JPH0989040A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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JPH0989040A
JPH0989040A JP25227195A JP25227195A JPH0989040A JP H0989040 A JPH0989040 A JP H0989040A JP 25227195 A JP25227195 A JP 25227195A JP 25227195 A JP25227195 A JP 25227195A JP H0989040 A JPH0989040 A JP H0989040A
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Katsuhiro Goto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オリフィス通路を利用して主液室の内圧制御
を行うことにより防振効果を得るようにした流体封入式
防振装置において、低周波数域の防振性能の向上を図る
こと。 【解決手段】 振動が入力される主液室50と、加振可
能な振動板48により壁部の一部が構成された圧力制御
室52を、防振すべき第一の振動周波数域にチューニン
グされた第一のオリフィス通路62を通じて相互に連通
する一方、壁部の一部が可撓性膜20で構成された副液
室24を、主液室50に対して、第一の振動周波数域よ
りも低周波側の第二の振動周波数域にチューニングされ
た第二のオリフィス通路67によって連通せしめ、更
に、第一のオリフィス通路62をオリフィス遮断手段
(69,74等)によって実質的に連通/遮断制御可能
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、内部に非圧縮性流体が封入され
た流体室の内圧を制御することにより防振効果を得るよ
うにした流体封入式防振装置に係り、特に流体の共振作
用を利用することによって防振効果を有効に得ることの
出来る、新規な構造の流体封入式防振装置に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、
特開昭59−1829号公報や特開昭61−2939号
公報等に開示されているように、弾性連結体乃至は支持
体としての本体ゴムによって壁部の一部が構成された流
体室における壁部の別の一部を振動板にて構成し、該振
動板を適当な加振手段で加振駆動せしめて流体室の内圧
を制御することによって、目的とする防振効果を得るよ
うにした流体封入式防振装置が提案されており、自動車
用エンジンマウントやボデーマウント,メンバマウン
ト,サスペンションブッシュ等への適用が検討されてい
る。
【0003】しかしながら、このような流体封入式防振
装置においても、未だ、要求される防振効果を充分に得
ることが難しいという問題があり、特に近年における自
動車の高級化指向やエンジン機関の高性能化等に伴っ
て、より一層の防振効果の向上が要求されており、更な
る改良が望まれていた。
【0004】このような要求に対処するために、例え
ば、振動板の加振による内圧変動を、オリフィス通路を
通じて流体室に及ぼすことが考えられる。かかる構造の
狙いは、オリフィス通路による共振効果の積極的利用に
あり、特に加振力が必要とされるような、例えば自動車
用エンジンマウントに適用した場合のアイドル振動周波
数帯域等の、特定の周波数領域での加振力向上を達成す
ることが出来る。換言すれば、内圧変動により目的とす
る防振効果を発揮させるために必要な加振力を得るため
の加振手段の発生力を少なくした設計が可能となるとい
うことでもあり、製造コスト或いは消費電力に関しても
有利な構造をもたらすことが可能となるのである。
【0005】ところが、このようにオリフィス通路によ
る共振効果を積極的に利用した場合には、流体の共振作
用が有効に発揮されるオリフィス通路のチューニング周
波数では、目的とする防振効果が有効に発揮されるもの
の、かかるチューニング周波数から外れた周波数領域に
おいては、有効な防振効果を得ることが難しいという問
題がある。特に、オリフィス通路がチューニングされた
周波数域の振動よりも低周波大振幅の振動が入力された
際には、オリフィス通路による共振効果が殆ど発揮され
ないことは勿論、液室内に惹起される内圧が、振動板を
変位可能に支持せしめるための支持ゴム等の弾性変形に
よって吸収され易いために、液室に有効な内圧変動が生
ぜしめられ難く、満足できる防振効果を得ることが極め
て困難となる。
【0006】具体的には、例えば、自動車用エンジンマ
ウントにおいて、オリフィス通路による共振効果を利用
した流体室の内圧制御に基づいて、アイドル振動に対す
る絶縁効果が発揮されるようにチューニングした場合に
は、走行時のエンジンシェイク等の低周波振動に対して
有効な防振効果を得ることが難しいのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、オリフィス通路による共振効果を利用して
流体室を内圧制御することにより、流体室の内圧制御に
基づく防振効果を効率的に得ることが出来ると共に、か
かるオリフィス通路のチューニング周波数よりも低い周
波数域の入力振動に対しても、良好なる防振効果を得る
ことの出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供
することにある。
【0008】
【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、本発明の特徴とするところは、(a)互いに所定距
離を隔てて配された第一の取付部材および第二の取付部
材と、(b)それら第一の取付部材と第二の取付部材を
連結する本体ゴムと、(c)該本体ゴムによって壁部の
一部が構成されて振動入力時に内圧変動が生ぜしめられ
る、内部に非圧縮性流体が封入された主液室と、(d)
該主液室に対して、前記第二の取付部材により支持され
た仕切部材を隔てて設けられて、壁部の一部が前記第二
の取付部材に対して変位可能に支持された振動板で構成
された、内部に非圧縮性流体が封入された圧力制御室
と、(e)前記振動板を加振することにより、該圧力制
御室に内圧変動を生ぜしめる加振手段と、(f)前記主
液室と前記圧力制御室の間に跨がって形成されて、それ
ら両室間での流体流動を許容する、防振を目的とする第
一の振動周波数域に応じてチューニングされた第一のオ
リフィス通路と、(g)前記主液室および前記圧力制御
室から独立して設けられ、壁部の一部が変形容易な可撓
性膜で構成されて、内部に非圧縮性流体が封入された副
液室と、(h)前記主液室と前記副液室の間に跨がって
形成されて、それら両室間での流体流動を許容する、前
記第一の振動周波数域よりも低周波側の第二の振動周波
数域に応じてチューニングされた第二のオリフィス通路
と、(i)前記第二の振動周波数域の振動入力時に、前
記第一のオリフィス通路を実質的に遮断し得るオリフィ
ス遮断手段とを、有する流体封入式防振装置にある。
【0009】このような本発明に従う構造とされた流体
封入式防振装置においては、振動板の加振によって圧力
制御室に惹起される圧力が、第一のオリフィス通路を通
じて流動せしめられる流体を介して、主液室に及ぼされ
るのであり、その際、第一のオリフィス通路を通じて流
動せしめられる流体の共振周波数が防振を目的とする第
一の振動周波数域に応じてチューニングされていること
から、かかる第一の振動周波数域の振動入力時に、対応
する周波数で振動板を加振することにより、圧力制御室
に惹起される圧力の主液室への伝達が、流体マスの共振
現象によって、極めて効率的に為されることとなる。
【0010】それ故、第一の振動周波数域の振動入力時
には、加振手段によって振動板に小さな駆動力を与える
だけで、主液室に大きな内圧変動を生ぜしめることが出
来るのであり、それによって、主液室の内圧を有効に制
御せしめて、マウント防振特性を調節し、優れた防振効
果を得ることが可能となるのである。
【0011】しかも、本発明に従う構造とされた流体封
入式防振装置においては、主液室と副液室の間に、第一
のオリフィス通路よりも低周波域にチューニングされた
第二のオリフィス通路が設けられていると共に、第一の
オリフィス通路を遮断するオリフィス遮断手段が設けら
れていることから、第一の振動周波数域よりも低周波域
の第二の振動周波数域の振動入力時に、第一のオリフィ
ス通路を遮断すれば、主液室と副液室の間で第二のオリ
フィス通路を通じての流体流動が積極的に生ぜしめられ
ることとなる。
【0012】それ故、第二のオリフィス通路を流動せし
められる流体の共振作用に基づく防振効果が有効に発揮
され得、それによって、第一の振動周波数域よりも低周
波域の第二の振動周波数域の入力振動に対しても、優れ
た防振効果を得ることが可能となるのである。
【0013】なお、第二のオリフィス通路は、常時開口
状態にあるが、チューニング周波数域の相違により、第
一のオリフィス通路に比して流通抵抗が大きいことか
ら、第一の振動周波数域の振動入力時における第一のオ
リフィス通路を通じての流体流動が、第二のオリフィス
通路によって大きく阻害されるようなことはない。
【0014】また、本発明において、オリフィス遮断手
段として、適当な弁体を採用することも可能であるが、
好適には、第一のオリフィス通路の開口部に対して振動
板を対向位置せしめて、該第一のオリフィス通路の開口
部に振動板を当接させることにより第一のオリフィス通
路を閉塞し得るように構成し、かかる振動板を含んで、
オリフィス遮断手段が構成される。
【0015】このように振動板によって、オリフィス遮
断手段を構成すれば、部品点数が少なくてすみ、構造の
簡略化や製作性の向上も有利に達成される。
【0016】さらに、より好適には、かかる振動板を第
一のオリフィス通路の開口部に向かって駆動して当接さ
せるための駆動力が、該振動板を加振する加振手段によ
って及ぼされるように構成される。具体的には、例え
ば、ソレノイドを有する電磁駆動手段によって加振手段
を構成せしめて、該ソレノイドに脈動電流を通電するこ
とによって振動板を加振する一方、該ソレノイドに直流
電流を通電することによって振動板を第一のオリフィス
通路の開口部に向かって駆動して当接させるようにされ
る。
【0017】このように加振手段によって、振動板を第
一のオリフィス通路の開口部に当接させるための駆動力
が及ぼされるように構成すれば、振動板を駆動するため
のアクチュエータを別途設ける必要がなく、更なる構造
の簡略化や製作性の向上が図られ得る。
【0018】また、本発明において、好適には、振動板
が、第二の取付部材に対して、支持ゴムを介して支持せ
しめられて、該支持ゴムの弾性変形に基づいて振動板の
変位が許容されるように構成される。
【0019】このように振動板を支持ゴムを介して第二
の取付部材に弾性支持せしめることによって、振動板を
第二の取付部材に対して変位可能に支持せしめる支持機
構が、簡単な構造をもって有利に実現される。しかも、
本発明においては、このような振動板の支持機構を採用
しても、周波数の低い第二の振動周波数域の振動入力時
に第一のオリフィス通路が遮断されることから、主液室
に生ぜしめられる圧力が支持ゴムの弾性変形によって吸
収されてしまうことがなく、第二のオリフィス通路を通
じての流体流動量が充分に確保されて、第二の振動周波
数域の入力振動に対する防振効果が有効に発揮され得る
のである。
【0020】更にまた、本発明において、好適には、副
液室が、第一の取付部材の内部に形成される。それによ
って、スペースの有効利用が図られて、副液室を設ける
に際しての防振装置の大型化が有利に抑えられるのであ
る。
【0021】
【発明の実施の形態・実施例】以下、本発明を更に具体
的に明らかにするために、本発明の実施例について、図
面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0022】先ず、図1には、本発明の一実施例として
の自動車用エンジンマウントが示されている。このエン
ジンマウントは、互いに所定距離を隔てて配された第一
の取付部材としての第一の取付金具10と第二の取付部
材としての第二の取付金具12が本体ゴム14によって
弾性的に連結された構造を有しており、第一の取付金具
10および第二の取付金具12の各一方が、パワーユニ
ット側およびボデー側の各一方に取り付けられることに
より、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめ
るようになっている。なお、本実施例のエンジンマウン
トにおいては、自動車への装着時にパワーユニット荷重
が図1中の略上下方向におよぼされることにより、本体
ゴム14が所定量だけ圧縮変形せしめられると共に、そ
のような装着状態下、防振すべき主たる振動が、図1中
の略上下方向に入力されることとなる。なお、以下の説
明中、上方および下方とは、原則として、図1中の上下
方向をいうものとする。
【0023】より詳細には、第一の取付金具10は、そ
れぞれ略有底円筒形状を有する上金具16と下金具18
が、各開口側で互いに軸方向に重合わされてボルト連結
されることにより、中空構造をもって形成されている。
なお、上金具16の底壁中央には、第一の取付金具10
をパワーユニット側に取り付けるためのボルト穴が設け
られている。
【0024】また、第一の取付金具10の中空内部に
は、略薄肉円板形状のゴム膜からなる変形容易な可撓性
膜20が配設されており、外周縁部を上下金具16,1
8間で挟持されている。それによって、第一の取付金具
10の内部が、可撓性膜20を挟んで、上金具16側の
上室22と下金具18側の下室24に流体密に二分され
ている。
【0025】更にまた、第一の取付金具10を構成する
下金具18には、本体ゴム14が加硫接着されている。
この本体ゴム14は、テーパ付きの略円筒形状を有して
おり、その小径側の開口端面に下金具18の筒壁部外周
面が加硫接着されている。それによって、本体ゴム14
の小径側開口部が覆蓋されており、本体ゴム14の内部
に、下方(大径側)に向かって開口する凹所26が形成
されている。なお、本体ゴム14の軸方向中間部分に
は、座屈的な変形を防止するための拘束リング28が加
硫接着されている。
【0026】また、本体ゴム14の大径側開口部には、
円環形状の連結金具30が加硫接着されており、この連
結金具30に対して、第二の取付金具12が、仕切部材
としてのオリフィス金具32を介して、軸方向に重ね合
わされて組み付けられている。
【0027】第二の取付金具12は、有底円筒形状の底
金具36の開口側に、円筒形状の筒金具38が軸方向に
重ね合わされてボルト40により相互に固定された、深
底の有底円筒形状を有しており、底金具36の底壁部に
設けられたボルト穴42によってボデー側に取り付けら
れるようになっている。また、筒金具38には、第二の
取付金具12の開口周縁部から径方向内方に向かって内
フランジ状に突出する環状突出部44が設けられている
と共に、この環状突出部44に対して、略円板形状の支
持ゴム46の外周縁部が加硫接着されており、それによ
って、第二の取付金具12の開口部が、支持ゴム46に
よって流体密に閉塞されている。更に、支持ゴム46の
中央部分には、硬質材料にて形成された振動板48が固
着されて、該振動板48が、第二の取付金具12に対し
て、支持ゴム46によって弾性的に連結されており、か
かる支持ゴム46の弾性変形に基づいて、振動板48
が、第二の取付金具12に対して変位可能とされてい
る。
【0028】また、オリフィス金具32は、略円板形状
を有しており、外周縁部において、連結金具30と第二
の取付金具12(筒金具38)との間で軸方向に挟まれ
て、ボルト34によって固定されている。なお、これら
連結金具30とオリフィス金具32および第二の取付金
具12の重ね合わせ面間は、流体密にシールされてい
る。それによって、本体ゴム14内に形成された凹所2
6が流体密に覆蓋されており、以て、第一の取付金具1
0とオリフィス金具32の間に、壁部の一部が本体ゴム
14にて構成された主液室50が形成されていると共
に、オリフィス金具32と支持ゴム46の間に圧力制御
室52が形成されている。
【0029】そして、これら主液室50と圧力制御室5
2には、所定の非圧縮性流体が封入されている。なお、
かかる封入流体として、好適には、流体の共振効果を有
効に利用するために、例えば水やアルキレングリコー
ル,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の、
0.1Pa・s以下の粘度を有する低粘性流体が採用さ
れる。
【0030】また、オリフィス金具32には、図2にも
示されているように、外周部分から周方向に螺旋状に延
びて中央部分に至る螺旋溝54が形成されていると共
に、オリフィス金具32の上面に蓋金具56が重ね合わ
されて、該蓋金具56により螺旋溝54が覆蓋されてい
る。それによって、外周側端部が蓋金具56に設けられ
た連通孔58を通じて主液室50に連通される一方、内
周側端部がオリフィス金具32に設けられた中央孔60
を通じて圧力制御室52に連通されることにより、それ
ら主液室50と圧力制御室52を相互に連通して両室5
0,52間で流体の流動を許容する第一のオリフィス通
路62が形成されている。
【0031】また一方、前記第一の取付金具10の内部
に形成された下室24は、その内部に主液室50と同じ
非圧縮性流体が封入されることにより、可撓性膜20の
変形に基づいて容積変化が容易に許容される副液室とし
て構成されている。更に、この副液室24と主液室50
を仕切る下金具18の底壁部には、周方向に一周弱の長
さで延びる凹溝63が形成されており、該凹溝63が下
金具18の底壁部に重ね合わされてボルト固定された蓋
板64にて覆蓋されることによって、下金具18および
蓋板64に設けられた連通孔65,66を通じて主液室
50と副液室24を相互に連通して両室50,24間で
の流体の流動を許容する第二のオリフィス通路67が形
成されている。
【0032】そして、主液室50を圧力制御室52に連
通せしめる第一のオリフィス通路62は、その内部を通
じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、アイ
ドル振動に相当する周波数域(例えば、30Hz前後)の
振動入力時に低動ばね効果が発揮されるように、その流
路長さや断面積等が、本体ゴム14や支持ゴム46のば
ね剛性等を考慮して設計されている。一方、主液室50
を副液室24に連通せしめる第二のオリフィス通路67
は、その内部を通じて流動せしめられる流体の共振作用
に基づいて、シェイク等に相当する周波数域(例えば、
10Hz前後)の振動入力時に高減衰効果が発揮されるよ
うに、その流路長さや断面積等が、本体ゴム14のばね
剛性等を考慮して設計されている。
【0033】また、第一のオリフィス通路を圧力制御室
52に連通する中央孔60の開口部分は、軸方向下方に
向かって拡径するテーパ状の弁座面68とされている。
また一方、第二の取付金具12に対し、支持ゴム46を
介して弾性支持された振動板48は、中央孔60の下方
に所定距離を隔てて対向位置せしめられていると共に、
該中央孔60に向かって突出する円錐台形状の弁体部6
9を有している。また、この弁体部69の外周面には、
周方向に延びるシールリップ70を備えたシールゴム層
71が、支持ゴム46によって形成されている。これに
より、振動板48は、支持ゴム46の弾性力に抗して、
上方(オリフィス金具32側)に駆動変位せしめられる
ことにより、弁体部69が中央穴60に入り込み、シー
ルゴム71およびシールリップ70を介して、弁座面6
8に圧接せしめられ、以て、中央穴60を閉塞せしめ
て、第一のオリフィス通路62を遮断するようになって
いるのである。
【0034】更にまた、第二の取付金具12の内部に
は、ボビン72に巻回されたソレノイドコイル74が収
容されていると共に、全体としてリール形状を有する内
側ヨーク部材76,78が、ソレノイドコイル74の内
孔を通って軸方向両側を覆うようにして、該ソレノイド
コイル74に対して固定的に組み付けられている。そし
て、内側ヨーク部材76が底金具36の底壁部に対して
ボルト80により固着されることにより、内側ヨーク部
材76,78およびソレノイドコイル74が、第二の取
付金具12の中央部分において、中心軸が上下方向に延
びる状態で配設されている。なお、図中、82は、ソレ
ノイドコイル74への給電用リード線である。
【0035】また、第二の取付金具12の内部には、逆
カップ形状を有する外側ヨーク部材84が配設されてお
り、該外側ヨーク部材84の上底部が振動板48の下面
に重ね合わされて、固定ボルト86で固着されることに
より、振動板48と外側ヨーク部材84が一体的に変位
せしめられるようになっている。そして、この外側ヨー
ク部材84は、内側ヨーク部材76,78およびソレノ
イドコイル74に対して上方から被せられ、それら内側
ヨーク部材76,78およびソレノイドコイル74の外
周面を僅かな隙間を隔てて覆うようにして、内側ヨーク
部材76,78およびソレノイドコイル74に対して軸
方向に相対変位可能に外挿,配置されている。
【0036】また、内側ヨーク部材76,78と外側ヨ
ーク部材84は、何れも、鉄等の強磁性材にて形成され
ており、それによって、内側ヨーク部材76,78と外
側ヨーク部材84にて、ソレノイドコイル74の周囲に
磁路が形成されるようになっている。特に、外側ヨーク
部材84は、筒壁部のうち開口側先端部から軸方向に所
定長さに亘って内法寸法が小さくされて厚肉とされてお
り、かかる厚肉部によってヨーク形成部位88が構成さ
れている。そして、このヨーク形成部位88が、ソレノ
イドコイル74の軸方向下側端面を覆う内側ヨーク部材
78から更に軸方向下方に所定長さで突出すると共に、
ソレノイドコイル74の軸方向上側端面を覆う内側ヨー
ク部材76のフランジ状部までは僅かに至らない状態
で、位置せしめられている。これによって、ソレノイド
コイル74への通電時に、外側ヨーク部材84(ヨーク
形成部位88)に対して、軸方向上方に向かう吸引力が
及ぼされるようになっているのであり、以て、この磁気
吸引力に基づく外側ヨーク部材84の変位に伴い、振動
板48が支持ゴム46の弾性力に抗して上方に変位せし
められるようになっているのである。なお、外側ヨーク
部材84の上底部には空気抜き孔90が設けられてお
り、外側ヨーク部材84の変位時における空気ばね作用
が回避されるようになっている。また、底金具36は、
磁束の拡散を抑えるために非磁性材にて形成することが
望ましい。
【0037】さらに、内側ヨーク部材76の中心孔92
には、適当な合成樹脂材料等によって形成された低摩擦
性の摺動スリーブ94が装入されて嵌着固定されてい
る。また、外側ヨーク部材84を振動板48に固定する
ボルト86の頭部は、軸方向に延長されて下方に延びる
ロッド状とされており、このボルト86のロッド状頭部
が、摺動スリーブ94に摺動可能に挿通されている。そ
して、摺動スリーブ94によってボルト86のロッド状
頭部が軸方向に案内され、ボルト86の軸直角方向への
変位が阻止されることにより、振動板48における傾き
等の不規則な変位が防止されて振動板48が上下方向に
安定して変位せしめられると共に、外側ヨーク部材84
の内側ヨーク部材76,78への不必要な接触や吸着が
可及的に防止されて安定した磁気吸引力が生ぜしめられ
るようになっている。
【0038】これにより、ソレノイドコイル74に脈動
電流や交番電流を給電すると、通電電流(絶対値)が増
加する際には、外側ヨーク部材84に及ぼされる磁気吸
引力が増大して振動板48が支持ゴム46の弾性力に抗
して上方に変位せしめられる一方、通電電流が減少する
際には、外側ヨーク部材84に及ぼされる磁気吸引力が
減少して振動板48が支持ゴム46に蓄えられたエネル
ギに基づく弾性力によって下方に変位せしめられるよう
になっているのであり、その結果、振動板48が、ソレ
ノイドコイル74への給電に応じて、上下に往復変位
(振動)させられるようになっているのである。なお、
本実施例では、ソレノイドコイル74における磁極の方
向に拘わらず外側ヨーク部材84に対して同一方向の磁
気吸引力が及ぼされることから、ソレノイドコイル74
への給電周波数の2倍の周波数で振動板48に加振力が
及ぼされることとなる。また、振動板48の振幅および
振動周波数は、ソレノイドコイル74に給電する電流の
大きさや周波数を調節すること等によって制御可能であ
る。
【0039】そして、このように振動板48が加振され
ることによって、圧力制御室52の内圧が変化せしめら
れるのであり、それによって、圧力制御室52と主液室
50の間に内圧差が生ぜしめられると、それら圧力制御
室52と主液室50の間で第一のオリフィス通路62を
通じての流体流動が生ぜしめられることとなる。その結
果、主液室50の内圧が変化せしめられてマウント防振
特性が調節されることとなるのであり、マウントへの入
力振動との位相差を考慮して振動板48を加振すること
によって、減衰効果を向上せしめたり、或いは低動ばね
化による振動絶縁効果を向上せしめたりすることが可能
となる。
【0040】ここにおいて、本実施例では、第一のオリ
フィス通路62を通じて流動する流体マスの共振現象
が、アイドル振動に相当する周波数域において生ぜしめ
られるようにチューニングされていることにより、主液
室50の内圧変化に基づく低動ばね化による振動絶縁効
果を得るべく、アイドル振動等に相当する周波数で振動
板48を加振せしめて、圧力制御室52と主液室50の
間での第一のオリフィス通路62を通じての流体流動を
生ぜしめると、流体の共振現象が発生し、以て、該流体
の共振現象によってより大きなパワーが主液室50に及
ぼされて、該主液室50に有効な内圧変化が及ぼされる
こととなる。それ故、ソレノイドコイル74やヨーク部
材76,78,84等からなる加振手段を比較的小さな
エネルギで駆動して振動板48を加振した場合でも、第
一のオリフィス通路62を通じて流動せしめられる流体
マスの共振作用によってパワーが増幅されて、主液室5
0の圧力、延いてはマウント防振特性の調節が有効に為
され得る。
【0041】従って、アイドル振動の入力時には、ソレ
ノイドコイル74に脈動電流や交番電流を通電せしめて
振動板48を対応する振動数で加振することにより、主
液室50の内圧を制御せしめて、目的とする振動絶縁効
果を極めて有効に得ることが出来るのである。なお、そ
の際、第二のオリフィス通路67も連通状態にあるが、
第二のオリフィス通路67は低周波域にチューニングさ
れており、アイドル振動周波数域では流通抵抗が極めて
大きいことから、第二のオリフィス通路67を通じての
流体流動によって主液室50の内圧制御に基づく振動絶
縁効果が阻害されるようなことは殆どない。
【0042】一方、ソレノイドコイル74に直流電流を
通電すると、外側ヨーク部材84を上方に駆動する磁気
吸引力が継続的に生ぜしめられることとなり、その結
果、外側ヨーク部材84が上方に移動,位置せしめられ
ることにより、振動板48の弁体部69がオリフィス金
具32の中央孔60に入り込まされて、該弁体部69
が、シールリップ70およびシールゴム71を介して、
弁座面68に圧接せしめられて、中央孔60が流体密に
閉塞されることとなる。その結果、第一のオリフィス通
路62が遮断されて、主液室50と圧力制御室52の間
での流体流動が阻止された状態に維持されるこことな
る。
【0043】それ故、このような第一のオリフィス通路
62が遮断された状態下に振動が入力されると、主液室
50に内圧変動が生ぜしめられて、副液室24との間に
相対的な内圧差が惹起される結果、主液室50と副液室
24の間で第二のオリフィス通路67を通じての流体流
動が生ぜしめられることとなり、第二のオリフィス通路
67を通じて流動する流体の共振作用に基づく所定の防
振効果が発揮されるのである。
【0044】ここにおいて、本実施例では、第二のオリ
フィス通路67を通じて流動する流体マスの共振作用に
基づいて、シェイクに相当する低周波数域の入力振動に
対する減衰効果が発揮されるようにチューニングされて
いるのであり、それ故、シェイク振動の入力時にソレノ
イドコイル74に直流電流を通電することによって、シ
ェイク振動に対して優れた防振効果を得ることが出来る
のである。
【0045】従って、上述の如き構造とされたエンジン
マウントにおいては、ソレノイドコイル74に対する通
電状態を制御するだけで、流体の共振作用に基づいて発
揮される防振特性を調節することが出来るのであり、例
えば、車両の停車時にソレノイドコイル74に対してア
イドル振動に相当する周波数の脈動電流を通電する一
方、車両の走行時にソレノイドコイル74に直流電流を
通電すれば、アイドル振動に対する振動絶縁特性と、シ
ェイク振動に対する振動減衰特性とが、何れも、流体の
共振作用に基づいて極めて高度に実現され得るのであ
る。
【0046】しかも、本実施例においては、第一のオリ
フィス通路62を遮断する弁体が、振動板48によって
構成されていることに加えて、かかる弁体を駆動する駆
動手段が、振動板48を加振する加振手段によって構成
されていることから、部品点数が少なくてすみ、マウン
ト構造の簡略化と小型,軽量化および製作性と製作コス
トの向上が、何れも、有利に図られ得るのである。
【0047】また、本実施例においては、第一の取付金
具10の内部スペースを利用して副液室24が形成され
ていることから、スペースの有効利用によってマウント
の小型化が一層有利に図られ得る。
【0048】更にまた、本実施例においては、振動板4
8を加振するための加振手段としてソレノイドコイル7
4を用いた駆動手段が採用されていることから、振動板
48の加振周波数や振幅等の加振制御を容易且つ高精度
に行うことが出来、それによって目的とする防振効果を
より安定して発現せしめることが可能となるといった利
点もある。
【0049】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これは文字通りの例示であって、本発明は、かか
る具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0050】例えば、第一及び第二のオリフィス通路
は、何れも、防振を目的とする振動等に応じて、流路断
面積や長さ等が設定されるものであって、その具体的形
態および構造が、前記実施例によって限定的に解釈され
るものではない。
【0051】更にまた、振動板を加振する加振手段とし
ても、例示のものに限定されることはなく、電歪素子や
磁歪素子を利用したものや油圧式乃至は空圧式のアクチ
ュエータおよび各種のリニア型アクチュエータ等が適宜
に採用され得る。
【0052】また、オリフィス遮断手段を振動板とは別
部材で構成したり、振動板を加振するための加振手段と
は別の駆動手段を用いて第一のオリフィス通路を開閉す
ること等も可能であることは、勿論である。
【0053】更にまた、オリフィス遮断手段は、第一の
オリフィス通路を、少なくとも第二のオリフィス通路が
チューニングされた周波数域の振動入力時に実質的に遮
断するものであれば良く、必ずしも、例示の如く、第一
のオリフィス通路を密閉遮断するものである必要はな
い。具体的には、例えば、第一のオリフィス通路がチュ
ーニングされた周波数域の入力振動の振幅に比して、第
二のオリフィス通路がチューニングされた周波数域の入
力振動の振幅が充分に大きい場合には、第一のオリフィ
ス通路を通じて流動せしめられる流体量を制限する手段
(例えば、特開昭57−9340号公報等に開示されて
いる可動板構造など)をもって、オリフィス遮断手段を
構成することも可能である。
【0054】加えて、例示の如き自動車用エンジンマウ
ント以外の各種の防振装置に対して、本発明が適用可能
であることは言うまでもなく、米国特許台469038
9号明細書に開示されているような、支軸部材とその周
りに配設された筒状部材によって第一の取付部材と第二
の取付部材が構成された、FF型自動車用エンジンマウ
ント等に好適に用いられる筒型構造の防振装置に対して
も、本発明は、適用可能である。
【0055】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもない。
【0056】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、オ
リフィス遮断手段によって第一のオリフィス通路を連通
/遮断制御することによってマウント防振特性を切り換
えることが出来るのであり、第一のオリフィス通路を連
通せしめた状態下では、第一のオリフィス通路を通じて
流動する流体の流動作用を利用して、加振手段による主
液室の内圧制御を効率的に行うことが出来、以て、第一
の振動周波数域の入力振動に対して、主液室の内圧制御
に基づく防振効果が有効に発揮される一方、第一のオリ
フィス通路を遮断せしめた状態下では、第二のオリフィ
ス通路を通じて流動する流体の流動作用を利用して、第
一の振動周波数域よりも周波数域の低い第二の振動周波
数域の入力振動に対しても、流体の流動作用に基づく防
振効果が有効に発揮されるのである。
【0057】そして、それ故、本発明に従う構造とされ
た流体封入式防振装置においては、防振を目的とする振
動に応じて第一のオリフィス通路を連通/遮断すること
により、複数の周波数域の入力振動に対して、何れも、
極めて優れた防振特性を得ることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての自動車用エンジンマ
ウントを示す縦断面説明図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【符号の説明】
10 第一の取付金具 12 第二の取付金具 14 本体ゴム 20 可撓性膜 24 下室(副液室) 46 支持ゴム 48 振動板 50 主液室 52 圧力制御室 62 第一のオリフィス通路 67 第二のオリフィス通路 68 弁座面 69 弁体部 74 ソレノイドコイル 76,78 内側ヨーク部材 84 外側ヨーク部材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに所定距離を隔てて配された第一の
    取付部材および第二の取付部材と、 それら第一の取付部材と第二の取付部材を連結する本体
    ゴムと、 該本体ゴムによって壁部の一部が構成されて振動入力時
    に内圧変動が生ぜしめられる、内部に非圧縮性流体が封
    入された主液室と、 該主液室に対して、前記第二の取付部材により支持され
    た仕切部材を隔てて設けられて、壁部の一部が前記第二
    の取付部材に対して変位可能に支持された振動板で構成
    された、内部に非圧縮性流体が封入された圧力制御室
    と、 前記振動板を加振することにより、該圧力制御室に内圧
    変動を生ぜしめる加振手段と、 前記主液室と前記圧力制御室の間に跨がって形成され
    て、それら両室間での流体流動を許容する、防振を目的
    とする第一の振動周波数域に応じてチューニングされた
    第一のオリフィス通路と、 前記主液室および前記圧力制御室から独立して設けら
    れ、壁部の一部が変形容易な可撓性膜で構成されて、内
    部に非圧縮性流体が封入された副液室と、 前記主液室と前記副液室の間に跨がって形成されて、そ
    れら両室間での流体流動を許容する、前記第一の振動周
    波数域よりも低周波側の第二の振動周波数域に応じてチ
    ューニングされた第二のオリフィス通路と、 前記第二の振動周波数域の振動入力時に、前記第一のオ
    リフィス通路を実質的に遮断し得るオリフィス遮断手段
    とを、有することを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 【請求項2】 前記第一のオリフィス通路の開口部に対
    向位置せしめられて、該第一のオリフィス通路の開口部
    に当接されることにより該第一のオリフィス通路を閉塞
    し得るようにされた、前記振動板を含んで前記オリフィ
    ス遮断手段が構成されている請求項1に記載の流体封入
    式防振装置。
  3. 【請求項3】 前記振動板を加振する前記加振手段によ
    って、該振動板を前記第一のオリフィス通路の開口部に
    当接せしめるための駆動力が及ぼされる請求項2に記載
    の流体封入式防振装置。
  4. 【請求項4】 前記振動板が、前記第二の取付部材に対
    して、支持ゴムを介して支持せしめられて、該支持ゴム
    の弾性変形に基づいて該振動板の変位が許容されるよう
    になっている請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入
    式防振装置。
  5. 【請求項5】 前記副液室が、前記第一の取付部材の内
    部に形成されている請求項1乃至4の何れかに記載の流
    体封入式防振装置。
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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6406010B1 (en) 1999-02-05 2002-06-18 Tokai Rubber Industries, Ltd. Fluid-filled active vibration damping device
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