JPH0982219A - カラー受像管用色選別電極の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 マスク板の縦横それぞれに適正な張力を付与
でき、破れないようにする色選別電極の製造方法の提
供。 【構成】 ２長辺と２短辺とで囲まれた長方形領域１３
に多数のアパーチャ８を配列してなるマスク板６を、長
方形状のフレーム７の４辺に溶着して張架するにさい
し、長辺方向と短辺方向とを異なるテンションで引っ張
りつつ、前記溶着を施す工程を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＴＶ受像機やコンピュ
ータ端末のディスプレイなどに用いられるカラー受像管
用色選別電極の製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、カラー受像管の色選別電極は、
図１および図２に示すように、ガラス外囲器１のネック
部１ａ内に電子銃２を配設し、フェースパネル部１ｂ内
にカラー蛍光体膜３および色選別電極４を配設してな
る。電子銃２から放射された電子ビーム５は偏向作用を
受けたのち、色選別電極４を通じてカラー蛍光体膜３上
にランディングするので、動作時における色選別電極４
は温度上昇して熱膨張する。

【０００３】色選別電極４は、長方形の金属製マスク板
６と、これを張架する長方形枠状の金属製フレーム７と
からなり、マスク板６は電子ビームを通過させるための
多数のアパーチャ８、８・・・を有し、フレーム７の相
対向する１対の長辺９、１０および相対向する１対の短
辺１１、１２の各頂面にマスク板６の４辺の支持端部１
６ａ〜１６ｂが溶着された構成となっている。

【０００４】金属製フレーム７には、図１に示すよう
に、側壁から張り出した板ばね７ａがあり、板ばね７ａ
の各外端縁に設けられた穴がフェースパネル部１ｂの側
壁内面から起立したスタットピン７ｂにそれぞれ係合す
ることによって、色選別電極４が弾性的に支持される。

【０００５】前記溶着は、例えば図３に示す要領で行わ
れる。すなわち、マスク板６の有孔長方形領域１３の２
短辺の各外側領域６ｃ、６ｄを挟持する１対のクリップ
１６、１７および２長辺の各外側領域６ａ、６ｂを挟持
する１対のクリップ１４、１５を用いて、マスク板６を
短辺に平行な２方向および長辺に平行な２方向へ引っ張
りつつ、マスク板６をフレーム７の４辺９〜１２に溶着
する。

【０００６】そして従来は、長辺方向のテンションと短
辺方向のテンションとが同一となるように、マスク板６
を４方向に引っ張りつつ、マスク板６をフレーム７に溶
着していた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし従来例のように
マスク板６の２短辺の各外側領域６ｃ、６ｄを、２長辺
の各外側領域６ａ、６ｂと同じテンション、例えば１０
ｋｇ／ｍｍ² で引っ張るとマスク板６の長辺方向の降伏
点応力及び強度が低いため、マスク板６の著しい塑性変
形や場合によっては破れが発生するという問題があっ
た。

【０００８】したがって本発明の目的は、マスク板６の
４辺を引っ張っても著しい塑性変形や破れがなく、マス
ク板６の長辺方向と短辺方向にそれぞれ適性な張力を付
与させることのできる色選別電極の製造方法を提供する
ことにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、２長辺と２短辺とで囲まれた長方形領域に多
数のアパーチャを配列してなるマスク板を、長方形枠状
のフレームの４辺に溶着して張架するにさいし、長辺方
向と短辺方向とを異なるテンションで引っ張りつつ、前
記溶着を施す工程を有することを特徴とする。

【００１０】上記発明において、長辺方向及び短辺方向
の夫々のテンションを各マスク板の強度以下で各降伏点
応力の近傍に設定した構成とすると好適であり、更に長
辺方向及び短辺方向の夫々のテンションを各降伏点応力
の±２０％の範囲に設定した構成とすると最適である。

【００１１】

【作用】本発明によると、２長辺と２短辺とで囲まれた
長方形領域に多数のアパーチャを配列してなるマスク板
を、長方形枠状のフレームの４辺に溶着して張架するに
さいし、長辺方向と短辺方向の各マスク板の降伏点応力
及び強度を考慮に入れて、夫々に応じたテンションでマ
スクを引っ張ることができ、マスク板の著しい塑性変形
や破れがなくなり、歩留まり向上・コストダウンにつな
がる。

【００１２】特に長辺方向及び短辺方向夫々のテンショ
ンを、各マスク板の強度以下で各降伏点応力の近傍（±
２０％の範囲が好ましい。）に設定すると、マスク板の
破れを確実に防止できると共に、カラー受像管用色選別
電極としての使用時においてもマスク板に常に適性なテ
ンションがかかるようにすることができる。

【００１３】すなわち前記テンションが降伏点応力より
極めて高い値のものであると、マスク板の塑性変形が大
になるという問題が生じ、好適には＋２０％以内にする
必要がある。他方前記テンションが降伏点応力より極め
て小さい値のものであると、電極としての使用時の加熱
により、残留歪みによるしわが発生しやすいという問題
が生じ、好適には−２０％以内にする必要がある。

【００１４】

【実施例】つぎに、本発明の実施例を図面を参照しなが
ら説明する。

【００１５】カラー受像管の色選別電極は、すでに図１
および図２に説明したとおりに構成されている。

【００１６】図４にアパーチャ８の詳細形状の一例を示
す。１個のアパーチャ８の大きさは、幅ａが０．１０３
ｍｍ、縦長ｂが０．３３ｍｍであり、残桟部の幅ｃが
０．１３７ｍｍ、縦方向間隔ｄが０．０４ｍｍである。

【００１７】アパーチャ８が図４のような形状でマスク
板６が鉄材薄板の場合、図３に示すマスク板６の２短辺
と平行な短辺方向（図中Ａ方向）の降伏点応力は２０ｋ
ｇ／ｍｍ² 、強度は６５ｋｇ／ｍｍ² 、マスク板６の２
長辺と平行な長辺方向（図中Ｂ方向）の降伏点応力は
６．７ｋｇ／ｍｍ² 、強度は８．７ｋｇ／ｍｍ² であ
る。

【００１８】図３及び図５に製造過程を示す。まず、図
３に示すように、マスク板６の有孔長方形領域１３の２
短辺の各外側領域６ｃ、６ｄを狭持する１対のクリップ
１６１７を長辺方向の降伏点応力より僅かに小のテンシ
ョンである６．６ｋｇ／ｍｍ² 、２長辺の各外側領域６
ａ、６ｂを狭持する１対のクリップ１４、１５を短辺方
向の降伏点応力より僅かに小のテンションである１９．
９ｋｇ／ｍｍ² でマスク板６を引っ張る。次に、図５に
示すように、マスク板６をフレーム７の４辺９〜１２に
溶着する。

【００１９】マスク板６にある程度塑性変形を許容する
のであれば与えるテンション領域を拡大し、マスク板６
に与えるテンションは、マスク板６の長辺方向の強度
（８．７ｋｇ／ｍｍ² ）以下の適当値でもよいし、マス
ク板６のアパーチャ８の短辺方向の強度（６５ｋｇ／ｍ
ｍ² ）以下の適当値でもよい。

【００２０】また、マスク板６に与えるテンションはマ
スク板６やフレーム７の材質、板厚等、アパーチャ８の
形状によって異なるが、実質的な数値範囲は０．１ｋｇ
／ｍｍ² 〜３０ｋｇ／ｍｍ² である。

【００２１】そしてマスク板の破れを確実に防止すると
共に、カラー受像管用色選別電極としての使用時におい
てもマスク板に常に適正なテンションがかかるようにす
るためには、前記長辺方向及び短辺方向の夫々のテンシ
ョンを各降伏点応力の±２０％の範囲に設定するとよ
い。

【００２２】テンションを知る方法は、図６に示すよう
に、マスク板６に格子模様２２を入れておき、伸び測定
器２３に入っている格子模様２４を用いて干渉縞から伸
びを測定し、その伸びにヤング率を掛けて得られる。

【００２３】なお、色選別電極４の縦横寸法は３対４の
割合のものに限定されず、９対１６の割合のものなどに
も適用できるのは勿論である。

【００２４】

【発明の効果】本発明によると、マスク板をフレームに
破れることなく安定に張架できるので、歩留まりのすぐ
れたカラー受像管の製造方法を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】カラー受像管の断面図。

【図２】カラー受像管用色選別電極の分解斜視図。

【図３】カラー受像管用色選別電極の製造工程の斜視
図。

【図４】マスク板の拡大詳細斜視図。

【図５】カラー受像管用色選別電極の斜視図。

【図６】マスク板のテンション測定方法図。

【符号の説明】

６ マスク板 ７ フレーム ８ アパーチャ １３ 長方形領域

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２長辺と２短辺とで囲まれた長方形領域
   に多数のアパーチャを配列してなるマスク板を、長方形
   枠状のフレームの４辺に溶着して張架するにさいし、長
   辺方向と短辺方向とを異なるテンションで引っ張りつ
   つ、前記溶着を施す工程を有することを特徴とするカラ
   ー受像管用色選別電極の製造方法。
2. 【請求項２】 長辺方向及び短辺方向の夫々のテンショ
   ンを各マスク板の強度以下で各降伏点応力の近傍に設定
   したことを特徴とする請求項１記載のカラー受像管用色
   選別電極の製造方法。
3. 【請求項３】 長辺方向及び短辺方向の夫々のテンショ
   ンを各降伏点応力の±２０％の範囲に設定したことを特
   徴とする請求項２記載のカラー受像管用色選別電極の製
   造方法。