トラップ領域を伸張させる、比較的薄い連続側
    壁を有している外側磁極片を含むことを特徴とするスパ
    ッタリングシステム。
  4. 【請求項4】 マグネトロン型ターゲットからの粒子を
    基板にスパッタするスパッタリングシステムであって、
    前記ターゲット及び前記基板を囲むための真空チャンバ
    と、前記ターゲットのスパッタリング表面からの粒子を
    スパッタするためにイオンを前記ターゲットに加速すべ
    く前記マグネトロンターゲットに入射する電界を生成す
    る電圧源手段と、強磁性内側磁極片を含んでいる、前記
    ターゲットの別の表面に隣接して配置された磁石構造体
    と、強磁性外側磁極片であり、これら二つの磁極片間に
    ギャップを形成すべく前記内側磁極片を取り囲む該強磁
    性外側磁極片と、これら二つの磁極片間の前記ギャップ
    を横切って磁界を生成する磁石手段と、 前記磁極片に
    実質的に垂直な軸Aの回りに共通回転速度でこれら磁極
    片を回転しかつその上に前記ウェーハがこの軸に垂直に
    中心が置かれるモータ手段とを備え、前記ギャップは、
    軸Aからの各径方向距離(ρt )での該ギャップの部分
    が前記基板上にスパッタされた粒子の均一な厚みを生成
    する分布S i (ρt )に実質的に等しい閉ループの形状
    を有していることを特徴とするスパッタリングシステ
    ム。
  5. 【請求項5】 マグネトロン型ターゲットからの粒子を
    基板の表面領域にスパッタする方法であって、前記ター
    ゲットのスパッタリング表面からの粒子をスパッタすべ
    く当該ターゲットにイオンを加速する電界を生成し;二
    つの磁極片間にギャップを有して外側磁極片が内側磁極
    片を取り囲むように、前記ターゲットの別の表面に隣接
    して該内側強磁性磁極片及び該外側強磁性磁極片を配置
    し、前記磁極片間の前記ギャップを横切って磁界を生成
    し、前記基板表面領域に実質的に垂直でありかつそれに
    実質的に中心が置かれる軸の回りに共通回転速度で前記
    磁極片を回転し、前記二つの磁極片間のギャップが、そ
    のような距離ρt の分布Si (ρt )が前記基板表面領
    域上にスパッタされた粒子の実質的に均一な空間分布を
    生成するように前記軸の回りの角度位置で変化する軸A
    からの径方向距離ρt を有している、閉ループの形状を
    有するように前記二つの磁極片の対応形状を確立する段
    階を具備することを特徴とする方法。
  6. 【請求項6】 ターゲットからの粒子をウェーハにスパ
    ッタするスパッタリングシステムであって、前記ターゲ
    ット及び前記ウェーハが配置されるような真空チャンバ
    を囲む反応装置と、前記ターゲットからの粒子をスパッ
    タするためにイオンを該ターゲットに加速すべく該ター
    ゲットに実質的に垂直な電界を生成する手段と、プレー
    ナー強磁性内側磁極片と、前記内側磁極片と実質的に同
    一平面にありかつこれら二つの磁極片間にギャップを生
    成すべく前記内側磁極片を取り囲むプレーナー強磁性外
    側磁極片と、これら二つの磁極片間の前記ギャップを横
    切って磁界を生成する手段と、前記磁極片を含んでいる
    平面に実質的に垂直でありかつその上に前記ウェーハが
    この軸に垂直に中心が置かれる軸Aの回りに共通回転速
    度でこれら磁極片を回転する手段とを備え、前記ギャッ
    プは、単一閉ループの形状を有しかつ前記軸Aの回りに
    回転されたときに複数のピークスパッタリングの環状領
    域を供給することを特徴とするスパッタリングシステ
    ム。
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