JPH0978355A - 中空アクリル繊維およびその製造方法 - Google Patents

中空アクリル繊維およびその製造方法

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JPH0978355A
JPH0978355A JP23844995A JP23844995A JPH0978355A JP H0978355 A JPH0978355 A JP H0978355A JP 23844995 A JP23844995 A JP 23844995A JP 23844995 A JP23844995 A JP 23844995A JP H0978355 A JPH0978355 A JP H0978355A
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JP
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core
sheath
fiber
hollow
spinning
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JP23844995A
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Yoshihiko Hosako
芳彦 宝迫
Teruyuki Yamada
輝之 山田
Yoshihiro Sako
佳弘 佐古
Tokue Masui
得江 益井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔状でなく繊維軸方向に連続した中空部を
有し、優れた保温性、吸水性を有する中空アクリル繊
維、および、通常の芯鞘複合紡糸口金で、かつ特殊な重
合体を使用することなしに、また、特別な製造工程を使
用することなしに安定にかつ生産性良く、前記中空アク
リル繊維を製造する方法を提供する。 【解決手段】 芯鞘間に繊維軸方向に連続する中空部を
有する中空アクリル繊維であって、芯と鞘ともにアクリ
ロニトリル系重合体からなり、中空率が5%〜40%で
ある中空アクリル繊維および、凝固価の差(ΔG)と濃
度差(ΔC)が式(1)〜(3)を満足する2つの紡糸
原液を芯鞘複合紡糸をし、乾燥緻密化前に80℃以下の
温度で含水率20重量%以下に乾燥する中空アクリル繊
維の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空アクリル繊維
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アクリル繊維の保温性あるい
は吸水性を向上させるために、繊維を中空構造とする提
案が多数なされ、例えば、延伸条件によりスキン層を形
成する方法(特開昭61−28014号公報)、芯成分
の重合体濃度を低くし芯鞘複合紡糸する方法(特開昭6
0−18332号公報)、芯成分の重合体の親水性を高
くし芯鞘複合紡糸する方法(特公昭62−7286号公
報)、芯成分に高分子量の重合体を用い芯成分の原液を
低くし芯鞘複合紡糸する方法(特開平3−249215
号公報)等が知られている。
【0003】しかしながら、これらの提案では、連続し
た中空構造が得られず多孔状となることが多く、中空構
造とするには、使用できる共重合体組成が限定されると
共に芯成分の原液濃度を低くする必要があり、そのため
芯鞘間の粘度差が大きくなり、通常の芯鞘複合紡糸口金
では安定に中空繊維を得ることが困難であった。
【0004】また、芯成分の原液を低濃度に維持し、か
つ高粘度とするためには分子量が非常に高い特殊な重合
体の使用が要求される等の問題点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、多孔
状でなく繊維軸方向に連続した中空部を有し、優れた保
温性、吸水性を有する中空アクリル繊維、および、通常
の芯鞘複合紡糸口金で、かつ特殊な重合体を使用するこ
となしに、また、特別な製造工程を使用することなしに
安定にかつ生産性良く、前記中空アクリル繊維を製造す
る方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、芯鞘間に繊維
軸方向に連続する中空部を有する中空アクリル繊維であ
って、芯と鞘ともにアクリロニトリル系重合体からな
り、中空率が5%〜40%であることを特徴とする中空
アクリル繊維を第1の要旨とし、有機溶剤でアクリロニ
トリル系重合体を溶解した紡糸原液を芯鞘複合紡糸する
中空アクリル繊維の製造方法であって、鞘を形成するア
クリロニトリル系重合体の凝固価から芯を形成するアク
リロニトリル系重合体の凝固価を引いた凝固価の差(Δ
G)と鞘を形成する紡糸原液のアクリロニトリル系重合
体濃度から芯を形成する紡糸原液のアクリロニトリル系
重合体濃度を引いた濃度差(ΔC)が下式(1)〜
(3)を満足する2つの紡糸原液を芯鞘複合紡糸をし、
乾燥緻密化前に80℃以下の温度で含水率20重量%以
下に乾燥することを特徴とする中空アクリル繊維の製造
方法を第二の要旨とする。 −5≦ΔG≦5 ・・・(1) −5≦ΔC≦20 ・・・(2) ΔG≦0.4×ΔC−0.5 ・・・(3)
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の中空アクリル繊維は、芯
鞘間に繊維軸方向に連続する中空部を有し、後述する中
空率が繊維断面に対し5〜40%、より好ましくは15
〜25%である中空アクリル繊維であり、さらに中空ア
クリル繊維が、芯と鞘ともにアクリロニトリル(以下、
AN)系共重合体からなるので、アクリル繊維の優れた
特性と中空の構造からくる保温性、吸水性を両立するも
のである。中空率が5%未満では、中空部による保温
性、吸湿性の確保が不十分であり、40%を超えると、
繊維のつぶれ等が生じ易くなる。
【0008】そして、アクリル酸メチルを共重合成分と
するAN系共重合体を鞘成分とした場合、たとえば鞘成
分のアクリロニトリル系重合体として、アクリロニトリ
ル90重量%以上、かつアクリル酸メチル1重量%以
上、より好ましくはアクリロニトリル90重量%以上、
かつアクリル酸メチル3重量%以上の共重合体とした場
合、上記の特性に加えて、繊維の結節強度(g/d)と
結節伸度(%)の積が50以下である抗ピル性に優れた
アクリル繊維が得られ好ましい。
【0009】次に本発明の中空アクリル繊維の製造方法
について説明する。本発明において、アクリロニトリル
共系重合体の固有の凝固価が、芯鞘間に繊維軸方向に連
続する中空部を形成するか否かに重要である。
【0010】本発明において、凝固価とは、以下の方法
で測定される値である。 (1)1重量%のアクリロニトリル系重合体溶液50m
lを調製する。溶媒には、ジメチルアセトアミドを使用
し、溶解温度は室温〜100℃、溶解時間は、0.5〜
1.5時間で、これらの溶解条件は、各ポリマ−の性質
により適宜選択される。
【0011】(2)27℃に温調した上記1重量%ポリ
マ−溶液50mlにスタ−ラ−で攪拌しながら、蒸留水
をビュレットにて約0.5ml/分の速さで滴下し、ポ
リマーの凝固沈殿が生じる初濁点までの蒸留水の滴下量
(ml)を測定する。
【0012】(3)以上の測定を3回行い、平均滴下量
(ml)を凝固価と定義する。
【0013】本発明の中空アクリル繊維の製造方法にお
いて、鞘を形成するアクリロニトリル系重合体の凝固価
から芯を形成するアクリロニトリル系重合体の凝固価を
引いた凝固価差(ΔG)が−5以上5以下であることが
繊維軸方向に連続する中空部を形成し、5%以上の中空
率を実現するため必要である。上記の凝固価差が−5未
満もしくは5を越える場合は、中空部の形成かつ、安定
な紡糸が不可能となる。
【0014】芯、鞘を形成するアクリロニトリル系重合
体としては、ポリアクリロニトリルあるいは、アクリロ
ニトリルと各種ビニル系モノマ−との共重合体が使用可
能である。ビニル系モノマ−としては、例えば酢酸ビニ
ル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸、アクリル酸メチル、臭化ビニル、メ
タクリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、上記の凝
固価差を満たす範囲で芯、鞘を形成するアクリロニトリ
ル系重合体を適宜選択して使用可能である。
【0015】また、本発明の中空アクリル繊維の製造方
法において、鞘を形成する紡糸原液のアクリロニトリル
系重合体の濃度から芯を形成する紡糸原液のアクリロニ
トリル系重合体の濃度を引いた濃度差(ΔC)−5重量
%以上20重量%以下であることが繊維軸方向に連続す
る中空部を形成し、5%以上の中空率を実現するため必
要である。上記濃度差が−5重量%未満あるいは20重
量%を超えると、中空部が形成されない、もしくは中空
率が低くなり、本発明の中空構造を充分に達成すること
ができない。さらに上記ΔGとΔCとの間にΔG≦0.
4×ΔC−0.5を満足することが必要である。この関
係を満足しない場合には、本発明の中空構造を充分に達
成することができない。
【0016】鞘成分、芯成分の各紡糸原液に用いられる
溶剤としては、アクリロニトリル系重合体の溶剤として
一般に用いられている溶剤が適用可能であり、例えばジ
メチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、γ−ブチ
ロラクトン、エチレンカーボネート、硝酸チオシアン酸
ナトリウム、塩化亜鉛水溶液等が挙げられる。
【0017】芯、鞘を形成する各紡糸原液のアクリロニ
トリル系重合体の濃度は、上記濃度差を満足していれ
ば、特に限定されるものではないが、抗ピル性が良好
な、結節強度と結節伸度の積が50以下の繊維を得る上
では、一方の紡糸原液の重合体濃度を22重量%以下と
することが好ましいことである。
【0018】本発明の中空アクリル繊維の製造方法にお
いて、前記の芯、鞘を形成する紡糸原液は、公知の芯鞘
複合紡糸口金を用いて紡糸できる。芯鞘複合紡糸口金
は、特殊なものではなく、その構造は特に限定しない。
複合紡糸における紡糸方式としては、紡糸原液を凝固浴
に紡出する方式の湿式紡糸法、乾湿式紡糸法が好ましく
用いられる。また、芯、鞘の紡糸原液の吐出量の比は、
特に限定はされないが、中空部の形成及び保持上、好ま
しくは芯/鞘比(重合体重量比)が1/1〜1/20、
より好ましくは1/3〜1/10である。
【0019】芯鞘複合紡糸口金から紡出された紡出糸
は、乾燥緻密化処理に先立ち、80℃以下の温度で含水
率20%以下に乾燥処理することが中空部の形成に必要
である。この含水率調整のための乾燥処理には、例えば
80℃以下の温度の低温ローラーの通過やエアーの吹き
付けによる方法等が適宜選択可能である。この乾燥処理
は、乾燥緻密化処理の前であればよく、カスケード延伸
の前後どちらで行ってもよいが、カスケ−ド延伸工程の
前に実施し、含水率調整の後に高倍率に湿熱延伸等で延
伸することが中空構造を発達させる上で好ましい。本発
明の中空アクリル繊維において、この含水率調整のため
の乾燥処理により、芯鞘成分間の相溶性の低下及び鞘部
の変形の抑止により起こる芯鞘部間での界面剥離によっ
て、芯鞘間に三日月状またはリング状の繊維軸方向に連
続した中空部が形成される。この中空部は、後の乾燥緻
密化処理によって固定化され、製糸工程での各種後工程
によっても消失することはない。
【0020】中空部が固定化されたアクリル繊維は、1
00℃以上の加温ロ−ラ−等の公知の方法で乾燥緻密化
処理され、中空アクリル繊維となる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、繊維の結節強度、結節伸度の測定は、JIS
L1013、抗ピル性の判定は、JIS L1076
A法、吸水性の測定は、JIS L1018B法バイレ
ック法に拠った。また、中空化率、中空率は、以下のよ
うにして求めた。
【0022】(中空化率)繊維の断面写真を顕微鏡で撮
影(倍率;500倍)し、繊維の断面形状を観察し、有
芯中空化した繊維の本数が観察総数に対する割合を算出
した。
【0023】(中空率)繊維の断面写真を顕微鏡で撮影
(倍率;500倍)後、写真から各単繊維ごとに、繊維
全体の面積(a1+a2)と中空部分の面積(a2)を求
め以下の式に従い中空率(%)を算出した。 中空率(%)=a2/(a1+a2)×100 40〜50本の試料の中空率を測定し、これらの平均値
をその試料の中空率(%)と定義した。
【0024】(アクリロニトリル系重合体)表1に示し
たように凝固価の異なるアクリロニトリル系重合体A〜
Gを用意した。
【0025】
【表1】
【0026】(実施例1〜15、比較例1〜4)表1に
示したアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミ
ドに溶解し、所定の濃度の紡糸原液を調整し、表2に示
した組み合わせで芯鞘複合紡糸口金からジメチルアセト
アミド水溶液中に紡出した。
【0027】紡出糸は、沸水洗浄、5〜6倍カスケード
延伸したのち、25℃のエアーを吹き付けて含水率を調
整し、さらに表面温度120℃〜200℃の加熱ローラ
ーで乾燥緻密化処理行い、単糸繊度3〜6デニールのア
クリル繊維を得た。
【0028】得られたアクリル繊維の中空率を測定し、
表2に合わせて示した。さらに、実施例1、4、5およ
び14のアクリル繊維は、引張強度、引張伸度、結節強
度、結節伸度、抗ピル性、および吸水性を評価し表3に
示した。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】(比較例5)エアーを吹き付けて含水率の
調整をしない他は、実施例5と同様に操作を行い、単繊
度3デニ−ルのアクリル繊維を得た。得られた繊維は、
その断面に中空部を有しない中実糸であった。
【0032】(比較例7)25℃のエアーを吹き付けて
含水率を40%としたほかは、実施例5と同様に操作を
行い、単繊度3デニ−ルのアクリル繊維を得た。得られ
た繊維は、その断面に中空部を有するものと中空部を有
しないものが、混在するものであった。
【0033】
【発明の効果】本発明の中空アクリル繊維は、多孔状で
なく繊維軸方向に連続した中空部を有し、優れた保温
性、吸水性を有する。また、本発明の中空アクリル繊維
の製造方法は、通常の芯鞘複合紡糸口金で、特殊な重合
体を使用することなしに、また、特別な製造工程を使用
することなしに安定にかつ生産性良く、前記中空アクリ
ル繊維を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ΔG(縦軸)とΔC(横軸)に対して実施例を
プロットしたものである。
【符号の説明】
1 ΔG=0.4×ΔC−0.5のプロット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 益井 得江 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯鞘間に繊維軸方向に連続する中空部を
    有する中空アクリル繊維であって、芯と鞘ともにアクリ
    ロニトリル系重合体からなり、中空率が5%〜40%で
    あることを特徴とする中空アクリル繊維。
  2. 【請求項2】 有機溶剤でアクリロニトリル系重合体を
    溶解した紡糸原液を芯鞘複合紡糸する中空アクリル繊維
    の製造方法であって、鞘を形成するアクリロニトリル系
    重合体の凝固価から芯を形成するアクリロニトリル系重
    合体の凝固価を引いた凝固価の差(ΔG)と鞘を形成す
    る紡糸原液のアクリロニトリル系重合体濃度から芯を形
    成する紡糸原液のアクリロニトリル系重合体濃度を引い
    た濃度差(ΔC)が下式(1)〜(3)を満足する2つ
    の紡糸原液を芯鞘複合紡糸をし、乾燥緻密化前に80℃
    以下の温度で含水率20重量%以下に乾燥することを特
    徴とする中空アクリル繊維の製造方法。 −5≦ΔG≦5 ・・・(1) −5≦ΔC≦20 ・・・(2) ΔG≦0.4×ΔC−0.5 ・・・(3)
JP23844995A 1995-09-18 1995-09-18 中空アクリル繊維およびその製造方法 Pending JPH0978355A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112008001927T5 (de) 2007-07-31 2010-06-24 Stella Chemifa Corp. Verfahren zum Herstellen eines Körpers mit Hohlstruktur

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112008001927T5 (de) 2007-07-31 2010-06-24 Stella Chemifa Corp. Verfahren zum Herstellen eines Körpers mit Hohlstruktur
US8366980B2 (en) 2007-07-31 2013-02-05 Stella Chemifa Corporation Method for producing hollow structual body
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