JPH0985788A - 微細発泡体の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】キャビティ部を有する固定型とコア部を有する
可動型により構成する一対の金型のうち可動型の弾性体
シール８を嵌合した台座付き支柱６に分割コア４及びガ
イド板１０を組込み、溶融樹脂の樹脂圧で弾性体シール
８を圧縮変形させることにより、分割コア４及び台座付
き支柱６を移動させ、溶融樹脂充填部９の容積を変えて
発泡成形する。 【効果】３次元構造の微細発泡体が成形できる。また、
樹脂充填部の容積を変えない部分は無発泡層となるの
で、発泡体層と無発泡体層とが共有した発泡成形ができ
る。さらに、設備費の低減が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は微細発泡体の製造方法に
関する。

【０００２】

【従来の技術】炭酸ガスなどの不活性ガスを溶融樹脂に
溶解し、金型に射出して成形する微細発泡体の製造方法
において、本発明のように金型のうち可動型コア部を分
割し、弾性体シールを組込んで樹脂圧によって弾性体シ
ールを圧縮変形させ、可動型コア部を３次元的に動作さ
せることにより、樹脂充填部の容積を変えて微細発泡体
を成形する製造方法は見当らない。従来は、平板状の金
型の樹脂充填部に移動壁を設け、発泡性樹脂を樹脂充填
部に射出し、その直後、移動壁を油圧シリンダにより作
動させ樹脂充填部の容積を変えて発泡成形を行っていた
（ＵＳＰ５，１６０，６７４号，半結晶性ポリマ材のマ
イクロセルラプラスチック）。この方法では、樹脂充填
と同時に容積が変えられるので平板状の発泡成形品が成
形できる。また、移動壁を前後に自由に作動させること
によって、同一金型で厚さの異なる平板成形品が成形で
きる。さらに移動壁の前後の動作を制御することによっ
て同一厚さの成形品においても密度の異なったものが得
られる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の方法は、単に平
板状の金型の樹脂充填部に設けた移動壁を動作させて樹
脂充填部の容積を変えているので、例えば、箱体のよう
な３次元的形状の成形品は、成形できないという問題が
ある。また、移動壁を動作させるための油圧機器を設置
する必要があるため設備費がかかるなどの問題もある。

【０００４】本発明の目的は箱体のような３次元的形状
の発泡成形品を成形する微細発泡体の製造方法の提供す
ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】炭酸ガスなどの不活性ガ
スを溶解した溶融樹脂を金型に射出し、箱体のような３
次元的形状の微細発泡成形品を成形する製造方法を提供
するために、先ず、キャビティ部とコア部を有する一対
の金型において、コア部を樹脂圧によって３次元的に動
作させるためコアの形状を角柱状とし、対角線上に分割
し、台座付き支柱にガイドピンを介して組込むようにし
た。また、前記分割コアと前記台座付き支柱の支柱部の
対面上及び、前記台座付き支柱の台座部と型のガイド板
との対面上に弾性体シールを組込んだ。前記弾性体シー
ルは、シリコンゴム，エラストマ樹脂，ポリ四フッ化エ
チレンなど強度及び耐熱性に富む材質とし、その形状は
中空または中実とした。さらに前記弾性体シールは前記
分割コアの内部への溶融樹脂の侵入を防止する。前記分
割コアにより、例えば、箱体のような３次元的形状のす
べての面の容積が変えられるので、炭酸ガスなどの不活
性ガスを溶解した溶融樹脂は、型内に射出された直後発
泡し固化する。

【０００６】

【作用】炭酸ガスなどの不活性ガスを溶解した溶融樹脂
を金型に射出して成形する微細発泡体の製造方法におい
て、先ず金型のコア部を樹脂圧により３次元的に動作さ
せるため、コアの形状を角柱状とし、対角線上に分割し
て、これらを台座付き支柱にガイドピンを介して組込む
ようにした。台座付き支柱の支柱部は、台座面に対して
対角線上に垂直方向に一体化されており、また支柱部に
固定されている複数個のガイドピンは、垂直の支柱面に
対して直角方向、すなわち、水平方向にある。これによ
りガイドピンを介して組込まれている分割コアは支柱部
に組込まれた弾性体シールが樹脂圧によって圧縮される
ことにより４５度方向に支柱面に向かって移動する。し
たがって分割コアはＸ方向及びＹ方向とも全く同じ寸法
で動作することになり、これにより全側面のキャビティ
部の容積が変えられる。次に分割コア上部のキャビティ
部の容積の変更も、台座付き支柱の台座部と型のガイド
板との対面上に施した弾性体シールが樹脂圧によって圧
縮されることにより成される。このように炭酸ガスなど
の不活性ガスを溶解した溶融樹脂が金型内に射出され、
充填すると同時にキャビティ部の容積がもとの容積より
大きくなるので、型内圧が緩和され、したがって発泡成
形が可能となる。弾性体シールは、シリコンゴム，エラ
ストマ樹脂，ポリ四フッ化エチレンなど強度及び耐熱性
に富む材質とし、その形状は中空または中実とし、樹脂
圧によって容易に圧縮変形できるものとした。

【０００７】以上の作用により、例えば箱体のような３
次元的形状の製品の発泡成形が可能となる。また、樹脂
充填部の容積の可変を弾性体シールを射出時の樹脂圧で
圧縮変形させることにより行うようにしたので特別な設
備は不要である。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の微細発泡体の製造方法につい
て図面を用いて詳細に説明する。図１は、本発明の微細
発泡体を製造する金型の断面図であり、型締めした状態
を示す。図２は図１と同じ金型の断面図であり炭酸ガス
などの不活性ガスを溶解した溶融樹脂が射出され樹脂充
填部に充填後発泡硬化している状態を示す。図３は本発
明の金型のうち分割コアを台座付き支柱に組込んだ状態
を示す斜視図である。図４は図３の分割コアを組込むた
めの台座付き支柱の斜視図である。図５は図３の分割コ
アの斜視図である。図６は本発明の微細発泡体成形用金
型により成形した発泡箱体の斜視図である。図７は図６
のＡ−Ａ方向の断面図である。図１及び図２より、１は
キャビティ部３を有する固定型、２はコア部４を有する
可動型である。６は台座付き支柱で７はその台座部であ
る。８は弾性体シール、９は溶融樹脂の充填部、１０は
ガイド板、１１は溶融樹脂の射出口、１２はランナそし
て１３は型のパーティング面である。

【０００９】本発明の炭酸ガスなどの不活性ガスを溶融
樹脂に溶解し、金型に射出して成形する微細発泡体の製
造方法において、金型のコア部を分割し、３次元的に動
作させて樹脂充填部の容積を変え、発泡箱体を成形する
発泡体成形用金型の機構及び動作について図１及び図２
により説明する。金型の射出部１１より射出された溶融
樹脂が樹脂充填部９に充填されると、発泡圧により台座
付き支柱６の支柱面と分割コア４との間に設置した複数
個の弾性体シール８が分割コア４により圧縮され変形す
る。これにより分割コア４は、台座付き支柱に向かって
４５度方向に移動する。すなわち、Ｘ方向及びＹ方向に
同じ寸法で移動する。これと同時に台座付き支柱４の台
座面７とガイド板１０との間に設置した弾性体シール８
も樹脂圧によって圧縮され変形するので樹脂充填部９の
容積が変えられる。このように炭酸ガスなどの不活性ガ
スを溶解した溶融樹脂の充填と同時に容積が大きくなる
ので、型内圧が緩和され、したがって発泡成形が可能と
なる。弾性体シール８は、シリコンゴム，エラストマ樹
脂，ポリ四フッ化エチレンなど強度及び耐熱性に富む材
料であり、またその形状を中空または中実としたので溶
融樹脂圧に耐え得るものである。本発明では、分割コア
を移動させる方法として弾性体シールを用いたが、弾性
体シールは分割コア内部への樹脂の侵入を防止するのみ
に用い、分割コアの移動はコイルばね、または皿ばねを
組込むことによっても可能である。

【００１０】次に本発明の金型のうち分割コア４の構造
について図３ないし図５により説明する。

【００１１】図３で明らかなように、コア４は角柱状で
あり対角線上に２分割し、台座付き支柱６に組込まれ
る。台座付き支柱の支柱部は台座面に対して対角線上に
垂直方向に一体化されており、支柱面に固定されている
複数個のガイドピン１９は垂直の支柱に対して直角方
向、すなわち、水平方向に固定されている。これにより
ガイドピンを介して組込まれている図５に示す分割コア
４は、支柱部に組込まれた弾性体シール８が樹脂圧によ
って圧縮されることにより４５度方向に移動する。図６
は本発明の発泡体成形用金型を用いて成形した固定部付
き発泡箱体２１である。２２は固定部で、この部分の容
積の変更はないため高密度の無発泡体となる。図７は図
６のＡ−Ａ断面である。この無発泡の固定部付き発泡箱
体２１は、以下に示す成形法により製造した。炭酸ガス
などの不活性ガスを溶融樹脂に溶解させ、高圧状態で金
型内に射出し、射出直後、固定部を除く樹脂充填部の容
積を変えることにより型内発泡させて固化した。発泡体
は、独立セル構造であり、セルの直径が５〜２０μmの
微細発泡体である。なお本発明のような樹脂充填部の容
積を変えられる発泡体成形用金型を用いることにより、
発泡性樹脂を用いた３次元形状の製品の発泡成形ほかす
べての発泡成形が可能である。また、発泡体層と無発泡
体層を共有した３次元の発泡成形も可能である。さらに
本実施例によれば、分割コアを用いた金型により３次元
形状の発泡筐体を成形するようにしたので設備費の低減
化がはかれる。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、炭酸ガスなどの不活性
ガスを溶融樹脂に溶解し、金型に射出して成形する微細
発泡体の製造方法において、金型をキャビティ部を有す
る固定型とコア部を有する可動型とにより構成される一
対の発泡体成形用金型とし、コア部を分割し、台座付き
支柱の台座と型ガイド板との間に弾性体シールを施し、
弾性体シールが樹脂圧によって圧縮変形することによっ
て台座付き支柱に組込んだ分割コア及び台座付き支柱が
移動し、樹脂充填部の容積を３次元的に変えることによ
り３次元構造の微細発泡体が成形できる。また、部分的
に樹脂充填部の容積を変えないことも可能なため、発泡
体層と無発泡体層を共有した３次元構造品の発泡成形が
でき、さらに、設備費の低減がはかれる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る発泡体成形用金型の断
面図。

【図２】第二の実施例の断面図。

【図３】本発明の分割コアを台座付き支柱に組込んだ状
態を示す斜視図。

【図４】図３の分割コアを組込むための台座付き支柱の
斜視図。

【図５】図３の分割コアの斜視図。

【図６】本発明の一実施例の発泡箱体の斜視図。

【図７】図６の固定部付き発泡箱体のＡ−Ａ方向の断面
図。

【符号の説明】

１…固定型、２…可動型、３…キャビティ部、４…コア
部、６…台座付き支柱、７…台座部、８…弾性体シー
ル、９…溶融樹脂充填部、１０…ガイド板、１１…射出
口。

フロントページの続き (72)発明者 飯田 誠 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所生産技術研究所内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】不活性ガスを溶融樹脂に溶解し、金型に射
   出して成形する微細発泡体の製造方法において、前記金
   型をキャビティ部を有する固定型とコア部を有する可動
   型とにより構成される一対の金型とし、可動型のコア部
   を分割し、射出直後の樹脂圧により前記コア部を３次元
   的に動作させて樹脂充填部の容積を変えることにより発
   泡成形することを特徴とする微細発泡体の製造方法。
2. 【請求項２】前記可動型のコア部は、角柱状であり対角
   線状に分割したコアと台座付き支柱と弾性体シールとに
   より構成され、前記分割コアは、前記台座付き支柱にガ
   イドピンを介して組込まれ、前記弾性体シールは、前記
   分割コアと前記支柱との対面上及び前記支柱の台座とガ
   イド板との対面上に組込まれている請求項１に記載の微
   細発泡体製造用金型。
3. 【請求項３】前記金型樹脂充填部の容積の変更は、前記
   分割コア及び前記台座付き支柱の台座に組込まれた弾性
   体シールが、樹脂充填時の樹脂圧により圧縮され、前記
   分割コアが前記台座付き支柱に向かって４５度方向に、
   さらに前記台座が下方に移動することによりなされる請
   求項２に記載の微細発泡体の製造方法。
4. 【請求項４】請求項２に記載の前記弾性体シールは、シ
   リコンゴム，エラストマ樹脂，ポリ四フッ化エチレンな
   ど強度及び耐熱性に富む材料であり、またその形状は中
   空または中実である微細発泡体製造用金型。