JPH07215801A - 肺保存剤および肺保存方法 - Google Patents
肺保存剤および肺保存方法Info
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- JPH07215801A JPH07215801A JP6008237A JP823794A JPH07215801A JP H07215801 A JPH07215801 A JP H07215801A JP 6008237 A JP6008237 A JP 6008237A JP 823794 A JP823794 A JP 823794A JP H07215801 A JPH07215801 A JP H07215801A
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- A01N1/00—Preservation of bodies of humans or animals, or parts thereof
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Abstract
(57)【要約】
【目的】本発明は、肺移植の際の有用な肺保存剤および
肺保存方法を提供する。 【構成】次の式 【化１】 ［式中、Ｒ1 およびＲ2 は、同一または異なって水素原
子またはメチル基を示す。］で表されるリン酸ジエステ
ル化合物またはその薬理学的に許容できる塩を含有して
なる肺保存剤並びにそれを用いることを特徴とする肺保
存方法。
肺保存方法を提供する。 【構成】次の式 【化１】 ［式中、Ｒ1 およびＲ2 は、同一または異なって水素原
子またはメチル基を示す。］で表されるリン酸ジエステ
ル化合物またはその薬理学的に許容できる塩を含有して
なる肺保存剤並びにそれを用いることを特徴とする肺保
存方法。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、有用な肺保存剤および
肺保存方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、アス
コルビン酸とトコフェロールとのリン酸ジエステル化合
物またはその薬理学的に許容できる塩を含有してなる有
用な肺保存剤並びにこれを用いることを特徴とする肺保
存方法に関する。
肺保存方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、アス
コルビン酸とトコフェロールとのリン酸ジエステル化合
物またはその薬理学的に許容できる塩を含有してなる有
用な肺保存剤並びにこれを用いることを特徴とする肺保
存方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】臓器移植を達成するには、ドナーから摘
出した臓器機能を一定時間維持することが必要である。
各臓器にはそれぞれの特性があり、その保存方法が異な
るが、摘出した臓器の代謝を抑制するか、維持するかと
いう２つの方法に依るという点では共通している。
出した臓器機能を一定時間維持することが必要である。
各臓器にはそれぞれの特性があり、その保存方法が異な
るが、摘出した臓器の代謝を抑制するか、維持するかと
いう２つの方法に依るという点では共通している。
【０００３】このうち、肺移植の際の肺保存方法として
は、従来、（１）体外循環を用いたドナー核冷却法（ｄ
ｏｎｏｒ ｃｏｒｅ ｃｏｏｌｉｎｇ）、（２）肺血管
床を肺動脈から灌流液でフラッシュ（ｆｌｕｓｈ）した
後冷却保存する方法、（３）単純に局所冷却（ｔｏｐｉ
ｃａｌ ｃｏｏｌｉｎｇ）する方法および（４）心肺標
本として自動灌流（ａｕｔｏｐｅｒｆｕｓｉｏｎ）する
方法などがある。一般的には、肺摘出前に肺を効果的に
冷却するために、肺動脈からフラッシュして直ちに肺を
摘出し、ユーロコリンズ液（Ｅｕｒｏ−Ｃｏｌｌｉｎｓ
液）などの保存液に浸せきする方法が多く用いられてい
る。
は、従来、（１）体外循環を用いたドナー核冷却法（ｄ
ｏｎｏｒ ｃｏｒｅ ｃｏｏｌｉｎｇ）、（２）肺血管
床を肺動脈から灌流液でフラッシュ（ｆｌｕｓｈ）した
後冷却保存する方法、（３）単純に局所冷却（ｔｏｐｉ
ｃａｌ ｃｏｏｌｉｎｇ）する方法および（４）心肺標
本として自動灌流（ａｕｔｏｐｅｒｆｕｓｉｏｎ）する
方法などがある。一般的には、肺摘出前に肺を効果的に
冷却するために、肺動脈からフラッシュして直ちに肺を
摘出し、ユーロコリンズ液（Ｅｕｒｏ−Ｃｏｌｌｉｎｓ
液）などの保存液に浸せきする方法が多く用いられてい
る。
【０００４】しかしながら、これらの方法においては、
肺保存後に再灌流させると、種々の要因により肺浮腫が
起こり、肺のガス交換機能の低下を充分抑えることがで
きないという問題点などが指摘されている。したがっ
て、肺移植の際、より優れた効果を有する肺保存剤が求
められ、現在、鋭意研究・開発が進められているのが現
状である。
肺保存後に再灌流させると、種々の要因により肺浮腫が
起こり、肺のガス交換機能の低下を充分抑えることがで
きないという問題点などが指摘されている。したがっ
て、肺移植の際、より優れた効果を有する肺保存剤が求
められ、現在、鋭意研究・開発が進められているのが現
状である。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下、本
発明者らは、アスコルビン酸とトコフェロールとのリン
酸ジエステル化合物の薬効を鋭意検討するうちに、これ
ら化合物が肺移植の際の肺保存に有用であることを見出
した。本発明者らは、この新知見に基づきさらに検討を
重ね、本発明を完成したものである。
発明者らは、アスコルビン酸とトコフェロールとのリン
酸ジエステル化合物の薬効を鋭意検討するうちに、これ
ら化合物が肺移植の際の肺保存に有用であることを見出
した。本発明者らは、この新知見に基づきさらに検討を
重ね、本発明を完成したものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
（１）次の式
（１）次の式
【０００７】
【化２】
【０００８】［式中、Ｒ1 およびＲ2 は、同一または異
なって水素原子またはメチル基を示す。］で表されるリ
ン酸ジエステル化合物またはその薬理学的に許容できる
塩（以下、本化合物という。）を含有してなる肺保存剤
並びに（２）それを用いることを特徴とする肺保存方法
に関する。
なって水素原子またはメチル基を示す。］で表されるリ
ン酸ジエステル化合物またはその薬理学的に許容できる
塩（以下、本化合物という。）を含有してなる肺保存剤
並びに（２）それを用いることを特徴とする肺保存方法
に関する。
【０００９】本発明の肺保存剤および肺保存方法に用い
られる本化合物は、たとえば特公平２−４４４７８号や
特開昭６２−２０５０９１号公報記載の方法またはこれ
らに準じて適宜合成することができる。
られる本化合物は、たとえば特公平２−４４４７８号や
特開昭６２−２０５０９１号公報記載の方法またはこれ
らに準じて適宜合成することができる。
【００１０】本発明の肺保存剤および肺保存方法に用い
られる本化合物は、抗白内障剤、更年期障害予防・治療
剤、美肌作用を有する化粧品（特公平２−４４４７８
号）、抗炎症剤（特公平１−２７００４号）、抗潰瘍剤
（特開昭６３−２７０６２６号）さらに虚血性臓器障害
予防・治療剤（特開平２−１１１７２２号）などの種々
の用途が既に知られている。しかしながら、本化合物が
肺移植の際の肺保存に有用であることは未だ知られてい
ない。
られる本化合物は、抗白内障剤、更年期障害予防・治療
剤、美肌作用を有する化粧品（特公平２−４４４７８
号）、抗炎症剤（特公平１−２７００４号）、抗潰瘍剤
（特開昭６３−２７０６２６号）さらに虚血性臓器障害
予防・治療剤（特開平２−１１１７２２号）などの種々
の用途が既に知られている。しかしながら、本化合物が
肺移植の際の肺保存に有用であることは未だ知られてい
ない。
【００１１】本発明の肺保存剤および肺保存方法に用い
られる本化合物は、遊離のものであっても、その薬理学
的に許容できる塩であっても、本発明の目的のため適宜
に使用することができる。その薬理学的に許容できる塩
としては、たとえばナトリウム塩、カリウム塩などのア
ルカリ金属塩やカルシウム塩、マグネシウム塩などのア
ルカリ土類金属塩などが例示されるが、これら以外の塩
であっても薬理学的に許容できる塩であればいずれのも
のであっても適宜に使用することができる。
られる本化合物は、遊離のものであっても、その薬理学
的に許容できる塩であっても、本発明の目的のため適宜
に使用することができる。その薬理学的に許容できる塩
としては、たとえばナトリウム塩、カリウム塩などのア
ルカリ金属塩やカルシウム塩、マグネシウム塩などのア
ルカリ土類金属塩などが例示されるが、これら以外の塩
であっても薬理学的に許容できる塩であればいずれのも
のであっても適宜に使用することができる。
【００１２】本発明の肺保存剤および肺保存方法には、
目的と必要に応じて、本化合物のうち１種または２種以
上を適宜組み合せて用いることもできる。
目的と必要に応じて、本化合物のうち１種または２種以
上を適宜組み合せて用いることもできる。
【００１３】本発明の肺保存剤および肺保存方法に活性
成分として用いられる本化合物は、毒性がきわめて低く
安全性に優れているので、本発明の目的のため有利に用
いることができる［たとえば、Ｌ−アスコルビン酸、Ｄ
Ｌ−α−トコフェロールリン酸ジエステルカリウム（以
下、ＥＰＣ−Ｋと略称する。）のＬＤ50：経口投与５ｇ
／ｋｇ（ラット）、静脈注射１００ｍｇ／ｋｇ（ラッ
ト）以上］。
成分として用いられる本化合物は、毒性がきわめて低く
安全性に優れているので、本発明の目的のため有利に用
いることができる［たとえば、Ｌ−アスコルビン酸、Ｄ
Ｌ−α−トコフェロールリン酸ジエステルカリウム（以
下、ＥＰＣ−Ｋと略称する。）のＬＤ50：経口投与５ｇ
／ｋｇ（ラット）、静脈注射１００ｍｇ／ｋｇ（ラッ
ト）以上］。
【００１４】本発明の肺保存剤は、予め液剤の形にして
おいてもよく、あるいは固形剤として使用時に溶解して
用いてもよい。固形剤はたとえば精製水や生理食塩液な
どに溶解、懸濁または乳化させるのがよい。固形剤とし
ては、たとえば錠剤、顆粒や散剤などが挙げられ、これ
らは公知の方法により適宜製造することができる。これ
ら製剤は、無菌濾過や加熱滅菌などの公知の方法により
無菌とするのがよい。これらの固型剤および液剤には、
たとえば賦形剤、結合剤、緩衝剤、等張化剤、ｐＨ調節
剤、防腐剤、溶解剤、粘性剤などの公知の各種添加剤を
含有させてもよい。
おいてもよく、あるいは固形剤として使用時に溶解して
用いてもよい。固形剤はたとえば精製水や生理食塩液な
どに溶解、懸濁または乳化させるのがよい。固形剤とし
ては、たとえば錠剤、顆粒や散剤などが挙げられ、これ
らは公知の方法により適宜製造することができる。これ
ら製剤は、無菌濾過や加熱滅菌などの公知の方法により
無菌とするのがよい。これらの固型剤および液剤には、
たとえば賦形剤、結合剤、緩衝剤、等張化剤、ｐＨ調節
剤、防腐剤、溶解剤、粘性剤などの公知の各種添加剤を
含有させてもよい。
【００１５】また、本発明の肺保存剤には、本発明の目
的に反しないかぎり、通常肺保存に用いられるその他の
保存成分を含有させてもよい。たとえば、抗生物質、イ
ンスリン、糖類（マンニトールなど）、ビタミン類（ビ
タミンＣ、ビタミンＥなど）、有機酸（乳酸、クエン酸
など）、核酸塩基（アデノシン三リン酸など）、降圧剤
（カルシウム拮抗剤、アドレナリンβ受容体拮抗剤、ア
ンジオテンシン変換酵素阻害剤など）、抗血小板因子、
抗利尿ホルモン、抗凝固剤（ヘパリン）などが挙げられ
る。
的に反しないかぎり、通常肺保存に用いられるその他の
保存成分を含有させてもよい。たとえば、抗生物質、イ
ンスリン、糖類（マンニトールなど）、ビタミン類（ビ
タミンＣ、ビタミンＥなど）、有機酸（乳酸、クエン酸
など）、核酸塩基（アデノシン三リン酸など）、降圧剤
（カルシウム拮抗剤、アドレナリンβ受容体拮抗剤、ア
ンジオテンシン変換酵素阻害剤など）、抗血小板因子、
抗利尿ホルモン、抗凝固剤（ヘパリン）などが挙げられ
る。
【００１６】さらに、本化合物は、ユーロコリンズ液や
ウィスコンシン液（Ｗｉｓｃｏｎｃｉｎ ｓｏｌｕｔｉ
ｏｎ）〔ＤｕＰｏｎｔ社製ＶｉａＳｐａｎ液（登録商
標）〕などの公知の臓器保存液に溶解して、肺保存液と
して用いてもよい。
ウィスコンシン液（Ｗｉｓｃｏｎｃｉｎ ｓｏｌｕｔｉ
ｏｎ）〔ＤｕＰｏｎｔ社製ＶｉａＳｐａｎ液（登録商
標）〕などの公知の臓器保存液に溶解して、肺保存液と
して用いてもよい。
【００１７】本発明の肺保存剤は、肺移植の際肺保存剤
が使用される公知の態様で、用いることができる。具体
的には、たとえば次のように使用することができる。一
定温度に冷却した本発明の肺保存剤を滅菌済容器に入
れ、この中に移植用肺を入れ、一定温度に冷却する。次
に、肺動脈にカテーテルを挿入、これより冷却した本発
明の肺保存剤を灌流し、肺内部の血液を洗い流す。死体
肺移植の場合においては、肺静脈を切断後、冷却した本
発明の保存剤を肺動脈から灌流し、灌流後肺を摘出す
る。このように処理、摘出した肺を、本発明の保存剤を
含有させて予め冷却した滅菌済容器中で、一定温度下に
おいて保存する。
が使用される公知の態様で、用いることができる。具体
的には、たとえば次のように使用することができる。一
定温度に冷却した本発明の肺保存剤を滅菌済容器に入
れ、この中に移植用肺を入れ、一定温度に冷却する。次
に、肺動脈にカテーテルを挿入、これより冷却した本発
明の肺保存剤を灌流し、肺内部の血液を洗い流す。死体
肺移植の場合においては、肺静脈を切断後、冷却した本
発明の保存剤を肺動脈から灌流し、灌流後肺を摘出す
る。このように処理、摘出した肺を、本発明の保存剤を
含有させて予め冷却した滅菌済容器中で、一定温度下に
おいて保存する。
【００１８】本化合物を肺保存剤として用いる場合の本
化合物の濃度は、化合物の種類や肺の状態、目的とする
肺保存時間などによっても異なるが、液剤の最終濃度と
して、通常約５×１０-9ｇ／ｍｌ〜５×１０-3ｇ／ｍｌ
程度、好ましくは約５×１０ -8ｇ／ｍｌ〜５×１０-5ｇ
／ｍｌ程度にするのがよい。
化合物の濃度は、化合物の種類や肺の状態、目的とする
肺保存時間などによっても異なるが、液剤の最終濃度と
して、通常約５×１０-9ｇ／ｍｌ〜５×１０-3ｇ／ｍｌ
程度、好ましくは約５×１０ -8ｇ／ｍｌ〜５×１０-5ｇ
／ｍｌ程度にするのがよい。
【００１９】本発明の肺保存剤を液剤としたときの浸透
圧は、公知の方法によって、約２６０ｍＯｓｍ〜３６０
ｍＯｓｍ、好ましくは約２７５ｍＯｓｍ〜３２０ｍＯｓ
ｍに調整するのがよい。また、その液剤のｐＨは、公知
の方法によって、約３〜１０、好ましくは約４〜９程度
に調整するのがよい。
圧は、公知の方法によって、約２６０ｍＯｓｍ〜３６０
ｍＯｓｍ、好ましくは約２７５ｍＯｓｍ〜３２０ｍＯｓ
ｍに調整するのがよい。また、その液剤のｐＨは、公知
の方法によって、約３〜１０、好ましくは約４〜９程度
に調整するのがよい。
【００２０】本発明の肺保存剤を用いて肺保存する場合
の保存温度は、使用する化合物の種類や濃度、肺の状
態、目的とする肺保存時間などによっても異なるが、通
常約−５℃〜２０℃、好ましくは約０℃〜１５℃程度が
よい。
の保存温度は、使用する化合物の種類や濃度、肺の状
態、目的とする肺保存時間などによっても異なるが、通
常約−５℃〜２０℃、好ましくは約０℃〜１５℃程度が
よい。
【００２１】本発明の肺保存剤によって肺を保存する際
は、公知の臓器保存用容器や装置を適宜使用することが
できる。
は、公知の臓器保存用容器や装置を適宜使用することが
できる。
【００２２】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。
説明する。
【００２３】［実験例１］心停止ドナー肺移植における
本発明の肺保存剤の肺保存効果 心停止ドナー肺移植における本発明の肺保存剤の肺保存
効果について試験した。
本発明の肺保存剤の肺保存効果 心停止ドナー肺移植における本発明の肺保存剤の肺保存
効果について試験した。
【００２４】〔試験物質〕Ｌ−アスコルビン酸、ＤＬ−
α−トコフェロールリン酸ジエステルカリウム（ＥＰＣ
−Ｋ）を改良ユーロコリンズ液（Ｅｕｒｏ−Ｃｏｌｌｉ
ｎｓ液）1)に溶解したものを使用した。
α−トコフェロールリン酸ジエステルカリウム（ＥＰＣ
−Ｋ）を改良ユーロコリンズ液（Ｅｕｒｏ−Ｃｏｌｌｉ
ｎｓ液）1)に溶解したものを使用した。
【００２５】〔試験方法〕本試験には、雑種成犬左肺移
植モデルを使用した。ドナーは塩化カリウム溶液静脈内
投与により心停止させ、室温下に２時間放置した後、Ｉ
群（ｎ＝３）は肺移植の際通常用いられる保存液である
ユーロコリンズ液で、ＩＩ群（ｎ＝３）は本発明の肺保
存液で灌流した後４℃で１２時間保存した。レシピエン
トに肺を移植後、右肺動脈と右主気管支を結紮し、６時
間に渡って肺機能を示す各指標を測定した。それらの結
果を図１から図７に示す。
植モデルを使用した。ドナーは塩化カリウム溶液静脈内
投与により心停止させ、室温下に２時間放置した後、Ｉ
群（ｎ＝３）は肺移植の際通常用いられる保存液である
ユーロコリンズ液で、ＩＩ群（ｎ＝３）は本発明の肺保
存液で灌流した後４℃で１２時間保存した。レシピエン
トに肺を移植後、右肺動脈と右主気管支を結紮し、６時
間に渡って肺機能を示す各指標を測定した。それらの結
果を図１から図７に示す。
【００２６】〔試験結果〕図１より明らかなように、動
脈血酸素分圧（ＰａＯ２）は、６時間後でＩ群１０８±
３８ｍｍＨｇ、ＩＩ群４６０±９４ｍｍＨｇの値を示
し、また他の時間においてもＩＩ群が顕著な効果を示し
た。図２より明らかなように、動脈血二酸化炭素分圧
（ＰａＣＯ２）は、５時間後でＩ群７１．４±１１．２
ｍｍＨｇ、ＩＩ群３２．４±２０．９ｍｍＨｇの値を示
し、本発明の肺保存剤は顕著な効果を示すことが判っ
た。図３に示した肺水腫の指標である血管外肺水分量
（ＥＶＬＷ）から明らかなように、本発明の肺保存液
は、水腫を抑制する効果があることが判った。図４に示
した肺血流シャント率（ＳＨＵＮＴ ＦＲＡＣＴＩＯ
Ｎ）から明らかなように、本発明の肺保存液は、１、２
時間において顕著な肺血流短絡抑制効果が認められ、さ
らに他の時間においても抑制効果が認められた。図５に
示した肺血管抵抗（ＰＶＲ）より明らかなように、本発
明の肺保存液は、肺血管の抵抗の増加を抑制する効果が
認められた。図６に示した肺動脈血圧（ＰＡＰ）から明
らかなように、本発明の肺保存剤において、肺血管抵抗
の増加は認められず、肺浮腫を抑制する効果があること
が判った。図７に示した心拍出量（ＣＯ）から明らかな
ように、本発明の肺保存剤において、心臓に対する悪影
響は認められなかった。このように、本発明の肺保存液
は、再灌流後の肺機能を示す各指標において優れた効果
を示したので、心停止ドナー肺移植の際の肺保存におい
て有用であることが判った。
脈血酸素分圧（ＰａＯ２）は、６時間後でＩ群１０８±
３８ｍｍＨｇ、ＩＩ群４６０±９４ｍｍＨｇの値を示
し、また他の時間においてもＩＩ群が顕著な効果を示し
た。図２より明らかなように、動脈血二酸化炭素分圧
（ＰａＣＯ２）は、５時間後でＩ群７１．４±１１．２
ｍｍＨｇ、ＩＩ群３２．４±２０．９ｍｍＨｇの値を示
し、本発明の肺保存剤は顕著な効果を示すことが判っ
た。図３に示した肺水腫の指標である血管外肺水分量
（ＥＶＬＷ）から明らかなように、本発明の肺保存液
は、水腫を抑制する効果があることが判った。図４に示
した肺血流シャント率（ＳＨＵＮＴ ＦＲＡＣＴＩＯ
Ｎ）から明らかなように、本発明の肺保存液は、１、２
時間において顕著な肺血流短絡抑制効果が認められ、さ
らに他の時間においても抑制効果が認められた。図５に
示した肺血管抵抗（ＰＶＲ）より明らかなように、本発
明の肺保存液は、肺血管の抵抗の増加を抑制する効果が
認められた。図６に示した肺動脈血圧（ＰＡＰ）から明
らかなように、本発明の肺保存剤において、肺血管抵抗
の増加は認められず、肺浮腫を抑制する効果があること
が判った。図７に示した心拍出量（ＣＯ）から明らかな
ように、本発明の肺保存剤において、心臓に対する悪影
響は認められなかった。このように、本発明の肺保存液
は、再灌流後の肺機能を示す各指標において優れた効果
を示したので、心停止ドナー肺移植の際の肺保存におい
て有用であることが判った。
【００２７】 1)改良ユーロコリンズ液の組成 Ｋ2 ＨＰＯ4 ７．４０ｇ／ｌ ＮａＨＣＯ3 ０．８４ｇ／ｌ ＫＨ2 ＰＯ4 ２．０４ｇ／ｌ ＫＣｌ １．１２ｇ／ｌ ＭｇＳＯ4 ０．４８ｇ／ｌ Ｄ５０Ｗ ５０ｍｌ／ｌヘパリン ５，０００ ｕｎｉｔｓ／ｌ 浸透圧 ３２６ ｍＯｓｍ／ｋｇ
【００２８】 上記成分を常法により混合し、１リットルのビニールバ
ッグに封入し、肺保存液を調製する。
ッグに封入し、肺保存液を調製する。
【００２９】 上記成分を常法により混合し、２ｍｌガラスアンプルに
封入し、注射液を調製する。用時、適量のユーロコリン
ズ液またはＶｉａＳｐａｎ液等の臓器保存液と混合し、
肺保存液とする。
封入し、注射液を調製する。用時、適量のユーロコリン
ズ液またはＶｉａＳｐａｎ液等の臓器保存液と混合し、
肺保存液とする。
【００３０】［製剤実施例３］ 固型剤 ＥＰＣ−Ｋ １０ｍｇ ショ糖 ５００ｍｇ 常法により、上記固型剤を注射用水に溶解し、５ｍｌガ
ラスバイアルに充填し、肺保存液とする。用時適量のユ
ーロコリンズ液またはＶｉａＳｐａｎ液等の臓器保存液
と混合し、肺保存液とする。
ラスバイアルに充填し、肺保存液とする。用時適量のユ
ーロコリンズ液またはＶｉａＳｐａｎ液等の臓器保存液
と混合し、肺保存液とする。
【００３１】
【発明の効果】本発明の肺保存剤および保存方法は、肺
機能を示す各指標において、優れた効果を示すので、肺
移植の際の肺保存に有利に使用することができる。
機能を示す各指標において、優れた効果を示すので、肺
移植の際の肺保存に有利に使用することができる。
【図１】縦軸は動脈血酸素分圧（ＰａＯ２）（単位：ｍ
ｍＨｇ）を示し、横軸は肺移植後の経過時間（単位：ｈ
ｒ）を示す。
ｍＨｇ）を示し、横軸は肺移植後の経過時間（単位：ｈ
ｒ）を示す。
【図２】縦軸は動脈血二酸化炭素分圧（ＰａＣＯ２）
（単位：ｍｍＨｇ）を示し、横軸は肺移植後の経過時間
（単位：ｈｒ）を示す。
（単位：ｍｍＨｇ）を示し、横軸は肺移植後の経過時間
（単位：ｈｒ）を示す。
【図３】縦軸は血管外肺重量（ＥＶＬＷ）（単位：ｍｌ
／ｋｇ）を示し、横軸は肺移植後の経過時間（単位：ｈ
ｒ）を示す。
／ｋｇ）を示し、横軸は肺移植後の経過時間（単位：ｈ
ｒ）を示す。
【図４】縦軸は肺血流シャント率（ＳＨＵＮＴ ＦＲＡ
ＣＴＩＯＮ）（単位：％）を示し、横軸は肺移植後の経
過時間（単位：ｈｒ）を示す。
ＣＴＩＯＮ）（単位：％）を示し、横軸は肺移植後の経
過時間（単位：ｈｒ）を示す。
【図５】縦軸は肺血管抵抗（ＰＶＲ）（単位：ｄｙｎｅ
ｓ／ｓｅｃ／ｃｍ5 ）を示し、横軸は肺移植後の経過時
間（単位：ｈｒ）を示す。
ｓ／ｓｅｃ／ｃｍ5 ）を示し、横軸は肺移植後の経過時
間（単位：ｈｒ）を示す。
【図６】縦軸は肺動脈血圧（ＰＡＰ）（単位：ｍｍＨ
ｇ）を示し、横軸は肺移植後の経過時間（単位：ｈｒ）
を示す。
ｇ）を示し、横軸は肺移植後の経過時間（単位：ｈｒ）
を示す。
【図７】縦軸は心拍出量（ＣＯ）（単位：ｌ／ｍｉ
ｎ．）を示し、横軸は肺移植後の経過時間（単位：ｈ
ｒ）を示す。
ｎ．）を示し、横軸は肺移植後の経過時間（単位：ｈ
ｒ）を示す。
図１〜図７の各記号は下記のものを示す。 ● 本発明の肺保存剤投与群 ■ ユーロコリンズ液投与群（コントロール群） ＊ ｐ＜０．０５ 縦軸の各値は平均値を示す。
Claims (2)
- 【請求項１】 次の式 【化１】 ［式中、Ｒ1 およびＲ2 は、同一または異なって水素原
子またはメチル基を示す。］で表されるリン酸ジエステ
ル化合物またはその薬理学的に許容できる塩を含有して
なる肺保存剤。 - 【請求項２】 請求項１記載のリン酸ジエステル化合物
またはその薬理学的に許容できる塩を用いることを特徴
とする肺保存方法。
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|---|---|---|---|
| JP6008237A JPH07215801A (ja) | 1994-01-28 | 1994-01-28 | 肺保存剤および肺保存方法 |
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| CA002139547A CA2139547A1 (en) | 1994-01-28 | 1995-01-04 | Lung graft preservative composition and a method for viable preservation of lung grafts |
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| EP95101040A EP0664953B1 (en) | 1994-01-28 | 1995-01-26 | Lung graft preservative composition and a method for viable preservation of lung grafts |
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Family Applications (1)
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| JP (1) | JPH07215801A (ja) |
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| JPH0984853A (ja) * | 1995-09-22 | 1997-03-31 | Material Eng Tech Lab Inc | 臓器保存液を収容した医療用容器 |
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