JPH0992428A - サージ吸収素子 - Google Patents

サージ吸収素子

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JPH0992428A
JPH0992428A JP24344895A JP24344895A JPH0992428A JP H0992428 A JPH0992428 A JP H0992428A JP 24344895 A JP24344895 A JP 24344895A JP 24344895 A JP24344895 A JP 24344895A JP H0992428 A JPH0992428 A JP H0992428A
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surge
surge absorbing
absorbing element
resistor
insulating layer
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JP24344895A
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Yoshinobu Kakihara
良亘 柿原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安定した放電開始電圧と、寿命の長いサージ吸
収素子を得る。 【解決手段】抵抗体42の片側もしくは両側に絶縁層4
6を介して両側に電極層48が被着形成されたサージ吸
収セル40を有し、このサージ吸収セル40が金属飛散
防止層を有する一対の封止電極52,54を介して不活
性ガスを封入したガラス管20内に封止されてサージ吸
収素子10が構成される。絶縁層46によってマイクロ
ギャップが構成される。その膜厚がマイクロギャップ幅
となる。封止電極の管内端面には放電時に金属が飛散し
ないように防止層58がコーティングされる。絶縁層の
膜厚はCVD法などによって精密にコントロールできる
ので放電開始電圧を正確に設定できる。放電時金属がガ
ラス管内に飛散しないので放電開始電圧の安定化と素子
の長寿命化を図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子機器内に使
用されている回路素子を誘導雷や静電気から保護するた
めのサージ吸収素子に関する。詳しくは、抵抗体の面上
に形成されるマイクロギャップ用の絶縁層の厚みを正確
に形成することによって、放電開始電圧を正確に設定で
きるようにすると共に、素子の寿命特性を改善したもの
である。
【0002】
【従来の技術】サージ吸収素子は周知のように電子機器
内に使用される回路系に到来する誘導雷サージや静電気
サージなどの異常電圧(過大電圧)を瞬時に吸収して、
回路素子特に半導体素子が破壊されないようにするため
の保護素子として使用される。
【0003】サージ吸収素子としては、用途に応じて半
導体素子、バリスタ素子、ガラスチューブアレスタ、マ
イクロ式ギャップ吸収素子などが知られている。これら
は全て同一の特性・特質を持つものではなく、例えば応
答速度では半導体素子やバリスタ素子が優れており、サ
ージ電流耐量に関してはバリスタ素子、ガスチューブア
レスタ、マイクロギャップ吸収素子などが優れている。
さらに静電容量が小さいものとしてはガスチューブアレ
スタ、マイクロギャップ吸収素子などが知られている。
【0004】この種サージ吸収素子にはサージが発生し
たとき、サージ吸収素子の両端が短絡するものと、瞬間
短絡ののち絶縁素子として復帰する放電型のものとがあ
る。瞬間短絡ののち復帰する放電型のサージ吸収素子の
方が使用上における安全性が高い。
【0005】図13に示すサージ吸収素子10は瞬間短
絡ののち復帰する放電型の従来例である。このサージ吸
収素子10は「特公昭63−57918号公報」などに
開示されている。同公報に開示されたサージ吸収素子1
0は図13に示すように構成されている。
【0006】同図に示すサージ吸収素子10はガラス管
20の内部に封止された円柱状の抵抗体12で構成さ
れ、抵抗体12の両端にリング状電極14,16が嵌入
され、さらに両電極14,16にはリード線18が接続
されて、ガラス管20内に封入固定されている。ガラス
管20内には放電ガスとして機能する不活性ガスが充填
される。
【0007】円柱状抵抗体12のほぼ中央部には1条の
溝24が1周するように形成され、この溝24がマイク
ロギャップとして作用する。放電開始電圧は主としてリ
ング状溝24の幅(マイクロギャップ幅)や深さによっ
て変化する。マイクロギャップ幅は30〜50μmであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図13に示すサージ吸
収素子10では、マイクロギャップ用のリング状溝24
は、通常レーザビーム(レーザ光)を照射するなどした
切削加工処理で形成される場合が多い。レーザビームは
周知のように余り小さく絞り込むことができなかった
り、レーザ光量が一定でないために、上述したようにマ
イクロギャップ幅は30μmから50μmまでの範囲で
ばらつくことが知られている。切削加工されたエッジ部
も平坦ではなく曲がって切削加工されることが多い。
【0009】マイクロギャップ幅が正確に切削加工でき
ないと放電開始電圧が大幅にばらついてしまう。市販の
ものでは±20%程度ばらつくことが知られている。そ
のため、放電開始電圧の低い方を基準にして回路システ
ムが設計されているのが現状である。
【0010】抵抗体12と電極14,16との間には、
接触をよくするために半田等を介在させている場合が多
いが、サージ電流(放電電流)が流れるとき半田フラッ
クスや半田が分解してこれらがガラス管20内に飛散す
ることが考えられる。半田や半田フラックスが飛散する
と、その一部がリング状溝24内に堆積したりするの
で、これによってマイクロギャップの絶縁性が劣化し、
サージ吸収素子10の寿命に影響を及ぼす。
【0011】このような問題を解決する手段として、
「特開昭62−237686号公報」に開示された技術
が知られている。これは図14に示すような構成を採用
している。同図においてサージ吸収セルとしてはシリコ
ンSiなどの一対の抵抗体30,32で構成され、それ
らが絶縁層34,36と接着用のリンガラス層38を介
して合体されたものの両端がそれぞれ電極14,16に
よって圧着・挟持された状態でガラス管20内に封止さ
れる。ガラス管20内には放電ガスが充填される。
【0012】この構成において、一対の抵抗体30,3
2で挟まれた絶縁層34,36とリンガラス層38とで
マイクロギャップが構成される。しかしながら、抵抗体
を複数使用する割には500ボルト以上の大きな放電開
始電圧が得られないという問題がある。
【0013】そこで、この発明はこのような従来の課題
を解決したものであって、マイクロギャップを正確に形
成できるようにして放電開始電圧のばらつきを抑えると
共に、放電開始電圧の範囲を拡張できるようにし、加え
て素子の長寿命化を図ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、請求項1に記載したこの発明に係るサージ吸収素子
は、抵抗体の片側もしくは両側に絶縁層を介して両端に
電極層が被着形成されたサージ吸収セルを有し、このサ
ージ吸収セルが一対の封止電極を介して不活性ガスを封
入したガラス管内に封止されて構成されると共に、上記
絶縁層によってマイクロギャップが構成されたことを特
徴とする。
【0015】請求項2記載のサージ吸収素子では、抵抗
体として、Si,SiC,GaAsで代表される半導体
材料や、SnO2,TiN,TaN,Cで代表される導
電性セラミックスが使用されたことを特徴とする。
【0016】請求項3記載のサージ吸収素子では、金属
飛散防止層として、SnO2,C,Si,Ti,Ni,
W,Ta,Zr及びこれらの窒化物や炭化物(C,Sn
2,Niを除く)を用いたことを特徴とする。
【0017】サージ吸収セルを放電ガスと共にガラス管
内に封着し、両端の封止電極にサージ電圧を加え、これ
が放電開始電圧に達すると、マイクロギャップ用の絶縁
層と電極層間で放電が起こる。放電が終了すると元の状
態に復帰する。
【0018】抵抗体の片側若しくは両側に形成される絶
縁層はCVDや熱酸化などの成膜法が利用される。この
成膜法は周知のようにミクロン単位でその層厚を制御で
きるので、絶縁層の膜厚を精度よくコントロールでき
る。放電開始電圧は絶縁層の膜厚(この厚みがマイクロ
ギャップ幅となる)によって決まる。両側に絶縁層を有
するサージ吸収セルを複数積層合体することによって、
マイクロギャップ数が積層数分だけ増えるので、セルを
積層するにつれて放電開始電圧を高くできる。実験によ
ると、500×n(ボルト)の関係が得られた。ここ
に、nはセルの積層数である。したがって、両側に絶縁
層を有するサージ吸収セルを使用するとほぼ500ボル
トの放電開始電圧となり、サージ吸収セルを2層にする
と1000ボルトの耐圧となるから、高い放電開始電圧
でもその構造が極めて簡単となる。
【0019】抵抗体の断面積は比較的大きく取れるた
め、大きなサージ電流にも耐えることができ、サージ電
流耐量が改善される。封止電極の管内端面側の金属飛散
防止層としては、飛散しにくかったりスパッタされにく
い金属材料を用いているため、小さなマイクロギャップ
でも短絡がなく、他のサージ吸収素子と比較しても寿命
を長くすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】続いて、この発明に係るサージ吸
収素子の実施の一形態を、図面を参照して詳細に説明す
る。
【0021】この発明では抵抗体の片面側のみにマイク
ロギャップを形成するか、両面側にマイクロギャップを
形成してサージ吸収セルが構成され、このサージ吸収セ
ルがガラス管内に封止される構造となっている。図1は
片側にのみマイクロギャップを形成した例である。
【0022】図1に示すこの発明のサージ吸収素子10
は、サージ吸収セル40がガラス管20内に一対の封止
電極52,54によって封止されて構成される。サージ
吸収セル40はベースとなる立方体状(角柱状)の抵抗
体42を有する。抵抗体42としては後述するように半
導体材料や、導電性セラミック材を使用することができ
る。
【0023】抵抗体42の片面(図の例では左側の端
面)の全表面には所定の膜厚に制御された絶縁層46が
形成され、絶縁層46の表面にはさらに電極層48が形
成される。絶縁層46はマイクロギャップとして機能
し、絶縁層46の膜厚がマイクロギャップ幅となる。電
極層48は後述する封止電極52,54との接合を良好
にするために設けられる。
【0024】このように構成されたサージ吸収セル40
が一対の封止電極52,54によってその両側から圧着
された状態でガラス管20内に封着(封止)される。封
着は熱封着であって、その温度は500〜700℃の範
囲である。ガラス管20内には放電ガスとしての不活性
ガスが所要ガス圧となるように充填される。
【0025】図2は封止電極52,54の具体例であっ
て、電極本体62はガラス管20の内径と外径の差にほ
ぼ合致した段部を有する。電極本体62はニッケルNi
と鉄Feの合金材で構成されたジュメット電極が使用さ
れる。電極本体62の外表面には銅Cuの金属薄膜層6
4が被着形成され、さらにその表面が酸化処理されてC
uOの酸化処理層66が形成される。
【0026】このように電極本体62としてジュメット
電極を使用すると共に、その表面を酸化処理層66で被
覆したのは、使用するガラス管20との熱膨張係数をで
きるだけ等しくなるようにするためである。
【0027】酸化処理層66の表面のうち、ガラス管2
0を封着したときガラス管20内に露出する部分、した
がって、サージ吸収セル40と対向する面側にはさらに
金属飛散防止層58がコーティングされる。この金属飛
散防止層58とは、電極本体62の素材金属(Ni,F
e)や金属薄膜層64の構成金属(Cu)が放電によっ
て、ガラス管20内に飛散したり、スパッタされて漏出
しないようにするためである。
【0028】このような金属が放電のたびにガラス管2
0内に飛散すると、その一部が絶縁層46の露出面に付
着することによってマイクロギャップの絶縁性が劣化
し、それによって放電開始電圧が低くなるなどの変動を
起こす。放電開始電圧の変動はまた素子自体の劣化につ
ながり、最終的には素子の寿命を短くしてしまうことに
なるからである。
【0029】金属飛散防止層58として本例では窒化チ
タンTiNが使用されているが、この他にもタングステ
ンW,チタンTi,シリコンSi,炭素C,タンタルT
a,ニッケルNi,ジルコニュームZr,酸化スズSn
2及びこれらの窒化物や炭化物(C,SnO2,Niは
除く)などを使用することができる。
【0030】このように構成されたサージ吸収素子10
の使用寸法の一例を示すと、ガラス管20としてはその
外径が2.6mm、内径が1.5mmのものが使用さ
れ、抵抗体42の厚みは400μm,絶縁層46は2μ
m、そして電極層48は5000オングストロームの厚
みとなるように選定されている。金属飛散防止層58は
0.25μmの厚みである。したがって、このサージ吸
収素子10自体は非常に小型で軽量な素子である。
【0031】図3はサージ吸収セル40の製造方法の一
例を示すもので、抵抗体基板としてはSi基板42′が
使用され、このSi基板42′が拡散炉(図示はしな
い)に収容され、1100℃の温度下で2時間熱酸化処
理されて、絶縁層としての酸化膜(SiO2)46′が
成膜される(図3A)。その厚みは2μ程度である。
【0032】次にスパッタ装置を用いて熱酸化膜46′
上に溶着力の強いTiやクロムCrを付着させた状態
で、さらに連続的にニッケルNi又はNiと錫Snの合
金をスパッタさせて電極層48′が被着形成される(同
図B)。
【0033】絶縁層46′と電極層48′をそれぞれ形
成した図4に示すSi基板(ウエハー)42′はダイサ
ーを使用して、この例では300μm×300μmの大
きさとなるように切断する。切断された1つのサージ吸
収セル40をガラス管20に入れ、一対の封止電極5
2,54で圧着・挟持する。その後真空封止装置により
放電ガスとしての不活性ガス(Arガス、N2ガス等な
ど)が充填されて封着される。封着温度は約700℃で
ある。
【0034】抵抗体42としてはSi以外に、SiC,
GaAs等の半導体材料を使用することができる。半導
体材料以外でもよい。例えば導電性セラミックスでもよ
く、この場合には特に(SnO2:Sb)をドープした
セラミックス材や、TiN,TaNなどのセラミックス
材を使用することができる。TiNやTaNを使用する
場合にはその表面に酸化膜や窒化膜を絶縁層として用
い、これがマイクロギャップとして働くことになる。絶
縁層としては酸化膜(SiO2)や窒化膜(Si34
をTEOS法(Tetra Ethoxide Siliane:Si(OC2
54)やPCVD法(Plasma Chemical Vapor Depositi
on)を用いて形成したものを使用すればよい。
【0035】CVD法、スパッタ法や熱酸化法などによ
って絶縁層46を成膜すると、その膜厚はミクロン単位
でコントロールできるので、従来のレーザビーム加工よ
りも遥かに高精度で膜厚制御が可能になる。
【0036】以上のような製法に基づいて製造されたサ
ージ吸収素子10は図5に示すような等価回路で表すこ
とができる。つまりサージ吸収素子10は抵抗Rとギャ
ップGとの直列回路として構成され、抵抗Rは抵抗体4
2の高抵抗分であり、ギャップGは絶縁層46に対応す
る。ギャップGの幅(マイクロギャップ幅)は絶縁層4
6の膜厚で決まる。
【0037】図1に示すサージ吸収素子10にあって、
両リード端子18,18間に直流電圧を印加すると、2
30ボルトで放電することが分かった。この直流電圧の
印加回数に対する放電開始電圧を図示したのが図6であ
る。曲線Laが図13あるいは図14構成のサージ吸収
素子を使用したときの特性であって、放電回数が増える
にしたがって放電開始電圧が20%程度低下することが
判る。
【0038】これに対して図1に示すこの発明に係るサ
ージ吸収素子10の場合には曲線Lbのような特性とな
り、放電回数が増えても放電開始電圧は僅かに変化する
だけである。実測によると500回位までは殆ど一定で
あって、1000回を越える当たりから2000回の放
電回数に至ると、放電開始電圧が10%程度低下するこ
とが判明した。
【0039】実機に搭載された場合にはこのような放電
数を経験することは極めて希なことから、この発明に係
るサージ吸収素子10では放電開始電圧のばらつきを実
際上無視できる程度まで改善できることが判る。放電開
始電圧のばらつきを500V±10%以内に押えること
ができることは、換言すれば素子寿命が伸びることであ
り、素子の長寿命化を達成できる。
【0040】図7Aはこの発明に係るサージ吸収素子1
0の他の実施の形態を示すもので、図1と対応する部分
には同一符号を付す。この例では抵抗体42の両面にマ
イクロギャップを構成した場合であって、抵抗体42の
両面には絶縁層46a,46bがそれぞれ形成され、こ
れら絶縁層46a,46bの上面にさらに電極層48
a,48bが被着形成されてサージ吸収セル40が構成
される。図7Bはまた、さらに放電電圧の安定化を図る
ために、絶縁層46a,46bの両面に高抵抗のC,S
nO2(ノンドープ),Siを抵抗層47a,47bと
して被着形成し、その両面電極層48a,48bを被着
形成してもよい。
【0041】このサージ吸収セル40が一対の封止電極
52,54を用いてガラス管20内に不活性ガスを充填
した状態で封着されてサージ吸収素子10が構成され
る。サージ吸収セル40の構成以外は図1の構成と全く
同一に構成されているので、これ以上の説明は割愛す
る。
【0042】図7A,Bに示すサージ吸収素子10は図
8A,Bのような等価回路となり、抵抗R及びRa,R
b,Rcを介してその左右にそれぞれマイクロギャップ
Ga,Gbが形成されることになる。
【0043】図7Aに示すサージ吸収セル40は図9の
工程を経て製造することができる。同図AのSi基板4
2′の上下両面に対して絶縁層である酸化膜46a′,
46b′が形成され(同図B)、その上にさらに電極層
(Ti層やNiとSnの合金層)48a′,48b′が
被着形成される(同図C)。電極層が被着形成されたS
i基板(ウエハー)42′が所望形状となるようにダイ
シングされる。
【0044】図7Aの構成は図10のようにも拡張する
ことができる。図10の例はサージ吸収セルを2個積層
合体したものを封入してサージ吸収素子10を構成した
場合である。この場合には同一構成のサージ吸収セル4
0A,40Bが使用される。
【0045】そのため、絶縁層と電極層を有する同一構
成のSi基板を2枚用意し、これらを合わせた状態で真
空焼成炉内に収納する。そして加圧しながら内部温度を
600℃まで上げることによって接合・合体する。接合
・合体されたSi基板42′をダイサーにて切断するこ
とによって図10に示すサージ吸収セル40が得られ
る。
【0046】このように2層構造のサージ吸収セル40
を使用するとその等価回路は図11のように表すことが
できる。抵抗Ra,Rbは抵抗体42a,42bの抵抗
分であり、ギャップGa〜Gdは絶縁層46a〜46d
の膜厚によって形成される。
【0047】両面がマイクロギャップ構造となされた図
10に示すサージ吸収素子10を使用した時の放電特性
を調べた。その結果は1000ボルトで放電が開始し
た。したがって、図10の構造では直流放電開始電圧は
1000Vであることが判る。そのときの放電回数によ
る放電開始電圧のばらつきは図6に示した場合と同様に
±10%程度であった。
【0048】図示はしないが、3層構造以上のサージ吸
収セルを使用したサージ吸収素子も製造可能である。そ
の場合にも同一構成のSi基板(ウェハー)を3枚重ね
て上述した方法で真空焼成炉内で押圧しながら温度60
0℃にて加熱処理して合体処理したのち、3枚合わせた
Si基板をダイシングする。この場合500μm×50
0μmの大きさに切断した。そのときのセルの静電容量
値は1pF以下であるので、実用上問題はない。
【0049】このように3層構造のサージ吸収セル40
を使用したときの放電開始電圧は1500ボルトである
ことが確認された。そのときの放電回数による放電開始
電圧のばらつきも±10%程度であることが確認され
た。以上のことから、積層するサージ吸収セルの数をn
としたとき、セル積層数と放電開始電圧との関係は、大
凡 放電開始電圧=500×nボルト で与えられることが判る。したがって、セルの積層数だ
けで放電開始電圧を設定できるし、放電開始電圧の管理
が行えることになる。
【0050】サージ吸収セル同士の接合・合体方法とし
て上述では真空焼成炉を用いたが、同じ真空焼成炉内で
接合電極を上下に設け、600V位の直流電圧を上下接
合電極間に印加しながら、内部を約300℃位まで加熱
することによって2つのサージ吸収セルを接合・合体さ
せる陽極接合法によっても、図10に示すサージ吸収セ
ル40を形成できる。
【0051】図示はしないが、図1に示す片面ギャップ
構成のサージ吸収セルと、図7に示す両面ギャップ構成
のサージ吸収セルを適当に組み合わせて積層・合体した
ものをサージ吸収セルとして使用し、これを封入してサ
ージ吸収素子を構成することもできる。これによって放
電開始電圧に細かに設定することが可能になる。
【0052】上述した各サージ吸収セルは、ダイシング
による切断加工したままのセルを使用したが、図12に
示すように切断加工した後、HF−NNO3系エッチン
グ液またはエチレンジアミンとピロカテコールと水の3
種から構成されるいわゆるEDP(エチレン ジアミン
ピロカテロール)異方性エッチング液に浸けてSi基
板(抵抗体42)の中心部を侵食させて凹み70を形成
することもできる。
【0053】凹み70があるときには、サージ吸収素子
10に大きな異常電圧がかかりサージ電流耐量以上の瞬
間電流が流れたときでも抵抗体42と絶縁層46との間
の絶縁性が劣化しないことが判明した。その結果、寿命
の長いサージ吸収素子を提供できる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明では半導体
材料や導電性セラミック材を使用した抵抗体の片面若し
くは両面に絶縁層を介して電極層を被着形成することに
よってサージ吸収セルを構成し、このサージ吸収セルを
ガラス管内に放電ガスと共に封止してサージ吸収素子を
構成したものである。
【0055】これによればマイクロギャップを構成する
絶縁層の膜厚を正確にコントロールできるため、放電開
始電圧を精度よく設定でき、ばらつきのない安定した放
電開始電圧をもつサージ吸収素子を提供できる。
【0056】また封止電極に金属飛散防止層をコーティ
ングしたので放電によって封止電極の素材金属などがガ
ラス管内に飛散するのを効果的に防止できる。そのため
飛散した金属の一部が絶縁層の露出面に付着するなどし
て放電開始電圧の低下や素子寿命が劣化したりすること
がない。したがって、常時安定した放電開始電圧を維持
できると共に素子の長寿命化を図ることができる。
【0057】サージ吸収セルの使用積層数で放電開始電
圧を高くすることができるため、異常に高いサージ電圧
が発生する可能性のある電子機器に適用すれば、それに
用いられている回路素子を有効に保護できることにな
る。
【0058】サージ吸収セルの構造も極めて簡単であ
り、その製法も半導体分野の製法をそのまま流用できる
から、安価な素子を提供でき、その工業的な価値は計り
知れない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るサージ吸収素子の実施の一形態
を示す要部断面図である。
【図2】サージ吸収素子に使用される封止電極の一例を
示す断面図である。
【図3】サージ吸収素子に使用されるサージ吸収セルの
一製造工程例を示す工程図である。
【図4】ダイシングする前の半導体ウエハーの斜視図で
ある。
【図5】サージ吸収素子の等価回路である。
【図6】放電開始電圧特性を示す曲線図である。
【図7】図1の他の例を示すサージ吸収素子の要部断面
図である。
【図8】その等価回路である。
【図9】図7に使用されるサージ吸収セルの一製造工程
例を示す工程図である。
【図10】図1のさらに他の例を示すサージ吸収素子の
要部断面図である。
【図11】その等価回路である。
【図12】サージ吸収セルの他の例を示す斜視図であ
る。
【図13】サージ吸収素子の従来例を示す要部断面図で
ある。
【図14】サージ吸収素子の従来例を示す要部断面図で
ある。
【符号の説明】
10 サージ吸収素子 18 リード線 20 ガラス管 40 サージ吸収セル 42,42a,42b 抵抗体 46,46a〜46d 絶縁層 47,47a〜47b 抵抗層 48,48a〜48d 電極層 52,54 封止電極 58,60 金属飛散防止層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抵抗体の片側もしくは両側に絶縁層を介
    して両端に電極層が被着形成されたサージ吸収セルを少
    なくとも1つ以上有し、 このサージ吸収セルが一対の金属飛散防止層を有する封
    止電極を介して不活性ガスを封入したガラス管内に封止
    されて構成されると共に、 上記絶縁層によってマイクロギャップが構成されたこと
    を特徴とするサージ吸収素子。
  2. 【請求項2】 上記抵抗体として、Si,SiC,Ga
    Asで代表される半導体材料や、SnO2,TiN,T
    aN,Cで代表される導電性セラミックスが使用された
    ことを特徴とする請求項1記載のサージ吸収素子。
  3. 【請求項3】 上記金属飛散防止層として、SnO2
    C,Si,Ti,Ni,W,Ta,Zr及びこれらの窒
    化物や炭化物(C,SnO2,Niを除く)を用いたこ
    とを特徴とする請求項1記載のサージ吸収素子。
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