JPH0978459A - ポリエステル繊維コーティング加工布およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維コーティング加工布およびその製造方法

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JPH0978459A
JPH0978459A JP7238644A JP23864495A JPH0978459A JP H0978459 A JPH0978459 A JP H0978459A JP 7238644 A JP7238644 A JP 7238644A JP 23864495 A JP23864495 A JP 23864495A JP H0978459 A JPH0978459 A JP H0978459A
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polyester fiber
coating
cloth
water repellent
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JP7238644A
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Hidenobu Honda
秀信 本田
Rumi Karasawa
留美 柄澤
Masami Ikeyama
正己 池山
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散染料の種類の限定されることなく染料移
行汚染性がなく、洗濯風乾後の湿潤状態でも摩耗耐久性
に優れた撥水性があるポリエステル繊維コーティング加
工布と、このポリエステル繊維コーティング加工布を容
易かつ安定して製造する方法の提供。 【解決手段】 分散染料で染色されたポリエステル繊維
構造物を樹脂コーティング加工と撥水加工した加工布
で、コーティング樹脂が有機過酸化物と架橋剤を含有
し、撥水加工剤がパーフルオロアルキル基含有アクリル
共重合体、フッ素系撥水剤、アミノプラスト樹脂、多官
能プロックイソシアネート基含有ウレタン重合体および
エチレンカーボネートを含有するポリエステル繊維コー
ティング加工布とその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散染料移行性が
なく、かつ洗濯乾燥後の湿潤状態でも摩擦耐久性に優れ
た撥水性を発揮するポリエステル繊維コーティング加工
布、およびこのポリエステル繊維コーティング加工布を
容易かつ安定して製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナイロン繊維を主体とした織編物に対
し、例えば、撥水・防水、透湿・撥水、通気性および防
炎・防融コーティング等の加工を施したコーティング加
工布は、衣料用または産業用製品などとして、従来から
広く利用されている。ところが、近年になってナイロン
繊維の原料の高騰から、ポリエステルとの価格差が一段
と拡大されてきた。そこでナイロン繊維に替わるものと
して、寸法安定性、強度、耐光性、また素材の多様性等
の特徴に優位性を有するポリエステル繊維のコーティン
グ加工の開発が盛んに行なわれるようになってきた。
【0003】しかし、ポリエステル繊維のコーティング
加工布は、ポリエステル繊維中に含まれる染料がコーテ
ィング膜へ移行し、その結果著しく汚染されてしまうと
いう致命的な問題を有していた。例えば、ポリエステル
繊維のコーティング加工布において、濃色と淡色又は白
色のコーティング面が接触すると、濃色側の分散染料が
淡色又は白色のコーティング面にまで容易に移行し、汚
染を生ずる。
【0004】この理由としては、ポリエステル繊維の分
散染料染めの場合は、例えばナイロンの酸性染料染めの
ように繊維と染料が化学的に結合されたものでなく、繊
維基質を弛緩し、染料分子を物理的に押し込んで染色を
完結させたものであり、更に分散染料は有機溶剤や合成
樹脂に対して溶解性、親和性を有する特性上、コーティ
ング加工により繊維内の染料がコーティング被膜層に移
行するためであると考えられる。
【0005】かかる問題を改良するため、従来から種々
検討が行なわれており、たとえば、アルミニウム、銅、
銀等の金属微粉末、チタン酸カリウム、二酸化チタン、
酸化第二錫等の金属酸化物で、かつ分散染料と相溶性の
悪い物質を用い、昇華する染料の移行を阻止する方法
(特開昭60−45686号公報)、SiO2 を主成分
とする多孔性粒子を含むポリウレタン樹脂皮膜を形成せ
しめた繊維構造物に、パーフルオロアルキル基を有する
撥水剤を付与する繊維構造物の加工方法(特開昭58−
4873号公報、特公昭62−53632号公報)、お
よび有機金属配位化合物を含有する樹脂組成物をコーテ
ィングする方法(特開平4−174771号公報)など
が提案されてきた。
【0006】しかしながら、これら従来技術では、分散
染料移行・汚染の防止が完全でなかったり、洗濯によっ
て移行汚染防止性能が損失するなどの欠点を依然として
有しており、実用化に至っていないのが現状である。そ
こで、本願発明者らは、ジルコニウム化合物等の塩の酸
化作用を利用して樹脂中で染料を無色にする方法を、特
開昭4−281078号公報、特開昭6−93563号
公報で提案してきた。しかしながら、この方法は、塩の
酸化作用が特定の染料に対してのみ効果的であるため、
ポリエステル繊維構造物に用いられる染料が限定される
という欠点を有していた。
【0007】更に、本願発明者らは、特開昭6−517
890号公報で、染料の種類に限定されることのない染
料移行汚染を防止したポリエステル繊維コーティング加
工布、および、このポリエステル繊維コーティング加工
布の製造方法を提案した。しかし、この加工布は使用す
る架橋剤種によって樹脂被膜の黄変があり、この影響に
より僅かながらコーティング加工布に変色が見られると
いう欠点を依然として有していた。
【0008】一方、繊維に対する撥水性能付与手段とし
て、従来より行われている代表的な処理方法は、フルオ
ロアルキル基含有アクリル共重合体などの撥水加工剤に
て処理する方法である。しかし、これら撥水加工剤によ
る洗濯耐久性能は、洗濯後に50〜70℃乾燥機にて乾
燥またはアイロン等を掛けることにより、数回の洗濯を
辛うじて保持しうる撥水性能内容であり、モミ、スレ、
オレ等摩耗による撥水性能は極めて乏しいばかりか、湿
潤状態での摩耗による撥水性能は皆無に等しい状態であ
った。
【0009】衣料は勿論、産業資材布帛は洗濯すること
が必要条件であり、洗濯風乾後に湿潤状態にてモミ、ス
レ、オレ等の摩耗耐久性を有する高度の撥水性を保持し
うる布帛が理想撥水防水素材となりうるが、今までは充
分満足しうる撥水防水布帛を得るに至っていない。もし
これらの実用的な性能が得られるのであれば、特に野外
スポーツ衣料としてスキー、スケート、ゴルフ衣料とし
て極めて実用な布帛衣料となる。また、傘地に用いれば
いつまでも使用できる耐久撥水性のある傘が得られるこ
とになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した黄変性の問題を改善し、分散染料の種類に限定され
ることなく染料移行汚染性がなく、洗濯風乾後の湿潤状
態でも摩耗耐久性に優れた撥水性があるポリエステル繊
維コーティング加工布、およびこのポリエステル繊維コ
ーティング加工布を容易にかつ安定して製造する方法を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のポリエステル繊維コーティング加工布は、
分散染料で染色されたポリエステル繊維構造物に、樹脂
コーティング加工と撥水加工とを施した加工布であっ
て、前記コーティング樹脂に有機過酸化物と架橋剤を含
有し、前記撥水加工剤がフッ素系撥水剤、アミノプラス
ト樹脂、多官能ブロックイソシアネート基含有ウレタン
重合体およびエチレンカーボネートを含有することを特
徴とするものである。
【0012】また、本発明によるポリエステル繊維コー
ティング加工布の製造方法は、分散染料で染色されたポ
リエステル繊維構造物に、有機過酸化物と架橋剤を含有
するコーティング樹脂をコーティングすると共に、フッ
素系撥水剤、アミノプラスト樹脂、多官能ブロックイソ
シアネート基含有ウレタン重合体およびエチレンカーボ
ネートを含有する撥水加工剤を含浸させることを特徴と
するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂コーティング加工お
よび撥水加工に関しては、樹脂層に混合させた有機過酸
化物が分散染料に対し化学反応して、消色作用を発揮
し、さらには製品の洗濯による撥水性能の耐久性も兼備
するようにしたことを特徴とする。すなわち本発明は、
分散染料と親和性・相溶性の小さい樹脂被膜や微粒子等
で染料の移行を阻止しようとする従来の技術とは異な
り、コーティング加工工程において繊維基布から移行し
てくる分散染料を、樹脂層に混合された有機過酸化物と
化学反応させて無色化することによって、分散染料の染
料移行汚染を防止するという新規な技術思想により完成
されたものである。なお、染料を無色化する方法として
は、還元剤で染料を分散する方法も考えられるが、この
場合には製品とした時に臭気を強く発散し実用上好まし
くない。
【0014】本発明において、樹脂層というやや制限を
受けた分子運動が許される系で、繊維基布から移行して
くる分散染料を無色化する化学反応を可能とするために
用いられる有機過酸化物の例としては、ケトンパーオキ
サイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイ
ド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイ
ド、パーオキシジカーボネート、およびパーオキシエス
テル等が挙げられるが、過酸化ベンゾイルや2,4ジク
ロル過酸化ベンゾイルなどのジアシルパーオキサイドが
特に好ましく用いられる。
【0015】また、樹脂コーティング加工の工程、特に
乾燥工程において染料の移行が大きいことから、加熱に
よる分解温度がコーティングの乾燥工程の温度以上の有
機過酸化物が好ましく用いられる。具体的には、選定し
た乾燥条件にもよるが、例えば乾燥温度より60℃以上
のもの、より好ましくは80℃以上の分解温度のものが
有効に使われる。分解温度の上限は特に限定されないが
一般には150℃程度である。
【0016】これら有機過酸化物の適切な使用量として
は、染色布の変色防止や風合い硬化を防止する観点か
ら、コーティング樹脂に含まれる溶媒量に対して0.2
〜20wt%が好ましく、特に0.5〜10wt%が最適で
ある。本発明において、有機過酸化物と併用して用いる
架橋剤としては、樹脂被膜の黄変がない点でエポキシ系
架橋剤および/または無黄変イソシアネート系が好まし
く、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
黄変イソシアネート系、特にトリレンジイソシアネート
架橋剤を併用して用いた場合には樹脂被膜が黄変し、コ
ーティング加工布の色相が変化する原因となる傾向があ
る。
【0017】架橋剤の使用量は、膜強度や風合い硬化の
防止の観点からコーティング樹脂100重量部に対して
0.5〜5重量部が好ましく、より好ましくは1〜3重
量部とするのがよい。本発明におけるポリエステル繊維
構造物とは、ポリエステル100%の織物、編物、不織
布等はもとより、ポリエステル繊維を含む混紡、混繊、
交織、交織、交編等の布帛のいずれも包含し、特に限定
されるものではないが、ポリエステル100%やポリエ
ステル繊維が高率混のものを使用したときに本発明の効
果が顕著である。
【0018】本発明に使用するコーティング用ポリエス
テル織編物の染色は、特に限定された分散染料または特
別な染色条件を必要とするものではなく、アゾ系、キノ
ン系染料等を用いて通常の染色条件を採用することがで
きる。本発明で用いるコーティング用樹脂としては、ポ
リウレタン系樹脂、アクリル酸またはメタクリル酸エス
テル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルアルコール
系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂またはセ
ルロース系樹脂等、およびこれらの複合系など一般のコ
ーティング加工に使用される各種樹脂剤を自由に選択し
て使用することができるが、なかでもアクリル系樹脂お
よび/またはシリコーン系樹脂の使用が好ましい。
【0019】本発明において、上記した有機過酸化物
を、上記樹脂の溶液に混合・溶解させるか、または予め
樹脂溶液と同溶媒の溶剤に溶解したものを樹脂溶液に混
合・溶解させることによりコーティング樹脂溶液を調製
する。また、架橋剤の添加方法は特に限定されない。そ
して、このようにして得た樹脂溶液をポリエステル繊維
構造物にコーティングする。
【0020】樹脂のコーティング方法としては、特に限
定されるものではなく、通常の方法で加工することがで
きる。有機過酸化物と架橋剤が適量混合された樹脂溶液
を繊維布帛にコーティングした後、乾燥して溶媒を除去
する乾式法において本発明の効果は顕著である。すなわ
ち、乾式凝固させることにより、乾燥工程中に樹脂溶媒
で抽出されて樹脂中に移行した染料や熱により、樹脂層
に移行した染料が、有機過酸化物により分解され無色化
される。さらに、本発明において無色化された染料は、
たとえ他の樹脂膜へ移行しても無色であり、汚染性が極
めて少ない。また、樹脂被膜の黄変がないためコーティ
ング加工布の色相変化も見られない。
【0021】本発明おいて、上述の効果が得られる理由
は明確ではないが、染料分子が酸化反応により共鳴構造
が変化し無色化するものと推定される。一方、本発明の
撥水加工においては、フッ素系撥水剤皮膜をより強固に
するために、アミノプラスト樹脂、多官能ブロックイソ
シアネートウレタン樹脂およびエチレンカーボネートを
併用した撥水加工剤を使用することを特徴とする。
【0022】未コーティングポリエステル繊維織物にこ
のような撥水加工をしたものは、10回のくり返し洗濯
後、潤湿させた綿布(カナキン3号)で50回摩耗し、
その直後にシャワー法で撥水性能を測定しても70点以
上を示すが、従来のフッ素系撥水剤のみでは0点、本発
明併用剤の中でエチレンカーボネートを使用しない場合
では50点以下にとどまることから、本発明の効果は顕
著であるといえる。
【0023】本発明で言うフッ素系撥水剤の多くは、上
記従来技術に記載されている。まず、C3 〜C20のフル
オロアルケニル基やフルオロアルキル基を有するビニル
単量体のみの単独重合による製法と、これらビニル単量
体を主体にして、フルオロアルケニル基をフルオロアル
キル基を有しない他のビニル単量体との共重合による製
法とがある。撥水性能のみならず柔軟性、帯電防止性、
保存安定性等各種の性能を保持すべき他のビニル単量体
は数種類使用しても構わない。
【0024】フルオロアルケニル基並びにフルオロアル
キル基を有するビニル単量体の代表的なものとしては、 CH2 =CHCOOCH2715 CH2 =C(CH3)COOCH2612CF3(CF3) CH2 =CHCOO(CH2)2N(C37)SO2817613CH2CH2OH C817SO2(C37)CH2CH2OH C817SO2(C37)CH2OOCNH(CH2)6NH(CH2CH2O)11CH3 などが挙げられる。
【0025】また、フルオロアルケニル基並びにフルオ
ロアルキル基を有しないビニル単量体の代表的なものと
しては、エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アク
リルアミド、スチレン、ベンジルアクリレート、ビニル
アルキルケトン、無水マレイン酸、イソプレン、シロキ
サンやブロックイソシアネートのビニル単量体などが挙
げられ、成分的にブロックイソシアネートのビニル単量
体を含む共重合体からなるフッ素系撥水剤が特に好適で
ある。
【0026】布帛に対してこれらフッ素系撥水剤は固形
分換算で0.01〜10重量%の量で用いられ、特に
0.03〜5重量%の量が好適である。アミノプラスト
樹脂としては、公知のトリメチロールメラミン、ヘキサ
メチロールメラミン、などのメラミン樹脂、ジメチロー
ルプロピレン尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジメチ
ロールヒドロキシ尿素などの尿素系樹脂、およびジメチ
ロールウロンなどのウロン樹脂などが挙げられる。布帛
に対してアミノプラスト樹脂は固形分として0.01〜
2重量%の量で用いられ、特に0.02〜1重量%の量
が好適である。
【0027】なお上記樹脂の硬化触媒としては、公知の
リン酸、硫酸、硝酸のアンモニューム、アルミニューム
亜鉛などの無機酸塩およびギ酸、酢酸、アクリル酸、こ
はく酸などのアンモニューム、アルミニューム塩等有機
酸塩類が使用され、中でもヘキサメチロールメラミンが
好適である。多官能ブロックイソシアネートウレタン樹
脂は、分子中に2個以上のブロックイソシアネート官能
基を含む有機化合物ならいずれでも良く、その代表的な
ものとしてトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、ジフェニールメタンジイソシアネー
ト、水素添加ジフェニールメタンジイソシアネート、ト
リフェニールトリイソシアネート、キシレジンジイソシ
アネート、ジンクロヘキシルメタンジイソシアネート、
トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、グ
リセリントリレンジイソシアネート等の加熱時に解離し
て活性なイソシアネート基を再生するフェノール、マロ
ン酸ジエチルエステル、メチルエチルケトオキシム、重
亜硫酸ソーダ、イプシロンカプロラクタム等を反応させ
た化合物が挙げられる。これらの多官能ブロックイソシ
アネートウレタン樹脂は、少量の界面活性剤を配合して
強制乳化した水分散液体として使用することが多い。
【0028】多官能ブロックイソシアネートウレタン樹
脂は固形分換算で0.01〜4重量%の量で用いられ、
特に0.03〜1重量%の量が好適である。この中で特
にジフェニールメタンジイソシアネートのメチルエチル
ケトンオキシム又はトリメチロールプロパントリレンジ
イソシアネートアダクトのメチルエチルケトンオキシム
のブロックイソシアネートの水分散体が好適に使用され
る。
【0029】なお、ブロックイソシアネートの熱解離速
度向上と熱解離温度低下を促進するために、解離触媒と
してジブチルスズジオレート、ジブチルスズステアレー
ト、ステアリレル亜鉛、有機アミン化合物等を使用する
ことができる。以上のフッ素撥水剤、アミノプラスト樹
脂および多官能ブロックイソシアネートウレタン樹脂の
三者を併用して撥水加工処理することによっても、単に
洗濯耐久性に優れた撥水加工は可能であるが、この場合
には摩耗耐久性撥水性能が充分とはいえない。
【0030】ここで、本発明で使用するエチレンカーボ
ネートとは、一般に市販されているエチレングリコール
環状炭酸エステルであり、沸点が高く、安定で、毒性の
ない、極性の非常に大きな有機溶剤の一種である。エチ
レンカーボネートは水や多くの有機溶剤とも混合し、高
分子化合物に対しても優れた溶剤活性を有し、活性水素
を有する多くの化合物に対して開環付加反応、開環縮合
反応を行う為に、有機合成原料として広汎な用途に使用
されている。
【0031】このエチレンカーボネートは、繊維に付着
加熱処理することでフッ素系撥水剤、アミノプラスト樹
脂、および多官能ブロックイソシアネートウレタン樹脂
と反応架橋し、より強固な皮膜を作成するばかりか、合
成繊維の布帛の表面を可溶解させうる能力がある。この
可溶化性能がフッ素系撥水剤のみならず、アミノプラス
ト樹脂と多官能ブロックイソシアネートウレタン樹脂の
一部を含めて、これらがそのまま、又は架橋体としてそ
のまま繊維表面内部に取り込まれ、フルオロアルキル基
を連結している基幹部分もしくは骨格部分が一段と強固
になり、フッ素系撥水剤単独使用処方、並びにフッ素系
撥水剤、アミノプラスト樹脂、および多官能ブロックイ
ソシアネートウレタン樹脂の三者配合処方のフルオロア
ルキル基の優れた均一分子配合と、洗濯耐久撥水性を保
持した状態で皮膜強度が格段に強力になり、摩耗耐久
性、とりわけ湿潤摩耗耐久撥水性能を保持しうる良好な
結果が得られる要因となる。
【0032】エチレンカーボネートは、フッ素系撥水
剤、アミノプラスト樹脂、および多官能ブロックイソシ
アネートウレタン樹脂との4者併用処方においてのみ、
その効果が認められるもので、単にフッ素系撥水剤の
み、又はフッ素系撥水剤とアミノプラスト樹脂のみ、さ
らにフッ素系撥水剤と多官能ブロックイソシアネートウ
レタン樹脂のみでは、フルオロアルキル基の均一分子配
向と皮膜強度が完結になされておらず、それが為に充分
な効果が得られない。
【0033】よって、エチレンカーボネートの使用量
は、布帛の硬化防止の観点から布帛に対して0.1〜3
0wt%が好ましく、より好ましくは2〜10wt%とする
のがよい。布帛の撥水処理方法としては、個々の処理剤
を希望の濃度に水で希釈した配合処理液をパッド法、コ
ーティング法、スプレー法により均一に含浸付与せし
め、100℃前後で乾燥しその後できるだけ早い時間内
に熱処理する。熱処理必要条件は130℃〜180℃で
10秒〜2分程度が好ましい。
【0034】本発明の処理剤は、上記処理剤のみなら
ず、他の性能を付与さすべき一般公知の処理剤として帯
電防止剤、柔軟剤、防汚剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、
抗菌剤、消臭剤、および色素などと併用又は別途加工し
てもよい。コーティング加工と撥水加工はどちらを先に
してもよく、使用用途、作業性、性能などを考慮して使
いわけることができるが、まずコーティング加工し、次
いで撥水加工するのが撥水性能において有利である。
【0035】
【実施例】以下、実施例および比較例を説明するが、こ
の実施例および比較例の試験、評価方法は次の内容にて
行ったものである。 (1)染料移行汚染堅牢性 試験片(5cm×5cm)のコーティング面と非コーティン
グ面にポリエステル添付白布(試験片と同一の生地で試
験片と同一の樹脂をコーティングしたもの、5cm×5c
m)のコーティング面が接触するようにして、ガラス板
2枚の間にはさみ、4.5キログラムの荷重をかけて恒
温乾燥機(130℃±2℃)中に90分間放置し、放冷
後、試験片から添付白布への染料移行状態を、汚染用グ
レースケールで等級判定を行なった。 (2)樹脂被膜の黄色性 未染色の白生地に同一樹脂をコーティングしグレースケ
ールで黄変程度を級判定により示した。 (3)くり返し10回洗濯方法 45cm×45cmの試験布を採取し、重さが800gにな
るように調整する。自動反転渦巻き式電気洗濯機(東芝
VH−1150型と同性能のもの)の洗濯槽に40±2
℃の0.2%弱アルカリ性合成洗剤(JIS 3371
弱アルカリ性−第1種)液25リットルと試験布を入
れ、強条件で25分間洗濯する。洗濯機付属の遠心脱水
機に試験布を移し約30秒間脱水後、常温水を満たした
洗濯槽に移し水をオーバーフローさせながら10分間す
すぐ。再び約30秒間脱水後、同条件で10分間すす
ぐ。
【0036】上記方法を2回繰り返したものを洗濯10
回法とする。 (4)撥水性能試験方法 JIS L−1092 シャ
ワー法 (5)湿潤摩耗及び撥水性能試験方法 直径17.5cmの試験布を採取し、Appearance Retenti
on Tester (カスタム社製)の摩耗台に(ARTとい
う)セットする。つぎに直径10cmの綿布(染色堅牢度
試験用カナキン3号)を蒸留水に浸漬し、200%の湿
潤状態でARTの上部にセットする。押圧400gで5
0回ARTで摩耗し摩耗直後JIS L−1092 雨
試験(シャワー法)で撥水性能を測定した。
【0037】なお、実施例、比較例中に用いたコーティ
ング用樹脂は次のものを使用した。 アクリル樹脂 (クリスコート P−1018A:大日本インキ化学工
業株式会社製) シリコーン樹脂 (東レ・ダウコーニング・シリコーンSD8001:東
レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製) 架橋剤 (CR−5L:大日本インキ化学工業株式会社製エポキ
シ系架橋剤) (バーノックDN950:大日本インキ化学工業株式会
社製無黄変イソシアネート系架橋剤) (クリスボンNX:大日本インキ化学工業株式会社製黄
変イソシアネート系架橋剤) 実施例1 たて糸が50デニール、よこ糸が50デニールのポリエ
ステルフィラメント糸使いの平織物(たて糸密度150
本/インチ、よこ糸密度106本/インチ)をアゾ系分
散染料(C.I.Dispers Y-64、C.I.Dispers R-60、C.I.Di
spers B-125 )3%o.w.f を用いて、温度130℃で6
0分間の条件で染色し、通常の還元洗浄を行ない、乾燥
した後、180℃のヒートセットを行なってコーティン
グ用染色布を得た。
【0038】一方、固形分濃度が18%のアクリル樹脂
のトルエン溶液を作成し、この樹脂溶液の溶媒量に対し
て4wt%量の過酸化ベンゾイルを混合溶解した後、さら
に樹脂溶液100重量部に対してCR−5Lを3重量部
添加してコーティング樹脂溶液を作成した。次に、この
樹脂溶液を上述のコーティング用染色布にナイフコータ
ーでコーティングし、乾式法にて製膜(100℃−30
秒)し、固形分塗布量4g/m2 のコーティング加工布
を得た。次にこの加工布について140℃−30秒間の
熱処理を行なった。
【0039】このコーティング加工布の染料移行汚染、
樹脂被膜の黄変に関する評価結果を表1に示した。 実施例2〜8 表1に示した有機過酸化物、架橋剤、コーティング樹脂
を用いて、実施例1と同じ条件で乾式コーティングし
た。
【0040】このコーティング加工布の染料移行汚染、
樹脂被膜の黄変に関する評価結果を表1に示した。 比較例1〜4 架橋剤として、黄変イソシアネート系架橋剤を用いたコ
ーティング加工布の染料移行汚染、樹脂被膜の黄変に関
する評価結果を表1に示した。
【0041】比較例5〜10 実施例1で得たコーティング用染色布に、有機過酸化物
を混合溶解しないアクリル樹脂、シリコーン樹脂と架橋
剤(CR−5L、バーノックDN−950、クリスボン
NX)とからなる樹脂のみを実施例1と同じ条件で乾式
コーティングした。このコーティング加工布の染料移行
汚染、樹脂被膜の黄変に関する評価結果を表1に示し
た。
【0042】
【表1】 表1の結果から明らかなように、実施例1〜8のもの
は、比較例5〜10の有機過酸化物を含有しないコーテ
ィング加工布に比して、格段に優れた染料移行汚染防止
性を示すことがわかる。また、洗濯耐久性にも優れてい
た。
【0043】また、有機過酸化物と併用してエポキシ系
架橋剤および無黄変イソシアネート系架橋剤を用いたも
のは、樹脂被膜の黄変が極めて少ないのに対し、黄変イ
ソシアネート系の場合は、優れた染料移行汚染防止性を
示すものの、樹脂被膜の黄変性が大きいことがわかる。 実施例9 実施例1の染料で得られたコーティング加工布を用い
て撥水加工を行ない染料移行汚染堅牢性、撥水性に関す
る評価結果を表2に示した。
【0044】すなわち、表2に示す配合処方液で処理液
を作成し、その中に実施例1で得られたコーティング加
工布を浸漬しその後マングルにて絞液した。次に100
℃−30秒間乾燥し、さらに140℃−30秒間熱処理
を行なった。その時のフッ素樹脂の付着量は固形分換算
で4重量%であった。 比較例11〜15 表2に示す各々の配合処方で処理液を作成し、その中に
実施例1で得られたコーティング加工布を浸漬しその後
マングルにて絞液した。乾燥、熱処理は実施例9と同条
件で行なった。その時のフッ素樹脂の付着量はほぼ4wt
%であった。
【0045】
【表2】 表2から明らかなように、実施例9のものは、比較例1
1〜15に比して格段に優れた湿潤摩耗後の撥水性を示
す事がわかる、また染料移行汚染性は水準による差はな
く撥水加工前のコーティング上りと同程度で、撥水加工
による低下の悪さがない事がわかった。
【0046】
【発明の効果】本発明によるポリエステル繊維コーティ
ング加工布は、優れた染料移行汚染堅牢性を有し、かつ
洗濯風乾後に湿潤状態にてモミ、スレ、オレ等の摩耗に
よっても高度の耐久撥水性を保持し得る。また、樹脂被
膜の黄変性が極めて少なく、黄変に起因するコーティン
グ加工布の変色を大幅に改善することができる。したが
って、本発明のポリエステル繊維コーティング布帛は、
一般衣料用および各種産業用ばかりか、特に運動量の激
しいスポーツ衣料や、長期間使用の傘等の用途に有用で
ある。
【0047】また、本発明の製造方法によれば、非常に
簡単かつ特別な装置も必要とせずして安定して上述のコ
ーティング加工布を製造することができ、産業上の効果
が極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 15/653 D06M 15/653 17/00 D06N 3/14 D06N 3/14 D06P 5/08 DBCZ D06P 5/08 DBC D06M 17/00 K

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散染料で染色されたポリエステル繊維
    構造物に、樹脂コーティング加工と撥水加工とを施した
    加工布であって、前記コーティング樹脂に有機過酸化物
    と架橋剤を含有し、前記撥水加工剤がフッ素系撥水剤、
    アミノプラスト樹脂、多官能ブロックイソシアネート基
    含有ウレタン重合体およびエチレンカーボネートを含有
    するポリエステル繊維コーティング加工布。
  2. 【請求項2】 前記コーティング樹脂が、アクリル系樹
    脂および/またはシリコーン系樹脂である請求項1に記
    載のポリエステル繊維コーティング加工布。
  3. 【請求項3】 前記コーティング樹脂に含まれる架橋剤
    が、エポキシ系および/または無黄変イソシアネート系
    である請求項1に記載のポリエステル繊維コーティング
    加工布。
  4. 【請求項4】 前記コーティング樹脂に含まれる有機過
    酸化物が、ジアシルパーオキサイドである請求項1〜3
    のいずれか1項に記載のポリエステル繊維コーティング
    加工布。
  5. 【請求項5】 前記フッ素系撥水剤が、パーフルオロア
    ルキル基含有アクリル系共重合体である請求項1〜4の
    いずれか1項に記載のポリエステル繊維コーティング加
    工布。
  6. 【請求項6】 分散染料で染色されたポリエステル繊維
    構造物に、有機過酸化物と架橋剤を含有するコーティン
    グ樹脂をコーティングすると共に、フッ素系撥水剤、ア
    ミノプラスト樹脂、多官能ブロックイソシアネート基含
    有ウレタン重合体およびエチレンカーボネートを含有す
    る撥水加工剤を含浸させるポリエステル繊維コーティン
    グ加工布の製造方法。
  7. 【請求項7】 分散染料で染色されたポリエステル繊維
    構造物に、コーティング樹脂をコーティングし、乾燥し
    て溶媒を除去した後、撥水加工剤に浸漬して含浸させる
    請求項6に記載のポリエステル繊維コーティング加工布
    の製造方法。
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