JPH0993971A - モータ制御装置 - Google Patents

モータ制御装置

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JPH0993971A
JPH0993971A JP7251327A JP25132795A JPH0993971A JP H0993971 A JPH0993971 A JP H0993971A JP 7251327 A JP7251327 A JP 7251327A JP 25132795 A JP25132795 A JP 25132795A JP H0993971 A JPH0993971 A JP H0993971A
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constant speed
proportional
speed
acceleration
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Takeshi Enokida
剛 榎田
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PI制御によりモータ速度をフィードバック
制御するモータ制御装置において、少なくとも定速時の
安定性を確保しつつモータを高速に立ち上げることがで
きるモータ制御装置を提供する。 【解決手段】 加減速用の比例ゲインを大きくし、定速
用の比例ゲインを小さくしかつ定速用の積分ゲインを定
常偏差を除去するために設定する。そして、目標値とな
る加減速パターンから得られる動作状態信号によってゲ
インの切り替え制御を行うとともに、加減速時にはスイ
ッチ19をOFFして積分動作を遮断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるPI制御
(比例積分制御)を適用してモータの速度をフィードバ
ック制御するモータ制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】PI制御をモータ速度のフィードバック
制御に適用した従来のモータ制御装置においては、複数
の比例ゲインと積分ゲインをあらかじめ用意しておき、
最適なゲインを選択し設定することによって応答性と安
定性の両立を図るようにしている(たとえば、特開昭6
1−196786号公報、特開平1−198290号公
報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のモータ制御装置にあっては、モータの動作状態
(加速、定速、減速、停止)に合った最適なゲインを設
定することができず、特に機械加工装置のように加工中
は高度の安定性が要求される一方で加速時は素早い立ち
上がりが要求されるものに対してそれらの要求を同時に
満たすことはきわめて困難であり、そうしたマシンの要
求性能に見合った応答性と安定性の両立には一定の限界
がある。
【0004】すなわち、前記特開昭61−196786
号公報に開示されている従来のモータ制御装置にあって
は、目標値に従ってゲインを選択するため、モータの動
作状態に合ったゲインの設定はできない。たとえば、加
速時と定速時の両状態を同時に最適に制御しうるゲイン
を目標値によって一意的に決定することはできない。そ
のため、あらかじめ用意しておくゲインの大きさはどれ
かの動作状態に合った設定とならざるを得ず、すべての
動作状態に対して最適な制御を行うことはきわめて困難
である。
【0005】また、前記特開平1−198290号公報
に開示されている従来のモータ制御装置にあっては、速
度偏差(現在速度と目標速度との差)の大きさに応じて
ゲインを選択する。具体的には、速度偏差が大きいとき
には比例ゲイン、積分ゲイン共に大きなゲインを選択
し、逆に、速度偏差が小さいときには比例ゲイン、積分
ゲイン共に小さなゲインを選択するようにしている。と
ころが、このような制御によれば、たとえば、速度偏差
が大きい加速時においては、比例ゲイン、積分ゲイン共
に大きくなり、総合ゲインが大きくなりすぎるため安定
性が悪化するとともに、積分動作が強くなるため応答性
も悪くなる。また、速度偏差が小さい定速時において
は、積分ゲインが小さくなり積分動作が弱くなるため定
常偏差の改善には不利である。さらに、ハンチングや発
振などが発生して制御系が振動的になったために速度偏
差が大きい場合には、比例ゲイン、積分ゲイン共に大き
なゲインが選択されるため、ますます不安定になってし
まう。
【0006】本発明は、モータ制御装置における上記課
題に着目してなされたものであり、特に定速時の安定性
と加速時の高速立上げ性能が重視されるたとえば機械加
工装置などにおいて、PI制御によりモータ速度をフィ
ードバック制御する際に、少なくとも定速時の安定性を
確保しつつモータを高速に立ち上げることができるモー
タ制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、目標値と速度フィードバッ
ク信号との偏差により比例積分制御を行ってモータをフ
ィードバック制御するモータ制御装置において、入力し
た目標速度信号から所定のパラメトリック設定に従って
速度変化パターンを設定する速度変化パターン設定手段
と、前記速度変化パターン設定手段によって設定された
速度変化パターンに基づいてモータの動作状態信号を発
生する動作状態信号発生手段と、あらかじめモータの動
作状態ごとに比例制御動作および積分制御動作に用いら
れる比例ゲインおよび積分ゲインをそれぞれ記憶するゲ
イン記憶手段と、前記動作状態信号発生手段からの動作
状態信号に従って前記ゲイン記憶手段に記憶されている
比例ゲインおよび積分ゲインを選択するゲイン選択手段
とを有することを特徴とする。
【0008】このように構成された本発明にあっては、
目標値と速度フィードバック信号との偏差により比例積
分制御を行ってモータをフィードバック制御する際に、
速度変化パターン設定手段は入力した目標速度信号から
所定のパラメトリック設定に従って速度変化パターンを
設定し、動作状態信号発生手段はその速度変化パターン
設定手段によって設定された速度変化パターンに基づい
てモータの動作状態信号を発生し、ゲイン選択手段に出
力する。ゲイン選択手段は、動作状態信号発生手段から
出力された動作状態信号に従って、ゲイン記憶手段に記
憶されている複数の比例ゲインおよび積分ゲインの中か
らその動作状態における比例ゲインと積分ゲインを選択
する。このようにして選択された比例ゲインと積分ゲイ
ンによってモータの動作状態に合った比例積分制御が行
われる。したがって、あらかじめモータのそれぞれの動
作に最適なゲインを設定しておけば、モータの動作状態
に応じてゲインを切り替えることにより、マシンの要求
性能に見合うように応答性と安定性を高次元で両立させ
た制御が可能となる。
【0009】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載
の発明におけるゲインの設定の仕方に関し、加速時に選
択される加速用比例ゲインと定速時に選択される定速用
比例ゲインとの大小関係を 加速用比例ゲイン>定速用比例ゲイン>0 とし、かつ、加速時に選択される加速用積分ゲインと定
速時に選択される定速用積分ゲインとの大小関係を 定速用積分ゲイン>加速用積分ゲイン=0 としたものである。
【0010】また、請求項3記載の発明は、同じくゲイ
ンの設定の仕方に関し、減速時に選択される減速用比例
ゲインと定速時に選択される定速用比例ゲインとの大小
関係を 減速用比例ゲイン>定速用比例ゲイン>0 とし、かつ、減速時に選択される減速用積分ゲインと定
速時に選択される定速用積分ゲインとの大小関係を 定速用積分ゲイン>減速用積分ゲイン=0 としたものである。
【0011】このようにゲインを設定した場合、加速時
および減速時は、モータの高速立上げ性能を重視すべき
ところ、比例ゲインが大きくかつ積分ゲインがゼロであ
るため、モータの立ち上がりおよび立ち下がりの応答性
が改善され、速やかなる加速および減速が実現される。
また、定速時は、定常偏差のない安定性を重視すべきと
ころ、比例ゲインが小さくかつ積分ゲインを設定したた
め、比例動作による振動的要素がなくなるとともに積分
動作により定常偏差が解消され、定常偏差がなくしかも
外乱に対する過度の応答のない安定した回転が実現され
る。
【0012】請求項4記載の発明は、目標値と速度フィ
ードバック信号との偏差により比例積分制御を行ってモ
ータをフィードバック制御するモータ制御装置におい
て、入力した目標速度信号から所定のパラメトリック設
定に従って速度変化パターンを設定する速度変化パター
ン設定手段と、前記速度変化パターン設定手段によって
設定された速度変化パターンに基づいてモータの動作状
態信号を発生する動作状態信号発生手段と、あらかじめ
モータの動作状態ごとに比例制御動作および積分制御動
作に用いられる比例ゲインおよび積分ゲインをそれぞれ
記憶するゲイン記憶手段と、前記動作状態信号発生手段
からの動作状態信号に従って前記ゲイン記憶手段に記憶
されている比例ゲインおよび積分ゲインを選択するゲイ
ン選択手段と、前記動作状態信号発生手段から加速状態
信号または減速状態信号を入力したときに積分制御動作
を遮断する積分制御動作遮断手段とを有することを特徴
とする。
【0013】このように構成された本発明にあっては、
目標値と速度フィードバック信号との偏差により比例積
分制御を行ってモータをフィードバック制御する際に、
速度変化パターン設定手段は入力した目標速度信号から
所定のパラメトリック設定に従って速度変化パターンを
設定し、動作状態信号発生手段はその速度変化パターン
設定手段によって設定された速度変化パターンに基づい
てモータの動作状態信号を発生し、ゲイン選択手段およ
び積分動作遮断手段に出力する。ゲイン選択手段は、動
作状態信号発生手段から出力された動作状態信号に従っ
て、ゲイン記憶手段に記憶されている複数の比例ゲイン
および積分ゲインの中からその動作状態における比例ゲ
インと積分ゲインを選択する。このようにして選択され
た比例ゲインと積分ゲインによってモータの動作状態に
合った比例積分制御が行われる。このとき、積分動作遮
断手段は、動作状態信号発生手段から加速状態信号また
は減速状態信号を入力したときに積分制御動作を遮断す
る。したがって、加速時および減速時には比例制御動作
のみが行われることになり、積分制御動作は行われない
ので、モータの高速立上げおよび立下げが可能となる。
【0014】請求項5記載の発明は、上記請求項4記載
の発明におけるゲインの設定の仕方に関し、加速時に選
択される加速用比例ゲインと定速時に選択される定速用
比例ゲインとの大小関係を 加速用比例ゲイン>定速用比例ゲイン>0 とし、かつ、定速時に選択される定速用積分ゲインを 定速用積分ゲイン>0 としたものである。
【0015】また、請求項6記載の発明は、減速時に選
択される減速用比例ゲインと定速時に選択される定速用
比例ゲインとの大小関係を 減速用比例ゲイン>定速用比例ゲイン>0 とし、かつ、定速時に選択される定速用積分ゲインを 定速用積分ゲイン>0 としたものである。
【0016】このようにゲインを設定した場合、加速時
および減速時は、モータの高速立上げ性能を重視すべき
ところ、比例ゲインが大きく、しかも積分制御動作は上
記のように行われないため、モータの立ち上がりおよび
立ち下がりの応答性が改善され、速やかなる加速および
減速が実現される。また、定速時は、定常偏差のない安
定性を重視すべきところ、比例ゲインが小さくかつ積分
ゲインを設定したため、比例動作による振動的要素がな
くなるとともに積分動作により定常偏差が解消され、定
常偏差がなくしかも外乱に対する過度の応答のない安定
した回転が実現される。
【0017】請求項7記載の発明は、上記請求項1また
は4記載の発明において、動作状態信号発生手段は、あ
らかじめ設定された指標により、速度変化パターン設定
手段によって設定された速度変化パターンが加速状態か
ら定速状態に移行する時点よりも早く動作状態信号を切
り替えることを特徴とする。
【0018】このように構成された本発明にあっては、
動作状態信号発生手段は、速度変化パターン設定手段に
よって設定された速度変化パターンが加速状態から定速
状態に移行する時点よりも早く動作状態信号を切り替え
るので、事前に定速状態に合ったゲイン設定がなされ、
慣性力の抑制が図られることになり、定常時のオーバー
シュートやハンチングが抑えられる。
【0019】請求項8記載の発明は、上記請求項1また
は4記載の発明において、動作状態信号発生手段は、あ
らかじめ設定された指標により、速度変化パターン設定
手段によって設定された速度変化パターンが減速状態か
ら停止状態に移行する時点よりも早く動作状態信号を切
り替えることを特徴とする。
【0020】このように構成された本発明にあっては、
動作状態信号発生手段は、速度変化パターン設定手段に
よって設定された速度変化パターンが減速状態から停止
状態に移行する時点よりも早く動作状態信号を切り替え
るので、事前に停止状態に合ったゲイン設定がなされ、
慣性力の抑制が図られることになり、停止時のオーバー
シュートやハンチングが抑えられる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は本発明のモータ制御装置の
一構成を示すブロック図である。このモータ制御装置
は、特に加工中の安定性と加速時の高速立上げ性能とが
要求される機械加工装置などに好適なものであり、指令
速度と速度フィードバック信号との偏差により比例積分
制御動作を行って直流モータ10(以下、単にモータと
いう。)をフィードバック制御するものであって、外部
から目標速度信号を入力してランプ状の加減速パターン
(速度変化パターン)を生成し、これに基づいて速度指
令vを出力する加減速パターン発生器11と、加減速パ
ターン発生器11から出力された速度指令vとモータ1
0に取り付けられた回転速度検出装置12(たとえば、
タコジェネレータなど)からの速度フィードバック信号
fとを比較してそれらの偏差eを求める比較器13と、
比較器13から入力した偏差信号eに比例した信号を出
力する比例動作用乗算器14と、同じく比較器13から
入力した偏差信号eに比例した信号を出力する積分動作
用乗算器15と、この積分動作用乗算器15からの入力
を時間に関して積分した信号を出力する積分器16と、
比例動作用乗算器14から入力した信号と積分器16か
ら入力した信号とを加え合わせた信号を出力する加算器
17と、この加算器17の出力zを操作量として入力し
モータ10に駆動電流を供給するモータ駆動回路18
(たとえば、電流アンプなど)とを有している。
【0022】積分器16と加算器17の間には、積分制
御動作を遮断するための積分動作遮断器19が設けられ
ている。この積分動作遮断器19は、たとえばスイッチ
で構成され、加減速パターン発生器11から出力される
後述する動作状態信号mによりON/OFFされる。本
案では、加速時と減速時にはスイッチ19をOFFして
積分器16の出力の加算器17への伝達を阻止し、定速
時と停止時にはスイッチ19をONして積分器16の出
力が加算器17に到達するようにしている。
【0023】比例動作用乗算器14には、選択器20を
介して、比例制御動作で用いられる比例ゲインを記憶し
た三つのレジスタ21、22、23がそれぞれ接続され
ている。比例ゲインは、モータ10の動作状態に応じ
て、加速時と減速時(まとめて加減速時という。)に選
択される加減速用ゲインと、定速時に選択される定速用
ゲインと、停止時に選択される停止用ゲインという3種
類のものがあらかじめ設定されている。加減速用ゲイン
はレジスタ21に記憶され、定速用ゲインはレジスタ2
2に記憶され、停止用ゲインはレジスタ23に記憶され
ている。これら3種類の比例ゲインの大きさは、対応す
るモータ10の動作状態(加減速、定速、停止)に合っ
た最適値にそれぞれ設定されている。たとえば、それら
の間の大小関係は、後述する理由により、加減速用の比
例ゲインは定速用や停止用の比例ゲインよりも十分に大
きな値に設定されている。また、選択器20は、たとえ
ば、切換スイッチで構成されており、加減速パターン発
生器11から出力される後述する動作状態信号mによっ
て制御される。したがって、各レジスタ21〜23に記
憶されている比例ゲインは、モータ10の動作状態によ
り、切換スイッチ20を介して選択的に比例動作用乗算
器14に与えられることになる。
【0024】一方、積分動作用乗算器15には、選択器
24を介して、積分制御動作で用いられる積分ゲインを
記憶した二つのレジスタ25、26がそれぞれ接続され
ている。積分ゲインは、モータ10の動作状態に応じ
て、定速時に選択される定速用ゲインと、停止時に選択
される停止用ゲインという2種類のものがあらかじめ設
定されている。定速用ゲインはレジスタ25に記憶さ
れ、停止用ゲインはレジスタ26に記憶されている。こ
れら2種類の積分ゲインの大きさは、対応するモータ1
0の動作状態(定速、停止)に合った最適値にそれぞれ
設定されている。また、選択器24は、上記した選択器
20の場合と同様、たとえば、切換スイッチで構成され
ており、加減速パターン発生器11から出力される後述
する動作状態信号mによって制御される。したがって、
各レジスタ25、26に記憶されている積分ゲインは、
モータ10の動作状態に応じて、切換スイッチ24を介
して選択的に積分動作用乗算器15に与えられることに
なる。なお、モータ10の動作状態が加速および減速の
場合には、対応する積分ゲインがないので、設定器24
は中間位置に設定される。
【0025】なお、本案では、加減速時に積分制御動作
を行わないようにするため、上記のように積分制御動作
を遮断するための積分動作遮断器19を設けているの
で、加速時や減速時に使用する積分ゲインは設定してい
ないが、かかる構成に限定されるわけではない。たとえ
ば、上記の積分動作遮断器19を設けることなく、加減
速時に使用する積分ゲインを設定してもよい。この場合
には、積分動作をゼロにするため、加減速時の積分ゲイ
ンをゼロに設定する。
【0026】上記したように各種ゲインの大きさは対応
するモータ10の動作状態(加減速、定速、停止)に合
った最適値にそれぞれ設定されている。より具体的に
は、加工中の安定性と加速時の高速立上げ性能とが要求
される機械加工装置などにおいては、加速時や減速時に
は、振動的になってもよいからできるだけ早く目標値
(速度)に到達することが要求されており、高速立上げ
性能のみを重視したゲイン設定を行う必要があるので、
発散しない程度に比例動作を最大限に強くしかつ積分動
作をゼロにするよう、好ましくは、加減速用の比例ゲイ
ンは発散しない最大値に設定し、もし積分動作遮断器1
9を設けない場合には加減速用の積分ゲインはゼロに設
定する。一方、実際に加工動作などを行う定速時には、
振動的であってはならずしかも定常偏差があってはなら
ないので、外乱やバックラッシの影響を一切受けないよ
うに安定性を重視したゲイン設定を行う必要があり、振
動的要素がなくなる程度に比例動作を弱くしかつ定常偏
差を解消できる程度の積分動作を行うよう、好ましく
は、定速用の比例ゲインは振動的とならない小さな値に
設定し、定速用の積分ゲインは定常偏差を除去しうる程
度の値に設定しておく。つまり、加減速用と定速用の比
例ゲインの間には下記の大小関係があり、 加減速用比例ゲイン>定速用比例ゲイン>0 また、積分ゲインについては下記の関係 定速用積分ゲイン(>加減速用積分ゲイン)>0 が成立する。
【0027】なお、停止時には振動的であってはならず
定常偏差もあってはならないが、定速時のように超安定
的にする必要はないので、停止用の比例ゲインと積分ゲ
インはそうした要請を考慮して適当に設定しておけばよ
い。
【0028】なお、速度変化パターン設定手段と動作状
態信号発生手段は加減速パターン発生器11、ゲイン記
憶手段はレジスタ21〜23、25、26、ゲイン選択
手段は選択器20、24、積分制御動作遮断手段は積分
動作遮断器19によってそれぞれ構成されている。
【0029】図2は加減速パターン発生器11で生成さ
れる加減速パターンの一例を示す図である。加減速パタ
ーン発生器11は、上記したように、外部から目標速度
信号を入力して図2に示すようなランプ状の加減速パタ
ーンを生成するが、目標速度信号は、たとえば、上位の
制御装置から入力される。加減速パターン発生器11に
は、あらかじめ、ランプ状の加減速パターンを生成する
ための各種パラメータが設定されている。各種パラメー
タは、たとえば、加速時の傾き、減速時の傾き、最高速
度などからなり、適用されるそれぞれの機構に適した固
有の値にそれぞれ設定されている。加減速パターン発生
器11から出力される速度指令vは、この生成した加減
速パターンに基づいて出力される。
【0030】図3は加減速パターンに対する動作状態信
号の出力タイミングの一例を示す図である。加減速パタ
ーン発生器11は、生成した加減速パターンに基づいて
モータ10の動作状態(加速、減速、定速、停止)を示
す信号(動作状態信号)mを出力する機能をも有してい
る。ここでは、図3に示すように、加速状態から定速状
態に移行する時には所定時間a(たとえば、0.1秒)
だけ早く動作状態信号mを切り替え、また、減速状態か
ら停止状態に移行する時には所定時間b(たとえば、
0.1秒)だけ早く動作状態信号mを切り替えるように
している。これは、事前に定常状態に合ったゲイン設定
を行うことにより、定常状態に切り替わる前に慣性力の
抑制を図り、もって定常時のオーバーシュートやハンチ
ングを防止するためである。加減速パターン発生器11
から出力される動作状態信号mは、上記したように、積
分動作遮断器(スイッチ)19と二つの選択器(切換ス
イッチ)20、24にそれぞれ与えられる。
【0031】なお、本案では上記のように加減速パター
ンにおける時間を指標としてゲインの切り替え制御を行
っているが、切り替えの指標は時間に限定されない。た
とえば、加減速パターンにおける速度指令(出力値)を
指標としてゲインの切り替え制御を行うようにしてもよ
い。すなわち、加速状態から定速状態に移行する時には
加速時の速度指令の絶対値が所定値(<次の定速時の速
度指令の絶対値)になったときに動作状態信号mを切り
換え、また、減速状態から停止状態に移行する時には減
速時の速度指令の絶対値が所定値(>0)になったとき
に動作状態信号mを切り替える。
【0032】次に、上記のように構成された本装置の動
作を説明する。上位の制御装置から目標速度信号が加減
速パターン発生器11に入力されると、加減速パターン
発生器11は、各種パラメータに従ってモータ速度の加
減速パターン(図2参照)を生成し、その加減速パター
ンに従って速度指令vを比較器13に出力する。比較器
13は、加減速パターン発生器11からの速度指令vを
目標値として入力するとともに、モータ10に取り付け
られた回転速度検出装置12によって検出された実際の
モータ速度信号(速度フィードバック信号)fを入力
し、入力した速度指令(目標値)vと検出速度(速度フ
ィードバック信号)fとを比較してそれらの偏差eを求
め、結果を比例動作用乗算器14と積分動作用乗算器1
5に出力する。
【0033】比例動作用乗算器14は、加減速パターン
発生器11から出力された動作状態信号mに従って選択
器(切換スイッチ)20により選択された比例ゲインを
速度偏差eに掛け算し、その掛けた値を加算器17に出
力する。一方、積分動作用乗算器15は、同じく加減速
パターン発生器11から出力された動作状態信号mに従
って選択器(切換スイッチ)24により選択された積分
ゲインを速度偏差eに掛け算し、その掛けた値を積分器
16に出力する。ここで、動作状態信号mが加速または
減速を示す場合には、対応する積分ゲインが存在しない
ので、選択器(切換スイッチ)24はいずれのレジスタ
25、26をも選択しない中間位置に設定される。積分
器16は、積分動作用乗算器15の出力を時間に関して
積分し、その時間積分した値を積分動作遮断器19を介
して加算器17に出力する。積分動作遮断器19は、加
減速パターン発生器11から出力された動作状態信号m
に従って選択的にON/OFFされ、加減速中はOFF
状態、定速中と停止中はON状態となるので、積分器1
6の出力は、定速中と停止中の場合に限り、加算器17
に伝達される。加算器17は、比例動作用乗算器14の
出力と積分器16の出力を加え合わせた値z(定速中と
停止中は比例動作用乗算器14の出力そのもの)を操作
量としてモータ駆動回路18に出力し、モータ10をフ
ィードバック制御する。
【0034】すなわち、加減速時には、積分動作遮断器
19により積分制御動作を遮断した上で、比例動作用乗
算器14により速度偏差eに加減速用の比例ゲインを掛
けた値を出力として制御する、つまり比例制御動作のみ
を行う。このとき、選択される加減速用比例ゲインは大
きな値(好ましくは、発散しない最大値)に設定されて
いるので、発散しない程度の強度の比例動作が行われ、
モータ10の立ち上げと立ち下げの高速化が図られる。
なお、この場合は高速立上げ性能のみを重視しており、
途中の経路で振動的挙動を示すことがあってもよいこと
は前述したとおりである。
【0035】また、定速時には、比例動作用乗算器14
により速度偏差eに定速用の比例ゲインを掛けた値と、
積分動作用乗算器15と積分器16により速度偏差eに
定速用の積分ゲインを掛けて時間積分した値とを加算器
17により加え合わせた値を出力として制御を行う、つ
まり比例動作と積分動作の両方を行う(比例積分制御動
作)。このとき、選択される定速用のゲインは安定性を
重視して比例ゲインは小さくかつ積分ゲインは定常偏差
を除去しうる程度の値に設定しているので、振動的でな
くかつ定常偏差のない安定した回転が得られる。
【0036】また、停止時には、比例動作用乗算器14
により速度偏差eに停止用の比例ゲインを掛けた値と、
積分動作用乗算器15と積分器16により速度偏差eに
停止用の積分ゲインを掛けて時間積分した値とを加算器
17により加え合わせた値を出力として制御を行う、つ
まり比例動作と積分動作の両方を行う(比例積分制御動
作)。このとき、選択される停止用の比例ゲインと積分
ゲインはそれぞれ停止制御に合った最適値に設定されて
いるので、停止状態に対する要請を満たす停止制御が行
われることになる。
【0037】図4は本装置によるシミュレーション結果
の一例を示すグラフである。ここでは、点線で示した加
減速パターン(目標値)において加速状態から定速状態
に移行する時刻(2秒後)よりも0.1秒だけ早い1.
9秒後にゲインの切り替え制御を行った場合について示
している。本装置によれば、加速時は比例ゲインを大き
くしかつ積分ゲインをゼロ(または積分動作を遮断)に
し、定速時は比例ゲインを小さくしかつ積分ゲインを設
定したので、同図に示すように、目標値に素早く立ち上
がり、しかも、定速時に振動や定常偏差のない状態とな
っている。なお、参考までに、ゲインの切り替え制御を
行わない場合のシミュレーション結果の一例を図5と図
6に示しておく。図5は比例動作のみを行った場合(比
例ゲインは大きく、積分ゲインはゼロ)であり、立上り
性能は良好だが、定速時に振動しており、また、定常偏
差も残っている。図6は比例ゲインを小さくしかつ積分
ゲインを大きくしてPI制御を行った場合であり、定速
時に振動的要素はなく定常偏差もないが、立ち上がりに
時間がかかり応答性が悪くなっている。
【0038】なお、上記の構成では、加速時と減速時と
で同じ比例ゲインを用いるようにしているが、これに限
定されるわけではない。たとえば、加速時と減速時とで
モータ10の制御特性を変えたいような場合には、加速
時と減速時とでそれぞれ異なる大きさの比例ゲインを用
いるようにしてもよい。また、積分動作についても、減
速時に加速時ほど高度の応答性が要求されない場合に
は、弱い積分動作を加えるようにしてもよい。この場合
には、小さな積分ゲインを設定し、減速時に積分動作遮
断器19をONするようにする。
【0039】また、上記の構成では、サーボ機構により
モータを停止させる場合を想定しているため、停止時に
もモータに駆動電流を供給しなければならないが、その
ような必要のない機構にあっては、停止用の制御は必要
ないので、ゲインを含めてそれに関する構成は省略可能
である。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1記載の発明
によれば、あらかじめモータの動作状態ごとにそれぞれ
最適な比例ゲインと積分ゲインを設定しておき、モータ
の動作状態に応じて前記ゲインを切り替えるようにした
ので、マシンの要求性能に見合うように応答性と安定性
を高次元で両立させた制御が可能となる。
【0041】請求項2記載の発明によれば、加速時の比
例ゲインを大きくしかつ積分ゲインをゼロにしたので、
モータの立ち上がりの応答性が改善され、速やかなる加
速が実現されるばかりか、定速時の比例ゲインを小さく
しかつ積分ゲインを設定したので、比例動作による振動
的要素がなくなるとともに積分動作により定常偏差が解
消され、定常偏差がなくしかも外乱に対する過度の応答
のない安定した回転が実現される。
【0042】請求項3記載の発明によれば、減速時の比
例ゲインを大きくしかつ積分ゲインをゼロにしたので、
モータの立ち下がりの応答性が改善され、速やかなる減
速が実現されるばかりか、請求項2記載の発明と同様、
定速時の比例ゲインを小さくしかつ積分ゲインを設定し
たので、定常偏差がなくしかも外乱に対する過度の応答
のない安定した回転が実現される。
【0043】請求項4記載の発明によれば、あらかじめ
モータの動作状態ごとにそれぞれ最適な比例ゲインと積
分ゲインを設定しておき、モータの動作状態に応じて前
記ゲインを切り替えるようにし、その際、加速時または
減速時には積分制御動作を遮断するようにしたので、加
速時および減速時には比例制御動作のみが行われること
になり、モータの高速立上げおよび立下げが可能とな
る。
【0044】請求項5記載の発明によれば、加速時の比
例ゲインを大きくしかつその時には積分制御動作は行わ
ないので、モータの立ち上がりの応答性が改善され、速
やかなる加速が実現されるばかりか、定速時の比例ゲイ
ンを小さくしかつ積分ゲインを設定したので、比例動作
による振動的要素がなくなるとともに積分動作により定
常偏差が解消され、定常偏差がなくしかも外乱に対する
過度の応答のない安定した回転が実現される。
【0045】請求項6記載の発明によれば、減速時の比
例ゲインを大きくしかつその時には積分制御動作は行わ
ないので、モータの立ち下がりの応答性が改善され、速
やかなる減速が実現されるばかりか、請求項5記載の発
明と同様、定速時の比例ゲインを小さくしかつ積分ゲイ
ンを設定したので、定常偏差がなくしかも外乱に対する
過度の応答のない安定した回転が実現される。
【0046】請求項7記載の発明によれば、加速状態か
ら定速状態に移行する時点よりも早く動作状態信号を切
り替えるので、事前に定速状態に合ったゲイン設定がな
され、定常時のオーバーシュートやハンチングが抑えら
れる。
【0047】請求項8記載の発明によれば、減速状態か
ら停止状態または定速状態に移行する時点よりも早く動
作状態信号を切り替えるので、事前に停止状態または定
速状態に合ったゲイン設定がなされ、停止時または定常
時のオーバーシュートやハンチングが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のモータ制御装置の一構成を示すブロ
ック図
【図2】 加減速パターン発生器で生成される加減速パ
ターンの一例を示す図
【図3】 加減速パターンに対する動作状態信号の出力
タイミングの一例を示す図
【図4】 本発明によるシミュレーション結果の一例を
示すグラフ
【図5】 ゲインの切り替え制御を行わない場合のシミ
ュレーション結果を示すグラフ
【図6】 ゲインの切り替え制御を行わない場合の他の
シミュレーション結果を示すグラフ
【符号の説明】
10…直流モータ 11…加減速パターン発生器(速度変化パターン設定手
段、動作状態信号発生手段) 12…回転速度検出装置 13…比較器 14、15…乗算器 16…積分器 17…加算器 18…モータ駆動回路 19…積分動作遮断器(積分制御動作遮断手段) 20、24…選択器(ゲイン選択手段) 21、22、23、25、26…レジスタ(ゲイン記憶
手段)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目標値と速度フィードバック信号との偏
    差により比例積分制御を行ってモータをフィードバック
    制御するモータ制御装置において、 入力した目標速度信号から所定のパラメトリック設定に
    従って速度変化パターンを設定する速度変化パターン設
    定手段と、 前記速度変化パターン設定手段によって設定された速度
    変化パターンに基づいてモータの動作状態信号を発生す
    る動作状態信号発生手段と、 あらかじめモータの動作状態ごとに比例制御動作および
    積分制御動作に用いられる比例ゲインおよび積分ゲイン
    をそれぞれ記憶するゲイン記憶手段と、 前記動作状態信号発生手段からの動作状態信号に従って
    前記ゲイン記憶手段に記憶されている比例ゲインおよび
    積分ゲインを選択するゲイン選択手段と、 を有することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 【請求項2】 加速時に選択される加速用比例ゲインと
    定速時に選択される定速用比例ゲインとの大小関係は次
    のとおりであり、 加速用比例ゲイン>定速用比例ゲイン>0 かつ、加速時に選択される加速用積分ゲインと定速時に
    選択される定速用積分ゲインとの大小関係は次のとおり
    である、 定速用積分ゲイン>加速用積分ゲイン=0 ことを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 【請求項3】 減速時に選択される減速用比例ゲインと
    定速時に選択される定速用比例ゲインとの大小関係は次
    のとおりであり、 減速用比例ゲイン>定速用比例ゲイン>0 かつ、減速時に選択される減速用積分ゲインと定速時に
    選択される定速用積分ゲインとの大小関係は次のとおり
    である、 定速用積分ゲイン>減速用積分ゲイン=0 ことを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  4. 【請求項4】 目標値と速度フィードバック信号との偏
    差により比例積分制御を行ってモータをフィードバック
    制御するモータ制御装置において、 入力した目標速度信号から所定のパラメトリック設定に
    従って速度変化パターンを設定する速度変化パターン設
    定手段と、 前記速度変化パターン設定手段によって設定された速度
    変化パターンに基づいてモータの動作状態信号を発生す
    る動作状態信号発生手段と、 あらかじめモータの動作状態ごとに比例制御動作および
    積分制御動作に用いられる比例ゲインおよび積分ゲイン
    をそれぞれ記憶するゲイン記憶手段と、 前記動作状態信号発生手段からの動作状態信号に従って
    前記ゲイン記憶手段に記憶されている比例ゲインおよび
    積分ゲインを選択するゲイン選択手段と、 前記動作状態信号発生手段から加速状態信号または減速
    状態信号を入力したときに積分制御動作を遮断する積分
    制御動作遮断手段と、 を有することを特徴とするモータ制御装置。
  5. 【請求項5】 加速時に選択される加速用比例ゲインと
    定速時に選択される定速用比例ゲインとの大小関係は次
    のとおりであり、 加速用比例ゲイン>定速用比例ゲイン>0 かつ、定速時に選択される定速用積分ゲインは次の関係
    を満たす、 定速用積分ゲイン>0 ことを特徴とする請求項4記載のモータ制御装置。
  6. 【請求項6】 減速時に選択される減速用比例ゲインと
    定速時に選択される定速用比例ゲインとの大小関係は次
    のとおりであり、 減速用比例ゲイン>定速用比例ゲイン>0 かつ、定速時に選択される定速用積分ゲインは次の関係
    を満たす、 定速用積分ゲイン>0 ことを特徴とする請求項4記載のモータ制御装置。
  7. 【請求項7】 動作状態信号発生手段は、あらかじめ設
    定された指標により、速度変化パターン設定手段によっ
    て設定された速度変化パターンが加速状態から定速状態
    に移行する時点よりも早く動作状態信号を切り替えるこ
    とを特徴とする請求項1または4記載のモータ制御装
    置。
  8. 【請求項8】 動作状態信号発生手段は、あらかじめ設
    定された指標により、速度変化パターン設定手段によっ
    て設定された速度変化パターンが減速状態から停止状態
    に移行する時点よりも早く動作状態信号を切り替えるこ
    とを特徴とする請求項1または4記載のモータ制御装
    置。
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