JPH097818A - キャンセルコイル付き超電導四極磁石 - Google Patents

キャンセルコイル付き超電導四極磁石

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JPH097818A
JPH097818A JP15434695A JP15434695A JPH097818A JP H097818 A JPH097818 A JP H097818A JP 15434695 A JP15434695 A JP 15434695A JP 15434695 A JP15434695 A JP 15434695A JP H097818 A JPH097818 A JP H097818A
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JP
Japan
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coil
magnetic field
cancel
superconducting
axis
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JP15434695A
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Masaji Kitamura
正司 北村
Shigeru Kadokawa
角川  滋
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】磁石の中心軸に垂直な断面上において、θを周
方向の角度として、主超電導コイル1の外周に電流分布
が概ねcos2θ に比例するように模擬して配置した複数
の小コイル1′,1″を設け、電流を主超電導コイル1
による磁場を打ち消す向きに通電する。 【効果】磁性材を一切使用する必要がないので、磁気飽
和による悪影響が一切ない。また、冷却重量を低減する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は荷電粒子ビームの収束用
のキャンセルコイル付き超電導四極磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の超電導四極磁石の例としては、IE
EE Trans. on Magnetics, Vol.28, No.1, PP.145−147
に記載の「Mechanical and Electromagnetic Design of
theSSC QSE101 Quadrupole Ends」が挙げられる。超電
導コイルは、所謂「cos2θ巻」によるもので、超電導
コイルを複数の小超電導コイルにより構成し、磁石の断
面上における周(θ)方向の電流分布が概ねcos2θ を
模擬するように小超電導コイルのコイル配置を決めてい
る。また、超電導コイルによる外部への漏れ磁場は、極
低温に冷やされた鉄製磁気シールドにより遮蔽されいて
いる。
【0003】上記従来例では、漏れ磁場の遮蔽装置に磁
性材である鉄を使用しているため、鉄の磁気飽和による
磁場の乱れが生じやすい。また、鉄のシールド全体を極
低温に冷却しなければならないので、冷却重量が大きく
なる問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、磁気
遮蔽装置に磁性材を一切使用する必要がなく、しかも、
外部への漏れ磁場が十分小さな超電導四極磁石を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は四極超電導磁石の中心軸に垂直な断面上
に、中心軸を原点O、超電導コイルの電流分布に関する
対称軸をそれぞれx軸及びy軸とする2次元x−y座標
をとり、x軸から反時計回りに測った角度をθとして、
x−y平面上における周(θ)方向の電流分布が概ねco
s2θ に比例するように模擬して配置した複数の小コイ
ルよりなるキャンセルコイルを超電導コイルの外周側に
設け、キャンセルコイルの通電電流の向きを超電導コイ
ルによる磁場を打ち消す方向とする。
【0006】
【作用】超電導コイル及びキャンセルコイルは、磁石の
断面上において周(θ)方向の電流分布が概ねcos2θ
に比例するように配置が調整され、互いに通電電流の向
きが逆である。したがって、キャンセルコイルの起磁力
を適当に調節することにより、コイルより外側の外部領
域における両コイルの磁場は打ち消し合い、漏れ磁場を
十分に小さくすることができる。このとき、キャンセル
コイルは、超電導コイルの外周側に取り付けられている
ので、超電導コイルと比較して少ない起磁力のキャンセ
ルコイルにより効率的に漏れ磁場をシールドすることが
できる。
【0007】一方、コイルより内側の内部領域における
磁場では、超電導コイルとキャンセルコイルの通電電流
の向きが逆なので、キャンセルコイルによる磁場の分だ
け発生する四極磁場が小さくなる。しかし、超電導コイ
ルが中心部により近いことから、キャンセルコイルによ
る逆方向の四極磁場は比較的小さい。したがって、両コ
イルの起磁力を適宜調整することにより、所定の大きさ
の四極磁場を発生することができる。また、キャンセル
コイルは、超電導コイルと同様の周(θ)方向の電流分
布を持つように配置が調節してあるので、キャンセルコ
イルが作る、四極磁場以外の不要な磁場は少なく、良好
な四極磁場が得られる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図,図2,図3に
より説明する。
【0009】図1は、磁石の中心軸と垂直な方向の断面
における超電導四極磁石の断面図である。
【0010】主コイル1は、非磁性の巻枠3で支持,固
定され、x軸及びy軸に関して対称に配置した全部で1
2個の小コイル1′,1″より構成される。主コイル1
の配置はπ/2(ラジアン)の回転対称性を持つ。主コ
イル1は、a,b,c及びd部の四つの部分よりなり、
通電電流の向きは、aとc部,bとd部においてそれぞ
れ同じで、前者と後者における電流の向きは互いに逆で
ある。したがって、x軸及びy軸が電流分布に関する対
称軸になっている。また、x軸から反時計回りに測った
角度をθとして、主コイル1の周(θ)方向の電流分布
は概ねcos2θに比例するように小コイル1′,1″の
位置及び起磁力を調整してある。
【0011】一方、キャンセルコイル2も、非磁性の巻
枠3で支持,固定され、x軸及びy軸に関して対称に配
置した全部で12個の小コイル2′,2″より構成され
る。キャンセルコイル2の配置は、主コイル1と同様
に、π/2(ラジアン)の回転対称性を持つ。キャンセ
ルコイルは、e,f,g及びh部の四つの部分よりな
り、通電電流の向きは、eとg部,fとh部においてそ
れぞれ同じで、前者と後者における電流の向きは互いに
逆である。キャンセルコイル2の周(θ)方向の電流分
布は概ねcos2θ に比例するように小コイル2′、2″
の位置及び起磁力を調整してある。キャンセルコイル2
のe部と主コイル1のa部における電流の向きは互いに
逆方向である。fとb部,gとc部,hとd部の組につ
いても通電電流の向きに関して同じことが言える。
【0012】以上で説明した主コイル1及びキャンセル
コイル2は、いずれも超電導導体を巻回して形成したも
のである。これらを固定する巻枠3とともに極低温に冷
却される。
【0013】次に、本実施例における四極磁石の内部と
外部における磁束密度分布の特性について詳しく述べ
る。
【0014】Bx 及びBy を点(x,y)における磁束
密度のx及びy方向成分、z=x+iyを複素数を、n
(整数)を高次磁場の次数、cn を高次磁場の強度とし
て、これらの間には
【0015】
【数1】
【0016】の関係があり、右辺の各項が高次の磁場を
表わす。コイルより内側の内部領域では、原点Oで磁束
密度の大きさが有限でなければならないので、次数nが
0また正の高次磁場が対応する。また、コイルより外側
の磁石の外部領域では、無限遠で漏れ磁場の大きさがゼ
ロにならなければならないので、次数nが負の高次磁場
(漏れ磁場)が対応する。
【0017】対象が四極磁石の場合には、上で説明した
高次磁場の内で、内部領域ではn=1,5,9,…、外
部領域ではn=−3,−7,−11,…の奇数次の高次
磁場だけが発生する。これは、四極磁石におけるコイル
配置がπ/2(ラジアン)の回転対称性を持つことに起
因している。これらの高次磁場の中で、n=1の磁場が
四極磁場と呼ばれ、本発明の磁石で得ようとしている磁
場である。
【0018】純粋な四極磁場(n=1)を発生するため
には、周(θ)方向のコイルの電流分布を正確にcos2
θ とすれば良い。これは、マックスウエル方程式を解
くことにより証明することができる。ところが、実際の
四極超電導磁石では、こうした電流分布を実現すること
は不可能である。そこで、複数の小コイルを周(θ)方
向に並べて近似的にcos2θ の電流分布を持たせること
になる。しかし、このコイル配置は近似的なものなの
で、四極磁場より高次の磁場(n=5,9,13,…)
も同時に発生する。これらの高次磁場が、四極磁場の品
質を低下させる原因の不整磁場である。
【0019】本実施例の四極磁石では、それぞれ12個
の小コイル1′,1″及び2′,2″よりなる主コイル1
とキャンセルコイル2の位置と起磁力を調節することに
より、内部領域において所望の強度の四極磁場を発生す
ると共に不整磁場である5,9次の高次磁場が発生しな
いようにしている(c1 ≠0,c5=c9=0)。また、
外部領域では、主コイル1とキャンセルコイル2による
外部領域の磁場を互いに打ち消し合わせて、次数が大き
いのもから順に、−3,−7,−11次の高次漏れ磁場
が発生しないようにしている(c-3=c-7=c-11
0)。
【0020】次に、本実施例における小コイル1′,
1″及び2′,2″の位置と起磁力の最適化の方法を詳
しく述べる。
【0021】先ず、図2を用いてコイル配置の決定方法
の原理を説明する。コイル配置の最少単位である角度θ
が0からπ/4(ラジアン)の部分(全体の1/8)を
対象に考える。ここで、主コイル1とキャンセルコイル
2の電流密度が同じであるとする。この仮定が成り立た
ない場合には、コイルのθ方向の広がり角度を適当に調
節することにより、電流密度が一定と見なせるので、議
論の一般性は失われない。
【0022】図2の対象部分(全体の1/8)におい
て、自由に設定可能なコイル配置に関するパラメタとし
ては、超電導コイル1を構成する小コイル1′,1″の
広がり角度と中心位置Δφ1 ,φ2 ,Δφ2 とキャンセ
ルコイル2を構成する小コイル2′,2″の広がり角度
と中心位置Δθ1 ,Δθ2 ,θ2 の6個がある。ここ
で、コイルの広がり角度Δφ1 ,Δφ2 ,Δθ1 ,Δθ
2 が各小コイル1′,1″,2′,2″の起磁力に関係
する量である。一方、上で説明した高次磁場は、互いに
独立であり、適当なコイル配置を決めれば、高次磁場の
係数(強度)を自由に設定できる。このことから、高次
磁場の係数(強度)の中から自由に6個の係数を選び、
上記パラメタの大きさを適当な値に調節することによ
り、これらの係数を所望の大きさにできると考えられ
る。
【0023】本実施例は、上述の原理に従い、四極磁場
の強度を表わすc1 と内部領域における不整磁場の強度
5 ,c9 及び低次の漏れ磁場の強度c-3,c-7,c
-11 の6個の係数に注目し、コイル配置を最適化したも
のである。ここでは、選んだ係数cn の数は6である
が、上述の原理に従えば、主コイル1及びキャンセルコ
イル2を構成する小コイル1′,1″,2′,2″の数
を更に増やして調節可能なパラメタの数を多くすること
により、更に多くの係数cn を選ぶことが当然可能であ
る。
【0024】次に、最適化計算の概要について述べる。
小コイルの数,位置,起磁力等を決めることにより最適
なコイル配置が得られるが、以下では、電流分布だけに
注目した最適化の方法について説明する。最終的なコイ
ル位置は、最適な電流分布を模擬するように小コイル
1′,1″,2′,2″を並べ、これらの位置を微調整
することにより達成されるので、本質的ではないコイル
の位置の調整方法では省略する。
【0025】最適化計算の対象領域は、図2で説明した
領域と同じで、コイル配置の対称性を考慮して全体の1
/8である。本最適化計算では、コイルを配置したい領
域を扇型のコイル要素に適宜分割し、各コイル要素にお
ける電流密度ji(iは要素番号)を最適化の変数とす
る。解析対象は磁性材を含まず、線形な性質を持つの
で、これを線形計画問題に焼き直し、適当な制約条件の
もと、目的関数を最小化することにより電流分布を最適
化することができる。具体的には、下記の線形計画問題
を解く。
【0026】目的関数(全起磁力):
【0027】
【数2】
【0028】制約条件
【0029】
【数3】 |jii,max(i=1,2,…,M) …(数3)
【0030】
【数4】
【0031】ここで、 M:コイル要素の数 N:制約する高次磁場の数 ai及びji,max:i番目コイル要素の断面積及び最大電
流密度 ci,k:i番目のコイル要素に単位電流密度の電流を流
したときのコイル要素による磁場のk次の展開係数 Ck:k次の展開係数の目標値 なお、目的関数を起磁力にした理由は、起磁力を最小化
することによりコイルをコンパクトにできるので、コス
トの低減に繋がるからである。また、制約条件により、
係数(強度)と電流密度の最大値を所望の値あるいは範
囲におさめることが可能になる。
【0032】図1は、以上で説明した最適化計算により
求めたものである。図3は、図1に示す最適なコイル配
置における漏れ磁場(100,10,5,1ガウスの等
高線)の分布状況である。図3に示すように本実施例の
漏れ磁場のシールド性能は良好である。また、内部領域
では、高次の不整磁場が少ない高品質の四極磁場を発生
することができる。
【0033】キャンセルコイル2を構成する小コイル
2′,2″の中心位置の角度θ(ラジアン)をそれぞれ
θ1 ,θ2 ,θ3 ,θ4 ,θ5 ,θ6 ,θ7 ,θ8 ,θ
9 ,θ10,θ11,θ12とすると、最適化の結果は、θ1
=0,θ2 ≒π/8,θ3 ≒3π/8,θ4 =π/2,
θ5 ≒5π/8,θ6 ≒7π/8,θ7 =π,θ8 ≒9
π/8,θ9 ≒11π/8,θ10=3π/2,θ11≒1
3π/8,θ12≒15π/8となる。なお、主コイル1と
キャンセルコイル2の半径の比、所望の四極磁場の強度
等が異なる場合には、上記角度は数%の範囲で変動す
る。≒記号は上記の角度がこの範囲で変動することを表
わす。主コイル1の配置とキャンセルコイル2の広がり
角度(起磁力に対応)では具体的な数値を省略する。
【0034】以上で説明したように、内部領域では、
5,9次の磁場はないので、最初に現われる不整磁場は
13次である。13次以上の高次磁場は、磁石の中央付
近では実質的に無視できるので、ほぼ理想的な四極磁場
が得られる。外部領域における−n次の漏れ磁場の大き
さは、rを磁石の中心からの距離として、rのn乗に反
比例して減衰する。したがって、本実施例では、r-3
-7,r-11 に比例して減衰する漏れ磁場はなく、最初
に現われる高次漏れ磁場はr-15 に比例して速やかに減
衰する成分となるので、鉄等の磁性材を使用することな
く、良好な磁気シールド性能が得られる効果がある。
【0035】図4により本発明の他の実施例を示す。本
実施例では、磁石の中心軸と垂直な方向の断面におい
て、キャンセルコイル2を構成する小コイル2′の総数
は8個である。各小コイル2′は同一の断面形状を有す
る。コイル配置に関する対称性や通電電流の向きは、第
1の実施例で説明した通りである。
【0036】本実施例の四極磁石では、四極磁場の強度
を表わすc1 と内部領域における不整磁場の強度c5
9 及び低次の漏れ磁場の強度c-3,c-7の5個の係数
に注目し、上述の原理に従い、コイル配置を最適化した
ものである。12個の小コイル1′,1″及び8個の小
コイル2′よりなる主コイル1とキャンセルコイル2の
位置と起磁力を調節することにより、内部領域において
は、所望の強度の四極磁場を得ると共に不整磁場である
5,9次の高次磁場が発生しないようにしている(c1
≠0、c5=c9=0)。また、外部領域では、−3,−
7次の漏れ磁場が発生しない(c-3=c-7=0)。
【0037】キャンセルコイル2を構成する小コイル
2′の中心位置の角度θ(ラジアン)をそれぞれθ1 ,θ
2 ,θ3 ,θ4 ,θ5 ,θ6 ,θ7 ,θ8 とすると、最
適化の結果は、θ1 ≒π/12,θ2 ≒5π/12,θ
3 ≒7π/12,θ4 ≒11π/12,θ5 ≒13π/
12,θ6 ≒17π/12,θ7 ≒19π/12,θ8
≒23π/12となる。≒記号の意味は第1の実施例で
説明した通りである。
【0038】図5は、図4に示す最適なコイル配置にお
ける漏れ磁場(100,10,5,1ガウスの等高線)
の分布状況である。図5に示すように本実施例の漏れ磁
場のシールド性能は、第1の実施例よりわずかに劣る
が、良好である。また、内部領域では、高次の不整磁場
が少ない高品質の四極磁場を発生することができる。
【0039】以上で説明したように、本実施例によれ
ば、高品質の四極磁場を提供できるとともに、最初に現
われる高次漏れ磁場はr-11 に比例して速やかに減衰す
る成分となるので、外部への磁場の漏れを少なくでき
る。また、第1の実施例と比較して漏れ磁場は多少多く
なるが、キャンセルコイル2を相対的に簡素化できる。
【0040】図6により本発明の他の実施例を示す。本
実施例では、磁石の中心軸と垂直な方向の断面で、キャ
ンセルコイル2を構成する小コイル2′の総数は4個で
ある。各小コイル2′は同一の断面形状を有する。コイ
ル配置に関する対称性や通電電流の向きは、第1の実施
例で説明した通りである。
【0041】本実施例の四極磁石では、四極磁場の強度
を表わすc1 と内部領域における不整磁場の強度c5
9 及び低次の漏れ磁場の強度c-3の4個の係数に注目
し、上述の原理に従い、コイル配置を最適化したもので
ある。12個の小コイル1′,1″及び4個の小コイル
2′よりなる主コイル1とキャンセルコイル2の位置と
起磁力を調節することにより、内部領域においては、所
望の強度の四極磁場を得ると共に不整磁場である5,9
次の高次磁場が発生しないようにしている(c1≠0,c
5=c9=0)。また、外部領域においては、−3次の漏
れ磁場が発生しない(c-3=0)。
【0042】キャンセルコイル2を構成する小コイル
2′の中心位置の角度θ(ラジアン)をそれぞれθ1
θ2 ,θ3 ,θ4 とすると、最適化の結果は、θ1
0,θ2=π/2,θ3 =π,θ4 =3π/2となる。
【0043】図7は、図6に示す最適なコイル配置にお
ける漏れ磁場(100,10,5,1ガウスの等高線)
の分布状況である。図7に示すように本実施例の漏れ磁
場のシールド性能は、第1,第2の実施例よりわずかに
劣るが、良好である。また、内部領域においては、高次
の不整磁場が少ない高品質の四極磁場を発生することが
できる。
【0044】以上で説明したように、本実施例によれ
ば、高品質の四極磁場を提供できるとともに、最初に現
われる高次漏れ磁場はr-7に比例して速やかに減衰する
成分となるので、外部への磁場の漏れを少なくできる。
また、第1及び第2の実施例と比較して漏れ磁場は多少
多くなるが、キャンセルコイル2を最も簡素化できる効
果がある。
【0045】以上で説明した三つの実施例において、キ
ャンセルコイル2を銅線によるコイルに置き換えること
が可能である。この場合には、電流密度が低下する分だ
けキャンセルコイル2の断面積が増大するが、極低温に
しなければならない部分は少なくてすむ。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、高品質な四極磁場と低
漏れ磁場を達成できるとともに、磁気遮蔽装置に磁性材
を一切使用する必要がなく、磁気飽和による悪影響が一
切ない四極超電導磁石を提供できる。また、上記の三つ
の実施例では、巻枠3の断面形状は円筒状としたが、例
えば、キャンセルコイル2の間の部分を削って歯車(歯
は4)状にし、軽量化することも可能である。したがっ
て、本発明によれば、磁性材による磁気遮蔽装置も極低
温に冷却する従来技術と比較して、冷却重量を低減でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における四極磁石の断面図。
【図2】コイル配置の決定方法に関する原理図。
【図3】第1の実施例における漏れ磁場の分布図。
【図4】第2の実施例における四極磁石の断面図。
【図5】第2の実施例における漏れ磁場の分布図。
【図6】第3の実施例における四極磁石の断面図。
【図7】第3の実施例における漏れ磁場の分布図。
【符号の説明】
1…主コイル、1′,1″,2′,2″…小コイル、2
…キャンセルコイル、3…巻枠。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】四極磁場を発生する超電導コイルと、超電
    導コイルを支持,固定する巻枠と、超電導コイルによる
    漏れ磁場の遮蔽装置と、極低温部を収納するクライオス
    タットを備えた超電導四極磁石において、前記磁石の中
    心軸に垂直な断面上に、中心軸を原点O、前記超電導コ
    イルの電流分布に関する対称軸をそれぞれx軸及びy軸
    とする2次元x−y座標をとり、x軸から反時計回りに
    測った角度をθとして、前記断面上のθ方向の電流分布
    が概ねcos2θ に比例するように模擬して配置した複数
    の小コイルからなるキャンセルコイルで前記漏れ磁場の
    遮蔽装置を構成し、キャンセルコイルの通電電流の向き
    を前記超電導コイルによる磁場を打ち消す方向としたこ
    とを特徴とするキャンセルコイル付き超電導四極磁石。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記キャンセルコイル
    を構成する小コイルの総数が12個で、各小コイルの前
    記断面上における中心位置の角度θ(ラジアン)をそれ
    ぞれθ1 ,θ2 ,θ3 ,θ4 ,θ5 ,θ6 ,θ7
    θ8 ,θ9 ,θ10,θ11,θ12としたとき、θ1 =0,
    θ2 ≒π/8,θ3 ≒3π/8,θ4 =π/2,θ5
    5π/8,θ6 ≒7π/8,θ7 =π,θ8 ≒9π/
    8,θ9 ≒11π/8,θ10=3π/2,θ11≒13π
    /8,θ12≒15π/8であるキャンセルコイル付き超
    電導四極磁石。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記キャンセルコイル
    を構成する小コイルの総数が8個で、各小コイルの前記
    断面上における中心位置の角度θ(ラジアン)をそれぞ
    れθ1 ,θ2 ,θ3 ,θ4 ,θ5 ,θ6 ,θ7 ,θ8
    したとき、θ1 ≒π/12,θ2 ≒5π/12,θ3
    7π/12,θ4 =11π/12,θ5 ≒13π/1
    2,θ6 ≒17π/12,θ7 =19π/12,θ8
    23π/12であるキャンセルコイル付き超電導四極磁
    石。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記キャンセルコイル
    を構成する小コイルの総数が4個で、各小コイルの前記
    断面上における中心位置の角度θ(ラジアン)をそれぞ
    れθ1 ,θ2 ,θ3 ,θ4 としたとき、θ1 =0,θ2
    =π/2,θ3 ≒π,θ4=3π/2であるキャンセル
    コイル付き超電導四極磁石。
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