JPH0987278A - ジチアペンタセンテトラオン誘導体およびこれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ジチアペンタセンテトラオン誘導体およびこれを用いた電子写真感光体

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JPH0987278A
JPH0987278A JP24477695A JP24477695A JPH0987278A JP H0987278 A JPH0987278 A JP H0987278A JP 24477695 A JP24477695 A JP 24477695A JP 24477695 A JP24477695 A JP 24477695A JP H0987278 A JPH0987278 A JP H0987278A
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electron
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JP24477695A
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English (en)
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Akio Sugai
章雄 菅井
Nobuko Akiba
伸子 秋葉
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Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子輸送能に優れた新規なジチアペンタセン
テトラオン誘導体および優れた感度を示す電子写真感光
体を提供する。 【解決手段】 本発明のジチアペンタセンテトラオン誘
導体は、一般式(1): 【化1】 (式中、R1 およびR2 は、同一または異なって、水素
原子、アルキル基およびアリール基を示す。)で表され
る。また、本発明の電子写真感光体は、上記一般式(1)
で表されるジチアペンタセンテトラオン誘導体を含有し
た有機感光層を、導電性基体上に形成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電式複写機、レ
ーザープリンタ、普通紙ファクシミリ装置等の画像形成
装置に使用される電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】カールソンプロセスを用いた複写機、フ
ァクシミリ、レーザープリンタ等の画像形成装置におい
ては、種々の材料からなる電子写真感光体が使用されて
いる。その1つはセレンのような無機材料を感光層に用
いた無機感光体であり、他は有機材料を感光層に用いた
有機感光体(OPC)である。このうち、有機感光体は
無機感光体に比べて安価でしかも生産性が高く、無公害
である等の多くの利点を有していることから、広範な研
究が進められている。
【0003】有機感光体としては、電荷発生層と電荷輸
送層とを積層した積層型の感光体、いわゆる機能分離型
の感光体が多いが、電荷発生剤と電荷輸送剤とを感光層
中に分散させた単層型の感光体も知られている。これら
の感光体に使用される電荷輸送剤にはキャリヤ移動度が
高いことが要求されているが、キャリヤ移動度が高い電
荷輸送剤のほとんどが正孔輸送性であるため、実用に供
されている有機感光体は、機械的強度の観点から、最外
層に電荷輸送層が設けられた負帯電型の積層型有機感光
体に限られている。しかし、負帯電型の有機感光体は負
極性コロナ放電を利用するため、オゾンの発生量が多
く、環境を汚染したり、感光体を劣化させるなどの問題
が生じる。
【0004】そこで、このような欠点を排除するため
に、電荷輸送剤として電子輸送剤を使用することが検討
されており、例えば特開平1−206349号公報に
は、ジフェノキノン構造を有する化合物を電子写真感光
体用の電子輸送剤として使用することが提案されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
ジフェノキノン誘導体などの従来の電子輸送剤は、電荷
発生剤とのマッチングが困難であり、電荷発生剤から電
子輸送剤への電子注入が不十分になる。また、かかる電
子輸送剤は、結着樹脂との相溶性が乏しく、ホッピング
距離が長くなるため、低電界での電子移動が生じ難い。
従って、従来の電子輸送剤を含有する感光体は、残留電
位が高くなり、感度が低いという問題があった。
【0006】本発明の目的は、上記した技術的課題を解
決し、電子写真感光体における電子輸送剤などの用途に
好適な新規化合物を提供することである。本発明の他の
目的は、従来よりも感度が向上した電子写真感光体を提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、一般式(1):
【0008】
【化3】
【0009】(式中、R1 およびR2 は、同一または異
なって、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基お
よび置換基を有してもよいアリール基を示す。)で表さ
れるジチアペンタセンテトラオン誘導体、すなわち6,
13−ジチアペンタセン−5,7,12,14−テトラ
オン誘導体が、従来のジフェノキノン誘導体よりも高い
電子輸送能を有するという新たな事実を見出し、本発明
を完成するに至った。
【0010】また、本発明の電子写真感光体は、導電性
基体上に感光層を設けたものであって、この感光層が、
上記一般式(1) で表されるジチアペンタセンテトラオン
誘導体を含有することを特徴とする。上記一般式(1) で
表される本発明のジチアペンタセンテトラオン誘導体
は、溶剤への溶解性および結着樹脂との相溶性が良好
で、かつ電荷発生剤とのマッチングが優れていることか
ら、かかる誘導体(1) を電子写真感光体における電子輸
送剤として使用することにより、高感度な感光体を提供
することができる。
【0011】さらに、本発明のジチアペンタセンテトラ
オン誘導体(1) は、その高い電子輸送能を利用して、太
陽電池、EL素子などの用途にも使用できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明のジチアペンタセン
テトラオン誘導体(1) について詳細に説明する。置換基
1 およびR2 に相当するアルキル基としては、例えば
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブ
チル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル等の炭素数が1〜6の基があげられる。ア
リール基としては、例えばフェニル、トリル、キシリ
ル、ビフェニリル、o−テルフェニル、ナフチル、アン
トリル、フェナントリル等の基があげられる。
【0013】アルキル基に置換してもよい置換基として
は、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン
原子;上記例示のアリール基;メトキシ、エトキシ、n
−プロポキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ペンチ
ルオキシ、ヘキシルオキシ等のアルコキシ基およびアセ
チル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリ
ル、イソバレリル、ピバロイル、ベンゾイル、2−ナフ
トイル、o−トルオイル等のアシル基等があげられる。
アリール基に置換してもよい置換基としては、例えば上
記例示のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシ
ル基、ハロゲン原子等があげられる。また、かかる置換
基の置換位置については特に限定されない。
【0014】上記一般式(1) で表されるジチアペンタセ
ンテトラオン誘導体の具体例としては、例えば下記式(1
-1) 〜(1-4) で表される化合物があげられる。
【0015】
【化4】
【0016】本発明のジチアペンタセンテトラオン誘導
体(1) は、例えば、反応行程式(I):
【0017】
【化5】
【0018】(式中、R1 およびR2 は、前記と同様な
基を示す。)で表されるように、一般式(2) で表される
2,3−ジクロロ−1,4−ジナフトキノン誘導体と硫
化ナトリウム九水和物とを反応させた後、さらに一般式
(2')で表される2,3−ジクロロ−1,4−ジナフトキ
ノン誘導体を反応させることによって得られる。
【0019】次に、本発明の電子写真感光体について詳
細に説明する。本発明の電子写真感光体は、前述のよう
に、導電性基体上に感光層を設けたものであって、この
感光層が上記一般式(1) で表されるジチアペンタセンテ
トラオン誘導体を含有することを特徴とする。本発明の
電子写真感光体は、単層型と積層型のいずれであっても
よいが、前記電子輸送剤の使用による効果は単層型感光
体において顕著に現れる。
【0020】単層型の電子写真感光体は、導電性基体上
に感光層を設けたものであって、この感光層が、少なく
とも電荷発生剤、正孔輸送剤とともに、電子輸送剤とし
てジチアペンタセンテトラオン(1) を含有した結着樹脂
からなる。この単層型感光体は正帯電および負帯電のい
ずれにも適用可能であるが、特に正帯電型で使用するの
が好ましい。
【0021】本発明の単層型電子写真感光体は、従来の
単層型電子写真感光体に比べて感光体の残留電位が大き
く低下しており、感度が向上している。さらに、上記単
層型電子写真感光体の感光層に−0.8〜−1.4Vの
酸化還元電位を有する電子受容性化合物を含有させる
と、電荷発生剤からの電子の引抜きが効率よく行われる
ようになり、感光体の感度がより一層向上する。
【0022】一方、積層型電子写真感光体は、導電性基
体上に少なくとも電荷発生層および電荷輸送層をこの順
に設けたものであって、前記電荷輸送層に電子輸送剤と
してジチアペンタセンテトラオン(1) を含有したもので
ある。この積層型電子写真感光体は、従来の積層型電子
写真感光体に比べて残留電位が大きく低下しており、感
度が向上している。また、電荷発生層から電荷輸送層へ
の電子の授受をより円滑に行わせるために、電荷発生層
にもジチアペンタセンテトラオン誘導体(1) を含有させ
るのが好ましい。
【0023】前述の導電性基体上に少なくとも電荷発生
層および電荷輸送層をこの順に設けた積層型電子写真感
光体において、電荷発生層に−0.8〜−1.4Vの酸
化還元電位を有する電子受容性化合物を含有させると、
感光体の感度がより一層向上する。本発明のジチアペン
タセンテトラオン誘導体(1) は、前述のように、溶剤へ
の溶解性および結着樹脂との相溶性が良好であるととも
に、電荷発生剤とのマッチングに優れていることから、
電子の注入が円滑に行われ、とりわけ低電界での電子輸
送性に優れている。
【0024】従って、例えば正帯電の単層型感光体で
は、露光工程において電荷発生剤から放出された電子が
前記一般式(1) で表される電子輸送剤にスムーズに注入
される。次いで、電子輸送剤間での電子の授受により、
電子が感光層の表面に移動し、あらかじめ感光層表面に
帯電させた正電荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)
は正孔輸送剤に注入されて、途中でトラップされること
なく導電性基体の表面に移動し、導電性基体の表面の負
電荷(−)を打ち消す。このようにして正帯電の単層型
感光体の感度が向上するものと考えられる。負帯電の単
層型感光体は、上記と電荷移動の方向が逆になるだけで
あって、同様に感度が向上する。
【0025】また、正帯電の積層型感光体では、露光工
程において電荷発生層の電荷発生剤から放出された電子
が、電荷輸送層中の前記一般式(1) で表される電子輸送
剤にスムーズに注入される。次いで、電子輸送剤間での
電子の授受により、電子が電荷輸送層中を移動し、感光
層表面に達し、あらかじめ感光層表面に帯電させた正電
荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)は電荷発生層か
ら直接導電性基体の表面に移動し、導電性基体の表面の
負電荷(−)を打ち消す。このようにして正帯電の積層
型感光体の感度が向上するものと考えられる。
【0026】感光体への露光により光を吸収した電荷発
生剤は、イオン対〔正孔(+)と電子(−)〕を生成す
る。この生成したイオン対がフリーキャリヤとなり有効
に表面電荷を打ち消すためには、イオン対が再結合して
消失してしまう割合が小さいほうがよい。ここで、酸化
還元電位が−0.8〜−1.4Vである電子受容性化合
物が存在すると、LUMO(電子を有していない分子軌
道の中で最もエネルギー準位が低い軌道をいい、励起さ
れた電子は通常この軌道に移動する。)のエネルギー準
位が電荷発生剤よりも低いため、イオン対の生成の際に
電子が電子受容性化合物へ移動し、イオン対がキャリヤ
へ分離し易くなる。すなわち、電子受容性化合物が電荷
発生に作用し、その発生効率を向上させるのである。
【0027】一方、高感度であるためには、フリーキャ
リヤの移動時に不純物によるキャリヤトラップが発生し
ないことも必要である。通常、フリーキャリヤの移動過
程には少量の不純物などによるトラップが存在し、フリ
ーキャリヤは、トラップ−脱トラップを繰り返しながら
移動する。従って、フリーキャリヤが脱トラップ不可能
なレベルに落ち込むと、キャリヤトラップとなってしま
い、その移動は中止される。
【0028】酸化還元電位が−0.8Vよりも大きい電
子受容性化合物を使用した場合は、分離したフリーキャ
リヤを脱トラップ不可能なレベルに落とし込み、キャリ
ヤトラップを生じる。これとは逆に、酸化還元電位が−
1.4Vより小さい電子受容性化合物を使用した場合
は、LUMOのエネルギー準位が電荷発生剤よりも高く
なり、イオン対の生成の際に電子が電子受容性化合物に
移動せず、電荷発生効率の向上につながらないものと考
えられる。
【0029】前述の酸化還元電位は、図1に示すよう
に、索引電圧(V)と電流(μA)との関係から同図に
示すE1 とE2 を求め、次式を用いて算出した。 酸化還元電位(V)=(E1 +E2 )/2 なお、上記索引電圧(V)および電流(μA)は、以下
の材料を調合した測定溶液を用い、3電極式のサイクリ
ックボルターメトリーにて測定した。
【0030】 電極:作用電極(グラッシーカーボン電極)、対極(白金電極) 参照電極:銀硝酸電極 (0.1モル/リットルAgNO3 −アセトニトリル溶液) 測定溶液 電解質:過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム 0.1モル 測定物質:電子輸送剤 0.001モル 溶剤:CH2 Cl2 1リットル 次に、本発明の電子写真感光体に用いられる種々の材料
について説明する。 〈正孔輸送剤〉正孔輸送剤としては、例えば下記の一般
式(HT1) 〜(HT13)で表される化合物があげられる。
【0031】
【化6】
【0032】(式中、R8 、R9 、R10、R11、R12
よびR13は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原
子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有して
もよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリー
ル基を示す。aおよびbは同一または異なって1〜4の
整数を示し、c,d,eおよびfは同一または異なって
1〜5の整数を示す。なお、a,b,c,d,eまたは
fが2以上のとき、各R 8 、R9 、R10、R11、R12
よびR13は異なっていてもよい。)
【0033】
【化7】
【0034】(式中、R14、R15、R16、R17およびR
18は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置
換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい
アルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を
示す。g,h,iおよびjは同一または異なって1〜5
の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。なお、g,
h,i,jまたはkが2以上のとき、各R14、R15、R
16、R17およびR18は異なっていてもよい。)
【0035】
【化8】
【0036】(式中、R19、R20、R21およびR22は同
一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を
有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコ
キシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。
23は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよ
いアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基
を示す。m,n,oおよびpは同一または異なって、1
〜5の整数を示す。qは1〜6の整数を示す。なお、
m,n,o,pまたはqが2以上のとき、各R19
20、R21、R22およびR23は異なっていてもよい。)
【0037】
【化9】
【0038】(式中、R24、R25、R26およびR27は同
一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を
有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコ
キシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。
r,s,tおよびuは同一または異なって、1〜5の整
数を示す。なお、r,s,tまたはuが2以上のとき、
各R24、R25、R26およびR27は異なっていてもよ
い。)
【0039】
【化10】
【0040】(式中、R28およびR29は同一または異な
って、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアル
コキシ基を示す。R30、R31、R32およびR33は同一ま
たは異なって、水素原子、アルキル基またはアリール基
を示す。)
【0041】
【化11】
【0042】(式中、R34、R35およびR36は同一また
は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基また
はアルコキシ基を示す。)
【0043】
【化12】
【0044】(式中、R37、R38、R39およびR40は同
一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル
基またはアルコキシ基を示す。)
【0045】
【化13】
【0046】(式中、R41、R42、R43、R44およびR
45は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、ア
ルキル基またはアルコキシ基を示す。)
【0047】
【化14】
【0048】(式中、R46は水素原子またはアルキル基
を示し、R47、R48およびR49は同一または異なって、
水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ
基を示す。)
【0049】
【化15】
【0050】(式中、R50、R51およびR52は同一また
は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基また
はアルコキシ基を示す。)
【0051】
【化16】
【0052】(式中、R53およびR54は同一または異な
って、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい
アルキル基または置換基を有してもよいアルコキシ基を
示す。R55およびR56は同一または異なって、水素原
子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有
してもよいアリール基を示す。)
【0053】
【化17】
【0054】(式中、R57、R58、R59、R60、R61
よびR62は同一または異なって、水素原子、置換基を有
してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキ
シ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。α
は1〜10の整数を示し、v,w,x,y,zおよびβ
は同一または異なって1または2である。なお、v,
w,x,y,zまたはβが2のとき、各R57、R58、R
59、R60、R61およびR62は異なっていてもよい。)
【0055】
【化18】
【0056】(式中、R63、R64、R65およびR66は同
一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル
基またはアルコキシ基を示し、Arは
【0057】
【化19】
【0058】で表される基(Ar1),(Ar2)また
は(Ar3)を示す。) 上記例示の正孔輸送剤において、アルキル基、アリール
基、アルコキシ基およびハロゲン原子としては、前述と
同様である。上記基に置換してもよい置換基としては、
例えばハロゲン原子、アミノ基、水酸基、エステル化さ
れていてもよいカルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜
6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリー
ル基を有することのある炭素数2〜6のアルケニル基等
が挙げられる。また、前記置換基の置換位置については
特に限定されない。
【0059】また、本発明においては、上記例示のほか
に従来公知の正孔輸送物質、すなわち、例えば2,5−
ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサ
ジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−
ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系
化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化
合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p
−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン
系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系
化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、
イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チア
ジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾー
ル系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合
物、縮合多環式化合物等を用いることができる。
【0060】本発明において、電荷輸送剤は1種または
2種以上を混合して用いられる。また、ポリビニルカル
バゾール等の成膜性を有する電荷輸送材料を用いる場合
には、結着樹脂は必ずしも必要でない。前記正孔輸送剤
のうち、本発明では、イオン化電位(Ip)が4.8〜
5.6eVのものを使用するのが好ましく、電界強度3
×105 V/cmで1×10-6cm2 /V・秒以上の移
動度を有するものがより好ましい。
【0061】イオン化電位が前記範囲内にある正孔輸送
剤を用いることによって、より一層残留電位が低下し、
感度が向上する。その理由は必ずしも明らかではない
が、以下のようなものと考えられる。すなわち、電荷発
生剤から正孔輸送剤への電荷の注入のし易さは正孔輸送
剤のイオン化電位と密接に関係しており、正孔輸送剤の
イオン化電位が前記範囲よりも大きい場合には、電荷発
生剤から正孔輸送剤への電荷の注入の程度が低くなる
か、あるいは正孔輸送剤間での正孔の授受の程度が低く
なるため、感度の低下が生じるものと認められる。一
方、正孔輸送剤と電子輸送剤とが共存する系では、両者
の間の相互作用、より具体的には電荷移動錯体の形成に
注意する必要がある。両者の間にこのような錯体が形成
されると、正孔と電子との間に再結合が生じ、全体とし
て電荷の移動度が低下する。正孔輸送剤のイオン化電位
が前記範囲よりも小さい場合には、電子輸送剤との間に
錯体を形成する傾向が大きくなり、電子−正孔の再結合
が生じるために、見掛けの量子収率が低下し、感度の低
下に結びつくものと思われる。
【0062】なお、電子輸送剤中に嵩高い基が存在する
場合は、その立体障害により電荷移動錯体の形成を抑制
することができる。従って、本発明において電子輸送剤
として用いられるジチアペンタセンテトラオン誘導体
(1) には、できるだけ嵩高い置換基を導入するのが好ま
しい。 〈電子受容性化合物〉電子受容性化合物としては、電子
受容性を有し、かつ−0.8〜−1.4Vの酸化還元電
位を有する化合物であること以外は特に限定されず、例
えばベンゾキノン系、ナフトキノン系、アントラキノン
系、ジフェノキノン系、マロノニトリル、チオピラン系
化合物、2,4,8−トリニトロチオキサントン、3,
4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフル
オレノン系化合物、ジニトロアントラセン、ジニトロア
クリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキ
ノン等が使用できる。これらのうち、とくにジフェノキ
ノン系は、分子鎖末端に電子受容性に優れたキノン系酸
素原子が結合しており、かつ長い分子鎖全体にわたって
共役二重結合があるため、分子内での電子の移動も容易
であり、しかも電子の授受が容易に行われるという利点
があるため、とくに好ましい。また、前記した各電子受
容性化合物は電荷発生に寄与している。
【0063】前記ベンゾキノン系化合物としては、例え
ばp−ベンゾキノン、2,6−ジメチル−p−ベンゾキ
ノン、2,6−ジt−ブチル−p−ベンゾキノンなどが
あげられる。また、前記ジフェノキノン系化合物として
は、例えば一般式(10):
【0064】
【化20】
【0065】(式中、R170 、R171 、R172 およびR
173 は同一または異なって、水素原子、置換基を有して
もよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ
基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有して
もよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアル
キル基または置換基を有してもよいアミノ基を示す。但
し、R170 、R171 、R172 およびR173 のうち2つは
同一の基とする。)で表される化合物のうち、酸化還元
電位が前述の範囲内にあるものがあげられる。
【0066】上記一般式(10)において、置換基R170
173 に相当するアルキル基、アルコキシ基およびアリ
ール基としては、前述と同様な基があげられる。アラル
キル基としては、例えばベンジル、ベンズヒドリル、ト
リチル、フェネチル等のアルキル基部分の炭素数が1〜
6の基があげられる。シクロアルキル基としては、例え
ばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シ
クロヘキシルなどの炭素数が3〜6のシクロアルキル基
があげられる。置換基を有していてもよいアミノ基とし
ては、例えばアミノ基のほか、モノメチルアミノ、ジメ
チルアミノ、モノエチルアミノ、ジエチルアミノ基など
があげられる。
【0067】本発明に使用可能なジフェノキノン系化合
物(10)としては、例えば3,5−ジメチル−3′,5′
−ジt−ブチル−4,4′−ジフェノキノン、3,3′
−ジメチル−5,5′−ジt−ブチル−4,4′−ジフ
ェノキノン、3,5′−ジメチル−3′,5−ジt−ブ
チル−4,4′−ジフェノキノン、3,3′,5,5′
−テトラt−ブチル−4,4′−ジフェノキノン等があ
げられる。これらのジフェノキノン系化合物は、単独ま
たは二種以上を混合して使用される。 〈電荷発生剤〉電荷発生剤としては、例えば下記の一般
式(CG1) 〜(CG12)で表される化合物があげられる。 (CG1) 無金属フタロシアニン(PcH2
【0068】
【化21】
【0069】(CG2) チタニルフタロシアニン(PcTi
O)
【0070】
【化22】
【0071】(CG3) ペリレン顔料
【0072】
【化23】
【0073】(式中、R70およびR71は同一または異な
って、炭素数が18以下の置換または未置換のアルキル
基、シクロアルキル基、アリール基、アルカノイル基ま
たはアラルキル基を示す。) (CG4) ビスアゾ顔料
【0074】
【化24】
【0075】〔式中、A1 およびA2 は同一または異な
ってカップラー残基を示し、Xは
【0076】
【化25】
【0077】(式中、R72は水素原子、アルキル基、ア
リール基または複素環式基を示し、アルキル基、アリー
ル基または複素環式基は置換基を有していてもよい。n
は0または1を示す。)
【0078】
【化26】
【0079】
【化27】
【0080】(式中、R73およびR74は同一または異な
って、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン
原子、アルコキシ基、アリール基またはアラルキル基を
示す。)
【0081】
【化28】
【0082】
【化29】
【0083】
【化30】
【0084】(式中、R75は水素原子、エチル基、クロ
ロエチル基またはヒドロキシエチル基を示す。)
【0085】
【化31】
【0086】または
【0087】
【化32】
【0088】(式中、R76、R77およびR78は同一また
は異なって、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハ
ロゲン原子、アルコキシ基、アリール基またはアラルキ
ル基を示す。)である。〕 (CG5) ジチオケトピロロピロール顔料
【0089】
【化33】
【0090】(式中、R79およびR80は同一または異な
って、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロ
ゲン原子を示し、R81およびR82は同一または異なっ
て、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。) (CG6) 無金属ナフタロシアニン顔料
【0091】
【化34】
【0092】(式中、R83、R84、R85およびR86は同
一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基またはハロゲン原子を示す。) (CG7) 金属ナフタロシアニン顔料
【0093】
【化35】
【0094】(式中、R87、R88、R89およびR90は同
一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基またはハロゲン原子を示し、MはTiまたはVを示
す。) (CG8) スクアライン顔料
【0095】
【化36】
【0096】(式中、R91およびR92は同一または異な
って、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロ
ゲン原子を示す。) (CG9) トリスアゾ顔料
【0097】
【化37】
【0098】(式中、Cp1 、Cp2 およびCp3 は同
一または異なって、カップラー残基を示す。) (CG10)インジゴ顔料
【0099】
【化38】
【0100】(式中、R93およびR94は同一または異な
って、水素原子、アルキル基またはアリール基を示し、
Zは酸素原子または硫黄原子を示す。) (CG11)アズレニウム顔料
【0101】
【化39】
【0102】(式中、R95およびR96は同一または異な
って、水素原子、アルキル基またはアリール基を示
す。) (CG12)シアニン顔料
【0103】
【化40】
【0104】(式中、R97およびR98は同一または異な
って、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロ
ゲン原子を示し、R99およびR100 は同一または異なっ
て、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。) 上記例示の電荷発生剤において、アルキル基としては、
前述と同様な基があげられる。炭素数1〜5のアルキル
基は、前述の炭素数1〜6のアルキル基からヘキシルを
除いたものである。炭素数18以下の置換または未置換
のアルキル基は、前述した炭素数1〜6のアルキル基に
加えて、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデ
シル、ペンタデシル、オクタデシルなどを含む基であ
る。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピ
ル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3〜8の基
があげられる。アルコキシ基、アリール基およびアラル
キル基としては前述と同様な基があげられる。アルカノ
イル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロ
ピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイ
ル基等があげられる。
【0105】複素環式基としては、例えばチエニル、ピ
ロリル、ピロリジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリ
ル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、2H
−イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾ
リル、ピラニル基、ピリジル、ピベリジル、ピペリジ
ノ、3−モルホリニル、モルホリノ、チアゾリル等の基
があげられる。また、芳香族環と縮合した複素環式基で
あってもよい。
【0106】上記基に置換してもよい置換基としては、
例えばハロゲン原子、アミノ基、水酸基、エステル化さ
れてもよいカルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6の
アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリール基
を有することのある炭素数2〜6のアルケニル基等が挙
げられる。A1 、A2 およびCp1 、Cp2 、Cp3
表されるカップラー残基としては、例えば下記一般式(2
1)〜(29)に示す基が挙げられる。
【0107】
【化41】
【0108】
【化42】
【0109】各式中、R120 は、カルバモイル基、スル
ファモイル基、アロファノイル基、オキサモイル基、ア
ントラニロイル基、カルバゾイル基、グリシル基、ヒダ
ントイル基、フタルアモイル基またはスクシンアモイル
基を示す。これらの基は、ハロゲン原子、置換基を有し
てもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル
基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、
カルボニル基、カルボキシル基等の置換基を有していて
もよい。
【0110】R121 は、ベンゼン環と縮合して芳香族
環、多環式炭化水素または複素環を形成するのに必要な
原子団を示し、これらの環は前記と同様な置換基を有し
てもよい。R122 は、酸素原子、硫黄原子またはイミノ
基を示す。R123 は、2価の鎖式炭化水素基または芳香
族炭化水素基を示し、これらの基は前記と同様な置換基
を有してもよい。
【0111】R124 は、アルキル基、アラルキル基、ア
リール基または複素環基を表し、これらの基は前記と同
様な置換基を有してもよい。R125 は、2価の鎖式炭化
水素基、芳香族炭化水素基または上記一般式(25)〜(28)
中の、下記式:
【0112】
【化43】
【0113】で表される部分とともに複素環を形成する
のに必要な原子団を表し、これらの環は前記と同様な置
換基を有してもよい。R126 は、水素原子、アルキル
基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ア
ロファノイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニ
ル基、アリール基またはシアノ基を示し、水素原子以外
の基は前記と同様な置換基を有していてもよい。
【0114】R127 は、アルキル基またはアリール基を
示し、これらの基は前記と同様な置換基を有してもよ
い。アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル
基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチルアリ
ル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基等の炭素数
が2〜6のアルケニル基があげられる。
【0115】前記R121 において、ベンゼン環と縮合し
て芳香族環を形成するのに必要な原子団としては、例え
ばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基
等のアルキレン基が挙げられる。上記R121 とベンゼン
環との縮合により形成される芳香族環としては、例えば
ナフタリン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピ
レン環、クリセン環、ナフタセン環等が挙げられる。
【0116】上記R121 において、ベンゼン環と縮合し
て多環式炭化水素を形成するのに必要な原子団として
は、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブ
チレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基があげられ
る。前記R121 において、ベンゼン環と縮合して多環式
炭化水素を形成するのに必要な原子団としては、例えば
カルバゾール環、ベンゾカルバゾール環、ジベンゾフラ
ン環等が挙げられる。
【0117】また、R121 において、ベンゼン環と縮合
して複素環を形成するのに必要な原子団としては、例え
ばベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリ
ル基、1H−インドリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベ
ンゾチアゾリル基、1H−インダドリル基、ベンゾイミ
ダゾリル基、クロメニル基、クロマニル基、イソクロマ
ニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、シンノリニ
ル基、フタラジニル基、キナゾニリル基、キノキサリニ
ル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基、キサンテ
ニル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、フェ
ナジニル基、フェノキサジニル基、チアントレニル基等
があげられる。
【0118】上記R121 とベンゼン環との縮合により形
成される芳香族性複素環基としては、例えばチエニル
基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキ
サゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダ
ゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリ
ル基、ピリジル基、チアゾリル基があげられる。また、
さらに他の芳香族環と縮合した複素環基(例えばベンゾ
フラニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリ
ル基、ベンゾチアゾリル基、キノリル基など)であって
もよい。
【0119】前記R123 ,R125 において、2価の鎖式
炭化水素としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレ
ン基等が挙げられ、2価の芳香族炭化水素としては、フ
ェニレン基、ナフチレン基、フェナントリレン基等があ
げられる。前記R124 において、複素環基としては、ピ
リジル基、ピラジル基、チエニル基、ピラニル基、イン
ドリル基等が挙げられる。
【0120】前記R125 において、前記式(30)、(31)で
表される部分とともに複素環を形成するのに必要な原子
団としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基、フェ
ナントリレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基等があげられる。上記R125 と、前記式(30)、(31)で
表される部分とにより形成される芳香族性複素環基とし
ては、例えばベンゾイミダゾール基、ベンゾ〔f〕ベン
ゾイミダゾール基、ジベンゾ〔e,g〕ベンゾイミダゾ
ール基、ベンゾピリミジン基等があげられる。これらの
基は前記と同様な置換基を有してもよい。
【0121】前記R126 において、アルコキシカルボニ
ル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシ
カルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカル
ボニル基等の基があげられる。本発明においては、上記
例示の電荷発生剤のほかに、例えばセレン、セレン−テ
ルル、アモルファスシリコン、ピリリウム塩、アンサン
スロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔
料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリド
ン系顔料などの従来公知の電荷発生剤を用いることがで
きる。
【0122】また、上記例示の電荷発生剤は、所望の領
域に吸収波長を有するように、一種または二種以上を混
合して用いることができる。その際、正孔輸送剤として
イオン化電位が4.8〜5.6eVのものを使用するこ
とに関連して、この正孔輸送剤とのバランスを有する電
荷発生剤、具体的にはイオン化電位が4.8〜6.0e
V、特に5.0〜5.8eVの範囲にある電荷発生剤を
用いるのが、残留電位の低減および感度の向上の観点か
ら好ましい。
【0123】特に好適な電荷発生剤としては、X型無金
属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン等の
フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ系顔
料などである。前記例示の電荷発生剤のうち、フタロシ
アニン系顔料は、700nm以上の波長領域に感度を有
する感光体の電荷発生材料として好適である。すなわ
ち、上記フタロシアニン系顔料は、前記一般式(1) で表
される化合物(電子輸送剤)とのマッチングに優れるた
め、この両者を併用した電子写真感光体は、上記波長領
域において高感度であり、従って700nm以上の波長
を有する光源を使用したデジタル光学系の画像形成装置
に好適に使用することができる。
【0124】上記ペリレン系顔料としては、前述の一般
式(CG3) のペリレン顔料のなかでも、とりわけ一般式(1
1):
【0125】
【化44】
【0126】(式中、R130 、R131 、R132 およびR
133 は同一または異なって、水素原子、アルキル基、ア
ルコキシル基またはアリール基を示す。)で表される化
合物が好適に使用される。上記一般式(11)において、置
換基R130 〜R133 に相当するアルキル基、アルコキシ
基およびアリール基としては、前記と同様な基があげら
れる。
【0127】このペリレン系顔料は、可視領域に感度を
有する感光体の電荷発生材料として好適である。すなわ
ち、上記ペリレン系顔料(11)は、一般式(1) で表される
化合物(電子輸送剤)とのマッチングに優れており、こ
の両者を併用した電子写真感光体は、可視領域において
高感度であり、従って可視領域の波長を有する光源を使
用したアナログ光学系の画像形成装置に好適に使用する
ことができる。 〈結着樹脂〉上記した各成分を分散させるための結着樹
脂としては、従来より感光層に使用されている種々の樹
脂を使用することができ、例えばスチレン系重合体、ス
チレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニト
リル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリ
ル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマ
ー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、
アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボ
ネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタ
レート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、
ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂
や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹
脂、さらにエポキシアクリレート、ウレタン−アクリレ
ート等の光硬化性樹脂等があげられる。これらの結着樹
脂は1種または2種以上を混合して用いることができ
る。好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合
体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、ア
ルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等であ
る。
【0128】次に、本発明の電子写真感光体の製造方法
について説明する。単層型の電子写真感光体を得るに
は、所定の電子輸送剤を、電荷発生剤、正孔輸送剤、結
着樹脂等と共に適当な溶剤に溶解または分散した塗布液
を、塗布等の手段によって導電性基体上に塗布し、乾燥
させればよい。単層型の感光体においては、結着樹脂1
00重量部に対して電荷発生剤は0.1〜50重量部、
好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合され、電子
輸送剤は5〜100重量部、好ましくは10〜80重量
部の割合で配合される。また、正孔輸送剤は5〜500
重量部、好ましくは25〜200重量部の割合で配合す
る。さらに、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量は、結着
樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好まし
くは30〜200重量部であるのが適当である。単層型
の感光層に電子受容性化合物を含有させる場合は、電子
受容性化合物を結着樹脂100重量部に対して0.1〜
40重量部、好ましくは0.5〜20重量部で配合する
のが適当である。
【0129】また、単層型の感光層の厚さは5〜100
μm、好ましくは10〜50μmである。積層型の電子
写真感光体を得るには、まず導電性基体上に、蒸着また
は塗布等の手段によって電荷発生剤を含有する電荷発生
層を形成し、ついでこの電荷発生層上に、電子輸送剤と
結着樹脂とを含む塗布液を塗布等の手段によって塗布
し、乾燥させて電荷輸送層を形成すればよい。
【0130】積層型感光体においては、電荷発生層を構
成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用す
ることができるが、結着樹脂100重量部に対して電荷
発生剤を5〜1000重量部、好ましくは30〜500
重量部の割合で配合するのが適当である。電荷発生層に
電子受容性化合物を含有させる場合は、電子受容性化合
物を結着樹脂100重量部に対して0.1〜40重量
部、好ましくは0.5〜20重量部で配合するのが適当
である。また、電荷発生層に電子輸送剤を含有させる場
合は、電子輸送剤を結着樹脂100重量部に対して0.
5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部で配合する
のが適当である。
【0131】電荷輸送層を構成する電子輸送剤と結着樹
脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しな
い範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射
により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるよう
に、結着樹脂100重量部に対して電子輸送剤を10〜
500重量部、好ましくは25〜100樹脂の割合で配
合するのが適当である。電荷輸送層に電子受容性化合物
を含有させる場合は、電子受容性化合物を結着樹脂10
0重量部に対して0.1〜40重量部、好ましくは0.
5〜20重量部で配合するのが適当である。
【0132】また、積層型の感光層の厚さは、電荷発生
層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm
程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは
5〜50μm程度である。単層型感光体にあっては、導
電性基体と感光層との間に、また積層型感光体にあって
は、導電性基体と電荷発生層との間、導電性基体と電荷
輸送層との間または電荷発生層と電荷輸送層との間に、
感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されて
いてもよい。また、感光体の表面には、保護層が形成さ
れていてもよい。
【0133】単層型および積層型の各感光層には、電子
写真特性に悪影響を与えない範囲で、それ自体公知の種
々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重
項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化
剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定
剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合すること
ができる。 また、感光層の感度を向上させるために、
例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチ
レン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
【0134】さらに、前記一般式(1) で表される化合物
とともに、高い電子輸送能を有する種々の電子輸送剤を
感光層に含有させてもよい。このような電子輸送剤とし
ては、例えば前記一般式(10)で表されるジフェノキノン
系化合物、ベンゾキノン系化合物のほかに、下記の一般
式(ET1) 〜(ET13)で表される化合物があげられる。
【0135】
【化45】
【0136】(式中、R142 、R143 、R144 、R145
およびR146 は同一または異なって、水素原子、置換基
を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアル
コキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を
有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいフェ
ノキシ基またはハロゲン原子を示す。)
【0137】
【化46】
【0138】(式中、R147 はアルキル基、R148 は置
換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい
アルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換
基を有してもよいアラルキル基、ハロゲン原子またはハ
ロゲン化アルキル基を示す。γは0〜5の整数を示す。
なお、γが2以上のとき、各R148 は互いに異なってい
てもよい。)
【0139】
【化47】
【0140】(式中、R149 およびR150 は同一または
異なって、アルキル基を示す。δは1〜4の整数を示
し、εは0〜4の整数を示す。なお、δおよびεが2以
上のとき、各R149 およびR150 は異なっていてもよ
い。)
【0141】
【化48】
【0142】(式中、R151 はアルキル基、アリール
基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル
基またはハロゲン原子を示す。ζは0〜4、ηは0〜5
の整数である。なお、ηが2以上のとき、各R151 は異
なっていてもよい。)
【0143】
【化49】
【0144】(式中、θは1〜2の整数である。)
【0145】
【化50】
【0146】(式中、R152 はアルキル基を示し、σは
1〜4の整数である。なお、σが2以上のとき、各R
152 は異なっていてもよい。)
【0147】
【化51】
【0148】(式中、R153 およびR154 は同一または
異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリ
ール基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシ
基、水酸基、ニトロ基またはシアノ基を示す。Xは基:
O,N−CNまたはC(CN)2を示す。)
【0149】
【化52】
【0150】(式中、R155 は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基または置換基を有することのあるフェニ
ル基を示し、R156 は水素原子、ハロゲン原子、置換基
を有することのあるアルキル基、置換基を有することの
あるフェニル基、アルコキシカルボニル基、N−アルキ
ルカルバモイル基、シアノ基またはニトロ基を示す。λ
は1〜3の整数である。なお、λが2以上のとき、各R
156 は互いに異なっていてもよい。)
【0151】
【化53】
【0152】(式中、R157 は水素原子、置換基を有す
ることのあるアルキル基、置換基を有することのあるフ
ェニル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、N
−アルキルカルバモイル基、シアノ基またはニトロ基を
示す。μは1〜3の整数である。なお、μが2以上のと
き、各R157 は互いに異なっていてもよい。)
【0153】
【化54】
【0154】(式中、R158 およびR159 は同一または
異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するこ
とのあるアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ
カルボニル基を示す。νおよびξは1〜3の整数であ
る。なお、νまたはξが2以上のとき、各R158 および
159 は互いに異なっていてもよい。)
【0155】
【化55】
【0156】(式中、R160 およびR161 は同一または
異なって、フェニル基、多環芳香族基または複素環式基
を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。)
【0157】
【化56】
【0158】(式中、R162 はアミノ基、ジアルキルア
ミノ基、アルコキシ基、アルキル基またはフェニル基を
示し、πは1〜2の整数である。なお、πが2のとき、
各R16 2 は互いに異なっていてもよい。)
【0159】
【化57】
【0160】(式中、R163 は水素原子、アルキル基、
アリール基、アルコキシ基またはアラルキル基を示
す。)などがあげられ、さらにマロノニトリル、チオピ
ラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−ト
リニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロ
アントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキ
ノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マ
レイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等があげられる。
【0161】上記例示の電子輸送剤において、アルキル
基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲ
ン化アルキル基、ハロゲン原子および複素環式基として
は、前述と同様である。多環芳香族基としては、例えば
ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基などがあ
げられる。
【0162】上記基に置換してもよい置換基としては、
例えばハロゲン原子、アミノ基、水酸基、エステル化さ
れてもよいカルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6の
アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリール基
を有することのある炭素数2〜6のアルケニル基等が挙
げられる。本発明の感光体に使用される導電性基体とし
ては、導電性を有する種々の材料を使用することがで
き、例えばアルミニウム、鉄、銅、スズ、白金、銀、バ
ナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、
ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真
鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートさ
れたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化ス
ズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられ
る。
【0163】導電性基体はシート状、ドラム状等の何れ
であってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるい
は基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電
性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するも
のが好ましい。本発明における感光層は、前記した各成
分を含む樹脂組成物を溶剤に溶解ないし分散した塗布液
を導電性基体上に塗布、乾燥して製造される。
【0164】すなわち、前記例示の電荷発生剤、電荷輸
送剤、結着樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方
法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペ
イントシェーカーあるいは超音波分散器等を用いて分散
混合して塗布液を調製し、これを公知の手段により塗
布、乾燥すればよい。塗布液をつくるための溶剤として
は、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のア
ルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン
等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水
素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ア
セトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメ
チルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は1種又
は2種以上を混合して用いることができる。
【0165】さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の分
散性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性
剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0166】
〔ジチアペンタセンテトラオン誘導体の合成〕
合成例1(6,13−ジチアペンタセン−5,7,1
2,14−テトラオンの合成) 2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン1.15g
(0.005モル)を水100ミリリットルに加えて攪
拌し、硫化ナトリウム九水和物7g(0.029モル)
を加え、50〜60℃で2〜3時間加熱攪拌した。次い
で、反応液中に、N,N−ジメチルホルムアミド(DM
F)5ミリリットルに溶解させた2,3−ジクロロ−
1,4−ナフトキノン1.15g(0.005モル)を
加え、さらに50〜60℃で3〜4時間加熱攪拌した。
【0167】反応混合物を水500ミリリットルに加
え、析出した固体をクロロホルムに溶解し、カラムクロ
マトグラフィーで精製して、標記化合物〔一般式(1-1)
で表されるジチアペンタセンテトラオン誘導体〕1.1
gを得た(収率58%)。融点300℃以上(分解)。
ジチアペンタセンテトラオン誘導体(1-1) の赤外吸収ス
ペクトルを図2に示す。 〔電子写真感光体の製造〕本発明の電子写真感光体に用
いた各成分は以下のとおりである。 (i) 電荷発生剤 PcH2 :X型無金属フタロシアニン〔イオン化ポテン
シャル(Ip)=5.38eV〕 PcTiO:オキソチタニルフタロシアニン(Ip=
5.32eV) ペリレン:前記一般式(11)の置換基R130 〜R133 がい
ずれもメチル基であるペリレン顔料(Ip=5.50e
V) (ii) 正孔輸送剤 7−1:次式(7-1) で表されるベンジジン誘導体(Ip
=5.56eV)
【0168】
【化58】
【0169】(iii) 電子輸送剤 1−1:前記式(1-1) で表されるジチアペンタセンテト
ラオン誘導体 C:3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−
4,4’−ジフェノキノン (iv)電子受容性化合物 A:p−ベンゾキノン(酸化還元電位=−0.81V) B:2,6−ジt−ブチル−p−ベンゾキノン(酸化還
元電位=−1.30V) C:3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−
4,4’−ジフェノキノン(酸化還元電位=−0.86
V) D:3,3’,5,5’−テトラt−ブチル−4,4’
−ジフェノキノン(酸化還元電位=−0.94V) なお、上記イオン化電位は、大気下光電子分析装置(理
研計器(株)製のAC−1)を用いて測定した。 〔デジタル光源用単層型電子写真感光体の作製〕 実施例1〜2および比較例1〜3 表1に示す電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤
(前記式(1-1) で表されるジチアペンタセンテトラオン
誘導体)を、結着樹脂および溶媒と以下に示す割合で配
合し、ボールミルで50時間混合分散して単層型感光層
塗布液を調製した。
【0170】 (成分) (重量部) 電荷発生剤 5 正孔輸送剤 50 電子輸送剤 30 結着樹脂(ポリカーボネート) 100 溶 媒(テトラヒドロフラン) 800 次いで、上記塗布液を、導電性基材であるアルミニウム
素管の表面にディップコート法にて塗布し、100℃で
60分間熱風乾燥させて膜厚15〜20μmのデジタル
光源用単層型電子写真感光体を作製した。 実施例3〜6 電荷発生剤5重量部、正孔輸送剤50重量部、電子輸送
剤30重量部、結着樹脂100重量部および溶媒800
重量部に加え、さらに電子受容性化合物10重量部を配
合して単層型感光層塗布液を調製したほかは、実施例5
と同様にしてデジタル光源用単層型電子写真感光体を作
製した。 〔デジタル光源用積層型電子写真感光体の作製〕 実施例7および比較例4 電荷発生剤(PcH2 )100重量部、結着樹脂(ポリ
ビニルブチラール)100重量部および溶媒(テトラヒ
ドロフラン)2000重量部をボールミルで50時間混
合分散し、電荷発生層用の塗布液を調製した。そして、
この塗布液を導電性基材であるアルミニウム素管の表面
にディップコート法にて塗布し、100℃で60分間熱
風乾燥させて膜厚1μmの電荷発生層を形成した。
【0171】次いで、電子輸送剤100重量部、結着樹
脂(ポリカーボネート)100重量部および溶媒(トル
エン)800重量部をボールミルで50時間混合分散
し、電荷輸送層用の塗布液を調製した。そして、この塗
布液を上記電荷発生層上にディップコート法にて塗布
し、100℃で60分間熱風乾燥させて膜厚20μmの
電荷輸送層を形成し、デジタル光源用積層型電子写真感
光体を作製した。 〔アナログ光源用単層型電子写真感光体の作製〕 実施例8および比較例5〜6 電荷発生剤としてペリレン顔料を用いたほかは、実施例
5〜6または比較例1〜3と同様にして単層型電子写真
感光体を作製した。 〔アナログ光源用積層型電子写真感光体の作製〕 実施例9および比較例7 電荷発生剤としてペリレン顔料を用いたほかは、実施例
12または比較例7と同様にして積層型電子写真感光体
を作製した。 (感光体特性の評価)上記実施例および比較例で得られ
た電子写真感光体について下記の光感度試験を行い、そ
の感度特性を評価した。なお、デジタル光源用の感光体
には光感度試験Iを、アナログ光源用の感光体には光感
度試験IIをそれぞれ行った。 光感度試験I ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機
を用い、感光体の表面に印加電圧を加えてその表面を+
700Vに帯電させた。次いで、露光光源(ハロゲンラ
ンプ)からバンドパスフィルターを用いて取り出した波
長780nm(半値幅20nm)、光強度16μW/c
2 (780nm)の単色光を感光体の表面に照射(照
射時間80ミリ秒)し、露光開始から330ミリ秒経過
した時点での表面電位を露光後電位VL (V)として測
定した。 光感度試験II 露光にハロゲンランプの白色光(光強度147μW/c
2 )を用い、照射時間が50ミリ秒であること以外は
上記光感度試験Iと同様にして、露光後電位V L (V)
を測定した。
【0172】上記実施例および比較例で使用した成分お
よび露光後電位VL の測定結果を表1に示す。
【0173】
【表1】
【0174】表1から明らかなように、本発明のジチア
ペンタセンテトラオン誘導体(1) を電子輸送剤として用
いた実施例1〜9の感光体は、電子輸送剤としてジフェ
ノキノン誘導体を用いたり、あるいは電子輸送剤を使用
しなかった比較例の感光体に比べて露光後電位が低下し
ており、高い感度を有することがわかる。また、実施例
3〜6の感光体は、所定の酸化還元電位を有する電子受
容性化合物と電子輸送性に優れた本発明のジチアペンタ
センテトラオン誘導体(1) を含有することから、他の実
施例よりもさらに露光後電位が低下しており、より高い
感度を有することがわかる。
【0175】
【発明の効果】本発明のジチアペンタセンテトラオン誘
導体(1) は、高い電子輸送能を有する。また、かかるジ
チアペンタセンテトラオン誘導体(1) を電子輸送剤とし
て含有する本発明の電子写真感光体は、残留電位が著し
く低下し、高い感度を有する。また、特定の酸化還元電
位を有する電子受容性化合物を添加することにより、よ
り一層残留電位が低下し、感度が向上した感光体が得ら
れる。
【0176】従って、本発明の感光体を使用すると、複
写機やプリンター等の高速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における酸化還元電位を求めるための牽
引電圧(V)と電流(A)との関係を示すグラフであ
る。
【図2】式(1-1) で表されるジチアペンタセンテトラオ
ン誘導体の赤外線吸収スペクトルである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) : 【化1】 (式中、R1 およびR2 は、同一または異なって、水素
    原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を
    有してもよいアリール基を示す。)で表されるジチアペ
    ンタセンテトラオン誘導体。
  2. 【請求項2】導電性基体上に感光層を設けた電子写真感
    光体であって、前記感光層が、一般式(1) : 【化2】 (式中、R1 およびR2 は、同一または異なって、水素
    原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を
    有してもよいアリール基を示す。)で表されるジチアペ
    ンタセンテトラオン誘導体を含有することを特徴とする
    電子写真感光体。
  3. 【請求項3】前記感光層が、−0.8〜−1.4Vの酸
    化還元電位を有する電子受容性化合物を含有する請求項
    2記載の電子写真感光体。
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