JPH0984853A - 臓器保存液を収容した医療用容器 - Google Patents

臓器保存液を収容した医療用容器

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JPH0984853A
JPH0984853A JP7269340A JP26934095A JPH0984853A JP H0984853 A JPH0984853 A JP H0984853A JP 7269340 A JP7269340 A JP 7269340A JP 26934095 A JP26934095 A JP 26934095A JP H0984853 A JPH0984853 A JP H0984853A
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container
bicarbonate
organ
container body
chamber
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JP7269340A
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Keinosuke Isono
啓之介 磯野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 臓器保存液の長期間の保存が可能で、また収
容される臓器保存液の無菌保証が十分に達成されている
医療用容器を提供。 【構成】 臓器移植の際に臓器が浸される臓器保存液を
収容した医療用容器において、上記容器本体がプラスチ
ック容器からなり、また上記容器本体は複数の室を有
し、該室と室との隔離壁の全部又は一部は上記容器本体
外からの剥離が可能で該室と室とを連通可能にするピー
ルシール部で形成され、上記の少なくとも一の室には、
重炭酸塩がアルカリ性を維持して隔離充填されているこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、臓器保存液を収容する
コンテナ、或いはバック等の医療用容器に関するもので
あり、より詳細には、臓器移植の際に一時的に臓器が浸
され、また重炭酸塩や臓器保存剤等を含んで無菌的に調
製されるユーロコリンズ液、ウィスコンシン液等の臓器
保存液を収容した医療用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】臓器移植の際には、ドナーから摘出した
臓器の機能を一定時間維持することが必要とされ、かか
る維持のために臓器保存液に臓器が一時的に浸される。
臓器保存液には、種々のものが既に提案されており、そ
れ自体公知になっている。また各臓器の種類に対応した
保存剤の添加も種々提案されている。例えば、臓器保存
液には、ユーロコリンズ液、ウィスコンシン液等が提案
されており、ユーロコリンズ液の調製成分としては以下
のものが一例として挙げることができる。
【0003】K2HPO4・・・・・・7.40g/L NaHCO3・・・・・・0.84g/L KH2PO4・・・・・・2.04g/L KCl・・・・・・・・1.12g/L MgSO4・・・・・・・0.48g/L D50W・・・・・・・・50ml/L ヘパリン・・・・・・・・5、000単位/L 浸透圧 326mOsm/kg
【0004】また、臓器保存剤としては、抗生物質、生
理活性蛋白質(インスリン、抗血小板因子、抗利尿ホル
モン等)、糖類(グルコース、マンニトール等)、ビタ
ミン類(ビタミンC、ビタミンE等)、有機酸(乳酸、
クエン酸等)、核酸塩基(アデノシン三リン酸等)、降
圧剤(カルシウム拮抗剤、アドレナリンβ受容体拮抗
剤、アンギオテンシン変換酵素阻害剤等)、抗凝固剤
(ヘパリン等)等が既に提案されている。また特開平7
−215801号公報に記載されるリン酸ジエステル化
合物等の薬物も提案されている。従来また、臓器保存液
と容器との関係においては、加熱滅菌や無菌濾過した精
製水等に所定の電解質及び保存剤を無菌的に溶解し、こ
れをビニール容器等に無菌的に充填している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、臓器保
存液を収容した従来の医療用容器にあって、以下の点に
問題がある。臓器保存液には、溶液化した場合の不安定
な重炭酸及び臓器保存剤があるため、長期間の保存がで
きない。また、かかるビニール容器に臓器保存液を充填
した状態では、重炭酸及び臓器保存剤が容易に変質する
ため高圧蒸気滅菌ができない。このため、臓器保存液を
無菌的にビニール容器に充填させるものの、その無菌保
証が十分にできない。
【0006】従って、本発明の目的は、臓器保存液の長
期間の保存が可能で、また収容される臓器保存液の無菌
保証が十分に達成されている医療用容器を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、臓器移植の際
に臓器が浸される臓器保存液を収容した医療用容器にお
いて、上記容器本体がプラスチック容器からなり、また
上記容器本体は複数の室を有し、該室と室との隔離壁の
全部又は一部は上記容器本体外からの剥離が可能で該室
と室とを連通可能にするピールシール部で形成され、上
記の少なくとも一の室には、重炭酸塩がアルカリ性を維
持して隔離充填されていることを特徴とする医療用容器
を提供することにより、上記目的を達成したものであ
る。
【0008】本発明に係る医療用容器において、上記重
炭酸塩がナトリウム塩であることを特徴とすることによ
り、上記臓器保存液の主要電解質であるナトリウムの一
部を用いることができるため、溶液組成の変更をしない
で、上記重炭酸を室内において十分なアルカリ性状態に
しうる。本発明に係る医療用容器において、上記の少な
くとも一の室には、臓器保存剤が隔離充填されているこ
とを特徴とするとすることにより、臓器保存剤を長期間
の間、安定に維持させておくことができる。上記臓器保
存剤が抗生物質、生理活性蛋白質、糖類、ビタミン、有
機酸、核酸塩基、降圧剤、抗凝固剤の何れかであること
を特徴とする。
【0009】本発明に係る医療用容器において、上記容
器本体がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とす
ることにより、臓器保存液が樹脂の官能基等の影響を受
けず、医療用としての安全性が高まる。また重炭酸ナト
リウム塩等のアルカリ性塩に対しても十分な抵抗性があ
る。本発明に係る医療用容器において、上記容器本体の
内壁層がポリエチレン及びポリプロピレンの混合物から
なることを特徴とすることにより、外部から剥離可能な
上記ピールシール部を容器本体に容易に形成することが
できる。
【0010】
【作用】上記医療用容器にあっては、重炭酸が容器本体
の主要な母液の室から分かれて他の室に充填され、また
主要母液中の電解質の一部を、重炭酸のアルカリ性塩剤
として割り当て、重炭酸は炭酸ガスとして分解するのを
防止した状態で充填される。このため、容器本体の全体
を高圧蒸気滅菌したときも、殆どの重炭酸が分解せずに
塩として存在させることができる。また容器本体が長期
保存に付された場合でも、重炭酸塩は分解することなく
室内が無菌的に維持される。また重炭酸塩は、室への無
菌充填も可能であるが、薄い容器壁で覆われた室に充填
されているため、電子線による滅菌も容易にでき、母液
が高圧蒸気滅菌可能なことと相まって、ピールシール部
が剥離して開放された時に無菌保証に優れた臓器保存液
を提供することができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明に係る医療用容器の好ましい実
施例を添付図面を参照しながら詳述する。図1は本発明
に係る医療用容器の第一実施例の平面図、図2は第一実
施例の医療用容器の使用時の平面図である。
【0012】図1及び2に示す如く、本実施例にかかる
医療用容器1は、臓器移植の際に臓器が浸される臓器保
存液を収容した医療用容器である。そして、医療用容器
1の容器本体2がプラスチック容器からなり、また容器
本体2は複数の室4、5、6を有し、室4、5と室6と
の隔離壁のは一部は容器本体2外からの剥離が可能で室
4、5と室6とを連通可能にするピールシール部33で
形成され、少なくとも一の室4には、重炭酸塩11がア
ルカリ性を維持して隔離充填されている。
【0013】本実施例に係る医療用容器1を更に詳しく
説明すると、容器1は、臓器保存液が収容されている医
療用容器である。医療用容器1の容器本体2は、壁面が
撓む不定容積性の樹脂容器からなる。本実施例において
具体的には、容器本体2は、直鎖状低密度ポリエチレン
及びポリプロピレンの混合組成物を押出し成形して作製
したシートを延伸し、所定の大きさに裁断して形成され
る。裁断したシートは2枚に重ねられ、2枚のシートは
熱溶着により所定の四方が完全に固着シールされ、固着
シール部3内が臓器保存液の充填室となる。固着シール
部3は室を分けて形成するための突起状のシール部3
A、3B、3Cが形成される。容器本体2には固着シー
ル部3の他に、外側から互いのシート内壁同士の剥離可
能なピールシール部33が形成される。そして、ピール
シール部33は、突起状のシール部3A、3B、及び3
Cと一部重複して形成され、容器本体2は第一充填室
4、第二充填室5及び母液充填室6に分割される。従っ
て、容器本体2は完全な固着シール部3とピールシール
部33とが形成され、このような異なるシール部の形成
については、それ自体公知の完全固着シール部と剥離可
能なシール部を有する医療用容器の製造方法などを参照
して作製することができる。
【0014】即ち、本実施例では、直鎖状低密度ポリエ
チレン(商品名:モアテック、出光石油化学株式会社
製、密度:0.916g/cm3、MI:2)とポリプ
ロピレン(商品名:チッソポリプロ、チッソ株式会社
製、密度:0.90g/cm3、MI:0.7)を6:
4の割合で2本ロール(ロール温度は175℃)により
混練りし、これを熱プレスにより肉厚200μm、長さ
500mm、幅400mmのシートを作製する。次に2
枚の樹脂シートを重ねてその所定の周端を容器の形態と
するためインパルスシーラー(富士インパルス株式会社
製オートシーラFA−300−5W)でシールする。シ
ール条件はシール時間1.5秒間、冷却時間5秒間であ
る。一方、ピールシール部33は、上下から加熱金型で
10mm幅、長さ150mmの区間を押さえシールす
る。かかるシール条件は、130℃〜150℃の間で、
12秒間プレス状態に置いた。尚、プレスによりシール
面が完全に潰れないようにストッパーを設け過大なプレ
ス圧が及ばないように調整する。尚、容器本体2には、
固着シール部3の形成と同時に、排出口部材7が取付ら
れ、また吊下げ部10が形成される。排出口部材7には
蓋体8が取付られ、蓋体8は止め材9を介して液密に排
出口を封止している。
【0015】容器本体2に汎用なポリオレフィン系樹脂
を用いることは、経済的な面だけでなく、容器の充填物
にとって望ましい。即ち、ポリオレフィン系樹脂は可塑
剤等を含んでおらず、また官能基等を有していないた
め、重炭酸塩11、保存剤12及び母液13への悪影響
がない。また容器本体2にこのような直鎖状低密度ポリ
エチレン及びポリプロピレンの混合組成物を用いること
は、ピールシール部33を簡単に形成する上で望まし
い。
【0016】尚、実施例では、ポリオレフィン系の直鎖
状低密度ポリエチレン及びポリプロピレンのブレンド物
を容器本体2に用いたが、不定容積性の樹脂容器ができ
る限り、他の樹脂に代えても良い。例えば、低密度ポリ
エチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂、軟質ポリエステル樹脂、塩素化ポリエチレン樹
脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等
の可撓性に富んだ材料を用いることができる。容器本体
2の壁の厚みは、柔軟性、可撓性を有する限り、特にそ
の厚みを限定するものではない。また、容器本体2は、
多層樹脂構造でも良い。特に、内層にピールシール部3
3の成形容易な樹脂層を用い、外層或いは中間層等に炭
酸ガスの難透過性の高い樹脂を用いることが望ましい。
このような炭酸ガスのバリア性の高い樹脂層を設けた場
合、容器本体2内の重炭酸塩11が若干分解し、炭酸ガ
スを放出したとしても、容器本体2の第一充填室4から
の炭酸ガス放出が極めて困難となり、容器の長期間の安
定保存が更に保証される。
【0017】本実施例に於ける容器本体2に充填される
臓器保存液は、ユーロコリンズ液を基本としており、重
炭酸塩11と臓器保存剤12と母液13とが各室4、
5、6に分けて収容される。そして、重炭酸塩11は、
容器本体2の第一充填室4に充填され、第一充填室4内
はアルカリ性状態に維持される。即ち、重炭酸はアルカ
リ塩の状態で第一充填室4に充填される。かかるアルカ
リ塩は、母液充填室6に充填されるべき塩の一部が割り
当てられる。塩としては重炭酸が母液13に混合された
ときに容易に溶解される塩が好ましく、このような塩と
してはナトリウム塩が望ましい。従って、本実施例で
は、第一充填室4には、炭酸水素ナトリウム或いは炭酸
ナトリウムが充填され、pHが7以上、特に7.9〜
9.0であることが望ましい(1:30の水溶液として
のpHをいう。)。また、第一充填室4で使用された量
のナトリウム塩は、母液13中のナトリウム塩が差し引
かれる。第一充填室4に充填される重炭酸塩11として
は、日本薬局方に基づく重曹等の粉末、日本薬局方に基
づく炭酸水素ナトリウム注射液のような100w/v%
の水溶液(懸濁液)或いは濃厚液としての形態で充填さ
れることが望ましい。本実施例では、このような重炭酸
塩9が上述の配合量に基づいて充填される。
【0018】重炭酸塩11は、薬理学的に許容できる量
の範囲内であれば良い。特に、臓器保存液中の重炭酸濃
度(HCO3 )が、1〜50、特に5〜40、更には1
0〜30mEq/Lの範囲になることが望ましい。従っ
て、本実施例では、容器本体2に母液が1L収容される
ことから、重炭酸塩としての炭酸水素ナトリウムは、
0.084〜4.2gの範囲で用いられる。
【0019】臓器保存剤12は第二充填室5に充填され
る。臓器保存剤12は、その使用される臓器の種類に対
応して一又は二種以上のものが適宜充填される。臓器保
存剤12としては、抗生物質、生理活性蛋白質(インス
リン、抗血小板因子、抗利尿ホルモン等)、糖類(グル
コース、マンニトール等)、ビタミン類(ビタミンC、
ビタミンE等)、有機酸(乳酸、クエン酸等)、核酸塩
基(アデノシン三リン酸等)、降圧剤(カルシウム拮抗
剤、アドレナリンβ受容体拮抗剤、アンギオテンシン変
換酵素阻害剤等)、抗凝固剤(ヘパリン等)等が既に提
案されている。また特開平7−215801号公報に記
載されるリン酸ジエステル化合物等の薬物も提案されて
いる。
【0020】母液13は、容器本体2の大部分をしめる
母液充填室6に充填され、重炭酸塩11が分離して第一
充填室4に充填される関係から、ナトリウム塩の理論量
を差し引いた組成液として充填される。また、母液13
には、ナトリウム塩の他に、カリウム塩等のアルカリ金
属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類
金属塩等が薬理学的に許容される範囲内で用いられる。
またこれら以外の塩等を添加することができる。また母
液13には必要により、賦形剤、結合剤、緩衝剤、等張
化剤、PH調整剤、防腐剤、溶解剤、粘性剤等のそれ自
体公知の添加物を添加することができる。また、母液充
填室6に充填される母液13にグルコース等の糖類が含
まれる場合には、そのpHが5.5以下であることが望
ましく、特に5.3、更には5.0以下であることが望
ましい。このような母液13の酸性化は、第一充填室4
に重炭酸塩11を分離しナトリウムを奪ったことにより
容易に達成され、上記範囲のpHに母液13が維持され
た場合には、高圧蒸気滅菌により母液13を加熱処理し
ても、母液13内のブドウ糖等が変質を起こすおそれが
極めて少なくなる。重炭酸塩11、臓器保存剤12及び
母液13を混合したときの臓器保存液は、その浸透圧が
250〜400mOsm、好ましくは280〜350m
Osmの範囲である。また臓器保存液のPHは、3〜1
0、特に4〜9に調整することが望ましい。
【0021】臓器保存液を容器本体2に充填する場合、
先ず容器本体2の排出口から第一充填室4及び5に上述
の重炭酸塩11及び12が無菌的に充填されピールシー
ル部4が形成され、次に、排出口から母液充填室6に上
述の母液13が充填される。その後、排出口部材7が蓋
体8で密封され、容器本体2は高圧蒸気滅菌される。こ
れにより、各充填室の重炭酸塩11、保存剤12及び母
液13が確実に滅菌される。高圧蒸気滅菌は、局方の高
圧蒸気滅菌方法に基づいて行われ、高圧蒸気滅菌には一
般的なオートクレーブが使用され、オートクレーブ内
は、例えば、不活性ガスで置換した後に100乃至13
0℃の温度で行う。
【0022】このように構成された医療用容器1では、
滅菌時に、重炭酸塩11が充填室4内で分解を起こさな
いため、充填状態のままで容器本体2に保持される。ま
た容器1の保存時にあっては、重炭酸塩11の分解も起
こさずに容器本体2内に維持されるため、病院にそのま
ま提供することができる。また、少なくとも母液13は
容器1内で高圧蒸気滅菌ができるため、無菌保証も極め
て高く維持できる。更に、保存剤12などがヘパリンの
様に高圧蒸気滅菌できない場合でも、充填室5の壁が薄
いフィルム等で形成されるため、電子線による滅菌が容
易にできる。
【0023】即ち、室5壁、或いは容器1壁としての樹
脂壁の厚みが1600μm以下、特に好ましくは800
μm以下30μm以上である。電子線照射滅菌する場
合、物質の透過性に限度があるため、樹脂シートは薄い
ことが望ましい。電子線の透過性は、主に加速電圧によ
り決定され、高エネルギー型では最高13000g/m
2であり、これは、水(比重1g/m2)の厚みで130
00μmである。しかし、加速電圧装置が大型化すると
X線の遮蔽設備が大がかりになり樹脂壁を変質させるお
それがある。このため、中低エネルギー型の1MeV以
下、特に低エネルギー型の500KV以下の加速電圧装
置が望ましく、かかる装置では約1500g/m2が限
界であるため、上記範囲の厚みを上回ると、樹脂壁内の
滅菌が十分にできないおそれがある。一方、上記範囲を
下回ると連通路としての強度が問題となる。従って、上
述したように本実施例では樹脂シートの厚みが200μ
mであるため、臓器保存剤12が高圧蒸気滅菌できない
場合でも、電子線照射滅菌により容易に達成でき、滅菌
保証が十分になされる。尚、樹脂シートの素材の比重
は、小さければそれだけ電子線等の透過が増加するため
好ましいが、上述ように医療用容器の材料で、剥離可能
なシール部が形成されることから、その樹脂素材の比重
は、0.98g/cm3以下、更には0.95〜0.8
8g/cm3の範囲のものが望ましい。かかる範囲にあ
る樹脂組成物は、汎用なポリオレフィン系の樹脂であ
り、また電子線の透過性にも発熱等があまり生じず、照
射による変質なども見られないからである。
【0024】臓器保存液を収容した医療用容器1の使用
に際しては、容器本体2の外側からピールシール部33
を剥離し、第一充填室4、第二充填室5及び母液充填室
6を連通させる。そして、図2に示す如く、重炭酸塩1
1及び臓器保存剤12を母液13に溶解させ、容器本体
2内で無菌的操作により臓器保存液を調製することがで
きる。その後、排出口部材7に導管15を取付け、臓器
の入った槽に無菌的に充填される。従って、医療用容器
1では、臓器保存液を長期間の間保存することができる
だけでなく、臓器保存液の無菌充填のみに頼らずに、確
実な滅菌を施すことができるので、臓器保存液の無菌を
十分に保証することができる。尚、上記実施例の臓器保
存液としては、肝臓、腎臓、心臓、肺臓等の主要な臓器
だけでなく、角膜組織等の組織的な臓器にも使用され
る。
【0025】上記実施例では、排出口を母液充填室6側
にのみ設けたが、これに限ることはなく、充填室5側に
も設けても良い。上記実施例では、第一充填室4及び第
二充填室5と充填室6との隔壁シールを固着シール部3
A、3Cとピールシール部33で形成したが、ピールシ
ール部33を隔壁シールの全体としても良い。上記実施
例では、臓器保存剤12の充填室5を設けたが、重炭酸
塩11と一緒にできる場合は、第一充填室4のみを形成
しても良い。上記実施例では、二枚の押出し成形シート
を用いて容器本体2を成形したがこれに限ることはな
く、シートはインフレーション成形された筒状シートか
ら容器本体を製造しても良い。また、容器本体2はブロ
ー成形したものであっても良い。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る医療用
容器によれば、上記臓器保存液の成分を分割し、異なる
室に設け、一の室をアルカリ性の重炭酸塩で充填したの
で、また室と室とを外側から接続可能にしたので、臓器
保存液を長期間の間安定に保持し、更に滅菌保証も十分
になされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例における医療用容器の平面図であ
る。
【図2】第一実施例の容器の使用時の平面図である。
【符号の説明】
1 医療用容器 2 容器本体 3 固着シール部 4 第一充填室 5 第二充填室 6 母液の充填室 7 排出部材 8 蓋体 9 止め材 10 吊り下げ部 11 重炭酸塩 12 臓器保存剤 13 母液 15 導管 33 ピールシール部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 臓器移植の際に臓器が浸される臓器保存
    液を収容した医療用容器において、 上記容器本体がプラスチック容器からなり、また上記容
    器本体は複数の室を有し、該室と室との隔離壁の全部又
    は一部は上記容器本体外からの剥離が可能で該室と室と
    を連通可能にするピールシール部で形成され、上記の少
    なくとも一の室には、重炭酸塩がアルカリ性を維持して
    隔離充填されていることを特徴とする医療用容器。
  2. 【請求項2】 上記重炭酸塩がナトリウム塩であること
    を特徴とする請求項1記載の医療用容器。
  3. 【請求項3】 上記の少なくとも一の室には、臓器保存
    剤が隔離充填されていることを特徴とする請求項1又は
    2記載の医療用容器。
  4. 【請求項4】 上記臓器保存剤が抗生物質、生理活性蛋
    白質、糖類、ビタミン、有機酸、核酸塩基、降圧剤、抗
    凝固剤の何れかであることを特徴とする請求項3記載の
    医療用容器。
  5. 【請求項5】 上記容器本体がポリオレフィン系樹脂か
    らなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の
    医療用容器。
  6. 【請求項6】 上記容器本体の内壁がポリエチレン及び
    ポリプロピレンの混合組成物からなることを特徴とする
    請求項5記載の医療用容器。
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