JPH0995732A - 低温用建築鋼材の製造方法及び低温用建築鋼材 - Google Patents
低温用建築鋼材の製造方法及び低温用建築鋼材Info
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- JPH0995732A JPH0995732A JP25517795A JP25517795A JPH0995732A JP H0995732 A JPH0995732 A JP H0995732A JP 25517795 A JP25517795 A JP 25517795A JP 25517795 A JP25517795 A JP 25517795A JP H0995732 A JPH0995732 A JP H0995732A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】安定した低温靭性を有し、かつ低温(−20℃
〜−60℃)で低YR(≦80%)を示す新耐震設計を
可能にする低温低降伏比建築鋼材の製造方法を提供する 【解決手段】B含有量が5ppm以下の鉄基合金を熱間
圧延し、オーステナイト域で圧延を終了後ただちに水冷
し、650℃以下400℃以上で水冷を停止して、組織
をフェライトとベイナイトの2相組織することを特徴と
する低温で低降伏比を示す鋼材の製造方法。
〜−60℃)で低YR(≦80%)を示す新耐震設計を
可能にする低温低降伏比建築鋼材の製造方法を提供する 【解決手段】B含有量が5ppm以下の鉄基合金を熱間
圧延し、オーステナイト域で圧延を終了後ただちに水冷
し、650℃以下400℃以上で水冷を停止して、組織
をフェライトとベイナイトの2相組織することを特徴と
する低温で低降伏比を示す鋼材の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新耐震設計法で設
計される建築分野において、低温倉庫などの使用環境温
度が室温以下の建築物に用いられる低温用建築鋼材の製
造方法及び鋼材に関する。
計される建築分野において、低温倉庫などの使用環境温
度が室温以下の建築物に用いられる低温用建築鋼材の製
造方法及び鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】昭和56に改正施行された建築物の耐震
設計法は、それまでの構造体各部に生ずる応力度を鋼材
の降伏点以内に留めるという弾性設計に変えて、鋼材が
降伏後、最大強さに達するまでの塑性域での変形能力を
活用して、地震入力エネルギーを吸収させ、建物の耐震
安全性を確保しようとするものである。このことから、
新耐震設計法が適用される建築物の鋼材は、降伏後の変
形性能を表すパラメーターである降伏比(YR)が低い
こと、すなわち低降伏比が求められるようになった。
設計法は、それまでの構造体各部に生ずる応力度を鋼材
の降伏点以内に留めるという弾性設計に変えて、鋼材が
降伏後、最大強さに達するまでの塑性域での変形能力を
活用して、地震入力エネルギーを吸収させ、建物の耐震
安全性を確保しようとするものである。このことから、
新耐震設計法が適用される建築物の鋼材は、降伏後の変
形性能を表すパラメーターである降伏比(YR)が低い
こと、すなわち低降伏比が求められるようになった。
【0003】TS400MPa級の鋼材は、熱間圧延を
再結晶域で仕上げ、フェライト+パーライト組織の粗粒
化を図り低降伏比を確保している。また、TS600M
Pa級あるいはそれ以上の高強度鋼では、フェライト−
オーステナイトの2相域から焼入れ焼戻しすることで、
フェライトとベイナイトあるいはマルテンサイトの2相
組織にすることで低降伏比を確保している。
再結晶域で仕上げ、フェライト+パーライト組織の粗粒
化を図り低降伏比を確保している。また、TS600M
Pa級あるいはそれ以上の高強度鋼では、フェライト−
オーステナイトの2相域から焼入れ焼戻しすることで、
フェライトとベイナイトあるいはマルテンサイトの2相
組織にすることで低降伏比を確保している。
【0004】オフィスや住居用の建築物、いわゆるビル
は常温で使用されるため、上述の新耐震設計も常温を前
提になされている。従って、従来の低降伏比鋼も常温
(0〜30℃)でのYR値が80%以下あるいは75%
以下になるように製造されている。
は常温で使用されるため、上述の新耐震設計も常温を前
提になされている。従って、従来の低降伏比鋼も常温
(0〜30℃)でのYR値が80%以下あるいは75%
以下になるように製造されている。
【0005】建築物の中には、低温用倉庫のように使用
温度が低温(−20℃〜−60℃)であるような建築物
がある。例えば、まぐろ用の冷凍倉庫は−55℃で使用
される。また、日本の寒冷地の建物も冬場は−30℃前
後になる。そのような低温用建築物も新耐震設計法を適
用し耐震安全性を確保するためには、低温で低降伏比を
示す鋼材が必要となる。しかし、従来の低降伏比鋼は常
温での使用を前提としているため常温の降伏比は示され
ているものの、低温の降伏比は明らかでない。
温度が低温(−20℃〜−60℃)であるような建築物
がある。例えば、まぐろ用の冷凍倉庫は−55℃で使用
される。また、日本の寒冷地の建物も冬場は−30℃前
後になる。そのような低温用建築物も新耐震設計法を適
用し耐震安全性を確保するためには、低温で低降伏比を
示す鋼材が必要となる。しかし、従来の低降伏比鋼は常
温での使用を前提としているため常温の降伏比は示され
ているものの、低温の降伏比は明らかでない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
従来の低降伏比鋼の低温での引張特性並びに靭性につい
て検討した。多くの低降伏比鋼は上述したように低降伏
比を得るために粗粒であり、そのため靭性が低く、例え
ば−55℃使用の低温倉庫には使用できないことがわか
った。低温靭性に優れた低降伏比鋼に関する従来技術と
して、特開平2−197522号公報や特開平5−21
440号公報が報告されている。両公報とも靭性は−5
5℃使用の低温用倉庫には適用可能なほど優れたデータ
が示されているが、低温のYR値は示されていない。そ
こで、両公報に記載された発明に沿って試作した鋼の低
温引張特性について調べると、たとえば−55℃ではY
Rが80%以上になってしまうことが判明した。また、
靭性に関しても、必ずしも良い値ばかりではなく大きく
ばらつく結果となった。
従来の低降伏比鋼の低温での引張特性並びに靭性につい
て検討した。多くの低降伏比鋼は上述したように低降伏
比を得るために粗粒であり、そのため靭性が低く、例え
ば−55℃使用の低温倉庫には使用できないことがわか
った。低温靭性に優れた低降伏比鋼に関する従来技術と
して、特開平2−197522号公報や特開平5−21
440号公報が報告されている。両公報とも靭性は−5
5℃使用の低温用倉庫には適用可能なほど優れたデータ
が示されているが、低温のYR値は示されていない。そ
こで、両公報に記載された発明に沿って試作した鋼の低
温引張特性について調べると、たとえば−55℃ではY
Rが80%以上になってしまうことが判明した。また、
靭性に関しても、必ずしも良い値ばかりではなく大きく
ばらつく結果となった。
【0007】以上のことから、本発明が解決しようとす
る課題は、安定した低温靭性を有し、かつ低温(−20
℃〜−60℃)で低YR(≦80%)を示す新耐震設計
を可能にする低温低降伏比建築鋼材の製造方法を提供す
るものである。
る課題は、安定した低温靭性を有し、かつ低温(−20
℃〜−60℃)で低YR(≦80%)を示す新耐震設計
を可能にする低温低降伏比建築鋼材の製造方法を提供す
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、B含有量
が5ppm以下の鉄基合金を熱間圧延後、オーステナイ
ト域で圧延を終了後ただちに水冷し、650℃以下40
0℃以上で水冷を停止し、組織をフェライトとベイナイ
トの2相組織することを特徴とする低温で低降伏比を示
す鋼材の製造方法である。
が5ppm以下の鉄基合金を熱間圧延後、オーステナイ
ト域で圧延を終了後ただちに水冷し、650℃以下40
0℃以上で水冷を停止し、組織をフェライトとベイナイ
トの2相組織することを特徴とする低温で低降伏比を示
す鋼材の製造方法である。
【0009】第2の発明は、重量比で、C:0.06〜
0.18%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
5〜1.7%、Al:0.001〜0.6%、B≦5p
pm、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱
間圧延し、750℃以上で圧延を終了後ただちに水冷
し、650℃以下400℃以上で水冷を停止することを
特徴とする低温で低降伏比を有する低温用建築鋼材の製
造方法である。
0.18%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
5〜1.7%、Al:0.001〜0.6%、B≦5p
pm、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱
間圧延し、750℃以上で圧延を終了後ただちに水冷
し、650℃以下400℃以上で水冷を停止することを
特徴とする低温で低降伏比を有する低温用建築鋼材の製
造方法である。
【0010】第3の発明は、重量比で、C:0.06〜
0.18%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
5〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、B≦5
ppmと、Ti:0.005〜0.015%、Nb:
0.005〜0.04%、V:0.005〜0.1%、
Cu:0.05〜0.6%、Ni:0.05〜0.6
%、Cr:0.05〜1.0%及びMo:0.02〜
0.6%から選択された1種または2種以上を含み、残
部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を750℃以
上で圧延を終了後ただちに水冷し、650℃以下400
℃以上で水冷を停止することを特徴とする低温で低降伏
比を有する低温用建築鋼材の製造方法である。
0.18%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
5〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、B≦5
ppmと、Ti:0.005〜0.015%、Nb:
0.005〜0.04%、V:0.005〜0.1%、
Cu:0.05〜0.6%、Ni:0.05〜0.6
%、Cr:0.05〜1.0%及びMo:0.02〜
0.6%から選択された1種または2種以上を含み、残
部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を750℃以
上で圧延を終了後ただちに水冷し、650℃以下400
℃以上で水冷を停止することを特徴とする低温で低降伏
比を有する低温用建築鋼材の製造方法である。
【0011】第4の発明は、重量比で、C:0.06〜
0.18%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
5〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、B≦5
ppm、0≦30ppm、N≦30ppmで残部がFe
および不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延し、750
℃以上で圧延を終了後ただちに水冷し、650℃以下4
00℃以上で水冷を停止することを特徴とする低温靭性
に優れ、低温で低降伏比を有する低温用建築鋼材の製造
方法である。
0.18%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
5〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、B≦5
ppm、0≦30ppm、N≦30ppmで残部がFe
および不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延し、750
℃以上で圧延を終了後ただちに水冷し、650℃以下4
00℃以上で水冷を停止することを特徴とする低温靭性
に優れ、低温で低降伏比を有する低温用建築鋼材の製造
方法である。
【0012】第5の発明は、重量比で、C:0.06〜
0.18%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
5〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、B≦5
ppm、0≦30ppm、N≦30ppmと、Ti:
0.005〜0.015%、Nb:0.005〜0.0
4%、V:0.005〜0.1%、Cu:0.05〜
0.6%、Ni:0.05〜0.6%、Cr:0.05
〜1.0%及びMo:0.02〜0.6%から選択され
た1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避
的不純物からなる鋼を熱間圧延し、750℃以上で圧延
を終了後ただちに水冷し、650℃以下400℃以上で
水冷を停止することを特徴とする低温靭性に優れ、低温
で低降伏比を有する低温用建築鋼材の製造方法である。
0.18%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
5〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、B≦5
ppm、0≦30ppm、N≦30ppmと、Ti:
0.005〜0.015%、Nb:0.005〜0.0
4%、V:0.005〜0.1%、Cu:0.05〜
0.6%、Ni:0.05〜0.6%、Cr:0.05
〜1.0%及びMo:0.02〜0.6%から選択され
た1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避
的不純物からなる鋼を熱間圧延し、750℃以上で圧延
を終了後ただちに水冷し、650℃以下400℃以上で
水冷を停止することを特徴とする低温靭性に優れ、低温
で低降伏比を有する低温用建築鋼材の製造方法である。
【0013】第6の発明は、鋼の組成を、P:≦0.0
15%、S:≦0.002%に規制し、Ca:Ca/S
で0.5以上2.0以下、REM:0.005〜0.0
2%の少なくとも一方が添加された超大入熱溶接のHA
Z割れ感受性の低い低温靭性に優れかつ低温でも低降伏
比を有する低温用建築鋼材の製造方法である。
15%、S:≦0.002%に規制し、Ca:Ca/S
で0.5以上2.0以下、REM:0.005〜0.0
2%の少なくとも一方が添加された超大入熱溶接のHA
Z割れ感受性の低い低温靭性に優れかつ低温でも低降伏
比を有する低温用建築鋼材の製造方法である。
【0014】第7の発明は、上述の方法により製造され
た鋼材であって、−20℃〜−60℃の低温で使用され
る建築物に使用される鋼材である。以下本発明を詳細に
説明する。
た鋼材であって、−20℃〜−60℃の低温で使用され
る建築物に使用される鋼材である。以下本発明を詳細に
説明する。
【0015】本発明に係る鋼材はB含有量が5ppm以
下の鉄基合金であり、主たる組織をフェライトとベイナ
イトの2相組織とすることにより、低温で低降伏比を有
している。すなわち、本発明者らは、ミクロ組織と低温
YRの関係を鋭意検討した結果、以下に示す重要な知見
を見いだした。
下の鉄基合金であり、主たる組織をフェライトとベイナ
イトの2相組織とすることにより、低温で低降伏比を有
している。すなわち、本発明者らは、ミクロ組織と低温
YRの関係を鋭意検討した結果、以下に示す重要な知見
を見いだした。
【0016】まず、図1は、表2、表3のA1ならびに
A2鋼板を供試材に用いて、低温の降伏比に及ぼす組織
の影響を調べたもので、図中のα+BがA1鋼板、α+
PがA2鋼板である。図から分かるように、YR値は引
張試験温度が低温になるほど上昇する。しかし、フェラ
イト+パーライト組織(α+P)よりもフェライト+ベ
イナイト組織(α+B)の方が上昇程度が低い。フェラ
イトとベイナイトの混合組織にすることで−100℃で
もYR<80%以下が達成されている。
A2鋼板を供試材に用いて、低温の降伏比に及ぼす組織
の影響を調べたもので、図中のα+BがA1鋼板、α+
PがA2鋼板である。図から分かるように、YR値は引
張試験温度が低温になるほど上昇する。しかし、フェラ
イト+パーライト組織(α+P)よりもフェライト+ベ
イナイト組織(α+B)の方が上昇程度が低い。フェラ
イトとベイナイトの混合組織にすることで−100℃で
もYR<80%以下が達成されている。
【0017】以上のことから、低温(−20℃〜−60
℃)で低YR(≦80%)を示す新耐震設計を可能にす
る低温低降伏比建築鋼材の必要条件は、主にフェライト
とベイナイトの2相組織とすることがわかった。
℃)で低YR(≦80%)を示す新耐震設計を可能にす
る低温低降伏比建築鋼材の必要条件は、主にフェライト
とベイナイトの2相組織とすることがわかった。
【0018】さらに本発明者は、組織をフェライトとベ
イナイトの2相組織にするには、鋼中に混入しているB
量の制御が非常に重要であることを見いだした。図3
は、表1に示すA,B,C,D鋼と同鋼種においてB含
有量が0〜12ppmの範囲で変化した4鋼種をそれぞ
れオーステナイト域で圧延を終了後ただちに水冷し、6
50℃以下400℃以上で水冷を停止した時の鋼中のB
含有量と−55℃でのYR値の関係を示している。B含
有量が5ppm以下の鋼は、−55℃のYR値が低いこ
とがわかった。組織を見ると、B含有量が5ppm以下
の鋼は、フェライトとベイナイト組織の2相組織を有し
ていたのに対して、B含有量が5ppmを超える鋼で
は、ベイナイト主体の組織であることが判明した。Bは
オーステナイト粒界に偏析し、焼入を増す元素であるこ
とが従来から知られている元素であるが、それを5pp
m以下に制御することで、加速冷却時に粒界フェライト
の核生成を容易にし、その結果、安定してフェライトが
得られたのである。従って、本発明では、B含有量を5
ppm以下とする。
イナイトの2相組織にするには、鋼中に混入しているB
量の制御が非常に重要であることを見いだした。図3
は、表1に示すA,B,C,D鋼と同鋼種においてB含
有量が0〜12ppmの範囲で変化した4鋼種をそれぞ
れオーステナイト域で圧延を終了後ただちに水冷し、6
50℃以下400℃以上で水冷を停止した時の鋼中のB
含有量と−55℃でのYR値の関係を示している。B含
有量が5ppm以下の鋼は、−55℃のYR値が低いこ
とがわかった。組織を見ると、B含有量が5ppm以下
の鋼は、フェライトとベイナイト組織の2相組織を有し
ていたのに対して、B含有量が5ppmを超える鋼で
は、ベイナイト主体の組織であることが判明した。Bは
オーステナイト粒界に偏析し、焼入を増す元素であるこ
とが従来から知られている元素であるが、それを5pp
m以下に制御することで、加速冷却時に粒界フェライト
の核生成を容易にし、その結果、安定してフェライトが
得られたのである。従って、本発明では、B含有量を5
ppm以下とする。
【0019】そして、本発明方法では、上述の鉄基合金
を熱間圧延し、オーステナイト域、特に750℃以上で
圧延を終了後ただちに水冷し、650℃以下400℃以
上で水冷を停止することにより製造される。オーステナ
イト域、特に750℃以上で圧延を終了する理由は、2
相域で圧延をするとYRが著しく上昇するためであり、
本発明成分であればAr3≦750℃であるからであ
る。本発明では、能率を考慮して圧延終了後直ちに水冷
するが、30℃程度の温度降下は許容する。650℃以
下400℃以上で水冷を停止する理由は、停止温度が6
50℃を超える高温の場合には、組織がフェライト+パ
ーライト組織になってしまう。また、停止温度が400
℃を下回る低温の場合には、マルテンサイトが混入し著
しく靭性が劣化してしまう。
を熱間圧延し、オーステナイト域、特に750℃以上で
圧延を終了後ただちに水冷し、650℃以下400℃以
上で水冷を停止することにより製造される。オーステナ
イト域、特に750℃以上で圧延を終了する理由は、2
相域で圧延をするとYRが著しく上昇するためであり、
本発明成分であればAr3≦750℃であるからであ
る。本発明では、能率を考慮して圧延終了後直ちに水冷
するが、30℃程度の温度降下は許容する。650℃以
下400℃以上で水冷を停止する理由は、停止温度が6
50℃を超える高温の場合には、組織がフェライト+パ
ーライト組織になってしまう。また、停止温度が400
℃を下回る低温の場合には、マルテンサイトが混入し著
しく靭性が劣化してしまう。
【0020】本発明におけるC,Si,Mn,Alの添
加理由および添加量は、通常の溶接構造用鋼が所要の材
質を得るために、以下のごとく限定した。Cは最も安価
な元素で強度化に有効な元素であるが、0.18%を超
えて添加すると溶接性が著しく低下する。0.06%未
満では、厚物で強度が不足し、多量の合金元素の添加が
必要となり、コスト高を招く、また、0.18%超えで
は、溶接性が著しく劣化する。従って、Cは0.06%
以上0.18%以下に規定した。
加理由および添加量は、通常の溶接構造用鋼が所要の材
質を得るために、以下のごとく限定した。Cは最も安価
な元素で強度化に有効な元素であるが、0.18%を超
えて添加すると溶接性が著しく低下する。0.06%未
満では、厚物で強度が不足し、多量の合金元素の添加が
必要となり、コスト高を招く、また、0.18%超えで
は、溶接性が著しく劣化する。従って、Cは0.06%
以上0.18%以下に規定した。
【0021】Siは鋼材の強度、溶鋼の予備脱酸に必要
な元素である。予備脱酸のためには、0.05%以上の
添加が必要である。0.4%を超える過剰の添加は、鋼
材の靭性、溶接HAZ靭性を劣化させる。従って、Si
量は0.05%以上0.4%以下に限定した。
な元素である。予備脱酸のためには、0.05%以上の
添加が必要である。0.4%を超える過剰の添加は、鋼
材の靭性、溶接HAZ靭性を劣化させる。従って、Si
量は0.05%以上0.4%以下に限定した。
【0022】Mnは、母材の強度を確保するため、必要
な元素である。0.5%未満では、厚物で強度が不足
し、多量の合金元素の添加が必要となり、コスト高を招
く。また、Mnは中央偏析しやすい元素である。1.7
%を超えて添加すると、板厚中央が著しく脆化する。従
って、Mnの範囲を0.5%以上1.7%以下に限定し
た。
な元素である。0.5%未満では、厚物で強度が不足
し、多量の合金元素の添加が必要となり、コスト高を招
く。また、Mnは中央偏析しやすい元素である。1.7
%を超えて添加すると、板厚中央が著しく脆化する。従
って、Mnの範囲を0.5%以上1.7%以下に限定し
た。
【0023】Alは、脱酸に必要な元素である。Al量
として0.001%未満では、十分な脱酸効果が期待で
きない。また、0.06%を超えて過剰に添加すると、
連続鋳造スラブの表面にキズが発生しやすい。従って、
Al量は0.001%以上0.06%以下に限定した。
として0.001%未満では、十分な脱酸効果が期待で
きない。また、0.06%を超えて過剰に添加すると、
連続鋳造スラブの表面にキズが発生しやすい。従って、
Al量は0.001%以上0.06%以下に限定した。
【0024】Nは固体鋼中に固溶Nや窒化物系介在物と
して存在する。固溶Nや粗大窒化物系介在物は、鋼の低
温靭性を劣化させる。30ppmを超えてNを含有する
と固溶Nが存在する、また、最終凝固部には粗大な窒化
物(ex.TiNやNbN)が生成しやすくなり、優れ
た低温靭性が得られない。従って、N含有量を0.00
3%以下に規制した。
して存在する。固溶Nや粗大窒化物系介在物は、鋼の低
温靭性を劣化させる。30ppmを超えてNを含有する
と固溶Nが存在する、また、最終凝固部には粗大な窒化
物(ex.TiNやNbN)が生成しやすくなり、優れ
た低温靭性が得られない。従って、N含有量を0.00
3%以下に規制した。
【0025】Oは30ppm以下に規制する。このこと
は本発明者の実験により見出された。 すなわち、図2
は、A鋼と同鋼種において酸素のみ14〜42ppmの
範囲で変化した鋼を供試鋼に用いて、vE−55に及ぼ
す酸素含有量の影響を調べたものである。フェライトと
ベイナイト混合組織の低温靭性は、図2に示すようにか
なりのバラツキを有しているが、その下限値は酸素含有
両により支配され、酸素含有量を30ppm以下にする
ことでvE-55 (minimum) >100Jを満たす安定した
靭性が得られることがわかった。これは、酸素含有量を
30ppm以下にすることで、マイクロクラックの発生
起点となる鋼中酸化物の減少、微細化したためである。
このことから、安定した低温靭性を付与するためには、
酸素含有量が30ppm以下にする必要があることがわ
かった。以上の理由により、酸素含有量を30ppm以
下にした。
は本発明者の実験により見出された。 すなわち、図2
は、A鋼と同鋼種において酸素のみ14〜42ppmの
範囲で変化した鋼を供試鋼に用いて、vE−55に及ぼ
す酸素含有量の影響を調べたものである。フェライトと
ベイナイト混合組織の低温靭性は、図2に示すようにか
なりのバラツキを有しているが、その下限値は酸素含有
両により支配され、酸素含有量を30ppm以下にする
ことでvE-55 (minimum) >100Jを満たす安定した
靭性が得られることがわかった。これは、酸素含有量を
30ppm以下にすることで、マイクロクラックの発生
起点となる鋼中酸化物の減少、微細化したためである。
このことから、安定した低温靭性を付与するためには、
酸素含有量が30ppm以下にする必要があることがわ
かった。以上の理由により、酸素含有量を30ppm以
下にした。
【0026】Nb,V,Cu,Ni,Cr,Moは、高
強度化に有効な元素である。Nb<0.005%,V<
0.005%,Cu<0.05%,Ni<0.05%,
Cr<0.05%,Mo<0.02%では明瞭な強度上
昇効果が見られない。このため、Nb,V,Cu,N
i,Cr,Moの下限を本発明の範囲にした。
強度化に有効な元素である。Nb<0.005%,V<
0.005%,Cu<0.05%,Ni<0.05%,
Cr<0.05%,Mo<0.02%では明瞭な強度上
昇効果が見られない。このため、Nb,V,Cu,N
i,Cr,Moの下限を本発明の範囲にした。
【0027】一方、NbはNb(CN)、VはVCが析
出し高強度化に寄与するが、0.04%を超えたNbの
添加、0.1%を超えたVの添加は、降伏比を著しく上
昇させてしまう。従って、Nbを0.005%以上0.
04%以下に、Vを0.005%以上0.1%以下に限
定した。
出し高強度化に寄与するが、0.04%を超えたNbの
添加、0.1%を超えたVの添加は、降伏比を著しく上
昇させてしまう。従って、Nbを0.005%以上0.
04%以下に、Vを0.005%以上0.1%以下に限
定した。
【0028】Cu,Ni,Cr,Moは、固溶強化や焼
入性向上効果を通して、高強度化に寄与する。0.6%
を超えるCuの添加は著しくCu割れ発生の危険性を増
大させる。Niは高価な元素でありコストの観点から、
上限を0.6%とした。1%を超えるCr、0.6%を
超えるMoの添加は溶接性を著しく劣化させる。従っ
て、Cuを0.05%以上0.6%以下、Niを0.0
5%以上0.6%以下、Crを0.05%以上1%以
下、Moを0.02%以上0.6%以下に限定した。
入性向上効果を通して、高強度化に寄与する。0.6%
を超えるCuの添加は著しくCu割れ発生の危険性を増
大させる。Niは高価な元素でありコストの観点から、
上限を0.6%とした。1%を超えるCr、0.6%を
超えるMoの添加は溶接性を著しく劣化させる。従っ
て、Cuを0.05%以上0.6%以下、Niを0.0
5%以上0.6%以下、Crを0.05%以上1%以
下、Moを0.02%以上0.6%以下に限定した。
【0029】Tiは、TiNの溶接HAZ部の組織粗大
化を抑制してHAZ靭性の向上に寄与する元素である。
0.005%未満のTi添加ではHAZ靭性向上効果が
発揮されない。0.015%を超えて添加すると溶接の
冷却過程でTiCが析出し、HAZ靭性の劣化を招く。
従って、Tiを0.005%以上、0.015%以下に
限定した。
化を抑制してHAZ靭性の向上に寄与する元素である。
0.005%未満のTi添加ではHAZ靭性向上効果が
発揮されない。0.015%を超えて添加すると溶接の
冷却過程でTiCが析出し、HAZ靭性の劣化を招く。
従って、Tiを0.005%以上、0.015%以下に
限定した。
【0030】Sは中央偏析し、その部分でMnSを形成
する。MnSは圧延より伸長するため、鋼板の板厚中央
部には伸長したMnSが他の部分より多く存在する。本
発明の用途は建築向けであり、その多くは大入熱のサブ
マージアーク溶接(SAW)でボックス柱に組み立てら
れ、建築物に使用される。大入熱サブマージアーク溶接
では、鉄粉入りのボンド型フラックスを大量使用するた
め、他の溶接法に比較すると鋼中に侵入する水素量が高
くなり、しばしばその熱影響部に割れが発生する。割れ
の発生起点は板厚中央の伸長化したMnSである。伸長
MnSと地鉄界面に溶接水素が集積し、水素誘起割れを
起こすのである。0.002%を越えるSが含有されて
いると、板厚中央のMnSが大型化し、ボックス柱角継
手部にHAZ割れが発生しやすくなる。従って、S含有
量は0.002%以下に規制した。
する。MnSは圧延より伸長するため、鋼板の板厚中央
部には伸長したMnSが他の部分より多く存在する。本
発明の用途は建築向けであり、その多くは大入熱のサブ
マージアーク溶接(SAW)でボックス柱に組み立てら
れ、建築物に使用される。大入熱サブマージアーク溶接
では、鉄粉入りのボンド型フラックスを大量使用するた
め、他の溶接法に比較すると鋼中に侵入する水素量が高
くなり、しばしばその熱影響部に割れが発生する。割れ
の発生起点は板厚中央の伸長化したMnSである。伸長
MnSと地鉄界面に溶接水素が集積し、水素誘起割れを
起こすのである。0.002%を越えるSが含有されて
いると、板厚中央のMnSが大型化し、ボックス柱角継
手部にHAZ割れが発生しやすくなる。従って、S含有
量は0.002%以下に規制した。
【0031】Pも非常に中央偏析しやすい元素であり、
0.015%を超えて含有していると、板厚中央部を著
しく硬化させる。上述のMnSを起点としたHAZ割れ
は、周囲が硬化しているほど割れが伝播しやすくなる。
すなわち、大入熱サブマージアーク溶接で施工したボッ
クス柱角継手部に水素割れ抑制のため、Pを0.015
%以下に規制した。
0.015%を超えて含有していると、板厚中央部を著
しく硬化させる。上述のMnSを起点としたHAZ割れ
は、周囲が硬化しているほど割れが伝播しやすくなる。
すなわち、大入熱サブマージアーク溶接で施工したボッ
クス柱角継手部に水素割れ抑制のため、Pを0.015
%以下に規制した。
【0032】Ca,REMは、ボックス柱角継手部のH
AZ割れ抑制のために添加する。上述したように、HA
Z割れの起点は伸長したMnSであり、伸長化を抑制す
れば割れの防止が図られる。CaとREMは、鋼中硫化
物をそれぞれCaS、REM−Sに変化せしめ、それら
は圧延しても伸長化しない。Ca/S:0.5未満、R
EM:0.005%未満では、十分な硫化物の伸長化抑
制が達成されない。また、Ca/S:2超え、REM:
0.02%超えの添加は、クラスター状の介在物(Ca
−Al−O−S,REM−O−S)を増やし、上記HA
Z割れ抑制に逆効果である。従って、CaをCa/Sで
0.5以上2以下、REMを0.005%以上0.02
%以下に限定した。
AZ割れ抑制のために添加する。上述したように、HA
Z割れの起点は伸長したMnSであり、伸長化を抑制す
れば割れの防止が図られる。CaとREMは、鋼中硫化
物をそれぞれCaS、REM−Sに変化せしめ、それら
は圧延しても伸長化しない。Ca/S:0.5未満、R
EM:0.005%未満では、十分な硫化物の伸長化抑
制が達成されない。また、Ca/S:2超え、REM:
0.02%超えの添加は、クラスター状の介在物(Ca
−Al−O−S,REM−O−S)を増やし、上記HA
Z割れ抑制に逆効果である。従って、CaをCa/Sで
0.5以上2以下、REMを0.005%以上0.02
%以下に限定した。
【0033】そして、本発明によれば、安定した低温靭
性を有し、かつ低温(−20℃〜−60℃)で低YR
(≦80%)を示しているので、新耐震設計を可能にす
る低温低降伏比建築鋼材を製造することができる。
性を有し、かつ低温(−20℃〜−60℃)で低YR
(≦80%)を示しているので、新耐震設計を可能にす
る低温低降伏比建築鋼材を製造することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】表1、表2に供試鋼の化学成分を
示す。鋼H,Pは40キロ級、鋼I,J,U,VはTS
60キロ級の鋼であり、その他はTS50キロ級の鋼で
ある。すべて、軽圧下プロセスを含む連続鋳造にてスラ
ブにされた。上記の鋼を表2に示す製造条件にて鋼板と
した。表3,4には得られた鋼板のミクロ組織、機械試
験値並び大入熱SAW角継手耐HAZ割れ率が併記され
ている。表3中、“α+B”はフェライト+ベイナイト
組織、“α+P”はフェライト+パーライト組織、“α
+B+M”はフェライト+ベイナイト+マルテンサイト
組織を示す。
示す。鋼H,Pは40キロ級、鋼I,J,U,VはTS
60キロ級の鋼であり、その他はTS50キロ級の鋼で
ある。すべて、軽圧下プロセスを含む連続鋳造にてスラ
ブにされた。上記の鋼を表2に示す製造条件にて鋼板と
した。表3,4には得られた鋼板のミクロ組織、機械試
験値並び大入熱SAW角継手耐HAZ割れ率が併記され
ている。表3中、“α+B”はフェライト+ベイナイト
組織、“α+P”はフェライト+パーライト組織、“α
+B+M”はフェライト+ベイナイト+マルテンサイト
組織を示す。
【0035】引張試験片は1/4t近傍よりC方向に採
取されたJIS4号である。シャルピー衝撃試験片は1
/4tよりL方向に採取された。またvE-55 (ave) 、
vE-55 (min) は、N数9の平均値と最小値である。大
入熱SAW角継手耐HAZ割れ性は、図4に示す寸法・
形状の試験体で半ボックス施工試験を行い、溶接部の超
音波探傷を実施し、割れの発生状況を測定することより
評価した。同図において、1はSAWによる角溶接部、
2はウェブ鋼板、3はフランジ鋼板、4はダイヤフラ
ム、5はエレクトロスラグ溶接部、そして6は溶接漏れ
がないようにするための当て金であり、tは板厚を示
す。半ボックス施工試験によるSAW角溶接は、2電極
の1層溶接であり、溶接入熱は、鋼板板厚に応じて15
0kJ/cm(板厚16mmの時)〜570kJ/cm
(板厚70mmの時)で実施した。その際、溶接フラッ
クスには、鉄粉入りボンド型フラックスを温度30℃、
湿度80%の環境で3時間放置し、故意に吸湿させたも
のを用いた。吸湿フラックスを用いたのは、溶接時に侵
入する水素量を上昇させ、鋼板の溶接水素による割れ感
受性を明瞭に評価するためである。溶接後、3日間放置
し、図3中の矢印でUSTで示した溶接フランジ角部を
JIS G 0910に準じて超音波探傷を行い、割れ
プロフィールを、図5のように描いた。同図において、
斜線部は超音波探傷により検出されたΔ欠陥およびX欠
陥のエコー発生部分7であり、C1 ,C2,C3 はその
長さ、即ち、割れ発生部分の溶接長方向の長さを示す。
溶接長Lに対する、各割れ長さC1 ,C2 ,C3 ,…の
和の割合(長さ%)をHAZ割れ率=(C1 +C2 +C
3 +…)/Lと定義した。なお、この試験においては、
L=700mmである。
取されたJIS4号である。シャルピー衝撃試験片は1
/4tよりL方向に採取された。またvE-55 (ave) 、
vE-55 (min) は、N数9の平均値と最小値である。大
入熱SAW角継手耐HAZ割れ性は、図4に示す寸法・
形状の試験体で半ボックス施工試験を行い、溶接部の超
音波探傷を実施し、割れの発生状況を測定することより
評価した。同図において、1はSAWによる角溶接部、
2はウェブ鋼板、3はフランジ鋼板、4はダイヤフラ
ム、5はエレクトロスラグ溶接部、そして6は溶接漏れ
がないようにするための当て金であり、tは板厚を示
す。半ボックス施工試験によるSAW角溶接は、2電極
の1層溶接であり、溶接入熱は、鋼板板厚に応じて15
0kJ/cm(板厚16mmの時)〜570kJ/cm
(板厚70mmの時)で実施した。その際、溶接フラッ
クスには、鉄粉入りボンド型フラックスを温度30℃、
湿度80%の環境で3時間放置し、故意に吸湿させたも
のを用いた。吸湿フラックスを用いたのは、溶接時に侵
入する水素量を上昇させ、鋼板の溶接水素による割れ感
受性を明瞭に評価するためである。溶接後、3日間放置
し、図3中の矢印でUSTで示した溶接フランジ角部を
JIS G 0910に準じて超音波探傷を行い、割れ
プロフィールを、図5のように描いた。同図において、
斜線部は超音波探傷により検出されたΔ欠陥およびX欠
陥のエコー発生部分7であり、C1 ,C2,C3 はその
長さ、即ち、割れ発生部分の溶接長方向の長さを示す。
溶接長Lに対する、各割れ長さC1 ,C2 ,C3 ,…の
和の割合(長さ%)をHAZ割れ率=(C1 +C2 +C
3 +…)/Lと定義した。なお、この試験においては、
L=700mmである。
【0036】表3,4をみると、B含有量が5ppm以
下の鋼を熱間圧延し、750℃以上で圧延終了後ただち
に水冷し、650℃以下400℃以上の温度範囲で水冷
を停止した場合(A1,B1,C1,D1,E1,F
1,G1,H1,I1,J1,K1,L1,M1,N
1,O1,V1)は、フェライトとベイナイトの2相組
織から得られており、−55℃のYR値も80%以下の
低い値が得られている。Bが5ppm以下の鋼でも水冷
を施していないA2,H2は、それぞれ発明鋼のA1,
H1に比較した−55℃のYR値が高く、靭性も低い。
Bが5ppm以下の鋼でも水冷停止温度が650℃以上
で停止したB2は、フェライトとパーライト組織になっ
ており、発明鋼B1に比較すると−55℃のYR値が高
く、靭性が低い。また、Bが5ppm以下の鋼でも水冷
停止温度が400℃を下まわる温度で停止したA3は、
マルテンサイトが生成し、−55℃のYR値が高く、靭
性が低い。
下の鋼を熱間圧延し、750℃以上で圧延終了後ただち
に水冷し、650℃以下400℃以上の温度範囲で水冷
を停止した場合(A1,B1,C1,D1,E1,F
1,G1,H1,I1,J1,K1,L1,M1,N
1,O1,V1)は、フェライトとベイナイトの2相組
織から得られており、−55℃のYR値も80%以下の
低い値が得られている。Bが5ppm以下の鋼でも水冷
を施していないA2,H2は、それぞれ発明鋼のA1,
H1に比較した−55℃のYR値が高く、靭性も低い。
Bが5ppm以下の鋼でも水冷停止温度が650℃以上
で停止したB2は、フェライトとパーライト組織になっ
ており、発明鋼B1に比較すると−55℃のYR値が高
く、靭性が低い。また、Bが5ppm以下の鋼でも水冷
停止温度が400℃を下まわる温度で停止したA3は、
マルテンサイトが生成し、−55℃のYR値が高く、靭
性が低い。
【0037】B含有量が5ppmを超えるP1,R1,
S1,T1,U1,W1,X1はベイナイト主体の組織
になっており、−55℃のYRが高い。ここで、P1の
−55℃のYR値は71,6%を示しているが、40キ
ロ級としては高い。酸素含有量30ppmを超えるQ
1,S1,U1,V1,W1,X1は、vE-55 のmini
mum 値が低く、安定した低温靭性が得られていない。さ
らに、N含有量が30ppmを超えるQ1,S1,U
1,X1はvTsも−45℃以上と特に低靭性である。
S1,T1,U1,W1,X1はベイナイト主体の組織
になっており、−55℃のYRが高い。ここで、P1の
−55℃のYR値は71,6%を示しているが、40キ
ロ級としては高い。酸素含有量30ppmを超えるQ
1,S1,U1,V1,W1,X1は、vE-55 のmini
mum 値が低く、安定した低温靭性が得られていない。さ
らに、N含有量が30ppmを超えるQ1,S1,U
1,X1はvTsも−45℃以上と特に低靭性である。
【0038】S≦20ppm,P≦0.015%以下で
Ca/Sで0.5以上2.0以下のCaが添加された鋼
J,K,Mおよび0.005以上0.02%以下のRE
Mが添加された鋼Lは、HAZ割れが発生していない。
Caが添加されていてもCa/Sが0.5未満の鋼Oや
2.0超え鋼Nならびに過剰のREMが添加された鋼X
では、HAZ割れが発生している。
Ca/Sで0.5以上2.0以下のCaが添加された鋼
J,K,Mおよび0.005以上0.02%以下のRE
Mが添加された鋼Lは、HAZ割れが発生していない。
Caが添加されていてもCa/Sが0.5未満の鋼Oや
2.0超え鋼Nならびに過剰のREMが添加された鋼X
では、HAZ割れが発生している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】以上の結果から明らかなように、本発明
にかかる鋼材は、安定した低温靭性を有し、かつ低温
(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80%)を示すの
で、低温で使用される建築構造物の新耐震設計を可能に
する。従って、建物の安全性が増す。また、鋼材の大量
生産が可能で、しかも価額も安く、溶接施工が容易で、
建設工期も短縮でき、全体として建設費が低廉で済む。
にかかる鋼材は、安定した低温靭性を有し、かつ低温
(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80%)を示すの
で、低温で使用される建築構造物の新耐震設計を可能に
する。従って、建物の安全性が増す。また、鋼材の大量
生産が可能で、しかも価額も安く、溶接施工が容易で、
建設工期も短縮でき、全体として建設費が低廉で済む。
【図1】引張試験温度と降伏比(=降伏強度/引張強
度)の関係を示した図。
度)の関係を示した図。
【図2】酸素含有量と−55℃で試験したシャルピー衝
撃吸収エネルギー(vE-55 )の関係を示した図。
撃吸収エネルギー(vE-55 )の関係を示した図。
【図3】B含有量と−55℃のYR値の関係を示した
図。
図。
【図4】大入熱SAWによる半ボックス試験体の形状、
および超音波探傷試験位置の説明図。
および超音波探傷試験位置の説明図。
【図5】半ボックス施工試験におけるHAZ割れ率の定
義を説明する図。
義を説明する図。
1…SAW角溶接部、2…ウェブ鋼板、3…フランジ鋼
板、4…ダイヤフラム、5…エレクトロスラグダイヤフ
ラム溶接部、6…当て金、7…超音波探傷によるΔ欠陥
およびX欠陥エコー発生部分。
板、4…ダイヤフラム、5…エレクトロスラグダイヤフ
ラム溶接部、6…当て金、7…超音波探傷によるΔ欠陥
およびX欠陥エコー発生部分。
フロントページの続き (72)発明者 石川 博 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (7)
- 【請求項1】 B含有量が5ppm以下の鉄基合金を熱
間圧延し、オーステナイト域で圧延終了後、ただちに水
冷し、650℃以下400℃以上で水冷を停止して、主
たる組織をフェライトとベイナイトの2相組織すること
を特徴とする低温で低降伏比を示す低温用建築鋼材の製
造方法。 - 【請求項2】 重量比で、C:0.06〜0.18%、
Si:0.05〜0.40%、Mn:0.5〜1.7
%、Al:0.001〜0.06%、B≦5ppm、残
部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延
し、750℃以上で圧延を終了後、ただちに水冷し、6
50℃以下400℃以上で水冷を停止することを特徴と
する低温で低降伏比を有する低温用建築鋼材の製造方
法。 - 【請求項3】 重量比で、C:0.06〜0.18%、
Si:0.05〜0.40%、Mn:0.5〜1.7
%、Al:0.001〜0.06%、B≦5ppmと、
Ti:0.005〜0.015%、Nb:0.005〜
0.04%、V:0.005〜0.1%、Cu:0.0
5〜0.6%、Ni:0.05〜0.6%、Cr:0.
05〜1.0%及びMo:0.02〜0.6%から選択
された1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不
可避的不純物からなる鋼を750℃以上で圧延を終了
後、ただちに水冷し、650℃以下400℃以上で水冷
を停止することを特徴とする低温で低降伏比を有する低
温用建築鋼材の製造方法。 - 【請求項4】 重量比で、C:0.06〜0.18%、
Si:0.05〜0.40%、Mn:0.5〜1.7
%、Al:0.001〜0.06%、B≦5ppm、0
≦30ppm、N≦30ppmで残部がFeおよび不可
避的不純物からなる鋼を熱間圧延し、750℃以上で圧
延を終了後、ただちに水冷し、650℃以下400℃以
上で水冷を停止することを特徴とする低温靭性に優れ、
低温で低降伏比を有する低温用建築鋼材の製造方法。 - 【請求項5】 重量比で、C:0.06〜0.18%、
Si:0.05〜0.40%、Mn:0.5〜1.7
%、Al:0.001〜0.06%、B≦5ppm、0
≦30ppm、N≦30ppmと、Ti:0.005〜
0.015%、Nb:0.005〜0.04%、V:
0.005〜0.1%、Cu:0.05〜0.6%、N
i:0.05〜0.6%、Cr:0.05〜1.0%及
びMo:0.02〜0.6%から選択された1種または
2種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物から
なる鋼を熱間圧延し、750℃以上で圧延を終了後ただ
ちに水冷し、650℃以下400℃以上で水冷を停止す
ることを特徴とする低温靭性に優れ、低温で低降伏比を
有する低温用建築鋼材の製造方法。 - 【請求項6】 請求項2乃至5のいずれかの鋼は、P:
≦0.015%、S:≦0.002%に規制され、C
a:Ca/Sで0.5以上2.0以下、REM:0.0
05〜0.02%の少なくとも一方が添加された超大入
熱溶接のHAZ割れ感受性の低い低温靭性に優れかつ低
温で低降伏比を有する低温用建築鋼材の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1の方法で製
造され、−20℃〜−60℃の低温で使用される建築物
に用いられる鋼材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25517795A JPH0995732A (ja) | 1995-10-02 | 1995-10-02 | 低温用建築鋼材の製造方法及び低温用建築鋼材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25517795A JPH0995732A (ja) | 1995-10-02 | 1995-10-02 | 低温用建築鋼材の製造方法及び低温用建築鋼材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0995732A true JPH0995732A (ja) | 1997-04-08 |
Family
ID=17275116
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25517795A Pending JPH0995732A (ja) | 1995-10-02 | 1995-10-02 | 低温用建築鋼材の製造方法及び低温用建築鋼材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0995732A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100973923B1 (ko) * | 2007-12-20 | 2010-08-03 | 주식회사 포스코 | 고강도 고인성 건설용 강재 및 그 제조방법 |
JP2016011439A (ja) * | 2014-06-27 | 2016-01-21 | 新日鐵住金株式会社 | 冷間プレス成形角形鋼管用厚鋼板、冷間プレス成形角形鋼管、及び溶接継手 |
-
1995
- 1995-10-02 JP JP25517795A patent/JPH0995732A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100973923B1 (ko) * | 2007-12-20 | 2010-08-03 | 주식회사 포스코 | 고강도 고인성 건설용 강재 및 그 제조방법 |
JP2016011439A (ja) * | 2014-06-27 | 2016-01-21 | 新日鐵住金株式会社 | 冷間プレス成形角形鋼管用厚鋼板、冷間プレス成形角形鋼管、及び溶接継手 |
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