JPH0978355A - 中空アクリル繊維およびその製造方法 - Google Patents
中空アクリル繊維およびその製造方法Info
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- JPH0978355A JPH0978355A JP23844995A JP23844995A JPH0978355A JP H0978355 A JPH0978355 A JP H0978355A JP 23844995 A JP23844995 A JP 23844995A JP 23844995 A JP23844995 A JP 23844995A JP H0978355 A JPH0978355 A JP H0978355A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 多孔状でなく繊維軸方向に連続した中空部を
有し、優れた保温性、吸水性を有する中空アクリル繊
維、および、通常の芯鞘複合紡糸口金で、かつ特殊な重
合体を使用することなしに、また、特別な製造工程を使
用することなしに安定にかつ生産性良く、前記中空アク
リル繊維を製造する方法を提供する。 【解決手段】 芯鞘間に繊維軸方向に連続する中空部を
有する中空アクリル繊維であって、芯と鞘ともにアクリ
ロニトリル系重合体からなり、中空率が5%〜40%で
ある中空アクリル繊維および、凝固価の差(ΔG)と濃
度差(ΔC)が式(1)〜(3)を満足する2つの紡糸
原液を芯鞘複合紡糸をし、乾燥緻密化前に80℃以下の
温度で含水率20重量%以下に乾燥する中空アクリル繊
維の製造方法である。
有し、優れた保温性、吸水性を有する中空アクリル繊
維、および、通常の芯鞘複合紡糸口金で、かつ特殊な重
合体を使用することなしに、また、特別な製造工程を使
用することなしに安定にかつ生産性良く、前記中空アク
リル繊維を製造する方法を提供する。 【解決手段】 芯鞘間に繊維軸方向に連続する中空部を
有する中空アクリル繊維であって、芯と鞘ともにアクリ
ロニトリル系重合体からなり、中空率が5%〜40%で
ある中空アクリル繊維および、凝固価の差(ΔG)と濃
度差(ΔC)が式(1)〜(3)を満足する2つの紡糸
原液を芯鞘複合紡糸をし、乾燥緻密化前に80℃以下の
温度で含水率20重量%以下に乾燥する中空アクリル繊
維の製造方法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空アクリル繊維
及びその製造方法に関する。
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アクリル繊維の保温性あるい
は吸水性を向上させるために、繊維を中空構造とする提
案が多数なされ、例えば、延伸条件によりスキン層を形
成する方法(特開昭61−28014号公報)、芯成分
の重合体濃度を低くし芯鞘複合紡糸する方法(特開昭6
0−18332号公報)、芯成分の重合体の親水性を高
くし芯鞘複合紡糸する方法(特公昭62−7286号公
報)、芯成分に高分子量の重合体を用い芯成分の原液を
低くし芯鞘複合紡糸する方法(特開平3−249215
号公報)等が知られている。
は吸水性を向上させるために、繊維を中空構造とする提
案が多数なされ、例えば、延伸条件によりスキン層を形
成する方法(特開昭61−28014号公報)、芯成分
の重合体濃度を低くし芯鞘複合紡糸する方法(特開昭6
0−18332号公報)、芯成分の重合体の親水性を高
くし芯鞘複合紡糸する方法(特公昭62−7286号公
報)、芯成分に高分子量の重合体を用い芯成分の原液を
低くし芯鞘複合紡糸する方法(特開平3−249215
号公報)等が知られている。
【0003】しかしながら、これらの提案では、連続し
た中空構造が得られず多孔状となることが多く、中空構
造とするには、使用できる共重合体組成が限定されると
共に芯成分の原液濃度を低くする必要があり、そのため
芯鞘間の粘度差が大きくなり、通常の芯鞘複合紡糸口金
では安定に中空繊維を得ることが困難であった。
た中空構造が得られず多孔状となることが多く、中空構
造とするには、使用できる共重合体組成が限定されると
共に芯成分の原液濃度を低くする必要があり、そのため
芯鞘間の粘度差が大きくなり、通常の芯鞘複合紡糸口金
では安定に中空繊維を得ることが困難であった。
【0004】また、芯成分の原液を低濃度に維持し、か
つ高粘度とするためには分子量が非常に高い特殊な重合
体の使用が要求される等の問題点を有している。
つ高粘度とするためには分子量が非常に高い特殊な重合
体の使用が要求される等の問題点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、多孔
状でなく繊維軸方向に連続した中空部を有し、優れた保
温性、吸水性を有する中空アクリル繊維、および、通常
の芯鞘複合紡糸口金で、かつ特殊な重合体を使用するこ
となしに、また、特別な製造工程を使用することなしに
安定にかつ生産性良く、前記中空アクリル繊維を製造す
る方法を提供することにある。
状でなく繊維軸方向に連続した中空部を有し、優れた保
温性、吸水性を有する中空アクリル繊維、および、通常
の芯鞘複合紡糸口金で、かつ特殊な重合体を使用するこ
となしに、また、特別な製造工程を使用することなしに
安定にかつ生産性良く、前記中空アクリル繊維を製造す
る方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、芯鞘間に繊維
軸方向に連続する中空部を有する中空アクリル繊維であ
って、芯と鞘ともにアクリロニトリル系重合体からな
り、中空率が5%〜40%であることを特徴とする中空
アクリル繊維を第1の要旨とし、有機溶剤でアクリロニ
トリル系重合体を溶解した紡糸原液を芯鞘複合紡糸する
中空アクリル繊維の製造方法であって、鞘を形成するア
クリロニトリル系重合体の凝固価から芯を形成するアク
リロニトリル系重合体の凝固価を引いた凝固価の差(Δ
G)と鞘を形成する紡糸原液のアクリロニトリル系重合
体濃度から芯を形成する紡糸原液のアクリロニトリル系
重合体濃度を引いた濃度差(ΔC)が下式(1)〜
(3)を満足する2つの紡糸原液を芯鞘複合紡糸をし、
乾燥緻密化前に80℃以下の温度で含水率20重量%以
下に乾燥することを特徴とする中空アクリル繊維の製造
方法を第二の要旨とする。 −5≦ΔG≦5 ・・・(1) −5≦ΔC≦20 ・・・(2) ΔG≦0.4×ΔC−0.5 ・・・(3)
軸方向に連続する中空部を有する中空アクリル繊維であ
って、芯と鞘ともにアクリロニトリル系重合体からな
り、中空率が5%〜40%であることを特徴とする中空
アクリル繊維を第1の要旨とし、有機溶剤でアクリロニ
トリル系重合体を溶解した紡糸原液を芯鞘複合紡糸する
中空アクリル繊維の製造方法であって、鞘を形成するア
クリロニトリル系重合体の凝固価から芯を形成するアク
リロニトリル系重合体の凝固価を引いた凝固価の差(Δ
G)と鞘を形成する紡糸原液のアクリロニトリル系重合
体濃度から芯を形成する紡糸原液のアクリロニトリル系
重合体濃度を引いた濃度差(ΔC)が下式(1)〜
(3)を満足する2つの紡糸原液を芯鞘複合紡糸をし、
乾燥緻密化前に80℃以下の温度で含水率20重量%以
下に乾燥することを特徴とする中空アクリル繊維の製造
方法を第二の要旨とする。 −5≦ΔG≦5 ・・・(1) −5≦ΔC≦20 ・・・(2) ΔG≦0.4×ΔC−0.5 ・・・(3)
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の中空アクリル繊維は、芯
鞘間に繊維軸方向に連続する中空部を有し、後述する中
空率が繊維断面に対し5〜40%、より好ましくは15
〜25%である中空アクリル繊維であり、さらに中空ア
クリル繊維が、芯と鞘ともにアクリロニトリル(以下、
AN)系共重合体からなるので、アクリル繊維の優れた
特性と中空の構造からくる保温性、吸水性を両立するも
のである。中空率が5%未満では、中空部による保温
性、吸湿性の確保が不十分であり、40%を超えると、
繊維のつぶれ等が生じ易くなる。
鞘間に繊維軸方向に連続する中空部を有し、後述する中
空率が繊維断面に対し5〜40%、より好ましくは15
〜25%である中空アクリル繊維であり、さらに中空ア
クリル繊維が、芯と鞘ともにアクリロニトリル(以下、
AN)系共重合体からなるので、アクリル繊維の優れた
特性と中空の構造からくる保温性、吸水性を両立するも
のである。中空率が5%未満では、中空部による保温
性、吸湿性の確保が不十分であり、40%を超えると、
繊維のつぶれ等が生じ易くなる。
【0008】そして、アクリル酸メチルを共重合成分と
するAN系共重合体を鞘成分とした場合、たとえば鞘成
分のアクリロニトリル系重合体として、アクリロニトリ
ル90重量%以上、かつアクリル酸メチル1重量%以
上、より好ましくはアクリロニトリル90重量%以上、
かつアクリル酸メチル3重量%以上の共重合体とした場
合、上記の特性に加えて、繊維の結節強度(g/d)と
結節伸度(%)の積が50以下である抗ピル性に優れた
アクリル繊維が得られ好ましい。
するAN系共重合体を鞘成分とした場合、たとえば鞘成
分のアクリロニトリル系重合体として、アクリロニトリ
ル90重量%以上、かつアクリル酸メチル1重量%以
上、より好ましくはアクリロニトリル90重量%以上、
かつアクリル酸メチル3重量%以上の共重合体とした場
合、上記の特性に加えて、繊維の結節強度(g/d)と
結節伸度(%)の積が50以下である抗ピル性に優れた
アクリル繊維が得られ好ましい。
【0009】次に本発明の中空アクリル繊維の製造方法
について説明する。本発明において、アクリロニトリル
共系重合体の固有の凝固価が、芯鞘間に繊維軸方向に連
続する中空部を形成するか否かに重要である。
について説明する。本発明において、アクリロニトリル
共系重合体の固有の凝固価が、芯鞘間に繊維軸方向に連
続する中空部を形成するか否かに重要である。
【0010】本発明において、凝固価とは、以下の方法
で測定される値である。 (1)1重量%のアクリロニトリル系重合体溶液50m
lを調製する。溶媒には、ジメチルアセトアミドを使用
し、溶解温度は室温〜100℃、溶解時間は、0.5〜
1.5時間で、これらの溶解条件は、各ポリマ−の性質
により適宜選択される。
で測定される値である。 (1)1重量%のアクリロニトリル系重合体溶液50m
lを調製する。溶媒には、ジメチルアセトアミドを使用
し、溶解温度は室温〜100℃、溶解時間は、0.5〜
1.5時間で、これらの溶解条件は、各ポリマ−の性質
により適宜選択される。
【0011】(2)27℃に温調した上記1重量%ポリ
マ−溶液50mlにスタ−ラ−で攪拌しながら、蒸留水
をビュレットにて約0.5ml/分の速さで滴下し、ポ
リマーの凝固沈殿が生じる初濁点までの蒸留水の滴下量
(ml)を測定する。
マ−溶液50mlにスタ−ラ−で攪拌しながら、蒸留水
をビュレットにて約0.5ml/分の速さで滴下し、ポ
リマーの凝固沈殿が生じる初濁点までの蒸留水の滴下量
(ml)を測定する。
【0012】(3)以上の測定を3回行い、平均滴下量
(ml)を凝固価と定義する。
(ml)を凝固価と定義する。
【0013】本発明の中空アクリル繊維の製造方法にお
いて、鞘を形成するアクリロニトリル系重合体の凝固価
から芯を形成するアクリロニトリル系重合体の凝固価を
引いた凝固価差(ΔG)が−5以上5以下であることが
繊維軸方向に連続する中空部を形成し、5%以上の中空
率を実現するため必要である。上記の凝固価差が−5未
満もしくは5を越える場合は、中空部の形成かつ、安定
な紡糸が不可能となる。
いて、鞘を形成するアクリロニトリル系重合体の凝固価
から芯を形成するアクリロニトリル系重合体の凝固価を
引いた凝固価差(ΔG)が−5以上5以下であることが
繊維軸方向に連続する中空部を形成し、5%以上の中空
率を実現するため必要である。上記の凝固価差が−5未
満もしくは5を越える場合は、中空部の形成かつ、安定
な紡糸が不可能となる。
【0014】芯、鞘を形成するアクリロニトリル系重合
体としては、ポリアクリロニトリルあるいは、アクリロ
ニトリルと各種ビニル系モノマ−との共重合体が使用可
能である。ビニル系モノマ−としては、例えば酢酸ビニ
ル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸、アクリル酸メチル、臭化ビニル、メ
タクリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、上記の凝
固価差を満たす範囲で芯、鞘を形成するアクリロニトリ
ル系重合体を適宜選択して使用可能である。
体としては、ポリアクリロニトリルあるいは、アクリロ
ニトリルと各種ビニル系モノマ−との共重合体が使用可
能である。ビニル系モノマ−としては、例えば酢酸ビニ
ル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸、アクリル酸メチル、臭化ビニル、メ
タクリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、上記の凝
固価差を満たす範囲で芯、鞘を形成するアクリロニトリ
ル系重合体を適宜選択して使用可能である。
【0015】また、本発明の中空アクリル繊維の製造方
法において、鞘を形成する紡糸原液のアクリロニトリル
系重合体の濃度から芯を形成する紡糸原液のアクリロニ
トリル系重合体の濃度を引いた濃度差(ΔC)−5重量
%以上20重量%以下であることが繊維軸方向に連続す
る中空部を形成し、5%以上の中空率を実現するため必
要である。上記濃度差が−5重量%未満あるいは20重
量%を超えると、中空部が形成されない、もしくは中空
率が低くなり、本発明の中空構造を充分に達成すること
ができない。さらに上記ΔGとΔCとの間にΔG≦0.
4×ΔC−0.5を満足することが必要である。この関
係を満足しない場合には、本発明の中空構造を充分に達
成することができない。
法において、鞘を形成する紡糸原液のアクリロニトリル
系重合体の濃度から芯を形成する紡糸原液のアクリロニ
トリル系重合体の濃度を引いた濃度差(ΔC)−5重量
%以上20重量%以下であることが繊維軸方向に連続す
る中空部を形成し、5%以上の中空率を実現するため必
要である。上記濃度差が−5重量%未満あるいは20重
量%を超えると、中空部が形成されない、もしくは中空
率が低くなり、本発明の中空構造を充分に達成すること
ができない。さらに上記ΔGとΔCとの間にΔG≦0.
4×ΔC−0.5を満足することが必要である。この関
係を満足しない場合には、本発明の中空構造を充分に達
成することができない。
【0016】鞘成分、芯成分の各紡糸原液に用いられる
溶剤としては、アクリロニトリル系重合体の溶剤として
一般に用いられている溶剤が適用可能であり、例えばジ
メチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、γ−ブチ
ロラクトン、エチレンカーボネート、硝酸チオシアン酸
ナトリウム、塩化亜鉛水溶液等が挙げられる。
溶剤としては、アクリロニトリル系重合体の溶剤として
一般に用いられている溶剤が適用可能であり、例えばジ
メチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、γ−ブチ
ロラクトン、エチレンカーボネート、硝酸チオシアン酸
ナトリウム、塩化亜鉛水溶液等が挙げられる。
【0017】芯、鞘を形成する各紡糸原液のアクリロニ
トリル系重合体の濃度は、上記濃度差を満足していれ
ば、特に限定されるものではないが、抗ピル性が良好
な、結節強度と結節伸度の積が50以下の繊維を得る上
では、一方の紡糸原液の重合体濃度を22重量%以下と
することが好ましいことである。
トリル系重合体の濃度は、上記濃度差を満足していれ
ば、特に限定されるものではないが、抗ピル性が良好
な、結節強度と結節伸度の積が50以下の繊維を得る上
では、一方の紡糸原液の重合体濃度を22重量%以下と
することが好ましいことである。
【0018】本発明の中空アクリル繊維の製造方法にお
いて、前記の芯、鞘を形成する紡糸原液は、公知の芯鞘
複合紡糸口金を用いて紡糸できる。芯鞘複合紡糸口金
は、特殊なものではなく、その構造は特に限定しない。
複合紡糸における紡糸方式としては、紡糸原液を凝固浴
に紡出する方式の湿式紡糸法、乾湿式紡糸法が好ましく
用いられる。また、芯、鞘の紡糸原液の吐出量の比は、
特に限定はされないが、中空部の形成及び保持上、好ま
しくは芯/鞘比(重合体重量比)が1/1〜1/20、
より好ましくは1/3〜1/10である。
いて、前記の芯、鞘を形成する紡糸原液は、公知の芯鞘
複合紡糸口金を用いて紡糸できる。芯鞘複合紡糸口金
は、特殊なものではなく、その構造は特に限定しない。
複合紡糸における紡糸方式としては、紡糸原液を凝固浴
に紡出する方式の湿式紡糸法、乾湿式紡糸法が好ましく
用いられる。また、芯、鞘の紡糸原液の吐出量の比は、
特に限定はされないが、中空部の形成及び保持上、好ま
しくは芯/鞘比(重合体重量比)が1/1〜1/20、
より好ましくは1/3〜1/10である。
【0019】芯鞘複合紡糸口金から紡出された紡出糸
は、乾燥緻密化処理に先立ち、80℃以下の温度で含水
率20%以下に乾燥処理することが中空部の形成に必要
である。この含水率調整のための乾燥処理には、例えば
80℃以下の温度の低温ローラーの通過やエアーの吹き
付けによる方法等が適宜選択可能である。この乾燥処理
は、乾燥緻密化処理の前であればよく、カスケード延伸
の前後どちらで行ってもよいが、カスケ−ド延伸工程の
前に実施し、含水率調整の後に高倍率に湿熱延伸等で延
伸することが中空構造を発達させる上で好ましい。本発
明の中空アクリル繊維において、この含水率調整のため
の乾燥処理により、芯鞘成分間の相溶性の低下及び鞘部
の変形の抑止により起こる芯鞘部間での界面剥離によっ
て、芯鞘間に三日月状またはリング状の繊維軸方向に連
続した中空部が形成される。この中空部は、後の乾燥緻
密化処理によって固定化され、製糸工程での各種後工程
によっても消失することはない。
は、乾燥緻密化処理に先立ち、80℃以下の温度で含水
率20%以下に乾燥処理することが中空部の形成に必要
である。この含水率調整のための乾燥処理には、例えば
80℃以下の温度の低温ローラーの通過やエアーの吹き
付けによる方法等が適宜選択可能である。この乾燥処理
は、乾燥緻密化処理の前であればよく、カスケード延伸
の前後どちらで行ってもよいが、カスケ−ド延伸工程の
前に実施し、含水率調整の後に高倍率に湿熱延伸等で延
伸することが中空構造を発達させる上で好ましい。本発
明の中空アクリル繊維において、この含水率調整のため
の乾燥処理により、芯鞘成分間の相溶性の低下及び鞘部
の変形の抑止により起こる芯鞘部間での界面剥離によっ
て、芯鞘間に三日月状またはリング状の繊維軸方向に連
続した中空部が形成される。この中空部は、後の乾燥緻
密化処理によって固定化され、製糸工程での各種後工程
によっても消失することはない。
【0020】中空部が固定化されたアクリル繊維は、1
00℃以上の加温ロ−ラ−等の公知の方法で乾燥緻密化
処理され、中空アクリル繊維となる。
00℃以上の加温ロ−ラ−等の公知の方法で乾燥緻密化
処理され、中空アクリル繊維となる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、繊維の結節強度、結節伸度の測定は、JIS
L1013、抗ピル性の判定は、JIS L1076
A法、吸水性の測定は、JIS L1018B法バイレ
ック法に拠った。また、中空化率、中空率は、以下のよ
うにして求めた。
る。なお、繊維の結節強度、結節伸度の測定は、JIS
L1013、抗ピル性の判定は、JIS L1076
A法、吸水性の測定は、JIS L1018B法バイレ
ック法に拠った。また、中空化率、中空率は、以下のよ
うにして求めた。
【0022】(中空化率)繊維の断面写真を顕微鏡で撮
影(倍率;500倍)し、繊維の断面形状を観察し、有
芯中空化した繊維の本数が観察総数に対する割合を算出
した。
影(倍率;500倍)し、繊維の断面形状を観察し、有
芯中空化した繊維の本数が観察総数に対する割合を算出
した。
【0023】(中空率)繊維の断面写真を顕微鏡で撮影
(倍率;500倍)後、写真から各単繊維ごとに、繊維
全体の面積(a1+a2)と中空部分の面積(a2)を求
め以下の式に従い中空率(%)を算出した。 中空率(%)=a2/(a1+a2)×100 40〜50本の試料の中空率を測定し、これらの平均値
をその試料の中空率(%)と定義した。
(倍率;500倍)後、写真から各単繊維ごとに、繊維
全体の面積(a1+a2)と中空部分の面積(a2)を求
め以下の式に従い中空率(%)を算出した。 中空率(%)=a2/(a1+a2)×100 40〜50本の試料の中空率を測定し、これらの平均値
をその試料の中空率(%)と定義した。
【0024】(アクリロニトリル系重合体)表1に示し
たように凝固価の異なるアクリロニトリル系重合体A〜
Gを用意した。
たように凝固価の異なるアクリロニトリル系重合体A〜
Gを用意した。
【0025】
【表1】
【0026】(実施例1〜15、比較例1〜4)表1に
示したアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミ
ドに溶解し、所定の濃度の紡糸原液を調整し、表2に示
した組み合わせで芯鞘複合紡糸口金からジメチルアセト
アミド水溶液中に紡出した。
示したアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミ
ドに溶解し、所定の濃度の紡糸原液を調整し、表2に示
した組み合わせで芯鞘複合紡糸口金からジメチルアセト
アミド水溶液中に紡出した。
【0027】紡出糸は、沸水洗浄、5〜6倍カスケード
延伸したのち、25℃のエアーを吹き付けて含水率を調
整し、さらに表面温度120℃〜200℃の加熱ローラ
ーで乾燥緻密化処理行い、単糸繊度3〜6デニールのア
クリル繊維を得た。
延伸したのち、25℃のエアーを吹き付けて含水率を調
整し、さらに表面温度120℃〜200℃の加熱ローラ
ーで乾燥緻密化処理行い、単糸繊度3〜6デニールのア
クリル繊維を得た。
【0028】得られたアクリル繊維の中空率を測定し、
表2に合わせて示した。さらに、実施例1、4、5およ
び14のアクリル繊維は、引張強度、引張伸度、結節強
度、結節伸度、抗ピル性、および吸水性を評価し表3に
示した。
表2に合わせて示した。さらに、実施例1、4、5およ
び14のアクリル繊維は、引張強度、引張伸度、結節強
度、結節伸度、抗ピル性、および吸水性を評価し表3に
示した。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】(比較例5)エアーを吹き付けて含水率の
調整をしない他は、実施例5と同様に操作を行い、単繊
度3デニ−ルのアクリル繊維を得た。得られた繊維は、
その断面に中空部を有しない中実糸であった。
調整をしない他は、実施例5と同様に操作を行い、単繊
度3デニ−ルのアクリル繊維を得た。得られた繊維は、
その断面に中空部を有しない中実糸であった。
【0032】(比較例7)25℃のエアーを吹き付けて
含水率を40%としたほかは、実施例5と同様に操作を
行い、単繊度3デニ−ルのアクリル繊維を得た。得られ
た繊維は、その断面に中空部を有するものと中空部を有
しないものが、混在するものであった。
含水率を40%としたほかは、実施例5と同様に操作を
行い、単繊度3デニ−ルのアクリル繊維を得た。得られ
た繊維は、その断面に中空部を有するものと中空部を有
しないものが、混在するものであった。
【0033】
【発明の効果】本発明の中空アクリル繊維は、多孔状で
なく繊維軸方向に連続した中空部を有し、優れた保温
性、吸水性を有する。また、本発明の中空アクリル繊維
の製造方法は、通常の芯鞘複合紡糸口金で、特殊な重合
体を使用することなしに、また、特別な製造工程を使用
することなしに安定にかつ生産性良く、前記中空アクリ
ル繊維を製造することができる。
なく繊維軸方向に連続した中空部を有し、優れた保温
性、吸水性を有する。また、本発明の中空アクリル繊維
の製造方法は、通常の芯鞘複合紡糸口金で、特殊な重合
体を使用することなしに、また、特別な製造工程を使用
することなしに安定にかつ生産性良く、前記中空アクリ
ル繊維を製造することができる。
【図1】ΔG(縦軸)とΔC(横軸)に対して実施例を
プロットしたものである。
プロットしたものである。
1 ΔG=0.4×ΔC−0.5のプロット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 益井 得江 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 芯鞘間に繊維軸方向に連続する中空部を
有する中空アクリル繊維であって、芯と鞘ともにアクリ
ロニトリル系重合体からなり、中空率が5%〜40%で
あることを特徴とする中空アクリル繊維。 - 【請求項2】 有機溶剤でアクリロニトリル系重合体を
溶解した紡糸原液を芯鞘複合紡糸する中空アクリル繊維
の製造方法であって、鞘を形成するアクリロニトリル系
重合体の凝固価から芯を形成するアクリロニトリル系重
合体の凝固価を引いた凝固価の差(ΔG)と鞘を形成す
る紡糸原液のアクリロニトリル系重合体濃度から芯を形
成する紡糸原液のアクリロニトリル系重合体濃度を引い
た濃度差(ΔC)が下式(1)〜(3)を満足する2つ
の紡糸原液を芯鞘複合紡糸をし、乾燥緻密化前に80℃
以下の温度で含水率20重量%以下に乾燥することを特
徴とする中空アクリル繊維の製造方法。 −5≦ΔG≦5 ・・・(1) −5≦ΔC≦20 ・・・(2) ΔG≦0.4×ΔC−0.5 ・・・(3)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23844995A JPH0978355A (ja) | 1995-09-18 | 1995-09-18 | 中空アクリル繊維およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23844995A JPH0978355A (ja) | 1995-09-18 | 1995-09-18 | 中空アクリル繊維およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0978355A true JPH0978355A (ja) | 1997-03-25 |
Family
ID=17030391
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23844995A Pending JPH0978355A (ja) | 1995-09-18 | 1995-09-18 | 中空アクリル繊維およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0978355A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112008001927T5 (de) | 2007-07-31 | 2010-06-24 | Stella Chemifa Corp. | Verfahren zum Herstellen eines Körpers mit Hohlstruktur |
-
1995
- 1995-09-18 JP JP23844995A patent/JPH0978355A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112008001927T5 (de) | 2007-07-31 | 2010-06-24 | Stella Chemifa Corp. | Verfahren zum Herstellen eines Körpers mit Hohlstruktur |
US8366980B2 (en) | 2007-07-31 | 2013-02-05 | Stella Chemifa Corporation | Method for producing hollow structual body |
US8668851B2 (en) | 2007-07-31 | 2014-03-11 | Stella Chemifa Corporation | Method for producing hollow structural body |
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