JPH097969A - 微細孔への金属穴埋め方法 - Google Patents

微細孔への金属穴埋め方法

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JPH097969A
JPH097969A JP18307696A JP18307696A JPH097969A JP H097969 A JPH097969 A JP H097969A JP 18307696 A JP18307696 A JP 18307696A JP 18307696 A JP18307696 A JP 18307696A JP H097969 A JPH097969 A JP H097969A
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film
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plasma
hole
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JP18307696A
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Eisuke Nishitani
英輔 西谷
Susumu Tsujiku
進 都竹
Masakazu Ishino
正和 石野
Hide Kobayashi
秀 小林
Osamu Kasahara
修 笠原
Takeshi Tamaru
剛 田丸
Hiroki Nezu
広樹 根津
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】W選択CVDを代表とする選択CVDによる微
細孔穴埋め法において、微細孔下地を清浄化するための
処理を行っても選択性が低下しないようになす。 【解決手段】基板上の絶縁膜に基板下地の一部を露出さ
せるために設けた微細孔を金属で穴埋めする方法におい
て、微細孔底部下地表面を清浄化処理し、該清浄化処理
工程によって活性化した絶縁膜表層部を安定化処理し、
金属の選択CVDを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上の絶縁膜に
基板下地の一部を露出させるために設けた微細孔を、金
属の選択CVDにより穴埋めする方法に係り、特に十分
な選択性の確保と、良好な導通特性を両立して微細孔を
金属で穴埋めするのに好適な金属穴埋め方法に関する。
【0002】
【従来の技術】LSIの高集積化に伴い、素子−配線間
或いは各配線間を接続する配線設計の困難性が増大し、
その解決手段として多層配線が不可欠な技術となり、下
層配線と、絶縁膜を介して設けた上層配線とを接続する
ために、必要に応じて、絶縁膜に微細な導通孔(スルー
ホール)を設け、該スルーホールを導体で穴埋めする方
法がとられている。スルーホールを穴埋めする方法とし
てはいくつかの方法があるが、その中で、スルーホール
径が微細な場合にも穴埋め性の良好な方法として、金属
(特にタングステン)の選択CVDが、実用化が最も期
待されている方法である。
【0003】Wの選択CVDは、250℃以上に加熱し
た試料上に、フッ化タングステン(WF6)ガスおよび
水素(H2)ガスの混合ガスを導入、接触させて、下記
いずれかの反応により、下地金属(ここではAlの場合
の例を示す)上にタングステン(W)膜を成長させる方
法である。 WF6 + 2Al → W + 2AlF3 (1) WF6 + 3H2 → W + 6HF (2) SiO2等の絶縁膜上では、(1)の反応は起こらず、
また(2)の反応も700℃以下の温度では進行しない
ため、WがAl上のみ選択成長し、スルーホールの穴埋
めが達成されることになる。
【0004】Wの選択CVDに関するこれまでの文献と
しては、ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソサ
イアテイ第131巻(1984年)1427頁から14
33頁(J.Electrochem.Soc.13
1,1427(1984))やブイ・エル・エス・アイ
−マルチレベル・インターコネクション・コンファレン
ス予稿集,132頁から137頁(1987年6月)
(Proc. of VLSI Multilevel
Interconnection Conferen
ce(June 15−16,1987)P132−1
37)等が挙げられる。しかし、これらに述べられてい
る方法を用いても、Al配線上に存在する酸化膜や
(1)の反応で生成するAlF3といった絶縁物がスル
ーホール内でのWとAlの界面に残留し、スルーホール
部において良好な導通を得ることが困難であった。
【0005】これを解決する方法として、ブイ・エル・
エス・アイ−マルチレベル・インターコネクション・コ
ンファレンス予稿集,208頁から215頁(Pro
c.of VLSI Multilevel Inte
rconnection Conference(Ju
ne 15−16,1987)P208−215)に開
示されているように、基板温度を380℃以上に加熱し
て成膜する方法や、東芝レビュー第41巻12号988
頁から991頁に開示されているように、Al上に薄い
MoSi2膜を付け(厚さ約500Å)、AlとWの間
にMoSi2を入れることにより、Al表面酸化膜やA
lF3が界面に残らずWを成膜する方法がある。
【0006】また、最近、還元ガスとしてH2の代わり
にSiH4系ガスを用いる方法が報告されている。例え
ば、ECS日本支部第1回シンポジウム(1988)
「超LSI用CVD技術」予稿集第48頁から第65頁
に記載されている。この方法を用いれば、基板加熱温度
を250〜320℃という低温下で高速成膜することが
できる。なお、この方法の場合340℃以上では選択性
が失われ、選択的に穴埋めすることはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、選択CVDによってWを成長させよ
うとする下地金属表面の処理について十分な配慮がなさ
れていない。そのため、スルーホールにおける導通が不
十分となったり、スルーホール部における導通は良好で
あっても配線自体の抵抗が上昇する、或いはスルーホー
ル下地の表面を清浄化するための処理を行うことにより
酸化膜上にもWが形成され、隣接するスルーホール間の
短絡を生ずる等の問題点があった。
【0008】即ち、微細孔を形成した直後の下地金属表
面は、微細孔を設けるために施したホトエッチングプロ
セスに伴う汚れが付着していたり、ハロゲン系のガスを
エッチングガスとして用いているため防食処理として積
極的に酸化膜(例えば下地金属がAlの場合Al2
3等)を形成しているため、清浄な金属面を露出させて
おらず、Wを成長させた後も下地金属とWの界面に導通
を低下させる不純物が残留することになる。この界面に
残留する酸化物等は、Wを形成させる基板温度を380
℃以上にすることによりWF6のエッチング作用や加熱
時の膜中拡散等により低下し、良好な導通が得られる場
合もあるが、基板毎に微細孔の下地表面状態が異なると
必ずしも再現性良く良好な導通が得られる訳ではない。
また良好な導通が得られた場合でも、Arスパッタエッ
チング−Alのスパッタリング成膜の連続処理で形成し
たAl/Al界面における導通抵抗に対し約3〜10倍
と高くなる。このため、上述したW選択CVDによって
形成されるW/Al界面の導通に再現性が得られないこ
とや導通抵抗が高くなることに対し、Al上にMoSi
膜を付けた(厚さ約500Å)積層構造のAlを下層の
配線として用いる方法が提案された。即ち、微細孔底部
の露出部をAlよりも酸化し難いMoSi2膜にするこ
とにより界面の残留Oを低減させ、さらに前記(1)式
による蒸気圧の低い絶縁性のAlF3が界面で生成しな
いため、形成されたW/MoSi2/Al界面の導通抵
抗はAl同士の導通抵抗とほぼ同じと良好な値になる。
しかし、この方法で行うには、MoSi2とAlの重ね
膜の配線を形成するためのエッチングを必要とすること
や、抵抗値の高いMoSi2を用いることによる配線抵
抗の増大といった問題が伴う。この抵抗増大は、MoS
2の膜厚がAlの膜厚と比べ極めて薄いため、DRA
MやSRAM等のMOSLSIの場合には全く問題にな
らないが、高速性を売り物としているバイポーラやバイ
CMOS等のLSIにおいては少しの配線抵抗の増大で
あっても重要な問題となってくる。
【0009】一方、微細孔底部の下地にAlを用い、こ
の下地表面を清浄化(Al表面のAl23除去を含む)
してからWを穴埋めする方法もいくつか試みられてい
る。下地表面を清浄化する方法として、フッ酸(HF)
或いはフッ化アンモニウム(NH4F)等のフッ酸系溶
液によるウェットエッチング処理、またはAr+イオン
によるスパッタエッチング処理がある。しかし、前者の
場合、洗浄乾燥後にも微量に残留したフッ素により下地
Al配線の腐食を生ずるといった問題が起こる。また、
後者のスパッタエッチング処理は、下地表面を物理的に
除去するため、清浄な下地面を露出できる方法で、スパ
ッタAl膜の多層配線における下地前処理法として用い
られている。しかし、この方法の場合、以下に述べるよ
うにスパッタエッチングの際、絶縁膜も同時にスパッタ
エッチングされることが原因で、下地前処理後の選択C
VDにおいて選択性が低下することが明らかとなった。
絶縁膜がスパッタエッチングされると元素のスパッタ収
率の違いにより、絶縁膜の表層部の組成が変化する。例
えば、SiO2膜ではO原子の方がSiよりスパッタさ
れ易いため、表層部はSiリッチな組成となる。即ち、
活性なSi原子が絶縁膜表面に存在することになる。こ
の現象はX線電子分光法(XPSまたはESCA)によ
り調べられており、例えばジャーナル・オブ・バキュー
ム・サイエンス・テクノロジー、A3,5(1985
年)第1921頁から1928頁(J.Vac.Sc
i,Technol.A3(5)(1985)pp19
21−1928)やジャーナル・オブ・フィジックス
デイ−:アプライド フィジックス20(1987)第
1091頁から1094頁(J.Phys.D:App
l.Phys.20(1987)pp1091−109
4)において論じられている。
【0010】このような条件で前述したW選択CVDを
行うと、下記反応によりWの成長が進行すると推定され
る。 WF6 + 3/2Si → W + 3/2SiF4 (3) 従って、SiO2上でもWが成長し、選択性が低下する
ことになる。このことは、W以外の選択CVDでも同様
であり、選択CVDは基板下地の各表面部での化学的活
性の差を利用しているため、成長して欲しくない部分、
つまり絶縁膜表面がスパッタされ活性化すれば選択性は
低下することになる。絶縁膜上に金属が成長すると、隣
接するスルーホールとの短絡の可能性が出るとともに、
絶縁膜上に形成された金属膜は剥離し易いため、基板上
のゴミとなって残り、歩留り低下を引き起こす。
【0011】これまで、Al上の表面酸化膜が最も除去
困難な代表として一般的に知られていることから、Al
配線を下地とした微細導通孔(スルーホール)の場合を
例にとり説明した。ところで、ドープしたSiや各種バ
リアメタルやゲート配線上(WSi2,MoSi2,Ti
Si2,PtSi,TiW等)を下地とした微細導通孔
(コンタクトホール)の埋め込みにおいては、上記スル
ーホールとは違った問題点がある。即ち、コンタクトホ
ールの下地となり得る上記材質表面にはAlの表面酸化
膜ほど強固な酸化膜を形成しないため比較的容易にWを
形成するが、同一基板上に数種の異なる材質が微細孔底
部の下地として存在し、これらの下地材質の違いにより
Wの成長速度が変化してしまい、ある下地の微細孔では
W埋め込みが完了しているのに対し、他の微細孔ではW
の成長が開始したばかりという事態が生ずる。これは、
下地表面に存在する酸化膜等が下地材質の違いにより膜
厚、膜質等が異なっていると推定されるためである。
【0012】一般にWCVDでは原料ガスの導入ととも
にWの成長が開始する訳ではなく、表面酸化膜がエッチ
ングされるか或いは表面酸化膜がポーラスであるため膜
中をWF6が浸入し、下地材質表面と反応して徐々にW
の核を形成し、実質的にWの成長が開始するまでにはガ
ス導入後からのラグタイムが存在すると考えられてい
る。従って、下地の表面酸化膜の膜厚や膜質の異なる微
細孔が同一基板上に存在する場合には、結果的に同じW
の埋め込み膜厚を得ることは困難となる。そこで、均一
なW埋め込み膜厚を得るためには、これら下地の表面酸
化膜を取り除く必要がある。コンタクトホールの下地材
質として使用されるドープしたSiや各種シリサイド等
においては、下地表面の清浄化方法としてAlのように
腐食を生ずるといった問題がないことから、フッ酸(H
F)或いはフッ化アンモニウム(NH4F)等のフッ酸
系溶液によるウェットエッチング処理が行われ表面酸化
膜は取り除かれる。しかし、このウェットエッチング処
理が行われた基板であっても、乾燥中或いはCVD装置
に搬入するまでの間に表面酸化膜が形成され、Wの埋め
込み膜厚が不均一になるという問題は解決されない。こ
れに対して、スパッタエッチング処理とW成膜を連続し
て行えば、W成膜前のコンタクトホール底部下地表面に
酸化膜を形成することはないが、先にAl配線上スルー
ホールのところで述べたように、選択性が低下するとい
った問題が生じてしまう。
【0013】本発明の目的は、W選択CVDを代表とす
る選択CVDによる微細孔穴埋め法において、微細孔下
地を清浄化するための処理を行っても選択性が低下しな
い方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的は、Wの選択C
VDによるスルーホールやコンタクトホールの穴埋め法
において、 1−(1) 微細孔底部下地表面の清浄化処理(表面酸
化物層等の除去処理) 1−(2) 上記清浄化処理によって活性化した絶縁膜
表層部の安定化処理 1−(3) WF6ガスと還元ガス(H2,SiH4等の
シラン系ガスの単独或いは混合ガス)を用いたWの選択
CVDによる微細孔への金属穴埋め処理 の3つの処理を順次行う、或いは先の2つを同時に行い
その後に3つめの処理を行う、即ち 2−(1) 基板上の絶縁膜表面の活性化を伴わない微
細孔底部下地表面の清浄化処理(表面酸化物層等の除去
処理) 2−(2) WF6ガスと還元ガス(H2,SiH4等の
シラン系ガスの単独或いは混合ガス)を用いたWの選択
CVDによる微細孔への金属穴埋め処理 の2つの処理を順次行う、或いは、微細孔下地材質と清
浄化処理に用いるハロゲンガスの種類の組合せによって
は、清浄化処理によって発生した下地を腐食させる物質
が基板に残留することがあるため、 3−(1) 基板上の絶縁膜表面の活性化を伴わない微
細孔底部下地表面の清浄化処理(表面酸化物層等の除去
処理) 3−(2) 上記清浄化処理によって発生した微細孔底
部下地腐食成分の除去処理(腐食防止処理) 3−(3) WF6ガスと還元ガス(H2,SiH4等の
シラン系ガスの単独或いは混合ガス)を用いたWの選択
CVDによる微細孔への金属穴埋め処理 の3つの処理を順次行うことにより達成される。
【0015】上記の処理のうち1−(1)に関しては、
Ar等の不活性ガスによるスパッタエッチング処理を用
いることができる。また、1−(2)の安定化処理につ
いては、Cl2,BCl3,CCl4,C2Cl4,SiC
4,NF3,SF6,SiF4等のハロゲン系のケミカル
エッチング用ガスの単独或いはAr等の不活性ガスとの
混合ガスのプラズマ処理によりSiリッチになり活性化
した絶縁膜表面の改質を行うことができる。
【0016】また、1−(2)の安定化処理として、基
板をN2(純ガス或いは微量のO2を含むもの)雰囲気中
で加熱する処理も別の方法として用いることができる。
【0017】さらに、上記1−(1)と1−(2)とを
同時に行う2−(1)に関しては、上記1−(2)の安
定化処理に用いるCl2,BCl3,CCl4,C2
4,SiCl4,NF3,CF4,CHF3,SF6,Si
4等のハロゲン系のケミカルエッチング用ガスの単独
或いはAr等の不活性ガスとの混合ガスのプラズマ処理
により、絶縁膜表面の活性化を伴うことなく微細孔底部
の下地表面酸化膜の除去を行うことができる。この同時
に行う場合のエッチング量は、先の1−(2)の安定化
処理においては表面層の僅かな改質だけ行ったのに対
し、1−(1)のスパッタエッチング量に相当するエッ
チング量だけ必要となる。これが従来のようにArガス
のみのプラズマを用いてArイオンによるスパッタエッ
チングを行った場合には、先に述べたように元素のスパ
ッタ収率の違いにより、絶縁膜表層部がSiリッチとな
り活性化してしまうが、ハロゲンガスのプラズマでは、
例え部分的にSiリッチになっても、即座にハロゲンイ
オン或いはラジカルによりSiリッチな部分が除去さ
れ、最終的に絶縁膜表面が活性化することはない。むし
ろ、絶縁膜の成膜時に形成された欠陥等に由来するSi
リッチな活性部分が除去されることにより、W成膜時の
選択性が処理しない場合よりも向上する。但し、微細孔
底部の下地材質と清浄化処理に用いるハロゲンガスの種
類の組合せによっては、清浄化処理によって発生した下
地を腐食させる物質が基板に残留することがある。即
ち、微細孔底部の下地がAl配線である場合には、塩素
系のハロゲンガス用いると、W成膜後に基板を大気中に
取り出した際、大気中に含まれる水分と反応してAl配
線を腐食するようなAlCl3等の物質が残留すること
になる。従って、この場合には、清浄化処理後に防食処
理として、残留した塩素の除去処理が必要となる。ま
た、同じハロゲン系ガスであっても、Wを形成する前の
微細孔底部の露出表面に残留物を残さないように考慮す
ると、塩素系ではCl2或いはBCl3、フッ素系ではN
3を用いることが好ましい。
【0018】また、防食処理としての微細孔底部下地腐
食成分の除去処理は、基板に残留した腐食物質をプラズ
マのイオン或いはラジカルでたたき出す、或いは下地表
面に薄い保護膜を形成するためにO2プラズマ処理或い
はフッ素プラズマ処理を行う。もしくは、基板加熱を行
うことにより残留した腐食物質を揮発させる加熱処理を
行うことも防食処理として有効である。
【0019】更に、1−(3),2−(2),3−
(3)のW選択CVD処理については、選択CVD用と
してセットアップされたCVD反応容器内でWF6とH2
或いはSiH4等の還元ガスの混合ガスを加熱した基板
上に流す1段CVD法を用いること、或いは、WF6
独もしくはAr等の不活性ガスで希釈したガスを流した
後、WF6と上記還元ガスを加熱した基板上に流す2段
CVD法を用いること、またはWF6とH2を流した後W
6と他の還元ガスを流す2段以上のCVD法等を用い
ることによって達成される。還元ガスとしてはH2,S
iH4,Si26,BH3,PH3等を単独或いは組み合
わせて用いることができる。
【0020】本発明で用いるケミカルエッチングガスの
プラズマ処理装置では、通常行われているように高周波
(好ましくは10kHz以上)でプラズマを発生させ
る。但し、プラズマを発生させた際、処理チャンバ壁等
をスパッタし、ウエハ上に金属汚染物が付着するとその
後のW−CVDにおいて、そこを核にWが成長するた
め、選択性の低下を招くことがある。従って、プラズマ
処理装置としては、高周波をブロッキングキャパシタを
介して電極に印加するとき、基板が負に帯電するいわゆ
るカソードカップリング方式とし、かつ、基板表面に近
接し、金属汚染源となる部分は石英板でおおうような構
造とすることが本発明の効果を発揮させる上で重要であ
る。
【0021】上記した微細孔底部下地の清浄化処理は、
下地表面に存在する酸化膜やエッチングプロセス、レジ
スト除去プロセス等の微細孔形成のための前駆プロセス
において残存した有機物残渣をスパッタエッチングとい
う物理的処理によって取り除き、下地を清浄化して微細
孔底部におけるコンタクト抵抗を下げる作用を有する。
また、絶縁膜層の安定化処理は、上記処理によって生じ
た絶縁膜表層部のSi遊離基準等の活性化した部分を、
ハロゲン系ガスのプラズマ処理によって優先的に取り除
くことにより、後続の選択CVDにおいて絶縁膜上にW
が形成することを防ぐ作用を有する。
【0022】上記、清浄化作用及び絶縁膜表面の安定化
作用を以下の実験データにより確認した。表1に示した
サンプルを作成し、X線光電子分光(ESCAまたはX
PS)装置によりArスパッタエッチングによるSiO
2表面活性化及びCl2プラズマによる表面安定化作用を
調べた。先ず、表面におけるSiとOの含有比(O/S
i)を求めた。これを表2示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】なお、これらの値は全て2.0以上(即ち
SiO2よりも表面がOリッチ)となっているが、これ
は、分析前にサンプルを大気にさらしたために吸着した
2を含んでいるためである。表2からわかるように、
ArスパッタにおいてはOの方がSiよりもスパッタ効
率が高く、Arスパッタエッチング処理サンプル(#
2)は結果的に表面が無処理サンプル(#1)に比べS
iリッチになっている。これに対し、Cl2プラズマ処
理ではCl+(あるいはCl原子等のラジカル)が先ず
Siをアタックすると推定され、Cl2プラズマ処理サ
ンプル(#3)では結果的に表面が無処理サンプル以上
にOリッチになっている。さらにより詳しく検証するた
め、SiO2表面におけるX線入射角が30°及び90
°のときのSi2pピークのスペクトルを求めた。これ
を図13から図15に示す。X線の入射角が浅いほど、
より表面層に近い情報を示しており、また、安定なSi
−O結合が切断され未結合SiやSi−Si結合が生ず
ると低エネルギー側にケミカルシフトする。無処理のS
iO2表面では30°と90°においてピークが全く一
致しているのに対し、Arスパッタではより表層部であ
る30°のピークにおいて低エネルギー側にシフトしブ
ロードになっている。一方、Cl2プラズマ処理を追加
したものでは無処理と同様に殆んど変化がないことか
ら、Arスパッタによって生じた未結合SiやSi−S
i結合を取り除いたと推定される。より表層部である3
0°のピークを上記のサンプルで比較したものを図16
に示す。これよりCl2プラズマ処理により安定化処理
作用が働いていることが分かる。詳細に見るとCl2
ラズマでのピークは無処理のものよりも若干シフトして
いるが、これはO/Si含有比のデータを考慮すると、
逆に未結合O或いはO−O結合が生じているためにケミ
カルシフトしたと予測される。
【0026】更に、本発明における前処理がAl表面に
与える影響を調べるため、ESCAによるW/Al界面
における深さ方向プロファイルも求めた。表1に示した
サンプルに対し得た深さ方向プロファイル図17、図1
8に示す。界面のハロゲン(F及びCl)を感度良く調
べるため、Wの成膜温度を実際のプロセスで行う温度
(450℃)よりも低く(370℃)して成膜したが、
Cl2プラズマ処理を行ってもW/Al界面に残留する
Clは検出感度以下であった。
【0027】また、W/Al界面に残留するOはArス
パッタエッチングにより低減していることが確認され
た。以上Cl2プラズマによってSiO2表面の安定化作
用を示したが、NF3プラズマを用いても全く同様にS
iO2表面の安定化効果が得られた。また、N2雰囲気中
での基板加熱においてもSiO2表面の安定化作用がE
SCAで確認されたが、N2により未結合Si或いはS
i−Si結合を取り除くことは考え難く、Si−N結合
が検出されなかったことから、N2中に含まれる極微量
のO2がSi或いはSi−Si結合を酸化した、もしく
はSi−N結合に変化しても検出感度以下であったため
かと予想される。用いたN2ガスは5N以上のものを使
用したが、配管からのリークがあった可能性もあるた
め、いずれかは判断できない。
【0028】以上、清浄化処理と安定化処理を順次行う
方法における作用効果を述べたが、ハロゲン系ガスプラ
ズマ単独でも物理的なスパッタエッチング効果も有する
ため、安定化処理と清浄化処理を同時に行うことも可能
である。この際、Ar等の不活性ガスを混合させること
により物理的なエッチングの効果(清浄化作用)を高め
ることができる。大過剰の不活性ガスに対し微量のハロ
ゲン系ガスの混合ガスのプラズマであっても、プラズマ
中のガスやイオンとの衝突等によりエネルギー移動が行
われ、化学的なエッチング作用は失われず、物理的な清
浄化作用と絶縁膜の安定化作用は同時に進行する。さら
に、上記清浄化作用を以下の実験データにより確認し
た。Siウエハに電子ビーム蒸着法によりAl23(ア
ルミナ)膜を形成したサンプルを用い、Al23の初期
膜厚及び各種ガスのプラズマ処理を行った後の膜厚をエ
リプソメータにより測定し、各種ガスプラズマにおける
エッチングレートを調べた。実験データを図12に示
す。
【0029】Arガス単独のプラズマであるArスパッ
タエッチングと、これに少量のNF3ガス或いはCl2
BCl3ガスを添加した混合プラズマと比較すると、同
一圧力下でも添加した場合の方がArガス単独よりもエ
ッチングレートが大きくなる。これは、物理的な効果に
加えて化学的な効果が作用しているためと考えられる。
特に、NF3を添加したAr/NF3混合プラズマ及びB
Cl3を添加したAr/BCl3混合プラズマでは、Ar
スパッタエッチングの約6倍とエッチングレートが大き
くなり、化学的な効果(ケミカルエッチング)が支配的
に作用していることがわかる。
【0030】また、微細孔底部下地材質がAl配線(微
量のSiやCu等を含む場合もある)であり、清浄化処
理に塩素系のハロゲンガスを用いると、W成膜後に基板
を大気中に取り出した際、大気中に含まれる水分と反応
してAl配線を腐食するようなAlCl3等の物質が残
留することになるが、微細孔底部下地腐食成分の除去処
理(腐食防止処理)は、上記腐食物質を基板を大気中に
取り出す前に取り除き、基板を大気中に取り出しても腐
食が起こらないようにする作用を有する。微細孔底部下
地の腐食は、断線等を引き越こし、製品の信頼性を著し
く低下させることになるため、腐食を防止することは極
めて重要となる。
【0031】これらの前処理を行った後、WF6とH2
いはSiH4等の還元ガスを用いた選択CVDを行うこ
とにより絶縁膜上には全くWを形成することなく、微細
孔底部下地上のみに下地との反応或いは還元ガスとの反
応によりWが成長する。即ち、選択CVDプロセスは微
細孔のみをWを埋め込み平坦化する作用を有する。な
お、本発明で用いる微細孔下地とは、Al或いはAlを
主成分とする配線層、ノンドープ及びドーピングされた
Si層、MoSi2,WSi2,TiSi2,PtSi或
いはTiW等バリア層で、WF6が直接反応する或いは
その下地上で還元ガスが吸着解離してWF6を還元させ
るような下地全てを指している。また、絶縁膜とは、熱
酸化膜、熱窒化膜、PSG、BPSG、プラズマ酸化
膜、プラズマ窒化膜等の無機絶縁膜、或いはSOG、P
IQ等の有機絶縁膜等LSIに使用される全ての絶縁膜
を指している。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について、
5つの場合に分け図面を用いて説明する。先ず、本発明
のスルーホールへのW選択埋め込み方法のうち、前処理
としてArスパッタエッチングを行った後、ハロゲン系
ガスのプラズマによる絶縁膜表面の安定化処理を行った
ものを(実施例1−1〜1−6)に示す。次に、スパッ
タエッチング後の絶縁膜表面の安定化処理を大気圧N2
(純ガス或いは微量のO2を含むもの)中での熱処理に
よって行ったものを(実施例2)に示す。次に、前処理
としてArとハロゲン系ガスの混合ガスのプラズマエッ
チング処理を行ったうち、フッ素系のハロゲンガスを用
いたものを(実施例3)に、塩素系のハロゲンガスを用
い防食処理を行ったものを(実施例4−1,4−2)に
示す。最後に、コンタクトホールへのW選択埋め込み方
法として、前処理にArとハロゲン系ガスの混合ガスの
プラズマエッチング処理を行ったものを(実施例5)に
示す。
【0033】(実施例1−1)図1は、本発明における
スルーホールへのW埋め込み方法のうち前処理としてA
rスパッタエッチングを行った後、Cl2のプラズマに
よる絶縁膜表面の安定化処理を行ったもののプロセスフ
ローを示すものである。図8は、本発明に用いた穴埋め
の選択CVD装置を示している。図8を参照しながら図
1により実施例を説明する。
【0034】図8のロードロック室1に基板9を設置し
た後、ロードロック室1を真空排気する。10~5Tor
r程度まで真空排気した後、同室内にあるランプヒータ
(図示せず)で基板9を200℃程度に加熱し、基板9
に付着した水分を焼き出す。加熱中に基板9からの水分
焼き出しによるロードロック室1内の圧力上昇が停止
(約2分経過後)するのを確認した後、加熱を停止し、
ゲートバルブ4,5を開放し基板9をスパッタエッチ室
3に基板搬送機構(図示せず)により搬送し設置する。
このスパッタエッチ室3は予め10~7Torr程度まで
クライオポンプ(図示せず)により真空排気しておく。
また、スパッタエッチング時の酸化を生じさせないよう
スパッタエッチ室3のリークレートは10~5Torr.
l/sec以下に抑えておく必要があるが、この値は少
なければ少ない程好ましい。このスパッタエッチ室3は
基板9だけを清浄化し、スパッタエッチ室3内壁や電極
8からの金属汚染等が基板9に付着せぬよう、基板側電
極8はカソードカップリングとし、放電中は基板側に負
電位のバイアスが印加され放電中のイオンがスパッタエ
ッチ室3内壁を極力スパッタせずカソード電極8側にあ
る基板9だけをスパッタするように構成されている。ま
たこのカソード電極8には、基板9外周の電極8露出部
からの金属汚染を極力抑えるため石英カバー(図示せ
ず)を設けている。基板9のスパッタエッチ室3への搬
入に伴うゲートバルブ5の開放によりスパッタエッチ室
3内の圧力は若干上昇するが、基板9設置後にゲートバ
ルブ5を閉じると瞬時に元の圧力まで回復する。これを
確認した後、Arガスをスパッタエッチ室3に導入す
る。次いで、高周波電源13によりスパッタエッチ室3
内のカソード電極8に高周波電力を印加し、放電させA
rプラズマを発生させる。所定時間の間放電させた後、
一旦高周波の印加を停止した後Cl2ガスを導入し、再
び放電させCl2プラズマを発生させる。所定時間の間
放電させた後、Arガス、Cl2ガスの導入及び高周波
の印加を停止し、放電を停止する。スパッタエッチ室3
内の圧力が再び10~7Torr程度に回復したことを確
認後、ゲートバルブ5を開け、基板9を予め10~5To
rr以下に真空排気してある成膜室2に基板搬送機構
(図示せず)により搬送する。基板9を成膜室2に搬
送,設置した後、ゲートバルブ5を閉じ、Arを基板9
裏面側に導入し、成膜室2内の圧力が徐々に上昇し始め
るのと同時にゲートバルブ4を閉じ、H2ガスを成膜室
2に導入する。成膜室2において、基板9は基板加熱用
ハロゲンランプ6により石英窓14を通して赤外線を受
け所定温度まで加熱される。基板加熱用ハロゲンランプ
6のパワーは、石英窓14と基板9裏面の間に設置され
た熱電対7及びフッ化カルシウム(CaF2)窓15を
通して基板9表面から放射される赤外線をモニタして基
板9の温度を測定できるように設置された赤外放射温度
計10によってコントロールしている。また、成膜室2
内壁は水冷し、基板9面を除く成膜室2内壁の温度は基
板9加熱時にも実質的に成膜反応が進行しない十分な温
度まで(約120℃以下に)下げてある。基板9が所定
温度まで加熱された後、H2を加えWF6を導入し、Wを
選択成長させる。所定膜厚まで成長させた後、H2,W
6の導入を停止するとともに、基板加熱用ハロゲンラ
ンプ6を消灯させ真空排気する。ゲートバルブ4を開け
基板9をロードロック室1に搬送する。ゲートバルブ4
を閉じ、N2を導入リークさせ同時に基板9を冷却さ
せ、ロードロック室1内圧力が大気に到達した後基板9
を取り出し、Wの穴埋め処理を終了する。
【0035】上記プロセスにおける処理条件の1例を、
他の実施例とともに表3の(実施例1−1)の欄に示
す。
【0036】
【表3】
【0037】なお、基板としては、下地Al配線22上
にプラズマCVD等により、Si基板21上にSiO2
膜23を形成した後、ホトエッチングにより1μm角の
微細孔(深さ1.2μm)を多数個開口させたテスト用
基板を用いた。図9(a)に図1の処理をする前の基板
の微細孔(スルーホール部)の拡大断面図を示す。図9
(a)において、21はSi基板、22は下地Al配
線、23はプラズマSiO2膜、24は開口部のAl配
線上の表面酸化膜である。図9(b)にArスパッタエ
ッチング処理を行った後のスルーホール断面図を示す。
図9(b)においては、図9(a)に見られるAl表面
酸化膜24は取り除かれ、スルーホール側壁にArによ
ってホール底部からのリスパッタして付着した薄いAl
膜25が見られる。また、前述したように、SiO2
面にはArスパッタにより活性化したSi遊離基或いは
Si−Si結合を含むSiリッチな表層部26が存在す
る。
【0038】図9(c)にCl2プラズマ処理を行った
後のスルーホール断面図を示す。図9(c)において
は、図9(b)に見られるSiO2表面の活性層26は
取り除かれている。図9(d)にW埋め込み後のスルー
ホール断面図を示す。図9(d)においては、Al配線
22上に直接W膜27が成長し、スルーホールが埋め込
まれている。この時、W膜はホール底部と側壁部と同時
にAlを核に成長するため、01μm口径のスルーホー
ルに対し、約0.5μmのW成長膜厚で埋め込みが完了
している。
【0039】次に、本発明におけるW膜による穴埋めを
実施した基板について、選択性及び微細孔導通部のコン
タクト抵抗について評価した。これらの結果は、後述す
る他の実施例及び比較例の結果と合わせ表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】選択性については、1μmW埋め込み後の
基板9を光学顕微鏡の倍率を2000倍にして暗視野に
おいて観察し、ある領域における絶縁膜(SiO2)上
に形成されたW粒の個数をカウントして単位面積当り
(ここでは1cm2)の個数として換算した。用いたテス
ト用基板には約200万個/cm2の密度でスルーホール
が開いており、大体の目安として例えばSiO2上のW
粒が100個/cm2の場合には、平均的にはスルーホー
ルが2万個存在する領域のSiO2上に1個存在してい
るという具合である。選択性の良否を上記の観点から、
二重丸(50個/cm2)〜××(全面成膜)に分類した
が、この実施例においては極めて良好であった。また、
導通評価については、上記テスト用基板がW穴埋め後に
上層Al配線を形成すると、4000〜20万個連続ス
ルーホールチェーンの直列抵抗が測定されるようになっ
ており、Al配線抵抗分をスルーホールの数で割ったも
のをW/Al界面部におけるコンタクト抵抗とした。本
実施例においては、0.10〜0.15Ω/μm□とA
l/Al界面部のコンタクト抵抗の約2〜3倍と極めて
良好な値を示した。この値は、475℃,90分の熱処
理後においても殆ど変動がなかった。
【0042】(実施例1−2)(実施例1−1)と同一
の装置、基板を用い、スパッタエッチ、Cl2プラズマ
連続処理を行った後、一旦大気中に基板を取り出し、再
びWの成膜処理以降を(実施例1−1)と同じ条件で行
った(表3の実施例1−2参照)。本実施例は、高真空
中(10~5Torr以下)での搬送による連続処理を行
った場合と行わない場合を比較するために行った。表4
の実施例1−2に示したように選択性に関しては、(実
施例1−1)と全く同程度で極めて良好であったが、導
通評価において、W/Al界面部のコンタクト抵抗が
(実施例1−1)と比較して約3倍程度高くなった。ま
た、1μmの埋め込みに要する成膜時間が(実施例1−
1)に比べてやや長く必要とした。これは、一旦大気中
に基板を出したときに、スルーホール底部に露出したA
l表面に自然酸化膜が形成されたためと推定される。即
ち、界面抵抗が増大するのは界面残留Oの増加によるも
のであり、成膜時間を長く必要とするのは、W成膜初期
での核形成時間が長いためと考えられる。この結果によ
り導通特性の観点からは実施例1−1のような連続処理
の方が好ましいが、MOS系のLSIのように、導通抵
抗の要求仕様がバイポーラLSIほど厳しくないものに
ついては、本実施例のように、前処理と選択CVDを不
連続に行っても本発明の前処理方法が選択性向上につい
て十分効果があることはいうまでもない。
【0043】次に(実施例1−1)及び(実施例1−
2)の効果をより詳細に確認するため、以下に3つの比
較例を示す。
【0044】(比較例1−1)(実施例1−1)と同一
の装置、基板を用い、ロードロック室1で真空排気、加
熱した後、直接成膜室2に搬送し、無処理のままWの成
膜処理以降を(実施例1−1)と同じ条件で行った(表
3参照)。これは、Arスパッタ前処理の効果を確認す
るために行った。選択性に関しては、(実施例1−1)
よりも若干低下し、コンタクト抵抗に関しては(実施例
1−1)に比較して約2桁以上高い値となった。また、
1μmの埋め込みに要する成膜時間も2倍以上長くかか
った(表4参照)。本比較例の方が(実施例1−1)よ
り選択性が若干悪い理由として、スルーホール形成(ホ
トエッチング、レジスト除去工程等)時に絶縁膜上を金
属汚染したものが僅かながら残留していること、或い
は、絶縁膜(プラズマSiO2)成膜時に既にSi遊離
基或いはSi−Si結合をSiO2表面に僅かながら形
成していることが考えられる。いずれにしても、用いた
テスト用基板表面に元々そのような活性部分が存在して
いる場合でも、この活性部分に対しても上記Cl2プラ
ズマによる安定化処理の効果があることが確認された。
コンタクト抵抗及び成膜時間については先にも述べたよ
うに、Al表面に存在する表面酸化膜に起因するものと
考えられる。但し、先に述べた公知例では、W成膜温度
を380℃以上にすると良好な導通(0.3〜0.7Ω
/μm□)が得られているのに対し、本比較例では45
0℃でWを成膜しているにもかかわらず極めて高いコン
タクト抵抗値を示したのは、本比較例(本実施例も同
じ)で用いたテスト用基板がAl配線の腐食を抑えるた
めにスルーホール形成のエッチング工程の最後にO2
ラズマによるAl表面酸化膜形成工程が入っているため
であると考えられる。即ち、先の(実施例1−2)で示
したように、単なる大気中で形成されるAl表面自然酸
化膜の場合には比較的良好な導通が得られるのに対し、
2プラズマによって形成されるAl表面酸化膜は膜厚
も膜質も自然酸化膜と比較して強固に除去され難いもの
であると考えられる。
【0045】(比較例1−2)(実施例1−1)と同一
の装置、基板を用い、Cl2プラズマによる安定化処理
だけ行わずに他は(実施例1−1)と同じ条件で行った
(表3参照)。この比較例のプロセスフロー図を図7に
示す。これは、先の本発明の効果の部分でも述べたが、
Arスパッタエッチ処理によって活性化したSiO2
面にW成膜を行った場合にどのような結果が得られるか
を確認するために行ったものである。予想通り、著しく
選択性が悪く成膜時間1分経過時で既に全面成膜となっ
てしまい、導通評価も行うことができなかった(表4参
照)。
【0046】(比較例1−3)(実施例1−1)と同一
の装置、基板を用い、上記(比較例1−2)に対してス
パッタエッチ処理後、一旦大気中に基板を取り出し、再
びWの成膜処理以降を(比較例1−2)と同じ条件で行
った(表3参照)。これは、大気中のO2による酸化だ
けでもSiO2表面の安定化作用が働くことが予想され
たためである。こ選択性及び導通評価結果を表4に示
す。選択性は(比較例1−2)に比べるとかなり良くは
なって全面成膜は起こらないが、実用的なレベルでの選
択性は得られない。また、コンタクト抵抗も一旦大気に
さらしてAl表面に自然酸化膜を形成した分だけ(実施
例1−2)とほぼ同程度に(実施例1−1)よりも高く
なっている。
【0047】次に、更にCl2プラズマ処理の条件を詰
めるために、以下にCl2プラズマ条件の異なる実施例
(実施例1−3〜1−6)を示す。
【0048】(実施例1−3〜1−4)(実施例1−3
〜1−4)では表5に示すように夫々(実施例1−1)
のスパッタエッチ室3内背圧を1桁と2桁低下させて行
った。これは、人為的に大気をチャンバ内へリークさせ
て背圧を調整したが、大気中の水分(H2O),酸素
(O2)等がCl2プラズマに混入することによる影響を
確認するために行った。Cl2プラズマ条件及び選択
性、導通評価、光学顕微鏡による外観評価等を表6に示
す。これらの結果から選択性に対しては全く影響は与え
ないものの、背圧を低下させるに従い、配線の一部に変
色部が発生しコンタクト抵抗も上昇するという結果が得
られた。
【0049】
【表5】
【0050】この理由を探るため、Alベタ膜に(実施
例1−4)と同一条件でCl2プラズマ処理を行った後
Wを200Å成膜したサンプル表面をSEMで観察する
とともにW/Al界面部の元素分析をESCAの深さ方
向プロファイルで調べた。
【0051】その結果、Al表面に著しい凹凸(表面荒
れ)が生じ、また、図19に示すようにW/Al界面に
Clは検出されなかったものの多量のFが残留している
のが観測された。即ち、大気中のH2OやO2等のリーク
によりCl2プラズマに何らかの影響を与え、Al表面
に著しい荒れを生じさせ、W成膜中にW/Al界面から
Fを抜け難くさせて、W/Al界面部のコンタクト抵抗
を上昇させたものと考えられる。上記の結果から、Cl
2プラズマ処理は十分な背圧下(10~6Torr以下)
で行うことが好ましいことが示される。
【0052】(実施例1−5〜1−6)(実施例1−
5)では表5に示すように(実施例1−1)のCl2
ラズマ条件において、RFの投入パワーを1桁上げ、エ
ッチング量もそれに伴い20倍以上増やし、また逆に、
(実施例1−6)では、RFの投入パワーを2/5に下
げ、エッチング量も1Å以下とした。これらの実施例に
おける評価結果等を表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】上記、いずれの場合においても選択性に関
しては極めて良好な結果が得られた。驚くべきことに、
Cl2プラズマによる安定化処理では、SiO2表面エッ
チング量にして1Å以下であっても十分な安定化効果が
得られたことである。一方、導通評価及びSEMによる
断面観察評価において、(実施例1−5)のサンプルに
おいて、下地Al配線に膜ベリが観測され、コンタクト
抵抗も(実施例1−1)に対し2〜20倍と増加した。
これは、Cl2プラズマによるSiO2のエッチング量が
70Åであっても、Alに対してはそれよりもかなり速
くなっていること、また、SEMでは確認できなかった
が、高いRFパワーのCl2プラズマによリ少なからず
Al表面にダメージ(表面荒れ等)があったものと推定
される。一方、RFパワーを(実施例1−1)よりも下
げた(実施例1−6)ではコンタクト抵抗は(実施例1
−1)と同様非常に良好であった。
【0055】(実施例2)図2は、本発明におけるスル
ーホールへのW埋め込み方法のうち、絶縁膜表面の安定
化処理を大気圧のN2雰囲気中で基板加熱処理によって
行ったもののプロセスフローを示す。(実施例1−1)
と同一の装置、基板を用いて行ったが、(実施例1−
1)と異なる点はスパッタエッチ室3においてArスパ
ッタエッチング処理を行った後、成膜室2に搬送し成膜
室2において、大気圧のN2雰囲気中で基板加熱処理を
行うことにより絶縁膜表面の安定化処理を行うことであ
る。(実施例2)で行った処理条件及び評価結果を表
3,4に示す。また(実施例2)におけるスルーホール
断面での埋め込み経過を示す拡大図は、(実施例1−
1)における図9と全く同様である。
【0056】表4から分かるように、無処理の場合と同
等の選択性を確保して、かつ良好な導通特性(コンタク
ト抵抗)を示しており、本実施例においても、ホール内
表面の清浄化及び絶縁膜表面の安定化効果が発現してい
ることが明らかである。なお、本実施例では、300
℃、2minのN2処理を行ったが200℃以上の温度
で選択性向上効果が見られた。また、Arスパッタエッ
チング処理による絶縁膜表面の変質の程度が大きい場合
には、必要に応じ、処理温度を高くするか、或いは処理
時間を長くして処理することにより十分な効果を得るこ
とができる。
【0057】(実施例3)図3は、本発明におけるスル
ーホールへのW埋め込み方法のうち、前処理としてNF
3をArに添加してプラズマエッチングすることによ
り、絶縁膜表面の活性化を伴わずにスルーホール底部の
Al配線上の酸化膜や汚れを除去する清浄化処理を行っ
たもののプロセスフローを示すものである。(実施例1
−1)と同一の装置、基板を用いて行ったが、(実施例
1−1)と異なる点は、スパッタエッチ室3においてA
rとNF3を同時に導入し、1回のプラズマ処理で前処
理を行うことである(表3参照)。(実施例3)で行っ
た処理条件及び評価結果を表4に示す。また(実施例
3)におけるスルーホール断面での埋め込み経過は(実
施例1−1)で示した図9とほぼ同様となった。ここで
(実施例1−1)と異なる点は、先に述べたように、図
12に示されるAl酸化膜(Al23)のエッチングレ
ートがArガス単独とNF3を添加したもので大きく違
い、単なる物理的なスパッタではなく、化学的なエッチ
ング作用を用いていることである。このメカニズムは、
NF3のプラズマ中に発生したラジカルがAl23を直
接エッチングしている可能性もあるが、むしろ、Al2
3が一旦AlF3に変化し(フッ素置換反応)、AlF
3の方がAl23よりもスパッタされ易いため、結果的
にNF3を添加することにより、エッチングレートが増
大するとした方が自然である。但し、オーバーエッチン
グ時にスルーホール底部に露出するAlに対しては、C
lのようなエッチング作用がないため、図6(b)にお
いて示した側壁へのAl付着が生じ、Wによる埋め込み
時には(実施例1−1)と同様に図6(d)のような埋
め込み形状となる。選択性、コンタクト抵抗のいずれに
おいても本実施例における結果は、(実施例1−1)の
結果と同等で極めて良好である(表4の実施例3参
照)。本実施例に示したように、Arに添加するハロゲ
ンガスとしてフッ素系ガスを用いた場合には、次の(実
施例4)で示す塩素系ガスにおけるAlの腐食は全く起
こらない。
【0058】(実施例4−1)(実施例1−1)と同一
の装置、基板を用い、Ar/Cl2混合プラズマ、O2
ラズマの連続処理を行った後、Wの成膜処理以降を(実
施例1−1)と同じ条件で行った(表1の実施例4−1
参照)。本実施例はプラズマエッチングガスとしてフッ
素系ガス(NF3)の代わりに塩素系ガス(Cl2)を用
いた場合の一例として行った。図4に(実施例4−1)
を行ったプロセスフローを示す。また、(実施例4−
1)におけるスルーホール断面での埋め込み経過を表す
拡大図を図10に示す。ここで(実施例1−1)と異な
る点は、Al表面清浄化処理において単なる物理的なス
パッタではなく、化学的なエッチング作用を用いている
ため、図10(b)では図9(b)において見られた側
壁にリスパッタしたAl膜は観察されず、結果的にWの
埋め込み形状も図10(c)に示されるようにスルーホ
ール底部からのみWが成長した形状となる。この方法を
用いた場合、Wを穴埋めした後の平坦性は向上するが、
埋め込むべきスルーホールの深さだけWの成長膜厚を必
要とするため、(実施例1−1)に比較して穴埋めに要
する時間が長くなる。また、本実施例で塩素系ガス(C
2)を用いた場合には、(実施例3)でフッ素系ガス
(NF3)を用いた場合と違って、清浄化処理を行った
ときにAlCl3等のW選択CVDを行い基板を大気中
に取り出した際にAl配線を腐食させる物質が基板に残
留してしまう。従ってW選択CVDを行う前にAlCl
3等の腐食性物質を除去し、腐食防止処理を行う必要が
ある。(実施例4−1)ではAr/Cl2導入停止真空
排気後に、O2を導入し、O2プラズマ放電を起こし、基
板をO2プラズマにさらすことにより腐食防止処理を行
った。表2の実施例2に示したように選択性に関して
は、(実施例1)と全く同程度で極めて良好であった
が、導通評価において、W/Al界面部のコンタクト抵
抗が(実施例1)と比較して約2倍程度高くなった。ま
た、1μmの埋め込みに要する成膜時間が(実施例1)
に比べてやや長く必要とした。これは、O2プラズマ処
理を行ったときに、スルーホール底部に露出したAl表
面に酸化膜が形成されたためと推定される。即ち、界面
抵抗が増大するのは界面残留Oの増加によるものであ
り、成膜時間を長く必要とするのは、W成膜初期での核
形成時間が長いためと考えられる。しかし、一旦Al表
面に薄い酸化膜が形成されても導通評価結果からも推察
できるように、W成膜時の初期に以下の反応式により殆
どW/Al界面にOを残留させることはないと考えられ
る。 Al23 + 3WF6 → 3WOF4↑ + 2AlF3 (4) 上記反応式のAlF3については、フッ素系ガスのプラ
ズマを用いたときにもAl表面に形成される物質であ
り、導通評価結果から見ても特に問題になるとは考えら
れない。或いは、W成膜時の初期に還元ガスによりFを
引き抜きAl/W界面部に残留するFを減少させている
可能性もある。
【0059】(実施例4−2)(実施例4−1)とほぼ
同様のプロセスであるが、腐食防止処理として、O2
ラズマ処理の代わりに基板をCVDリアクタに搬送した
後加熱処理を行った(表1の実施例4−2参照)。本実
施例は、(実施例2)と同様にプラズマエッチングガス
として塩素系ガス(Cl2)を用いたが、腐食防止処理
として異なる方法を用いた一例として行った。図5は
(実施例4−2)を行ったプロセスフローを示す。
【0060】(実施例4−2)では、Ar/Cl2混合
プラズマを行った後、(実施例3)と同様にして基板を
成膜室2に搬送した後、H2ガス中で450℃の加熱処
理を3分間行った。この加熱処理によって、腐食性物質
(AlCl3)を揮発させることにより、W成膜後に基
板を大気中に取り出しても腐食が起こることがなくな
る。表2の(実施例4−2)に示したように、選択性に
関しては(実施例1−1)と全く同程度に極めて良好で
あった。また導通評価ではほぼ(実施例4−1)と同様
の結果が得られた。これは、加熱処理中にAl表面配管
リーク或いは成膜室中の残留酸素によって酸化したため
と考えられる。
【0061】図9に示したような(実施例1−1)〜
(実施例3)によるスルーホール側壁からのW成長のあ
るW埋め込み形状にするか、図10に示すような本実施
例(4−1及び4−2)におけるスルーホール底部のみ
からのW成長によるW埋め込み形状にするか、いずれか
を選択するかは、埋め込むべきスルーホールのアスペク
ト比(ホール深さ/ホール径)の種類や、同一基板上に
どの程度深さの異なるホールが存在するかどうかによる
と考えられる。即ち、アスペクト比の小さなスルーホー
ルを(実施例1−1)の方法で埋め込んだ場合、他のア
スペクト比の大きな同じ深さのホールを既に埋め込んだ
後でも十分に埋め込んでいないという事態が生ずる。一
方、著しく深さの異なるスルーホールが同一基板上に存
在し、これらを(実施例4−1及び4−2)の方法で埋
め込んだ場合、浅いホールは既に埋め込んだ後でも深い
ホールは十分に埋め込んでいないという事態も生じてし
まう。従って、スルーホールの種類によってこれらの方
法を使い分ければ良い。
【0062】また、スループットを向上させるためにW
成膜の初期には、W/Al界面部のコンタクト抵抗の低
い380℃以上でのH2還元を行い、薄いW膜がスルー
ホール底部全面に形成された後、導入ガスを代え基板温
度を下げて(250〜320℃)、成膜速度の速いSi
4系の還元ガスによるW成膜処理を行うことも可能で
ある。或いは、MOS系のLSIのように、それほどコ
ンタクト抵抗の要求仕様の厳しくない場合には、W成膜
処理の初期から成膜温度の低いSiH4系の還元ガスに
よるW成膜を行うことも可能である。
【0063】更に、本実施例ではホール下地の清浄化を
行うため、エッチング量を250Åとしたが、10Å以
下のエッチング量でも選択性は無処理の場合より向上す
る。即ち、下地の清浄化処理とは切り離してCl2プラ
ズマ処理による絶縁膜表面の安定化処理を単独で選択C
VDの前処理に用いることで、選択性の向上効果がある
ことは、既に述べた結果より明らかである。
【0064】(実施例5)図6は、本発明におけるコン
タクトホールへのW埋め込み方法において、ArとNF
3の混合ガスのプラズマにより、ドープされたSi,ポ
リSi,各種シリサイド等の異なる下地が混在するホー
ル底部の表面清浄化処理と絶縁膜表面の安定化処理を同
時に行ったもののプロセスフローを示す。
【0065】(実施例1−1)と同一の装置を用いて行
ったが、(実施例1−1)と異なる点は、先ずテスト用
基板の下地が異なり、プラズマ処理に用いるガスをCl
2からNF3に代えたことである。また、H2還元W−C
VDにおけるSiコンタクト特有のエンクローチメント
やワームホールといった問題を避けるため還元ガスにS
iH4を用いた。
【0066】なお、このエンクローチメントやワームホ
ールといった現象については、前記したECS日本支部
第1回シンポジウム(1988年)「超LSICVD技
術」予稿集,第48頁から第65頁に述べられている。
(実施例5)で行った処理条件及び評価結果を表3,4
に示す。また、(実施例4)におけるコンタクトホール
断面での埋め込み経過を示す拡大図をドープされたSi
下地を一例として図11に示す。図11(a)におい
て、28は下地Si(n+−Si及びp+−Si)、29
はBPSG、30は開口部Siの表面自然酸化膜であ
る。図11(a)は図6の処理をする前の状態である
が、コンタクトホール底部表面酸化膜は予め希フッ酸溶
液(HF:H2O=1:99)によるウエットエッチン
グで一度除去してある。従って、スルーホール底部にあ
る酸化膜は、ウエットエッチング、水洗後の乾燥からロ
ードロック室に設置するまでの間に形成される自然酸化
膜だけである。図11(b)はArとNF3の混合ガス
のプラズマ処理を行った後の状態であるが、(実施例
3)と同様、絶縁膜表面は安定化した状態を保ち、図9
(b)(実施例1−1)に見られた側壁にリスパッタし
た下地材質の付着した膜(ここではSi膜)は観察され
ず、結果的にWの埋め込み形状も図11(c)に示され
るようにコンタクトホール底部からのみWが成長した形
状となる。本実施例におけるWCVDの還元ガスには、
SiH4を用いたが、W/Si界面における接着性が悪
いという課題を解決するために、W成膜の初期には接着
性の良いH2還元を用い、薄いW膜がコンタクトホール
底部全面に形成された後、導入ガスを代え、成膜速度の
速いSiH4系の還元ガスによるW成膜処理を行うこと
も可能である。この方法におけるH2還元では、成膜温
度をSiH4還元と同じ250〜270℃程度にすれ
ば、先に述べたエンクローチメントやトンネリングとい
った問題を生ずることはない。W1μm埋め込み後の選
択性は、(実施例1−1)と同様、極めて良好である。
これは、SiO2表面の安定化効果が特にハロゲン系ガ
スの種類に左右されるものではなく、ケミカルエッチン
グ作用のあるものであれば十分効果があることを意味し
ている。但し、下地との反応性を考慮すると、コンタク
トホール埋め込みにおいてはNF3が特に好ましいと考
えられる。また、このW埋め込みによって形成されたW
/Si(n+),W/Si(p+),W/WSi2,W/
poly−Si界面部のコンタクト抵抗も極めて良好な
値を示した。(n+はAs+を70KeVのイオン打ち込
みで5×105/cm2ドープしたもの、p+はBF2 +を6
0KeVで1.5×106/cm2ドープしたものであ
る。)更に、従来の課題で述べたような同一基板上に下
地の異なるコンタクトホールが混在した場合に、Wの埋
め込み膜厚が均一にならないという問題に対しても、本
実施例においては、下地表面酸化膜のない状態に連続し
てWを成膜したため、均一なWの埋め込み膜厚が得ら
れ、本発明の有効性が確認された。
【0067】上記、いくつかの本発明における実施例を
述べたが、本発明は、上記実施例で示した装置、条件に
のみ制約されることなく、Wの選択成膜が可能なコール
ドウオール型CVD成膜室と、金属汚染のないArスパ
ッタエッチング処理及びNF3,Cl2,BCl3等のハ
ロゲン系ガスが導入できるスパッタエッチ室と両者間を
基板の真空搬送ができる搬送機構を有するW選択CVD
装置全てが処理条件を選ぶことにより使用できる。本実
施例では、ハロゲン系ガスプラズマ処理を、スパッタエ
ッチング室で行ったが、他の金属汚染のない方法、例え
ばECRマイクロ波プラズマ法等半導体プロセスに適用
或いは適用検討されている方法を用いることができる。
また、本発明の実施例のうち、腐食防止処理として、O
2プラズマ処理、或いは加熱処理を示したが、単に腐食
性物質を除去すれば良いのであって、例えば拡散炉を用
いて大気圧N2中高温放置等半導体プロセスに適用或い
は適用検討されている方法を用いることができる。更
に、対象とする選択CVDの系及び金属も上記実施例の
WF6−H2系或いはWF6−SiH4系によるWの選択C
VDに限ることなく、選択CVDを可能とするシステ
ム、例えばMoF6−H2系、MoF6−SiH4系による
Moの選択CVD、アルキルAlを原料とするAlの選
択CVDにも本発明が適用できることは言うまでもな
い。
【0068】
【発明の効果】以上述べてきたように、基板上の絶縁膜
に基板下地の一部を露出させるために設けた微細孔を金
属の選択CVDにより穴埋めする方法において、本発明
の方法、即ち、選択CVDを施す前に当該下地につい
て、予めArスパッタエッチング下地クリーニング処理
及びそこで活性化した絶縁膜表面の安定化処理を順次或
いは同時に施し、また場合によっては、下地の防食処理
を施し、処理後の下地金属を大気にさらすことなく選択
CVD処理を施すことによって、選択性が良好でかつ下
地金属と穴埋め金属間の界面抵抗の低い穴埋めを行うこ
とができる。このことにより、微細接続孔の穴埋めが必
要なLSIや計算機等の多層プリント板等の多層配線の
信頼性向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によりスルーホールまたはコンタ
クトホールをWで埋め込むときの選択CVDにおけるプ
ロセスフロー図である。
【図2】本発明の方法によりスルーホールまたはコンタ
クトホールをWで埋め込むときの選択CVDにおけるプ
ロセスフロー図である。
【図3】本発明の方法によりスルーホールまたはコンタ
クトホールをWで埋め込むときの選択CVDにおけるプ
ロセスフロー図である。
【図4】本発明の方法によりスルーホールまたはコンタ
クトホールをWで埋め込むときの選択CVDにおけるプ
ロセスフロー図である。
【図5】本発明の方法によりスルーホールまたはコンタ
クトホールをWで埋め込むときの選択CVDにおけるプ
ロセスフロー図である。
【図6】本発明の方法によりスルーホールまたはコンタ
クトホールをWで埋め込むときの選択CVDにおけるプ
ロセスフロー図である。
【図7】本発明の方法によりスルーホールまたはコンタ
クトホールをWで埋め込むときの選択CVDにおけるプ
ロセスフロー図である。
【図8】本発明の実施例で用いたCVD装置の構成図で
ある。
【図9】本発明の方法によりスルーホールまたはコンタ
クトホールをWで埋め込む過程を示す部分拡大図であ
る。
【図10】本発明の方法によりスルーホールまたはコン
タクトホールをWで埋め込む過程を示す部分拡大図であ
る。
【図11】本発明の方法によりスルーホールまたはコン
タクトホールをWで埋め込む過程を示す部分拡大図であ
る。
【図12】Arスパッタエッチング、Ar/NF3混合
プラズマ、Ar/Cl2混合プラズマ及びAr/BCl3
混合プラズマによるAl酸化膜(Al23膜)のエッチ
ングレートをプラズマへの投入パワーに対しプロットし
た特性図である。
【図13】無処理のSiO2表面をESCAで分析した
ときのSi2pピークのスペクトル図である。
【図14】Arスパッタエッチング処理後のSiO2
面をESCAで分析したときのSi2pピークのスペク
トル図である。
【図15】Arスパッタエッチング処理+Cl2プラズ
マ処理後のSiO2表面をESCAで分析したときのS
i2pピークのスペクトル図である。
【図16】図13乃至図15の例のSiO2表面のX線
入射角30°におけるESCA2pピークのスペクトル
図である。
【図17】無処理のAl表面にWを成膜したときのES
CAによる深さ方向プロファイル図である。
【図18】Arスパッタエッチング処理後Cl2プラズ
マ処理したAl表面にWを成膜したときのESCAによ
る深さ方向プロファイル図である。
【図19】Arスパッタエッチング処理後Cl2プラズ
マ処理したAl表面にWを成膜したときのESCAによ
る深さ方向プロファイル図である。
【符号の説明】
1…ロードロック室、 2…成膜室、 3…スパッタエッチ室、 4,5…ゲートバルブ、 6…加熱用ランプ、 7…熱電対、 8…カソード電極、 9…基板、 10…赤外放射温度計 11…WF6,H2,SiH4,N2ガス導入管、 12…Ar,Cl2,BCl3,NF3,O2ガス導入管、 13…高周波電源、 14…石英窓、 21…Si、 22…Al配線、 23…プラズマ酸化膜、 24…Al表面酸化膜、 25…リスパッタしたAl、 26…SiO2表面活性層、 27…W、 28…ドーピしたSi、 29…BPSG、 30…Si表面酸化膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/3065 H01L 21/302 N 21/768 21/90 A (72)発明者 小林 秀 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 笠原 修 東京都小平市上水本町1450番地株式会社日 立製作所デバイス開発センター内 (72)発明者 田丸 剛 東京都小平市上水本町1450番地株式会社日 立製作所デバイス開発センター内 (72)発明者 根津 広樹 東京都小平市上水本町1450番地株式会社日 立製作所デバイス開発センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上の絶縁膜に基板下地の一部を露出さ
    せるために設けた微細孔を金属で穴埋めする方法におい
    て、微細孔底部下地表面を清浄化処理する工程と、該清
    浄化処理工程によって活性化した絶縁膜表層部を安定化
    処理する工程と、その後金属の選択CVDを行う工程を
    有してなる微細孔への金属穴埋め方法。
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