JPH0983023A - 熱式永久電流スイッチ - Google Patents

熱式永久電流スイッチ

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JPH0983023A
JPH0983023A JP7232727A JP23272795A JPH0983023A JP H0983023 A JPH0983023 A JP H0983023A JP 7232727 A JP7232727 A JP 7232727A JP 23272795 A JP23272795 A JP 23272795A JP H0983023 A JPH0983023 A JP H0983023A
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JP
Japan
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superconducting
heater
switch
wire
lead wire
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JP7232727A
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Inventor
Ryoichi Hirose
量一 広瀬
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超流動ヘリウム中でも、ヒータにてわずかな
発熱量を与えるだけで超電導状態から常電導状態に移行
できると共に、ヒータ電流を切ることにより比較的短時
間で超電導状態に戻すことができ、よって超流動ヘリウ
ム槽内の超電導回路に組み込まれて、その開閉を短時間
で確実に達成できる熱式永久電流スイッチを提供する。 【解決手段】 周壁内に真空断熱層(2a)を有する断熱容
器(2) 内に、該断熱容器(2) 内に導入された超電導線
(5) と、この超電導線(5) に巻回されたヒータ(6)と、
このヒータ(6) に接続されたヒータ用リード線(7) とか
ら構成されたスイッチ機構(4) を配してなり、かつ断熱
容器(2) が、内外を連通する狭隘路(3a)を内部に有する
連通管部(3) を設けてなる熱式永久電流スイッチ(1) と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超流動ヘリウム槽
内の超電導回路を開閉する熱式永久電流スイッチに関
し、詳細には、超流動ヘリウム中において永久電流モー
ドで運転する超電導マグネットなどの超電導回路に用い
る熱式永久電流スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱式永久電流スイッチは、液体
ヘリウム中の超電導線からなる超電導回路に組み込ま
れ、その超電導回路の超電導線を、液体ヘリウムにより
極低温に保持されているスイッチ部に導いてヒータで加
熱することにより、常電導化して大きな抵抗を持たせ、
またヒータ電流を遮断してスイッチ部の超電導線を超電
導化して抵抗をなくすことを繰り返して、液体ヘリウム
中の超電導マグネットを励磁し、また永久電流状態に保
持する目的で使用される。
【0003】ところで、超電導線を常電導化するための
ヒータの発熱量は、液体ヘリウムの蒸発を最小限に抑え
る目的から、できるだけ小さくすることが望ましい。し
かし、超流動ヘリウム中においては常流動ヘリウムに比
べて熱伝達率が極めて高いため、ヒータの発熱量を小さ
くしつつ、超電導線を常電導化するための臨界温度以上
に保つのは非常に困難である。そのため、例えば、〔図
4〕の (a)図に示すように、常流動ヘリウム槽(12)の下
方に超流動ヘリウム槽(13)を配置し、この超流動ヘリウ
ム槽(13)内に発生させた加圧超流動ヘリウム中で超電導
マグネット(14)を運転する超流動ヘリウム冷却式のクラ
イオスタット(10)などにおいては、その超電導マグネッ
ト(14)の超電導回路(15)を開閉する熱式永久電流スイッ
チ(20)を、常流動ヘリウム槽(12)内に配置する手法が採
られている。ここで、このクライオスタット(10)は、外
部容器(11)内に、液体ヘリウムを収容する常流動ヘリウ
ム槽(12)と超流動ヘリウム槽(13)を上下に配置すると共
に、それら槽を供給弁(16)を介して連通させて超流動ヘ
リウム槽(13)内の液体ヘリウムを大気圧以上に保持する
一方、常流動ヘリウム槽(12)内の液体ヘリウムを気化し
その気化熱により超流動ヘリウム槽(13)内の液体ヘリウ
ムを冷却する熱交換器(17)を配置し、この構成のもと
で、超流動ヘリウム槽(13)内に加圧超流動ヘリウムを発
生させて保持し、その超流動ヘリウム中で超電導マグネ
ット(14)を運転するものとされている。なお、同 (a)図
において、(17a) はジュールトムソン弁、(18)は排気ポ
ンプ、(19)は液体窒素槽である。また、常流動ヘリウム
槽(12)内に配された熱式永久電流スイッチ(20)は、 (b)
図に示すように、ヒータ(21)と、このヒータ(21)に接続
されたヒータ用リード線(22)と、ヒータ(21)に接するよ
うに導入された超電導回路(15)の超電導線(15a)とから
なる。一方、ヒータ用リード線(22)と、前記超電導回路
(15)に初期電流を通電する入力用リード線(23)とは、常
流動ヘリウム槽(12)の上部壁を液封可能に貫通してヒー
タ(21)に接続され、また、超電導回路(15)の超電導線(1
5a) は、超流動ヘリウム槽(13)の上部壁および常流動ヘ
リウム槽(11)の下部壁それぞれを液封可能に貫通してヒ
ータ(21)に導かれる。なお、同 (a)図では図示を簡略化
するために単線に表現しているが、上記ヒータ用リード
線(22)と入力用リード線(23)は、それぞれ2回線のもの
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
常流動ヘリウム槽内に配置する熱式永久電流スイッチで
は、超電導マグネットと熱式永久電流スイッチとの間の
超電導線が、超流動ヘリウム槽および常流動ヘリウム槽
の槽壁を貫通することになり、その貫通部でのシール性
を確保するための配線やシール構成が複雑となり、結果
として、適用するクライオスタットの構造が極めて煩雑
になる。更にまた、その超電導線を介して、常流動ヘリ
ウム槽から超流動ヘリウム槽への熱侵入が大きくなるた
め、より大きな冷却能力が必要となる。
【0005】ところで、スイッチ部の超電導線を超電導
化する場合には、そのスイッチ部の温度をできるだけ早
く該超電導線の臨界温度以下の温度まで下げることが望
ましく、これを実現するには、当該熱式永久電流スイッ
チを常流動ヘリウム槽内よりも超流動ヘリウム槽内に配
置する方がはるかに有利となる。また、これにより上記
の問題を解消することも可能になる。しかし、前述のよ
うに、超流動ヘリウム中でスイッチを作動させる場合
は、周囲の温度が低くまた熱伝達率が極めて高いため、
そのスイッチ部と外部との間に高い断熱性を確保しない
限り、ヒータの発熱量を小さくしつつ、該スイッチ部の
超電導線を常電導化するために必要な臨界温度以上の温
度まで上昇させることが非常に困難になる。反面、スイ
ッチ部回りの断熱性が高いと、該スイッチ部の冷却に時
間がかかり、極端な場合には常電導化した超電導線を流
れる微弱な電流による発熱のため、そのスイッチ部の温
度が下がらず、超電導線の超電導化ができないことが起
こり得る。すなわち、単にスイッチ部と外部の間に高い
断熱性を確保しただけでは、超流動ヘリウム槽内で確実
に作動する熱式永久電流スイッチとはならない。従っ
て、上記従来技術における問題を解消するには、超流動
ヘリウム中でも、より少ない発熱量の付与とその停止に
より、短時間で確実に開閉できる構成の熱式永久電流ス
イッチを開発することが課題となる。
【0006】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、超流動ヘリウム中でも、わずかな発熱量を与
えるだけで超電導状態から常電導状態に移行できると共
に、その発熱の停止により比較的短時間で超電導状態に
戻すことができて、短時間で確実な開閉を達成できる熱
式永久電流スイッチを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成とされている。すなわち、本
発明に係る熱式永久電流スイッチは、超流動ヘリウム槽
内に配された超電導線からなる超電導回路を開閉する熱
式永久電流スイッチであって、前記超流動ヘリウム槽内
に配され、周壁内に真空断熱層を有してなる断熱容器
と、この断熱容器内に配された、超電導線とこれに接す
るヒータよりなるスイッチ機構とを備え、かつ前記断熱
容器がその内部と前記超流動ヘリウム槽内とを連通する
狭隘路を有してなることを特徴とする。
【0008】また、前記スイッチ機構に接続される前記
超電導回路の超電導線およびヒータ用リード線が、前記
断熱容器の狭隘路を通して該断熱容器内に導入されても
良く、また、前記断熱容器の壁を液封可能に貫通して該
断熱容器内に導入されても良い。また、前記超電導回路
に接続される入力用リード線と前記スイッチ機構に接続
されるヒータ用リード線それぞれが、前記超流動ヘリウ
ム槽壁に液封可能に設けられたコネクターを介して外部
の給電装置に接続され、かつこれら入力用リード線およ
びヒータ用リード線の該超流動ヘリウム槽内に配される
部位が超電導線からなるものとされていても良い。
【0009】上記本発明の熱式永久電流スイッチでは、
超電導線とこれに接するヒータよりなるスイッチ機構を
内部に配した断熱容器が、周壁内に真空断熱層を有する
と共に、その内部と超流動ヘリウム槽内とを連通する狭
隘路を有するので、内部のスイッチ機構と外部との間に
高い断熱性を確保する一方、狭隘路を介して超流動ヘリ
ウム槽内の超流動ヘリウムを内部に導入して満たし、そ
の内部のスイッチ機構部を、超電導線の臨界温度以下に
冷却できる。また、その狭隘路の有効断面積を小さく、
長さを長くすることにより、該狭隘路を介する伝熱量を
十分小さくすることができ、結果として、わずかなヒー
タの発熱により、スイッチ機構部の温度を、超電導線を
常電導化させる臨界温度以上にすることができる。一
方、スイッチ機構部の超電導線を超電導化するときに
は、断熱容器および狭隘路内を超流動ヘリウムが満た
し、極めて高い熱伝導性を確保できるため、ヒータへの
通電を切ることにより、スイッチ機構部の温度を短時間
で超電導線の臨界温度以下まで冷却することができる。
また、上述のように、本発明の熱式永久電流スイッチ
は、超流動ヘリウム中でも短時間で確実な開閉を達成で
き、これにより超流動ヘリウム槽内に配置できるため、
超電導回路は、前記従来技術のように超流動ヘリウム槽
の槽壁を貫通して外部に導出させることなく、該超流動
ヘリウム槽内のみで構成できる。
【0010】ここで、上記熱式永久電流スイッチにおけ
る断熱容器の狭隘路の作用について更に具体的に説明す
る。例えば、超流動ヘリウム槽内に配する上記熱式永久
電流スイッチが、 10Kで常電導状態となるものとされ、
この常電導状態である熱式永久電流スイッチの温度(10
K) をTh 、常圧ヘリウムの液化温度(4.2K)をTs 、常
圧ヘリウムのラムダ点温度(2.2K)をTl 、超流動ヘリウ
ムの温度(1.8K)をTb とし、ヒータの発熱量Q=20mW、
狭隘路の有効径D=1mmとすると、この狭隘路の熱流束q
=20/(1^2 * π/4)= 25.4mW/mm2である。また、Th 〜
Ts のヘリウムガスの熱伝導率≒ 20mW/m・K 、Ts 〜
Tl の液体ヘリウムの熱伝導率≒20mW/m・K であるか
ら、Th 〜Tl の温度変化に相当する伝熱長さLs は、
Ls = 20E−3 * (10-2.2)/25.4=6E−3mm である。そ
してまた、Tl 〜Tb の超流動ヘリウムの伝熱長さLb
と伝熱量の関係は、X(Tb)=q〔W/cm2〕^3.4 *
b(cm) で表され、〔図3〕のグラフに示す関係となり、
同グラフより、Tb=1.8Kのとき、X(Tb)は 360であ
る。従って、Lb = 360/25.4E-1^3.4 =15.1となり、
有効径D=1mmの狭隘路では、Ls +Lb ≒15(cm)の長さ
があれば 20mWの発熱量で、断熱容器内を 10Kに保持で
きるのである。
【0011】また、スイッチ機構に接続される超電導回
路の超電導線およびヒータ用リード線は、断熱容器の狭
隘路の有効断面積を確保できる限り、該狭隘路を通して
断熱容器内に導入されても良く、また、それら超電導線
およびヒータ用リード線は、断熱容器の壁を液封可能に
貫通して該断熱容器内に導入されても良い。また、超電
導回路に接続される入力用リード線と前記スイッチ機構
に接続されるヒータ用リード線それぞれを、超流動ヘリ
ウム槽壁に液封可能に設けられたコネクターを介して外
部の給電装置に接続させる一方、該超流動ヘリウム槽内
に配される部位を超電導線からなるものとすることで、
超流動ヘリウム槽壁を貫通する入力用リード線およびヒ
ータ用リード線を細線として熱侵入を低く抑えることが
でき、更に、これら入力用リード線およびヒータ用リー
ド線を介する通電が行われていないとき、つまり超電導
回路が超電導モードにあるとき、コネクター部において
外部との接続を外すことにより、超流動ヘリウム槽内へ
の熱侵入をより低く抑えることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。〔図1〕は、本発明に係る熱式永
久電流スイッチの1実施形態の概要構成および配置を示
す図面であって、 (a)図は概要構成を模式的に示す断面
図、 (B)図は配置状態を示す断面図である。
【0013】〔図1〕の (a)図に示す本例の熱式永久電
流スイッチ(1) は、周壁内に真空断熱層(2a)を有する断
熱容器(2) と、この断熱容器(2) 内に配されたスイッチ
機構(4) とを主要部として備えてなる。
【0014】また、断熱容器(2) は、真空断熱層(2a)を
有する周壁の一部を管状に突出させると共に、内部に該
断熱容器(2) の内外を連通する狭隘路(3a)を設けた連通
管部(3) を有している。一方、スイッチ機構(4) は、断
熱容器(2) 内に導入された超電導線(5) と、この超電導
線(5) 上に重ねて巻回された抵抗線からなるヒータ(6)
と、同断熱容器(2) 内に導入されてヒータ(6) に接続さ
れたヒータ用リード線(7) とから構成されている。ま
た、超電導線(5) とヒータ用リード線(7) は、連通管部
(3) の狭隘路(3a)を通して断熱容器(2) 内に導入されて
いる。なお、連通管部(3) の狭隘路(3a)の内径は、内外
を連通する有効断面積を確保するため、その内部に通す
超電導線(5) とヒータ用リード線(7) の断面積を考慮し
て設定されている。
【0015】そして、この熱式永久電流スイッチ(1)
は、 (b)図に示したクライオスタット(10)の超流動ヘリ
ウム槽(13)内に配される。なお、このクライオスタット
(10)は、〔図3〕に示したものと基本的に同じであるの
で、ここでは〔図3〕と等価な各部に同符号を付してそ
の説明を省略するものとする。
【0016】また、超流動ヘリウム槽(13)内に配された
熱式永久電流スイッチ(1) は、そのスイッチ機構(4) の
超電導線(5) を、該超流動ヘリウム槽(13)内に配設され
た超電導マグネット(14)の超電導回路(15)の超電導線(1
5a) に接続され、これにより超流動ヘリウム槽(13)内で
発生されている超流動ヘリウム中で構成される超電導回
路(15)に組み込まれる。
【0017】一方、外部の給電装置(図示省略)から超
流動ヘリウム槽(13)内の熱式永久電流スイッチ(1) のヒ
ータ(6) に電流を通電するためのヒータ用リード線(7)
と、超電導回路(15)に初期電流を通電するための入力用
リード線(8) とは、同(b) 図に示すように、それぞれク
ライオスタット(10)の外部容器(11)の上部壁を気密に貫
通すると共に、常流動ヘリウム槽(12)と液体窒素槽(19)
との間を経て超流動ヘリウム槽(13)の上部に導かれ、そ
の上部壁を液封可能に貫通して内部の超電導回路(15)お
よび熱式永久電流スイッチ(1) に接続されている。
【0018】また、ヒータ用リード線(7) と入力用リー
ド線(8) とが貫通する超流動ヘリウム槽(13)壁の外面側
それぞれには、着脱式のコネクター(9) が液封可能に設
けられており、これらヒータ用リード線(7) および入力
用リード線(8) は、該コネクター(9) 部において、それ
ぞれの接続を外すことができるようにされている。更
に、各コネクター(9) から超流動ヘリウム槽(13)壁を貫
通して内部の熱式永久電流スイッチ(1) に接続されるま
でのヒータ用リード線(7) および入力用リード線(8)
は、それぞれ超電導線からなるものとされている。な
お、同 (b)図中では図示を簡略化するために、上記ヒー
タ用リード線(7) と入力用リード線(8) は、それぞれ単
線に、かつ超流動ヘリウム槽(13)の上部側壁を貫通して
いるように示しているが、実際には、これらヒータ用リ
ード線(7) と入力用リード線(8) は、それぞれ2回線の
もので、かつそれらの壁貫通部および各コネクター(9)
の配設位置は、該超流動ヘリウム槽(13)の上端壁とされ
る。
【0019】上記構成および配置の本例の熱式永久電流
スイッチ(1) では、周壁内に真空断熱層(2a)を有する断
熱容器(2) によって、内部のスイッチ機構(4) と外部と
の間に高い断熱性を確保する一方、連通管部(3) の狭隘
路(3a)を介して超流動ヘリウム槽(13)内にて発生された
超流動ヘリウムを内部に導入して満たし、スイッチ機構
(4) 部を臨界温度以下に冷却できる。また、狭隘路(3a)
の有効断面積を小さく、長さを長くすることにより、該
狭隘路(3a)を介する伝熱量を十分小さくすることがで
き、結果として、ヒータ(6) のわずかな発熱によりスイ
ッチ機構(4) 部の超電導線(5)を常電導化させる臨界温
度以上の温度にすることができる。一方、スイッチ機構
(4) 部の超電導線(5)を超電導化するときには、断熱容
器(2) および連通管部(3) の狭隘路(3a)を満たす超流動
ヘリウムが極めて高い熱伝導性をもつことから、ヒータ
(6) への通電を切ることにより、短時間でスイッチ機構
(4) 部の超電導線(5)を臨界温度以下まで冷却すること
ができ、これにより当該熱式永久電流スイッチ(1) が組
み込まれた超電導回路(15)を開閉して、超流動ヘリウム
中の超電導マグネット(14)を励磁し、また永久電流状態
に保持する。
【0020】すなわち、本例の熱式永久電流スイッチ
は、超流動ヘリウム中でも短時間で確実な開閉を達成で
き、よって超流動ヘリウム槽内に配することができるた
め、該超流動ヘリウム槽内に配置された超電導マグネッ
トの超電導回路は、前記従来技術のように超流動ヘリウ
ム槽の槽壁を貫通して外部に導出させることなく、該超
流動ヘリウム槽内のみで構成できる。また、このことに
より適用するクライオスタットの構造を簡易化させるこ
とができる。また、入力用リード線とヒータ用リード線
それぞれを、超流動ヘリウム槽壁に設けられたコネクタ
ーを介して外部の給電装置に接続させる一方、該超流動
ヘリウム槽内に配される部位を超電導線としているの
で、超流動ヘリウム槽壁の貫通部を細線として熱侵入を
低く抑えることができ、更には、これら入力用リード線
およびヒータ用リード線を介して通電が行われていない
とき、つまり超電導マグネットが運転されているとき、
コネクター部において外部との接続を外すことで、超流
動ヘリウム槽内への熱侵入をより低く抑えることができ
る。
【0021】なお、上記例の熱式永久電流スイッチで
は、超電導線とヒータ用リード線を、連通管部の狭隘路
を通して断熱容器内に導入したが、この超電導線とヒー
タ用リード線は、〔図2〕に示すように、断熱容器本体
の周壁を貫通して内部に導入することもできる。
【0022】〔図2〕は、本発明に係る熱式永久電流ス
イッチの別の実施形態の概要構成を示す断面図である。
なお、本例の熱式永久電流スイッチは、基本的には〔図
1〕に示した前記例のものと同じであるので、ここでは
〔図1〕と等価な各部に同符号を付してその説明を省略
し、その差異点のみを要約して説明する。〔図2〕に示
す本例の熱式永久電流スイッチ(1')では、超電導線(5)
とヒータ用リード線(7) それぞれが、断熱容器(2) 本体
部の周壁を液封可能に貫通して、該断熱容器(2) 内に導
入されている。このように構成された本例の熱式永久電
流スイッチ(1')では、断熱容器(2) の連通管部(3) に設
ける狭隘路(3a)の有効内径の設定が容易になる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。上記構成配置のもとで、スイッチ機構(4) の超電
導線(5) を、安定化材としてブロンズを用いたNbTi超電
導線とし、この超電導線(5) に巻回したヒータ(6) の抵
抗を 100Ωとする共に、このヒータ(6) に接続するヒー
タ用リード線(7) を、上記と同じNbTi超電導線とし、ま
た、断熱容器(2) の連通管部(3) に設ける狭隘路(3a)の
長さ(L) を 150mm、内径(D) を 1mmとし、かつ 10Kにお
ける抵抗が10Ωである熱式永久電流スイッチ(1')を、前
記クライオスタット(10)の超流動ヘリウム槽(13)内に配
して、この熱式永久電流スイッチ(1')のスイッチ機構
(4) の超電導線(5) の両端の電圧を測定した。
【0024】このスイッチ機構(4) の超電導線(5) の両
端に、入力用リード線(8) を介して100Aの電流を通電
したところ、該両端の電圧は 0Vであり、このスイッチ
機構(4) の超電導線(5) が超電導状態にあることが分か
った。次に、上記超電導線(5) 両端の電流を 10mAに下
げ、ヒータ用リード線(7) を介してヒータ(6) に 10mA
の電流を通電した。この時ヒータ(6) に発生した熱量は
20mWと計算される。約20秒後に上記超電導線(5) 両端
の電圧が110mVを示し、該超電導線(5) が常電導状態に
あることが分かった。この時の該超電導線(5)の抵抗は1
1Ω、発熱量は1.1mWと計算される。次いで、上記超電
導線(5) 両端の電流を 10mAにした状態で、ヒータ(6)
の電流を 0Aにしたところ、約50秒後に、該超電導線
(5) 両端の電圧が 0Vを示し、このスイッチ機構(4) の
超電導線(5) が超電導状態になったことが分かった。
【0025】上記実施例の結果より、本発明の熱式永久
電流スイッチは、超流動ヘリウム中でも、ヒータにてわ
ずかな発熱量を与えるだけで超電導状態から常電導状態
に移行できると共に、ヒータ電流を切ることにより比較
的短時間で超電導状態に戻すことができ、よって組み込
まれた超電導回路の開閉を短時間で確実に達成できるこ
とが確認できた。
【0026】なお、以上に述べたクライオスタットは1
例であって、本発明の熱式永久電流スイッチの適用範囲
は、これに限定されるものではなく、超流動ヘリウム中
に超電導回路を構成するものであれば、前述とは異なる
構成のクライオスタットを始めとし、例えば、蓄電用超
電導回路等に適用して同様の優れた効果が得られること
は言うまでもない。
【0027】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の熱式永久
電流スイッチは、超流動ヘリウム中でも、わずかな発熱
量を与えるだけで超電導状態から常電導状態に移行でき
ると共に、その発熱の停止により比較的短時間で超電導
状態に戻すことができて、短時間で確実な開閉を達成で
きる。従って、超流動ヘリウム槽内の超流動ヘリウム中
で運転するクライオスタット等において、その超流動ヘ
リウム槽内に配して超電導回路を構成させることがで
き、もって適用するクライオスタット等の構造をも簡易
化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱式永久電流スイッチの1実施形
態の概要構成および配置を示す図面であって、 (a)図は
概要構成を模式的に示す断面図、 (B)図は配置状態を示
す断面図である。
【図2】本発明に係る熱式永久電流スイッチの別の実施
形態の概要構成を示す断面図である。
【図3】本発明に関わる狭隘路における超流動ヘリウム
の伝熱長さと伝熱量との関係を示すグラフである。
【図4】従来の熱式永久電流スイッチの概要構成配置を
示す断面図である。
【符号の説明】
(1)-- 熱式永久電流スイッチ、(1')--熱式永久電流スイ
ッチ、(2) --断熱容器、(2a)--真空断熱層、(3) --連通
管部、(3a)--狭隘路、 (4) -- スイッチ機構、(5) --超
電導線、(6) --ヒータ、(7) --ヒータ用リード線、(8)
--入力用リード線、(9) --コネクター、(10)--クライオ
スタット、(11)--外部容器、(12)--常流動ヘリウム槽、
(13)--超流動ヘリウム槽、(14)--超電導マグネット、(1
5)--超電導回路、(15a)-- 超電導線、(16)--供給弁、(1
7)--熱交換器、(17a)-- ジュールトムソン弁、(18)--排
気ポンプ、(19)--液体窒素槽、(20)--熱式永久電流スイ
ッチ、(21)--ヒータ、(22)--ヒータ用リード線、(22)--
入力用リード線。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超流動ヘリウム槽内に配された超電導線
    からなる超電導回路を開閉する熱式永久電流スイッチで
    あって、前記超流動ヘリウム槽内に配され、周壁内に真
    空断熱層を有してなる断熱容器と、この断熱容器内に配
    された、超電導線とこれに接するヒータよりなるスイッ
    チ機構とを備え、かつ前記断熱容器がその内部と前記超
    流動ヘリウム槽内とを連通する狭隘路を有してなること
    を特徴とする熱式永久電流スイッチ。
  2. 【請求項2】 前記スイッチ機構に接続される前記超電
    導回路の超電導線およびヒータ用リード線が、前記断熱
    容器の狭隘路を通して該断熱容器内に導入されている請
    求項1記載の熱式永久電流スイッチ。
  3. 【請求項3】 前記スイッチ機構に接続される前記超電
    導回路の超電導線およびヒータ用リード線が、前記断熱
    容器の壁を液封可能に貫通して該断熱容器内に導入され
    ている請求項1記載の熱式永久電流スイッチ。
  4. 【請求項4】 前記超電導回路に接続される入力用リー
    ド線と前記スイッチ機構に接続されるヒータ用リード線
    それぞれが、前記超流動ヘリウム槽壁に液封可能に設け
    られたコネクターを介して外部の給電装置に接続され、
    かつこれら入力用リード線およびヒータ用リード線の該
    超流動ヘリウム槽内に配される部位が超電導線からなる
    ものとされている請求項1、2または3記載の熱式永久
    電流スイッチ。
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