JPH0995091A - 多芯筆記具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】操作の信頼性が高くて高級感を出し易い、３本
以上のレフィールを内蔵した多芯筆記具を提供する。 【解決手段】回転可能に連結された前軸１１と後軸１２
からなる軸筒１内に３本以上のレフィールを配置し、軸
筒内に、レフィールの尾端が当接した作動子３１，３２
を選択的に前進させるカム５を配置すると共に、前進し
た作動子を更に前進させるノック機構を配置し、後軸を
回転させるとカムが回転してレフィールの筆記体が軸筒
の先端開口１３の内側近傍に位置するとともに前進した
レフィールの種類が軸筒に表示されるようにし、後軸の
尾端開口から突出したノックカバー４２を押圧すると、
レフィールの筆記体が軸筒の先端開口から突出し、筆記
可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、軸筒内に３本以上のレ
フィールが配置され、レフィールの筆記体を選択的に軸
筒の先端開口より出没させる多芯筆記具に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】例えば１本のシャープペンシルレフィー
ルと２本ないしそれ以上のボールペンレフィールのよう
に、軸筒内に３本ないしそれ以上のレフィールが配置さ
れ、レフィール先端の筆記体を選択的に軸筒の先端開口
より出没させて筆記する多芯筆記具は、１のレフィール
が前進するときに、他のレフィールと軸筒の先端開口近
傍において干渉しないために、軸筒内に没入している状
態においては、各レフィールの筆記体は、軸筒の先端開
口よりかなり内側に位置している。従って、１のレフィ
ールの筆記体が軸筒の先端開口から突出して筆記可能に
なるためには、軸筒内に１本ないし２本のレフィールが
配置された筆記具に比べて長いストロークを必要とす
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】軸筒内に３本ないしそ
れ以上のレフィールを配置した多芯筆記具は、軸筒のサ
イドにレフィールの本数に等しい長孔を設けて各レフィ
ールを突出させるための突起をこれらの長孔から突出さ
せ、１つの突起を指先で長孔に沿って前進させることに
よって筆記体を突出させるサイドノック式の多芯筆記具
が実用化されているが、かかる構成の多芯筆記具は、構
造は簡単ではあるが、高級感を出すのにそぐわない問題
点がある。

【０００４】このため、軸筒の尾端から突出するノック
カバーを押圧して筆記体を繰出させるノック式にする
と、ストロークが長いためにノックカバーの軸筒尾端か
らの突出量が異常に長くなり、高級感のある多芯筆記具
に設計する上で好ましくない。

【０００５】また、キャップスライドによるノック方式
にすると、軸筒の尾端から突出する異常に長いノックカ
バーが不要であるので、高級感は出し易いが、ストロー
クの長いキャップスライド方式は、片手で筆記具を持っ
た状態でキャップをスライドさせるのが困難な不具合が
ある。そして、キャップスライド方式の多芯筆記具は、
振り子が内蔵され、筆記具の傾き方向によって振り子の
先端が所定のレフィールを押圧するようになっている
が、操作の信頼性が低い問題点がある。

【０００６】次に、２本のレフィールが内蔵された多芯
筆記具では、高級筆記具とするために回転繰出式のもの
が実用化されている。これは、内部にカムを配置し、前
軸に対して後軸を正逆回転させることにより、いずれか
のレフィールの筆記体を軸筒先端の開口から突出させる
ものであるが、３本以上のレフィールを内蔵した多芯筆
記具においては、１のレフィールを突出させるためのカ
ムの角度は１２０゜以内となり、その角度内で長いスト
ロークを得ることはほとんど不可能であり、カムを利用
した回転繰出式のものは実用化されていない。

【０００７】そこで本発明は、操作の信頼性が高くて高
級感を出し易い、３本以上のレフィールを内蔵した多芯
筆記具を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明の多芯筆記具は、回転可能に連結された前
軸と後軸からなる軸筒内に３本以上のレフィールが配置
された多芯筆記具において、軸筒内に、レフィールの尾
端が当接した作動子を選択的に前進させるカムを配置す
ると共に、前進した作動子を更に前進させるノック機構
を配置し、後軸を回転させるとカムが回転してレフィー
ルの筆記体が軸筒の先端開口の内側近傍に位置するとと
もに前進したレフィールの種類が軸筒に表示されるよう
にし、後軸の尾端開口から突出したノックカバーを押圧
すると、レフィールの筆記体が軸筒の先端開口から突出
し、筆記可能にする。

【０００９】

【作用】軸筒内に３本以上のレフィールが配置されてい
るので、レフィールの筆記体を軸筒の先端開口から突出
させるのに長いストロークが必要であるが、このストロ
ークをカムとノック機構で分担するので、軸筒の尾端開
口から突出するノックカバーは短くなり、高級感を出し
易くなる。また、カムとノック機構で筆記体を繰出する
ので繰出操作において高い信頼性を得ることができる。
また、カムで前進したレフィールの種類が表示されるの
で、使用者は、後軸を回転させる操作は、レフィールの
選択を意味するので、筆記体を繰出させる操作はノック
機構のみと感じ、筆記体繰出に手間を感じることはな
い。

【００１０】

【実施例】以下に図面に示す実施例に基づいて本発明を
具体的に説明する。図１において、軸筒１は、前軸１２
と後軸１１からなり、前軸１２と後軸１１は回転可能に
連結されている。そして、軸筒１は先端開口１３と尾端
開口１４を有する。軸筒１内には、１本のシャープペン
シルレフィール２１とインキの色が異なる２本のボール
ペンレフィール２２，２３の合計３本のレフィールが配
置されているが、レフィールの本数は４本ないしそれ以
上であっても良い。

【００１１】３本の案内孔を有するシリンダー７が前軸
１２に固定されている。そして、シャープペンシルレフ
ィール２１とボールペンレフィール２２，２３は、シリ
ンダー７の案内孔内に前後動可能に収納されている。レ
フィール２１，２２，２３の尾端に作動子３１，３２，
３３がそれぞれ嵌着している。そして、レフィール２
１，２２，２３は作動スプリング７２で尾端側にそれぞ
れ弾発されている。レフィール２１，２２，２３は、そ
の先端にそれぞれ筆記体２１１，２２１，２３１を有す
る。なお、図２に示すように、シリンダー７は、ボール
ペンレフィール２２，２３を収納する案内孔には段部７
１が形成されているが、シャープペンシルレフィール２
１を収納する案内孔には段部は形成されておらず、作動
子３１のストロークが作動子３２，３３のストロークよ
り長くなっているが、これは、このストロークの差を利
用してシャープペンシルの鉛筆芯を繰出させるためであ
る。

【００１２】後軸１１には筒状のカム５が固定されてい
る。カム５の下端には、図２に示すように、山型をした
プロフィール５１が形成されており、カム５が回転して
プロフィール５１がいずれかの作動子、例えばシャープ
ペンシルレフィール２１に嵌着された作動子３１に当接
すると、作動子３１はプロフィール５１の斜面に沿って
前進し、プロフィール５１の頂点に係止して停止する。
このとき、図１に示すように、シャープペンシルレフィ
ール２１の筆記体２１１は軸筒１の先端開口１３の内側
近傍に位置するようになっている。また、カム５の内面
には係止突起５２が形成され、図２に示すように、係止
突起５２の周囲には、略コ字型の誘導溝５３が形成され
ている。

【００１３】レフィール２１，２２，２３が収納されて
いるシリンダー７は前軸１２に固定されているので、レ
フィール２１，２２，２３の前軸１２に対する位相は固
定されているが、前軸１２表面の後軸１１との連結部近
傍には、レフィール２１，２２，２３の種類を表す印
（図示せず）が１２０゜間隔で印刷されている。一方、
後軸１１表面のクリップ８の前方にも印（図示せず）が
印刷されており、例えば、図１に示すように、カム５に
よってシャープペンシルレフィール２１が前進している
時は、後軸１１の印と前軸１２のシャープペンシルを示
す印が一致するようになっている。逆に言えば、シャー
プペンシルで筆記しようと思えば、後軸１１を前軸１２
に対して回転させて後軸１１に印刷された印と前軸１２
に印刷されたシャープペンシルを示す印を一致させれば
良く、これによって、シャープペンシルレフィール２１
の筆記体２１１は軸筒１の先端開口１３の内側近傍に位
置する。このように、使用者には、後軸１１を前軸１２
に対して回転させることは、使用するレフィールを選択
することを意味し、例えばシャープペンシルレフィール
２１の筆記体２１１が前進して軸筒１の先端開口１３の
内側近傍に位置していることが通常の状態では見えない
ので、この回転によって筆記体の繰出操作を行なってい
る意識はない。

【００１４】本発明の多芯筆記具には、ノック部材４、
ノックカバー４２、ノックスプリング４３などからなる
ノック機構が配置されている。つまり、カム５の内側に
は、ノック部材４が前後動可能に配置されており、ノッ
ク部材４の下端からノック部４１が突出している。ノッ
ク部材４の尾端には、内部に消しゴム４４が配置された
ノックカバー４２が連結され、ノックカバー４２は軸筒
１の尾端開口から突出している。そして、ノック部材４
はノックスプリング４３で尾端側に弾発されている。

【００１５】ノック部材４の内部には、ノック係止部材
６が径方向に移動可能に配置され、このノック係止部材
６はバネ６１で外側に弾発されている。そして、ノック
係止部材６は、図２に示すように、カム５の誘導溝５３
に嵌め込まれている。従って、ノック部材４はカム５と
ともに前軸１２に対して回転するが、ノック係止部材６
が係止突起５２の前後に位置する通常時は、ノック部４
１の位相が、カム５のプロフィール５１と一致してい
る。また、ノック部４１の先端は山型に切り欠かれてお
り、作動子の山型の先端と係合する。

【００１６】しかして、例えばシャープペンシルで筆記
するときは、先ず、前記のとおり、後軸１１を前軸１２
に対して回転させて後軸１１に印刷された印と前軸１２
に印刷されたシャープペンシルを示す印を一致させ、シ
ャープペンシルレフィール２１の筆記体２１１を軸筒１
の先端開口１３の内側近傍に位置させる。次に、ノック
カバー４２を押圧するノック操作を行なうと、ノック部
材４のノック部４１の位相が、カム５のプロフィール５
１と一致しているので、図４に示すように、ノック部４
１が作動子３１を更に前進させ、図３に示すように、シ
ャープペンシルレフィール２１の筆記体２１１が軸筒１
の先端開口１３からその段部に係止した状態で突出す
る。このとき、図４に示すように、ノック係止部材６が
係止突起５２を乗り越えて係止突起５２の前端縁に係止
し、筆圧を受け止める。シャープペンシルレフィール２
１の筆記体２１１から鉛筆芯を繰出させるときは、再び
ノックカバー４２を押圧するノック操作を行えばよく、
筆記体２１１が軸筒１の先端開口１３の段部に係止して
いるので、通常のシャープペンシルのノックによる鉛筆
芯繰出操作と同じ結果となり、鉛筆芯が繰出する。

【００１７】筆記が終了して筆記体２１１を前軸１２内
に没入させるときも、後軸１１を前軸１２に対して少し
回転させるとよい。すなわち、これによってノック部材
４はカム５と一緒に回転しようとするが、山型に切り欠
かれたノック部４１の先端が、作動子３１の山型の先端
と係合しているので、その抵抗でノック部材４の回転開
始が遅れ、図４に示すように、ノック係止部材６が横側
に偏位し、矢印で示す方向に移動して原位置に復帰し、
図１および図２に示す状態になり、筆記体２１１が前軸
１２内に没入する。なお、ボールペンレフィール２２，
２３で筆記するときも前記と全く同じ要領で操作すれば
よく、相違は、ただ鉛筆芯の繰出操作を行なわないだけ
である。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の多芯筆記
具は、筆記体の繰出を、先ず前軸に対して後軸を回転さ
せてカムで作動子を前進させ、続いてノック機構で更に
前進させて筆記体を繰出するので繰出操作において高い
信頼性を得ることができる。また、軸筒内に３本以上の
レフィールが配置されているので、レフィールの筆記体
を軸筒の先端開口から突出させるのに長いストロークが
必要であるが、前軸に対して後軸を回転させるレフィー
ルの選択作業で予め筆記体を前進させるので、ノック機
構のストロークは短くて良く、軸筒の尾端開口から突出
するノックカバーが短くなり、高級感を出し易い多芯筆
記具とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の断面図である。

【図２】カムと作動子の関係を示す展開図である。

【図３】筆記体が軸筒の先端開口から突出した状態を示
す断面図である。

【図４】ノック部材と作動子の関係を示す展開図であ
る。

【符号の説明】

１ 軸筒 １１ 後軸 １２ 前軸 １３ 軸筒の先端開口 １４ 軸筒の尾端開口 ２１ シャープペンシルレフィール ２１１ シャープペンシルレフィールの筆記体 ２２，２３ ボールペンレフィール ２２１，２３１ ボールペンレフィールの筆記体 ３１，３２，３３ 作動子 ４ ノック部材 ４１ ノック部材のノック部 ４２ ノックカバー ４３ ノックスプリング ５ カム ５１ カムのプロフィール ５２ 係止突起 ５２ 誘導溝 ６ ノック係止部材 ７ シリンダー ７２ 作動スプリング ８ クリップ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転可能に連結された前軸と後軸からな
   る軸筒内に３本以上のレフィールが配置された多芯筆記
   具であって、 軸筒内に、レフィールの尾端が当接した作動子を選択的
   に前進させるカムを配置すると共に、前進した作動子を
   更に前進させるノック機構を配置し、 前軸に対して後軸を回転させるとカムが回転してレフィ
   ールの筆記体が軸筒の先端開口の内側近傍に位置すると
   ともに、前進したレフィールの種類が軸筒に表示され、
   軸筒の尾端開口から突出したノックカバーを押圧する
   と、レフィールの筆記体が軸筒の先端開口から突出し、
   筆記可能になることを特徴とする多芯筆記具。