JPH0987755A - 固体鉄スクラップからの不純物除去方法 - Google Patents
固体鉄スクラップからの不純物除去方法Info
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- JPH0987755A JPH0987755A JP26900095A JP26900095A JPH0987755A JP H0987755 A JPH0987755 A JP H0987755A JP 26900095 A JP26900095 A JP 26900095A JP 26900095 A JP26900095 A JP 26900095A JP H0987755 A JPH0987755 A JP H0987755A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
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- Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 固体鉄スクラップに随伴する銅、スズ、また
は、アンチモン等の不純物除去を効率的かつ経済的に行
い、従来鉄スクラップを原料とすることができなかった
鋼材への鉄スクラップの利用範囲を拡大する。 【解決手段】 固体鉄スクラップに溶融亜鉛を接触さ
せ、銅、スズ、または、アンチモン等の不純物を、鉄ス
クラップより除去し、さらに不純物を濃縮した溶融亜鉛
を蒸留することにより不純物を亜鉛より分離、回収し、
再生した亜鉛を鉄スクラップからの不純物の除去に繰り
返し使用する固体鉄スクラップからの不純物除去方法。
は、アンチモン等の不純物除去を効率的かつ経済的に行
い、従来鉄スクラップを原料とすることができなかった
鋼材への鉄スクラップの利用範囲を拡大する。 【解決手段】 固体鉄スクラップに溶融亜鉛を接触さ
せ、銅、スズ、または、アンチモン等の不純物を、鉄ス
クラップより除去し、さらに不純物を濃縮した溶融亜鉛
を蒸留することにより不純物を亜鉛より分離、回収し、
再生した亜鉛を鉄スクラップからの不純物の除去に繰り
返し使用する固体鉄スクラップからの不純物除去方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体鉄スクラップ
より効率的に銅を始めとする不純物を除去し、鉄及び回
収した金属を再利用するための方法に関し、さらには、
従来鉄スクラップを原料とすることができなかった鋼材
の鉄スクラップ利用を可能にし、鉄スクラップが使用で
きる鋼材の適用範囲を拡大する方法に関する。
より効率的に銅を始めとする不純物を除去し、鉄及び回
収した金属を再利用するための方法に関し、さらには、
従来鉄スクラップを原料とすることができなかった鋼材
の鉄スクラップ利用を可能にし、鉄スクラップが使用で
きる鋼材の適用範囲を拡大する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄スクラップは、主に電炉鋼として再利
用されているが、銅を始めとする不純物は、人間が手選
別によって除去しているのが現状で、除去しきれない不
純物は、溶鉱炉銑鉄や、より不純物の少ない鉄スクラッ
プと混合して、規格内の濃度に希釈して用いられる。し
かしこれでは利用可能な鋼材の種類が限られてしまう。
用されているが、銅を始めとする不純物は、人間が手選
別によって除去しているのが現状で、除去しきれない不
純物は、溶鉱炉銑鉄や、より不純物の少ない鉄スクラッ
プと混合して、規格内の濃度に希釈して用いられる。し
かしこれでは利用可能な鋼材の種類が限られてしまう。
【0003】鉄スクラップより銅等の不純物を除去する
方法として、鉄スクラップをアンモニア溶液に浸漬して
銅を抽出する方法(例えば、「廃車スクラップの脱銅
−アンモニア浸出法によるスクラップの脱銅(第2報)
−」 資源と素材 Vol.111、p.55〜58
(1995))、高温下で銅等を気化させる方法(例え
ば、「真空下の脱銅」 循環性元素分離部会 中間報告
書 Vol.1、p.5〜10(1993) 日本鉄鋼
協会特基研究会 循環性元素分離部会)、溶融アルミニ
ウムと接触させ銅等をアルミニウムに溶解させて除去す
る方法(例えば、「アルミ浴による脱銅」 循環性元素
分離部会 中間報告書 Vol.1、p.43〜49
(1993) 日本鉄鋼協会特基研究会 循環性元素分
離部会、「熱化学的手法による鉄スクラップからの脱銅
法の探索」 日本金属学会シンポジウム予稿 p.13
〜16(1990))、等が提案されていたが、何れも
コストの点に問題があり、実用には至っていない。
方法として、鉄スクラップをアンモニア溶液に浸漬して
銅を抽出する方法(例えば、「廃車スクラップの脱銅
−アンモニア浸出法によるスクラップの脱銅(第2報)
−」 資源と素材 Vol.111、p.55〜58
(1995))、高温下で銅等を気化させる方法(例え
ば、「真空下の脱銅」 循環性元素分離部会 中間報告
書 Vol.1、p.5〜10(1993) 日本鉄鋼
協会特基研究会 循環性元素分離部会)、溶融アルミニ
ウムと接触させ銅等をアルミニウムに溶解させて除去す
る方法(例えば、「アルミ浴による脱銅」 循環性元素
分離部会 中間報告書 Vol.1、p.43〜49
(1993) 日本鉄鋼協会特基研究会 循環性元素分
離部会、「熱化学的手法による鉄スクラップからの脱銅
法の探索」 日本金属学会シンポジウム予稿 p.13
〜16(1990))、等が提案されていたが、何れも
コストの点に問題があり、実用には至っていない。
【0004】特に、溶融アルミニウムと接触させて銅を
アルミニウムに溶解させる方法では、一旦アルミニウム
中に抽出された銅を再びアルミニウムより分離して、ア
ルミニウムを再利用するための経済的な方法が見つかっ
ていないことが問題となっている。
アルミニウムに溶解させる方法では、一旦アルミニウム
中に抽出された銅を再びアルミニウムより分離して、ア
ルミニウムを再利用するための経済的な方法が見つかっ
ていないことが問題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この様に、これまで提
案された鉄スクラップ中からの銅を始めとする不純物の
除去方法は、経済性が低くて実用には至っていなかっ
た。そこで本発明は、鉄スクラップ中の不純物除去をよ
り効率的かつ経済的に行う方法を提案し、従来、鉄スク
ラップを原料とすることができなかった鋼材の鉄スクラ
ップ利用を可能にし、鉄スクラップが使用できる鋼材の
適用範囲を拡大する方法を提供することを目的とする。
案された鉄スクラップ中からの銅を始めとする不純物の
除去方法は、経済性が低くて実用には至っていなかっ
た。そこで本発明は、鉄スクラップ中の不純物除去をよ
り効率的かつ経済的に行う方法を提案し、従来、鉄スク
ラップを原料とすることができなかった鋼材の鉄スクラ
ップ利用を可能にし、鉄スクラップが使用できる鋼材の
適用範囲を拡大する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の溶融亜鉛もしく
は溶融亜鉛合金を用いた固体鉄スクラップからの不純物
除去方法は、溶融させた亜鉛もしくは亜鉛合金を固体鉄
スクラップに接触させて、該固体鉄スクラップ中の不純
物を該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛合金中に抽出し、次
に、該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛と該固体鉄スクラッ
プとを分離し、次に、該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛合
金中の該抽出した不純物を回収し、該不純物を回収した
後の該亜鉛もしくは該亜鉛合金を再び固体鉄スクラップ
に接触させて、固体鉄スクラップ中の不純物を抽出させ
ることを繰り返す点に特徴がある。
は溶融亜鉛合金を用いた固体鉄スクラップからの不純物
除去方法は、溶融させた亜鉛もしくは亜鉛合金を固体鉄
スクラップに接触させて、該固体鉄スクラップ中の不純
物を該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛合金中に抽出し、次
に、該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛と該固体鉄スクラッ
プとを分離し、次に、該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛合
金中の該抽出した不純物を回収し、該不純物を回収した
後の該亜鉛もしくは該亜鉛合金を再び固体鉄スクラップ
に接触させて、固体鉄スクラップ中の不純物を抽出させ
ることを繰り返す点に特徴がある。
【0007】また、上記方法で更に、固体鉄スクラップ
を分離した後の溶融亜鉛もしくは溶融亜鉛合金からの不
純物の回収を、該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛合金を蒸
留して行うことに特徴がある。
を分離した後の溶融亜鉛もしくは溶融亜鉛合金からの不
純物の回収を、該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛合金を蒸
留して行うことに特徴がある。
【0008】また、上記いずれかの方法で、固体鉄スク
ラップ中から除去する不純物が、銅、スズ、またはアン
チモンである点に特徴がある。
ラップ中から除去する不純物が、銅、スズ、またはアン
チモンである点に特徴がある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、銅、スズ、アンチモン
が溶融した亜鉛に溶解しやすいこと、および、亜鉛とこ
れら不純物との分離が蒸留操作により容易に行えること
を利用したものである。
が溶融した亜鉛に溶解しやすいこと、および、亜鉛とこ
れら不純物との分離が蒸留操作により容易に行えること
を利用したものである。
【0010】溶融亜鉛中の銅の溶解度は700℃におい
て19.5重量%であり、また、スズ、アンチモンはと
もに700℃では亜鉛と1液相の融体を形成する。一
方、溶融亜鉛中には鉄も溶解するが、その溶解度は70
0℃で3重量%程度と低い。
て19.5重量%であり、また、スズ、アンチモンはと
もに700℃では亜鉛と1液相の融体を形成する。一
方、溶融亜鉛中には鉄も溶解するが、その溶解度は70
0℃で3重量%程度と低い。
【0011】溶融亜鉛の沸点は906℃であり、銅の沸
点(2560℃)、スズの沸点(2605℃)、アンチ
モンの沸点(1587℃)よりかなり低い。従って、蒸
留操作によりこれらの不純物と亜鉛との分離を行うこと
が可能である。
点(2560℃)、スズの沸点(2605℃)、アンチ
モンの沸点(1587℃)よりかなり低い。従って、蒸
留操作によりこれらの不純物と亜鉛との分離を行うこと
が可能である。
【0012】また、元来鉄スクラップにはメッキに起因
する亜鉛がかなり含まれているが、その亜鉛は鉄スクラ
ップを溶鉄にした場合にほとんどが揮発除去されてい
る。従って、本発明の不純物除去方法によって鉄スクラ
ップ表面に亜鉛が付着しても、亜鉛の揮発によりその除
去は容易である。
する亜鉛がかなり含まれているが、その亜鉛は鉄スクラ
ップを溶鉄にした場合にほとんどが揮発除去されてい
る。従って、本発明の不純物除去方法によって鉄スクラ
ップ表面に亜鉛が付着しても、亜鉛の揮発によりその除
去は容易である。
【0013】鉄スクラップから溶融亜鉛等への不純物の
抽出 上記の理由により、亜鉛の融点である419℃より90
0℃程度までの温度範囲、例えば700℃で、固体鉄ス
クラップと溶融亜鉛もしくは溶融亜鉛合金(以下、「溶
融亜鉛等」という)を接触させることにより、鉄スクラ
ップ表面の銅、スズ、アンチモンを、鉄よりも優先的に
溶融亜鉛等の中へ溶解抽出させることが可能である。溶
融亜鉛等の組成は、亜鉛を50重量%以上含有すること
が望ましい。
抽出 上記の理由により、亜鉛の融点である419℃より90
0℃程度までの温度範囲、例えば700℃で、固体鉄ス
クラップと溶融亜鉛もしくは溶融亜鉛合金(以下、「溶
融亜鉛等」という)を接触させることにより、鉄スクラ
ップ表面の銅、スズ、アンチモンを、鉄よりも優先的に
溶融亜鉛等の中へ溶解抽出させることが可能である。溶
融亜鉛等の組成は、亜鉛を50重量%以上含有すること
が望ましい。
【0014】ここで固体鉄スクラップと溶融亜鉛等の接
触を数段に分け、各段の鉄スクラップと溶融亜鉛等を向
流方式で移動させ、鉄スクラップ中の不純物を段階的に
溶融亜鉛等に抽出してゆく。つまり、最終段の鉄スクラ
ップからの不純物の抽出には、不純物の回収工程を終え
た新たな溶融亜鉛等を用いる。そして、これまで最終段
の不純物抽出を行っていた溶融亜鉛等を、次にはその前
段の抽出に用いるというように、各段の溶融亜鉛等をそ
れぞれ前段へ順送りする。このようにすることで、初段
の溶融亜鉛等の不純物濃度を高くすることができ、濃縮
の効率を高められ、しかも最終段で得られる鉄スクラッ
プの表面に残存する不純物量を低減できる。初段におい
て不純物を濃縮した溶融亜鉛等は、不純物の回収工程へ
廻す。
触を数段に分け、各段の鉄スクラップと溶融亜鉛等を向
流方式で移動させ、鉄スクラップ中の不純物を段階的に
溶融亜鉛等に抽出してゆく。つまり、最終段の鉄スクラ
ップからの不純物の抽出には、不純物の回収工程を終え
た新たな溶融亜鉛等を用いる。そして、これまで最終段
の不純物抽出を行っていた溶融亜鉛等を、次にはその前
段の抽出に用いるというように、各段の溶融亜鉛等をそ
れぞれ前段へ順送りする。このようにすることで、初段
の溶融亜鉛等の不純物濃度を高くすることができ、濃縮
の効率を高められ、しかも最終段で得られる鉄スクラッ
プの表面に残存する不純物量を低減できる。初段におい
て不純物を濃縮した溶融亜鉛等は、不純物の回収工程へ
廻す。
【0015】なお、この不純物の抽出の工程などで亜鉛
の一部がダストとしてロスされ、また溶融亜鉛等から、
銅、スズ、アンチモンを回収する際にも、亜鉛の一部が
ロスされるが、それらを補うための新しい亜鉛も、鉄ス
クラップからの不純物の抽出の最終段などで加えればよ
い。
の一部がダストとしてロスされ、また溶融亜鉛等から、
銅、スズ、アンチモンを回収する際にも、亜鉛の一部が
ロスされるが、それらを補うための新しい亜鉛も、鉄ス
クラップからの不純物の抽出の最終段などで加えればよ
い。
【0016】なお溶融亜鉛等への鉄の溶解度は小さい
が、固体鉄スクラップ表面へは亜鉛の拡散が生じる場合
がある。鉄表面へ亜鉛が拡散すると、Γ相やδ相と呼ば
れる鉄と亜鉛の金属間化合物が生成する。溶融亜鉛等
と、鉄スクラップとの接触時間が長い程、それら金属間
化合物の生成量が増大するため、各段において鉄スクラ
ップと溶融亜鉛等を長時間接触させるのは好ましくな
い。各段の鉄スクラップからの不純物抽出においては溶
融亜鉛等の撹拌操作を行えば不純物の抽出をより促進で
き、接触時間はあまり長くせず、5〜60分程度とする
のがよい。
が、固体鉄スクラップ表面へは亜鉛の拡散が生じる場合
がある。鉄表面へ亜鉛が拡散すると、Γ相やδ相と呼ば
れる鉄と亜鉛の金属間化合物が生成する。溶融亜鉛等
と、鉄スクラップとの接触時間が長い程、それら金属間
化合物の生成量が増大するため、各段において鉄スクラ
ップと溶融亜鉛等を長時間接触させるのは好ましくな
い。各段の鉄スクラップからの不純物抽出においては溶
融亜鉛等の撹拌操作を行えば不純物の抽出をより促進で
き、接触時間はあまり長くせず、5〜60分程度とする
のがよい。
【0017】銅、スズ、アンチモンの他に、アルミニウ
ム、鉛、貴金属、ビスマス、カドミウム、水銀、ヒ素等
の不純物も鉄スクラップより溶融亜鉛等に抽出すること
が可能である。それらの中でも、アルミニウム、鉛はそ
の割合が大きいと考えられる。アルミニウムが溶融亜鉛
等に抽出される場合は、溶融亜鉛等の銅の溶解度を高め
る効果があるため、銅を溶融亜鉛等に抽出するにあたり
有利に働く。鉛が溶融亜鉛等に混入した場合は、亜鉛融
体等の銅の溶解度を若干低下させると考えられるが、そ
の影響は大きくはない。
ム、鉛、貴金属、ビスマス、カドミウム、水銀、ヒ素等
の不純物も鉄スクラップより溶融亜鉛等に抽出すること
が可能である。それらの中でも、アルミニウム、鉛はそ
の割合が大きいと考えられる。アルミニウムが溶融亜鉛
等に抽出される場合は、溶融亜鉛等の銅の溶解度を高め
る効果があるため、銅を溶融亜鉛等に抽出するにあたり
有利に働く。鉛が溶融亜鉛等に混入した場合は、亜鉛融
体等の銅の溶解度を若干低下させると考えられるが、そ
の影響は大きくはない。
【0018】カドミウム、水銀、およびヒ素は、亜鉛よ
り沸点が低い元素であるため、蒸留操作で溶融亜鉛等よ
り回収する場合に工程が煩雑となる。そこで、不純物の
抽出の初段において、保持温度を他段よりやや高め、例
えば800℃付近に設定し、溶融亜鉛等よりそれらの不
純物を優先的に揮発除去する。除去されたカドミウム、
水銀、ヒ素は、亜鉛を含んだ形でダストとして回収され
るため、これを亜鉛精練所へ送り、さらに各元素の分
離、回収をはかる。なお、第2段以降の抽出においても
亜鉛を多く含むダストが発生するが、不純物の回収工程
へ送る溶融亜鉛等に併せて亜鉛を回収するか、亜鉛精練
所へ送る。
り沸点が低い元素であるため、蒸留操作で溶融亜鉛等よ
り回収する場合に工程が煩雑となる。そこで、不純物の
抽出の初段において、保持温度を他段よりやや高め、例
えば800℃付近に設定し、溶融亜鉛等よりそれらの不
純物を優先的に揮発除去する。除去されたカドミウム、
水銀、ヒ素は、亜鉛を含んだ形でダストとして回収され
るため、これを亜鉛精練所へ送り、さらに各元素の分
離、回収をはかる。なお、第2段以降の抽出においても
亜鉛を多く含むダストが発生するが、不純物の回収工程
へ送る溶融亜鉛等に併せて亜鉛を回収するか、亜鉛精練
所へ送る。
【0019】鉄スクラップ表面の溶融亜鉛等の除去 不純物抽出の最終段を終了した鉄スクラップは、電気炉
を用いてさらに加熱して溶融させる。この時、スクラッ
プ表面に付着していた亜鉛は、すみやかに揮発除去され
る。またここで、炉内の雰囲気を酸素や二酸化炭素など
の酸化性の物質の無い状態にしておけば、揮発後に凝集
する亜鉛を金属状態として回収することができる。溶鉄
中の亜鉛の含有量をさらに低減させるには、溶鉄への不
活性ガスの吹き込みや、炉内の真空吸引を行う。溶鉄は
この後、一般的な鉄鋼の製造工程へ送る。
を用いてさらに加熱して溶融させる。この時、スクラッ
プ表面に付着していた亜鉛は、すみやかに揮発除去され
る。またここで、炉内の雰囲気を酸素や二酸化炭素など
の酸化性の物質の無い状態にしておけば、揮発後に凝集
する亜鉛を金属状態として回収することができる。溶鉄
中の亜鉛の含有量をさらに低減させるには、溶鉄への不
活性ガスの吹き込みや、炉内の真空吸引を行う。溶鉄は
この後、一般的な鉄鋼の製造工程へ送る。
【0020】不純物の溶融亜鉛等からの回収 不純物を溶融亜鉛等から回収するには、蒸留による方法
を用いる。蒸留方法として、溶融亜鉛等から、単一の蒸
留炉で亜鉛と不純物を分離するプロセスと、複数の蒸留
炉で段階的に不純物を濃縮してゆくプロセスがある。
を用いる。蒸留方法として、溶融亜鉛等から、単一の蒸
留炉で亜鉛と不純物を分離するプロセスと、複数の蒸留
炉で段階的に不純物を濃縮してゆくプロセスがある。
【0021】単一の蒸留炉で溶融亜鉛等から不純物を分
離するプロセスでは、炉内温度を約1100〜1300
℃に設定し、不純物を含んだ溶融亜鉛等を半連続的に蒸
留炉内へ装入する。この温度では亜鉛は速やかに揮発
し、500〜600℃に保持したコンデンサーに亜鉛蒸
気を導き凝縮させる。蒸留炉内には銅、スズ、アンチモ
ンの他、鉄、アルミニウム、鉛、貴金属、ビスマス等を
含んだ金属融体が蒸留炉に残る。これを間欠的に炉外へ
取り出し、凝固させた後、銅あるいは亜鉛の精練所へ送
り、各々の元素をさらに分離、回収する。なおこの金属
融体中に残存する亜鉛は、金属融体の組成によっても異
なるが10〜30重量%である。なお単一の蒸留炉で溶
融亜鉛より不純物を分離するプロセスでは、回収される
蒸留亜鉛中に鉛やアンチモンなどの濃度が高くなること
があり、その場合はさらに精留炉を用いた精留操作が必
要となる。
離するプロセスでは、炉内温度を約1100〜1300
℃に設定し、不純物を含んだ溶融亜鉛等を半連続的に蒸
留炉内へ装入する。この温度では亜鉛は速やかに揮発
し、500〜600℃に保持したコンデンサーに亜鉛蒸
気を導き凝縮させる。蒸留炉内には銅、スズ、アンチモ
ンの他、鉄、アルミニウム、鉛、貴金属、ビスマス等を
含んだ金属融体が蒸留炉に残る。これを間欠的に炉外へ
取り出し、凝固させた後、銅あるいは亜鉛の精練所へ送
り、各々の元素をさらに分離、回収する。なおこの金属
融体中に残存する亜鉛は、金属融体の組成によっても異
なるが10〜30重量%である。なお単一の蒸留炉で溶
融亜鉛より不純物を分離するプロセスでは、回収される
蒸留亜鉛中に鉛やアンチモンなどの濃度が高くなること
があり、その場合はさらに精留炉を用いた精留操作が必
要となる。
【0022】鉄スクラップより抽出された不純物にアル
ミニウムが多く含まれている場合は、不純物抽出の各段
において発生したダストを、蒸留前の溶融亜鉛等に併せ
ることにより、ダスト中の酸化亜鉛をアルミニウムによ
り還元し、蒸留時に再び金属亜鉛として回収できる。同
様に、鉄スクラップを電気炉で溶融する際に回収される
亜鉛が、一部酸化されていた場合でも、アルミニウムを
含む溶融亜鉛等に併せることにより、酸化亜鉛を還元
し、金属状態に戻すことが可能である。
ミニウムが多く含まれている場合は、不純物抽出の各段
において発生したダストを、蒸留前の溶融亜鉛等に併せ
ることにより、ダスト中の酸化亜鉛をアルミニウムによ
り還元し、蒸留時に再び金属亜鉛として回収できる。同
様に、鉄スクラップを電気炉で溶融する際に回収される
亜鉛が、一部酸化されていた場合でも、アルミニウムを
含む溶融亜鉛等に併せることにより、酸化亜鉛を還元
し、金属状態に戻すことが可能である。
【0023】複数の蒸留炉で段階的に不純物を濃縮して
ゆくプロセスでは、溶融亜鉛等をまず炉内温度を900
〜1100℃程度に設定した第1段の蒸留炉に入れ、発
生した亜鉛蒸気をコンデンサーに導いて凝集させ蒸留亜
鉛を回収し、残った金属融体中の亜鉛濃度を50重量%
程度に低減する。次にその金属融体を第2段以降の蒸留
炉へ順送りし、蒸留炉の温度設定を段階的に上昇させ、
最終段で1200〜1400℃として亜鉛の殆どを揮発
回収する。最終段で得られる不純物を濃縮した金属融体
中の亜鉛濃度は20重量%以下とする。蒸留の段数は2
〜3段が適切である。なお後段で回収される亜鉛中の不
純物濃度が高くなる場合は、それを第1段の蒸留炉へ再
び装入すればよい。
ゆくプロセスでは、溶融亜鉛等をまず炉内温度を900
〜1100℃程度に設定した第1段の蒸留炉に入れ、発
生した亜鉛蒸気をコンデンサーに導いて凝集させ蒸留亜
鉛を回収し、残った金属融体中の亜鉛濃度を50重量%
程度に低減する。次にその金属融体を第2段以降の蒸留
炉へ順送りし、蒸留炉の温度設定を段階的に上昇させ、
最終段で1200〜1400℃として亜鉛の殆どを揮発
回収する。最終段で得られる不純物を濃縮した金属融体
中の亜鉛濃度は20重量%以下とする。蒸留の段数は2
〜3段が適切である。なお後段で回収される亜鉛中の不
純物濃度が高くなる場合は、それを第1段の蒸留炉へ再
び装入すればよい。
【0024】以上の工程により、銅、スズ、アンチモン
をはじめ、鉄、アルミニウム、鉛、貴金属、ビスマス等
を、溶融亜鉛等より回収し、金属融体中に濃縮すること
ができる。この金属融体は、蒸留炉より取り出した後、
凝固させ、銅あるいは亜鉛の精練所へ送り、各々の元素
をさらに分離、回収する。
をはじめ、鉄、アルミニウム、鉛、貴金属、ビスマス等
を、溶融亜鉛等より回収し、金属融体中に濃縮すること
ができる。この金属融体は、蒸留炉より取り出した後、
凝固させ、銅あるいは亜鉛の精練所へ送り、各々の元素
をさらに分離、回収する。
【0025】蒸留によって回収された亜鉛は、再び、鉄
スクラップからの不純物抽出の最終段へ戻され、再使用
される。このように、本発明による鉄スクラップから不
純物除去方法では、不純物の抽出に使用した亜鉛を繰り
返し使用するため経済性が高い。なお、ダストや、回収
された不純物とともに銅あるいは亜鉛の精練所へ送られ
る亜鉛もあるため、プロセス内の亜鉛の量はその分、減
少する。不足分は新たな亜鉛で補う。
スクラップからの不純物抽出の最終段へ戻され、再使用
される。このように、本発明による鉄スクラップから不
純物除去方法では、不純物の抽出に使用した亜鉛を繰り
返し使用するため経済性が高い。なお、ダストや、回収
された不純物とともに銅あるいは亜鉛の精練所へ送られ
る亜鉛もあるため、プロセス内の亜鉛の量はその分、減
少する。不足分は新たな亜鉛で補う。
【0026】各蒸留炉において、亜鉛の揮発に多くの熱
量を必要とする。そこで亜鉛を再び凝縮させるためのコ
ンデンサーに、ボイラーを組み合わせて、その熱量の回
収をはかるとよい。
量を必要とする。そこで亜鉛を再び凝縮させるためのコ
ンデンサーに、ボイラーを組み合わせて、その熱量の回
収をはかるとよい。
【0027】
【実施例】鉄スクラップから溶融亜鉛への不純物抽出を
3段の向流方式で、溶融亜鉛からの不純物回収を2段の
蒸留で行う本発明の実施例を示す。
3段の向流方式で、溶融亜鉛からの不純物回収を2段の
蒸留で行う本発明の実施例を示す。
【0028】予備処理 初期銅濃度が約1重量%、初期スズ濃度が約0.1重量
%、初期アンチモン濃度が約0.1重量%の鉄スクラッ
プを用いた。この鉄スクラップをあらかじめ50〜50
0mmの適当なサイズに裁断した。これを電気炉に入
れ、約500〜700℃に加熱して、鉄スクラップ中の
銅線の皮膜などを燃焼させた。
%、初期アンチモン濃度が約0.1重量%の鉄スクラッ
プを用いた。この鉄スクラップをあらかじめ50〜50
0mmの適当なサイズに裁断した。これを電気炉に入
れ、約500〜700℃に加熱して、鉄スクラップ中の
銅線の皮膜などを燃焼させた。
【0029】亜鉛への不純物の抽出工程 予備処理後の鉄スクラップを専用の電炉に入れた。電炉
の形は釜状で、内壁は耐火物レンガ製である。鉄製の管
を電炉の底近くまで差込み、そこから溶融亜鉛を電炉に
入れた。ダストの飛散を防止するため、電炉中の気体を
吸引してダストを捕集した。
の形は釜状で、内壁は耐火物レンガ製である。鉄製の管
を電炉の底近くまで差込み、そこから溶融亜鉛を電炉に
入れた。ダストの飛散を防止するため、電炉中の気体を
吸引してダストを捕集した。
【0030】ここで用いた溶融亜鉛は、既に後段の抽出
によって、銅などの不純物をある程度濃縮したものであ
る。この第1段において、溶融亜鉛中の銅濃度は約10
重量%、スズ濃度約1.1重量%、アンチモン濃度約
1.1重量%、温度約800℃に設定した。温度は炭素
電極から溶融亜鉛への通電により保持した。亜鉛を電炉
に連続的に流し込みオーバーフローさせ、電炉外へ取り
出した亜鉛は、再び電炉内へ繰り返し、電炉内の撹拌効
果を高めた。こうして繰り返し亜鉛を電炉内に循環させ
ることにより、溶融亜鉛中に不純物を濃縮した。ここで
設定値より溶融亜鉛中の不純物濃度が高くなった場合に
は、この溶融亜鉛の一部を、不純物の回収工程へ送っ
た。不足分の溶融亜鉛は、第2段で用いられているもの
から補充した。
によって、銅などの不純物をある程度濃縮したものであ
る。この第1段において、溶融亜鉛中の銅濃度は約10
重量%、スズ濃度約1.1重量%、アンチモン濃度約
1.1重量%、温度約800℃に設定した。温度は炭素
電極から溶融亜鉛への通電により保持した。亜鉛を電炉
に連続的に流し込みオーバーフローさせ、電炉外へ取り
出した亜鉛は、再び電炉内へ繰り返し、電炉内の撹拌効
果を高めた。こうして繰り返し亜鉛を電炉内に循環させ
ることにより、溶融亜鉛中に不純物を濃縮した。ここで
設定値より溶融亜鉛中の不純物濃度が高くなった場合に
は、この溶融亜鉛の一部を、不純物の回収工程へ送っ
た。不足分の溶融亜鉛は、第2段で用いられているもの
から補充した。
【0031】不純物の抽出を終了した後、電炉を傾け、
溶融亜鉛を流し出した。ここで、鉄スクラップの表面な
どに残る亜鉛の量は、鉄スクラップ重量の5%以下とな
るようにした。流し出した溶融亜鉛は、不純物濃度が設
定値以下であったなら、初段における次の新たな鉄スク
ラップからの不純物抽出に再び用いた。なお、この初段
で発生したダストは、カドミウム、水銀、ヒ素を含むこ
とが考えられるので亜鉛の精練所へ送り、さらにそれら
の分離、回収をはかる。
溶融亜鉛を流し出した。ここで、鉄スクラップの表面な
どに残る亜鉛の量は、鉄スクラップ重量の5%以下とな
るようにした。流し出した溶融亜鉛は、不純物濃度が設
定値以下であったなら、初段における次の新たな鉄スク
ラップからの不純物抽出に再び用いた。なお、この初段
で発生したダストは、カドミウム、水銀、ヒ素を含むこ
とが考えられるので亜鉛の精練所へ送り、さらにそれら
の分離、回収をはかる。
【0032】初段の不純物抽出を終えた鉄スクラップは
第2段へ送った。第2段の抽出も初段と同様に行った。
第2段における溶融亜鉛中の不純物濃度は、銅3.4重
量%、スズ0.37重量%、アンチモン0.37重量%
と設定し、温度は約700℃とした。ここで不純物濃度
がこの設定値より高くなった場合は、溶融亜鉛の一部を
初段に送り、不足分を最終段である第3段より補充し
た。発生したダストは捕収して、初段から不純物の回収
工程へ送られる溶融亜鉛に併せた。
第2段へ送った。第2段の抽出も初段と同様に行った。
第2段における溶融亜鉛中の不純物濃度は、銅3.4重
量%、スズ0.37重量%、アンチモン0.37重量%
と設定し、温度は約700℃とした。ここで不純物濃度
がこの設定値より高くなった場合は、溶融亜鉛の一部を
初段に送り、不足分を最終段である第3段より補充し
た。発生したダストは捕収して、初段から不純物の回収
工程へ送られる溶融亜鉛に併せた。
【0033】次に、鉄スクラップを第3段へ送った。第
3段の不純物抽出も第2段と同様に行った。第3段にお
ける溶融亜鉛中の不純物濃度は、銅0.8重量%、スズ
0.11重量%、アンチモン0.11重量%と設定し、
温度は約700℃とした。ここで不純物濃度がこの設定
値より高くなった場合は、溶融亜鉛の一部を第2段に送
り、不足分は、不純物回収後の亜鉛および新しい亜鉛で
補充した。なお、第3段で発生したダストも第2段での
ダストと同様に、初段から不純物の回収工程へ送られる
溶融亜鉛に併せた。
3段の不純物抽出も第2段と同様に行った。第3段にお
ける溶融亜鉛中の不純物濃度は、銅0.8重量%、スズ
0.11重量%、アンチモン0.11重量%と設定し、
温度は約700℃とした。ここで不純物濃度がこの設定
値より高くなった場合は、溶融亜鉛の一部を第2段に送
り、不足分は、不純物回収後の亜鉛および新しい亜鉛で
補充した。なお、第3段で発生したダストも第2段での
ダストと同様に、初段から不純物の回収工程へ送られる
溶融亜鉛に併せた。
【0034】鉄スクラップの溶融工程 溶融亜鉛により不純物を除去した鉄スクラップは、溶融
亜鉛と分離後、別の電炉に移して、炭素電極による通電
で温度を上昇させ溶解した。ここで、予め溶鉄の入った
電炉に固体鉄スクラップを加えた。鉄スクラップが溶解
するとスクラップ表面に付着していた亜鉛はすみやかに
揮発し、ダストとして捕収した。さらに電炉を真空吸引
し、溶鉄中に残存する亜鉛を揮発除去した後、溶鉄を一
般的な鋼の製造工程へ送った。ダストとして回収した亜
鉛は一部酸化亜鉛となっていたが、不純物抽出の初段よ
り不純物の回収工程へ送られる溶融亜鉛に併せた。
亜鉛と分離後、別の電炉に移して、炭素電極による通電
で温度を上昇させ溶解した。ここで、予め溶鉄の入った
電炉に固体鉄スクラップを加えた。鉄スクラップが溶解
するとスクラップ表面に付着していた亜鉛はすみやかに
揮発し、ダストとして捕収した。さらに電炉を真空吸引
し、溶鉄中に残存する亜鉛を揮発除去した後、溶鉄を一
般的な鋼の製造工程へ送った。ダストとして回収した亜
鉛は一部酸化亜鉛となっていたが、不純物抽出の初段よ
り不純物の回収工程へ送られる溶融亜鉛に併せた。
【0035】以上の工程の後、溶鉄中に新たに混入する
不純物の濃度は、銅については0.05重量%以下、ス
ズとアンチモンについてはともに0.006重量%以下
となった。これは、十分に低い値と評価できる。
不純物の濃度は、銅については0.05重量%以下、ス
ズとアンチモンについてはともに0.006重量%以下
となった。これは、十分に低い値と評価できる。
【0036】不純物の溶融亜鉛からの回収工程 不純物抽出の初段で用いた溶融亜鉛を一部取り出し、不
純物の回収工程へ送った。まず、不純物抽出の第2段お
よび第3段において回収されたダスト、および鉄スクラ
ップを溶融する工程で回収された亜鉛を、この溶融亜鉛
に加え溶解させた。ダスト中で酸化亜鉛となっている部
分は、溶融亜鉛中に不純物として含まれているアルミニ
ウムにより金属状態の亜鉛に還元した。
純物の回収工程へ送った。まず、不純物抽出の第2段お
よび第3段において回収されたダスト、および鉄スクラ
ップを溶融する工程で回収された亜鉛を、この溶融亜鉛
に加え溶解させた。ダスト中で酸化亜鉛となっている部
分は、溶融亜鉛中に不純物として含まれているアルミニ
ウムにより金属状態の亜鉛に還元した。
【0037】溶融亜鉛を、温度を約1050℃に保持し
た第1段の蒸留炉に入れ、亜鉛を揮発させた。揮発した
亜鉛蒸気は、約600℃に保持したコンデンサーに導
き、凝縮させて再び溶融亜鉛として回収した。なお、こ
の蒸留炉は鋳鉄製の丸底にグラファイトレンガを内張り
した構造で、重油バーナーにより丸底の下面より外熱式
に加熱を行った。これにより、第1段の蒸留炉に装入さ
れた溶融亜鉛中の亜鉛の約90%を回収し、蒸留炉中に
残った金属融体中の亜鉛濃度を、約50重量%とした。
た第1段の蒸留炉に入れ、亜鉛を揮発させた。揮発した
亜鉛蒸気は、約600℃に保持したコンデンサーに導
き、凝縮させて再び溶融亜鉛として回収した。なお、こ
の蒸留炉は鋳鉄製の丸底にグラファイトレンガを内張り
した構造で、重油バーナーにより丸底の下面より外熱式
に加熱を行った。これにより、第1段の蒸留炉に装入さ
れた溶融亜鉛中の亜鉛の約90%を回収し、蒸留炉中に
残った金属融体中の亜鉛濃度を、約50重量%とした。
【0038】蒸留により得られた溶融亜鉛中の不純物濃
度は、銅が0.2重量%以下、スズとアンチモンはとも
に0.02重量%以下となるよう管理した。この溶融亜
鉛は、鉄スクラップからの不純物抽出の第3段へ送り、
再び鉄スクラップからの不純物抽出に使用した。
度は、銅が0.2重量%以下、スズとアンチモンはとも
に0.02重量%以下となるよう管理した。この溶融亜
鉛は、鉄スクラップからの不純物抽出の第3段へ送り、
再び鉄スクラップからの不純物抽出に使用した。
【0039】第1段の蒸留炉の底に残った金属融体は、
間欠的に第2段の蒸留炉へ送った。第2段の蒸留炉で
は、温度を1200〜1300℃に設定し、金属融体よ
り亜鉛をさらに揮発、回収し、残った金属融体中の亜鉛
濃度を約15重量%まで低下させた。第2段の蒸留炉
は、耐火物レンガで内張りされており、炭素電極を用い
て金属融体内に通電することにより温度を維持した。発
生した亜鉛蒸気は温度約600℃に保持したコンデンサ
ーに導いて凝集させた。これにより得られた溶融亜鉛
は、第1段の蒸留炉中に戻した。
間欠的に第2段の蒸留炉へ送った。第2段の蒸留炉で
は、温度を1200〜1300℃に設定し、金属融体よ
り亜鉛をさらに揮発、回収し、残った金属融体中の亜鉛
濃度を約15重量%まで低下させた。第2段の蒸留炉
は、耐火物レンガで内張りされており、炭素電極を用い
て金属融体内に通電することにより温度を維持した。発
生した亜鉛蒸気は温度約600℃に保持したコンデンサ
ーに導いて凝集させた。これにより得られた溶融亜鉛
は、第1段の蒸留炉中に戻した。
【0040】第2段の蒸留炉より間欠的に取り出された
金属融体は、銅を約50重量%、スズとアンチモンを各
々、約5重量%含んでおり、他に鉄、亜鉛、アルミニウ
ム等を含んでいた。なおアルミニウムの一部は、その他
の化学的に卑な元素とともに、酸化物の状態で金属融体
表面に付着していた。この金属融体は冷却、凝固させ、
銅または亜鉛の精練所へ送り、さらにそれぞれの元素に
分離、回収する。
金属融体は、銅を約50重量%、スズとアンチモンを各
々、約5重量%含んでおり、他に鉄、亜鉛、アルミニウ
ム等を含んでいた。なおアルミニウムの一部は、その他
の化学的に卑な元素とともに、酸化物の状態で金属融体
表面に付着していた。この金属融体は冷却、凝固させ、
銅または亜鉛の精練所へ送り、さらにそれぞれの元素に
分離、回収する。
【0041】この工程により、使用した亜鉛の多くが回
収され、再び鉄スクラップからの不純物抽出に使用でき
る。しかし、第2段の蒸留炉から取り出される金属融体
中に残存する亜鉛や、鉄スクラップからの不純物抽出の
初段のダストに含まれる亜鉛、その他のロスなどから、
鉄スクラップ1トン当り10kg程度の亜鉛が不足して
ゆくが、その不足分は新たな亜鉛で補えばよい。
収され、再び鉄スクラップからの不純物抽出に使用でき
る。しかし、第2段の蒸留炉から取り出される金属融体
中に残存する亜鉛や、鉄スクラップからの不純物抽出の
初段のダストに含まれる亜鉛、その他のロスなどから、
鉄スクラップ1トン当り10kg程度の亜鉛が不足して
ゆくが、その不足分は新たな亜鉛で補えばよい。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、固体鉄スクラップ中の
銅、スズ、アンチモン等の不純物の除去および回収がよ
り効率的かつ経済的に行え、従来、鉄スクラップを原料
とすることができなかった鋼材の鉄スクラップ利用を可
能にし、鉄スクラップが使用できる鋼材の適用範囲を拡
大することができる。
銅、スズ、アンチモン等の不純物の除去および回収がよ
り効率的かつ経済的に行え、従来、鉄スクラップを原料
とすることができなかった鋼材の鉄スクラップ利用を可
能にし、鉄スクラップが使用できる鋼材の適用範囲を拡
大することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 溶融させた亜鉛もしくは亜鉛合金を固体
鉄スクラップに接触させて、該固体鉄スクラップ中の不
純物を該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛合金中に抽出し、
次に、該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛と該固体鉄スクラ
ップとを分離し、次に、該溶融亜鉛もしくは該溶融亜鉛
合金中の該抽出した不純物を回収し、該不純物を回収し
た後の該亜鉛もしくは該亜鉛合金を再び固体鉄スクラッ
プに接触させて、固体鉄スクラップ中の不純物を抽出さ
せることを繰り返すことを特徴とする固体鉄スクラップ
からの不純物除去方法。 - 【請求項2】 固体鉄スクラップを分離した後の溶融亜
鉛もしくは溶融亜鉛合金からの不純物の回収を、該溶融
亜鉛もしくは該溶融亜鉛合金を蒸留して行うことを特徴
とする請求項1に記載の固体鉄スクラップからの不純物
除去方法。 - 【請求項3】 固体鉄スクラップ中から除去する不純物
が、銅、スズ、またはアンチモンである請求項1〜2に
記載の固体鉄スクラップからの不純物除去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26900095A JPH0987755A (ja) | 1995-09-25 | 1995-09-25 | 固体鉄スクラップからの不純物除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26900095A JPH0987755A (ja) | 1995-09-25 | 1995-09-25 | 固体鉄スクラップからの不純物除去方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0987755A true JPH0987755A (ja) | 1997-03-31 |
Family
ID=17466286
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26900095A Pending JPH0987755A (ja) | 1995-09-25 | 1995-09-25 | 固体鉄スクラップからの不純物除去方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0987755A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6368380B1 (en) | 1998-11-17 | 2002-04-09 | Nippon Steel Corporation | Method of melt-removing impurity elements from iron |
WO2022191179A1 (ja) * | 2021-03-11 | 2022-09-15 | 三菱マテリアル株式会社 | 使用済みlibから有価金属を回収する方法 |
-
1995
- 1995-09-25 JP JP26900095A patent/JPH0987755A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6368380B1 (en) | 1998-11-17 | 2002-04-09 | Nippon Steel Corporation | Method of melt-removing impurity elements from iron |
WO2022191179A1 (ja) * | 2021-03-11 | 2022-09-15 | 三菱マテリアル株式会社 | 使用済みlibから有価金属を回収する方法 |
JP2022139318A (ja) * | 2021-03-11 | 2022-09-26 | 三菱マテリアル株式会社 | 使用済みlibから有価金属を回収する方法 |
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