JPH0987320A - ビニルエステル系重合体組成物からの単量体除去方法及び装置 - Google Patents

ビニルエステル系重合体組成物からの単量体除去方法及び装置

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JPH0987320A
JPH0987320A JP26638995A JP26638995A JPH0987320A JP H0987320 A JPH0987320 A JP H0987320A JP 26638995 A JP26638995 A JP 26638995A JP 26638995 A JP26638995 A JP 26638995A JP H0987320 A JPH0987320 A JP H0987320A
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JP
Japan
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polymer composition
vinyl ester
vinyl
monomer
screw
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Application number
JP26638995A
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English (en)
Inventor
Makoto Oura
誠 大浦
Hitoshi Nakajima
斉 中島
Norio Nakamura
憲雄 中村
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 未反応単量体を含有するビニルエステル
系重合体組成物が入れられ、加熱用ジャケット(6)が
付設された逆円錐型容器(1)と、この容器(1)内周
壁の母線方向に沿って自転かつ公転可能に配設されたス
クリュー(7,8)と、このスクリュー(7,8)を自
転させると共に、容器内周壁の周方向に沿って公転させ
る機構とを具備した装置を用い、上記ビニルエステル系
重合体組成物を逆円錐型容器(1)内で加熱下において
上記スクリュー(7,8)を自転かつ公転させることに
より撹拌して、上記重合体組成物中の未反応単量体を蒸
発除去する。 【効果】 単量体を含有する重合体組成物から単量体を
殆ど含まない重合体を効率的かつ経済的に得ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニルエステル系
単量体等の未反応単量体(以下、単量体という)を含有
するポリビニルエステル系重合体(以下、重合体とい
う)組成物系から未反応の単量体を回分式で除去する方
法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】単量体を含有する重合体組成物系から未
反応の単量体を除去し、単量体を殆ど含まない重合体を
得ることは、例えばチューインガムベースを得る場合
や、接着剤として或いは脱エステル化反応の前プロセス
として汎用的に行われており、安全、衛生、品質上など
から重要である。
【0003】従来、酢酸ビニルを主体とする単量体を溶
液重合した系から未反応の単量体を除去する装置及びそ
の方法は、連続式の追出蒸留塔方式が一般的である。即
ち、複数の多孔板からなる棚段塔を用い、その塔下部か
らアルコール蒸気を吹き込みながら塔上部から未反応の
単量体を含む重合体溶液を流下させて接触、交換、蒸留
して、塔上部よりアルコールと単量体の共沸組成液とし
て留出させ、塔下部より単量体を殆ど含まない重合体溶
液を得るものである(例えば高分子刊行会発行「ポバー
ル」P109〜、FINCH「POLYVINYL A
LCOHOLDEVELOPMENTS」P50〜、J
OHN WILEY & SONS)。
【0004】回分式の場合も基本的には連続式と同一で
あり、例えばアンカー型、パドル型、ヘリカルリボン型
等の翼を備えた槽式の重合装置を用い、加熱、“かき混
ぜ”ながらアルコールを供給し、アルコールと単量体の
共沸組成液として留出させ、単量体を殆ど含まない重合
体溶液を得る方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来公
知の装置及びその方法では以下のような問題を有してい
る。即ち、連続式の追出蒸留塔方式設備の場合は、連
続運転の場合は単量体の除去が安定して効率的に行われ
るが、操作の安定化まで時間を要するため回分式で運転
した場合は非効率極まりなく、塔下部から得られる単
量体を殆ど含まない重合体溶液の濃度をあまり高められ
ない制約があり、装置が複雑で高価になり、広い設
置スペースを要し、前後プロセス装置とは兼用できな
い専用設備である等の問題を有する。
【0006】また、上記のような回分式の場合は、単
量体を殆ど含まない重合体を得るには長時間を要し、
また、溶媒として使用される溶剤の使用量が大量になる
等の問題を有する。
【0007】従って、本発明の課題は、短時間で、かつ
使用溶剤量が少なくてすむ効率的な回分式の未反応の単
量体を除去する装置及びその方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った
結果、未反応単量体を含有するビニルエステル系重合体
組成物を加熱下において逆円錐型容器の内周壁母線方向
に沿って配設したスクリューを自転かつ公転させて撹拌
(かき混ぜ)することにより、効率的かつ経済的に重合
体組成物系から未反応の単量体を回分式で除去すること
ができることを見い出し、本発明をなすに至った。
【0009】即ち、本発明は、(1)未反応単量体を含
有するビニルエステル系重合体組成物から上記未反応単
量体を除去する方法において、上記ビニルエステル系重
合体組成物を逆円錐型容器内で加熱下においてこの容器
内周壁の母線方向に沿って配設したスクリューを自転か
つ公転させることにより撹拌して、上記重合体組成物中
の未反応単量体を蒸発除去することを特徴とするビニル
エステル系重合体組成物からの単量体除去方法、(2)
ビニルエステル系重合体組成物の加熱温度がこのビニル
エステル系重合体の軟化点以上である上記の方法、
(3)ビニルエステル系重合体がポリ酢酸ビニル又はポ
リ酢酸ビニルを主体とする共重合体である上記の方法、
(4)未反応単量体を含有するビニルエステル系重合体
組成物が入れられ、加熱用ジャケットが付設された逆円
錐型容器と、この容器内周壁の母線方向に沿って自転か
つ公転可能に配設され、上記組成物を撹拌するスクリュ
ーと、このスクリューを自転させると共に、容器内周壁
の周方向に沿って公転させる機構とを具備することを特
徴とするビニルエステル系重合体組成物からの単量体除
去装置、(5)スクリューの配設数が1又は2であり、
該スクリューの自転かつ公転時に上記容器内周壁に付着
した重合体組成物を掻き落し可能な間隔を持って配設さ
れた上記の装置を提供する。
【0010】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0011】本発明は未反応単量体を含有するビニルエ
ステル系重合体組成物から上記未反応単量体を蒸発除去
する方法及び装置に係わるものであるが、ここでビニル
エステル系重合体としては、ポリ酢酸ビニルが一般的で
あるが、これに限定されず、トリフルオロ酢酸ビニル,
ギ酸ビニル,プロピオン酸ビニル,酪酸ビニル,ピバリ
ン酸ビニル,2−エチルヘキサン酸ビニル,カプリル酸
ビニル,カプリン酸ビニル,ラウリン酸ビニル,ミリス
チン酸ビニル,パルミチン酸ビニル,メタクリル酸ビニ
ル,クロトン酸ビニル,ソルビン酸ビニル,安息香酸ビ
ニル,桂皮酸ビニル,t−ブチル安息香酸ビニル,バー
サティック酸ビニル等のビニルエステルの単独重合体や
これらビニルエステル及び酢酸ビニルの少なくとも2種
からなる共重合体、さらには例えばこれらビニルエステ
ルと共重合する不飽和モノカルボン酸又はその塩,アル
キルエステル,アミド,ニトリル、不飽和多価カルボン
酸又はその塩,部分アルキルエステル,完全アルキルエ
ステル,無水物,アミド,イミド,ニトリル、不飽和ス
ルホン酸又はその塩、ビニルエーテル、エチレン、塩化
ビニル、炭素数3〜30のαオレフィン等の少なくとも
1種との共重合体が含まれる。
【0012】これら重合体の製法は、溶液重合が一般的
であるが、これに限定されず、懸濁重合、パール重合、
乳化重合など公知の重合方法が利用でき、重合体組成物
の重合体濃度及び重合度は特に限定されないが、軟化点
の観点から重合度は高すぎない方が好ましい。
【0013】ビニルエステル系単量体等の未反応単量体
としては、酢酸ビニルが一般的であるが、これに限定さ
れず、上記重合体を重合した際に未反応で残された単量
体、即ちトリフルオロ酢酸ビニル,ギ酸ビニル,プロピ
オン酸ビニル,酪酸ビニル,ピバリン酸ビニル,2−エ
チルヘキサン酸ビニル,カプリル酸ビニル,カプリン酸
ビニル,ラウリン酸ビニル,ミリスチン酸ビニル,パル
ミチン酸ビニル,メタクリル酸ビニル,クロトン酸ビニ
ル,ソルビン酸ビニル,安息香酸ビニル,桂皮酸ビニ
ル,t−ブチル安息香酸ビニル,バーサティック酸ビニ
ル等のビニルエステル単量体やこれらビニルエステル及
び酢酸ビニルの少なくとも2種からなる単量体組成物、
さらには例えばこれらビニルエステルと共重合する不飽
和モノカルボン酸又はその塩,アルキルエステル,アミ
ド,ニトリル、不飽和多価カルボン酸又はその塩,部分
アルキルエステル,完全アルキルエステル,無水物,ア
ミド,イミド,ニトリル、不飽和スルホン酸又はその
塩、ビニルエーテル、エチレン、塩化ビニル、炭素数3
〜30のαオレフィン等の少なくとも1種との単量体組
成物が含まれる。
【0014】これら単量体の濃度は特に限定されない
が、低濃度ほど好ましい。重合体組成物系の単量体濃度
は5〜50%程度が一般的であり、その範囲であればよ
い。
【0015】本発明においては、上記重合体組成物から
の単量体の蒸発除去を逆円錐型容器の内周壁母線方向に
沿って配設したスクリューを用いて加熱下に撹拌するこ
とにより行う。
【0016】図面はかかる方法に用いる装置の一例を示
す。但し、図面は本発明の方法に使用する装置の例示に
過ぎず、これのみに限定されるものではない。図1は装
置全体の側面からの断面図であり、図2は上面からの断
面図でスクリューの動きを示す。
【0017】図1において、1は逆円錐型容器で、その
天井部2には原料供給用ノズル3及び単量体の留出ノズ
ル4がそれぞれ設けられていると共に、容器1の下端部
は重合体取り出し口5が開口可能に形成されている。ま
た、この容器1の外周部には加熱用ジャケット6が付設
されている。なお、6aは熱媒体の入口、6bは出口で
ある。
【0018】上記容器1内には、その内周壁母線方向に
沿って螺旋状羽根7を有するスクリュー軸8(スクリュ
ー)が配設されている。なお、スクリューの配設数は1
又は2が好ましい。このスクリュー軸8の先部は図3に
示す遊星運動装置9と連結され、これによって図2に示
すように自転かつ容器1の内周壁周方向に沿って公転し
得るようになっている。ここで、容器1は減圧及び加熱
することができる構造になっている。
【0019】次に、図3に示す遊星歯車機構について説
明すると、図中10は上記天井部2の上面に固定された
円筒状の第1支持体、11はこの第1支持体10の上面
一側に固定された円板状の第2支持体、12はこの第2
支持体11の上面一側に固定された蓋状の第3支持体、
13は上記第1支持体の他側面に固定された断面略L字
状の第4支持体、14はこの第4支持体13の上面に固
定された第5支持体である。
【0020】20はハウジングで、このハウジング20
は、小径筒部21と、その下端に一体に連設された有底
大径筒部22と、その一側部に形成された開口部23に
一体に連設された水平管部24と、その先端に一体に連
設され、下端に開口部25を有する中空箱状部26とか
らなり、上記小径筒部21の上側部にはリング状突起部
27が一体に突設され、かつこのリング状突起部27の
外周面には平歯車28が設けられている。上記ハウジン
グ20は、その小径筒部21の側部中間部及び上端部が
上記第1支持体10及び第2支持体11に軸受29,2
9,29を介して回転可能に支承されており、またこの
小径筒部21の下部は上記天井部2を貫通して上記容器
1内に突出している。
【0021】30は、上記小径筒部21内に配設された
自転用主回転軸で、その上部はこの小径筒部21及び第
2支持体11の上方に突出し、上端部は第3支持体12
の凹部12a内に突入し、これら小径筒部21、第2支
持体11、第3支持体12に軸受31に回転可能に支承
されている。また、上記自転用主回転軸30の突出上側
部には先端側が斜め上向きに折曲されたリング状突起部
32が一体に突設され、その先端面にはかさ歯車33が
設けられている。
【0022】上記自転用主回転軸30の下端面には、上
記大径筒部22内に存して軸受34により回転可能に支
承された大径軸35が突設され、更にその下端面にかさ
歯車36が設けられており、このかさ歯車36に、上記
水平管部24内に軸受37を介して回転可能に支承され
た横回転軸38の一端面に設けられたかさ歯車39が噛
合されている。また、この横回転軸38の他端面にも上
記箱状部26内に存してかさ歯車40が取り付けられて
いる。41は、上記箱状部26内にその天井部に配設さ
れた軸受42によって回転可能に支承された傾斜回転軸
で、この回転軸41の下端面には、上記横回転軸38の
他端面に設けられたかさ歯車40と噛合するかさ歯車4
3を介して、箱状部26の開口部25に配設された軸受
44により回転可能に支承された上記スクリュー軸8が
連結されている。
【0023】50は、図示していないモータ等の回転駆
動装置と連結され、第3支持体12と第5支持体14と
の間に配設された軸受51及び第3支持体12の横凹所
12bに配設された軸受52により回転可能に支持され
た主回転軸で、その先部側外周面にはかさ歯車53が取
り付けられ、このかさ歯車53は、上記自転用主回転軸
30のリング状突起部32先端面に取り付けられたかさ
歯車33と噛合されている。
【0024】また、上記主回転軸50の外周面には、上
記かさ歯車53配設位置より後方に存してウォーム54
が取り付けられていると共に、このウォーム54は、垂
直方向に沿って配設され、第5支持体14と第2支持体
11との間に配設された軸受55及び第4支持体13と
第1支持体10との間に配設された軸受56により回転
可能に支持された公転用回転軸57の上端面に取り付け
られたウォーム58と噛合されている。更に、この公転
用回転軸57の外周面には平歯車59が取り付けられて
おり、この平歯車59は、上記ハウジング20の小径筒
部21のリング状突出部27先端面に取り付けられた平
歯車28と噛合されている。
【0025】従って、上記主回転軸50が回転すると
(図中A方向)、一方でそのかさ歯車53に自転用主回
転軸30のかさ歯車33が噛合されているので、上記主
回転軸50の回転と一体に自転用主回転軸30が回転し
(図中B方向)、更にかさ歯車36,39を介して横回
転軸38が回転し(図中C方向)、かさ歯車40,43
を介して傾斜回転軸41及びこれと一体にスクリュー軸
8が回転する(図中D方向)もので、これによりスクリ
ュー軸8が自転する。
【0026】他方、上記主回転軸50の回転と一体に、
そのウォーム54に公転用回転軸57のウォーム58が
噛合されていることにより、公転用回転軸57が回転し
(図中E方向)、更に、この回転軸57の平歯車59に
ハウジング20の平歯車28が噛合されていることによ
り、ハウジング20がその小径筒部21(自転用主回転
軸30)の中心軸線のまわりを回転し、従ってハウジン
グ20の水平管部24及び箱状部26が同中心軸線のま
わりを回転されることにより、箱状部26内に支持され
ているスクリュー軸8もこれと一体に同中心軸線のまわ
りを回転(公転)する。即ち、スクリュー軸8は上述し
たように一方で自転しているので、スクリュー軸8は自
転しながら公転するものである。
【0027】上記のように、スクリュー軸及びこれと一
体に螺旋状羽根は自転かつ公転するが、この際、スクリ
ュー軸及び羽根(スクリュー)は自転することにより内
容物を上下運動させ、公転することにより内容物を水平
円運動させてかき混ぜ、これにより単量体の蒸発を促進
させる。また、スクリューと逆円錐型容器内壁とは接触
しない程度の僅かな隙間になるようにクリアランスが調
整され、剪断効果で逆円錐型容器内壁付着物滞留物を掻
き落とし、単量体の蒸発を促進させる効果がある。
【0028】かかる精密ではあるが単純な構造により、
高粘度組成物の十分なかき混ぜ効果と熱伝達効果を達成
することができ、効率的に重合体組成物系から未反応の
単量体を除去することができる。また、滞留などによる
局部加熱での品質劣化も生じない。
【0029】なお、上記螺旋状羽根が左ネジタイプの場
合は時計方向、右ネジタイプの場合は反時計方向に上記
スクリュー軸を自転させて、上記螺旋状羽根で上記液状
物又は溶融物を下方に流動させるようにすることが、未
反応単量体のより効率的な除去及び容器内周壁上部に対
する組成物の付着低減などの点から好ましい。
【0030】ここで装置の構成材質は限定されるもので
ないが、ステンレスのような耐圧性、耐久性、防錆性材
料が一般的である。スクリュー軸の回転数は高速ほどか
き混ぜ効果は高まるが、液面上昇による充填量の減少や
所要動力の問題が生じ、低速の場合は高速の場合と反対
にあることを考慮し適宜選択される。自転数と公転数の
比(自転/公転)は20〜60、公転数は1〜10rp
mの範囲が一般的であり、本発明の目的を達成するのに
好適な範囲である。
【0031】次に、上記装置の使用方法について説明す
ると、逆円錐型容器中の単量体を含有する重合体組成物
を常圧或いは減圧下でかき混ぜながらジャケットを介し
て加熱し、単量体を含む溶媒を蒸発させて系外に除去す
るものである。逆円錐型容器中の重合体組成物は次第に
濃縮され、溶液状態から遂には溶融状態に変化する。こ
の場合、蒸発促進のため窒素ガスなどをキャリヤーガス
として使用することも有効である。
【0032】ここで、加熱の温度としては、溶媒が存在
する初期段階は少なくとも該逆円錐型容器の内圧におけ
る単量体の沸点或いは単量体と共存する溶媒との共沸点
以上にする必要があり、高温ほど、減圧度が高いほど、
キャリヤーガスが多いほど単量体除去の効率は高まる。
溶媒が減少した段階では、該重合体の軟化点以上にする
必要がある。例えば酢酸ビニルとメタノールを含有する
ポリ酢酸ビニルの場合、常圧における酢酸ビニルの沸点
は73.1℃、メタノールの沸点は64.65℃、酢酸
ビニルとメタノールの共沸点は58.8℃(化学便覧改
定3版、丸善)、ポリ酢酸ビニルの軟化点はその分子量
に依存し、重量平均分子量11,000で65℃、同5
00,000で230℃(KIRK−OTHMER E
NCYCLOPEDIA OF CHEMICAL T
ECHNOLOGY Vol.23.P.830(19
83)John Wiley & Sons)であり、
少なくともこれらの温度以上に設定する必要があるが、
減圧度、蒸発速度、該重合体の分子量、操作性などを考
慮して適宜選択することができる。操作は最初から該重
合体の軟化点以上に設定しても、当初は沸点或いは共沸
点以上とし、次いで軟化点以上に設定変更してもよい。
なお、加熱方法は熱媒、蒸気、電気などが熱源として適
宜選択し得る。また、蒸発して逆円錐型容器から系外に
除去された溶媒はコンデンサーなどで熱交換し凝縮さ
せ、溶液として回収するのが一般的であり、好適であ
る。
【0033】単量体除去は上記操作の如く蒸発だけで達
成されるのが除去溶媒量が少なく、エネルギー的にも望
ましいが、必ずしも上記方法に限定されるものではな
く、例えば溶媒量が減少し粘度が高まる操作後半に単量
体を含まない溶媒を連続あるいは間欠的に添加して粘度
を低下させ単量体除去を促進させる方法などが適宜選択
し得る。また、キャリヤーガスで蒸発除去を促進しても
構わない。
【0034】また、単量体の除去は、チューインガムベ
ース、接着剤などに用いる場合には臭気や引火など安
全、衛生、品質上の要請から重要であり、また、脱エス
テル化反応に用いる場合には着色など品質上の要請から
重要である。単量体除去の程度は、少なくとも0.1%
以下にすることが必要であり、更に少ないほど望まし
い。
【0035】単量体を除去し終えた逆円錐型容器中の重
合体は溶媒を加えて重合体溶液とするほか、該容器から
取り出し冷却固化することもできる。重合体溶液とする
場合は任意の濃度にすることができ、また溶媒の種類も
任意に選択することができる。例えば、重合時に使用し
た溶媒とは異なる溶媒とすることや2以上の混合溶媒と
することが可能である。このことは従来の追出蒸留塔方
式などでは達成できない本発明の特徴である。
【0036】これらの溶媒としては、メタノール、エタ
ノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケ
トンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエ
ステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族
類;ジオキサンなどのエーテル類;水等の単独或いは2
種以上の併用が含まれる。
【0037】重合体溶液は、けん化、エステル交換、ア
セタール化などの原料とすることができるほか、接着剤
などの製品あるいは原料とすることができる。冷却固化
物は、接着剤やガムなどの製品或いは原料とすることが
できる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の具体的態様を実施例により説
明するが、本発明はこの実施例の記載に限定されるもの
ではない。なお、下記の例において、単量体量の分析
は、JIS K6725(ポリ酢酸ビニル試験方法)に
準拠した方法で行った。
【0039】〔実施例1〕図1〜3の装置の逆円錐型容
器に平均重合度800のポリ酢酸ビニル600重量部、
メタノール200重量部、酢酸ビニル200重量部を仕
込み、スクリューの回転数を公転3.5rpm、自転1
00rpmに設定して溶解した。次に、逆円錐型容器の
ジャケットに160℃に調整した熱媒を循環させ昇温し
た。内温は急速に上昇し、昇温開始30分後には143
℃に達し、殆ど留出しなくなった。すでにポリ酢酸ビニ
ルは溶液状態から高粘度の溶融状態となっていたが、か
き混ぜ状態は良好であった。以降もこの状態は継続し、
ポリ酢酸ビニルの溶融物に含まれる単量体の除去は順調
になされた。蒸発したメタノールと酢酸ビニルは本体上
部の留出ノズルから系外に排出させ、コンデンサーで凝
縮回収除去した。単量体除去の経時変化を定期的にサン
プリング分析して求めた。その結果を図4に示した。
【0040】〔比較例1〕実施例の装置を錨型の撹拌翼
とジャケットを備えた図5に示す円筒型鏡底のステンレ
ス製槽に代え、実施例1と同様に平均重合度800のポ
リ酢酸ビニル600重量部、メタノール200重量部、
酢酸ビニル200重量部を仕込み、125rpmの速度
で溶解した。次にジャケットに160℃に調整した熱媒
を循環させて昇温した。内温は急速に上昇し、昇温開始
15分後には80℃に達したが、内容物全体が錨型の撹
拌翼に絡まり、共廻り状態になり、かき混ぜ状態は不良
であった。30分後には142℃に達したが、内容物は
高粘度の溶融状態となり、器壁に沿って付着して殆どか
き混ぜられず、かき混ぜ状態は不良であった。以降もこ
の状態は継続し、ポリ酢酸ビニルの溶融物に含まれる単
量体の除去性は低下し、1時間目以降は殆ど減少しなか
った。単量体除去の経時変化を実施例と共に図4に示し
た。
【0041】なお、図5において、aは容器、bはジャ
ケット、cは撹拌翼を示す。
【0042】〔比較例2〕比較例1と同じ装置を用い、
実施例1と同様に平均重合度800のポリ酢酸ビニル6
00重量部、メタノール200重量部、酢酸ビニル20
0重量部を仕込み、160rpmの速度で溶解した。次
にジャケットを80℃に設定して昇温し、メタノールを
排出されるメタノールの留出量に見合うように時間当た
り200重量部追加しながらメタノールと酢酸ビニルを
系外に排出させ、コンデンサーで凝縮し、回収除去し
た。この方法では追加した溶媒と共に単量体が蒸発除去
されるが、重合体溶液の濃度には変化がないため、かき
混ぜ状態は良好に維持されたが、単量体の除去には長時
間を要し、また多量の留出液が発生した。単量体除去の
経時変化を実施例とともに図4に示した。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、単量体を含有する重合
体組成物から単量体を殆ど含まない重合体を効率的かつ
経済的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一実施例を示す側面断面図であ
る。
【図2】同例の平面断面図である。
【図3】同例の遊星歯車機構の断面図である。
【図4】実施例及び比較例における単量体除去方法での
単量体除去量の経時変化を示すグラフである。
【図5】従来の装置の側面断面図である。
【符号の説明】
1 逆円錐型容器 6 加熱用ジャケット 7 螺旋状羽根 8 スクリュー軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 憲雄 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信 越化学工業株式会社高分子機能性材料研究 所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未反応単量体を含有するビニルエステル
    系重合体組成物から上記未反応単量体を除去する方法に
    おいて、上記ビニルエステル系重合体組成物を逆円錐型
    容器内で加熱下においてこの容器内周壁の母線方向に沿
    って配設したスクリューを自転かつ公転させることによ
    り撹拌して、上記重合体組成物中の未反応単量体を蒸発
    除去することを特徴とするビニルエステル系重合体組成
    物からの単量体除去方法。
  2. 【請求項2】 ビニルエステル系重合体組成物の加熱温
    度がこのビニルエステル系重合体の軟化点以上である請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 ビニルエステル系重合体がポリ酢酸ビニ
    ル又はポリ酢酸ビニルを主体とする共重合体である請求
    項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 未反応単量体を含有するビニルエステル
    系重合体組成物が入れられ、加熱用ジャケットが付設さ
    れた逆円錐型容器と、この容器内周壁の母線方向に沿っ
    て自転かつ公転可能に配設され、上記組成物を撹拌する
    スクリューと、このスクリューを自転させると共に、容
    器内周壁の周方向に沿って公転させる機構とを具備する
    ことを特徴とするビニルエステル系重合体組成物からの
    単量体除去装置。
  5. 【請求項5】 スクリューの配設数が1又は2であり、
    該スクリューの自転かつ公転時に上記容器内周壁に付着
    した重合体組成物を掻き落し可能な間隔を持って配設さ
    れた請求項4記載の装置。
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