JPH0988659A - エンジンの制御装置 - Google Patents

エンジンの制御装置

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JPH0988659A
JPH0988659A JP7247570A JP24757095A JPH0988659A JP H0988659 A JPH0988659 A JP H0988659A JP 7247570 A JP7247570 A JP 7247570A JP 24757095 A JP24757095 A JP 24757095A JP H0988659 A JPH0988659 A JP H0988659A
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air
amount
purge
trap
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JP7247570A
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Hiroshi Ninomiya
洋 二宮
Koji Endo
孝次 遠藤
Susumu Inoue
晋 井上
Yuji Shitani
有司 志谷
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/14Introducing closed-loop corrections
    • F02D41/1438Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor
    • F02D41/1439Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor characterised by the position of the sensor
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    • F02D41/1443Plural sensors with one sensor per cylinder or group of cylinders
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】多気筒エンジンの各気筒間あるいは気筒群間に
おいてパージ量のばらつきに関わらず安定的な空燃比フ
ィードバック制御を達成する。 【解決手段】時刻T1において、パージを開始する。同
時に、パージガス比率の演算を開始し、徐々にパージ分
を噴射燃料に換算してパルス幅を修正する制御を行う。
この間分配率cdisp 及びトラップ量trapの学習を行なう
ので燃料噴射パルス幅は徐々に減少し、再び安定状態に
戻る。次に時刻T2において、パージ制御弁が閉となる
と、パージガス比率は0となり、燃料噴射パルス幅は、
正規の噴射幅に戻る。T1からT2の間に学習された分
配率とトラップ量推定値は記憶する。再び、蒸発燃料を
導入し始めると、左右のバンクBR、BLの気筒の噴射
パルス幅tar 、tal が減少する。この場合、新たに学習
することなく即座に演算によって正規の燃料噴射パルス
幅から差し引かれるので空燃比フィードバック制御に影
響はでない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの制御装
置に関し、特に蒸発燃料を供給する機構を備えたエンジ
ンの燃料制御に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの制御装置において、燃料タン
ク内における燃料の蒸発成分を燃料供給系からエンジン
に導入するようにした蒸発燃料制御装置は公知である。
燃料タンク内に発生する燃料の蒸発成分を処理するにあ
たって、現在ではこれを大気中に放出することなく、通
常の噴射燃料とともに、エンジンに導入して燃焼させる
ようになっている。この場合、燃料タンクにおいて発生
した蒸発燃料は、いったん該燃料タンクからキャニスタ
に導入されてトラップされる。そして、所定の運転状態
のときに燃料の噴射タイミングにあわせて該キャニスタ
内を空気でパージしてキャニスタにトラップされた蒸発
燃料は通常の燃料とともにエンジン内に導入されて燃焼
し排気ガスとなって外部に放出される。蒸発燃料をその
まま大気に放出すればエミッションの問題が生じるが、
上記のように燃焼処理することよってエミッションを改
善することができる。従来の蒸発燃料処理装置として、
たとえば特開平2−245441号公報に開示されるも
のがある。
【0003】この開示された装置においては、蒸発燃料
のエンジンへの導入量すなわちパージ量を空燃比フィー
ドバック補正値から推定し、基本燃料噴射量からパージ
量を差し引いて燃料供給制御を行なうようにしている。
【0004】
【解決すべき課題】しかし、上記特開平2−24544
1号公報に開示された装置においては、パージ量に基づ
いて基本燃料噴射量を変更するように制御するので、パ
ージ量が変化した場合には、燃料供給量が大きく影響を
受けるのでフィードバック補正値の値も大きく変化し、
したがって、空燃比フィードバック制御の安定性が損な
われるという問題がある。このことに鑑み、蒸発燃料が
キャニスタにトラップされる量を学習し、キャニスタが
解放されたときエンジン内へのパージ量を推定すること
によって蒸発燃料のトラップ量の変動に関わらず、空燃
比フィードバック制御の安定性を確保するようにしたエ
ンジンの制御装置が提案されている。しかし、多気筒エ
ンジンの場合には、キャニスタからエンジンのそれぞれ
の気筒あるいはバンクの気筒群への導入経路の長さ、形
状、大きさ等が異なる結果、各気筒あるいは気筒群に分
配される蒸発燃料のパージ量は一律とはならない。この
ため、蒸発燃料のキャニスタへのトラップ量を正確に把
握できたとしてもキャニスタから各気筒に実際に導入さ
れる蒸発燃料の量は、各気筒間あるいはV型エンジンに
おいては、各バンク間で異なる。この結果、各気筒ある
いは気筒群に対してパージ燃料が一様に導入されること
を前提としてエンジンの空燃比フィードバック制御を行
うと、実際のパージ量が各気筒間あるいは気筒群間で異
なるため空燃比フィードバック補正値のばらつきが生
じ、安定した空燃比フィードバックが達成できなくなる
という問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような事
情に鑑みて構成されたもので、多気筒エンジンにおい
て、各気筒間あるいは気筒群間においてパージ量のばら
つきに関わらず安定的な空燃比フィードバック制御を達
成することができるエンジンの制御を提供することであ
る。本発明は、多気筒エンジンにおいて、燃料タンクの
蒸発燃料をエンジンに供給する蒸発燃料供給系と、気筒
または気筒群毎に空燃比フィードバック補正値を設定し
て空燃比フィードバックを行なう空燃比フィードバック
手段と、蒸発燃料の供給制御の実行・停止に関わらず前
記気筒または気筒群毎の空燃比フィードバック補正値が
等しくなるように各気筒に対する燃料を供給する燃料供
給手段とを備えたことを特徴とする。本発明の好ましい
態様では、前記燃料供給手段は、気筒または気筒群毎に
導入される蒸発燃料の分配率を算出する分配率算出手段
を備え、前記分配率に基づいて気筒または気筒群毎に燃
料供給するようになっている。
【0006】本発明の別の好ましい態様では、燃料供給
手段は、空燃比フィードバック補正値の相違が各気筒間
または気筒群間で所定以上となったときには、該空燃比
フィードバック補正値が等しくなるように燃料供給を行
なうようになっている。さらに、本発明の別の好ましい
態様では、空燃比フィードバック補正値の変化に基づい
て蒸発燃料のエンジンへの導入量を学習する蒸発燃料学
習手段がさらに設けられ、該蒸発燃料学習手段によって
学習された蒸発燃料の導入量に基づいて前記分配率を算
出するようになっている。また別の態様では、燃料供給
手段には、空燃比フィードバック補正値の変化に基づい
て蒸発燃料のエンジンへの導入量を学習する蒸発燃料学
習手段がさらに設けられ、該蒸発燃料学習手段によった
学習された蒸発燃料の導入量に基づいて前記空燃比フィ
ードバック補正値が等しくなるように燃料供給を行なう
ようになっている。さらに本発明の別の特徴によれば、
V型エンジンの各バンクの気筒列毎にO2センサを配置
するとともに、各バンクの気筒の空燃比フィードバック
補正値が等しくなるように予め各バンク毎の蒸発燃料の
分配率を設定するように構成されている。
【0007】さらに、V型エンジンの燃料制御におい
て、本発明の好ましい態様では、上記燃料供給手段は、
燃料供給各バンクの気筒の空燃比フィードバック補正値
の相違が所定以上となったとき両バンクの気筒の空燃比
フィードバック補正値が等しくなるように燃料供給を行
なうようになっている。上記の本発明において、通常燃
料供給手段による供給燃料の量の制御は、燃料噴射パル
ス幅を制御することによって行われる。蒸発燃料のエン
ジンへの導入すなわちパージは、排気ガス対策の面から
エンジンの運転状態を監視しながら適当であると判断さ
れた運転状態において行う。
【0008】
【発明を実施するための形態】以下、本発明の実施の形
態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明
にかかる蒸発燃料推定装置及び制御装置を備えたエンジ
ンのシステム構成図である。図1に示すように、燃料噴
射式の6気筒ガソリンエンジンCEの左右のバンクB
R、BLに属するそれぞれ1つの気筒が示されている。
各気筒1においては、吸気弁2が開かれたときに吸気ポ
ート3から燃焼室4に混合気が吸入され、この混合気が
ピストン5で圧縮された後点火プラグ(図示せず)によ
って着火・燃焼させられ、排気弁6が開かれたときに燃
焼ガス(排気ガス)が排気ポート7を介して排気通路8
に排出されるようになっている。排気通路8は、左右の
各バンクBR、BLからの排気通路8a、8bには、そ
れぞれの通路8a、8bの排気ガス中のO2 濃度を検出
するリニアO2 センサ9a、9bがそれぞれ排気通路8
a、8b内に臨むように配設されている。なお左右のバ
ンクからの排気通路8a、8bは下流において合流して
一本の排気通路30となり排気通路30には、エミッシ
ョン性能を改善するための触媒コンバータ31が取り付
けられている。
【0009】そして、リニアO2 センサ9a、9bで検
出されたO2 濃度はコントロールユニットCUに入力さ
れ、コントロールユニットCUではこのO2 濃度に基づ
いて混合気の空燃比を演算するようになっている。ここ
で、リニアO2 センサ9a、9bによって検出されるO
2 濃度と該O2 濃度に基づいて演算される空燃比とは一
義的な対応関係にあるので、以下では便宜上、上記空燃
比を「リニアO2 センサ9によって検出された空燃比」
又は「実空燃比」ということにする。ここで、リニアO
2 センサ9a、9bに代えて、λO2 センサを用いても
よい。なお、リニアO2 センサ9a、9bは、空気過剰
率λが1より大きい領域でもO2 濃度ひいては空燃比を
検出することができるが、λO2 センサは基本的には空
気過剰率λが1より大きいか否かを検出するだけであ
る。エンジンCEの各気筒1(燃焼室4)に燃料燃焼用
の空気を供給するために吸気系10が設けられ、この吸
気系10には上流端が大気に開放された共通吸気通路1
1が設けられている。そして、共通吸気通路11にはア
クセルペダル(図示せず)と流動して開閉されるスロッ
トル12が介設され、共通吸気通路11の下流端は吸入
空気の流れを安定させるサージタンク13に接続されて
いる。さらに、サージタンク13の下流側は、それぞれ
のバンクBR、BLへの分岐吸気通路14a、14bに
分岐し、その後さらに各気筒1に夫々個別に空気を供給
する独立吸気通路14(1つのみ図示)に分岐する。こ
れらの各独立吸気通路14の下流端は夫々対応する気筒
1の吸気ポート3に接続されている。
【0010】吸気ポート3近傍において各独立吸気通路
14には、吸気ポート3内ないしは燃焼室4内に燃料を
噴射する燃料噴射弁15が、噴射口が下流側に向くよう
にして臨設されている。ここで、燃料噴射弁15の燃料
噴射量(噴射パルス幅)及び噴射タイミングは、後で説
明するようにコントロールユニットCUによって制御さ
れるようになっている。エンジンCEには、燃料タンク
(図示せず)から排出される蒸発燃料(ガソリンペー
パ)を捕集する蒸発燃料捕集手段と、該蒸発燃料捕集手
段に捕集されている蒸発燃料を適宜吸気系10に空気に
よってパージする蒸発燃料パージ手段とを備えた蒸発燃
料回収手段24が設けられているが、以下この蒸発燃料
回収手段24について説明する。この蒸発燃料回収手段
24には、内部に蒸発燃料を捕集(吸着)することがで
きる吸着材(例えば、活性炭)が充填されたキャニスタ
25が設けられている。そして、このキャニスタ25に
は、先端が燃料タンクの上部空間部と連通し燃料タンク
内の上部空間部の空気を該キャニスタ25内にリリーフ
するリリーフ通路26と、先端が大気に開放された大気
開放通路27と、パージ通路28とが接続されている。
なお、大気開放通路27の先端をスロットル弁12より
も上流側で共通吸気通路11に接続するようにしてもよ
い。また、キャニスタ25内に吸着材を充填するのでは
なく、吸着以外の現象(例えば、吸収、反応等)を利用
して蒸発燃料を捕集する材料を充填してもよい(ただ
し、空気によるパージが可能なもの)。
【0011】パージ通路28にはこれを任意に開閉する
ことができるデューティソレノイド式のパージ制御弁2
9が介設され、このパージ制御弁29はコントロールユ
ニットCUによってその開度がデューティ制御されるよ
うになっている。このパージ制御弁29は、コントロー
ルユニットCUから印加される駆動デューティ比に従っ
て開閉制御され、例えば駆動デューティ比が0のときに
は全閉され、駆動デューティ比が100%のときには全
開され、両者間では駆動デューティ比が大きいときほど
開弁度合が大きくなるようになっている。そして、この
蒸発燃料回収手段24において、パージ制御弁29が全
閉(駆動デューティ比0)されているときには燃料タン
ク内の空気はリリーフ通路26を通してキャニスタ25
内にリリーフされた後、大気開放通路27を通して大気
中に排出されるが、この空気に含まれている蒸発燃料は
キャニスタ25内の吸着材層を通過する際に吸着材に捕
集され、大気中には排出されない。他方、パージ制御弁
29が開かれているときには吸気系10の負圧によっ
て、大気中の空気が、まず大気開放通路27を通してキ
ャニスタ25内に吸い込まれて吸着材層を通り抜け、こ
の後パージ通路28を通して吸気系10すなわちサージ
タンク13、分岐吸気通路14a、14b、独立吸気通
路14を介して燃焼室4にパージされる。ここで注意し
たいのは、パージされる蒸発燃料が各気筒の燃焼室に導
入される場合の導入経路の長さ、大きさ、流路形状、流
通抵抗は、同じではなくしたがって、単一のパージ通路
28を介して各気筒に導入される蒸発燃料の分配はそれ
ぞれの気筒によって異なることである。
【0012】また、パージ制御弁29の開弁度合(すな
わち、駆動デューティ比)に応じてパージされる空気の
流量(以下、これをパージ空気量という)が変化する。
そして、その際キャニスタ25内の吸着材に捕集されて
いる蒸発燃料の一部が吸着材から離脱し、パージ空気と
ともに上記の吸気系10を介して燃焼室4にパージされ
る。なお、以下ではこのように吸気系10ひいては燃焼
室4にパージされる蒸発燃料の流量を「蒸発燃料パージ
量」という。また、別の事情として、キャニスタ25か
ら燃焼室4に至るパージ空気ないしは蒸発燃料の輸送経
路はかなりの容量を有しているので、キャニスタ25か
らパージ通路28に放出された蒸発燃料が燃焼室4に実
際に達するまでには、上記輸送経路の容積及び形状(輸
送特性)に相応する輸送遅れが伴う。したがって、ある
時刻において、キャニスタ25からパージ通路28に放
出される蒸発燃料の流量(以下、これを蒸発燃料放出量
という)と、燃焼室4に実際に流入する蒸発燃料の流量
(以下、これを蒸発燃料流入量という)とは、定常状態
にある特別な場合を除けば通常は一致しない。このた
め、以下では蒸発燃料パージ量を、蒸発燃料放出量と蒸
発燃料流入量とに区別して説明することにする。
【0013】なお、キャニスタ25から燃焼室4に至る
パージ空気ないしは蒸発燃料の輸送経路の容積が非常に
小さい場合は、輸送遅れを無視することができるので蒸
発燃料放出量と蒸発燃料流入量とをとくには区別せず、
蒸発燃料パージ量という概念を用いてもとくには不具合
は生じない。コントロールユニットCUは、マイクロコ
ンピュータで構成された、エンジンCEの総合的な制御
装置であって、リニアO2 センサ9a、9b(あるいは
λO 2 センサ)によって検出される空燃比(実空燃
比)、スロットル開度センサによって検出されるスロッ
トル開度、エアフローセンサによって検出される吸入空
気量、回転数センサによって検出されるエンジン回転
数、アイドルスイッチから出力されるアイドル信号等を
制御情報として、エンジンCE(蒸発燃料回収手段24
を含む)の各種制御、キャニスタ25に捕集されている
蒸発燃料の量(以下、これをトラップ量という)の推
定、蒸発燃料放出量の算出(演算)、蒸発燃料流入量の
算出(演算)等を行うようになっている。エンジンCE
の一般的な制御はよく知られており、またかかる一般的
な制御は本発明の要旨とするところでもないのでその説
明を省略し、以下では本発明の要旨に関連する、空燃比
制御(燃料噴射量制御)の制御方法と、キャニスタパー
ジ制御の制御方法と、トラップ量の推定方法と、蒸発燃
料放出量の算出方法(演算方法)と、蒸発燃料流入量の
算出方法(演算方法)について説明する。
【0014】以下、図2を参照しつつコントロールユニ
ットCUの基本的な機能について説明する。図2に示す
ように、コントロールユニットCUは機能的にみれば、
空燃比制御(燃料噴射量制御)及びキャニスタパージ制
御を行うエンジン制御ブロックSLと、トラップ量の推
定を行うトラップ量推定ブロックSMと、トラップ量に
基づいて各バンクBR、BLへの蒸発燃料放出量あるい
は蒸発燃料流入量を演算する蒸発燃料パージ量演算ブロ
ックSNとに大別される。エンジン制御ブロックSL
は、基本的には、空燃比が目標空燃比となるように燃料
噴射弁15の噴射パルス幅すなわち燃料噴射量を運転状
態に応じてフィードバック制御又はオープンループ制御
するとともに(空燃比制御)、キャニスタパージを行う
べき運転領域では運転状態に応じてキャニスタパージを
行う(キャニスタバージ制御)。この空燃比制御におい
ては、エンジンCEの運転状態が所定のフィードバック
制御領域(例えば、高負荷領域と高回転領域を除いた領
域)に入っていれば実空燃比の目標空燃比に対する偏差
(以下、これを空燃比偏差という)に基づいてフィード
バック制御が行われ、フィードバック領域に入っていな
ければ空燃比偏差には基づかないオーブンループ制御が
行われる。ここでの空燃比のフィードバック制御の制御
手法は次のとおりである。
【0015】すなわち、吸入空気量とエンジン回転数と
に応じて燃料噴射弁15の基本パルス幅すなわち基本燃
料噴射量が演算される(B1)。そして、同時に吸入空
気量及びエンジン回転数に基づいて目標空燃比が決定さ
れる(B2)。次に、コントロールユニットCUは本実
施形態においては空燃比偏差(例えば、目標空燃比−実
空燃比)を算出し(B3、B4)に基づいて、各バンク
に属する気筒群ごとのフィードバック補正値cfbr、cfbl
を演算される(B5、B6)。ここで、フィードバック
補正値cfbr、cfblは、中立値すなわち空燃比をいずれの
方向にも補正しない中立的な値が0とされ、cfbr、cfbf
>0のときは空燃比(燃料噴射量)をリッチ方向に補正
し、cfbr、cfbf<0のときは空燃比(燃料噴射量)をリ
ーン方向に補正する。そして、基本パルス幅と各バンク
BR、BLの気筒のフィードバック補正値cfbr、cfblと
に基づいて、例えば基本パルス幅にフィードバック補正
値cfbr、cfblを乗算するなどして(B7、B8)、基本
パルス幅が空燃比偏差が縮小する方向に補正して各バン
クBR、BLの気筒毎に要求パルス幅すなわち要求燃料
噴射量を演算する(B9、B10)。例えば、実空燃比
が目標空燃比よりもリーンなときにcfbr、cfbl>0とな
り、これに伴って燃料噴射量が増量補正され空燃比がリ
ッチ方向に補正されて空燃比偏差が縮小される。逆に、
実空燃比が目標空燃比よりリッチなときにはcfbr、cfbf
<0となり、これに伴って燃料噴射量が減量補正され空
燃比がリーン方向に補正されて空燃比偏差が縮小され
る。かくして、空燃比偏差に応じて該空燃比偏差をなく
すように空燃比(燃料噴射量)がフィードバック制御さ
れる。
【0016】他方、空燃比のオープンループ制御が行わ
れる場合は、各バンクBR、BLの気筒のフィードバッ
ク補正値cfbr、cfblが0に固定される。この場合は、基
本パルス幅が空燃比偏差に応じては何ら補正されずにそ
のまま要求パルス幅となるので、O2 センサ9a、9b
の出力に基づく空燃比フィードバックのないオープンル
ープ制御となる。さらに、左右のバンクBR、BL要求
パルス幅すなわち要求燃料噴射量から、後で説明する蒸
発燃料流入量に対応するパルス幅(以下、これをパージ
補正パルス幅という)を減算して燃料噴射弁15の実際
の噴射パルス幅(以下、これを実噴射パルス幅という)
すなわち実燃料噴射量(実際の燃料噴射量)を演算する
(B11、B12)。そして、この実噴射パルス幅すな
わち実燃料噴射量でもって、所定のタイミングで燃料噴
射弁15から燃料が噴射される。かくして、実空燃比が
目標空燃比に保持される。キャニスタパージ制御は、キ
ャニスタパージ条件が成立しているとき例えば水温が所
定量(80℃)以上のときに、よく知られた普通の手法
でエンジンCEの運転状態に応じて行われる。すなわ
ち、パージ制御弁29にエンジンCEの運転状態に応じ
てデューティ比が印加され、キャニスタパージが行われ
る。
【0017】トラップ量推定ブロックSMは、キャニス
タパージ時に、エンジン制御ブロックSLのブロックB
5、B6で演算された各バンクBR、BLの気筒のフィ
ードバック補正値cfbr、cfblを平均化処理することによ
り左右のバンクBR、BLについて及び所定時間の平均
フィードバック補正値を演算する(B13)。さらにこ
の平均フィードバック補正値に基づいて間接的にトラッ
プ量を推定する(B14)。すなわち、平均フィードバ
ック補正値cfbav を用いて、現在把握しているトラップ
量(トラップ量推定値)が真のトラップ量よりも大きい
か小さいかを判定する。後で説明するように、コントロ
ールユニットCUは、所定の演算式を用いてトラップ量
推定値に基づいて蒸発燃料流入量を演算し、さらに要求
燃料噴射量から蒸発燃料流入量を減算することによって
実燃料噴射量を設定するようにしている(B11、B1
2)。ここで、トラップ量推定値が正確であればすなわ
ち真のトラップ量と一致していれば蒸発燃料流入量が正
確に演算されるので、キャニスタパージによって燃焼室
4に供給される蒸発燃料はフィードバック制御の外乱と
はならずフィードバック補正値cfbr、cfblにとくには影
響を与えない。この場合、ほかに大きな外乱がなければ
フィードバック補正値cfbr、cfblは中立値(すなわち
0)を中心にして若干変動するだけであり、したがって
平均フィードバック補正値cfbaveはほぼ中立値0とな
る。換言すれば、平均フィードバック補正値が0であれ
ば、トラップ量推定値は真のトラップ量に一致している
ことになる。
【0018】しかしながら、トラップ量推定値が真のト
ラップ量よりも大きいとこれに伴って蒸発燃料流入量演
算値が真値よりも大きくなり、したがって、実燃料噴射
量が適正値よりも小さくなるので燃焼室4に実際に供給
される燃料が必要とされる燃料量(要求燃料噴射量)よ
りも少なくなり、実空燃比がリーン化する。この場合、
このリーン化を是正するためにフィードバック補正値cf
br、cfblがリッチ方向に変化して0より大きくなり、こ
れに伴って平均フィードバック補正値cfbaveが0より大
きくなる。換言すれば、平均フィードバック補正値cfba
ve>0であれば、トラップ量推定値は真のトラップ量よ
りも大であるということになる。なお、上記したように
フィードバック補正値cfbr、cfblは変動するので、トラ
ップ量推定値が真のトラップ量より大であっても必ずし
もcfbr、cfbf>0になるとは限らず、したがって、cfb
r、cfbf>0であってもトラップ量推定値が真のトラッ
プ量よりも大であるとは限らない。したがって、フィー
ドバック補正値cfbr、cfblに基づいてトラップ量を推定
した場合は、その推定精度は非常に低くなるものと考え
られる。かかる事情に鑑み、本実施例では平均フィード
バック補正値に基づいてトラップ量を推定するようにし
たものである。
【0019】逆に、トラップ量推定値が真のトラップ量
よりも小さいとこれに伴って蒸発燃料流入量演算値が真
値よりせ小さくなり、したがって実燃料噴射量が適正値
よりも大きくなるので、燃焼室4に供給される燃料は必
要とされる燃料量よりも多くなり、実空燃比がリッチ化
する。この場合、このリッチ化を是正するためにフィー
ドバック補正値cfbr、cfblがリーン方向に変化して0よ
り小となり、これに伴って平均フィードバック補正値が
0より小となる。換言すれば、平均フィードバック補正
値cfbave>0であれば、トラップ量推定値が真のトラッ
プ量よりも小であるということになる。したがって、最
初にトラップ量推定値に適当な初期値を設定した上で、
平均フィードバック補正値cfbave>0であればトラップ
量推定値を所定の補正量σだけ減らし、平均フィードバ
ック補正値cfbave>0であればトラップ量推定値を補正
量σだけ増やすといった操作を繰り返せば、トラップ量
推定値はやがて真のトラップ量に収束(到達)し、トラ
ップ量が把握されることになる。かくして、平均フィー
ドバック補正値に基づいてトラップ量が推定される。こ
こで、トラップ量推定値が真のトラップ量にほぼ一致し
ているか否か、すなわちトラップ量の推定がほぼ完了し
ているか否かは、平均フィードバック補正値の絶対値が
所定の限界値ε以下であるか否かで判定するのが好まし
い。平均フィードバック補正値が非常に小さければ、ト
ラップ量推定値が真のトラップにほぼ一致していると考
えられるからである。
【0020】このトラップ量の推定手法においては、ト
ラップ量ないしは蒸発燃料パージ量と、フィードバック
補正値cfbr、cfblないしは平均フィードバック補正値と
の間に、前記のような相関性(相関関係)が成立してい
ることを前提としている。したがって、かかる相関性が
低い状況下あるいは相関性が存在しない状況下では、ト
ラップ量を高精度で推定することはできない。このた
め、上記相関性が低い状況下あるいは相関性が存在しな
い状況下では、トラップ量の推定を禁止するのが好まし
い。ここで、上記相関性が低い状況としては、後で説明
するように、例えば充填効率や吸気圧が非常に高いと
き、充填効率や吸気圧が非常に低いとき等があげられ
る。また、上記相関性が存在しない状況としては、例え
ばキャニスタバージが停止されているとき、空燃比のフ
ィードバック制御停止されているとき(オープンループ
制御時)等があげられる。なお、上記相関性が低い状況
あるいは相関性がない状況がいくつか重複して存在する
ときにのみトラップ量の推定を禁止するようにしてもよ
いのはもちろんである。また、このトラップ量の推定手
法においては、蒸発燃料流入量が正確に把握されていれ
ば、すなわちキャニスタパージによる蒸発燃料の供給が
左右のバンクBR、BLの気筒のフィードバック補正値
cfbr、cfblに対して影響を与えなければ、該フィードバ
ック補正値cfbr、cfblは中立値0を中心にして変動し、
したがって平均フィードバック補正値は中立値0になる
ということを前提としている。ところで、一般に、フィ
ードバック補正値cfbr、cfblが平均的には中立値0とな
るように、制御出力特性すなわち燃料噴射弁の噴射特性
を学習により自動的に補正してゆくといった空燃比学習
を行うようにしたエンジンが広く用いられているが、か
かる空燃比の学習機能を備えたエンジンでトラップ量を
推定する場合は、かかる空燃比学習が終了してからトラ
ップ量の推定を行うのが好ましい。けだし、空燃比学習
が終了していれば、キャニスタパージの影響がない場合
には、平均フィードバック補正値が確実に中立値0にな
るからである。
【0021】なお、このようにしてトラップ量の推定が
禁止されている期間がある程度以上継続されたときに
は、トラップ量推定値が真のトラップ量からずれている
おそれがあるので、すでにトラップ量の推定が完了して
いると判定されている場合でも該判定を撤回(リセッ
ト)するのが好ましい。上記補正量σが大きいときに
は、推定開始後においてトラップ量推定値の収束に要す
る時間、すなわちトラップ量を推定するのに要する時間
を短くすることができるものの、トラップ量推定値の精
度が低下する。他方、補正量σが小さいときには、トラ
ップ量推定値の収束に要する時間は長くなるものの、ト
ラップ量推定値の精度を高めることができる。したがっ
て、収束に要する時間に対する要求と、トラップ量推定
値の精度に対する要求とが両立するように、補正量σを
適切な値に設定するのが好ましい。なお、補正量σは一
定値とする必要はなく、トラップ量の推定中に変化させ
てもよい。例えば、トラップ量の推定の進行状況に応じ
て変化させ、あるいは平均フィードバック補正値の値に
応じて設定してもよい。例えば、トラップ量の推定開始
時には補正量σを大きくして収束を早め、トラップ量推
定値がある程度収束した後は補正量σを小さくしてトラ
ップ量推定値の精度を高めるようにしてもよい。また、
平均フィードバック補正値が大きいときほど補正量σを
大きくすれば、トラップ量推定値が真のトラップ量から
かけ離れているときには収束を早めることができ、他方
トラップ量推定値が真のトラップ量に近いときにはその
精度を高めることができる。
【0022】また、本実施形態においては左右のバンク
BR、BLごとに空燃比フィードバック補正値cfbr、cf
blを検出するようにしており、それぞれの値cfbr、cfbf
の比率から各バンクBR、BLへの蒸発燃料の分配率を
求めるようにしている。この分配率は上記の平均フィー
ドバック補正値に対応する手法で左右のバンクBR、B
Lのフィードバック補正値cfbr:cfbfの比を求め1より
大きい場合は左のバンクの分配率が多いと判定し、左の
バンクBLに対して所定量の分配率の補正量cを加え
る。このような手法でcfbr:cfbfの比が1に収束するよ
うに分配率の補正量cをいづれかに加算することによっ
て分配率を学習する。もちろん上記学習は、安定的な空
燃比フィードバック制御が行われている場合に行なう。
蒸発燃料パージ量演算ブロックSNは、基本的には、ト
ラップ量推定ブロックSMのステップS4で推定された
トラップ量推定値に基づいて蒸発燃料放出量を演算し、
さらにこの蒸発燃料放出量に基づいて蒸発燃料流入量を
演算し、この蒸発燃料流入量に相当する燃料噴射弁15
のパルス幅すなわちパージ補正パルス幅を演算し、この
パージ補正パルス幅をエンジン制御ブロックSLに出力
する。つまり、フィードフォワード制御(見込み制御)
により、タイムラグを生じさせることなく空燃比のずれ
を生じさせることなく空燃比制御に対するキャニスタパ
ージの影響を補償することになる。
【0023】より詳しくは、まずパージ通路28内にお
けるパージ制御弁29の前後差圧すなわちパージ制御弁
29の直上流側と直下流側との間の圧力差(以下、これ
をパージ制御弁前後差圧という)を演算する一方(B1
5)、パージ制御弁29に印加されている駆動デューテ
ィ比からパージ制御弁開度(B16)を演算し、続いて
パージ制御弁前後差圧とパージ制御弁開度とに基づいて
パージ空気量(キャニスタ脱気Air量)を演算する
(B17)。ここで、パージ制御弁前後差圧は、吸気充
填効率に基づいて演算されるようになっているが、この
ようにする理由はおよそ次のとおりである。すなわち、
吸気圧はよく知られた手法で充填効率から演算すること
ができ、かつパージ制御弁29の直下流側の圧力は吸気
圧とほぼ同一である。他方、パージ制御弁29の直上流
側の圧力は実質的に一定値(大気圧)とみなすことがで
きる。そして、パージ制御弁前後差圧はパージ制御弁2
9の直上流側の圧力と直下流側の圧力の差、すなわち大
気圧と吸気圧との差である。したがって、充填効率に所
定の演算処理を施すことによりパージ制御弁前後差圧を
得ることができることになる。このようにすれば、吸気
圧センサを設ける必要がなくなり、吸気系10が簡素化
できる。
【0024】なお、パージ制御弁29の直下流側の圧力
を吸気圧センサを用いて検出するようにしてもよいのは
もちろんである。また、パージ制御弁前後差圧を直接検
出する差圧センサを設けてもよい。パージ空気量は、パ
ージ制御弁前後差圧とパージ制御弁開度とに基づいて、
よく知られた手法で演算する。すなわち、一般に気体の
密閉通路に介設された機器の前後差圧△Pすなわち圧力
損失と、該機器を流通する気体の流速uとの間には、流
体力学の分野でよく知られていた一定の関数関係が成立
する(例えば、△P=k・u2)。したがって、前後差圧
に基づいて該機器内における気体の流速を演算すること
ができる。そして、この流速に該機器の流通断面積を乗
算すれば該流路を流れている気体の体積流量を得ること
ができる。したがって、かかる一般原理に鑑みれば、本
実施例においては、パージ制御弁開度からパージ制御弁
29の流通断面積を容易に求めることができるので、パ
ージ制御弁前後差圧とパージ制御弁開度(駆動デューテ
ィ比)とに基づいてパージ空気量(体積流量)を求める
ことができるわけである。
【0025】なお、パージ空気量を直接検出することが
できる流量検出センサを設け、該流量検出センサでパー
ジ空気量を検出するようにしてもよい。そして、B17
で演算されたパージ空気量と、トラップ量推定値とに基
づいて蒸発燃料放出量(パージガス質量流量すなわち蒸
発燃料の質量流量)を演算する(B18)。次に、エン
ジン回転数及びB18の蒸発燃料放出量とに基づいてパ
ージガス比率が演算される(B19)。ここで、パージ
ガス比率とは、キャニスタ25からパージ通路28に放
出された蒸発燃料が、必要とされる全燃料(要求燃料噴
射量(R)、(L))中に占める比率であって、蒸発燃
料の燃焼への寄与率をあらわしている。この後、コント
ロールユニットCUは、それぞれのバンクBR、BLに
ついて上記分配率を考慮して各バンクBR、BLのパー
ジ比率R、Lを算出する(B21、B22)。そして、
キャニスタ25から燃焼室4に至るパージ空気ないしは
蒸発燃料の経路(以下、これを蒸発燃料経路という)の
通過遅れ特性(吸入空気量モデル)を設定し(B22、
B23)、続いてパージガス比率と吸入空気量モデルと
に基づいて正味パージガス比率を演算する(B24、B
25)。この正味パージガス比率は、燃焼室4に流入す
る蒸発燃料が、必要とされる全燃料(要求燃料噴射量)
中に占める比率、すなわち蒸発燃料流入量が要求燃料噴
射量中に占める比率である。したがって、燃料噴射弁1
5から噴射すべき燃料量は、要求燃料噴射量に(1−正
味パージガス比率)を乗算したものとなる。
【0026】そして、正味パージガス比率(蒸発燃料流
入量)に相当する燃料噴射弁15のパルス幅すなわちパ
ージ補正パルス幅を演算し(B26、B27)、このパ
ージ補正パルス幅を、前記のエンジン制御ブロックSL
に入力して要求燃料噴射量R、Lから減算それぞれ減算
することによって各バンクBR、BLの気筒の最終的な
燃料噴射幅をそれぞれ決定し(B11、B12)、各バ
ンクBR、BLの気筒の燃料噴射弁への所定のパルス幅
の燃料噴射信号を出力する(B27、B28)。一方、
コントロールユニットCUは、所定の運転状態ではパー
ジ噴射弁のソレノイドに信号を出力して燃料タンクから
発生した蒸発燃料をパージする。このパージ蒸発燃料
は、正規の噴射燃料に付加されて燃焼室4に導入される
ことになる。なお上記の燃料噴射の結果として生じる排
気ガスについては各バンクBR、BLにO2 センサ9
a、9bが設けられており、これによって空燃比フィー
ドバック制御のパラメータとしてのO2 センサ出力信号
を得る(B31、B32)。この信号値に基づいて各バ
ンクBR、BLについての実際空燃比が算出され、目標
空燃比と比較される(B3、B4)。
【0027】以下、図3〜図10に示すフローチャート
に従って、適宜図1〜図2を参照しつつ、コントロール
ユニットCUによる各種制御の制御手法ないしは各種演
算の演算手法について説明する。まず、図3に示すフロ
ーチャート従って、該制御手法ないしは演算手法の全体
フローすなわちメインルーチンを説明する。このメイン
ルーチンにおいては、まずステップT1で初期化が行わ
れる。具体的には、トラップ量推定値trapと、空燃比学
習完了フラグxlrnd と、トラップ量推定完了フラグxtra
plrnと、トラップ量推定可能フラグxtlex とに夫々初期
値として0がセットされる。ここで、空燃比学習完了フ
ラグxlrnd は、空燃比学習が完了したときに1がたてら
れるフラグである。トラップ量推定完了フラグxtraplrn
は、トラップ量の推定が完了したときに1がたてられ、
トラップ量の推定の禁止が所定時間以上継続されたとき
に0にリセットされるフラグである。トラップ量推定可
能フラグxtlex は、トラップ量推定条件が成立したとき
に1がたてられ、上記トラップ量推定条件が不成立とな
ったときに0にリセットされるフラグである。
【0028】次に、ステップT2でエンジン回転数neが
演算され、続いてステップT3で充填効率ceが演算され
る。ここで、充填効率ceは、吸入空気量、エンジン回転
数ne、吸気温等に基づいてよく知られた手法で演算され
る。この後、ステップT4〜ステップT9が順に実行さ
れる。ここで、ステップT4〜T9は、夫々、後で説明
する各種サブルーチンを用いて実行される。具体的に
は、ステップT4では、図4にそのフローチャートが示
されているサブルーチンを用いて燃料噴射量の演算が行
われる。ステップT5では、図5にそのフローチャート
が示されているサブルーチンを用いてパージ実行判定が
行われる。ステップT6では、図6にそのフローチャー
トが示されているサブルーチンを用いてパージ量の演算
が行われる。ステップT7では、図7にそのフローチャ
ートが示されているサブルーチンを用いてトラップ量推
定の実行判定が行われる。ステップT8では、図8にそ
のフローチャートが示されているサブルーチンを用いて
蒸発燃料の分配率の演算が行われ、ステップT9では、
図9に示されているサブルーチンを用いてトラップ量の
演算が行われる。この後、ステップT2に復帰する。
【0029】以下、各サブルーチンについて具体的に説
明する。まず、図8に示すフローチャートにしたがって
適宜図1〜図2を参照しつつ、ステップT9に示される
各バンクBR、BLへのパージガスの分配率の学習につ
いて説明する。コントロールユニットCUは、ステップ
U1において、左右バンクBR、BLの平均フィードバ
ック補正値cfbrd 、cfbld を算出する。 cfbrd = α・cfbr+(1- α) ・cfbrd …………式1 cfbld = α・cfbl+(1- α) ・cfbld …………式2 ここでcfbrd :右バンクの平均フィードバック補正値 cfbld :左バンクの平均フィードバック補正値 α:重み係数 次にコントロールユニットCUは、ステップU2におい
て、パージガス比率の偏差dcpgを算出する。 dcpg=ce ・(cfbrd-cfbld)/2 …………式3 次にコントロールユニットCUは、図7のフローチャー
トに関連して後述する手順で得られる情報にもとづい
て、トラップ量の推定条件が成立したかどうかを判定す
る(ステップU3)。
【0030】次にコントロールユニットCUは、フィー
ドバック補正値cfbr、cfblが0であるかどうかを判定す
るすなわち、中立値であるかどうかを判定する(ステッ
プU4)。0である場合には、分配率cdisp は均一であ
るのでその後のステップの実行の必要はなくなる。この
判定がNOの場合には、コントロールユニットCUは、
分配率cdisp を算出する(ステップU5)。 cdisp=cdisp-β・dcpg/(cpgr+cpgl) …………式4 ここでdcpg:パージガス比率の偏差 cdisp :パージガス比率の各バンクへの分配率 β:分配率のフィードバックゲイン そしてコントロールユニットCUは、分配率cdisp が1
より大きい値となるときには、1とし、0より小さいあ
たいとなるときと0とする(ステップU6、78及び
9)。このようなステップU5〜ステップU9までをス
テップU4の判定がYESとなるまで反復する。このよ
うな操作を行なうことにより不適当な分配率cdisp は常
に更新されるため、分配率cdisp の最適化を行なうこと
ができる。
【0031】次に、図9に示すフローチャートに従って
適宜図1〜図2を参照しつつ、メインルーチンのステッ
プT9で実行(起動)されるトラップ量演算サブルーチ
ン、すなわちコントロールユニットCUによるトラップ
量の具体的な推定手法を説明する。このサブルーチンに
おいては、まずステップ#2で、所定のトラップ量推定
条件が成立しているか否か、すなわちエンジンCEの運
転状態がトラップ量を高精度で推定することが可能な状
態にあるか否かが判定される。ここでは、次の4つの条
件がすべて成立しているときにはトラップ量推定条件が
成立しているものと判定するようにしている。 (1)キャニスタパージが行われていること (2)空燃比のフィードバック制御が行われること (3)充填効率が所定値未満であること(図7中のステ
ップ#33参照) (4)空燃比学習が完了していること(図7中のステッ
プ#34参照) なお、上記(1)〜(4)に加えて、吸気圧が所定値以
下の時、トラップ量の推定が禁止できるように、吸気
圧、または吸気圧相当を求めることができる充填効率
が、上記(3)の所定値(上限値)より低い下限値(第
2の所定値)以上であることをトラップ量推定条件とし
ても良い。
【0032】換言すれば、キャニスタパージが停止され
ているとき、空燃比のフィードバック制御が停止されて
いるとき、充填効率が所定値以上であるとき、又は空燃
比学習が完了していないときには、トラップ量の推定を
禁止するようにしている。このようにする理由は、およ
そ次のとおりである。すなわち、前記したとおり、キャ
ニスタパージ又はフィードバック制御が停止されている
ときは、トラップ量とフィードバック補正値ないしは平
均フィードバック補正値との間に相関性が存在せず、し
たがってトラップ量を推定することができないのでトラ
ップ量の推定を禁止するようにしている。充填効率ない
し吸気圧が非常に高いときには、パージ制御弁前後差圧
が非常に小さくなるとともに吸気脈動が激しくなりフィ
ードバック補正値が変動し、このためパージ空気量を高
精度で演算することができなくなるので、トラップ量の
推定を禁止するようにしている。また、充填効率ないし
吸気圧が非常に低いときには、パージ制御弁前後差圧が
大きくなりすぎパージ空気量を高精度で演算することが
できなくなるので、トラップ量の推定を禁止するように
している。
【0033】さらに、空燃比学習が完了した後でトラッ
プ量の推定を行うようにしているのは、前記したとお
り、空燃比学習が完了した後はトラップ量の推定精度が
非常に高くなるからである。かくして、ステップ#2で
トラップ量推定条件が成立していると判定された場合は
(YES)、ステップ#3でトラップ量推定可能フラグ
xtlex に1がたてられるとともに、トラップ量推定禁止
カウンタctに初期値ct0 がセットされる。トラップ量推
定禁止カウンタctは、トラップ量推定条件が不成立とな
ってトラップ量の推定が禁止されている期間(時間)を
カウントするためのカウンタである。続いて、ステップ
#4で、平均フィードバック補正値cfbave(cfbave=(cf
br+cfbf)/2 が演算されるとともに、平均フィードバッ
ク補正値cfbaveの演算回数をカウントするための演算回
数カウンタPが1だけインクリメントされる(P=P+
1)。すなわち、リニアO2 センサ9a、9bを用いた
このエンジンでは、一定時間毎のフィードバック補正値
の相加平均値が平均フィードバック補正値cfbaveとされ
ている。次に、ステップ#5で演算回数カウンタPが所
定の設定値P0 以上であるか否かが判定され、P>P0
であると判定された場合は(NO)、以下の全ステップ
をスキップし、すなわちトラップ量の推定を行わずにス
テップ#2に復帰する。このトラップ量演算サブルーチ
ンでは、演算回数カウンタPのカウント値が設定値P0
未満の場合は、平均フィードバック補正値cfbaveがまだ
十分には安定していないものと考えられるので(フィー
ドバック補正値cfb の変動の影響が残っている)トラッ
プ量の推定を行わないようにしている。
【0034】他方、ステップ#5でP≧P0 であると判
定された場合は(YES)、ステップ#6で平均フィー
ドバック補正値cfbaveの絶対値|cfbave|が所定の限界
値ε以上であるか否かが判定される。ここでは|cfbave
|<εであればトラップ量の推定が完了しているものと
判定し、この場合はトラップ量推定値が眞のトラップ量
とほぼ一致しているものと考えられるので、この現時点
におけるトラップ量推定値trapを変化させずにそのまま
保持するようにしている。例えば、図10に模式的に示
すように、眞のトラップ量がa2 である場合、トラップ
量推定値trapがa1 〜a3 の範囲内に入ったときにトラ
ップ量の推定が完了しているものと判定されることにな
る。なお、図10においてグラフG1 は|cfbave|をあ
らわしている。また、trap>a2 の範囲内ではcfbave>
0であり、trap<a2 の範囲内ではcfbave<0である。
他方、|cfbave|≧εであれば平均フィードバック補正
値cfbaveが0以下であるか又は0より大きいかに応じて
トラップ量推定値trapを補正量σだけ増加又は減少さ
せ、トラップ量推定値trapを眞のトラップ量に近付ける
ようにしている。
【0035】なお、補正量σの設定方法は前に説明した
とおりである。具体的には、ステップ#6で|cfbave|
<εであると判定された場合は(NO)、ステップ#1
0でトラップ量推定完了フラグxtraplrnに1がたてられ
る。他方、ステップ#6で|cfbave|≧εであると判定
された場合は(YES)、ステップ#7でcfbaveが0以
下であるか否かが判定される。ここで、cfbave≦0であ
ると判定された場合は(YES)ステップ#8でトラッ
プ量推定値trapが補正量σだけ増やされ(trap=trap+
σ)、他方cfbave>0であると判定された場合は(N
O)ステップ#9でトラップ量推定値trapが補正σだけ
減らされる(trap=trap−σ)。ところで、前記のステ
ップ#2でトラップ量推定条件が成立していないと判定
された場合は(NO)、ステップ#11でトラップ量推
定禁止カウンタctが1だけデクリメントされてトラップ
量の推定が禁止されている期間(時間)のカウントが開
始されるとともに(ct=ct−1)、演算回数カウンタP
が0にリセットされる(P=0)。次に、ステップ#1
2でトラップ量推定禁止カウンタctが0以下であるか否
か、すなわちトラップ量の推定が禁止された後所定期間
ct0 が経過したか否かが判定され、ct≦0であると判定
された場合は(YES)、すでにct0 を経過しているの
でステップ#13でトラップ量推定完了フラグxtraplrn
が0にリセットされる。この場合は、前記したとおり、
トラップ量推定値trapが眞のトラップ量からずれている
おそれがあるので、トラップ量推定完了フラグxtraplrn
をリセットするようにしている。他方、ステップ#12
でct>0であると判定された場合は(NO)、またct0
を経過していないのでステップ#13をスキップする。
【0036】図11に、かかるトラップ量推定ルーチン
が実行された場合において、時刻t 1 でキャニスタパー
ジが開始されたときの、パージ制御弁29に印加される
駆動デューティ比dpg (グラフG2)、フィードバック補
正値cfb (グラフG3)、平均フィードバック補正値cfba
ve(グラフG4)及びトラップ量推定値trap(グラフ
5 )の経時変化の一例を示す。図11から明らかなと
おり、トラップ量推定値trapは時刻t1 から推定が開始
され、まもなく一定値に収束している。このようにし
て、トラップ量が高精度で推定される。ところで、コン
トロールユニットCUが空燃比の学習機能を備えている
場合は、前に説明したとおり、空燃比学習が終了した後
でトラップ量の推定を行うのが好ましい。なお、空燃比
学習が終了した後でトラップ量の推定を行う場合の利点
は前に説明したとおりである。以下、図7に示すフロー
チャートに従って、適宜図1〜図2を参照しつつ、メイ
ンルーチンのステップT7で実行(起動)されるトラッ
プ量推定実行判定サブルーチン、すなわち空燃比の学習
機能を備えている場合の好ましいトラップ量の推定手法
を説明する。
【0037】このサブルーチンでは、基本的にはアイド
ル時において所定の空燃比学習条件が成立しているとき
に空燃比学習を行う一方、該空燃比学習が終了した後に
おいて所定のトラップ量推定条件が成立しているときに
トラップ量の推定を行うようにしている。具体的には、
図7に示すように、まずステップ#22でアイドル判定
フラグxidlが1であるか否かが判定される。アイドル判
定フラグxidlは、演算回数CEがアイドル状態にあると
きには1がたてられ、非アイドル状態にあるときには0
にリセットされるフラグである。ここで、xidl=1であ
ると判定された場合は(YES)、ステップ#23〜ス
テップ#29の空燃比学習を行うためのアイドル時用ル
ーチンが実行される。他方、xidl≠1(xidl=0)であ
ると判定された場合は(NO)、ステップ#30で空燃
比学習実行カウンタclrnとアイドル継続時間カウンタti
dlとが夫々0にリセットされた後、後で説明するステッ
プ#31が実行されることになる。アイドル時用ルーチ
ンが実行される場合は、まずステップ#23とステップ
#24とで、順に、空燃比フィードバック制御実行フラ
グxfb が1であるか否かと、アイドル継続時間カウンタ
tidlが所定値αを超えているか否かとが判定される。こ
こで、空燃比フィードバック制御実行フラグxfb は空燃
比のフィードバック制御が行われているときには1がた
てられ、フィードバック制御が行われていないとき(オ
ープンルーブ制御時)には0にリセットされるフラグで
ある。また、アイドル継続時間カウンタtidlは、アイド
ル時におけるアイドル運転開始後の経過時間をカウント
するためのカウンタである。
【0038】このトラップ量推定実行判定サブルーチン
では、アイドル時における空燃比のフィードバック制御
時において、アイドル運転継続時間が所定期間α以下の
場合は、エンジンCEが安定したアイドル状態に達して
いないものと考えられるので、空燃比学習を行わないよ
うにしている。かくして、ステップ#23でxfb ≠1
(xfb =0)であると判定された場合は(NO)、空燃
比学習を行うことができないので、ステップ#24〜ス
テップ#29は実行されず、前記のステップ#30で空
燃比学習実行カウンタclrnとアイドル継続時間カウンタ
tidlとが夫々0にリセットされた後、ステップ#31が
実行される。また、ステップ#23でxfb =1である判
定された場合(YES)、すなわちフィードバック制御
時であっても、ステップ#24でtidl≦αであると判定
された場合は(NO)、やはり空燃比学習を行うことが
できないので、ステップ#28で、アイドル継続時間カ
ウンタtidlが1だけインクリメントされた後(tidl=ti
dl+1)、ステップ#31が実行される。他方、ステッ
プ#24でtidl>αであると判定された場合は(YE
S)、ステップ#25で空燃比学習実行カウンタclrnが
所定値β未満であるか否かが判定される。空燃比学習実
行カウンタclrnは、アイドル運転開始後において空燃比
学習が実行された回数カウントするためのカウンタであ
る。ここでは、空燃比学習の実行回数が所定値β以上と
なったときに空燃比学習が終了しているものと判定する
ようにしている。
【0039】かくして、ステップ#25でclrn<βであ
ると判定された場合は(YES)、まだ空燃比学習が終
了していないのでステップ#26で空燃比学習が継続さ
れ、続いてステップ#27で空燃比学習実行カウンタcl
rnが1だけインクリメントされ(clrn=clrn+1)、こ
の後ステップ#31が実行される。なお、空燃比学習
は、空燃比偏差が0のときにはフィードバック補正値cf
b が平均的には中立値0となるように、燃料噴射弁15
の噴射特性を変化させるなどといった普通の手法で行わ
れる。他方、ステップ#25でclrn≠βであると判定さ
れた場合は(NO)、空燃比学習が終了しているのでス
テップ#29で空燃比学習完了フラグxlrnd に1がたて
られ、この後ステップ#31が実行される。かくして、
ステップ#31〜ステップ#34では、トラップ推定条
件が成立しているか否かが判定される。ここでは、次の
4つの条件がすべて成立しているときには、トラップ量
推定条件が成立しているものと判定し、これらのうちの
いずれか1つでも不成立であればトラップ量推定条件が
不成立であると判定するようにしている。
【0040】 (1)キャニスタパージが行われていること (2)空燃比のフィードバック制御が行われていること (3)充填効率(または吸気圧)が所定値未満であるこ
と (4)空燃比学習が完了(終了)していること これらの4つの条件(1)〜(4)を設ける理由は、図
8にフローチャートを示している前記のトラップ量演算
サブルーチンのステップ#2の場合と同様である。な
お、上記(1)〜(4)に加えて、吸気圧が所定値以下
の時、トラップ量の推定が禁止できるように、吸気圧、
または吸気圧相当を求めることができる充填効率が、上
記(3)の所定値(上限値)より低い下限値(第2の所
定値)以上であることをトラップ量推定条件としても良
い。具体的には、ステップ#31〜ステップ#34の4
つのステップで、順に、パージ実行フラグxpg が1であ
るか否かすなわちキャニスタパージが行われているか否
かと、空燃比フィードバック制御実行フラグxfb が1で
あるか否かすなわち空燃比のフィードバック制御が行わ
れているか否かと、充填効率csが所定値γ未満であるか
否かと、空燃比学習完了フラグxlrnd が1であるか否か
すなわち空燃比学習が終了しているか否かとが判定され
る。
【0041】ここで、xpg =1であり、xfb =1であ
り、ce<γであり、かつxlrnd =1であると判定された
場合(ステップ#31〜ステップ#34がすべてYE
S)、すなわちトラップ量推定条件が成立していると判
定された場合は、ステップ#35でトラップ量が判定さ
れる。なお、トラップ量の具体的な推定方法は、図2に
関連して説明した通りである。他方、xpg =0である
か、xfb =0であるか、ce≠γであるか、又はxlrnd =
0であると判定された場合は(ステップ#31〜ステッ
プ#34のいずれか1つがNO)、トラップ量推定条件
が成立していないので、ステップ#35をスキップす
る。このようにして、図7にフローチャートを示すこの
トラップ量推定手法によれば、空燃比学習が終了した後
でトラップ量が推定されるので、トラップ量の推定精度
が大幅に高められる。以下、図4に示すフローチャート
に従って、適宜図1〜図2を参照しつつ、メインルーチ
ンのステップT4で実行(起動)される燃料噴射量演算
サブルーチン、すなわちコントロールユニットCUによ
るパージガス比率(蒸発燃料放出量)及び正味パージガ
ス比率(蒸発燃料流入量)の演算手法と、空燃比制御
(燃料噴射量制御)の制御手法とについて具体的に説明
する。
【0042】この燃料噴射量演算サブルーチンでは、ス
テップ#41〜ステップ#47が順に実行される。ステ
ップ#41では、パージ制御弁前後差圧テーブルtable
1を検索することにより、吸気充填効率ceに基づいてパ
ージ制御弁前後差圧dpが演算される。ここでsipol(tabl
e 1, ce)は、ceを独立変数としdpを従属変数とする所定
の関数関係をあらわすtable 1 において、あるceに対応
するdpを意味する。パージ制御弁前後差圧テーブルtabl
e 1 は、吸気充填効率ceとパージ制御弁前後差圧dpとの
間の関数関係をあらわすテーブルである。吸気充填効率
ceに基づいてパージ制御弁前後差圧dpを演算することが
できる所以は前に説明したとおりである。なお、パージ
制御弁前後差圧dpを、このようなテーブル検索によるの
ではなく、ceとdpの関係をあらわす関数f1 (ce)を用
いて直接的に演算するようにしてもよい(dp=f1 (c
e))。ステップ#42では、パージ空気量マップmap 1
を検索することにより、パージ制御弁前後差圧dpとパ
ージ制御弁29に印加される駆動デューティ比dpg とに
基づいてパージ空気量qpg が演算される。ここでsmap
(map 1 ,dpg ,dp)は、dpg 及びdpを独立変数とし、
qpg を従属変数とする所定の関数関係をあらわすmap 1
において、あるdpg 及びdpに対応するqpg を意味する。
パージ空気量map 1は、駆動デューティ比dpg 、パージ
制御弁前後差圧dp及びパージ空気量qpg の相互間の関数
関係をあらわすマップである。駆動デューティ比dpg と
パージ制御弁前後差圧dpとに基づいてパージ空気量qpg
を演算することができる所以は前に説明したとおりであ
る。
【0043】なお、パージ空気量qpg を、このようなマ
ップ検索によるのではなく、dpg 、dp及びqpg の相互関
係をあらわす関数f2 (dpg ,dp)を用いて直接的に演
算するようにしてもよい(qpg =f2 (dpg ,dp))。
ステップ#43では、蒸発燃料放出量マップmap 2を検
索することより、パージ空気量qpg とトラップ量trapと
に基づいて蒸発燃料放出量gpg が演算される。ここでsm
ap(map 2 ,qpg ,trap)は、qpg 及びtrapを独立変数
としgpg を従属変数とする所定の関数関係をあらわすma
p 2 において、あるqpg 及びtrapに対応するgpg を意味
する。パージ空気量map 2 は、パージ空気量qpg 、トラ
ップ量trap及び蒸発燃料放出量gpg の相互間の関数関係
をあらわすマップである。図12に、蒸発燃料放出量gp
g の、パージ空気量qpg 及びトラップ量trapに対する依
存特性の一例を示す。蒸発燃料放出量マップmap 3 は、
例えば、図12に示すような関数関係をマップ化したも
のである。なお、蒸発燃料放出量gpg を、このようなマ
ップ検索によるのではなく、qpg、trap及びgpg の相互
関係をあらわす関数f3 (gpg ,trap)を用いて直接的
に演算するようにしてもよい(gpg =f3 (qpg ,tra
p))。
【0044】ステップ#44では、次の式1によりパー
ジガス比率cpgoが演算される。 cpgo=YS ・120/(γ0 ・VC )・gpg /ne ・・・・・・・・・・・・・ 式5 cpgo:パージガス比率 YS :吸入空気量を燃料噴射量に換算するための換算係
数 γ0 :密度 VC :シリンダ有効容積 gpg :蒸発燃料放出量 ne :エンジン回転数 [r.p.m.] なお、式5において、120/(γ0 ・VC ・ne)は、
単位時間(秒)当たりの燃焼室4への吸入空気量(質量
流量)の逆数であり、したがってこれに換算係数YS
乗算したYS ・120/(γ0 ・VC ・ne)は単位時間
あたりの要求燃料噴射量の逆数である。したがって、パ
ージガス比率cpgoは、蒸発燃料放出量を要求燃料噴射量
で除算した値、すなわち蒸発燃料放出量の全燃料流量に
対する比率である。つぎにコントロールユニットCU
は、ステップ#45では、各バンクBR、BLへの分配
率cdisp に基づいてパージガス比率cpg0r 、cpg0l を算
出する。
【0045】 cpg0r =cpgo・2・cdisp ・・・・・・・・・・・・・ 式6 cpg0l =cpgo・2・(1−cdisp )・・・・・・・・・・・・・ 式7 cpg0r :右バンクのパージガス比率 cpg0l :左バンクのパージガス比率 cdisp :各バンクBR、BLへの分配率 つぎにコントロールユニットCUは、ステップ#46で
は、各バンクBR、BLへの分配率cdisp に基づいて正
味パージガス比率cpgr、cpglを算出する。 cpgr=λ・cpgr・(1−λ)・cpg0r ・・・・・・・・・・・・・ 式8 cpgl=λ・cpgl・(1−λ)・cpg0l ・・・・・・・・・・・・・ 式9 cpgr:右バンクの正味パージガス比率 cpgl:左バンクの正味パージガス比率 λ:一次フィルター係数(0<λ<1) この式8、9は、各バンクBR、BLへの蒸発燃料経路
の通過遅れ特性をあらわすモデル式である。エンジンC
Eの吸気系10及びパージ通路28の形状に応じて1次
フィルタ係数λを設定することにより、これらの式8、
9を用いて各バンクの正味パージガス比率cpgr、cpglを
設定することができる。
【0046】次にコントロールユニットCUは、ステッ
プ#47において、次の式10、11により燃料噴射弁
15から実際に噴射すべき燃料噴射量を演算する。 tar =K・(ce ・ctotalr-cpgr)・・・・・・・・・・・・・ 式10 tal =K・(ce ・ctotall-cpgl)・・・・・・・・・・・・・・ 式11 tar :右バンクの気筒の燃料噴射パルス幅 tal :左バンクの気筒の燃料噴射パルス幅 K:換算係数 ce: 吸気充填効率 ctotalr:右バンク用補正係数 ctotall:左バンク用補正係数 これによって、パージガス比率に基づく燃料噴射量を正
規の燃料噴射量から差し引く操作を行い、各バンクB
R、BLについてパージガス導入を考慮した必要な燃料
噴射パルス幅tar 、tal を決定することができる。次に
ステップ#48では、ステップ#47で演算された実パ
ルス幅tar 、talで燃料噴射弁15から燃料が噴射さ
れ、この後ステップ#41に復帰する。このようにして
燃焼室4には、キャニスタパージを行っているときで
も、運転状態に応じて必要とされる量の燃料が正確に供
給され、空燃比制御(燃料噴射量制御)の制御精度が高
められ、実空燃比が目標値に保持される。この場合、運
転状態に応じて要求燃料噴射量を決定するプロセスすな
わち空燃比制御本体はフィードバック制御であるが、要
求燃料噴射量から蒸発燃料流入量を差し引いてキャニス
タパージによる影響を排除するプロセスはフィードフォ
ワード制御である。したがって、正味パージガス比率な
いしは蒸発燃料流入量の演算にはタイムラグを伴わな
い。このため、キャニスタパージに起因する実空燃比の
目標値に対するずれは生じない。
【0047】このように、エンジンCEにおいては、ト
ラップ量を推定し、該トラップ量に基づいて蒸発燃料流
入量(正味パージガス比率)を正確に演算し、要求燃料
噴射量から蒸発燃料流入量を差し引いて実燃料噴射量を
設定するようにしているので、キャニスタパージによっ
て吸気系10ないしは燃焼室4に流入する蒸発燃料が空
燃比のフィードバック制御の外乱とはならない。このた
め、トラップ量の推定が完了しているときにはキャニス
タパージによっては空燃比の目標値に対するずれは生じ
ない。しかしながら、トラップ量の推定が完了していな
いときすなわちトラップ量推定完了フラグxtraplrnが0
であるときには、正味パージガス比率ないしは蒸発燃料
流入量が正確には把握されない。したがって、トラップ
量の推定が完了していないときには、キャニスタパージ
を規制するのが好ましい。かかるキャニスタパージの具
体的な規制方法としては、例えば次のようなものが考え
られる。すなわち、トラップ量の推定が完了するまで
は、キャニスタパージを禁止し、あるいはパージ速度
(パージ空気量)を小さくするようにしてもよい。な
お、キャニスタパージを禁止する場合は、該禁止をアイ
ドル時のみとしてもよい。
【0048】また、パージ制御弁29が閉状態から開状
態に変化してキャニスタパージが開始される際には、燃
焼室4への燃料供給特性の急変を防止するために、パー
ジ制御弁29の駆動デューティ比(パージ空気量)を、
運転状態に応じて設定される目標駆動デューティ比まで
一挙に増加させるのではなく、徐々に増加させるのが好
ましい。かかるキャニスタパージの具体的な規制方法と
しては、例えば次のようなものが考えられる。そして、
このように駆動デューティ比を目標駆動デューティ比に
達するまで徐々に増加させるようにした場合において、
トラップ量の推定が完了していないときにはキャニスタ
パージ開始時における駆動デューティ比の増加速度を小
さくするのが好ましい。つまり、トラップ量の推定が完
了しているときには駆動デューティ比の増加速度を大き
くし、トラップ量の推定が完了していないときには駆動
デューティ比の増加速度を小さくすることになる。以
下、図6に示すフローチャートに従って、適宜図1〜図
2を参照しつつ、メインルーチンのステップT6で実行
(起動)されるパージ量演算サブルーチン、すなわちキ
ャニスタパージ開始時に駆動デューティ比を徐々に増加
させるようにした場合における、駆動デューティ比の増
加速度の制御方法を説明する。
【0049】このパージ量演算サブルーチンでは、まず
ステップ#51で、パージ実行フラグxpg 1 であるか否
かが判定され、xpg ≠1(xpg =0)であれば(N
O)、ステップ#52でパージ補正値cmodが0とされ
る。パージ補正値cmodは、キャニスタパージが開始され
る際に、エンジンCEの運転状態に応じて設定された目
標駆動デューティ比を補正するための0以上1以下の補
正値であって、目標駆動デューティ比とパージ補正値cm
odの積がパージ制御弁29に実際に印加される駆動デュ
ーティ比dpg となる。そして、パージ補正値cmodは、キ
ャニスタパージ開始前は0とされ、キャニスタパージ開
始後は増分SPで徐々に増やされ、したがって、パージ
空気量が徐々に増やされる。そして、パージ補正値cmod
が1に達した後は、1に保持される。なお、パージ補正
値cmodが0である場合は目標駆動デューティ比の値にか
かわらずキャニスタパージが停止され、パージ補正値cm
odが1である場合は目標駆動デューティ比がそのままパ
ージ制御弁29に印加されることになる。他方、ステッ
プ#51で、xpg =1であると判定された場合は(YE
S)、ステップ#53でパージ補正値cmodが1であるか
否かが判定される。ここで、cmod≠1(すなわち、cmod
<1)であると判定された場合は(NO)、キャニスタ
パージ開始後においてパージ補正値cmodを徐々に増加さ
せるべき状態にあるので、ステップ#54〜ステップ#
57で、トラップ量の推定が完了しているか否かを考慮
して、パージ補正値cmodが徐々に増やされる。
【0050】具体的には、ステップ#54で、トラップ
量推定完了フラグxtraplrnが1であるか否か、すなわち
トラップ量の推定が完了しているか否かが判定される。
ここで、xtraplrn=1であると判定された場合は(YE
S)、ステップ#55で増分SPが比較的大きい値KM
1とされ、この後ステップ#57が実行される。この場
合は、トラップ量の推定が完了しているので、正味パー
ジガス比率ないしは蒸発燃料流入量を正確に演算するこ
とができる。したがって、フィードフォワード制御でキ
ャニスタパージの影響を確実に補償することができる。
すなわち、ある程度急激にキャニスタパージを開始して
も、その影響は十分に補償され、空燃比制御に乱れを生
じさせない。そこで、増分SPを大きくして、すなわち
パージ補正値cmodの増加速度を大きくして、早期に目標
駆動デューティ比でキャニスタパージを行うようにして
いる。この場合、実際にパージ制御弁29に印加される
駆動デューティ比dpg の時間に対する変化特性は、例え
ば、図13中のグラフL1 のようになる。なお、図13
中において、グラフL1 ,L2 が時間軸と平行になって
いる部分は、目標駆動デューティ比をあらわしている。
【0051】他方、ステップ#54でxtraplrn≠1(xt
raplrn=0)であると判定された場合は(NO)、ステ
ップ#56で増分SPが比較的小さい値KM2(KM2
<KM1)とされ、この後ステップ#57が実行され
る。この場合は、トラップ量の推定がまだ完了していな
いので、正味パージガス比率ないしは蒸発燃料流入量を
正確に演算することができない。したがって、フィード
フォワード機能が十分にははたらかないので、急激にキ
ャニスタパージを開始すると、その影響が十分に補償さ
れず、空燃比制御に乱れを生じる。そこで、増分SPを
小さくして、すなわちパージ補正値cmodの増加速度を小
さくするようにしている。この場合、実際にパージ制御
弁29に印加される駆動デューティ比dpg の時間に対す
る変化特性は、例えば図19中のグラフL2 のようにな
る。ステップ#57では、前回のパージ補正値cmodにS
Pを加算して今回のパージ補正値cmodが演算される。な
お、加算の結果今回のパージ補正値cmodが1を超える場
合には1にとどめられる。ここで、addclip(cmod, SP,
1)は、cmodにSPを加算するが上限値を1とするといっ
た演算処理をあらわしている。このようにして、パージ
補正値cmodが徐々に増やされる。
【0052】次に、ステップ#58で、次の式12によ
りパージ制御弁29に実際に印加すべき駆動デューティ
比dpg が演算される。 dpg =cmod・smap(map 3, ne, ce) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式12 dpg :駆動デューティ比 cmod:パージ補正値 smap(map 3, ne, ce):目標駆動デューティ比 ne:エンジン回転数 ce:吸気充填効率 なお、式12においてsmap(map 3, ne, ce) は、ne及び
ceを独立変数としdpgを従属変数とする所定の関数関係
をあらわすデューティ比map 3 において、あるne及びce
に対応するdpg を意味する。デューティ比map 3 は、エ
ンジン回転数ne、吸気充填効率ce及び駆動デューティ比
dpg の相互間の関数関係をあらわすマップである。この
ようにして、キャニスタパージが開始される際には、駆
動デューティ比dpg すなわちパージ空気量が徐々に増や
される。
【0053】ところで、前記のステップ#53でcmod=
1であると判定された場合は(YES)、キャニスタパ
ージ開始後においてcmodがすでに1に達していることに
なるので、ステップ#54〜ステップ#57をスキップ
して、ステップ#58でパージ補正値cmodを1として駆
動デューティ比dpg が演算される。以下、図5に示すフ
ローチャートに従って、適宜図1〜図2を参照しつつ、
メインルーチンのステップT5で実行(起動)されるパ
ージ実行判定サブルーチンについて説明する。このパー
ジ実行判定サブルーチンでは、まずステップ#61でパ
ージ実行可であるか否かが判定され、パージ実行可でな
ければ(NO)、ステップ#66でパージ実行フラグxp
g に0がセットされる。この後、ステップ#61に復帰
する。なお、ここでは水温が80℃以上である場合にお
いて、エンジンCEの運転状態がフィードバックゾーン
又はエンリッチゾーンにあるときには、パージ実行可と
されている。他方、ステップ#61でパージ実行可であ
ると判定された場合は(YES)、ステップ#62でア
イドル判定フラグxidlが1であるか否か、すなわちアイ
ドル時であるか否かが判定され、xidl≠1(xidl=0)
であれば(NO)、すなわちアイドル時でなければ、ス
テップ#65でパージ実行フラグxpg に1がセットされ
る。
【0054】ステップ#62で、xidl=1であると判定
された場合は(YES)、ステップ#63とステップ#
64とで、夫々、空燃比学習完了フラグxlrnd が1であ
るか否かと、トラップ量推定完了フラグxtraplrnが1で
あるか否かとが判定される。ここでは、アイドル時にお
いて、xlrnd =1でありかつxtraplrn=1である場合、
すなわち空燃比学習が完了しておりかつトラップ量推定
が完了している場合にのみ、パージ実行を許可するよう
にしている(パージ実行フラグxpg に1セットする)。
かくして、ステップ#63とステップ#64とで、xlrn
d =1でありかつxtraplrn=1であると判定された場合
は、ステップ#65でパージ実行フラグxpg に1がセッ
トされる。他方、xlrnd とxtraplrnのうちの少なくとも
一方が0であれば、ステップ#66でパージ実行フラグ
xpg に0がセットされる。このようにして、アイドル時
においても、空燃比制御に乱れを生じさせずに、すなわ
ち空燃比の目標値に対するずれを生じさせずにキャニス
タパージを行うことができる。前記の実施例では、トラ
ップ量を平均フィードバック補正値に基づいて推定する
ようにしているが、トラップ量を直接検出するトラップ
量検出センサを設け、このトラップ量検出センサによっ
て検出されたトラップ量に基づいて蒸発燃料放出量(パ
ージガス比率)ないしは蒸発燃料流入量(正味パージガ
ス比率)を演算するようにしてもよい。
【0055】この場合、トラップ量検出センサとして
は、キャニスタ25内の吸着材の静電容量に基づいてト
ラップ量を検出するもの、あるいはHCセンサ等をもち
いることが可能である。次に図14を参照して上記の本
発明の蒸発燃料制御をおこなった場合の各種の変数の変
化について説明する。図14(a) は、駆動デューティ比
の変化を示している。図示の例では、デューティ比は0
または100%の値をとるものとして描かれている。実
際には、上記したように運転条件に応じて任意に設定で
き、これに応じてパージバルブの開度も任意に制御でき
るようになっている。図14(b) は、左右のバンクB
R、BLの空燃比フィードバック補正値cfbr、cfblの変
化を示している。図14(c) はトラップ量推定値の変化
を示している。図14(d) は、左右のバンクBR、BL
のパージガス比率の分配率の変化を示している。図14
(e) は、左右のバンクBR、BLのパージガス比率の変
化を示している。さらに図14(f) は、左右のバンクB
R、BLの気筒の燃料噴射パルス幅の変化を示してい
る。まず、本実施形態においては、蒸発燃料のパージ制
御が行われる前提として、上記したように燃料の空燃比
フィードバックが行われており、フィードバック補正値
cfbr、cfblが各バンクBR、BLの気筒について設定さ
れている。そして、このときのフィードバック制御は安
定しており、左右のバンクBR、BLの気筒のフィード
バック補正値cfbr、cfblは略同じ値となっている(図1
4(b) 参照)。 このとき、時刻T1において、蒸発燃
料のパージ条件が整いパージ制御弁29が開かれてパー
ジが開始される。このとき、駆動デューティ比は0から
100に設定される。これによって燃焼室4には、正規
の燃料噴射による燃料に加えて蒸発燃料のパージ分が導
入されて燃焼に供することとなる。
【0056】これによって混合気はリッチ化するが、こ
のことがO2 センサ9a、9bが排気ガス中の酸素量に
感応することによって各バンクBR、BLのそれぞれに
ついて検出される。この結果、混合気のリーン化を促す
ために空燃比フィードバック補正値cfbr、cfblは低下す
る(図14(b) 参照)。これと同時に、パージガス比率
の演算が開始され、上記したように徐々にパージ分を噴
射燃料に換算してパルス幅を修正する制御が行われる
(図14(e) 及び(f) 参照)。この場合、本実施形態に
おいては、各バンクBR、BLごとに空燃比フィードバ
ック補正値cfbr、cfblをおこなっており、本例では、右
バンクBRの空燃比が左バンクBL側の気筒よりも速い
時間で回復している(図14(b) の特性線cfbr、cfbl参
照)。このことは、空燃比フィードバック制御の外乱と
している蒸発燃料のパージが右バンクBRの方が影響が
少なく、左バンクBLの方が影響が大きいことを示して
いる。すなわち、左バンクBLの方が右バンクBR側よ
り多量のパージ成分が導入されるため、左バンクBLの
気筒の空燃比フィードバック補正値cfblの値は長期にわ
たって小さい値を保持してリーン化を促している。
【0057】この間に上記した手順によって分配率cdis
p 及びトラップ量trapの学習が行なわれるので燃料噴射
パルス幅は徐々に減少され、これによって空燃比フィー
ドバック補正値cfbr、cfblも変動がすくなくなって時刻
T2にいたるまでには再び安定状態にもどる。すなわち
左右のバンクBR、BLの空燃比フィードバック補正値
cfbr、cfblは等しくなる。これは分配率とともにパージ
ガス比率が左右のバンクBR、BLについて正確に決定
されたことによる。本例では、次に時刻T2において、
駆動デューティ比が0になってパージ制御弁が閉となる
と、パージガス比率は0となり、燃料噴射パルス幅は、
正規の噴射幅に戻される。このとき、T1からT2の間
に学習された分配率cdisp とトラップ量推定値trapは記
憶されて保持される(図14(b) 及び(c) 参照)。そし
て、時刻T3で再び駆動デューティ比が0から100と
されてパージ制御弁29が開となって蒸発燃料が導入さ
れはじめると、再び、上記の記憶された分配率cdisp 及
びトラップ量推定値trapを用いてパージガス比率cpgr、
cpglが左右のバンクについて与えられ、その分左右のバ
ンクBR、BLの気筒の燃料噴射パルス幅tar 、tal が
減少される。この場合には、新たに学習することなく即
座に演算によって正規の燃料噴射パルス幅から差し引か
れるので空燃比フィードバック制御に影響はでない。し
たがって、空燃比フィードバック補正値cfbr、cfblの変
動は生じない(図14(b) 参照)。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、キャニス
タへのトラップ量の学習だけでなく多気筒エンジンの気
筒毎あるいは気筒群毎にパージ燃料の分配率を学習する
ので、各気筒に導入されるパージ燃料量を正確に把握す
ることができるので空燃比フィードバック制御に影響を
与えることはない。すなわち、本発明によれば、蒸発燃
料成分のパージ制御に実行・停止に関わらず適正な燃料
噴射制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用することができる多気筒エンジン
の概略構成図、
【図2】本発明にかかる空燃比フィードバック制御と蒸
発燃料制御とを行なうためのコントロールユニットCU
の機能を示すブロック図、
【図3】本発明にかかる燃料制御をコントロールユニッ
トCUによって実行する場合のメインルーチンのフロー
チャート、
【図4】図3のメインルーチンで使用される燃料噴射を
行なうためのサブルーチンのフロチャート、
【図5】図3のメインルーチンで使用されるパージ制御
が実行可能かどうかを判断するためのサブルーチンのフ
ローチャート、
【図6】図3のメインルーチンにおいてパージ量を設定
するためのサブルーチンのフローチャート、
【図7】図3のメインルーチンにおいてトラップ量を推
定を実行判定するためのサブルーチンのフローチャー
ト、
【図8】図3のメインルーチンにおいて、パージガスの
各バンクへの分配率を学習するためのサブルーチンのフ
ローチャート、
【図9】図3のメインルーチンにおいてトラップ量を演
算するためのサブルーチンのフローチャート、
【図10】平均フィードバック補正値とトラップ量との
関係を示す特性図、
【図11】駆動デューティ比、空燃比フィードバック補
正値cfbr、cfbl、平均空燃比フィードバック補正値cfba
v 、トラップ量の時間変化を示す特性図、
【図12】蒸発燃料放出量とパージ空気量との関係を示
す特性図、
【図13】駆動デューティ比の時間変化を示す特性図、
【図14】本発明の1実施形態における駆動デューティ
比、空燃比フィードバック補正値cfbr、cfbl、トラップ
量trap、分配率cdisp 、パージガス比率cpgr、cpgl及び
燃料噴射弁の燃料噴射パルス幅の時間変化を示す特性図
である。
【符号の説明】
1 気筒 2 吸気弁 3 吸気ポート 4 燃焼室 5 ピストン 6 排気弁 7 排気ポート 8 排気通路 9a、9b O2 センサ 12 スロットル弁 13 サージタンク 14a、14b 分岐排気通路 25 キャニスタ 29 パージ制御弁。
フロントページの続き (72)発明者 志谷 有司 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多気筒エンジンにおいて、 燃料タンクの蒸発燃料をエンジンに供給する蒸発燃料供
    給系と、 気筒または気筒群毎に空燃比フィードバック補正値を設
    定して空燃比フィードバックを行なう空燃比フィードバ
    ック手段と、 蒸発燃料の供給制御の実行・停止に関わらず前記気筒ま
    たは気筒群毎の空燃比フィードバック補正値が等しくな
    るように各気筒に対する燃料を供給する燃料供給手段と
    を備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記燃料供給手段が、
    気筒または気筒群毎に導入される蒸発燃料の分配率を算
    出する分配率算出手段を備え、 前記分配率に基づいて気筒または気筒群毎に燃料供給す
    ることを特徴とするエンジンの制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1において、燃料供給手段は、空燃
    比フィードバック補正値相違が各気筒間または気筒群間
    で所定以上となったときには、該空燃比フィードバック
    補正値が等しくなるように燃料供給を行なうことを特徴
    とするエンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】請求項2において、空燃比フィードバック
    補正値に変化に基づいて蒸発燃料のエンジンへの導入量
    を学習する蒸発燃料学習手段がさらに設けられ、該蒸発
    燃料学習手段によって学習された蒸発燃料の導入量に基
    づいて前記分配率を算出することを特徴とするエンジン
    の制御装置。
  5. 【請求項5】請求項3において、空燃比フィードバック
    補正値に変化に基づいて蒸発燃料のエンジンへの導入量
    を学習する蒸発燃料学習手段がさらに設けられ、該蒸発
    燃料学習手段によって学習された蒸発燃料の導入量に基
    づいて前記空燃比フィードバック補正値が等しくなるよ
    うに燃料供給を行なうことを特徴とするエンジンの制御
    装置。
  6. 【請求項6】請求項2項または4項において、V型エン
    ジンの各バンクの気筒列毎にO2 センサを配置するとと
    もに、 各バンクの気筒の空燃比フィードバック補正値が等しく
    なるように予め各バンク毎の蒸発燃料の分配率を設定す
    るようにしたことを特徴とするエンジンの制御装置。
  7. 【請求項7】請求項3または5項において、V型エンジ
    ンの各バンクの気筒列毎にO2 センサを配置するととも
    に、 各バンクの気筒の空燃比フィードバック補正値の相違が
    所定以上となったとき両バンクの気筒の空燃比フィード
    バック補正値が等しくなるように燃料供給を行なうこと
    を特徴とするエンジンの制御装置。
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