JPH0980247A - 高比屈折率差を有した石英系ガラス導波路およびその製造方法 - Google Patents

高比屈折率差を有した石英系ガラス導波路およびその製造方法

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JPH0980247A
JPH0980247A JP24015095A JP24015095A JPH0980247A JP H0980247 A JPH0980247 A JP H0980247A JP 24015095 A JP24015095 A JP 24015095A JP 24015095 A JP24015095 A JP 24015095A JP H0980247 A JPH0980247 A JP H0980247A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石英系ガラス導波路の応用範囲を広めて行く
ため、低損失化、小形化、低コスト化を実現する石英系
ガラス導波路およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 基板12,18上に導波路が形成されて
なる石英系ガラス導波路において、コア15,24に比
較的容易に高屈折率が得られるSiOx Ny Hzを用
い、その周囲をSiO2 にフッ素を添加することで低屈
折率とした所望の厚さのクラッド層14,16,20,
25で覆い、さらにその周囲をSiO2 のクラッド層1
7,30で覆うことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光フィルタ,光ス
イッチ,分散補償回路などに利用できる、高比屈折率差
を有した石英系ガラス導波路およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の石英系ガラス導波路の断面図を図
10に示す。
【0003】コア3にはSiO2 にGeO2 ,TiO2
等の屈折率制御用ドーパントを加えたものを用い、クラ
ッド層2、4はSiO2 を用いる。コアとクラッドとの
比屈折率差は、コアに添加する屈折率制御用ドーパント
の量で調整している。
【0004】次に従来の石英系ガラス導波路の製造方法
として例を図11,図12に示す。
【0005】最初にSiO2 あるいはSiの基板5上
に、SiO2 のクラッド層6を、プラズマCVD法,ス
パッタ法,イオンビーム法等により成膜する(図11
(a))。ついでSiO2 にGeO2 ,TiO2 などの
屈折率制御用ドーパントを添加し、高屈折率を有した石
英系ガラス材料のコア膜7を、プラズマCVD法,スパ
ッタ法,イオンビーム法等により成膜する(図11
(b))。さらにこの上にWSi膜8をスパッタ法によ
り成膜する(図11(c))。ついでフォトリソグラブ
イ工程,ドライエッチング工程によりコアとなる場所を
覆うWSiマスクパターン9を形成する(図11
(d))。
【0006】ドライエッチング工程により石英系ガラス
材料のコア10を形成する(図12(e))。ついでド
ライエッチングによりWSiマスクパターン9を剥離す
る(図12(f))。最後にSiO2 のクラッド層11
で覆うことにより、石英系ガラス導波路ができる(図1
2(g))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】石英系ガラス導波路の
応用範囲を広めて行くためには、低損失化、小形化、低
コスト化が求められている。これに対しては導波路のコ
アとクラッドとの比屈折率差を大きくして、コア内への
光の閉じこめを強くすることで対応しようとしている。
【0008】従来の石英系ガラス導波路の構造および製
造方法では、この比屈折率差を大きくする方法として、
屈折率制御用ドーパントの添加量を多くすることでコア
の屈折率を高くすることが一般的である。しかし、この
方法では、屈折率制御用ドーパントを多量に添加する必
要があり、屈折率制御用ドーパントによる吸収損失の増
大と屈折率制御用ドーパントの不均一分散による散乱損
失の増大によって、導波路の伝送損失の増大が生じてし
まい、石英系ガラス導波路の応用範囲を広めていく上で
は問題となる。
【0009】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解決し、石英系ガラス導波路の応用範囲を広めて行くた
め、低損失化、小形化、低コスト化を実現する石英系ガ
ラス導波路およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、請求項1の発明
は、基板上に導波路が形成されてなる石英系ガラス導波
路において、コアに比較的容易に高屈折率が得られるS
iOx Ny Hz を用い、その周囲をSiO2 にフッ素を
添加することで低屈折率とした所望の厚さのクラッド層
で覆い、さらにその周囲をSiO2 のクラッド層で覆う
ことを特徴とした、高比屈折率差を有した石英系ガラス
導波路である。
【0011】請求項2の発明は請求項1の高比屈折率差
を有した石英系ガラス導波路を作成する製造方法におい
て、SiO2 あるいはSi基坂表面に形成されたSiO
2 の外部クラッド層の上に、SiO2 にフッ素を添加し
た低屈折率の内部クラッド層を形成し、その内部クラッ
ド層上に、高屈折率を有したSiOx Ny Hz のコアを
形成し、そのコアの周囲を、SiO2 にフッ素を添加し
た低屈折率の内部クラッド層で覆い、その内部クラッド
層の周囲をSiO2 の外部クラッド層で覆うことをこと
を特徴とする高比屈折率差を有した石英系ガラス導波路
の製造方法である。
【0012】また請求項3の発明は、上記の石英ガラス
導波路を作成するために、SiO2 あるいはSi基板表
面に形成されたSiO2 の外部クラッド層の上に、Si
2 にフッ素を添加することで低屈折率とした、内部ク
ラッド層を形成する。さらに高屈折率を有したSiOx
Ny Hz のコア膜を形成する。その上にWSi膜を形成
後、フォトリソグラフィ工程およびドライエッチング工
程を経て、コアを形成するためのWSiマスクパターン
を形成する。ついでこのWSiマスクパターンを用い
て、ドライエッチング工程によりコアを形成し、その上
に、SiO2 にフッ素を添加した、低屈折率の内部クラ
ッド層を成膜する。その上にWSi膜を成膜し、フォト
リソグラフィ工程およびドライエッチング工程により、
内部クラッド層を矩形にドライエッチングするためのW
Siマスクパターンを作成する。ついでドライエッチン
グ工程により余分な内部クラッド層をエッチングし取り
除くことで、コアの周囲を覆う矩形の内部クラッドを形
成する。そしてこのWSiマスクをドライエッチング工
程により取り除き、最後に上記のエッチングした表面全
体にSiO2 の外部クラッド層を形成するようにしたも
のである。
【0013】かかる方法によれば高屈折率のコアの周囲
を低屈折率の内部クラッドで覆うことにより、屈折率制
御用ドーパントによる吸収損失の増大と屈折率制御用ド
ーパントの不均一分散による散乱損失の増大を防ぎなが
ら、コアの屈折率を高くでき、さらに内部クラッドの屈
折率を低くすることで、比屈折率差を大きくすることが
できる。そして光の閉じこめを強くすることで、容易に
石英系ガラス導波路の低損失化、小形化、低コスト化を
実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適実施の形態を
添付図面に基づいて詳述する。
【0015】図1に本発明の石英系ガラス導波路の断面
図を示す。
【0016】基板12上に導波路が形成されている。導
波路は高屈折率を有したSiOx Ny Hz のコア15の
周囲を、SiO2 にフッ素を添加することで低屈折率と
した、所望の厚さの内部クラッド層14、16で覆い、
さらにその周囲をSiO2 の外部クラッド層13、17
で覆った構造である。
【0017】また図2〜図5に本発明の石英系ガラス導
波路の製造方法を示す。
【0018】図2(a)において、SiO2 あるいはS
iの基坂18上に、SiO2 の外部クラッド層19を、
プラズマCVD法,スパッタ法,イオンビーム法等によ
り成膜する。ついでこの上にSiO2 にフッ素を添加す
ることで低屈折率とした内部クラッド層2Oを、プラズ
マCVD法により、材料ガスにSiH4 およびSiF4
とN2 OあるいはO2 を用いて成膜する(図2
(b))。
【0019】次にSiOx Ny Hz の高屈折率を有した
コア膜21を、プラズマCVD法,スパッタ法,イオン
ビーム法等により成膜する(図2(c))。ついでこの
上にWSi膜22をスパッタ法により成膜する(図2
(d))。次にフォトリソグラフィ工程,ドライエッチ
ング工程により、コアとなる場所を覆うWSiマスクパ
ターン23を形成する(図3(e))。そしてドライエ
ッチングによりコア24を形成する(図3(f))。
【0020】次にドライエッチング工程によりWSiマ
スクパターン23を取りリ除く(図3(g))。ついで
この上にSiO2にフッ素を添加することで低屈折率と
した内部クラッド層25を、プラズマCVD法により、
材料ガスにSiH・およびSiF4 とN2 OあるいはO
2 を用いて成膜する(図4(h))。そして、この上に
WSi膜26をスパッタ法により成膜する(図4
(i))。次にフォトリソグラフィ工程,ドライエッチ
ング工程により、内部クラッド層20、25を矩形にエ
ッチングするためのWSiマスクパターン27を形成す
る(図4(j))。
【0021】そしてドライエッチングにより内部クラッ
ド層20、25を矩形に形成し内部クラッド28、29
を作成する。(図5(k))。次にドライエッチング工
程によりWSiマスクパターン27を取り除く(図4
(l))。最後にSiO2の外部クラッド層30で覆う
ことにより、高比屈折率差を有した石英系ガラス導波路
ができる(図4(m))。
【0022】次に、上記方法を用い試作した直線導波路
の試作結果について説明する。
【0023】本発明の方法(図1〜5)で試作した石英
系ガラス導波路の断面図を図6に、この石英系ガラス導
波路の屈折率分布を図7に示す。
【0024】コア34の寸法は、シングルモードとなる
ように幅4μm、高さ2.5μmとした。またコアの周
囲を覆う内部クラッド33、35の厚さは2μmとし
た。これよりも内部クラッドの厚みが薄いと内部クラッ
ドの効果は低減してしまう。外部クラッド層32、36
の厚さは8μmである。さらに導波路長は50mmであ
る。比屈折率差は、図7に示したようにSiOx Ny H
z を使用し、コアの比屈折率差が+1.8%となるよう
に調整した。さらにSiO2 に添加するフッ素の量を調
整することで内部クラッドの比屈折率差を−0.7%と
なるようにし、全体で2.5%となるようにした。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示したように本発明の方法で石英系
ガラス導波路を作成すると損失は0.10dB/cmで
あった。比較として従来方法(図11,12)で作成し
た石英系ガラス導波路の損失特性についても述べる。図
11,図12の従来方法で作成した石英系ガラス導波路
の断面図を図8に、この石英系ガラス導波路の屈折率分
布を図9に示す。
【0027】コア39の寸法は、シングルモードとなる
よう幅4μm、高さ2.5μmである。クラッド層3
8、40の厚さは10μmである。さらに導波路長は5
0mmである。比屈折率差が2.5%となるようコアに
加えるGeO2 屈折率制御用ドーパントの量を調整し
た。従来方法で試作した石英系ガラス導波路の損失は、
表1に示したように2.30dB/cmであった。これ
は比屈折率が2.5%となるようコアに、屈折率制御用
ドーパントのGeO2 を、多量に加えたため、屈折率制
御用ドーパントによる吸収損失の増大と、屈折率制御用
ドーパントの不均一分散による散乱損失の増大が生じた
ためである。
【0028】以上のように、本発明の構造および製造方
法によると、高比屈折率差、低損失な石英系ガラス導波
路を容易に得ることが分かった。
【0029】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、高屈折率
のコアの周囲を、低屈折率の内部クラッドで覆うことに
より、屈折率制御用ドーパントによる吸収損失の増大
と、屈折率制御用ドーパントの不均一分散による散乱損
失の増大を防ぎながらコアの屈折率を高くでき、さらに
内部クラッドの屈折率を低くすることで、比屈折率差を
大きくすることができ、光の閉じこめを強くすることが
可能となる。従つて、容易に石英系ガラス導波路の低損
失化、小形化、低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の石英系ガラス導波路の断面図を示す図
である。
【図2】本発明の石英系ガラス導波路の製造方法を示す
図である。
【図3】本発明の石英系ガラス導波路の製造方法を示す
図である。
【図4】本発明の石英系ガラス導波路の製造方法を示す
図である。
【図5】本発明の石英系ガラス導波路の製造方法を示す
図である。
【図6】本発明の製造方法で作成した導波路の断面図を
示す。
【図7】本発明の製造方法で作成した石英系ガラス導波
路の屈折率分布を示す。
【図8】従来の製造方法で作成した石英系ガラス導波路
の断面図を示す。
【図9】従来の製造方法で作成した石英系ガラス導波路
の屈折率分布を示す。
【図10】従来の石英系ガラス導波路の製造方法を示す
図である。
【図11】従来の石英系ガラス導波路の製造方法を示す
図である。
【図12】従来の石英系ガラス導波路の断面図を示す図
である。
【符号の説明】
12,18,31,37 基坂 13,17,19,30 外部クラッド層 14、16,33,35 内部クラッド 15,34,39 コア 32,36 外部クラッド層 20,25 内部クラッド層 21 コア膜 22,26 WSi膜 23 WSiマスクパターン 24 ドライエッチングにより形成したコア 27 WSiマスクパターン 28、29 内部クラッド層 38,40 クラッド層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井本 克之 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電線 株式会社アドバンスリサーチセンタ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に導波路が形成されてなる石英系
    ガラス導波路において、コアに比較的容易に高屈折率が
    得られるSiOx Ny Hz を用い、その周囲をSiO2
    にフッ素を添加することで低屈折率とした所望の厚さの
    クラッド層で覆い、さらにその周囲をSiO2 のクラッ
    ド層で覆うことを特徴とした、高比屈折率差を有した石
    英系ガラス導波路。
  2. 【請求項2】 請求項1の高比屈折率差を有した石英系
    ガラス導波路を作成する製造方法において、SiO2
    るいはSi基坂表面に形成されたSiO2 の外部クラッ
    ド層の上に、SiO2 にフッ素を添加した低屈折率の内
    部クラッド層を形成し、その内部クラッド層上に、高屈
    折率を有したSiOx Ny Hz のコアを形成し、そのコ
    アの周囲を、SiO2 にフッ素を添加した低屈折率の内
    部クラッド層で覆い、その内部クラッド層の周囲をSi
    2 の外部クラッド層で覆うことをことを特徴とする高
    比屈折率差を有した石英系ガラス導波路の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2の高比屈折率差を有した石英系
    ガラス導波路を作成する製造方法において、 (a) SiO2 あるいはSi基坂表面に形成されたSiO
    2 の外部クラッド層の上にさらに、SiO2 にフッ素を
    添加した低屈折率の内部クラッド層を形成する工程、 (b) 高屈折率を有したSiOx Ny Hz のコア膜を形成
    し、その上にWSi膜を形成後、フォトリソグラフィ工
    程およびドライエッチング工程を経てコアを形成するた
    めのWSiマスクパターンを形成する工程、 (c) ついでこのWSiマスクパターンを用いて、ドライ
    エッチング工程によりコアを形成し、その上に、プラズ
    マCVD法により、SiO2 にフッ素を添加した低屈折
    率の内部クラッド層を成膜する工程、 (d) その上にWSi膜を成膜し、フォトリソグラフィ工
    程およびドライエッチング工程により、内部クラッド層
    を矩形にドライエッチングするためのWSiマスクパタ
    ーンを作成する工程、 (e) ついでドライエッチング工程により余分な内部クラ
    ッド層をエッチングし、 取り除くことでコアの周囲
    を覆う矩形の内部クラッドを形成する工程、 (f) そしてこのWSiマスクをドライエッチング工程に
    より取り除き、最後に上記のエッチングした表面全体に
    SiO2 の外部クラッド層を形成する工程を備えたこと
    を特徴とする高比屈折率差を有した石英系ガラス導波路
    の製造方法。
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