JP3552367B2 - 横型エステル環状2量体製造装置及び製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸やポリグリコール酸の原料であるエステル環状2量体の製造装置および方法に関する。
【0002】
【従来技術】
生分解性または自然環境下で分解するポリマー等が環境保護の見地から注目されており、特にポリ乳酸やポリグリコール酸は、分解性や物性の点で優れており、その早期実用化が望まれている。このポリ乳酸やポリグリコール酸の原料であるラクチドやグリコリドのα−ヒドロキシカルボン酸類の環状2量体は、先ずα−ヒドロキシカルボン酸を加熱、減圧下等により脱水縮合させ中分子量のプレポリマーを得、次にこのプレポリマーを触媒存在下において加熱、減圧することにより解重合させて得る方法が知られている。
【0003】
ポリ乳酸やポリグリコール酸の解重合によるラクチド等の製造法として、例えば、特表平7−500091号を挙げることができる。この方法はワイプトフィルムエバポレーターを用いた製造方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ワイプトフィルムエバポレーターは滞留時間が短いため、one pathでは十分反応が進行せず、再循環させて収率を上げる必要がある。再循環操作は、ポンプや配管などをいたずらに複雑化し、工業生産上不利になる。しかも、該公報の技術を詳細に検討すると、その実施例にみるように、得られる粗ラクチドはかなり光学純度が低く不満足なものである。すなわち実施例のすべてにわたり、得られたラクチドのL体比率は90.8〜92.5%(平均91.6%)、不純物であるメソ−ラクチド(L/D混合物)を平均7.6%,同じくD−ラクチドを平均0.8%も含んでいる。すなわち解重合工程でラセミ化が相当強く進行している。
【0005】
また、セルフクリーニング二軸スクリュー押出機を用いた製造法も考えられるが、この押出機は滞留時間が短すぎる、装置が高価である、気液表面積が装置の大きさに比べて小さい等の問題点を有する。更に、この押出機は数万ポイズの高粘度物質の混練、押し出しには有効であるが、乳酸オリゴマーはラクチド合成の温度において、この押出機に最適の粘度とはなっていない。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決し、適度な滞留時間で、十分な気液界面をもつエステル環状2量体の製造装置およびその方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、回転可能な複数のディスクを内側に設置した中空反応器と、該反応器にα−ヒドロキシカルボン酸のプレポリマーを供給する供給手段と、該反応器内面を加熱する加熱手段と、該反応器を減圧操作する減圧手段と、該反応器で合成されたエステル環状2量体を捕捉する捕捉手段とからなる横型エステル環状2量体製造装置を提供する。
【0008】
ここで、エステル環状2量体とは、例えばラクチドやグリコリドをいい、α−ヒドロキシカルボン酸のプレポリマーとは、例えば乳酸、グリコール酸のプレポリマーをいうが、これらに限定されない。
【0009】
中空反応器の容量は得たいエステル環状2量体の量にもよるが、通常1〜100Lのものを用いる。ディスクの数は特に限定がなく、1枚でも2枚以上でもよいが、通常は2〜20枚、好ましくは5〜10枚程度を用いる。ディスクの回転数は特に限定なく、α−ヒドロキシカルボン酸プレポリマーの粘度により様々となる。すなわち、分子量がさほど大きくなく、粘度の低いα−ヒドロキシカルボン酸プレポリマーは回転数も大きく、分子量が大きく粘度の高いオリゴマーは回転数もおそくしなければならない。
【0010】
α−ヒドロキシカルボン酸プレポリマー供給手段とは、例えばα−ヒドロキシカルボン酸プレポリマータンク、送液ポンプ、配管からなり、送液ポンプとしてはギアポンプを用いることができる。但し、本発明の装置は連続式、バッチ式のいずれのエステル環状2量体製造にも使えるので、送液ポンプは必ずしも要らない。本発明で用いられるα−ヒドロキシカルボン酸のプレポリマー、例えば乳酸プレポリマーは、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸或いはこれらの乳酸の水溶液を加熱、減圧等により脱水・縮合させることにより得ることができる。こうして得られる乳酸プレポリマーの分子量は1000以上100,000以下のものが用いられるが、留出工程で得られるラクチドの化学純度を高くする為には4,000以上のものを用いることが好ましい。また、分子量50,000より大きい乳酸プレポリマーは、乳酸或いは乳酸水溶液の脱水縮合により得る時、長い反応時間或いは高い真空度等非経済的な製造条件を必要とする為好ましくない。
【0011】
光学純度の高いLL−ラクチド或いはDD−ラクチドを得る場合それぞれ光学純度90% e.e. 以上、更に好ましくは95% e.e. 以上のL−乳酸プレポリマー、D−乳酸プレポリマーが用いられる。光学純度が90% e.e. より低いL−乳酸プレポリマー或いはD−乳酸プレポリマーを用いた場合、得られるラクチドの光学純度が低くなり、光学純度を向上させる為再結晶等の精製操作を行ったとしても収率が著しく低下する。また、乳酸プレポリマーの光学純度はその原料である乳酸の光学純度以下となるので、光学純度の高いLL−ラクチド或いはDD−ラクチドを得る為に光学純度の高い乳酸プレポリマーを用いる場合、それぞれ少なくとも光学純度90% e.e. 以上のL−乳酸或いはD−乳酸から得られた乳酸プレポリマーを使用することが好ましい。
【0012】
本発明で用いる乳酸プレポリマー等を解重合させる触媒としては、一般にエステル交換触媒として知られている錫、アンチモン、亜鉛、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の金属、これらの金属の酸化物、ハロゲン化物、有機酸塩、有機金属化合物等が単独で或いは併用して用いられる。特に好ましい解重合触媒としては、酸化錫、塩化錫等のハロゲン化錫、ジオクチル酸錫、乳酸錫、シュウ酸錫、ジカプリル酸錫、ジラリウル酸錫、ジパルチミン酸錫、ジオレイン酸錫等の錫の有機酸塩、3酸化2アンチモン、5酸化2アンチモン、トリフェニルスチビン等のアンチモン化合物が用いられる。
【0013】
解重合触媒は解重合反応を十分速くする為反応器中に5.1〜25.0重量%以下の量を存在させて用いられる。5.1%より少ない場合、解重合反応の速度が遅く長い滞留時間が必要となる為経済的でなく、また長い滞留時間のためラセミ化反応の進行が大きくなり、得られるラクチド等の光学純度が低下し、再結晶等の精製手段により光学純度のより高いラクチド等を得る場合収率が低下する。25%より多い場合、それ以上解重合反応を速める或いは触媒の寿命を延ばす効果の向上が無い為経済的でない。
【0014】
反応器の内面を加熱する加熱手段としては、例えば熱媒ジャケット、電気ヒータ等を用いることができるが、これらに限定されない。前記中空反応器内のディスクおよびその回転軸を中空にし、そこに熱媒を流すものがディスクを加熱できる点で好ましい。熱媒としては、ホットオイル、アルコール、スチームなどを用いることができる。
【0015】
反応器の温度は150℃以上260℃以下、更に好ましくは180℃以上240℃以下に保たれる。150℃より低いと十分な解重合反応の速度が得られず経済的でない。260℃より高いとラセミ化反応の進行が大きくなり、得られるラクチド等の光学純度が低下する。また、再結晶等の精製手段により光学純度の高いラクチド等を得る場合、精製工程での収率が低下する。
【0016】
反応器を減圧操作する減圧手段は、従来より知られている真空ポンプを用いることができ、反応器の圧力は30Torr以下に保たれる。30Torrを越えると生成したラクチド等の留出速度が遅く、長い滞留時間が必要となり経済的でない。また、ラセミ化反応の進行が大きくなり得られるラクチド等の光学純度が低下する。また再結晶等の精製手段により、光学純度の高いラクチド等を得る場合精製工程での収率が低下する。
【0017】
反応器で合成されたラクチド等を捕捉する捕捉手段は、反応器から気化して留出してくるラクチドを凝縮するもので、公知のコンデンサーを使うことができる。コンデンサーは空冷、水冷されている。
【0018】
なお、本装置でのエステル環状2量体製造は、α−ヒドロキシカルボン酸のプレポリマーをディスクの回転軸を越えないように供給し、ディスクの表面にα−ヒドロキシカルボン酸のプレポリマーを付着させながらエステル環状2量体が気化する表面積(蒸発面積)を稼いで行う。蒸発面積と反応物質の体積(単位リットル)との比を有効蒸発面積とすると、高い効率で反応させるには、有効蒸発面積は200cm2 /l以上、好ましくは400cm2 /l以上、更に好ましくは600cm2 /l以上が必要である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の製造装置の概略図を図1に示す。図中10が中空反応器本体で、本体10内には複数のディスク(7枚)11が収容されており、複数のディスクは回転軸12を中心として図示しないモータで回転させられる。ディスク11及び回転軸12は中空であり、その内部に熱媒が流入出される(図の4から熱媒が入り、5の方向に熱媒が出る)。また本体10の周囲は熱媒ジャケット7で包囲されており、熱媒ジャケット7には、熱媒入口8及び熱媒出口9が設けられ、本体10を加熱する。なお、熱媒としては反応器の温度を150℃以上260℃以下に制御できる液体を用いる。
【0020】
反応器本体10の上部にはα−ヒドロキシカルボン酸のプレポリマー供給口14及びエステル環状2量体留出口15が設けられる。α−ヒドロキシカルボン酸プレポリマー供給口14にはα−ヒドロキシカルボン酸プレポリマー供給配管16が接続され、供給配管16には送液ポンプ17が設置されている。送液ポンプ17はα−ヒドロキシカルボン酸プレポリマータンク1からα−ヒドロキシカルボン酸プレポリマーを反応器本体10内に供給する。
【0021】
また、エステル環状2量体留出口15にはエステル環状2量体留出配管18が接続され、配管18にはコンデンサー13が設置されている。コンデンサー13は冷却されており、ここでエステル環状2量体が凝縮してエステル環状2量体受器3に受けられる。
なお、反応器本体10及びコンデンサー13は真空ポンプ2で減圧されている。また、図示されていないが、反応器本体Rの上部には触媒投入口が、下部には排出口が設けられている。
【0022】
以上の構成で例えばラクチドを製造するには、先ず反応器本体10に触媒を投入し、送液ポンプ17によりα−ヒドロキシカルボン酸プレポリマータンク1から乳酸プレポリマーを反応器本体10内に供給する。乳酸プレポリマーの液面6は回転軸12を越えないように制御する。
【0023】
反応器本体10の圧力を真空ポンプ2により所定圧に保つとともに、反応器本体10の温度を熱媒ジャケット7およびディスク11、回転軸12への熱媒により所定温度に制御する。ディスク11を図示しないモータで回転させて、反応器本体10内に溜まった触媒を含有する乳酸プレポリマーをかき上げ、ディスク11の表面付着させ、ラクチドを合成する。ラクチドは減圧操作によりガス化し、コンデンサー13内に入る。コンデンサー13ではラクチドは凝縮し、エステル環状2量体受器3で受けられる。
【0024】
なお、以上の説明は、乳酸プレポリマーを送液ポンプ13により連続的に反応器本体10に供給する連続式の製造法を説明したが、本発明はこれに限定されず、バッチ式の製造にも適用できる。この場合にはα−ヒドロキシカルボン酸プレポリマータンク1及び送液ポンプ17は不要である。更に、プレポリマーとしてグリコール酸を用いればグリコリドも製造できる。
【0025】
【実施例】
本発明の効果を以下の実験で確かめた。
[実施例1]
直径130mmの内部を流通する熱媒により加熱が可能な回転ディスクを5枚持つ、内径150mm、長さ600mmの流通する熱媒により加熱が可能な横型反応器を用いた。また、この反応器にはコンデンサ−、減圧装置及びギアポンプにより外部より原料である乳酸プレポリマーを供給する供給装置が接続されている。
【0026】
乳酸プレポリマーとして光学純度99.2% e.e. ,濃度90.2%(乳酸換算濃度)のL−乳酸を加熱,減圧により脱水縮合して得た重量平均分子量5000,光学純度99.1% e.e. の乳酸プレポリマーを用いた。
反応器に触媒としてジオクチル酸錫200g(10重量%)を投入し、内温220℃に保ち、コンデンサーの温度を100℃に保つ。140℃に加熱した乳酸プレポリマーをギアポンプにより反応器内の液重量が2kgに保たれる流量で、反応器に供給し、反応器内の圧力を2Torrに保ち、連続的にラクチドを留去した。
【0027】
乳酸プレポリマー供給量は5.76kg/時、ラクチドの留出量は5.65kg/時であった。
留出したラクチドの化学純度は96.0%、光学純度は95.0% e.e. であった。なお、化学純度はオクタデシル基で修飾したシリカゲルを充填剤としたカラムを用いた液体クロマトグラフィーを使いUV検出器で測定した。光学純度は加水分解後、L−アミノ酸誘導体で修飾したシリカゲルを充填剤とした光学分割カラムを用いた液体クロマトグラフィーを使いUV検出器で測定した。乳酸プレポリマーの分子量はポリスチレンを標準物質とするGPCを用い、その重量平均分子量をRI検出器で測定した。
【0028】
[実施例2]
直径130mmの内部を流通する熱媒により加熱が可能な回転ディスクを10枚持つ、内径150mm、長さ600mmの流通する熱媒により加熱が可能な横型反応器を用いた。また、この反応器にはコンデンサ−、減圧装置及びギアポンプにより外部より原料である乳酸プレポリマーを供給する供給装置が接続されている。
【0029】
乳酸プレポリマーとして光学純度99.2% e.e. ,濃度90.2%(乳酸換算濃度)のL−乳酸を加熱,減圧により脱水縮合して得た重量平均分子量5000,光学純度99.1% e.e. の乳酸プレポリマーを用いた。
反応器に触媒としてジオクチル酸錫300g(10重量%)を投入し、内温220℃に保ち、コンデンサーの温度を100℃に保つ。140℃に加熱した乳酸プレポリマーをギアポンプにより反応器内の液重量が2kgに保たれる流量で、反応器に供給し、反応器内の圧力を2Torrに保ち、連続的にラクチドを留去した。
【0030】
乳酸プレポリマー供給量は7.63kg/時、ラクチドの留出量は7.51kg/時であった。
留出したラクチドの化学純度は95.8%、光学純度は95.6% e.e. であった。なお、化学純度、光学純度、乳酸プレポリマーの分子量は実施例1と同様の方法で測定した。
【0031】
[実施例3]
直径130mmの内部を流通する熱媒により加熱が可能な回転ディスクを20枚持つ、内径150mm、長さ600mmの流通する熱媒により加熱が可能な横型反応器を用いた。また、この反応器にはコンデンサ−、減圧装置及びギアポンプにより外部より原料である乳酸プレポリマーを供給する供給装置が接続されている。
【0032】
乳酸プレポリマーとして光学純度99.2% e.e. ,濃度90.2%(乳酸換算濃度)のL−乳酸を加熱,減圧により脱水縮合して得た重量平均分子量5000,光学純度99.1% e.e. の乳酸プレポリマーを用いた。
反応器に触媒としてジオクチル酸錫200g(10重量%)を投入し、内温220℃に保ち、コンデンサーの温度を100℃に保つ。140℃に加熱した乳酸プレポリマーをギアポンプにより反応器内の液重量が2kgに保たれる流量で、反応器に供給し、反応器内の圧力を2Torrに保ち、連続的にラクチドを留去した。
【0033】
乳酸プレポリマー供給量は10.17kg/時、ラクチドの留出量は9.95kg/時であった。
留出したラクチドの化学純度は95.5%、光学純度は96.8% e.e. であった。なお、化学純度、光学純度、乳酸プレポリマーの分子量は実施例1と同様の方法で測定した。
【0034】
[実施例4]
直径130mmの内部を流通する熱媒により加熱が可能な回転ディスクを5枚持つ、内径150mm、長さ600mmの流通する熱媒により加熱が可能な横型反応器を用いた。また、この反応器にはコンデンサ−、減圧装置及びギアポンプにより外部より原料である乳酸プレポリマーを供給する供給装置が接続されている。
【0035】
乳酸プレポリマーとして光学純度99.2% e.e. ,濃度90.2%(乳酸換算濃度)のL−乳酸を加熱,減圧により脱水縮合して得た重量平均分子量10000,光学純度99.0% e.e. の乳酸プレポリマーを用いた。
反応器に触媒として酸化錫400g(20重量%)を投入し、内温200℃に保ち、コンデンサーの温度を100℃に保つ。140℃に加熱した乳酸プレポリマーをギアポンプにより反応器内の液重量が2kgに保たれる流量で、反応器に供給し、反応器内の圧力を5Torrに保ち、連続的にラクチドを留去した。
【0036】
乳酸プレポリマー供給量は7.91kg/時、ラクチドの留出量は7.61kg/時であった。
留出したラクチドの化学純度は95.4%、光学純度は95.4% e.e. であった。なお、化学純度、光学純度、乳酸プレポリマーの分子量は実施例1と同様の方法で測定した。
【0037】
[実施例5]
直径130mmの内部を流通する熱媒により加熱が可能な回転ディスクを5枚持つ、内径150mm、長さ600mmの流通する熱媒により加熱が可能な横型反応器を用いた。また、この反応器にはコンデンサ−、減圧装置及びギアポンプにより外部より原料である乳酸プレポリマーを供給する供給装置が接続されている。
【0038】
乳酸プレポリマーとして光学純度99.2% e.e. ,濃度90.2%(乳酸換算濃度)のL−乳酸を加熱,減圧により脱水縮合して得た重量平均分子量20000,光学純度98.9% e.e. の乳酸プレポリマーを用いた。
反応器に触媒として塩化錫200g(10重量%)を投入し、内温200℃に保ち、コンデンサーの温度を100℃に保つ。140℃に加熱した乳酸プレポリマーをギアポンプにより反応器内の液重量が2kgに保たれる流量で、反応器に供給し、反応器内の圧力を5Torrに保ち、連続的にラクチドを留去した。
【0039】
乳酸プレポリマー供給量は7.23kg/時、ラクチドの留出量は7.01kg/時であった。
留出したラクチドの化学純度は95.1%、光学純度は95.2% e.e. であった。なお、化学純度、光学純度、乳酸プレポリマーの分子量は実施例1と同様の方法で測定した。
【0040】
[比較例1]
内径200mm、直胴部400mmで下部にテーパーを持ち、熱媒により加熱可能なタンクに、錨型翼を1枚持つ攪拌装置を備えた反応器を用いた。また、この反応器にはコンデンサ−、減圧装置及びギアポンプにより外部より原料である乳酸プレポリマーを供給する供給装置が接続されている。
【0041】
乳酸プレポリマーとして光学純度99.2% e.e. ,濃度90.2%(乳酸換算濃度)のL−乳酸を加熱,減圧により脱水縮合して得た重量平均分子量20000,光学純度98.9% e.e. の乳酸プレポリマーを用いた。
反応器に触媒としてジオクチル酸錫500g(10重量%)を投入し、内温220℃に保ち、コンデンサーの温度を100℃に保つ。140℃に加熱した乳酸プレポリマーをギアポンプにより反応器内の液重量が5kgに保たれる流量で、反応器に供給し、反応器内の圧力を2Torrに保ち、連続的にラクチドを留去した。
【0042】
乳酸プレポリマー供給量は4.22kg/時、ラクチドの留出量は3.97kg/時であった。
留出したラクチドの化学純度は91.4%、光学純度は93.1% e.e. であった。なお、化学純度、光学純度、乳酸プレポリマーの分子量は実施例1と同様の方法で測定した。
【0043】
[比較例2]
内径200mm、直胴部400mmで下部にテーパーを持ち、熱媒により加熱可能なタンクに、錨型翼を1枚持つ攪拌装置を備えた反応器を用いた。また、この反応器にはコンデンサ−、減圧装置及びギアポンプにより外部より原料である乳酸プレポリマーを供給する供給装置が接続されている。
【0044】
乳酸プレポリマーとして光学純度99.2% e.e. ,濃度90.2%(乳酸換算濃度)のL−乳酸を加熱,減圧により脱水縮合して得た重量平均分子量5000,光学純度99.1% e.e. の乳酸プレポリマーを用いた。
反応器に触媒として酸化錫500g(10重量%)を投入し、内温200℃に保ち、コンデンサーの温度を100℃に保つ。140℃に加熱した乳酸プレポリマーをギアポンプにより反応器内の液重量が5kgに保たれる流量で、反応器に供給し、反応器内の圧力を2Torrに保ち、連続的にラクチドを留去した。
【0045】
乳酸プレポリマー供給量は3.94kg/時、ラクチドの留出量は3.68kg/時であった。
留出したラクチドの化学純度は92.3%、光学純度は91.9% e.e. であった。なお、化学純度、光学純度、乳酸プレポリマーの分子量は実施例1と同様の方法で測定した。
【0046】
以上の実施例及び比較例をまとめたもの表1に示す。
【表1】
表1より明らかなように攪拌装置に本発明のディスクを使用すれば、錨型翼を持つ従来例に比し、ラクチドの化学純度および光学純度が上がる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、適度な滞留時間で、十分な気液界面をもつエステル環状2量体の製造装置を提供でき、エステル環状2量体の化学純度および光学純度が上がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の横型エステル環状2量体製造装置の概略図
【符号の説明】
1:α−ヒドロキシカルボン酸プレポリマータンク 2:真空ポンプ
10:反応器本体 11:ディスク
12:回転軸 13:コンデンサー
Claims (5)
- 回転可能な複数のディスクを内側に設置した中空反応器と、該反応器にα−ヒドロキシカルボン酸のプレポリマーを供給する供給手段と、該反応器内面を加熱する加熱手段と、該反応器を減圧操作する減圧手段と、該反応器で合成されたエステル環状2量体を捕捉する捕捉手段とからなる横型エステル環状2量体製造装置。
- ディスクの枚数が2〜20枚である請求項1記載の横型エステル環状2量体製造装置。
- 加熱手段がディスク及びその回転軸を中空とし、該ディスク内に熱媒を流すことからなる請求項1〜2記載の横型エステル環状2量体製造装置。
- 請求項1の装置を用い、ディスクの回転軸を越えないようにα−ヒドロキシカルボン酸のプレポリマーを供給し、ディスクの表面にα−ヒドロキシカルボン酸を付着させながらエステル環状2量体を製造するエステル環状2量体の製造方法。
- α−ヒドロキシカルボン酸のプレポリマーが乳酸プレポリマーであって、触媒として錫系化合物を5.1〜25.0重量%添加する請求項4記載のラクチドの製造方法。
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