JPH0991616A - 磁気ヘッド用の磁気コア - Google Patents
磁気ヘッド用の磁気コアInfo
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- JPH0991616A JPH0991616A JP27060295A JP27060295A JPH0991616A JP H0991616 A JPH0991616 A JP H0991616A JP 27060295 A JP27060295 A JP 27060295A JP 27060295 A JP27060295 A JP 27060295A JP H0991616 A JPH0991616 A JP H0991616A
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- JP
- Japan
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- magnetic
- core
- thickness
- film
- attached
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- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 インダクタンスが小さく、かつ再生出力を向
上させた磁気ヘッド用の磁気コアを提供する。 【解決手段】 角柱状のIコア1aとコの字形のCコア
1bとが磁性膜を介して突き合わされている磁気コアで
あって、Iコア1aの接合側のフロントからバックまで
の全面が平面に形成されるとともに、その全面に高飽和
磁束密度の磁性膜6が連続して付着され、Iコア1aの
接合側の面に垂直方向の厚みが30〜80μmに形成さ
れ、Iコア1aの接合側の面に垂直な方向の厚みが、I
コアに付着されている磁性膜6の厚さの5〜30倍に形
成されている。
上させた磁気ヘッド用の磁気コアを提供する。 【解決手段】 角柱状のIコア1aとコの字形のCコア
1bとが磁性膜を介して突き合わされている磁気コアで
あって、Iコア1aの接合側のフロントからバックまで
の全面が平面に形成されるとともに、その全面に高飽和
磁束密度の磁性膜6が連続して付着され、Iコア1aの
接合側の面に垂直方向の厚みが30〜80μmに形成さ
れ、Iコア1aの接合側の面に垂直な方向の厚みが、I
コアに付着されている磁性膜6の厚さの5〜30倍に形
成されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に対
して浮上を確保するためのスライダーに、磁気記録媒体
との間で磁気情報を読み書きする磁気コアを一体に接合
したコンポジット型磁気ヘッドにおいて、その磁気コア
に関するものである。
して浮上を確保するためのスライダーに、磁気記録媒体
との間で磁気情報を読み書きする磁気コアを一体に接合
したコンポジット型磁気ヘッドにおいて、その磁気コア
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハードディスク装置(HDD)の記録密
度の向上は著しく、従来、10年間に10倍であったも
のが、1990年以降はMRヘッド等の新しい技術の採
用により5年間に10倍の勢いで記録密度が向上してい
る。従来用いられてきた薄膜インダクティブヘッドやメ
タルインギャップ(MIG)ヘッドにおいても種々の改
良が加えられ、300メガビット/平方インチ以上の記
録密度にまで対応してきている。このうちMIGヘッド
は単結晶のMn−Znフェライトコアの磁気ギャップ近
傍のみに高飽和磁束密度を有する金属磁性膜を配した構
造であり、磁性膜及びコア形状の検討により、インダク
タンスの低減と再生出力の向上を進めてきている。
度の向上は著しく、従来、10年間に10倍であったも
のが、1990年以降はMRヘッド等の新しい技術の採
用により5年間に10倍の勢いで記録密度が向上してい
る。従来用いられてきた薄膜インダクティブヘッドやメ
タルインギャップ(MIG)ヘッドにおいても種々の改
良が加えられ、300メガビット/平方インチ以上の記
録密度にまで対応してきている。このうちMIGヘッド
は単結晶のMn−Znフェライトコアの磁気ギャップ近
傍のみに高飽和磁束密度を有する金属磁性膜を配した構
造であり、磁性膜及びコア形状の検討により、インダク
タンスの低減と再生出力の向上を進めてきている。
【0003】HDD用コンポジットヘッドは、浮上を確
保するためのスライダーと、信号を電磁変換するための
磁気コアとが別個に作製され、スライダーの切り溝に磁
気コアがガラス材で固定されている。そして磁気記録媒
体とスライダーとの相対速度によりスライダーに浮上力
を作用させ、磁気コアのギャップ部が磁気記録媒体に微
小間隔で対向されて両者間で磁気情報を交換できるよう
にしている。磁気コア全体の厚さを、例えば約50μm
に作製した場合、信号を書き込む巾を小さくして高記録
密度化に適合させるために、磁気コアの先端のみを補足
加工してトラック巾を5〜6μmに加工している。この
加工には、量産性等の観点より一般に砥石を用いた機械
加工が用いられている。
保するためのスライダーと、信号を電磁変換するための
磁気コアとが別個に作製され、スライダーの切り溝に磁
気コアがガラス材で固定されている。そして磁気記録媒
体とスライダーとの相対速度によりスライダーに浮上力
を作用させ、磁気コアのギャップ部が磁気記録媒体に微
小間隔で対向されて両者間で磁気情報を交換できるよう
にしている。磁気コア全体の厚さを、例えば約50μm
に作製した場合、信号を書き込む巾を小さくして高記録
密度化に適合させるために、磁気コアの先端のみを補足
加工してトラック巾を5〜6μmに加工している。この
加工には、量産性等の観点より一般に砥石を用いた機械
加工が用いられている。
【0004】MIGヘッド用の金属磁性膜としては、従
来は飽和磁束密度が1テスラ程度のFe−Al−Si合
金膜や非晶質合金膜が用いられたが、磁気記録媒体の高
保磁力化や磁気ヘッドの狭ギャップ化に伴なってより高
い飽和磁束密度を有する金属磁性膜が必要とされてき
た。これらの金属磁性膜としては、主としてFe基の微
結晶膜の適用が検討されてきた。特に、特開平2−27
5605号公報に示されるようなFeTaN系微結晶膜
は、飽和磁束密度Bsが1.4〜1.6Tと大きく、保
磁力Hc<0.5Oe、比透磁率μ(5MHz)>30
00の良好な軟磁性を示すことから磁気ヘッドへの適用
が検討されている。この系の薄膜は添加物の検討より耐
食性を向上させることができ、かつ、耐熱温度も600
℃程度まで向上させることができることから、製造工程
においてガラス接合を二度行なうコンポジット型の磁気
ヘッドにも適用することができると考えられる。
来は飽和磁束密度が1テスラ程度のFe−Al−Si合
金膜や非晶質合金膜が用いられたが、磁気記録媒体の高
保磁力化や磁気ヘッドの狭ギャップ化に伴なってより高
い飽和磁束密度を有する金属磁性膜が必要とされてき
た。これらの金属磁性膜としては、主としてFe基の微
結晶膜の適用が検討されてきた。特に、特開平2−27
5605号公報に示されるようなFeTaN系微結晶膜
は、飽和磁束密度Bsが1.4〜1.6Tと大きく、保
磁力Hc<0.5Oe、比透磁率μ(5MHz)>30
00の良好な軟磁性を示すことから磁気ヘッドへの適用
が検討されている。この系の薄膜は添加物の検討より耐
食性を向上させることができ、かつ、耐熱温度も600
℃程度まで向上させることができることから、製造工程
においてガラス接合を二度行なうコンポジット型の磁気
ヘッドにも適用することができると考えられる。
【0005】また、特開平1−171106号公報に記
載された磁気ヘッドでは、磁気コアを構成する2つのコ
ア半体の接合面にそれぞれ軟磁性薄膜を付着し、一方の
軟磁性薄膜の厚さを他方の軟磁性薄膜の厚さの偶数倍に
設定して、磁気ヘッドの再生出力のレベル変動を比較的
小さく抑えるようにしている。さらに、特開平5−14
3926号公報に記載された磁気ヘッドでは、磁気コア
を巻線窓を有する磁性体ブロックと、巻線窓を有さない
磁性体ブロックとで構成し、巻線窓を有しないで巻線が
巻かれる磁性体ブロックの厚さは、薄くなるとインダク
タンスが小さくなるが、再生出力が小さくなり、インダ
クタンスと再生出力を共に良好にするためには磁性体ブ
ロックの厚さを20〜100μmにするのが望ましいと
している。この際、巻線窓を有しないで巻線が巻かれる
磁性体ブロックの厚さが薄くなると、強度が問題となる
ためギャップと反対側の面に非磁性体ブロックを接着し
て強度を確保している。さらに、特開平3−22411
1号公報に記載された磁気ヘッドでは、磁気コアを構成
する2つのコア半体の接合面にそれぞれ強磁性金属薄膜
を付着し、巻線窓を有しないコア半体に付着した強磁性
金属薄膜の前記巻線窓に対応する部分を削除して、強磁
性金属薄膜とコア半体との熱膨張率の差による強磁性金
属薄膜の剥離を防止している。
載された磁気ヘッドでは、磁気コアを構成する2つのコ
ア半体の接合面にそれぞれ軟磁性薄膜を付着し、一方の
軟磁性薄膜の厚さを他方の軟磁性薄膜の厚さの偶数倍に
設定して、磁気ヘッドの再生出力のレベル変動を比較的
小さく抑えるようにしている。さらに、特開平5−14
3926号公報に記載された磁気ヘッドでは、磁気コア
を巻線窓を有する磁性体ブロックと、巻線窓を有さない
磁性体ブロックとで構成し、巻線窓を有しないで巻線が
巻かれる磁性体ブロックの厚さは、薄くなるとインダク
タンスが小さくなるが、再生出力が小さくなり、インダ
クタンスと再生出力を共に良好にするためには磁性体ブ
ロックの厚さを20〜100μmにするのが望ましいと
している。この際、巻線窓を有しないで巻線が巻かれる
磁性体ブロックの厚さが薄くなると、強度が問題となる
ためギャップと反対側の面に非磁性体ブロックを接着し
て強度を確保している。さらに、特開平3−22411
1号公報に記載された磁気ヘッドでは、磁気コアを構成
する2つのコア半体の接合面にそれぞれ強磁性金属薄膜
を付着し、巻線窓を有しないコア半体に付着した強磁性
金属薄膜の前記巻線窓に対応する部分を削除して、強磁
性金属薄膜とコア半体との熱膨張率の差による強磁性金
属薄膜の剥離を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】MIGヘッドは、機械
加工によって磁気コアを作製するため、フォトリソグラ
フィを用いる薄膜ヘッドに比較して磁気回路が大きくな
り、その結果としてインダクタンスが大きく、磁気ヘッ
ドの再生効率が低いという欠点がある。さらに、記録密
度の向上をすすめるために、PRML(Partial Respons
e Maximum Likeli-hood)等の信号処理方式の適用が検討
されており、記録の非線形性に伴なう記録ビットの磁化
遷移点のシフト(Non-Linear Transition Shift, 以下N
LTS)が問題となってくる。このNLTSは磁気ヘッ
ドのインダクタンスが大きい場合に高周波帯域において
急激に増加する。従って、PRML方式をMIGヘッド
へ適用するには、NLTSを小さくするために、インダ
クタンスの低減と再生出力の向上による磁気ヘッド効率
の向上が不可欠である。これら問題を解決するためMI
Gヘッドにおいては、さらにインダクタンスを小さく
し、しかも再生出力をより大きくすることが望まれてい
る。
加工によって磁気コアを作製するため、フォトリソグラ
フィを用いる薄膜ヘッドに比較して磁気回路が大きくな
り、その結果としてインダクタンスが大きく、磁気ヘッ
ドの再生効率が低いという欠点がある。さらに、記録密
度の向上をすすめるために、PRML(Partial Respons
e Maximum Likeli-hood)等の信号処理方式の適用が検討
されており、記録の非線形性に伴なう記録ビットの磁化
遷移点のシフト(Non-Linear Transition Shift, 以下N
LTS)が問題となってくる。このNLTSは磁気ヘッ
ドのインダクタンスが大きい場合に高周波帯域において
急激に増加する。従って、PRML方式をMIGヘッド
へ適用するには、NLTSを小さくするために、インダ
クタンスの低減と再生出力の向上による磁気ヘッド効率
の向上が不可欠である。これら問題を解決するためMI
Gヘッドにおいては、さらにインダクタンスを小さく
し、しかも再生出力をより大きくすることが望まれてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、角柱状に形成
されているIコアと、巻線窓を有するようにコの字形に
形成されているCコアとがフェライト単結晶材により形
成され、IコアとCコアとが、ギャップ部を形成するよ
うに高飽和磁束密度を有する磁性膜を介して突き合わせ
接合されている磁気コアを提供する。その磁気コアは、
IコアとCコアとで構成され、Iコアは接合面側のフロ
ントからバックまでの全面が段差のない実質的に平面に
形成されるとともに、その接合面側に高飽和磁束密度の
磁性膜が連続的に付着され、Iコアの接合側の面に垂直
な方向のフェライト厚みW1 が30〜80μmに形成さ
れるとともに、W1 がIコアに付着されている磁性膜の
厚さdの5〜30倍に形成されている。
されているIコアと、巻線窓を有するようにコの字形に
形成されているCコアとがフェライト単結晶材により形
成され、IコアとCコアとが、ギャップ部を形成するよ
うに高飽和磁束密度を有する磁性膜を介して突き合わせ
接合されている磁気コアを提供する。その磁気コアは、
IコアとCコアとで構成され、Iコアは接合面側のフロ
ントからバックまでの全面が段差のない実質的に平面に
形成されるとともに、その接合面側に高飽和磁束密度の
磁性膜が連続的に付着され、Iコアの接合側の面に垂直
な方向のフェライト厚みW1 が30〜80μmに形成さ
れるとともに、W1 がIコアに付着されている磁性膜の
厚さdの5〜30倍に形成されている。
【0008】Iコアの接合側の全面を段差のない実質的
に平面に形成してそのフロントからバックまで磁性膜を
連続的に付着させているので、記録再生時の磁束は磁性
膜中を通る割合が高く、記録、再生の特性を向上するこ
とができる。Iコアの接合側の面に垂直な方向のフェラ
イト厚さW1 を30〜80μmにした理由は、厚さがあ
る程度小さい方がインダクタンスを小さくできて好まし
いが、あまり小さすぎると磁気回路の実質的な比透磁率
が低下するのでそれらが適切になる範囲とした。Iコア
の接合側の面に垂直な方向のフェライト厚さW1 を、I
コアに付着されている磁性膜の厚さdの5〜30倍にし
たのは、インダクタンスを小さくできるとともに、再生
出力を大きくできるからである。Iコアの接合側の面に
平行な方向の厚さtは、Iコアの接合側の面に垂直な方
向のフェライト厚さW1 とそれに接合された磁性膜の厚
さtとの合計厚さWの0.8〜1.2倍にすることによ
り、インダクタンスを小さくすることができる。Iコア
の磁路に垂直な方向の断面形(W×t)は、1辺が約5
0μmのほぼ正方形に形成することにより、インダクタ
ンスを小さくできる。Iコアのギャップと反対側の面に
非磁性体ブロックを配すると、巻線をした際の径が大き
くなるためインダクタンスが大きくなり、再生効率が低
下する。Iコアに付着された磁性膜の磁束密度は、1.
4T以上にすることにより記録再生時の特性を向上でき
る。
に平面に形成してそのフロントからバックまで磁性膜を
連続的に付着させているので、記録再生時の磁束は磁性
膜中を通る割合が高く、記録、再生の特性を向上するこ
とができる。Iコアの接合側の面に垂直な方向のフェラ
イト厚さW1 を30〜80μmにした理由は、厚さがあ
る程度小さい方がインダクタンスを小さくできて好まし
いが、あまり小さすぎると磁気回路の実質的な比透磁率
が低下するのでそれらが適切になる範囲とした。Iコア
の接合側の面に垂直な方向のフェライト厚さW1 を、I
コアに付着されている磁性膜の厚さdの5〜30倍にし
たのは、インダクタンスを小さくできるとともに、再生
出力を大きくできるからである。Iコアの接合側の面に
平行な方向の厚さtは、Iコアの接合側の面に垂直な方
向のフェライト厚さW1 とそれに接合された磁性膜の厚
さtとの合計厚さWの0.8〜1.2倍にすることによ
り、インダクタンスを小さくすることができる。Iコア
の磁路に垂直な方向の断面形(W×t)は、1辺が約5
0μmのほぼ正方形に形成することにより、インダクタ
ンスを小さくできる。Iコアのギャップと反対側の面に
非磁性体ブロックを配すると、巻線をした際の径が大き
くなるためインダクタンスが大きくなり、再生効率が低
下する。Iコアに付着された磁性膜の磁束密度は、1.
4T以上にすることにより記録再生時の特性を向上でき
る。
【0009】なお、Iコアに付着させた磁性膜の膜厚
は、2〜10μmにするのが再生出力の向上にとって好
ましい。例えば、図5に示したように、膜厚2μm、5
μm、8μmの3種類の磁性膜の比透磁率と周波数との
関係図からわかるように、磁性膜が厚くなるほど比透磁
率が小さくなる。また図6に示した比透磁率と膜厚との
関係からわかるように、膜厚が1〜10μmの領域から
外れるほど比透磁率が小さくなり、図5と図6から磁性
膜の厚さは前記範囲にするのが望ましい。なお図5、6
の関係は、次の理由に対応するものである。磁性膜の比
抵抗は70μΩcm程度であるため、使用周波数が高く
なると渦電流損失によって、比透磁率の減少が見られる
ようになる。したがって、膜厚が厚いほど高周波での比
透磁率の減少は著しくなり、例えば40MHzでの8μ
m厚さの磁性膜の比透磁率は350となり、酸化物磁性
体の値とほぼ同等となってしまう。したがって、膜厚を
必要以上に厚くすることは再生出力の向上には逆効果と
なる。また、従来のIコアは磁気ヘッドのトレーリング
エッジ側に配列されるので、Iコアに付着する磁性膜の
厚さが厚すぎると記録時の磁界の急峻さが損なわれてく
るために、記録電流値が10mA程度でもPW50が大
きくなり、その結果として周波数が高くなると波形の干
渉によって再生出力が低下するという問題が生じるの
で、膜厚の上限は10μm程度である。逆に膜厚が薄い
と膜中を通る磁束の割合が少なくなり再生出力が十分得
られなくなるので、膜厚は少なくとも2μmは必要であ
る。なお、Cコアに付着する磁性膜の厚さは、Iコア側
から発生する磁束量との兼ね合いから、4〜10μmの
範囲とすることが望ましい。
は、2〜10μmにするのが再生出力の向上にとって好
ましい。例えば、図5に示したように、膜厚2μm、5
μm、8μmの3種類の磁性膜の比透磁率と周波数との
関係図からわかるように、磁性膜が厚くなるほど比透磁
率が小さくなる。また図6に示した比透磁率と膜厚との
関係からわかるように、膜厚が1〜10μmの領域から
外れるほど比透磁率が小さくなり、図5と図6から磁性
膜の厚さは前記範囲にするのが望ましい。なお図5、6
の関係は、次の理由に対応するものである。磁性膜の比
抵抗は70μΩcm程度であるため、使用周波数が高く
なると渦電流損失によって、比透磁率の減少が見られる
ようになる。したがって、膜厚が厚いほど高周波での比
透磁率の減少は著しくなり、例えば40MHzでの8μ
m厚さの磁性膜の比透磁率は350となり、酸化物磁性
体の値とほぼ同等となってしまう。したがって、膜厚を
必要以上に厚くすることは再生出力の向上には逆効果と
なる。また、従来のIコアは磁気ヘッドのトレーリング
エッジ側に配列されるので、Iコアに付着する磁性膜の
厚さが厚すぎると記録時の磁界の急峻さが損なわれてく
るために、記録電流値が10mA程度でもPW50が大
きくなり、その結果として周波数が高くなると波形の干
渉によって再生出力が低下するという問題が生じるの
で、膜厚の上限は10μm程度である。逆に膜厚が薄い
と膜中を通る磁束の割合が少なくなり再生出力が十分得
られなくなるので、膜厚は少なくとも2μmは必要であ
る。なお、Cコアに付着する磁性膜の厚さは、Iコア側
から発生する磁束量との兼ね合いから、4〜10μmの
範囲とすることが望ましい。
【0010】Iコアに付着された磁性膜は、組成式(F
e100-x Tax )100-y-z Cry Nz ただし、x、
y、zは原子%を表わし、それぞれ10≦x≦15、1
≦y≦6、12≦z≦20で示された組成よりなり、平
均の結晶粒径は12nm以下にした。飽和磁束密度が大
きく良好な磁性膜としては、Fe基の微結晶薄膜が適し
ている。FeにIVa、Va、VIa族の元素とそれらと炭
化物あるいは窒化物を生成させるために炭素(C)もし
くは窒素(N)を添加した材料が検討されている。炭化
物あるいは窒化物がFeの結晶粒成長を抑制するために
は、その生成エネルギーが低く生成しやすいことが望ま
しい。この点からTi、Zr、Hf、Taが適してい
る。また、窒化物を用いた方が耐食性に優れるので望ま
しい。磁気ヘッドを形成する際には、ガラスによる接合
を行うが、磁性膜としばしば反応を起したり、ガラスボ
イドの発生によって接合強度が不十分となる。Ti、Z
r、Hfの窒化物はNとの結合比率が1:1のみである
ため、Nが過剰になったり不足したりする。この際、N
がガラス中のボイドになったり、Ti、Zr、Hfがガ
ラス中の酸素と反応したりする。これに対してTaは種
々の窒化物を形成できることからNが過剰になったり、
不足することがない。したがって十分な接合強度を得る
のに最も適していると考えられる。さらには、クロム
(Cr)の添加は耐食性を向上させるとともに、ガラス
との反応性を抑制する効果がある。
e100-x Tax )100-y-z Cry Nz ただし、x、
y、zは原子%を表わし、それぞれ10≦x≦15、1
≦y≦6、12≦z≦20で示された組成よりなり、平
均の結晶粒径は12nm以下にした。飽和磁束密度が大
きく良好な磁性膜としては、Fe基の微結晶薄膜が適し
ている。FeにIVa、Va、VIa族の元素とそれらと炭
化物あるいは窒化物を生成させるために炭素(C)もし
くは窒素(N)を添加した材料が検討されている。炭化
物あるいは窒化物がFeの結晶粒成長を抑制するために
は、その生成エネルギーが低く生成しやすいことが望ま
しい。この点からTi、Zr、Hf、Taが適してい
る。また、窒化物を用いた方が耐食性に優れるので望ま
しい。磁気ヘッドを形成する際には、ガラスによる接合
を行うが、磁性膜としばしば反応を起したり、ガラスボ
イドの発生によって接合強度が不十分となる。Ti、Z
r、Hfの窒化物はNとの結合比率が1:1のみである
ため、Nが過剰になったり不足したりする。この際、N
がガラス中のボイドになったり、Ti、Zr、Hfがガ
ラス中の酸素と反応したりする。これに対してTaは種
々の窒化物を形成できることからNが過剰になったり、
不足することがない。したがって十分な接合強度を得る
のに最も適していると考えられる。さらには、クロム
(Cr)の添加は耐食性を向上させるとともに、ガラス
との反応性を抑制する効果がある。
【0011】また磁性膜として、FeTaN系微結晶膜
を用いれば、飽和磁束密度Bsが1.4〜1.6Tと大
きく、比透磁率μ5MHzも膜厚2μmで3000以上とフ
ェライトの600に比べて5倍以上大きいことから、磁
束はより通り易くなる。したがって、ギャップ近傍に膜
厚を厚くした磁性膜を配することによって再生出力を向
上することができる。また前記材料の磁性膜の熱膨張係
数αは110〜120×10-7/℃程度でありフェライ
トとほぼ同程度の値を示すことから、IコアとCコアと
の接合のためのガラスボンディング時の熱履歴によっ
て、磁性膜とフェライト間に生じる応力が小さく、膜厚
を厚くしても剥離が生じにくい。また、Iコアの接合側
の面に垂直な方向のフェライト厚さを30〜80μmと
薄くしてもそりや変形が生じにくく、製造上の問題が生
じない。さらに、コア材料のフェライトは磁歪定数が大
きいが、応力が小さいためノイズの発生を低減できる。
なお、磁性膜の平均の結晶粒径を12nm以下にしたの
は、これ以上粒径が大きくなるとμSMHZ<2000、H
c>0.8Oeとなり軟磁性が損なわれるためである。
を用いれば、飽和磁束密度Bsが1.4〜1.6Tと大
きく、比透磁率μ5MHzも膜厚2μmで3000以上とフ
ェライトの600に比べて5倍以上大きいことから、磁
束はより通り易くなる。したがって、ギャップ近傍に膜
厚を厚くした磁性膜を配することによって再生出力を向
上することができる。また前記材料の磁性膜の熱膨張係
数αは110〜120×10-7/℃程度でありフェライ
トとほぼ同程度の値を示すことから、IコアとCコアと
の接合のためのガラスボンディング時の熱履歴によっ
て、磁性膜とフェライト間に生じる応力が小さく、膜厚
を厚くしても剥離が生じにくい。また、Iコアの接合側
の面に垂直な方向のフェライト厚さを30〜80μmと
薄くしてもそりや変形が生じにくく、製造上の問題が生
じない。さらに、コア材料のフェライトは磁歪定数が大
きいが、応力が小さいためノイズの発生を低減できる。
なお、磁性膜の平均の結晶粒径を12nm以下にしたの
は、これ以上粒径が大きくなるとμSMHZ<2000、H
c>0.8Oeとなり軟磁性が損なわれるためである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の磁気コア1は、図1に示
すスライダー2のスリット溝3内に、ガラス材4により
取付けられて、コンポジット型磁気ヘッドが構成され、
そのスライダー浮上面2aが磁気記録媒体に対して微小
間隔で浮上できるようになっている。その場合、磁気コ
ア1のフロント側に対応するギャップ部5が磁気記録媒
体に対向されて、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間で磁
気情報を書き込み、読み取りするようになっている。
すスライダー2のスリット溝3内に、ガラス材4により
取付けられて、コンポジット型磁気ヘッドが構成され、
そのスライダー浮上面2aが磁気記録媒体に対して微小
間隔で浮上できるようになっている。その場合、磁気コ
ア1のフロント側に対応するギャップ部5が磁気記録媒
体に対向されて、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間で磁
気情報を書き込み、読み取りするようになっている。
【0013】磁気コア1は、図2(a)に示されるよう
に、角柱状であって接合面が段差のない実質的に平面状
のIコア1aと、接合面に巻線窓を有するCコア1bと
からなり、両コアは、Mn−Znなどのフェライト単結
晶材により形成されている。Iコア1aは、その接合面
に垂直な方向の厚みw1 が30〜80μm(本実施例で
は約50μm)に形成されて、再生出力とインダクタン
スが望ましいものになるようにしている。なお、Iコア
1aは、接合面と平行な方向の厚さtも50μmにされ
て、磁路に垂直な方向の断面形状がほぼ正方形に形成さ
れている。すなわち、Iコアの接合側の面に平行な方向
の厚さtは、Iコアの前記の垂直方向のフェライト厚さ
w1 と磁性膜の厚さdとの合計厚さwの0.8〜1.2
倍に形成されている。
に、角柱状であって接合面が段差のない実質的に平面状
のIコア1aと、接合面に巻線窓を有するCコア1bと
からなり、両コアは、Mn−Znなどのフェライト単結
晶材により形成されている。Iコア1aは、その接合面
に垂直な方向の厚みw1 が30〜80μm(本実施例で
は約50μm)に形成されて、再生出力とインダクタン
スが望ましいものになるようにしている。なお、Iコア
1aは、接合面と平行な方向の厚さtも50μmにされ
て、磁路に垂直な方向の断面形状がほぼ正方形に形成さ
れている。すなわち、Iコアの接合側の面に平行な方向
の厚さtは、Iコアの前記の垂直方向のフェライト厚さ
w1 と磁性膜の厚さdとの合計厚さwの0.8〜1.2
倍に形成されている。
【0014】Iコア1aの接合面には、高飽和磁束密度
(1.4T以上)を有し比透磁率がコア材料より大きな
膜厚2〜10μmの磁性膜6が、Iコア1aのフロント
からバックまでの全面に連続的に付着されている。Cコ
ア1bの接合面には少なくともギャップ近傍に高飽和磁
束密度を有する厚さ4〜10μmの磁性膜7が付着さ
れ、磁性膜を配したIコア1aに突き合わされて接合さ
れている。図2(a)の実施例のCコア1bでは、ギャ
ップ部5からIコア1aと平行な辺部までと、バック側
の接合面とに磁性膜7がスパッタにより成膜されてい
る。なお、IコアとCコアに付着した前記の磁性膜6、
7は、rfマグネトロンスパッタリング法により作製し
たFeTaCrN微結晶膜であり、その平均の結晶粒径
は12nm以下とした。また上記の図2(a)の磁気コ
ア1では、Cコア1bの窓部の一部に磁性膜7を形成し
なかったが、図2(b)に示すように、Cコアの巻線窓
の全内周に磁性膜7を付着した磁気コアに形成してもよ
い。
(1.4T以上)を有し比透磁率がコア材料より大きな
膜厚2〜10μmの磁性膜6が、Iコア1aのフロント
からバックまでの全面に連続的に付着されている。Cコ
ア1bの接合面には少なくともギャップ近傍に高飽和磁
束密度を有する厚さ4〜10μmの磁性膜7が付着さ
れ、磁性膜を配したIコア1aに突き合わされて接合さ
れている。図2(a)の実施例のCコア1bでは、ギャ
ップ部5からIコア1aと平行な辺部までと、バック側
の接合面とに磁性膜7がスパッタにより成膜されてい
る。なお、IコアとCコアに付着した前記の磁性膜6、
7は、rfマグネトロンスパッタリング法により作製し
たFeTaCrN微結晶膜であり、その平均の結晶粒径
は12nm以下とした。また上記の図2(a)の磁気コ
ア1では、Cコア1bの窓部の一部に磁性膜7を形成し
なかったが、図2(b)に示すように、Cコアの巻線窓
の全内周に磁性膜7を付着した磁気コアに形成してもよ
い。
【0015】
【実施例】上記の図2(a)に示す本発明の磁気コア1
を図1のスライダー2に取付けた磁気ヘッドの、再生出
力とインダクタンスを測定するとともに再生効率を算出
し、Iコアに付着した磁性膜6の厚さの変化に対する測
定と算出結果を図4に示した。なおCコア側の磁性膜7
の厚さは5μmにした。なお磁性膜6の特性は、飽和磁
束密度を1.4〜1.6T、保磁力は0.5Oe以下、
比透磁率は図5、6に示す通りであり、磁歪定数は(−
1〜0)×10-6、比抵抗は60〜70μΩ・cmであ
る。また、測定の際に使用した磁気記録媒体(ディス
ク)の径は3.5インチ、媒体保磁力は1800Oe、
媒体残留磁束密度×膜厚は290G・μm、媒体周速は
9.94m/s、周波数(2F/1F)は10.93/
2.73MHz、コードは(1,7)、回転数は450
0rpm、浮上量45nmである。
を図1のスライダー2に取付けた磁気ヘッドの、再生出
力とインダクタンスを測定するとともに再生効率を算出
し、Iコアに付着した磁性膜6の厚さの変化に対する測
定と算出結果を図4に示した。なおCコア側の磁性膜7
の厚さは5μmにした。なお磁性膜6の特性は、飽和磁
束密度を1.4〜1.6T、保磁力は0.5Oe以下、
比透磁率は図5、6に示す通りであり、磁歪定数は(−
1〜0)×10-6、比抵抗は60〜70μΩ・cmであ
る。また、測定の際に使用した磁気記録媒体(ディス
ク)の径は3.5インチ、媒体保磁力は1800Oe、
媒体残留磁束密度×膜厚は290G・μm、媒体周速は
9.94m/s、周波数(2F/1F)は10.93/
2.73MHz、コードは(1,7)、回転数は450
0rpm、浮上量45nmである。
【0016】上記の測定において、比較のため、図3
(a)、(b)に示された各比較例の磁気コア1を図1
のスライダー2に取付けた磁気ヘッドについて同様の測
定をし、その結果を図4に示した。なお、図4におい
て、(2a)は図2(a)の磁気コアを使用した場合の
測定値、(3a)は図3(a)の磁気コアを使用した場
合の測定値、(3b)は図3(b)の磁気コアを使用し
た場合の測定値を示す。なお、図3(a)の比較例の磁
気コア1は、Iコア1aに付着した磁性膜6の中央部
(Cコア1bの巻線窓の部分に対向する中央部)を削除
した点が図2(a)の磁気コアと異なり、その他の構成
は図2(a)の磁気コアと同様である。また図3(b)
の比較例の磁気コア1は、本発明の角柱状のIコア1a
の代わりに、Cコアの巻線窓より切り込みの小さな窓部
を有する屈曲コア8を形成し、その屈曲コア8には両端
の接合部付近にのみ磁性膜6を付着した。また図3
(b)において、Cコア1bは図3(a)の場合と同一
形状であり、ギャップ部5からIコア1aと平行な辺部
までと、バック側の接合面とに磁性膜7を付着させてい
る。
(a)、(b)に示された各比較例の磁気コア1を図1
のスライダー2に取付けた磁気ヘッドについて同様の測
定をし、その結果を図4に示した。なお、図4におい
て、(2a)は図2(a)の磁気コアを使用した場合の
測定値、(3a)は図3(a)の磁気コアを使用した場
合の測定値、(3b)は図3(b)の磁気コアを使用し
た場合の測定値を示す。なお、図3(a)の比較例の磁
気コア1は、Iコア1aに付着した磁性膜6の中央部
(Cコア1bの巻線窓の部分に対向する中央部)を削除
した点が図2(a)の磁気コアと異なり、その他の構成
は図2(a)の磁気コアと同様である。また図3(b)
の比較例の磁気コア1は、本発明の角柱状のIコア1a
の代わりに、Cコアの巻線窓より切り込みの小さな窓部
を有する屈曲コア8を形成し、その屈曲コア8には両端
の接合部付近にのみ磁性膜6を付着した。また図3
(b)において、Cコア1bは図3(a)の場合と同一
形状であり、ギャップ部5からIコア1aと平行な辺部
までと、バック側の接合面とに磁性膜7を付着させてい
る。
【0017】図4の測定結果からわかるように、Iコア
の磁性膜の厚さが2〜8μmの範囲で変化しても、本実
施例の再生出力の測定値(2a)は、比較例の測定値
(3a)、(3b)よりも常に大きい値になった。ま
た、本実施例のインダクタンスの測定値(2a)は、磁
性膜厚によってはほとんど変化が見られず、しかも比較
例の測定値(3a)、(3b)よりかなり小さなものに
なった。さらに、再生効率(再生出力/√インダクタン
ス)は、本実施例の場合(2a)が、いずれの比較例よ
り、いずれの膜厚においても大きいことがわかった。す
なわち本実施例のように、Iコアが角柱状であって、I
コアに付着させる磁性膜はフロントからバックまで連続
させて設けるのが良いことが分かる。
の磁性膜の厚さが2〜8μmの範囲で変化しても、本実
施例の再生出力の測定値(2a)は、比較例の測定値
(3a)、(3b)よりも常に大きい値になった。ま
た、本実施例のインダクタンスの測定値(2a)は、磁
性膜厚によってはほとんど変化が見られず、しかも比較
例の測定値(3a)、(3b)よりかなり小さなものに
なった。さらに、再生効率(再生出力/√インダクタン
ス)は、本実施例の場合(2a)が、いずれの比較例よ
り、いずれの膜厚においても大きいことがわかった。す
なわち本実施例のように、Iコアが角柱状であって、I
コアに付着させる磁性膜はフロントからバックまで連続
させて設けるのが良いことが分かる。
【0018】次に、上記の図2(a)に示す本発明の磁
気コアと、図3(a)、(b)の比較例の磁気コアを使
用した磁気ヘッドにおいて、それぞれの比透磁率を周波
数を変化させて測定し、その結果を図7に示した。なお
図7において、(2a)は図2(a)の磁気コアを使用
した場合の測定値、(3a)は図3(a)の磁気コアを
使用した場合の測定値、(3b)はそれぞれ図3(b)
の磁気コアを使用した場合の測定値を示す。図7からわ
かるように、周波数が大きくなるにつれて比透磁率が低
下し、いずれの周波数においても本実施例の方が、比透
磁率が大きく、大きな再生出力が得られることがわか
る。
気コアと、図3(a)、(b)の比較例の磁気コアを使
用した磁気ヘッドにおいて、それぞれの比透磁率を周波
数を変化させて測定し、その結果を図7に示した。なお
図7において、(2a)は図2(a)の磁気コアを使用
した場合の測定値、(3a)は図3(a)の磁気コアを
使用した場合の測定値、(3b)はそれぞれ図3(b)
の磁気コアを使用した場合の測定値を示す。図7からわ
かるように、周波数が大きくなるにつれて比透磁率が低
下し、いずれの周波数においても本実施例の方が、比透
磁率が大きく、大きな再生出力が得られることがわか
る。
【0019】一般に、膜の成長方向が基板に対して傾き
をもっている場合、基板に到達した原子が凝集して結晶
核を作ると、斜めから入射してくる蒸着線はこれによっ
てさえぎられ、結晶核の後に陰影を作るようになる。こ
れは、自己陰影効果(self-shadowing effect )とよば
れ、結晶核の成長に伴い、膜に柱状構造が生じることが
知られている。結晶の成長方向に依存して磁気的な異方
性が生じることが多く、軟磁性膜においてはその磁気特
性に大きく影響する。特に、非晶質膜においては、自己
陰影効果によって柱状組織が生じ、結晶構造や組成がラ
ンダムでなくなり、軟磁気特性が得られなくなることが
多い。Fe基微結晶膜は、成膜後熱処理を施さない状態
で非晶質である場合にのみ、熱処理によって均一に微結
晶化し良好な軟磁性を示すことが知られている。したが
って、成膜時に約30度以上の斜め入射によって成膜を
行うと、成膜時より微結晶化した領域が生じ、熱処理後
に均一な微結晶にならず良好な軟磁性が得られなくな
る。本発明の図2のような場合、磁性膜を付着させる面
が実質的に平面であるため、全面にわたって良好な軟磁
性を示す磁性膜を得ることができる。一方、図3(b)
のようにIコアを付着させる面が平面でなく、成膜時に
斜め入射の部分があると軟磁気特性が劣り、ヘッド特性
を低下させる原因となる。これも、本発明の磁気コアが
良好な特性を示す大きな要因である。
をもっている場合、基板に到達した原子が凝集して結晶
核を作ると、斜めから入射してくる蒸着線はこれによっ
てさえぎられ、結晶核の後に陰影を作るようになる。こ
れは、自己陰影効果(self-shadowing effect )とよば
れ、結晶核の成長に伴い、膜に柱状構造が生じることが
知られている。結晶の成長方向に依存して磁気的な異方
性が生じることが多く、軟磁性膜においてはその磁気特
性に大きく影響する。特に、非晶質膜においては、自己
陰影効果によって柱状組織が生じ、結晶構造や組成がラ
ンダムでなくなり、軟磁気特性が得られなくなることが
多い。Fe基微結晶膜は、成膜後熱処理を施さない状態
で非晶質である場合にのみ、熱処理によって均一に微結
晶化し良好な軟磁性を示すことが知られている。したが
って、成膜時に約30度以上の斜め入射によって成膜を
行うと、成膜時より微結晶化した領域が生じ、熱処理後
に均一な微結晶にならず良好な軟磁性が得られなくな
る。本発明の図2のような場合、磁性膜を付着させる面
が実質的に平面であるため、全面にわたって良好な軟磁
性を示す磁性膜を得ることができる。一方、図3(b)
のようにIコアを付着させる面が平面でなく、成膜時に
斜め入射の部分があると軟磁気特性が劣り、ヘッド特性
を低下させる原因となる。これも、本発明の磁気コアが
良好な特性を示す大きな要因である。
【0020】次に、図2(a)の磁気コアにおいて、I
コアの接合側の面に垂直方向の厚さw1 を変化させた場
合の再生効率を測定値から算出して、結果を図8に示し
た。なお、Iコアに付着した磁性膜の厚さdは、2、
5、8μmの3種類について測定した。図8からわかる
ように、磁性膜の厚さが3種類のいずれの場合もIコア
のフェライト厚さw1 が50μm前後で再生効率がピー
ク値になり、Iコアのフェライト厚さw1 が30〜80
μmで再生出力が170nV以上になって好ましいこと
がわかる。この好ましい関係は、Iコアのフェライト厚
さw1 とそれに付着する磁性膜の厚さdとの比として表
わすと、最小値はdが8μmでw1 が40μmの場合で
あってw1 /dが5となり、最大値はdが2μmでw1
が60μmの場合であってw1 /dが30となる。すな
わち、w1 /dが5〜30で再生効率が大きく、好まし
いことがわかる。
コアの接合側の面に垂直方向の厚さw1 を変化させた場
合の再生効率を測定値から算出して、結果を図8に示し
た。なお、Iコアに付着した磁性膜の厚さdは、2、
5、8μmの3種類について測定した。図8からわかる
ように、磁性膜の厚さが3種類のいずれの場合もIコア
のフェライト厚さw1 が50μm前後で再生効率がピー
ク値になり、Iコアのフェライト厚さw1 が30〜80
μmで再生出力が170nV以上になって好ましいこと
がわかる。この好ましい関係は、Iコアのフェライト厚
さw1 とそれに付着する磁性膜の厚さdとの比として表
わすと、最小値はdが8μmでw1 が40μmの場合で
あってw1 /dが5となり、最大値はdが2μmでw1
が60μmの場合であってw1 /dが30となる。すな
わち、w1 /dが5〜30で再生効率が大きく、好まし
いことがわかる。
【0021】
【発明の効果】本発明の磁気コアは角柱状のIコアの接
合側の全面に磁性膜を付着させているので、低インダク
タンスで記録再生特性に優れるMIGヘッドを得ること
ができ、さらにIコアの断面形や寸法を所定のものにす
ることによりさらに特性を向上できる。そのため、従来
では薄膜ヘッドでのみ対応可能と考えられていた高記録
密度の領域において用いることができ、特性が安定した
磁気ヘッドを大量にかつ安価に供給することができる。
合側の全面に磁性膜を付着させているので、低インダク
タンスで記録再生特性に優れるMIGヘッドを得ること
ができ、さらにIコアの断面形や寸法を所定のものにす
ることによりさらに特性を向上できる。そのため、従来
では薄膜ヘッドでのみ対応可能と考えられていた高記録
密度の領域において用いることができ、特性が安定した
磁気ヘッドを大量にかつ安価に供給することができる。
【図1】本発明の磁気コアを取付けたコンポジット型磁
気ヘッドの斜視図である。
気ヘッドの斜視図である。
【図2】本発明の2種類の磁気コアの斜視図である。
【図3】2種類の比較例の磁気コアの斜視図である。
【図4】磁気コアを取付けた磁気ヘッドの再生出力とイ
ンダクタンスと再生効率とを、Iコアの磁性膜の膜厚に
応じて測定した結果を示すグラフである。
ンダクタンスと再生効率とを、Iコアの磁性膜の膜厚に
応じて測定した結果を示すグラフである。
【図5】磁気コアに使用する磁性膜における比透磁率の
周波数特性を示す特性図である。
周波数特性を示す特性図である。
【図6】磁気コアに使用する磁性膜の膜厚変化における
比透磁率の値を示す特性図である。
比透磁率の値を示す特性図である。
【図7】磁気コアの形状による比透磁率の周波数特性を
示す特性図である。
示す特性図である。
【図8】磁気コアに使用するIコアの厚さと磁性膜の膜
厚とを変化させた場合の磁気コアにおける比透磁率を示
す特性図である。
厚とを変化させた場合の磁気コアにおける比透磁率を示
す特性図である。
【符号の説明】 1 磁気コア 1a Iコア 1b Cコア 5 ギャップ部 6 磁性膜 7 磁性膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 泰典 栃木県真岡市松山町18番地日立金属株式会 社電子部品工場内 (72)発明者 美馬 宏行 埼玉県熊谷市三ケ尻5200番地日立金属株式 会社磁性材料研究所内
Claims (5)
- 【請求項1】 角柱状に形成されているIコアと、巻線
窓を有するようにコの字形に形成されているCコアとが
フェライト単結晶材により形成され、ギャップ部を形成
するように高飽和磁束密度を有する磁性膜を配したIコ
アとCコアとが突き合わされて接合されている磁気コア
であって、Iコアは接合面側のフロントからバックまで
の全面が段差のない実質的に平面に形成されるととも
に、その接合面側に高飽和磁束密度の磁性膜が連続的に
付着され、Iコアの接合側の面に垂直な方向のフェライ
ト厚みW1 が30〜80μmであるとともに、W1 がI
コアに付着されている磁性膜の厚さdの5〜30倍であ
ることを特徴とする高記録密度対応磁気ヘッド用の磁気
コア。 - 【請求項2】 Iコアの接合側の面に平行な方向の厚さ
tは、Iコアの接合側の面に垂直な方向のフェライト厚
さW1 とそれに付着された磁性膜の厚さdとの合計厚さ
Wの0.8〜1.2倍であることを特徴とする請求項1
の磁気ヘッド用の磁気コア。 - 【請求項3】 Iコアの磁路に垂直な方向の断面形(W
×t)は、1辺が約50μmのほぼ正方形に形成されて
いることを特徴とする請求項1又は2の磁気ヘッド用の
磁気コア。 - 【請求項4】 Iコアに付着された磁性膜の飽和磁束密
度は1.4T以上の特性を有する磁性膜であることを特
徴とする請求項1、2又は3の磁気ヘッド用の磁気コ
ア。 - 【請求項5】 Iコアに付着された磁性膜は、組成式
(Fe100-x Tax )100-y-z Cry Nz ただし、
x、y、zは原子%を表わし、それぞれ10≦x≦1
5、1≦y≦6、12≦z≦20で示された組成よりな
り、平均の結晶粒径が12nm以下であることを特徴と
する請求項1乃至4のいずれか1つの磁気ヘッド用の磁
気コア。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27060295A JPH0991616A (ja) | 1995-09-25 | 1995-09-25 | 磁気ヘッド用の磁気コア |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27060295A JPH0991616A (ja) | 1995-09-25 | 1995-09-25 | 磁気ヘッド用の磁気コア |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0991616A true JPH0991616A (ja) | 1997-04-04 |
Family
ID=17488390
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27060295A Pending JPH0991616A (ja) | 1995-09-25 | 1995-09-25 | 磁気ヘッド用の磁気コア |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0991616A (ja) |
-
1995
- 1995-09-25 JP JP27060295A patent/JPH0991616A/ja active Pending
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