JPH0980193A - 使用済燃料の再処理方法 - Google Patents

使用済燃料の再処理方法

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JPH0980193A
JPH0980193A JP23526595A JP23526595A JPH0980193A JP H0980193 A JPH0980193 A JP H0980193A JP 23526595 A JP23526595 A JP 23526595A JP 23526595 A JP23526595 A JP 23526595A JP H0980193 A JPH0980193 A JP H0980193A
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Japan
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molten chloride
oxygen
spent fuel
reprocessing
chloride
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JP23526595A
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English (en)
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Tadahiro Hoshikawa
忠洋 星川
Akira Sasahira
朗 笹平
Tsutomu Baba
務 馬場
Tetsuo Fukazawa
哲生 深澤
Mamoru Kamoshita
守 鴨志田
Fumio Kawamura
文雄 河村
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies

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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】ウラン及びプルトニウムをウラン/プルトニウ
ム混合物として回収し、その混合比を容易に変えること
ができる使用済燃料の再処理方法を提供する。 【構成】使用済燃料を反応槽1内で溶融塩化物22中に
溶解させた後、溶融塩化物22中に酸素供給装置5から
酸素を供給し、溶融塩化物中のPu4+,Am3+,N
4+,UO2 2+を順次PuO2,Am23,NpO2,U3
8に転化させて析出させることにより、溶融塩化物2
2から分離して回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使用済燃料の再処理方
法に係わり、特に、使用済燃料に含まれるウラン・プル
トニウムを回収する使用済燃料の再処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、使用済燃料を処理し、その中に含
まれるウラン・プルトニウムを回収するための使用済燃
料の処理方法に関連する公知技術としては、例えば、以
下のものがある。
【0003】「原子力工業」第35巻(1989)第
9号(p.5−p.23) この公知技術においては、使用済燃料は溶解槽で硝酸溶
液中に溶解され、この硝酸溶液は共除染工程内の抽出器
で有機溶媒と接触させられる。これによって硝酸溶液中
からウラン・プルトニウムが有機溶媒側へ移行し、引き
続き硝酸溶液中に含まれる核分裂生成物及び超ウラン元
素であるネプツニウム・アメリシウム等から分離され
る。そしてさらに、分離された有機溶媒中のウラン・プ
ルトニウムは次の分配工程で互いに分離される。すなわ
ち、分配工程の抽出器内で、有機溶媒中に含まれるウラ
ンとプルトニウムのうち、プルトニウムが溶媒中におい
て還元剤により非抽出形態へ還元されて有機溶媒から硝
酸水溶液側へ移行し、これによってウランと分離され
る。分離されたウラン及びプルトニウムはそれぞれの精
製工程で精製され純度を高められたウラン及びプルトニ
ウムが得られる。一方、ウラン及びプルトニウムと分離
された核分裂生成物及びネプツニウム・アメリシウムを
含んだ硝酸溶液は、高レベル廃液として高レベル廃液処
理系へ送られて処理される。すなわち、長寿命の放射性
元素であるアメリシウム・ネプツニウムはプルトニウム
以外の超ウラン元素として高レベル廃液に含まれること
になる。なお、この高レベル廃液の管理負担を低減する
ために高レベル廃液からアメリシウム・ネプツニウムを
分離する方法も提唱されている(日本原子力学会「19
94春の年会」p22:鴨志田ら、及び日本原子力学会
「1994秋の大会」p392:河村ら)。
【0004】特開平6−324189号公報 この公知技術においては、使用済原子燃料を液体カドミ
ウムに溶解し、その上部に溶融塩化物を張り込む。つい
で溶融塩化物中に金属電極の陰極を挿入し、液体カドミ
ウムを陽極として電流を通じる。すると、液体カドミウ
ム中のウランは容易にイオン化して溶融塩化物に移動
し、金属陰極で還元されて陰極上に金属として析出す
る。このときプルトニウムは、カドミウムと金属間化合
物を作るので溶融塩化物に移動しにくく、金属陰極に析
出させるには非常に大きな電位差が必要であることか
ら、陰極上に容易には析出しない。したがって、ウラン
をプルトニウムから分離して回収することができる。こ
のようにしてウランを回収した後、液体カドミウムの陰
極を溶融塩化物中に挿入して電流を通じると、プルトニ
ウムが陰極カドミウムにおいても金属間化合物をつくる
ようになり、小さな電位差で陰極に析出可能となる。こ
れにより、プルトニウムを容易に陰極で回収することが
できる。このようにしてウランとプルトニウムを回収し
た後、溶融塩化物に塩化カドミウムを加えて液体カドミ
ウム中のアメリシウム・ネプツニウムを酸化し、アメリ
シウム・ネプツニウムを溶融塩化物中に移動させる。こ
の溶融塩化物は新鮮な液体カドミウムと接触させ、アメ
リシウム・ネプツニウムを液体カドミウムに移動させた
後廃棄物処理を行う。アメリシウム・ネプツニウムを含
む液体カドミウムは高温で蒸発させ、純度の高いカドミ
ウムと、アメリシウム・ネプツニウムとを含む放射性残
さに分けられる。すなわち、ウランとプルトニウムを分
離して回収するほか、長寿命のアメリシウム・ネプツニ
ウムを高レベル廃棄物から分離することができる。
【0005】特開昭58−47298号公報 この公知技術は、使用済燃料の再処理に先だって行われ
る前処理に関するものであり、使用済燃料にアルカリ金
属化合物・アルカリ土類金属化合物を添加した後、空気
中・酸素中で加熱してこれらを反応させ、ウラン・プル
トニウムをそれぞれアルカリ土類金属のウラン酸塩・プ
ルトニウム酸塩に変えて使用済燃料を細粉化することに
よって、使用済燃料に含まれていた揮発性核分裂生成物
を気相中に放出除去するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】現在、原子力発電所で
はウランのみを燃料として使用しているが、今後、再処
理をして回収したプルトニウムの利用が計画されてい
る。すなわちこの計画では、ウラン酸化物とプルトニウ
ム酸化物を所定の比で混合したMOX燃料の使用が考え
られている。しかしながら、このようなMOX燃料の製
造に対し上記公知技術を適用しようとすると、以下の課
題が生じることとなる。すなわち、公知技術による使
用済燃料の再処理方法では、ウラン、プルトニウムがそ
れぞれ互いに分離した形で回収されるので、MOX燃料
を製造する際には、一旦分離したウラン及びプルトニウ
ムを任意の比で再び混合してやる必要があり、処理が煩
雑となる。また公知技術による使用済燃料の再処理方
法では、ウランを金属陰極上に析出させるのを途中で停
止することで、カドミウム中にウラン・プルトニウムが
ある比率で混合したウラン/プルトニウム混合物を残す
ことは可能であるが、このウラン/プルトニウム比を変
化させるのがきわめて困難である。さらに公知技術に
よる処理方法の、MOX燃料の製造への適用を考えた場
合も、上記同様、ウラン/プルトニウム比を変化させ
るのがきわめて困難である。
【0007】一方、超ウラン元素であるネプツニウム・
アメリシウムに関しては、高レベル廃棄物の管理負担軽
減の観点から、ネプツニウム・アメリシウムと高レベル
廃液とを分離することが望ましい。しかしながら、公知
技術においては、これらネプツニウム・アメリシウム
の回収についてはなんら配慮されていない。また公知技
術においては、一旦高レベル廃液側に移行したネプ
ツニウム・アメリシウムを、高レベル廃液から分離する
ための処理設備が別途必要となり、処理が煩雑となると
ともにコスト高となる。さらに、燃料サイクル内に長半
減期の超ウラン元素を閉じ込めるという観点からは、ネ
プツニウム・アメリシウムを高レベル廃液側へ移行させ
ないことが望ましいが、この点に特に配慮されていな
い。
【0008】本発明の第1の目的は、ウラン及びプルト
ニウムをウラン/プルトニウム混合物として回収し、か
つその混合比を容易に変えることができる使用済燃料の
再処理方法を提供することである。
【0009】本発明の第2の目的は、ネプツニウム・ア
メリシウムを高レベル廃液側に移行させることなく、ウ
ラン・プルトニウムと同時に回収できる使用済燃料の再
処理方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明によれば、使用済燃料を溶融塩化物中
に溶解させた後、前記溶融塩化物中に酸素及び酸素を放
出する物質のうち少なくとも一方を供給し、前記使用済
燃料中に含まれていたウラン及びプルトニウムを不溶性
の酸化物に転化させて析出させることにより、前記ウラ
ン及びプルトニウムを前記溶融塩化物から分離し回収す
ることを特徴とする使用済燃料の再処理方法が提供され
る。
【0011】また、上記第1及び第2の目的を達成する
ために、本発明によれば、使用済燃料を溶融塩化物中に
溶解させた後、前記溶融塩化物中に酸素及び酸素を放出
する物質のうち少なくとも一方を供給し、前記使用済燃
料中に含まれていたウラン、プルトニウム、ネプツニウ
ム、及びアメリシウムを不溶性の酸化物に転化させて析
出させることにより、前記ウラン、プルトニウム、ネプ
ツニウム、及びアメリシウムを前記溶融塩化物から分離
し回収することを特徴とする使用済燃料の再処理方法が
提供される。
【0012】好ましくは、前記使用済燃料の再処理方法
において、前記溶融塩化物への前記酸素及び酸素を放出
する物質のうち少なくとも一方の供給量、及び前記溶融
塩化物中の溶解酸素イオン濃度変化をモニターすること
によって、前記溶融塩化物中に析出した不溶性の酸化物
の生成量を検出することを特徴とする使用済燃料の再処
理方法が提供される。
【0013】また好ましくは、前記使用済燃料の再処理
方法において、前記酸素を放出する物質は、2酸化炭
素、NOxガス、水のうち少なくとも1つであることを
特徴とする使用済燃料の再処理方法が提供される。
【0014】また好ましくは、前記使用済燃料の再処理
方法において、前記溶融塩化物中に析出した不溶性の酸
化物と前記溶融塩化物とを、デカンテーションによって
分離することを特徴とする使用済燃料の再処理方法が提
供される。
【0015】また好ましくは、前記使用済燃料の再処理
方法において、前記溶融塩化物を反応容器内から吸い上
げることにより、該溶融塩化物中に析出した不溶性の酸
化物と前記溶融塩化物とを分離することを特徴とする使
用済燃料の再処理方法が提供される。
【0016】さらに好ましくは、前記使用済燃料の再処
理方法において、前記溶融塩化物を攪拌しつつ、該溶融
塩化物を反応容器内から吸い上げることを特徴とする使
用済燃料の再処理方法が提供される。
【0017】また好ましくは、前記使用済燃料の再処理
方法において、反応容器内底部にあらかじめ配置された
フィルターを引き上げることにより、前記溶融塩化物中
に析出した不溶性の酸化物と前記溶融塩化物とを分離す
るとともに前記フィルター上に不溶性の酸化物を残存さ
せて回収することを特徴とする使用済燃料の再処理方法
が提供される。
【0018】また好ましくは、前記使用済燃料の再処理
方法において、反応容器内底部に設置したフィルターを
介し前記溶融塩化物を前記反応容器外に排出することに
より、前記溶融塩化物中に析出した不溶性の酸化物と前
記溶融塩化物とを分離するとともに前記フィルター上に
不溶性の酸化物を残存させて回収することを特徴とする
使用済燃料の再処理方法が提供される。
【0019】また好ましくは、前記使用済燃料の再処理
方法において、前記使用済燃料を溶解させた溶融塩化物
中に前記酸素及び酸素を放出する物質のうち少なくとも
一方を供給する前に、反応容器内にあらかじめ配置され
たフィルターを引き上げることを特徴とする使用済燃料
の再処理方法が提供される。
【0020】また好ましくは、前記使用済燃料の再処理
方法において、前記溶融塩化物への前記酸素及び酸素を
放出する物質のうち少なくとも一方の供給量、及び前記
溶融塩化物上の気相の酸素分圧変化をモニターすること
によって、前記溶融塩化物中に析出した不溶性の酸化物
の生成量を検出することを特徴とする使用済燃料の再処
理方法が提供される。
【0021】また好ましくは、前記使用済燃料の再処理
方法において、前記使用済燃料が溶解した溶融塩化物中
に前記酸素及び酸素を放出する物質のうち少なくとも一
方を供給した後、前記溶融塩化物を撹拌することを特徴
とする使用済燃料の再処理方法が提供される。
【0022】
【作用】一般に、溶融塩化物中では酸化物イオンは不安
定であり、溶融塩化物中の金属イオンと結合して不溶性
の酸化物を形成する傾向がある。この傾向を核燃料物
質、例えばウラン及びプルトニウムと、超ウラン元素で
あるアメリシウム及びネプツニウムを例にとって考える
と、これらのうち溶融塩化物における酸化物の形成のし
やすさはプルトニウムが最も高く、ついでアメリシウ
ム、ネプツニウム、ウランの順となる。またこのとき、
燐酸トリブチルを抽出剤とした再処理方法(ピュレック
ス法)においてアメリシウムとの分離が困難であるラン
タニド族元素は、ウランより酸化物になりにくい性質を
備えている。ここで、本発明による再処理方法において
は、まず、使用済燃料を溶融塩化物中に溶解させる。こ
のとき使用済燃料が溶解した溶融塩化物中には、はじめ
理想的には酸素が存在しない状態である。そして、この
溶融塩化物中に徐々に酸素か若しくは2酸化炭素、NO
xガス、水等の酸素放出物質を供給していくと酸素が溶
融塩化物中に溶解し、溶解した酸素イオン濃度が徐々に
増加する。ここで前述したように溶融塩化物中ではプル
トニウムが最も酸化物が形成しやすく、溶解した酸素イ
オン量は、まずプルトニウムの酸化物生成開始の濃度に
達する。すると溶融塩化物中で4価のイオンで溶解して
いたプルトニウムは徐々に2酸化プルトニウムへ転化し
析出して沈澱を生成する。このとき、溶融塩化物中で溶
解していたプルトニウムが2酸化プルトニウムに変化し
終わるまで、供給した酸素は2酸化プルトニウム生成の
ために消費される。よってこの間、酸素を徐々に供給し
続けても溶融塩化物中に溶解した酸素イオン濃度はほぼ
一定の値を保つ。溶融塩化物中に溶解したプルトニウム
が全て2酸化プルトニウムに変化し終わると、再び溶融
塩化物中の酸素イオン濃度が増加し始める。この後さら
に酸素又は酸素放出物質を供給していくと、次に、溶解
した酸素イオン量が、アメリシウムの酸化物生成開始の
濃度に達する。すると溶融塩化物中で3価のイオンで溶
解していたアメリシウムは徐々に3酸化2アメリシウム
へ転化し析出して沈澱を生成する。このとき、溶融塩化
物中で溶解していたアメリシウムが3酸化2アメリシウ
ムに変化し終わるまで、供給した酸素は3酸化2アメリ
シウム生成のために消費される。よってこの間、酸素を
徐々に供給し続けても溶融塩化物中の溶解した酸素イオ
ン濃度はほぼ一定の値を保つ。溶融塩化物中に溶解した
アメリシウムが全て3酸化2アメリシウムに変化し終わ
ると、再び溶融塩化物中の酸素イオン濃度が増加し始め
る。そしてさらに酸素又は酸素放出物質を供給していく
と、次に、溶解した酸素イオン量が、ネプツニウムの酸
化物生成開始の濃度に達する。すると溶融塩化物中で4
価のイオンで溶解していたネプツニウムは徐々に2酸化
ネプツニウムへ転化し析出して沈澱を生成する。このと
き、溶融塩化物中で溶解していたネプツニウムが2酸化
ネプツニウムに変化し終わるまで、供給した酸素は2酸
化ネプツニウム生成のために消費される。よってこの
間、酸素を徐々に供給し続けても溶融塩化物中の溶解し
た酸素イオン濃度はほぼ一定の値を保つ。溶融塩化物中
に溶解したネプツニウムが全て2酸化ネプツニウムに変
化し終わると、再び溶融塩化物中の酸素イオン濃度が増
加し始める。そしてさらに酸素又は酸素放出物質を供給
していくと、次に、溶解した酸素イオン量がウランの酸
化物生成開始の濃度に達する。すると溶融塩化物中で2
価のオキソニウムイオンで溶解していたウランは徐々に
8酸化3ウランへ転化し析出して沈澱を生成する。この
とき、溶融塩化物中で溶解していたウランが8酸化3ウ
ランに変化し終わるまで、供給した酸素は8酸化3ウラ
ン生成のために消費される。よってこの間、酸素を徐々
に供給し続けても溶融塩化物中の溶解した酸素イオン濃
度はほぼ一定の値を保つ。溶融塩化物中に溶解したウラ
ンが8酸化3ウランに変化し終わると、再び溶融塩化物
中の酸素イオン濃度が増加し始める。上述したように、
酸素又は酸素を放出する物質を供給していくに従い、プ
ルトニウム→アメリシウム→ネプツニウム→ウランの順
に順次不溶性酸化物として析出していく。すなわち、ウ
ランが酸化物に転化し始める酸素供給量においては、プ
ルトニウム、アメリシウム、ネプツニウムは酸化物に転
化し終わって、既にこれらプルトニウム/アメリシウム
/ネプツニウムの混合物として沈澱している。そしてさ
らに酸素を供給していくと、酸素供給量の増加にしたが
ってウランが酸化物に転化し始めるが、このときの酸素
供給量に応じてウランの酸化物の生成量が決まることか
ら、この酸素供給量を調整することによってウランの酸
化物への転化の割合が決定できる。よって、供給酸素量
を調整することにより、ウランの酸化物への転化量を調
整し、すなわち、プルトニウム・アメリシウム・ネプツ
ニウムの混合沈澱に加わるウランの量を容易に調整する
ことができる。こうして生成したプルトニウム・アメリ
シウム・ネプツニウム・ウランの混合沈澱は、例えばデ
カンテーション等によって溶融塩化物から分離し、回収
することができる。なお、各酸化過程の判別は、供給酸
素量に対して溶解酸素イオン濃度が階段状に変化するこ
とを利用すれば容易である。すなわち、例えば溶解酸素
イオン濃度センサーを用いて溶解酸素イオン濃度をモニ
ターしていれば、溶解酸素イオン濃度が階段状に変化す
る際のイオン濃度が増加しはじめる点を各酸化物への転
化の起点として検出し、イオン濃度がほぼ一定の状態が
続いた後のその次のイオン濃度が増加しはじめる点を転
化の終点として検出することができる。そして、転化開
始から終点までの酸素がすべて酸化反応のみに用いられ
ることから、この間の供給酸素量をモニターすることで
酸化物の生成量を検出することができる。また、核分裂
生成物は溶融塩化物中では酸化物を生成しにくく、きわ
めて大量の酸素を溶融塩化物中に溶解しなければ沈澱を
生成しない。よって、ウランを酸化物として沈澱させる
程度の酸素量では、核分裂生成物は酸化物を生成せずに
溶融塩化物中に溶解したままなので、核分裂生成物がア
メリシウム・ネプツニウム・プルトニウム・ウランの混
合沈澱へ混入するのを防止することができる。
【0023】以上のようにして、供給酸素量の調整によ
って任意のプルトニウム/ウラン比をもったウラン/プ
ルトニウム混合物を容易に製造し、かつ互いに分離しな
い混合物の形で回収することができる。そしてそのとき
に、ネプツニウム・アメリシウムを高レベル廃液側に移
行させることなく、ウラン・プルトニウムとの混合沈澱
としてウラン・プルトニウムと同時に回収することがで
きる。
【0024】また、溶融塩化物を反応容器内から吸い上
げて、溶融塩化物中に析出した不溶性の酸化物と溶融塩
化物とを分離することにより、デカンテーションのよう
に反応容器を傾けることなく分離を行うことができる。
さらに、溶融塩化物を攪拌しつつ、溶融塩化物を反応容
器内から吸い上げることにより、不溶性酸化物の混合体
を反応容器内の撹拌中心部付近へ凝縮させることができ
るので、より分離性能を向上させることができる。ま
た、反応容器内底部にあらかじめ配置されたフィルター
を引き上げ、溶融塩化物中に析出した不溶性の酸化物と
溶融塩化物とを分離するとともにフィルター上に不溶性
の酸化物を残存させて回収することにより、デカンテー
ションのように反応容器底部から沈澱をかきだす等の操
作を行うことなく、不溶性酸化物の沈澱を回収すること
ができる。また、反応容器内底部に設置したフィルター
を介し溶融塩化物を反応容器外に排出し、溶融塩化物中
に析出した不溶性の酸化物と溶融塩化物とを分離すると
ともにフィルター上に不溶性の酸化物を残存させて回収
することにより、駆動する部分を設けることなく処理設
備を簡易に構成することができる。また、使用済燃料を
溶解させた溶融塩化物中に酸素及び酸素を放出する物質
のうち少なくとも一方を供給する前に、反応容器内にあ
らかじめ配置されたフィルターを引き上げることによ
り、例えば使用済燃料に含まれていた被覆管等の不純物
をあらかじめ除去することができる。よって、再処理前
に使用済燃料の脱被覆を行う必要がなくなる。また、溶
融塩化物への酸素及び酸素を放出する物質のうち少なく
とも一方の供給量、及び溶融塩化物上の気相の酸素分圧
変化をモニターし、溶融塩化物中に析出した不溶性の酸
化物の生成量を検出することにより、溶融塩化物中の酸
素イオン濃度が気相の酸素分圧の平方根に比例する関係
に基づき、モニターされた酸素分圧から溶融塩化物中の
酸素イオン濃度を求めることができる。また、高温の溶
融酸化物に浸漬された酸素イオン濃度センサーよりも、
気相中に配置される酸素分圧センサーのほうが耐久性が
高い。また、使用済燃料が溶解した溶融塩化物中に酸素
及び酸素を放出する物質のうち少なくとも一方を供給し
た後、溶融塩化物を撹拌することにより、酸化反応を促
進させることができる。よって、短時間で正確に任意の
ウラン/プルトニウム比の不溶性酸化物を得ることがで
きる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。本発明の第1の実施例を図1〜図4により説明
する。本実施例による再処理方法を実施するための再処
理装置の全体構成を表す概念図を図2に示す。本実施例
による再処理方法は、まず、図2に示す再処理装置の反
応槽1に、溶融塩化物の原料となる塩化リチウム及び塩
化カリウムを満たし、さらに使用済燃料を供給する。そ
して、反応槽1上部の密閉蓋2を閉め、供給ガス量制御
装置4で制御された塩素ガス供給装置3によって反応槽
1内へ塩素ガスを供給し、反応槽1内の気相を塩素ガス
雰囲気に置換する。その後、反応槽1の温度を例えば約
450℃に上げ、塩化物(=塩化リチウム及び塩化カリ
ウム)を溶融させると共に使用済燃料を溶解する。この
溶融状態において、例えば、全燃料と溶融塩化物の合計
が100モル、燃料を溶解したときに含有されるUO2
2+が9.4モル、Pu4+が1.5モル、Np4+が0.0
1モル、Am3+が0.01モルとなっている。なお、使
用済燃料が酸化物である場合は、使用済燃料の元素量に
等しい化学量論量の炭素粉末を添加すれば使用済燃料の
溶解速度を加速できる。
【0026】使用済燃料が溶解後、供給ガス量制御装置
4で制御された酸素供給装置5によって酸素を反応槽1
内に徐々に供給していく。このとき供給される酸素量は
供給酸素積算計6によって検出されており、対応する検
出信号が供給ガス量制御装置4へ出力される。このよう
にして供給された酸素のうち溶融塩化物22中に溶解し
た分が、反応槽1に設置された酸素イオン濃度センサー
7で酸素イオン濃度の形で検出されており、対応する検
出信号が供給ガス量制御装置へ出力される。この反応槽
1内の使用済燃料を溶解した溶融塩化物22中に徐々に
酸素を供給していくとき、供給ガス量制御装置4には、
前述した供給酸素積算計6及び酸素イオン濃度センサー
7からの検出信号に基づき、供給酸素量に対する溶解酸
素イオン濃度の関係がモニター表示される。この一例を
表す模式図を図1に示す。また図1の部分拡大図を図3
に示す。なお、これら図1及び図3のモニター例は、前
述した処理条件、すなわち、処理温度=450℃、全燃
料と溶融塩化物の合計量=100モル、燃料を溶解した
ときに含有されるUO2 2+の量=9.4モル、Pu4+
量=1.5モル、Np4+の量=0.01モル、Am3+
量=0.01モルの場合を示している。
【0027】すなわち図1及び図3において、溶解槽1
内に酸素を供給していくと、酸素が溶融塩化物22内に
溶解し、酸素イオン濃度が徐々に増加する。そしてま
ず、プルトニウムが酸化物へ転化される酸素イオン濃度
に達する。すると溶融塩化物22中でPu4+として溶解
していたプルトニウムは徐々にPuO2へ転化し析出し
て沈澱を生成する。このとき、溶融塩化物22中で溶解
していたPu4+がPuO2に変化し終わるまで、供給し
た酸素はPuO2生成のために消費される。よってこの
間、供給酸素積算量が増加しても酸素イオン濃度は増加
せずほぼ一定の値を保つ。溶融塩化物22中に溶解した
Pu4+がすべてPuO2に変化し終わると、再び溶融塩
化物22中の酸素イオン濃度の上昇がはじまる。
【0028】さらに酸素の供給を続けて酸素イオン濃度
が上昇すると、例えば酸素供給量≒2.998モルで、
アメリシウムが酸化物へ転化される酸素イオン濃度に達
する。すると溶融塩化物22中でAm3+として溶解して
いたアメリシウムが徐々にAm23へ転化し析出して沈
澱を生成する。このとき、溶融塩化物22中で溶解して
いたAm3+がAm23に変化し終わるまで、供給した酸
素はAm23生成のために消費される。よってこの間、
供給酸素積算量が増加しても酸素イオン濃度は増加せず
ほぼ一定の値を保つ(図3参照)。溶融塩化物22中に
溶解したAm3+がすべてAm23に変化し終わると、再
び溶融塩化物22中の酸素イオン濃度の上昇がはじま
る。
【0029】さらに酸素の供給を続けて酸素イオン濃度
が上昇すると、例えば酸素供給量≒3.014モルで、
ネプツニウムが酸化物へ転化される酸素イオン濃度に達
する。すると溶融塩化物22中でNp4+として溶解して
いたネプツニウムが徐々にNpO2へ転化し析出して沈
澱を生成する。このとき、溶融塩化物22中で溶解して
いたNp4+がNpO2に変化し終わるまで、供給した酸
素はNpO2生成のために消費される。よってこの間、
供給酸素積算量が増加しても酸素イオン濃度は増加せず
ほぼ一定の値を保つ(図3参照)。溶融塩化物22中に
溶解したNp4+がすべてNpO2に変化し終わると、再
び溶融塩化物22中の酸素イオン濃度の上昇がはじま
る。
【0030】またさらに酸素の供給を続けて酸素イオン
濃度が上昇すると、例えば酸素供給量≒3.035モル
で、ウランが酸化物へ転化される酸素イオン濃度に達す
る。すると溶融塩化物22中でUO2 2+として溶解して
いたウランが徐々にU38へ転化し析出して沈澱を生成
する。このとき、溶融塩化物22中で溶解していたUO
2 2+がU38に変化し終わるまで、供給した酸素はU3
8生成のために消費される。よってこの間、供給酸素積
算量が増加しても酸素イオン濃度は増加せずほぼ一定の
値を保つ。溶融塩化物22中に溶解したUO2 2+がすべ
てU38に変化し終わると、再び溶融塩化物22中の酸
素イオン濃度の上昇がはじまる。
【0031】以上のように、酸素供給装置5から酸素を
供給していくに従い、Pu4+→Am3+→Np4+→UO2
2+の順に順次不溶性酸化物として析出していく。そして
このときの酸素供給量の増加に伴う沈澱組成の変化が供
給ガス量制御装置4に表示される。これを図4に示す。
図4は、酸素イオン濃度センサー7で検出した酸素イオ
ン濃度に基づき化学反応式によってPuO2、Am
23、NpO2、U38の生成量を算出し、これらの生
成量によって、沈澱におけるPuO2、Am23、Np
2、U38の占める割合と供給酸素量との関係を求
め、図示したものである。なお、図4も、図1及び図3
同様、前述した処理条件、すなわち、処理温度=450
℃、全燃料と溶融塩化物の合計量=100モル、燃料を
溶解したときに含有されるUO2 2+の量=9.4モル、
Pu4+の量=1.5モル、Np4+の量=0.01モル、
Am3+の量=0.01モルの場合を示している。図4に
おいて、はじめのうちは、PuO2しか生成しないこと
から沈澱はすべてPuO2であるが、上述したように酸
素供給量≒3モル前後から、Am23、NpO2、U3
8の順で生成してくる。すなわち、UO2 2+が酸化物に転
化し始める酸素供給量においては、Pu4+、Am3+、N
4+は酸化物に転化し終わって、既にPuO2・Am2
3・NpO2の混合物として沈澱している。そしてさらに
酸素を供給していくと、酸素供給量の増加にしたがって
UO2 2+がU38に転化し始めるが、このときの酸素供
給量に応じてU38の生成量が決まることから、この酸
素供給量を酸素供給装置5で調整することによってUO
2 2+のU38への転化の割合が決定できる。よって、供
給酸素量を調整することによってUO2 2+のU38への
転化量を調整し、PuO2・Am23・NpO2の混合沈
澱に加わるU38の量を容易に調整することができる。
すなわち例えば、供給酸素量を5モルとすればPu
2:U38≒60:40で含みかつAm23、NpO2
を同時に含んだ沈澱8を、また供給酸素量を15モルと
すればPuO2:U38≒20:80で含みかつAm2
3、NpO2を同時に含んだ沈澱8を反応槽1内底部に得
ることができる。なおこのとき、核分裂生成物は溶融塩
化物22中では酸化物を生成しにくく、きわめて大量の
酸素を溶融塩化物22中に溶解しなければ沈澱を生成し
ない。すなわち、上記したようなUO2 2+をU38とし
て沈澱させる程度の酸素量では、核分裂生成物は酸化物
を生成せずに溶融塩化物22中に溶解したままである。
よって、核分裂生成物がPuO2・Am23・NpO2
混合沈澱8へ混入することはない。
【0032】次に、このようして生成した、所定比のU
38・PuO2及びNpO2・Am23を含む混合沈澱8
と、核分裂生成物を含んだ溶融塩化物22とを、デカン
テーションによって分離する。すなわち、反応槽1上の
密閉蓋2を開け、駆動装置9を矢印方向に回転させるこ
とによって反応槽1を傾け、溶融塩化物22を受け皿2
1を介して貯槽10に流し込む。そして一方沈澱8は反
応槽1の底に残り、これをかきだすなどの操作によって
回収する。これによって、酸化反応を行わせた反応槽1
から直接混合物を回収することができ、この間に別の容
器への移送等の作業がないので、処理作業・処理設備を
簡素化することができる。
【0033】以上説明したように、本実施例の再処理方
法によれば、酸素供給装置5からの供給酸素量の調整に
よって任意のPuO2/U38比をもった沈澱8を容易
に製造し、かつPu2とU38とを互いに分離しない混
合物の形で回収することができる。よって、MOX燃料
に適したウラン/プルトニウム比を持った混合体を簡便
な処理方法かつ低コストで提供できる。そしてそのとき
に、Np4+・Am3+を高レベル廃液側に移行させること
なく、U38・PuO2との混合沈澱8として同時に回
収することができる。よって処理を簡素化しコストダウ
ンを図ることができる。また、長半減期の超ウラン元素
であるネプツニウム・アメリシウムを燃料サイクル内に
閉じ込めることができる。
【0034】なお、上記第1の実施例では、酸化物を形
成させるために酸素を反応槽1に供給したが、酸素に代
えて、酸素を放出する物質を供給してもよい。例えば、
二酸化炭素ガスは高温において一酸化炭素と酸素に分解
するので、二酸化炭素ガスを反応槽1に供給すれば高温
の溶融塩化物22に触れることで酸素を放出し、酸素を
供給した場合と同様の効果を得ることができる。またN
Oxガスも高温においてはNOガスと酸素とに分解する
し、水は高温において溶融塩化物22に触れると塩化水
素と酸素とに分解するので、二酸化炭素同様に酸素の代
用とすることができる。これらの場合も、同様の効果を
得る。また上記第1の実施例では、酸素イオン濃度変化
の監視、及びこれに基づく酸素の供給・停止・デカンテ
ーションは、運転員の操作によって行ってもよいし、ま
た、自動化してもよいことはいうまでもない。さらに上
記第1の実施例では、再処理条件として、反応槽1の温
度が約450℃、また全燃料と溶融塩化物の合計が10
0モル、燃料を溶解したときに含有されるUO2 2+
9.4モル、Pu4+が1.5モル、Np4+が0.01モ
ル、Am3+が0.01モルであったが、これに限られる
ものではなく、他の場合も本実施例による再処理方法を
適用すれば、同様の効果を得ることができる。また上記
第1の実施例では、溶融塩化物22として、塩化リチウ
ム及び塩化カリウムを溶融させて用いたが、これに限ら
れないことはいうまでもない。
【0035】本発明の第2の実施例を図5により説明す
る。本実施例は、沈澱生成後の溶融塩化物との分離方法
が異なる場合の実施例である。本実施例による再処理方
法を実施するための再処理装置の全体構成を表す概念図
を図5に示す。第1の実施例と同等の部材には同一の符
号を付す。図5の再処理装置を用いた本実施例の再処理
方法が、第1の実施例の再処理方法と異なる点は、沈澱
8と溶融塩化物22とをデカンテーションで分離する代
わりに、密閉蓋2を貫通したチューブ211を介し、吸
引装置212で上から溶融塩化物22を吸い上げること
によって分離することである。また、チューブ211の
先端にフィルターを設置することによって分離性能をさ
らに向上することもできる。その他の処理手順及び装置
構成は、第1の実施例とほぼ同様である。
【0036】本実施例によれば、第1の実施例のデカン
テーションのように反応槽1を傾けることなく、反応槽
1を固定したままで第1の実施例と同様の効果を得るこ
とができる。
【0037】本発明の第3の実施例を図6により説明す
る。本実施例は、溶融塩化物の撹拌手段を設けた実施例
である。本実施例による再処理方法を実施するための再
処理装置の全体構成を表す概念図を図6に示す。第1及
び第2の実施例と同等の部材には同一の符号を付す。図
6の再処理装置を用いた本実施例の再処理方法が、第2
の実施例の再処理方法と異なる点は、攪拌板313を駆
動装置314で回転させて反応槽1内の溶融塩化物22
を回転させることにより、得られた沈澱8が溶融塩化物
22中に浮遊している場合に沈澱8を撹拌中心部付近へ
凝集させるようになっている点である。その他の処理手
順及び装置構成は、第2の実施例とほぼ同様である。
【0038】本実施例によれば、第2の実施例と同様の
効果に加え、得られた沈澱8と溶融塩化物22を分離す
る際の分離性能を向上させる効果がある。
【0039】本発明の第4の実施例を図7により説明す
る。本実施例は、沈澱生成後の溶融塩化物との分離方法
が異なる場合の実施例である。本実施例による再処理方
法を実施するための再処理装置の全体構成を表す概念図
を図7に示す。第1〜第3の実施例と同等の部材には同
一の符号を付す。図7の再処理装置を用いた本実施例の
再処理方法が、第1の実施例の再処理方法と異なる点
は、沈澱8と溶融塩化物22とをデカンテーションで分
離する代わりに、反応槽1の底に設置したフィルター4
15を駆動装置416で引き上げることによって、得ら
れた沈澱8と溶融塩化物22とを分離することである。
その他の処理手順及び装置構成は、第1の実施例とほぼ
同様である。
【0040】本実施例によれば、第1の実施例と同様の
効果に加え、沈澱8を反応槽1の底からかきだすなどの
操作を行わずに沈澱8を溶融塩化物22から分離し回収
できる効果がある。
【0041】本発明の第5の実施例を図8により説明す
る。本実施例は、沈澱生成後の溶融塩化物との分離方法
が異なる場合の実施例である。本実施例による再処理方
法を実施するための再処理装置の全体構成を表す概念図
を図8に示す。第1〜第4の実施例と同等の部材には同
一の符号を付す。図8の再処理装置を用いた本実施例の
再処理方法が、第1の実施例の再処理方法と異なる点
は、沈澱8と溶融塩化物22とをデカンテーションで分
離する代わりに、反応槽1の底に設置したフィルター5
17を介し貯槽518に溶融塩化物22を流出させるこ
とにより、沈澱8を溶融塩化物22から分離してフィル
ター517上に残存させ回収することである。その他の
処理手順及び装置構成は、第1の実施例とほぼ同様であ
る。本実施例によれば、第1の実施例と同様の効果に加
え、駆動する部分を設けることなく装置全体を簡便に構
成できる効果がある。
【0042】本発明の第6の実施例を図9により説明す
る。本実施例は、使用済燃料の被覆除去用フィルタを設
けた実施例である。
【0043】本実施例による再処理方法を実施するため
の再処理装置の全体構成を表す概念図を図9に示す。第
1〜第5の実施例と同等の部材には同一の符号を付す。
図9の再処理装置を用いた本実施例の再処理方法が、第
5の実施例の再処理方法と異なる点は、初めに反応槽1
に装荷する使用済燃料が脱被覆をしていない場合に配慮
されている点である。すなわち、このような場合には、
使用済燃料の被覆管等が溶融塩化物22中で溶解せずに
残存・浮遊している可能性がある。そこで、本実施例に
おいては、溶融塩化物22に溶解させた使用済燃料に酸
素を供給する前に、反応槽1に設けたフィルター619
を駆動装置620で引き上げることにより、溶融塩化物
22中に溶解しないで存在する被覆管等を分離する。な
おこのとき、使用済燃料は上方から反応槽1に装荷され
るので、フィルター619は必ずしも反応槽1の底部に
ある必要はない。その他の処理手順及び装置構成は、第
5の実施例とほぼ同様である。本実施例によれば、第5
の実施例と同様の効果に加え、再処理前に使用済燃料の
脱被覆を行う必要がなくなるという効果がある。
【0044】なお、上記第1〜第6の実施例において
は、反応槽1の溶融塩化物22内に酸素イオン濃度セン
サー7を設けたが、その代わりに、反応槽1の気相部に
酸素分圧センサーを設けてもよい。すなわち、溶融塩化
物22中の酸素イオン濃度は気相の酸素分圧の平方根に
比例するので、酸素分圧センサーの出力を酸素イオン濃
度に換算することにより、上記第1〜第6の実施例と同
様の効果を得ることができる。またこのとき、酸素分圧
センサーは気相に設けられることから、高温の溶融酸化
物22に酸素イオン濃度センサー7を浸漬させて設ける
より耐久性が高くなる効果もある。
【0045】また、上記第1〜第6の実施例の再処理方
法を実施するための図2〜図9に示した装置に対して、
沈澱8を生成する酸化反応が均一に進行するように、溶
融塩化物22を攪拌する機構を別途設けてもよい。これ
により、より短時間で正確に任意のPuO2/U38
を持った混合沈澱8が得られる効果がある。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、供給酸素量の調整によ
って任意のプルトニウム/ウラン比をもったウラン/プ
ルトニウム混合物を容易に製造し、かつ互いに分離しな
い混合物の形で回収することができる。よって、MOX
燃料に適したウラン/プルトニウム比を持った混合体を
簡便な処理方法かつ低コストで提供できる。そしてその
ときに、ネプツニウム・アメリシウムを高レベル廃液側
に移行させることなく、ウラン・プルトニウムとの混合
沈澱としてウラン・プルトニウムと同時に回収すること
ができる。よって処理を簡素化しコストダウンを図るこ
とができる。また、長半減期の超ウラン元素であるネプ
ツニウム・アメリシウムを燃料サイクル内に閉じ込める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による再処理方法におけ
る、供給酸素量に対する溶解酸素イオン濃度の関係のモ
ニター表示例を表す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施例による再処理方法を実施
するための再処理装置の全体構成を表す概念図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】本発明の第1の実施例による再処理方法におけ
る、酸素供給量の増加に伴う沈澱組成の変化を表す図で
ある。
【図5】本発明の第2の実施例による再処理方法を実施
するための再処理装置の全体構成を表す概念図である。
【図6】本発明の第3の実施例による再処理方法を実施
するための再処理装置の全体構成を表す概念図である。
【図7】本発明の第4の実施例による再処理方法を実施
するための再処理装置の全体構成を表す概念図である。
【図8】本発明の第5の実施例による再処理方法を実施
するための再処理装置の全体構成を表す概念図である。
【図9】本発明の第6の実施例による再処理方法を実施
するための再処理装置の全体構成を表す概念図である。
【符号の説明】
1 反応槽 2 密閉蓋 3 塩素ガス供給装置 4 供給ガス量制御装置 5 酸素供給装置 6 供給酸素積算計 7 酸素イオン濃度センサー 8 沈澱 9 駆動装置 10 貯槽 21 受け皿 22 溶融塩化物 211 チューブ 212 吸引装置 313 攪拌板 314 駆動装置 415 フィルター 416 駆動装置 517 フィルター 518 貯槽 619 フィルター 620 駆動装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深澤 哲生 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 鴨志田 守 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 河村 文雄 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用済燃料を溶融塩化物中に溶解させた
    後、前記溶融塩化物中に酸素及び酸素を放出する物質の
    うち少なくとも一方を供給し、前記使用済燃料中に含ま
    れていたウラン及びプルトニウムを不溶性の酸化物に転
    化させて析出させることにより、前記ウラン及びプルト
    ニウムを前記溶融塩化物から分離し回収することを特徴
    とする使用済燃料の再処理方法。
  2. 【請求項2】 使用済燃料を溶融塩化物中に溶解させた
    後、前記溶融塩化物中に酸素及び酸素を放出する物質の
    うち少なくとも一方を供給し、前記使用済燃料中に含ま
    れていたウラン、プルトニウム、ネプツニウム、及びア
    メリシウムを不溶性の酸化物に転化させて析出させるこ
    とにより、前記ウラン、プルトニウム、ネプツニウム、
    及びアメリシウムを前記溶融塩化物から分離し回収する
    ことを特徴とする使用済燃料の再処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の使用済燃料の再処
    理方法において、前記溶融塩化物への前記酸素及び酸素
    を放出する物質のうち少なくとも一方の供給量、及び前
    記溶融塩化物中の溶解酸素イオン濃度変化をモニターす
    ることによって、前記溶融塩化物中に析出した不溶性の
    酸化物の生成量を検出することを特徴とする使用済燃料
    の再処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の使用済燃料の再処
    理方法において、前記酸素を放出する物質は、2酸化炭
    素、NOxガス、水のうち少なくとも1つであることを
    特徴とする使用済燃料の再処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の使用済燃料の再処
    理方法において、前記溶融塩化物中に析出した不溶性の
    酸化物と前記溶融塩化物とを、デカンテーションによっ
    て分離することを特徴とする使用済燃料の再処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載の使用済燃料の再処
    理方法において、前記溶融塩化物を反応容器内から吸い
    上げることにより、該溶融塩化物中に析出した不溶性の
    酸化物と前記溶融塩化物とを分離することを特徴とする
    使用済燃料の再処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の使用済燃料の再処理方法
    において、前記溶融塩化物を攪拌しつつ、該溶融塩化物
    を反応容器内から吸い上げることを特徴とする使用済燃
    料の再処理方法。
  8. 【請求項8】 請求項1又は2記載の使用済燃料の再処
    理方法において、反応容器内底部にあらかじめ配置され
    たフィルターを引き上げることにより、前記溶融塩化物
    中に析出した不溶性の酸化物と前記溶融塩化物とを分離
    するとともに前記フィルター上に不溶性の酸化物を残存
    させて回収することを特徴とする使用済燃料の再処理方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1又は2記載の使用済燃料の再処
    理方法において、反応容器内底部に設置したフィルター
    を介し前記溶融塩化物を前記反応容器外に排出すること
    により、前記溶融塩化物中に析出した不溶性の酸化物と
    前記溶融塩化物とを分離するとともに前記フィルター上
    に不溶性の酸化物を残存させて回収することを特徴とす
    る使用済燃料の再処理方法。
  10. 【請求項10】 請求項1又は2記載の使用済燃料の再
    処理方法において、前記使用済燃料を溶解させた溶融塩
    化物中に前記酸素及び酸素を放出する物質のうち少なく
    とも一方を供給する前に、反応容器内にあらかじめ配置
    されたフィルターを引き上げることを特徴とする使用済
    燃料の再処理方法。
  11. 【請求項11】 請求項1又は2記載の使用済燃料の再
    処理方法において、前記溶融塩化物への前記酸素及び酸
    素を放出する物質のうち少なくとも一方の供給量、及び
    前記溶融塩化物上の気相の酸素分圧変化をモニターする
    ことによって、前記溶融塩化物中に析出した不溶性の酸
    化物の生成量を検出することを特徴とする使用済燃料の
    再処理方法。
  12. 【請求項12】 請求項1又は2記載の使用済燃料の再
    処理方法において、前記使用済燃料が溶解した溶融塩化
    物中に前記酸素及び酸素を放出する物質のうち少なくと
    も一方を供給した後、前記溶融塩化物を撹拌することを
    特徴とする使用済燃料の再処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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