JPH0985501A - 切削抵抗の異なる境界面をもつ金属材料の切削方法 - Google Patents

切削抵抗の異なる境界面をもつ金属材料の切削方法

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JPH0985501A
JPH0985501A JP24211295A JP24211295A JPH0985501A JP H0985501 A JPH0985501 A JP H0985501A JP 24211295 A JP24211295 A JP 24211295A JP 24211295 A JP24211295 A JP 24211295A JP H0985501 A JPH0985501 A JP H0985501A
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cutting tool
angle
different
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JP24211295A
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Shintaro Igarashi
新太郎 五十嵐
Kazutaka Okura
和孝 大庫
Takefusa Sasamori
竹房 笹森
Yuji Yoshioka
裕司 吉岡
Toru Tsuge
徹 柘植
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】切削抵抗の異なる境界面をもつ金属材料の切削
負荷の変動を緩和して、加工段差および仕上げ面あらさ
を低下せしめ、さらに切削工具の寿命を長期化する切削
方法を提供する。 【解決手段】切削工具のすくい面と逃げ面とで形成され
る切刃稜の一端側から他端側に境界面を連続的に切り込
むようにして行うことを特徴とする切削抵抗の異なる境
界面をもつ金属材料の切削方法。境界面と切刃稜が平行
もしくは直交の場合を傾斜角0度と規定し、かつ境界面
に対するすくい面の設定すくい角をαとした場合、 【数1】 の範囲の傾斜角度により傾斜切削することにより切削負
荷の変動を一層緩和できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミニウム合金と
鋳鉄などの異なる材料を組合せた材料、あるいは2部品
を機械的に当接固定した材料の接合面からなる切削抵抗
の異なる境界面をもつ金属材料の切削方法に関する。特
に、単一切刃を有する切削工具を用いて切削する際に、
境界面において切削加工段差、仕上げ面あらさの違い、
および寸法精度の違いなどを極力抑制できかつ長切削工
具寿命を得る切削方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】材種が異なる材料を組合せた切削抵抗の
異なる境界面をもつ材料を同時に切削する場合には、図
1に示すように両材料の境界面において切削負荷は変動
し、その結果、仕上げ面のあらさと寸法精度は劣化す
る。また切削工具の異常振動により工具寿命も短くな
る。なお、同種材の接合面も加工硬化等により切削抵抗
の異なる境界面を構成する場合がある。
【0003】その対策として、特開平5−293711
号公報には、図2に示すように切削工具の切込み深さに
相当するV型または凹型溝を異種材料の境界面に予め形
成する方法が開示されている。このV型または凹型溝を
跨いで切削する場合、境界面に近づくにつれ順次切り込
み深さが減少することから切削負荷が減少し、境界面上
において切削負荷が零となる。このため、切削工具の振
動は発生せず、切削工具寿命の長期化、切削加工段差、
仕上げ面あらさと寸法精度の劣化は発生しない良好な仕
上げ面が得られる。
【0004】ツールエンジニア、4(1993)146
〜150には、クランクシャフトを支承する鋳鉄製ベア
リングキャップが鋳込まれたアルミニウム合金製のシリ
ンダ−ブロックの異種材料境界面をもつ部分を中ぐり切
削する場合、切削工具の寿命が短いという問題の対処策
を開示している。この方法は、切削工具の寿命が短い原
因として、材種の違いにより境界面で発生する切削負荷
の違いから生じる切削振動があることに着目した。そし
て図3に示すように、各切削工具の取り付け位置を切削
工具保持部の円周方向に順次ずらし、境界面に複数の切
削工具が同時に進入することを防ぐ方法を完成した。
【0005】前記した2つの従来技術において、共通な
対策法は異材種間の境界面に発生する切削負荷の違いか
ら生じる切削工具の振動を防ぎ、切削工具の寿命延長お
よび境界面における切削加工段差の発生等を防止してい
る。しかし溝を形成する従来の方法では、切削加工の前
工程として境界面にV型または凹型溝を作製する工程が
必要であり、一工程増加することから不経済である。ま
た、シリンダブロックを切削する方法では、複数の切削
工具が同時に合せ面に進入することを防ぐことから振動
の発生は減少する傾向を示すが、個々の切削工具は依然
として境界面に無防備の状態で進入し、各切削工具毎に
振動は発生し、切削加工段差、仕上げ面のあらさと寸法
精度は改善されない。
【0006】一方、図4に示す傾斜切削法が提案されて
いる(特公平3−41282、タンガロイ、Vol.3
0、No.38(1990)14〜25)。この方法は
高能率加工を目的として開発された切削方法であり、丸
棒外周の旋削加工の場合には被削材の半径方向に対して
すくい面と逃げ面よりなる切刃稜を角度α傾斜させて切
削する。この方法は、切刃稜を傾けない通常の切削方法
にくらべて、図5に示すように同じ切削工具送り速度の
場合には仕上げ面あらさは低下する。通常の切削方法と
同等の仕上げ面あらさを得るには、この傾斜切削方法で
は工具送り速度を高くすることが可能となり、単位時間
当りの切粉排出量の増加から高能率加工を得る。
【0007】しかしこの傾斜切削方法では、通常の切削
方法にくらべて、刃先ノーズRが大きく、工具すくい面
を傾斜することからすくい面と逃げ面よりなる切刃稜と
被削材の接触長が増大する。このため、切刃稜上に生成
する切削負荷と付着物は増大し、仕上げ面あらさと寸法
精度は劣化する。一般的に切削負荷の増大に対しては、
工具保持部の剛性を高めて対応する。一方、付着物の増
大にともなう仕上げ面あらさと寸法精度の劣化に対して
は、切削速度を高領域に設置することから付着物の生成
を抑制して対処してきた。ただし高切削速度の選定は工
具寿命を低下せしめる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、切削抵抗の
異なる境界面をもつ金属材料を切削する際に、境界面に
おける切削負荷の変動を緩和して、加工段差および仕上
げ面あらさを低下せしめ、さらに切削工具の寿命を長期
化する切削方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本第1発明の切削抵抗の
異なる境界面をもつ金属材料の切削方法は、切削抵抗の
異なる境界面をもつ金属材料の切削方法であって、切削
工具による該金属材料の切り込みは該切削工具のすくい
面と逃げ面とで形成される切刃稜の一端側から他端側に
該境界面を連続的に切り込むようにして行うことを特徴
とする。
【0010】この第1発明の切削方法は、切削抵抗の異
なる境界面をいわゆる傾斜切削法で切削するというもの
である。従来の技術で説明したように、傾斜切削法は公
知の技術である。しかし多くの問題があり、現在の極め
て高度化された工業においてはほとんど使用されない。
本発明者は切削抵抗の異なる境界面を切削する場合に異
音が少ないことに気づき、傾斜切削が有効であるという
推論を立て、切削抵抗の異なる境界面の切削にこの傾斜
切削法を利用したところ以下のことを確認したものであ
る。
【0011】何故異音が少なく、切削負荷の変動が少な
いかを考察すると、境界面を越えて切削加工される場
合、切削工具の切刃稜と境界面は1点で交差しており、
この交差点は時間とともに切刃稜の一端側から他端側に
移動する。すなわち、切削工具の切刃稜の極く狭い部分
のみが切削抵抗の異なる境界面を切削する。このため切
削工具に大きな切削抵抗が作用しない。工具が進むにつ
れ境界面を切削する切刃稜は一端側から他端側に移動
し、この移動につれ切削工具全体に作用する切削抵抗は
連続的に変化する。切削抵抗が連続的に変化するため衝
撃的な切削抵抗の変化と異なり、切削工具に作用する影
響も少なく、切削工具の劣化もそれだけ少ない。また、
加工段差が小さく、仕上げ面あらさが改善される。
【0012】本第2発明の切削抵抗の異なる境界面をも
つ金属材料の切削方法は、切削抵抗の異なる境界面をも
つ金属材料の切削方法であって、切削工具のすくい面と
逃げ面とで形成される切刃稜と、該境界面とが平行もし
くは直交の場合を傾斜角0度と規定し、かつ該境界面に
対する該すくい面の設定すくい角をαとした場合、該境
界面と該切刃稜の傾斜角度が数式1の角度範囲とした状
態で該切削工具により切削することを特徴とする。
【0013】
【数2】
【0014】本第2発明の切削方法は、第1発明の傾斜
切削をさらに改良したもので、境界面で変化する材質の
切削抵抗の差を小さくするものである。図6に示すよう
にy軸に対して傾斜角βに設置され、設定すくい角αs
をもつ切削工具によりアルミニウム合金と鋳鉄との接合
面である境界面を切削する場合を考える。この条件で、
実効すくい角αeは次式で決まる。
【0015】 sinαe =sin2 β+cos2 βsinαs ────(1) そしてその計算結果を図7に示す。ところで、切削負荷
は図8に定性的に示すように、鋳鉄の場合(図8の
(a))もアルミニウム合金の場合(図8の(b))
も、傾斜切削の傾斜角度が大きくなるにつれ、切削稜長
さの増大による切削負荷の増大(の現象および切削稜
長さの効果と称する。)が見られ、逆に有効すくい角に
よる切削負荷の低下(の現象および有効すくい角の効
果と称する。)が見られる。切削稜長さの効果は、傾斜
切削において切削工具の傾斜角度の増加にともない、切
削域に関与する切刃稜接触長さの増加に伴う接触負荷の
増大による効果である。また、有効すくい角の効果は、
図7に示したように傾斜角度の増加にともない、切削工
具の実効すくい角が大きくなることにより奏する効果で
ある。
【0016】これらの有効すくい角の効果および切削稜
長さの効果を加えたものが傾斜切削の効果ともいうべき
ものである。具体的には、図9に示す。この線図は鋳鉄
とアルミニウム合金とをそれぞれ設定すくい角−3°を
持つ切削工具の傾斜角度を変化させて切削し、傾斜角度
と切削負荷との関係を調べたものである。図9に示すよ
うに、アルミニウム合金の切削負荷は鋳鉄にくらべて全
傾斜角度において低い値を示し、かつ傾斜角度の増加と
ともに増大する。このことはアルミニウム合金を切削し
た場合には傾斜角度の増加にともない実効すくい角が増
大することから生じる切削負荷の減少(の現象)にく
らべて、切削切刃稜長さの増大による切削負荷の増加
(の現象)が勝っているためである。
【0017】一方、鋳鉄の場合には、傾斜角度の増加に
ともない傾斜角度30〜40°、すなわち実効すくい角
12〜22°の領域まで実効すくい角の増加による切削
負荷の減少(の現象)が切刃稜長さの増大にともなう
切削負荷の増加(の現象)にくらべて勝っており、切
削負荷は減少する。しかし傾斜角度40°を超える、す
なわち実効すくい角が22°を超えると傾斜角度の増加
による切刃稜長さの増大にともなう切削負荷の増加(
の現象)が、実効すくい角の増大による切削負荷の減少
(の現象)に勝り、結果として切削負荷は増加する。
【0018】すでに図1および従来技術において説明し
たように、異材種を組合せた材料の境界面を同時に切削
する場合には切削負荷は変動し、その結果、仕上げ面あ
らさ、寸法精度および工具寿命は低下する。その対策と
して、従来技術では切削負荷の変動を極小にするために
組合せ面にV溝または凹溝を作製して切削負荷の減少を
図り、変動を押さえている(特開平5−29371
1)。ただし溝作製の工程が必要であり、不経済であ
る。
【0019】本第2発明は図9に示すように、アルミニ
ウム合金と鋳鉄の切削時に切削工具の傾斜角度変化によ
る切削負荷を観察し、両被削材間で切削負荷の値が近い
切削工具の傾斜角度を見出し、その傾斜角度で傾斜切削
を行うものである。切削工具の設定すくい角−3°の切
削工具を用いて傾斜角度を変化させて鋳鉄の切削負荷か
らアルミニウム合金の切削負荷を除算した結果を図10
に示す。この図10よりわかるように、傾斜角度30〜
40°、すなわち(1)式から得られる実効すくい角1
2〜22°の範囲でアルミニウム合金と鋳鉄の両切削負
荷の差は最小になる。この範囲の実効すくい角を選定す
れば、アルミニウム合金と鋳鉄の組合せ材において、そ
の組合せ面で形成される境界面での切削負荷の変動は最
小になる。
【0020】上述の解を一般解に展開するために、切削
工具の設定すくい角をαs とすると、実効すくい角を1
2〜22°に限定する該切削工具の傾斜角度βを求めれ
ば良い。すなわち(1)式の実効すくい角αe を12°
および22°として、 sinαe1 =sin12°=0.21=sin2 β1
+(1−sin2 β1 )sinαs sinαe2 =sin22°=0.38=sin2 β2
+(1−sin2 β2 )sinαs を得て、β1 とβ2 を求めると次式になる。
【0021】
【数3】
【0022】すなわち切削工具の設定すくい角をαs
した場合には、アルミニウム合金と鋳鉄を組合せた異材
種組合せ面において切削負荷の変動を最小にするにはそ
の切削工具の傾斜角度を
【0023】
【数4】
【0024】の範囲に設定すれば良いことになる。
【0025】
【発明の実施の形態】次に傾斜切削法における該切削工
具の先端形状の半径および逃げ角を選定する。設定すく
い角−3°および傾斜角度35°、すなわち実効すくい
角17°の場合について、アルミニウム合金と鋳鉄の組
合せ面における寸法精度、すなわち加工段差をその組合
せ面の切削回数の毎に測定した。その結果を図11およ
び図12に示す。図11より、切削工具先端円形状の半
径が20mmの場合には逃げ角が18°の場合に、その
組合せ面における寸法精度、すなわち加工段差は減少
し、また安定するのがわかる。そして、図12より、切
削工具の先端円形状の半径が1mmの場合には、逃げ角
9°の時に、寸法精度、すなわち加工段差は最低値を示
し、安定するのがわかる。
【0026】一般に切削工具の先端円形状の半径が増加
すると、図13に示すように被削材と接触する切刃稜の
長さは増加する。この現象は、軟らかいアルミニウム合
金を切削すると、切刃稜から切削工具が逃げ面上に堆積
する付着物の増加を促す。この状態で切削すると過切り
込み現象が発生し、アルミニウム合金の切削開始から終
了にかけて寸法精度は徐々に劣化する。またこの付着物
をともなった切削工具が硬い鋳鉄に切削突入すると付着
物は強制的に脱落させられ、両被削材の組合せ面におい
て寸法精度は劣化、すなわち加工段差が発生する。しか
し逃げ面上に発生する付着物は逃げ角が大きい場合には
被削材仕上げ面と切削工具逃げ面との間隙が大きいこと
により、過切り込み現象は低減する。
【0027】上述の現象から図11に示す切削工具の先
端円形状の半径が大きい場合には逃げ面上に発生する付
着物は、図12に示す切削工具の先端円形状の半径が小
さい場合にくらべて多量となるために、過切り込み現象
を抑制する逃げ角は、図12に示す円形状の半径が小さ
い場合にくらべて大きくなる。ただしこの逃げ角が大き
いことは該切削工具の切刃稜を鋭角にすることとなり、
切刃の剛性を低下せしめ、切削加工時における突発的な
該切削工具の欠損を誘発する。
【0028】以上の切削現象の解析より、切削工具の先
端円形状の半径は1mm以下および切削工具の逃げ角は
9°以上が望ましい。設計時の両被削材の組合せ面の許
容寸法精度によって切削工具逃げ角の選定は異なるが、
本発明の該切削加工法においては、最低の寸法精度を確
保して、後工程の研削加工またはホーニング加工などの
省略、または両加工採用時にも最低の加工時間とするこ
とを狙いとできる。
【0029】なお本発明における切削工具の先端円形状
において20mmおよび1mmを検討した理由は、半径
1mmは従来の切削加工時に採用される切削工具におい
て、一般的に推奨される半径値であり、一方20mmは
切削仕上げ面に切削工具の切刃稜によるバニッシング作
用を誘発させて、仕上げ面あらさ値の低下を期待する場
合に採用される。
【0030】また切削工具のすくい面と逃げ面よりなる
切刃稜上の、すなわちランド幅について検討した結果、
設定すくい角−3°および傾斜角度35°、すなわち実
効すくい角17°の条件下では図14に示すように刃先
ランド幅が0.01mmの場合に被削材組合せ面の寸法
精度、すなわち加工段差は1μm前後となり、良好な結
果を得た。
【0031】一般に切削工具すくい面と逃げ面よりなる
切刃稜上の付着物高さは切刃稜上に作製されたランド幅
に依存する。図15に示すようにランド幅が広い場合に
は付着物は高く生成し、過切り込み現象を示すことから
寸法精度を劣化させる。被削材の硬さが違う該両被削材
の組合せ面において、ランド上の付着物は切削機構の急
激な変化から該両被削材の組合せ面上に脱落し、寸法精
度の劣化、すなわち加工段差を誘発する。今回の開発か
らランド幅が0.01mm以下の場合に寸法精度、すな
わち加工段差は1μm前後となり、通常の切削加工とし
ては最小の寸法精度を得る。
【0032】設計時の許容寸法によって刃先ランド幅の
選定は異なるが、切削加工における最低の寸法精度を確
保し、後工程の研削加工またはホーニング加工などの省
略、または該両加工法を採用しても最短加工時間で終了
することを目的とする場合には、刃先ランド幅を0.0
1mm以下とするのが良い。丸棒の外周旋削加工の場合
には、図16に示すように、アルミニウム合金と鋳鉄両
被削材の組合せ面を先端形状が円弧であり、設定すくい
角が−3°の切削工具により切削する場合、切削速度ベ
クトル方向と直交する該両被削材の異材種合せ面に対し
て、または切削速度ベクトル方向と同方向(平行)の該
異材種組合せ面に対して、切削工具すくい面上の先端円
形状の中心点を通り、切削工具すくい面に平行で、かつ
切り込み方向の伸びる該切削工具傾斜軸により、異材種
組合せ面と主切削部の切削工具すくい面と逃げ面とから
なる切刃稜が平行な場合、または直交する場合を傾斜角
0°とし、切削工具送りベクトル方向に傾けた角度を3
0〜40°、すなわち実効すくい角が(1)式から12
〜22°とした状態で切削する。これにより切削負荷の
変動を最小にすることができる。
【0033】この切削方式は被削材の切削部位の形状が
円筒状での中ぐり切削加工および平板形状上の正面フラ
イス切削加工においても同様に採用できる。なお、異種
材料の組み合わせとしては、特に限られるものではない
が、例えば、表1に示す組み合わせに対して効果的に本
発明の切削方法を適用できる。即ち、アルミニウム合金
のAC2C−T2と鋳鉄のFCD450の場合には、硬
さは80−90Hvと140〜220Hvの組合せとな
る。また、アルミニウム合金のAC2C−T2と鋳鉄の
FCD700の組み合わせでは、硬さは80〜90Hv
と220〜320Hvの組合せとなる。また、アルミニ
ウム合金のAC9C−T2と鋳鉄のFCD450の組み
合わせでは、硬さは125〜130Hvと140〜22
0Hvの組合せとなる。また、アルミニウム合金のAC
9C−T2と鋳鉄のFCD700の組み合わせでは、硬
さは125〜130Hvと220〜320Hvの組み合
わせとなる。
【0034】なお、異種材料の接合面ばかりでなく、機
械的に当接された非接合面をもつ場合にも、本第1発明
および第2発明の方法を適用できる。第2発明の方法で
は、非接合面の両側の材質が同じであるため切削抵抗は
ほぼ等しい。しかし本第2発明の方法を採用すると、切
削抵抗の絶対値が低いため、前記したのと同様に衝撃の
少ない、寸法精度のすぐれた切削加工が可能となる。
【0035】
【発明の効果】本発明の傾斜切削方法では、非接合合わ
せ面あるいは異種材料の接合面からなる切削抵抗の異な
る境界面をもつ金属材料の切削加工によって発生する寸
法精度、すなわち加工段差は最も小さくなる。特に、両
被削材の切削負荷が近接する傾斜角度範囲で切削する
と、両被削材の切削負荷が最小になり、境界面における
切削負荷の変動が小さい。その結果、寸法精度、すなわ
ち加工段差の発生は抑制される。
【0036】
【実施例】
(実施例1)表1に示すアルミニウム合金と該鋳鉄の組
合せ材の4種類のうちで任意に、アルミニウム合金の硬
度が80〜90Hvと鋳鉄の硬度が140〜220Hv
を組合せた材料を表2に示す切削条件で切削実験を行つ
た。また、比較のために、従来の切削法、すなわち実効
すくい角が−3°であり、組合せ面と切削工具すくい面
が接合面と平行な場合と本発明の最適傾斜角度、すなわ
ち最適実効すくい角を持つ傾斜切削法との寿命試験を行
った。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】その結果を図17に示すように、組合せ面
の切削増加にともない、本発明の傾斜切削法においては
寸法精度、すなわち加工段差は2μm前後を示した。こ
れに対して、従来の切削法の場合は、100回の切削で
3μm、300回の切削で4.5μmと大きな加工段差
をもつものであった。このように、本発明の切削方法で
は、寸法精度の高い切削ができ、切削工具の寿命延長が
得られる。
【0040】この優れた効果は表1の他の3種類の組合
せ材においても同様に認められ、また丸棒外周旋削加
工、中ぐり加工または平板表面のシェーピング加工また
はフライス加工などにおいても本発明の傾斜切削法の効
果が確認できる。 (実施例2)図18に示すコネクティングロッドのクラ
ンクシャフト軸孔の仕上げ切削に本発明の傾斜切削法を
適用した。このコネクティングロッドは、クランクシャ
フト軸孔を形成する軸受部に鉄系焼結部材を使用し、こ
の鉄系焼結部材がロッド本体を形成する。その後、図1
8に示すようにシャフト軸の軸芯を通る分断面で2分割
した。そして再び分割されたものを再びボルトで一体的
に固定した。そしてこの軸孔を切削加工し、所定寸法の
軸孔とするものである。
【0041】本実施例の傾斜切削では、被削材のロッド
を1700回転/分、周速180m/分で回転し、切削
工具の送り0.2mm/回転、取代0.1mmφ、クー
ラント使用、そして切削工具の切削稜をロッドの軸に対
して35度傾斜し、設定すくい角5度(実効すくい角2
2.8度)で切削した。20台を加工した逃げ面摩耗V
B は0.04〜0.10mmであった。
【0042】比較のために、従来の通常切削についても
切削条件を同じにして実施した。なお、傾斜角度0度、
設定すくい角は5度である。この通常の加工での20台
を加工した逃げ面摩耗VB は0.08〜0.16mmで
あった。比較の通常切削と比較し、逃げ面摩耗VB は5
0〜60%低く、本発明の傾斜切削がすぐれているのが
明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】切削抵抗の異なる境界面をもつ材料の切削状態
および切削時間変化による切削負荷および切削面の寸法
精度を定性的に示す図である。
【図2】従来の異種材料接合面の切削方法を示す図であ
る。
【図3】従来の異種材料境界面をもつ中ぐり切削方法を
示す図である。
【図4】従来の傾斜切削法を示す図である。
【図5】図4に示す傾斜切削法と通常の切削法で切削さ
れた切削面を模式的に示す図である。
【図6】本発明の傾斜切削の切削要素の定義を示す図で
ある。
【図7】設定すくい角と有効すくい角の関係を示す線図
である。
【図8】傾斜切削の傾斜角度と2つの負荷要因の関係を
示す線図である。
【図9】傾斜切削の傾斜角度と切削負荷の関係を示す線
図である。
【図10】傾斜切削の傾斜角度と2材質の切削負荷の差
を示す線図である。
【図11】傾斜切削による寸法精度と逃げ角の関係を示
す線図である。
【図12】先端円形半径の異なる切削工具を用いた図1
1と同じ傾斜切削による寸法精度と逃げ角の関係を示す
線図である。
【図13】傾斜切削による切削工具の先端円形状の半径
と刃稜の長さの関係を示す線図である。
【図14】傾斜切削による切削工具の刃先ランド幅と寸
法精度の関係を示す線図である。
【図15】傾斜切削による切削工具の刃先ランド幅と刃
先ランド上の付着物高さの関係を示す線図である。
【図16】異種材料合わせ面をもつ丸棒の外周旋削加工
を示す斜視図である。
【図17】実施例1の傾斜切削法と従来の切削法による
異種材料合わせ面をもつ材料の切削による寸法精度を示
す線図である。
【図18】実施例2に使用した被接合合わせ面をもつ被
削材のコネクティングロッドを示す平面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大庫 和孝 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 笹森 竹房 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 吉岡 裕司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 柘植 徹 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】切削抵抗の異なる境界面をもつ金属材料の
    切削方法であって、 切削工具による該金属材料の切り込みは該切削工具のす
    くい面と逃げ面とで形成される切刃稜の一端側から他端
    側に該境界面を連続的に切り込むようにして行うことを
    特徴とする切削抵抗の異なる境界面をもつ金属材料の切
    削方法。
  2. 【請求項2】切削抵抗の異なる境界面をもつ金属材料の
    切削方法であって、 切削工具のすくい面と逃げ面とで形成される切刃稜と、
    該境界面とが平行もしくは直交の場合を傾斜角0度と規
    定し、かつ該境界面に対する該すくい面の設定すくい角
    をαとした場合、該境界面と該切刃稜の傾斜角度が数式
    1の範囲の角度とした状態で該切削工具により切削する
    ことを特徴とする切削抵抗の異なる境界面をもつ金属材
    料の切削方法。 【数1】
  3. 【請求項3】切削抵抗の異なる境界面は異種材料の接合
    面により構成され、該異種材料は、異種材料は、硬度が
    80〜90Hvと 硬度が140〜220Hvの材料と
    を組合せた材料、80〜90Hvと220〜320Hv
    を組合せた材料、125〜130Hvと140〜220
    Hvを組合せた材料、125〜130Hvと220〜3
    20Hvを組合せた材料である請求項2記載の切削抵抗
    の異なる境界面をもつ金属材料の切削方法。
  4. 【請求項4】切削工具の円先端形状の半径は1mm以下
    であり,逃げ角は9°以上である請求項2または3に記
    載の切削抵抗の異なる境界面をもつ金属材料の切削方
    法。
  5. 【請求項5】切削工具の刃先ランド幅は0.01mm以
    下である請求項2または3に記載の切削抵抗の異なる境
    界面をもつ金属材料の切削方法。
JP24211295A 1995-09-20 1995-09-20 切削抵抗の異なる境界面をもつ金属材料の切削方法 Pending JPH0985501A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014129836A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Toyota Motor Corp 軸受け、軸受けの加工方法及び軸受け装置
JP2019077018A (ja) * 2017-10-27 2019-05-23 株式会社ディスコ 被加工物の加工方法
JP2019077019A (ja) * 2017-10-27 2019-05-23 株式会社ディスコ 被加工物の加工方法

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JP2019077018A (ja) * 2017-10-27 2019-05-23 株式会社ディスコ 被加工物の加工方法
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