JPH0413406B2 - - Google Patents

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JPH0413406B2
JPH0413406B2 JP57093727A JP9372782A JPH0413406B2 JP H0413406 B2 JPH0413406 B2 JP H0413406B2 JP 57093727 A JP57093727 A JP 57093727A JP 9372782 A JP9372782 A JP 9372782A JP H0413406 B2 JPH0413406 B2 JP H0413406B2
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JP
Japan
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steel
temperature
toughness
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rolling
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JP57093727A
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English (en)
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JPS58210125A (ja
Inventor
Tamotsu Hashimoto
Yasubumi Fujishiro
Yasuo Ootani
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP9372782A priority Critical patent/JPS58210125A/ja
Publication of JPS58210125A publication Critical patent/JPS58210125A/ja
Publication of JPH0413406B2 publication Critical patent/JPH0413406B2/ja
Granted legal-status Critical Current

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Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • C21D8/02Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips

Description

【発明の詳細な説明】
この発明は、直接焼入法によつて靭性の高い高
張力鋼板を製造する方法に関するものである。 近年、エネルギー需要の増大とともにアラスカ
等の極寒地域、あるいは海底等、苛酷な環境にお
けるガス田や油田が数多く開発されており、これ
から供給される天然ガスや原油はほとんどライン
パイプによつて必要とされる場所まで輸送される
ようになつてきている。 このため、ラインパイプの需要も急増してきて
いる上に、大径でかつ耐圧性に優れたものを採用
して輸送効率の向上を図る傾向が強まつてきてい
るため、これに応えるべく、より厚肉で、強度、
靭性、並びに溶接性により優れたラインパイプ材
の開発が急務となつているのが現状である。 すなわち、海底ラインパイプや寒冷地ラインパ
イプでは、厚肉高強度化の必要が叫ばれており、
また厳しい建設環境のために溶接性に優れている
ことが必須の要件とされているのである。 ところが、従来、ラインパイプ用に供せられて
いた圧延のままの鋼板では、その成分組成等を如
何に工夫しても上記要望を満たすようなものを得
ることができず、最近では、圧延の条件、冷却の
条件、および鋼材成分組成の3者に工夫を凝らし
て組合せることが前記問題を解決できる近道であ
るとの認織に立つて、直接焼入法や加速冷却法等
の、圧延直後の鋼板を水冷して高強度化を図る方
法が実施されるようになつてきた。 直接焼入法とは、マルテンサイトやベイナイト
の焼入組織の有する高強度を活用するものであつ
て、一般的には鋼のオーステナイト域(通常は
750℃以上である)で圧延を終了し、次いでこれ
をAr3点以上から直接に焼入れすることを特徴と
する高張力鋼板の製造法であるが、この方法によ
れば高強度の鋼材を得ることはできるけれども、
低温靭性に難点が残るものである。 また、加速冷却法は、制御圧延後の鋼板のオー
ステナイトからフエライトへの変態域、即ちAr3
〜Ar1を空冷よりも速い冷却速度で冷却し、一部
微細ベイナイトの高強度を活用することもある
が、600〜550℃で前記加速冷却をストツプするこ
とを特徴とする高張力鋼板の製造法であり、細粒
フエライトまたは一部に微細ベイナイトを組合せ
て高強度化を図つたものである。そして、この方
法によれば、引張り強さ:60Kg/mm2級鋼、または
X−70級(API規格)のラインパイプ程度までの
製造に適する鋼材を得ることができるが、厳しい
加速冷却条件の制約、すなわち、冷却開始温度、
冷却速度、冷却終了温度等を厳しく調整する必要
があるために、鋼材製造の作業性が悪くなるとい
う問題を有するものであつた。 他方、最近に至つて、制御圧延鋼にTiおよび
Bを添加して良好な靭性を有するベイナイト高張
力鋼板を製造しようとの技術も提案されている
が、このようなベイナイト高張力鋼板を製造する
にあたつて、従来法どおりの直接焼入れ、または
加速冷却を施してその靭性値を高めようとして
も、所望とする靭性を得ることができないばかり
か、逆に靭性が大幅に劣化するということがわか
つた。しかも、制御圧延によるB処理鋼の圧延後
水冷による強靭化は、従来知られている技術をも
つてしても如何ともし難いものであるとの結果が
今日の研究で明らかになつた。 本発明者等は、上述のような観点から、製造作
業性が良好で、そして溶接性に好適である低い炭
素当量が確保でき、かつ強度がX−70〜X−100
級(引張強さ:60〜80Kg/mm2、降伏強度:49〜70
Kg/mm2)、靭性がシヤルピー破面遷移温度(vTs)
で−100℃以下程度を示すような強靭高張力鋼板
を製造すべく、種々研究を重ねた結果、以下(a)〜
(d)に示す如き知見を得るに至つたのである。すな
わち、 (a) 高強度を得るためにNb、Ti、およびBを添
加して微細マルテンサイトの生成促進を図つた
鋼のC量を所定値以下に抑えることにより細粒
フエライトが生成し、これによつて鋼の靭性が
著しく改良される上に、溶接性も向上するこ
と、 (b) 上記(a)項に示した鋼を低温加熱後、低温域に
て大圧下すると、歪をもつた微細なオーステナ
イトが形成される。そして、これから微細なフ
エライト生成されるのであるが、この低温域で
の大圧下が微細フエライトの生成を一層促進す
るものであること、 (c) 鋼板製造の際、上述のように低温域にて高圧
下率の圧延を施し、微細フエライトをまず十分
に生成させた後、固溶Nbおよび固溶Bの共存
によつて未変態のまま存在する微細なオーステ
ナイトをAr1変態点近傍〜Ms点の温度範囲か
ら焼入れすると、残留オーステナイトから微細
な分散したマルテンサイトを生じ、結局、フエ
ライト+マルテンサイトの二相混合組織鋼が得
られ、細粒フエライトの有する高靭性に加え
て、微細マルテンサイトの有する高強度をも備
えた強靭高張力鋼板を確実に得ることができる
こと。すなわち、細粒加工オーステナイトの粒
界から非常に細かいフエライトが析出し、その
中に残留する残留オーステナイトは焼入れによ
つて極く微細なマルテンサイトになり、組織的
には極めて微細なフエライトとマルテンサイト
の混合組織となり、特にX−70〜X−100級の
高強度が得られるとともに、焼戻し工程が無く
ても高靭性が得られる。この場合、従来の直接
焼入法では、圧延後直ちに焼入処理するため
に、鋼板の冷却速度が速くなりすぎ、微細なポ
リゴナルフエライトの生成を阻止して、ベイナ
イトまたはマルテンサイト一相鋼となり、高強
度を示すものの、細粒フエライトの優れた靭性
効果を活用できないのである。即ち、本発明で
は、圧延終了後、空冷または4℃/sec程度の
加速冷却の範囲の冷却により、まず鋼板中への
微細フエライトの析出処理を行なつて靭性向上
の下地を作つた後に、Ar1変態点近傍〜Ms点
の温度範囲から直接焼入れすることにより、未
変態オーステナイト部をマルテンサイト化する
と高強度が達成できること。そして、これをさ
らに焼戻しするとより靭性が向上されること。
そのうえ、フエライトも微細で強度が高いこと
に加えて、マルテンサイトはベイナイトよりも
さらに高強度を付与するので、低C化、低Ceq
(炭素当量)化も容易であり、しかも極低C化
を図れば衝撃値も向上するのに加えて、溶接性
もさらに改善されること、 (d) 上記鋼に、さらにCu,Cr,Mo,Ni,Co,
V,Zr,La,Ce,およびCaの1種または2種
以上の所定量を添加することによつて、鋼板の
強度、および靭性をより向上することができる
こと。 したがつて、この発明は上記知見に基いてなさ
れたもので、 (a) 重量%で、(以下、組成成分の含有割合を表
わす%は重量%とする)、 C:0.003〜0.100%、 Si:0.85%以下、 Mn:1.0〜3.0%、 Nb:0.008〜0.180%、 Ti:0.004〜0.040%、 B:0.0004〜0.0025%、 N:0.0005〜0.0100%、 sol、Al:0.005〜0.090%、 を含有し、さらに、 () Cu,Cr、およびMoの1種以上:0.05〜
0.50%、 () NiおよびCoの1種以上:0.1〜1.0%、 () VおよびZrの1種以上:0.01〜0.15%、 () La,Ce、およびCaの1種以上:0.0005
〜0.020%、 以上()〜()の1種以上を含有し、ま
たは含有せず、 残りがFeと不可避不純物からなり、かつ不
可避不純物としてのPおよびSの含有量を、 P:0.03%以下、 S:0.009%以下、 とした組成を有する鋼を、 (b) 900〜1170℃に加熱した後、 (c) 少なくとも900℃以下の累積圧下率が50%以
上で、かつ仕上温度が800〜650℃の圧延を施
し、 (d) 圧延仕上後、空冷または4℃/秒を越えない
加速冷却によりAr1変態点近傍〜Ms点の温度
範囲に冷却してから、 (e) この温度範囲より直接焼入れすること、 により、優れた靭性と高い強度を有する高張力鋼
板を製造する方法に特徴を有するものである。 すなわち、前述のように、従来公知の直接焼入
法は、Ar3点以上で圧延を終了し、Ar3点以上か
ら焼入れするものであり、同じく従来公知の加速
冷却法は、Ar3〜Ar1点を急冷した後放冷するも
のであるのに対して、この発明は、特定成分組成
の低C−Nb−Ti−B鋼を圧延し、フエライト変
態のほぼ終了に近いAr1点近傍以下の温度から焼
入れすることによつてベイナイト変態を阻止し、
細粒フエライトと微細マルテンサイトの二相混合
組織鋼板を得るようにしたものである。 つぎに、この発明の強靭高張力鋼板の製造法に
おいて、化学組成成分量、圧延条件、冷却条件、
および焼入温度を上述のように限定した理由を説
明する。 () 化学組成成分量 C C成分には、鋼材の強度を確保する作用が
あるが、その含有量が0.003%未満では前記
作用に所望の効果が得られず、他方0.100%
を越えて含有せしめると微細フエライトの生
成が減少してマルテンサイトの量が増し所望
の靭性を得ることができなくなる上、溶接性
をも劣化するようになることから、この含有
量を0.03〜0.100%と限定した。 Si Si成分は、脱酸の故に鋼に必然的に含有さ
れる元素であるが、その含有量が0.85%を越
えると鋼の靭性及び溶接性に悪影響を及ぼす
ようになることから、その含有量を0.85%以
下に制限した。 Mn Mn成分には、焼入性を向上して鋼の強度
および靭性を改善する作用があるが、その含
有量が1.0%未満ではマルテンサイトの生成
が困難となつて前記作用に所望の効果が得ら
れず、他方3.0%を越えて含有させると逆に
靭性が低下するとともに溶接性にも悪影響を
与え、細粒フエライト生成も困難となること
から、その含有量を1.0〜3.0%と限定した。 P P成分は、通常は不可避不純物として含有
される程度のものであり、好ましい成分では
ないが、特にその含有量が0.03%を越えた場
合には溶接性を低下や偏析による鋼の内質劣
化の弊害が出てくるようになることから、そ
の含有量を0.03%以下と制限した。 S S成分も、通常は不可避不純物として鋼に
必然的に含有されるものであるが、その含有
量が0.009%を越えるとシヤルピーの横方向
エネルギー吸収に著しい悪影響を与えるよう
になることから、その含有量を0.009%以下
と限定した。 Nb Nb成分には、細粒フエライトの生成を促
し、Bとの共存においてマルテンサイト形成
をも促進して、強度および靭性を向上する作
用があるが、その含有量が0.008%未満では
前記作用に所望の効果を得ることができず、
他方0.180%を越えて含有せしめると溶接性
に悪影響を与えるようになることから、その
含有量を0.008〜0.180%と限定した。 Ti Ti成分には、圧延組織を微細化するとと
もに、鋼中のNを固定してB成分の焼入性向
上効果を確保する作用があるが、その含有量
が0.004%未満では前記作用に所望の効果を
得ることができず、他方0.040%を越えて含
有せしめると靭性の劣化を来たすようになる
ことから、その含有量を0.004〜0.040%と限
定した。 B B成分には、鋼の焼入性を向上させて強度
および靭性を確保する作用があるが、その含
有量が0.0004%未満では焼入性が不十分で満
足出来る強靭性を得ることができず、他方
0.0025%を越えて含有せしめると溶接性に悪
影響を及ぼすようになることから、その含有
量を0.0004〜0.0025%と限定した。 N N成分には、Ti成分とともにTiNを形成
して鋼基地中に析出し、圧延組織を微細化す
る作用があるが、その含有量が0.0005%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、他方
0.0100%を越えて含有せしめるとB成分と結
合してB成分の焼入性向上効果を減じてしま
うようになることから、その含有量は0.0005
〜0.0100%と限定した。 sol.Al Al成分には、脱酸作用および細粒化作用
があるが、その含有量が0.005%未満では前
記作用に所望の効果が得られず、他方0.090
%を越えて含有させると、非金属介在物の量
が増加し、鋼が脆化するようになることか
ら、その含有量を0.005〜0.090%と限定し
た。 Cu,Cr,およびMo これらの成分には、鋼の焼入性を向上してマ
ルテンサイトの生成を助ける均等な作用がある
ので、より一層の強靭性が要求される場合に必
要に応じて含有されるが、その含有量がそれぞ
れ0.05%未満では所望の強靭性向上効果が得ら
れず、他方それぞれ0.50%を越えて含有させる
と、細粒フエライトの生成を抑制されて靭性の
低下を招くようになることから、その含有量を
0.05〜0.50%と定めた。 Ni,およびCo これらの成分には、鋼の靭性を改善する均
等な作用があるので、より一層の靭性が要求
される場合に必要に応じて含有されるが、そ
の含有量がそれぞれ0.1%未満では所望の靭
性向上効果が得られず、他方それぞれ1.0%
を越えて含有させると、NiおよびCo元素自
体が高価なために経済的不利を招くことか
ら、その含有量を0.1〜1.0%と定めた。 V,およびZr これらの成分には、析出によつて鋼の強度
を向上させる均等的作用があるので、より一
層の強度が要求される場合に必要に応じて含
有されるが、その含有量がそれぞれ0.01%未
満では所望の強度向上効果が得られず、他方
それぞれ0.15%を越えて含有せしめると靭性
劣化を来たすようになることから、その含有
量をそれぞれ0.01〜0.15%と限定した。 La,Ce,およびCa これらの成分には、硫化物系非金属介在物
の形態を制御することにより、シヤルピーの
吸収エネルギーの著しい向上および耐硫化物
応力腐食割れ性を一段と向上させる均等的作
用があるので、必要に応じて含有されるが、
その含有量が、それぞれ0.0005%未満では所
望の介在物の球状化効果が得られず、他方そ
れぞれ0.005%を越えて含有させると、非金
属介在物の量が増加しこれらの性能が損なわ
れる傾向が現われるようになることから、そ
の含有量をそれぞれ0.0005〜0.020%と限定
した。 () 圧延条件 加熱温度:900〜1170℃ 加熱温度が900℃未満ということは、鋼の
オーステナイト化する温度(Ac3点)に達し
ていないということであり、所望の圧延組織
を得ることができないのに対して、加熱温度
が1170℃を越えると鋼材組織が粗粒化し、靭
性不良を来たすようになることから、加熱温
度を900〜1170℃と定めた。 圧下条件:900℃以下で50%以上 圧下時の温度が900℃を越えたり、その累
積圧下率が50%未満である場合には、歪をも
つた微細なオーステナイト粒を作ることがで
きず、したがつて、細粒フエライトの生成を
促進することができなくなる。つまり、仕上
圧延後の空冷またはある程度の強冷によつて
微細なフエライトを得、その後の焼入れで、
微細に分散したマルテンサイトを得るために
は、900℃以下の温度での50%以上の累積圧
下率の圧延が不可欠であるので、圧下条件を
上記のように限定した。 仕上温度 圧延仕上温度が800℃を越えると圧延組織
の細粒化が不十分であり、他方その温度が
650℃未満では二相域圧延の度合が過大とな
つて、靭性並びに延性の低下を来たすように
なることから、その温度を800〜650℃と定め
た。 () 冷却条件 圧延仕上後の冷却を、空冷または4℃/秒を
越えない加速冷却としたのは、これらの値より
も速い冷却速度ではフエライト変態が抑制され
てしまつて、微細なフエライト組織を得ること
ができなくなるからである。特に、4℃/秒を
越えない程度の冷却速度を上限としたのは、板
厚の厚いものに対しての焼入れまでの冷却を促
進して能率の向上を図るという理由からである
が、この冷却速度を越えた場合には、前述のよ
うにフエライト変態がスムーズに起らなくなる
のである。 () 焼入温度 γ−α変態が未だ進行中のAr1点より高い鋼
のAr1点は成分、冷却速度によつて変動する
が、本発明鋼では650〜600℃と考えられるその
温度から焼入れを行なうと、フエライト変態が
十分に進行せずに単なる焼入組織になつてしま
つて良好な靭性を得ることができなくなる。他
方、Ms点温度以下、即ち平均的には350℃未満
の温度では、いわゆるMs点以下であるので焼
入れの効果が十分でなくなる。したがつて、焼
入温度をAr1変態点近傍〜Ms点の温度範囲と
定めた。 ついで、この発明を実施例により比較例と対比
しながら説明する。 実施例 1 この例では、仕上圧延後の焼入温度が鋼材の機
械的・物理的性質に与える影響を比較した。 まず、第1表に示すような本発明方法を満足す
る化学成分組成を有し、厚みが150mmのスラブを
常法によつて製造した。
【表】 つぎに、このスラブを1050℃に加熱保持した後
粗圧延を行ない、ついで温度が900℃を下廻つた
時点でスラブ厚75mmより67%の圧下率で圧延を施
した。そして、740℃にて圧延を終了し、引続い
て空冷した後、第2表に示したような各種焼入温
度で焼入れして、板厚:25mmの鋼板を得た。 このようにして得られた各種鋼板について、強
度および靭性を比較するためにその機械的・物理
的性質を測定し、その結果を第2表に併せて記載
した。
【表】 第2表に示した結果からも明らかなように、焼
入温度が700〜630℃(本発明鋼のAr1点は約600
℃)と本発明の範囲よりも高い場合の焼入材2及
び3は強度が最も高い値を示すけれども、シヤル
ピー破面遷移温度(vTs),DWTT落下試験85%
延性破面遷移温度(DWTT・FATT)で表わさ
れるところの靭性が著しく劣つていることがわか
る。これは、γ→α変態が完了しないうちに焼入
れを行なつたために細粒フエライトの生成が阻止
され、ベイナイトおよびマルテンサイトの量が著
しく増したためである。 他方、焼入温度が、本発明の範囲であるAr1
態点以下の600〜350℃であつた焼入材4〜7は、
圧延後空冷材1に比較して10Kg/mm2以上の強度上
昇が得られるにもかかわらず、靭性の劣化がほと
んどみられなかつた。 実施例 2 この例では、鋼板製造の際の加熱・圧延・冷却
条件が、鋼材の機械的・物理的性質に与える影響
を比較した。 まず、実施例1における第1表に示したのと同
様の、本発明方法を満足する化学成分組成を有
し、厚みが150mmのスラブを用意した。 このスラブの1つを、1050℃に加熱保持した
後、温度が900℃を下廻つた時点で67%の圧下率
の圧延を施し、ついで740℃にて圧延を終了して
から引続いて空冷を施し、550℃の温度から焼入
れすることによつて板厚:25mmの鋼板を得た。こ
のときの条件を本発明の標準条件とし、それによ
つて得られた試料番号5の試料の機械的・物理的
性質を第3表にあらためて示した。 つぎに、上記スラブの別のものについて、それ
ぞれ、加熱温度、900℃以下における圧下率、圧
延仕上温度、および仕上後の冷却速度を第3表に
示したように変えたほかは、標準条件と同様の条
件で圧延を行ない、550℃の温度から焼入れをす
ることによつて試料番号9〜14の鋼板を得た。こ
れらの機械的・物理的性質も第3表に併せて示し
た。 第3表に示した結果からも、加熱・圧延・冷却
の条件が本発明方法の範囲を外れると、いずれも
低温靭性が著しく悪化することが明白である。 特に、圧延仕上から焼入れまでの間の加速冷却
は、板厚が大きいと焼入までに時間がかかるので
これを防止するために講じられる手段であるが、
これによつて冷却速度が速くなりすぎると、実質
【表】 的に圧延後直ちに焼入れしたのと同じこととなつ
て靭性劣化を招くものであることが、試料番号14
の靭性値と試料番号13の靭性値を比較することに
よつて明白である。 実施例 3 この例では、鋼板製造の際の化学成分組成が機
械的・物理的性質に及ぼす影響を比較したもので
ある。 通常の溶解法により、それぞれ第4表に示され
る化学成分組成をもつた鋼を溶製し、通常の条件
で鋳造し、得られたスラブを1050℃に加熱保持し
た後粗圧延を行ない、ついでスラブ厚57mmにて
850℃より67%の圧下率にて圧延を再開し、700℃
で圧延を終了後空冷を行ない、550℃の温度より
水焼入れし、得られた板厚:19mmの鋼板につい
て、それぞれ、その機械的・物理的性質を測定し
た。これらの結果も第4表に併せて示した。 第4表に示される結果から、本発明例21〜50の
鋼板は、いずれも70Kg/mm2級の引張強さを示す
【表】
【表】
【表】 とともに、高い低温靭性値を具備しているのに対
して、比較例51〜63の鋼板にみられるように成分
組成のいずれかでもこの発明の範囲から外れると
前記特性のうち少なくともいずれかの特性が劣つ
たものになることが明らかである。 上述のように、この発明の方法によれば、溶接
性に好適である低い炭素量を確保できるととも
に、強度および靭性が、それぞれ、引張り強さ:
60〜80Kg/mm2およびシヤルピー破面遷移温度:−
100℃以下程度と優れた値を示す鋼を製造するこ
とができ、したがつてこの鋼を苛酷な環境条件下
の油田やガス田の開発の際、ラインパイプとして
用いた場合に著しく優れた性能を発揮するのであ
る。 また、この発明の方法で得られた高張力鋼板を
Ac1変態点以下に焼戻し処理することは、その鋼
の特性を何ら損ねるものではなく、むしろ靭性お
よび耐硫化水素割れ性等の面で改善作用が期待さ
れるものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (a) 重量%で、 C:0.003〜0.100%、 Si:0.85%以下、 Mn:1.0〜3.0%、 Nb:0.008〜0.180%、 Ti:0.004〜0.040%、 B:0.0004〜0.0025%、 N:0.0005〜0.0100%、 sol.Al:0.005〜0.090%、 を含有し、さらに、 () Cu、Cr、およびMoの1種以上:0.05〜
    0.50%、 () NiおよびCoの1種以上:0.1〜1.0%、 () VおよびZrの1種以上:0.01〜0.15%、 () La、Ce、およびCaの1種以上:0.0005
    〜0.020%、 以上()〜()の1種以上を含有し、ま
    たは含有せず、 残りがFeと不可避不純物からなり、かつ不
    可避不純物としてのPおよびSの含有量を、 P:0.03%以下、 S:0.009%以下、 とした組成を有する鋼を、 (b) 900〜1170℃に加熱した後、 (c) 少なくとも900℃以下の累積圧下率が50%以
    上で、かつ仕上温度が800〜650℃の圧延を施
    し、 (b) 圧延仕上後、空冷または4℃/秒を越えない
    加速冷却によりAr1変態点近傍〜Ms点の温度
    範囲に冷却してから、 (e) この温度範囲より直接焼入れすること、 を特徴とする強靭高張力鋼板の製造法。
JP9372782A 1982-06-01 1982-06-01 直接焼入法による強靭高張力鋼板の製造法 Granted JPS58210125A (ja)

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