JPH0995731A - 低温用建築向け鋼材の製造方法 - Google Patents
低温用建築向け鋼材の製造方法Info
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- JPH0995731A JPH0995731A JP25517695A JP25517695A JPH0995731A JP H0995731 A JPH0995731 A JP H0995731A JP 25517695 A JP25517695 A JP 25517695A JP 25517695 A JP25517695 A JP 25517695A JP H0995731 A JPH0995731 A JP H0995731A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】安定した低温靱性と低温(−20℃〜−60
℃)で低YR(≦80%)を有し、低温で新耐震設計を
可能にする低降伏比建築向け鋼材を提供する 【解決手段】酸素含有量が30ppm以下の鉄基合金を
オーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経過後から4
00℃以下まで水冷し、その後Ac1 以下の温度で焼き
戻し処理して、主たる組織をフェライトとベイナイトと
焼もどしマルテンサイトの混合組織にすることを特徴と
する低温で低降伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造
方法
℃)で低YR(≦80%)を有し、低温で新耐震設計を
可能にする低降伏比建築向け鋼材を提供する 【解決手段】酸素含有量が30ppm以下の鉄基合金を
オーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経過後から4
00℃以下まで水冷し、その後Ac1 以下の温度で焼き
戻し処理して、主たる組織をフェライトとベイナイトと
焼もどしマルテンサイトの混合組織にすることを特徴と
する低温で低降伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造
方法
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新耐震設計法で設
計される建築分野において、低温倉庫など使用環境温度
が低温となる建築物に用いられる低温用建築向け鋼材の
製造方法に関する。
計される建築分野において、低温倉庫など使用環境温度
が低温となる建築物に用いられる低温用建築向け鋼材の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】昭和56年に改正施行された建築物の耐
震設計法は、それまでの構造体各部に生ずる応力度を鋼
材の降伏点以内に留めるという弾性設計に変えて、鋼材
が降伏後、最大強さに達するまでの塑性域での変形能力
を活用して、地震入力エネルギーを吸収させ、建物の耐
震安全性を確保しようとするものである。このことか
ら、新耐震設計法が適用される建築物の鋼材は、降伏後
の変形性能を表すパラメーターである降伏比(YR)が
低いこと、すなわち低降伏比が求められるようになっ
た。
震設計法は、それまでの構造体各部に生ずる応力度を鋼
材の降伏点以内に留めるという弾性設計に変えて、鋼材
が降伏後、最大強さに達するまでの塑性域での変形能力
を活用して、地震入力エネルギーを吸収させ、建物の耐
震安全性を確保しようとするものである。このことか
ら、新耐震設計法が適用される建築物の鋼材は、降伏後
の変形性能を表すパラメーターである降伏比(YR)が
低いこと、すなわち低降伏比が求められるようになっ
た。
【0003】TS500MPa級の鋼材は、熱間圧延を
再結晶域で仕上げ、組織の粗粒化を図り低降伏比を確保
している。また、TS600MPa級あるいはそれ以上
の高強度鋼では、フェライト−オーステナイトの2相域
から焼入することで、フェライトとベイナイトあるいは
マルテンサイトの2相組織にすることで低降伏比を確保
している。
再結晶域で仕上げ、組織の粗粒化を図り低降伏比を確保
している。また、TS600MPa級あるいはそれ以上
の高強度鋼では、フェライト−オーステナイトの2相域
から焼入することで、フェライトとベイナイトあるいは
マルテンサイトの2相組織にすることで低降伏比を確保
している。
【0004】オフィスや住居用の建築物、いわゆるビル
は常温で使用されるため、上述の新耐震設計も常温を前
提になされている。したがって、従来の低降伏比鋼も常
温(0〜30℃)でのYR値が80%以下あるいは75
%以下になるように製造されている。
は常温で使用されるため、上述の新耐震設計も常温を前
提になされている。したがって、従来の低降伏比鋼も常
温(0〜30℃)でのYR値が80%以下あるいは75
%以下になるように製造されている。
【0005】建築物の中には、寒冷地の建物や低温用倉
庫のように使用温度が低温(−20℃〜−60℃)であ
るような建築物がある。例えば、まぐろ用低温倉庫は−
55℃で使用される。そのような低温用建築物に新耐震
設計法を適用し耐震安全性を確保するためには良好な低
温靱性と、低温で低降伏比を示す鋼材が必要となる。
庫のように使用温度が低温(−20℃〜−60℃)であ
るような建築物がある。例えば、まぐろ用低温倉庫は−
55℃で使用される。そのような低温用建築物に新耐震
設計法を適用し耐震安全性を確保するためには良好な低
温靱性と、低温で低降伏比を示す鋼材が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
従来の低降伏比鋼の低温での引張特性並びに靱性につい
て検討した。多くの低降伏比鋼は上述したように低降伏
比を得るために粗粒であり、そのため低温靱性が低く、
たとえば−55℃使用の低温用倉庫には使用できないこ
とがわかった。低温靱性に優れた低降伏比鋼に関する発
明として、特開平2−197522号公報や特開平5−
21440号公報が開示されている。両公報とも靱性は
−55℃使用の低温用倉庫には適用可能なほど優れたデ
ータが示されているが、低温のYR値は示されていな
い。そこで、本発明者は両公報の記載に沿って試作した
鋼の低温引張特性について調べると、たとえば−55℃
ではYRが80%以上になってしまうことが判明した。
また、靱性に関しても、必ずしも良い値ばかりではなく
大きくばらつく結果となった。
従来の低降伏比鋼の低温での引張特性並びに靱性につい
て検討した。多くの低降伏比鋼は上述したように低降伏
比を得るために粗粒であり、そのため低温靱性が低く、
たとえば−55℃使用の低温用倉庫には使用できないこ
とがわかった。低温靱性に優れた低降伏比鋼に関する発
明として、特開平2−197522号公報や特開平5−
21440号公報が開示されている。両公報とも靱性は
−55℃使用の低温用倉庫には適用可能なほど優れたデ
ータが示されているが、低温のYR値は示されていな
い。そこで、本発明者は両公報の記載に沿って試作した
鋼の低温引張特性について調べると、たとえば−55℃
ではYRが80%以上になってしまうことが判明した。
また、靱性に関しても、必ずしも良い値ばかりではなく
大きくばらつく結果となった。
【0007】従って本発明の目的は、安定した低温靱性
と低温(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80%)を
有し、低温で新耐震設計を可能にする低降伏比建築向け
鋼材を提供するものである。
と低温(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80%)を
有し、低温で新耐震設計を可能にする低降伏比建築向け
鋼材を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明は、酸素含有量が30ppm以下の鉄基
合金をオーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経過後
から400℃以下まで水冷し、その後Ac1 以下の温度
で焼き戻し処理して、主たる組織をフェライトとベイナ
イトと焼もどしマルテンサイトの混合組織にすることを
特徴とする低温で低降伏比を有する低温用建築向け鋼材
の製造方法である。
に、第1の発明は、酸素含有量が30ppm以下の鉄基
合金をオーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経過後
から400℃以下まで水冷し、その後Ac1 以下の温度
で焼き戻し処理して、主たる組織をフェライトとベイナ
イトと焼もどしマルテンサイトの混合組織にすることを
特徴とする低温で低降伏比を有する低温用建築向け鋼材
の製造方法である。
【0009】第2の発明は、重量%で、C:0.04〜
0.16%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
6〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、N≦3
0ppm、O≦30ppm、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼を、オーステナイト域で熱間圧延後、
Ar3 点経過後から400℃以下まで水冷し、その後A
c1 以下の温度で焼き戻し処理することを特徴とする、
低温靱性に優れかつ低温でも低降伏比を有する低温用建
築向け鋼材の製造方法である。
0.16%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
6〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、N≦3
0ppm、O≦30ppm、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼を、オーステナイト域で熱間圧延後、
Ar3 点経過後から400℃以下まで水冷し、その後A
c1 以下の温度で焼き戻し処理することを特徴とする、
低温靱性に優れかつ低温でも低降伏比を有する低温用建
築向け鋼材の製造方法である。
【0010】第3の発明は、重量%で、C:0.04〜
0.16%、Si:0.05〜0.4%、Mn:0.6
〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、N:≦3
0ppm、O:≦30ppmに加えて、Ti:0.00
5〜0.015%、Nb:0.005〜0.04%、
V:0.005〜0.1%、Cu:0.05〜0.6
%、Ni:0.05〜0.6%、Cr:0.05〜1.
0%、Mo:0.02〜0.6%の内、1種または2種
以上、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼をオ
ーステナイト域で熱間圧延後、Ar3点経過後から40
0℃以下まで水冷し、その後Ac1 以下の温度で焼き戻
し処理することを特徴とする、低温靱性に優れかつ低温
でも低降伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造方法で
ある。
0.16%、Si:0.05〜0.4%、Mn:0.6
〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、N:≦3
0ppm、O:≦30ppmに加えて、Ti:0.00
5〜0.015%、Nb:0.005〜0.04%、
V:0.005〜0.1%、Cu:0.05〜0.6
%、Ni:0.05〜0.6%、Cr:0.05〜1.
0%、Mo:0.02〜0.6%の内、1種または2種
以上、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼をオ
ーステナイト域で熱間圧延後、Ar3点経過後から40
0℃以下まで水冷し、その後Ac1 以下の温度で焼き戻
し処理することを特徴とする、低温靱性に優れかつ低温
でも低降伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造方法で
ある。
【0011】第4の発明は、さらにP≦0.015%、
S≦0.002%に規制し、Ca:Ca/Sで0.5以
上2.0以下と、REM:0.005〜0.02%との
少なくともいずれか一方が添加された超大入熱溶接のH
AZ割れ感受性の低い低温靱性に優れかつ低温でも低降
伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造方法である。
S≦0.002%に規制し、Ca:Ca/Sで0.5以
上2.0以下と、REM:0.005〜0.02%との
少なくともいずれか一方が添加された超大入熱溶接のH
AZ割れ感受性の低い低温靱性に優れかつ低温でも低降
伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造方法である。
【0012】以下本発明を詳細に説明する。まず本発明
方法で得られる鋼材は、酸素含有量が30ppm以下で
あり、主たる組織がフェライトとベイナイトと焼きもど
しマルテンサイトとの混合組織とすることにより、低温
で低降伏比を有している。このことは以下の知見に基づ
く。すなわち、本発明者らは、ミクロ組織と低温YRの
関係を鋭意検討した結果、以下に示す重要な知見を見い
だした。
方法で得られる鋼材は、酸素含有量が30ppm以下で
あり、主たる組織がフェライトとベイナイトと焼きもど
しマルテンサイトとの混合組織とすることにより、低温
で低降伏比を有している。このことは以下の知見に基づ
く。すなわち、本発明者らは、ミクロ組織と低温YRの
関係を鋭意検討した結果、以下に示す重要な知見を見い
だした。
【0013】図1は、表2のA1ならびにA2鋼板を供
試材に用いて、低温の降伏比に及ぼす組織の影響を調べ
たものである。表中の“α+B+焼もどしM”がA1鋼
板、“α+P”がA2鋼板である。YR値は、図1に示
すように引張試験温度が低温になるほど上昇する。しか
し、フェライト+パーライト組織よりもフェライト+ベ
イナイト+焼もどしマルテンサイト混合組織の方が上昇
程度が低い。粗粒フェライトとベイナイトと焼もどしマ
ルテンサイトの混合組織にすることで−100℃でもY
R<80%以下が達成されている。
試材に用いて、低温の降伏比に及ぼす組織の影響を調べ
たものである。表中の“α+B+焼もどしM”がA1鋼
板、“α+P”がA2鋼板である。YR値は、図1に示
すように引張試験温度が低温になるほど上昇する。しか
し、フェライト+パーライト組織よりもフェライト+ベ
イナイト+焼もどしマルテンサイト混合組織の方が上昇
程度が低い。粗粒フェライトとベイナイトと焼もどしマ
ルテンサイトの混合組織にすることで−100℃でもY
R<80%以下が達成されている。
【0014】図2は、A鋼と同鋼種において酸素のみ2
0〜43ppmの範囲で変化した鋼を供試鋼に用いて、
vE−55に及ぼす酸素含有量の影響を調べたものであ
る。粗粒フェライトとベイナイトと焼もどしマルテンサ
イト混合組織の低温靱性は、図2に示すようにかなりの
バラツキを有しているが、その下限値は酸素含有量によ
り支配され、酸素含有量を30ppm以下にすることで
vE-55(minimum)>100Jを満たす安定した靱性が得
られること見出した。これは、酸素含有量を30ppm
以下にすることで、マイクロクラックの発生起点となる
鋼中酸化物の減少、微細化したためである。
0〜43ppmの範囲で変化した鋼を供試鋼に用いて、
vE−55に及ぼす酸素含有量の影響を調べたものであ
る。粗粒フェライトとベイナイトと焼もどしマルテンサ
イト混合組織の低温靱性は、図2に示すようにかなりの
バラツキを有しているが、その下限値は酸素含有量によ
り支配され、酸素含有量を30ppm以下にすることで
vE-55(minimum)>100Jを満たす安定した靱性が得
られること見出した。これは、酸素含有量を30ppm
以下にすることで、マイクロクラックの発生起点となる
鋼中酸化物の減少、微細化したためである。
【0015】以上のことから、安定した低温靱性を有
し、かつ低温(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80
%)を示す新耐震設計を可能にする低温低降伏比建築鋼
材の必要条件は、酸素含有量が30ppm以下で粗粒フ
ェライトとベイナイトと焼もどしマルテンサイトの混合
組織を有することであることがわかった。
し、かつ低温(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80
%)を示す新耐震設計を可能にする低温低降伏比建築鋼
材の必要条件は、酸素含有量が30ppm以下で粗粒フ
ェライトとベイナイトと焼もどしマルテンサイトの混合
組織を有することであることがわかった。
【0016】そして、本発明方法はこの組織を得るため
に、以下の製造条件で鋼材を製造する。まず、酸素含有
量が30ppm以下の鉄基合金をオーステナイト域で熱
間圧延する。オーステナイト域で熱間圧延する理由は、
フェライト域で圧延すると加工硬化し、低YRが得られ
ないからである。ついで、Ar3 点経過後から400℃
以下まで水冷する。Ar3 点経過後から水冷する理由
は、その鋼の焼入性に応じて冷却速度制御しなければフ
ェライトは得られ難いが、Ar3 点経過後まで放冷し、
一部フェライトが析出してから加速冷却した場合非常に
広い冷却速度範囲で低YRが得られるためである。図3
は、A鋼を供試鋼に用いて、オーステナイト域から加速
冷却した場合と、圧延後、Ar3 点経過後まで放令し、
一部フェライトが析出してから加速冷却+焼もどし処理
した場合の−55℃のYRと冷却速度の関係を示してい
る。後者の場合には、非常に広い冷却速度範囲で低YR
と得られている。そして、ミクロ組織観察から、後者の
場合には広い冷却速度範囲で初析フェライトが得られた
ためであることが判明した。本発明で、400℃以下ま
で水冷する理由は、冷却停止温度を400℃以下にする
ことでフェライト+ベイナイト+マルテンサイトの混合
組織が得られ、400℃より高いとこの混合組織が得ら
れないためである。次に、Ac1 以下の温度で焼戻し処
理する。Ac1以下の温度で焼戻し処理する理由は、変
態ままのマルテンサイトは著しく靱性が低いので、Ac
1 以下の温度で焼きもどし処理を行って、靱性を回復す
るためである。Ac1 を越える温度では、また、一部に
α→γ変態が起こり、靱性を回復できない。
に、以下の製造条件で鋼材を製造する。まず、酸素含有
量が30ppm以下の鉄基合金をオーステナイト域で熱
間圧延する。オーステナイト域で熱間圧延する理由は、
フェライト域で圧延すると加工硬化し、低YRが得られ
ないからである。ついで、Ar3 点経過後から400℃
以下まで水冷する。Ar3 点経過後から水冷する理由
は、その鋼の焼入性に応じて冷却速度制御しなければフ
ェライトは得られ難いが、Ar3 点経過後まで放冷し、
一部フェライトが析出してから加速冷却した場合非常に
広い冷却速度範囲で低YRが得られるためである。図3
は、A鋼を供試鋼に用いて、オーステナイト域から加速
冷却した場合と、圧延後、Ar3 点経過後まで放令し、
一部フェライトが析出してから加速冷却+焼もどし処理
した場合の−55℃のYRと冷却速度の関係を示してい
る。後者の場合には、非常に広い冷却速度範囲で低YR
と得られている。そして、ミクロ組織観察から、後者の
場合には広い冷却速度範囲で初析フェライトが得られた
ためであることが判明した。本発明で、400℃以下ま
で水冷する理由は、冷却停止温度を400℃以下にする
ことでフェライト+ベイナイト+マルテンサイトの混合
組織が得られ、400℃より高いとこの混合組織が得ら
れないためである。次に、Ac1 以下の温度で焼戻し処
理する。Ac1以下の温度で焼戻し処理する理由は、変
態ままのマルテンサイトは著しく靱性が低いので、Ac
1 以下の温度で焼きもどし処理を行って、靱性を回復す
るためである。Ac1 を越える温度では、また、一部に
α→γ変態が起こり、靱性を回復できない。
【0017】つぎに、本発明に係る鋼材の各成分の添加
理由および添加量を限定した説明する。C,Si,M
n,Alは、通常の溶接構造用鋼が所用の材質を得るた
めに、従来から確認されている作用・効果の関係をもと
に、以下のごとく限定した。
理由および添加量を限定した説明する。C,Si,M
n,Alは、通常の溶接構造用鋼が所用の材質を得るた
めに、従来から確認されている作用・効果の関係をもと
に、以下のごとく限定した。
【0018】Cは最も安価な元素で強度化に有効な元素
であるが、0.16%を超えて添加すると溶接性が著し
く低下する。0.04%未満では、厚物で強度が不足
し、多量の合金元素の添加が必要となり、コスト高を招
く。したがって、Cは0.04%以上0.16%以下に
規定した。
であるが、0.16%を超えて添加すると溶接性が著し
く低下する。0.04%未満では、厚物で強度が不足
し、多量の合金元素の添加が必要となり、コスト高を招
く。したがって、Cは0.04%以上0.16%以下に
規定した。
【0019】Siは鋼材の強度、溶鋼の予備脱酸に必要
な元素である。予備脱酸のためには、0.05%以上の
添加が必要である。0.4%を超える過剰の添加は、鋼
材の靱性、溶接HAZ靱性を劣化させる。したがって、
Si量は0.05%以上0.4%以下に限定した。
な元素である。予備脱酸のためには、0.05%以上の
添加が必要である。0.4%を超える過剰の添加は、鋼
材の靱性、溶接HAZ靱性を劣化させる。したがって、
Si量は0.05%以上0.4%以下に限定した。
【0020】Mnは、母材の強度を確保するため、必要
な元素である。0.6%未満では、厚物で強度が不足
し、多量の合金元素の添加が必要となり、コスト高を招
く。また、Mnは中央偏析しやすい元素である。1.7
%を超えて添加すると、板厚中央が著しく脆化する。し
たがって、Mnの範囲を0.6%以上1.7%以下に限
定した。
な元素である。0.6%未満では、厚物で強度が不足
し、多量の合金元素の添加が必要となり、コスト高を招
く。また、Mnは中央偏析しやすい元素である。1.7
%を超えて添加すると、板厚中央が著しく脆化する。し
たがって、Mnの範囲を0.6%以上1.7%以下に限
定した。
【0021】Alは、脱酸に必要な元素である。Al量
として0.001%未満では、十分な脱酸効果が期待で
きない。また、0.06%を超えて過剰に添加すると、
連続鋳造スラブの表面にキズが発生しやすい。したがっ
て、Al量は0.001%以上0.06%以下に限定し
た。
として0.001%未満では、十分な脱酸効果が期待で
きない。また、0.06%を超えて過剰に添加すると、
連続鋳造スラブの表面にキズが発生しやすい。したがっ
て、Al量は0.001%以上0.06%以下に限定し
た。
【0022】Nは固体鋼中に固溶Nや窒化物系介在物と
して存在する。固溶Nや粗大窒化物系介在物は、鋼の低
温靱性を劣化させる。30ppmを超えてNを含有する
と固溶Nが存在する、また、最終凝固部には粗大な窒化
物(例えば、TiNやNbN)が生成しやすくなり、優
れた低温靱性が得られない。したがって、N含有量を
0.003%以下に規制した。
して存在する。固溶Nや粗大窒化物系介在物は、鋼の低
温靱性を劣化させる。30ppmを超えてNを含有する
と固溶Nが存在する、また、最終凝固部には粗大な窒化
物(例えば、TiNやNbN)が生成しやすくなり、優
れた低温靱性が得られない。したがって、N含有量を
0.003%以下に規制した。
【0023】Oは既に述べたように、30ppmを越え
るとマイクロクラックの発生起点となる鋼中酸化物が増
大、粗大化するため、30ppm以下とする。Nb、
V、Cu、Ni、Cr、Moは、高強度化に有効な元素
である。Nb<0.005%、V<0.005%、Cu
<0.05%、Ni<0.05%、Cr<0.05%、
Mo<0.02%では、明瞭な強度上昇効果が見られな
い。それぞれ上限は以下の理由から決定された。
るとマイクロクラックの発生起点となる鋼中酸化物が増
大、粗大化するため、30ppm以下とする。Nb、
V、Cu、Ni、Cr、Moは、高強度化に有効な元素
である。Nb<0.005%、V<0.005%、Cu
<0.05%、Ni<0.05%、Cr<0.05%、
Mo<0.02%では、明瞭な強度上昇効果が見られな
い。それぞれ上限は以下の理由から決定された。
【0024】NbはNb(CN)、VはVCが析出し高
強度化に寄与するが、0.04%を超えたNbの添加、
0.1%を超えたVの添加は、降伏比を著しく上昇させ
てしまう。したがって、Nbを0.005%以上0.0
4%以下に、Vを0.005%以上0.1%以下に限定
した。
強度化に寄与するが、0.04%を超えたNbの添加、
0.1%を超えたVの添加は、降伏比を著しく上昇させ
てしまう。したがって、Nbを0.005%以上0.0
4%以下に、Vを0.005%以上0.1%以下に限定
した。
【0025】Cu、Ni、Cr、Moは、固溶強化や焼
入性向上効果を通して、高強度化に寄与する。0.6%
を超えるCuの添加は著しくCu割れ発生の危険性を増
大させる。Niは高価な元素でありコストの観点から、
上限を0.6%とした。1%を超えるCr、0.6%を
超えるMoの添加は溶接性を著しく劣化させる。したが
って、Cuを0.05%以上0.6%以下、Niを0.
05%以上0.6%以下、Crを0.05%以上1%以
下、Moを0.02%以上0.6%以下に限定した。
入性向上効果を通して、高強度化に寄与する。0.6%
を超えるCuの添加は著しくCu割れ発生の危険性を増
大させる。Niは高価な元素でありコストの観点から、
上限を0.6%とした。1%を超えるCr、0.6%を
超えるMoの添加は溶接性を著しく劣化させる。したが
って、Cuを0.05%以上0.6%以下、Niを0.
05%以上0.6%以下、Crを0.05%以上1%以
下、Moを0.02%以上0.6%以下に限定した。
【0026】Tiは、TiNの溶接HAZ部の組織粗大
化を抑制してHAZ靱性の向上に寄与する元素である。
0.005%未満のTi添加ではHAZ靱性向上効果が
発揮されない。0.015%を超えて添加すると溶接の
冷却過程でTiCが析出し、HAZ靱性の劣化を招く。
したがって、Tiを0.005%以上、0.015%以
下に限定した。
化を抑制してHAZ靱性の向上に寄与する元素である。
0.005%未満のTi添加ではHAZ靱性向上効果が
発揮されない。0.015%を超えて添加すると溶接の
冷却過程でTiCが析出し、HAZ靱性の劣化を招く。
したがって、Tiを0.005%以上、0.015%以
下に限定した。
【0027】Sは中央偏析し、その部分でMnSを形成
する。MnSは圧延より伸長するため、鋼板の板厚中央
部には伸長したMnSが他の部分より多く存在する。本
発明の用途は建築向けであり、その多くは大入熱のサブ
マージアーク溶接(SAW)でボックス柱に組み立てら
れ、建築物に使用される。大入熱のサブマージアーク溶
接では、鉄粉入りのボンド型フラックスを大量使用する
ため、他の溶接法に比較すると鋼中に侵入する水素量が
高くなり、しばしばその熱影響部に割れが発生する。割
れの発生起点は板厚中央の伸長化したMnSである。伸
長MnSと地鉄界面に溶接水素が集積し、水素誘起割れ
を起こすのである。0.002%を超えるSが含有され
ていると、板厚中央のMnSが大型化し、ボックス柱角
継手部にHAZ割れが発生しやすくなる。したがって、
S含有量は0.002%以下に規制した。
する。MnSは圧延より伸長するため、鋼板の板厚中央
部には伸長したMnSが他の部分より多く存在する。本
発明の用途は建築向けであり、その多くは大入熱のサブ
マージアーク溶接(SAW)でボックス柱に組み立てら
れ、建築物に使用される。大入熱のサブマージアーク溶
接では、鉄粉入りのボンド型フラックスを大量使用する
ため、他の溶接法に比較すると鋼中に侵入する水素量が
高くなり、しばしばその熱影響部に割れが発生する。割
れの発生起点は板厚中央の伸長化したMnSである。伸
長MnSと地鉄界面に溶接水素が集積し、水素誘起割れ
を起こすのである。0.002%を超えるSが含有され
ていると、板厚中央のMnSが大型化し、ボックス柱角
継手部にHAZ割れが発生しやすくなる。したがって、
S含有量は0.002%以下に規制した。
【0028】Pも非常に中央偏析しやすい元素であり、
0.015%を超えて含有していると、板厚中央部を著
しく硬化させる。上述のMnSを起点としたHAZ割れ
は、周囲が硬化しているほど割れが伝播しやすくなる。
すなわち、大入熱サブマージアーク溶接で施工したボッ
クス柱角継手部に水素割れ抑制のため、Pを0.015
%以下に規制した。
0.015%を超えて含有していると、板厚中央部を著
しく硬化させる。上述のMnSを起点としたHAZ割れ
は、周囲が硬化しているほど割れが伝播しやすくなる。
すなわち、大入熱サブマージアーク溶接で施工したボッ
クス柱角継手部に水素割れ抑制のため、Pを0.015
%以下に規制した。
【0029】Caは、REMは、ボックス柱角継手部の
HAZ割れ抑制のために添加する。上述したように、H
AZ割れの起点は伸長したMnSであり、伸長化を抑制
すれば割れの防止が図られる。CaとREMは、鋼中硫
化物をそれぞれCaS、REM−Sに変化せしめ、それ
らは圧延しても伸長化しない。Ca/S:0.5未満、
REM:0.005%未満では、十分な硫化物の伸長化
抑制が達成されない。また、Ca/S:2超え、RE
M:0.02%超えの添加は、クラスター状の介在物
(Ca−Al−O−S、REM−O−S)を増やし、上
記HAZ割れ抑制に逆効果である。したがって、Caを
Ca/Sで0.5以上2以下、REMを0.005%以
上0.02%以下に限定した。
HAZ割れ抑制のために添加する。上述したように、H
AZ割れの起点は伸長したMnSであり、伸長化を抑制
すれば割れの防止が図られる。CaとREMは、鋼中硫
化物をそれぞれCaS、REM−Sに変化せしめ、それ
らは圧延しても伸長化しない。Ca/S:0.5未満、
REM:0.005%未満では、十分な硫化物の伸長化
抑制が達成されない。また、Ca/S:2超え、RE
M:0.02%超えの添加は、クラスター状の介在物
(Ca−Al−O−S、REM−O−S)を増やし、上
記HAZ割れ抑制に逆効果である。したがって、Caを
Ca/Sで0.5以上2以下、REMを0.005%以
上0.02%以下に限定した。
【0030】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を説明す
る。表1に供試鋼の化学成分を示す。鋼H、I、RはT
S60キロ級、鋼G、OはTS40キロ級、その他はT
S50キロ級の鋼である。すべて、軽圧下プロセスを含
む連続鋳造にてスラブにされた。
る。表1に供試鋼の化学成分を示す。鋼H、I、RはT
S60キロ級、鋼G、OはTS40キロ級、その他はT
S50キロ級の鋼である。すべて、軽圧下プロセスを含
む連続鋳造にてスラブにされた。
【0031】上記の鋼を表2に示す製造条件にて鋼板と
した。表3には得られた鋼板のミクロ組織、機械試験
値、大入熱溶接HAZ割れ率が示されている。引張試験
片は1/4tよりC方向に採取されたJIS4号であ
る。シャルピー衝撃試験片は1/4tよりL方向に採取
された。また、vE-55(ave)、vE-55(min)は、N数9
の平均値と最小値である。
した。表3には得られた鋼板のミクロ組織、機械試験
値、大入熱溶接HAZ割れ率が示されている。引張試験
片は1/4tよりC方向に採取されたJIS4号であ
る。シャルピー衝撃試験片は1/4tよりL方向に採取
された。また、vE-55(ave)、vE-55(min)は、N数9
の平均値と最小値である。
【0032】大入熱SAW角継手耐HAZ割れ性は、図
4に示す寸法・形状の試験体で半ボックス施工試験を行
い、溶接部の超音波探傷を実施し、割れの発生状況を測
定することより評価した。同図において、1はSAWに
よる角溶接部、2はウェブ鋼板、3はフランジ鋼板、4
はダイヤフラム、5はエレクトロスラブ溶接部、そして
6は溶接漏れがないようにするための当て金であり、t
は板厚を示す。半ボックス施工試験によるSAW角溶接
は、2電極の1層溶接であり、溶接入熱は鋼板板厚に応
じて150kJ(板厚16mmの時)〜570kJ(板
厚70mmの時)で実施した。その際、溶接フラックス
には、鉄粉入りボンド型フラックスを温度30℃、湿度
80%の環境で3時間放置し、故意に吸湿させたものを
用いた。吸湿フラックスを用いたのは、溶接時に侵入す
る水素量を上昇させ、鋼板の溶接水素による割れ感受性
を明瞭に評価するためである。溶接後、3日間放置し、
図4中の矢印でUSTで示した溶接フランジ角部をJI
S G 0901に準じて超音波探傷を行い、割れプロ
フィールを、図4のように描いた。同図において、斜線
部は超音波探傷により検出された△欠陥およびX欠陥の
エコー発生部分7であり、C1 、C2 、C3 はその長
さ、即ち、割れ発生部分の溶接長方向の長さを示す。溶
接長Lに対する、各割れ長さC1 、C2 、C3 …の和の
割合(長さ%)をHAZ割れ率=(C1 +C2 +C3 +
…)/Lと定義した。なお、この試験においては、L=
700mmである。
4に示す寸法・形状の試験体で半ボックス施工試験を行
い、溶接部の超音波探傷を実施し、割れの発生状況を測
定することより評価した。同図において、1はSAWに
よる角溶接部、2はウェブ鋼板、3はフランジ鋼板、4
はダイヤフラム、5はエレクトロスラブ溶接部、そして
6は溶接漏れがないようにするための当て金であり、t
は板厚を示す。半ボックス施工試験によるSAW角溶接
は、2電極の1層溶接であり、溶接入熱は鋼板板厚に応
じて150kJ(板厚16mmの時)〜570kJ(板
厚70mmの時)で実施した。その際、溶接フラックス
には、鉄粉入りボンド型フラックスを温度30℃、湿度
80%の環境で3時間放置し、故意に吸湿させたものを
用いた。吸湿フラックスを用いたのは、溶接時に侵入す
る水素量を上昇させ、鋼板の溶接水素による割れ感受性
を明瞭に評価するためである。溶接後、3日間放置し、
図4中の矢印でUSTで示した溶接フランジ角部をJI
S G 0901に準じて超音波探傷を行い、割れプロ
フィールを、図4のように描いた。同図において、斜線
部は超音波探傷により検出された△欠陥およびX欠陥の
エコー発生部分7であり、C1 、C2 、C3 はその長
さ、即ち、割れ発生部分の溶接長方向の長さを示す。溶
接長Lに対する、各割れ長さC1 、C2 、C3 …の和の
割合(長さ%)をHAZ割れ率=(C1 +C2 +C3 +
…)/Lと定義した。なお、この試験においては、L=
700mmである。
【0033】表2、表3をみると、熱間圧延後、Ar3
温度以下から水冷し、400℃以下で水冷を停止し、そ
の後Ac1 以下の温度で焼もどし処理を行った場合(A
1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、I
1、J1、K1、L1、M1、N1、O1、P1、Q
1、R1、S1)は、フェライトとベイナイトと焼きも
どしマルテンサイトの混合組織が得られており、−55
℃のYR値も80%以下の低い値が得られている。水冷
を施していないA2、G2は、それぞれ発明鋼のA1、
G1に比較した−55℃のYR値が高く、靱性も低い。
また、Ar3温度以下から水冷しても水冷停止温度が4
00℃を下まわる温度で停止し、焼もどし処理を実施し
ていないA3、I2は、変態ままのマルテンサイトがあ
るため、−55℃のYR値が高く、靱性が低い。
温度以下から水冷し、400℃以下で水冷を停止し、そ
の後Ac1 以下の温度で焼もどし処理を行った場合(A
1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、I
1、J1、K1、L1、M1、N1、O1、P1、Q
1、R1、S1)は、フェライトとベイナイトと焼きも
どしマルテンサイトの混合組織が得られており、−55
℃のYR値も80%以下の低い値が得られている。水冷
を施していないA2、G2は、それぞれ発明鋼のA1、
G1に比較した−55℃のYR値が高く、靱性も低い。
また、Ar3温度以下から水冷しても水冷停止温度が4
00℃を下まわる温度で停止し、焼もどし処理を実施し
ていないA3、I2は、変態ままのマルテンサイトがあ
るため、−55℃のYR値が高く、靱性が低い。
【0034】酸素含有量30ppmを超えるO1、P
1、Q1、R1、S1は、vE-55 のminimum 値が低
く、安定した低温靱性が得られていない。さらに、N含
有量が30ppmを超えるP1、R1、S1はvTsも
−50℃以上と特に低靱性である。
1、Q1、R1、S1は、vE-55 のminimum 値が低
く、安定した低温靱性が得られていない。さらに、N含
有量が30ppmを超えるP1、R1、S1はvTsも
−50℃以上と特に低靱性である。
【0035】S≦20ppm,P≦0.015%以下で
Ca/Sで0.5以上2.0以下のCaが添加された鋼
I、J、Lおよび0.005以上0.02%以下のRE
Mが添加された鋼Kは、HAZ割れが発生していない。
Caが添加されていてもCa/Sが0.5未満の鋼Nや
2.0超えの鋼Mならびに過剰のREMが添加された鋼
Sでは、HAZ割れが発生している。
Ca/Sで0.5以上2.0以下のCaが添加された鋼
I、J、Lおよび0.005以上0.02%以下のRE
Mが添加された鋼Kは、HAZ割れが発生していない。
Caが添加されていてもCa/Sが0.5未満の鋼Nや
2.0超えの鋼Mならびに過剰のREMが添加された鋼
Sでは、HAZ割れが発生している。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる造
方法は、得られた鋼材が安定した低温靱性を有し、かつ
低温(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80%)を示
すので、低温で使用される建築物構造物の新耐震設計を
可能にする。したがって、建物の安全性が増す。また、
鋼材の大量生産が可能で、しかも価額も安く、溶接施工
が容易で、建設工期も短縮でき、全体として建設費が低
廉で済む。
方法は、得られた鋼材が安定した低温靱性を有し、かつ
低温(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80%)を示
すので、低温で使用される建築物構造物の新耐震設計を
可能にする。したがって、建物の安全性が増す。また、
鋼材の大量生産が可能で、しかも価額も安く、溶接施工
が容易で、建設工期も短縮でき、全体として建設費が低
廉で済む。
【図1】引張試験温度と降伏比(=降伏強度/引張強
度)の関係を示した図。
度)の関係を示した図。
【図2】酸素含有量と−55℃で試験したシャルピー衝
撃吸収エネルギー(vE-55)の関係を示した図。
撃吸収エネルギー(vE-55)の関係を示した図。
【図3】−55℃のYR値と冷却条件の関係を示した
図。
図。
【図4】大入熱SAWによる半ボックス試験体の形状、
および超音波探傷試験位置の説明図。
および超音波探傷試験位置の説明図。
【図5】半ボックス施工試験におけるHAZ割れ率の定
義を説明する図。
義を説明する図。
1…SAW角溶接部、2…ウェブ鋼板、3…フランジ鋼
板、4…ダイヤフラム、5…エレクトロスラグダイヤフ
ラム溶接部、6…当て金、7…超音波探傷による△欠陥
およびX欠陥エコー発生部分。
板、4…ダイヤフラム、5…エレクトロスラグダイヤフ
ラム溶接部、6…当て金、7…超音波探傷による△欠陥
およびX欠陥エコー発生部分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 博 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 酸素含有量が30ppm以下の鉄基合金
をオーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経過後から
400℃以下まで水冷し、その後Ac1 以下の温度で焼
き戻し処理して、主たる組織をフェライトとベイナイト
と焼もどしマルテンサイトの混合組織にすることを特徴
とする低温で低降伏比を有する低温用建築向け鋼材の製
造方法。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.04〜0.16%、
Si:0.05〜0.40%、Mn:0.6〜1.7
%、Al:0.001〜0.06%、N≦30ppm、
O≦30ppm、残部がFeおよび不可避的不純物から
なる鋼を、オーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経
過後から400℃以下まで水冷し、その後Ac1 以下の
温度で焼き戻し処理することを特徴とする、低温靱性に
優れかつ低温でも低降伏比を有する低温用建築向け鋼材
の製造方法。 - 【請求項3】 重量%で、C:0.04〜0.16%、
Si:0.05〜0.4%、Mn:0.6〜1.7%、
Al:0.001〜0.06%、N:≦30ppm、
O:≦30ppmに加えて、Ti:0.005〜0.0
15%、Nb:0.005〜0.04%、V:0.00
5〜0.1%、Cu:0.05〜0.6%、Ni:0.
05〜0.6%、Cr:0.05〜1.0%、Mo:
0.02〜0.6%の内、1種または2種以上、残部が
Feおよび不可避的不純物からなる鋼をオーステナイト
域で熱間圧延後、Ar3点経過後から400℃以下まで
水冷し、その後Ac1 以下の温度で焼き戻し処理するこ
とを特徴とする、低温靱性に優れかつ低温でも低降伏比
を有する低温用建築向け鋼材の製造方法。 - 【請求項4】 請求項2または3の鋼を、さらにP≦
0.015%、S≦0.002%に規制し、Ca:Ca
/Sで0.5以上2.0以下と、REM:0.005〜
0.02%との少なくともいずれか一方が添加された超
大入熱溶接のHAZ割れ感受性の低い低温靱性に優れか
つ低温でも低降伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25517695A JPH0995731A (ja) | 1995-10-02 | 1995-10-02 | 低温用建築向け鋼材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25517695A JPH0995731A (ja) | 1995-10-02 | 1995-10-02 | 低温用建築向け鋼材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0995731A true JPH0995731A (ja) | 1997-04-08 |
Family
ID=17275102
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25517695A Pending JPH0995731A (ja) | 1995-10-02 | 1995-10-02 | 低温用建築向け鋼材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0995731A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2830260A1 (fr) * | 2001-10-03 | 2003-04-04 | Kobe Steel Ltd | Tole d'acier a double phase a excellente formabilite de bords par etirage et procede de fabrication de celle-ci |
WO2004022807A1 (ja) * | 2002-09-04 | 2004-03-18 | Jfe Steel Corporation | 大入熱溶接用鋼材およびその製造方法 |
KR100431850B1 (ko) * | 1999-12-28 | 2004-05-20 | 주식회사 포스코 | 저항복비를 갖는 고강도 강 및 그 제조방법 |
WO2007079876A1 (de) * | 2006-01-10 | 2007-07-19 | Sms Demag Ag | Verfahren und vorrichtung zur einstellung gezielter eigenschaftskombinationen bei mehrphasenstählen |
KR101224952B1 (ko) * | 2010-09-29 | 2013-01-22 | 현대제철 주식회사 | 고강도·고인성 원형강의 제조방법 |
JP2014520208A (ja) * | 2011-09-26 | 2014-08-21 | 宝山鋼鉄股▲分▼有限公司 | 低降伏比高靭性鋼板及びその製造方法 |
JP2020509189A (ja) * | 2016-12-22 | 2020-03-26 | ポスコPosco | 極低温衝撃靭性に優れた厚鋼板及びその製造方法 |
CN112375978A (zh) * | 2020-10-30 | 2021-02-19 | 舞阳钢铁有限责任公司 | 一种建筑用钢及其生产方法 |
-
1995
- 1995-10-02 JP JP25517695A patent/JPH0995731A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US11649515B2 (en) | 2016-12-22 | 2023-05-16 | Posco Co., Ltd | Thick steel plate having excellent cryogenic impact toughness and manufacturing method therefor |
CN112375978A (zh) * | 2020-10-30 | 2021-02-19 | 舞阳钢铁有限责任公司 | 一种建筑用钢及其生产方法 |
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