JPH0978118A - 精錬用ランス - Google Patents

精錬用ランス

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JPH0978118A
JPH0978118A JP23553995A JP23553995A JPH0978118A JP H0978118 A JPH0978118 A JP H0978118A JP 23553995 A JP23553995 A JP 23553995A JP 23553995 A JP23553995 A JP 23553995A JP H0978118 A JPH0978118 A JP H0978118A
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lance
refining
blowing
auxiliary material
molten steel
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JP23553995A
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Yoshihiro Shimoda
芳弘 下田
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Daido Steel Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐用寿命が非常に長い精錬用ランスを提供す
る。 【解決手段】 下部は溶湯6に浸漬され、上部は精錬用
副資材の供給手段2に接続された筒状耐火物13であっ
て、軸方向には、上部と下部を結ぶ1個の貫通孔14の
みが形成されていて、貫通孔14には、精錬用副資材が
10.0〜20.0kg/分・cm2 で供給される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属の精錬用ラン
スに関し、更に詳しくは、取鍋に注がれた溶湯に精錬用
副資材を吹き込むときに用いる精錬用ランスに関する。
【0002】
【関連する技術】取鍋に注がれた溶湯に対して、精錬を
行う取鍋精錬においては、前記溶湯へ、不活性ガス,酸
素ガス,還元剤,脱硫剤等の精錬用副資材が吹き込ま
れ、不純物や炭素の酸化除去、脱酸、脱硫等が行われ
る。前記精錬用副資材を溶湯中に吹き込む手段として
は、通常は、耐火構造を備えた精錬用ランスが用いら
れ、前記ランスの吹き込み口から精錬用副資材が溶湯中
に吹き込まれる。
【0003】ここで、例えば、溶鋼の脱硫を行う際、脱
硫剤粉末の吹き込みに用いられる精錬用ランスについ
て、添付図面を基に説明する。脱硫剤粉末を溶鋼中に吹
き込む精錬用ランス1は、図1に示すように、例えば外
形が略円柱形状をなし、その内部に、前記粉末の供給路
11が設けられている筒状耐火物10からなる。この筒
状耐火物10は、通常、アルミナ系耐火物で構成されて
いる。
【0004】前記供給路11は、筒状耐火物10の軸心
部に穿設されている主路11aと前記筒状耐火物10の
下部近傍で前記主路11aに直交して互いに反対方向へ
分岐する2個の分岐路11b,11bとからなり、これ
ら分岐路11b,11bは前記筒状耐火物10の側面1
0aに開口している。すなわち、ランス1内部の供給路
11は、当該ランス1を側面より透視したときに、略逆
T字状になるような形状になっている。
【0005】ランス1は、図1に示すように、その上部
において、例えば、ステンレス鋼製パイプからなる連結
手段12が、主路11aと連通するように取り付けられ
ている。そして、このランス1は、脚柱3に昇降自在に
配設されている支持部材4に、前記連結手段12を介し
て取付けられ、取鍋5の略中央の上方に吊設される。更
に連結手段12には、精錬用副資材(脱硫剤粉末)の供
給手段2が連結され、この供給手段2は、精錬用副資材
が蓄えられているホッパー21と、資材搬送パイプ22
とを備えており、ランス1に対して、上記精錬用副資材
を供給する。
【0006】尚、ホッパー21は、加圧手段を備えてお
り、内部に蓄えられている精錬用副資材を高圧で供給す
ることができ、資材搬送パイプ22は、ホッパー21と
ランス1との間に装着され、精錬用副資材をホッパー2
1からランス1へ搬送する働きをする精錬用副資材の供
給通路である。ランス1を用いて、溶鋼の脱硫を行う場
合、まず、支持部材4に吊設されたランス1が昇降手段
41により下方へ移動させられ、取鍋5に入れられた溶
鋼6中に、前記ランス1の下部が所定長さだけ浸漬され
る。その後、ホッパー21に蓄えられた、例えば、Ca
O粉末からなる脱硫剤が所定圧力で資材搬送パイプ22
を介してランス1へ圧送される。そして、CaO粉末
は、主路11aを通ったのちランス1の下部で分岐路1
1b,11bに分割され、吹き込み口10b,10bよ
り溶鋼6中に所定の吹き込み量で吹き込まれる。したが
って、CaO粉末は、前記吹き込み口10b,10bよ
り、ランスの軸方向に直交し、かつ、互いに反対側の方
向へ高圧で溶鋼中に吹き込まれる。つまり、ランス1に
おいて精錬用副資材(CaO粉末)は、溶湯中に横吹き
される。その結果、高圧で吹き込まれたCaO粉末によ
って、溶鋼は勢いよく撹拌され、この撹拌にともない当
該CaO粉末は溶鋼中に均一に分散していき、その過程
で溶鋼の脱硫反応が進行する。
【0007】尚、上記したランス1の場合、吹き込み口
が2個であるが、CaO粉末の均一分散を更に促進させ
るために、ランスの側面に、より多くの吹き込み口が設
けられる場合もある。
【0008】
【発明が解決しよとする課題】ところで、CaO粉末な
どの精錬用副資材は高圧で溶鋼中に吹き込まれるので、
吹き込み口10b,10bの近傍においては、溶鋼が極
めて激しく撹拌されており、前記吹き込み口近傍の個所
は操業を繰り返していくにしたがい徐々に溶損してい
く。
【0009】上述したような横吹き型のランスの場合、
ランスの吹き込み口近傍における溶損は、図2の二点鎖
線で示すように、ランス1の吹き込み口10b,10b
近傍が先細りになるとともに、吹き込み口10b,10
bの上方個所がくびれるような態様で進行する。このよ
うな状態になると、供給されたCaO粉末は、規格化さ
れた操業基準どおりに、吹き込み口10b,10bから
溶鋼中に横吹きされなくなり、溶鋼の良好な撹拌は阻害
され、CaO粉末の均一分散は不十分となって、脱硫効
果は低下する。
【0010】また、ランスの吹き込み口10b,10b
の上方個所の溶損が溶鋼の対流などにより過度に進行す
ると、くびれた部分の強度低下が進み、例えば外部から
の振動などによってくびれた個所の下部が欠落するおそ
れも生ずる。このようなことから、所要の脱硫効率を確
保するため、横吹き型のランスにおいては、通常、ラン
スの下端部において、分岐路11bの長さ(r)が、当
初の長さ(R)の半分(r=R/2)になった時点で、
ランス寿命は尽きたものと判断され、ランスの交換が行
われる(図2参照)。
【0011】操業条件によっても異なるが、通常、約2
0回の操業で下端部の長さrが当初の長さRの半分にな
ることが多い。すなわち、横吹き型ランスの場合、その
耐用操業回数は、約20回とされている。しかしなが
ら、20回程度の操業でランスの交換を反復するのは、
操業効率の低下を招くとともに、ランスの上部の耐火物
がいまだ多量に残った状態であるにもかかわらず当該ラ
ンスを廃棄処分しなければならないので、製造コストの
上昇を招く。
【0012】本発明は、精錬用ランスにおける上記した
問題を解決し、従来の横吹き型ランスに比べて溶損が著
しく減少し、したがって、耐用寿命が非常に長い精錬用
ランスの提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、下部は溶湯に浸漬され、上部は精錬用
副資材の供給手段に接続された筒状耐火物であって、軸
方向には、上部と下部を結ぶ1個の貫通孔のみが形成さ
れていて、前記貫通孔には、前記精錬用副資材が10.
0〜20.0kg/分・cm2 で供給されることを特徴
とする精錬用ランスが提供される。
【0014】また、本発明の精錬用ランスにおいては、
前記筒状耐火物の上部と前記供給手段との間に継ぎ足し
が可能な延長パイプが装着された構成にすることが好ま
しい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明による精錬用ランスの構造
を添付図面に基づいて説明する。本発明の精錬用ランス
1Aは、図3に示すように、その内部に軸方向に沿って
上部と下部を結ぶ1個の貫通孔14を有する筒状の耐火
物13からなる。そして、貫通孔14の下部の開口、す
なわち、精錬用副資材の吹き込み口14aより精錬用副
資材を10.0〜20.0kg/分・cm2 の吹き込み
量で溶鋼中に吹き込むことを特徴としている。
【0016】尚、本発明でいう上記吹き込み量のディメ
ンジョン:kg/分・cm2 は、精錬用副資材の単位時
間(分)当たりの供給量(kg)を貫通孔14の断面積
(cm2 )で除した値を表し、貫通孔14の孔径の大小
と精錬用副資材の供給量との関係を規格化したものであ
る。このように、本発明の精錬用ランス1Aは、構造的
には、貫通孔14をストレート孔にして精錬用副資材を
下吹きにしたことを除いては、従来のランス1と変わる
ところはない。このため、本発明の精錬用ランス1A
は、従来のランス1と同様にして、取鍋5の上方に吊設
されるとともに資材搬送パイプ22を介してホッパー2
1と連結される(図3参照)。
【0017】本発明の精錬用ランス1Aにおいて、耐火
物13からなる筒状体の外形としては、格別限定される
ものではなく、例えば、円柱形状、角柱形状などがあげ
られる。また、貫通孔14の断面形状は格別限定される
ものではないが、内壁に圧力がかかるので、応力集中が
起こらないように断面形状は円形とすることが好まし
い。
【0018】前記耐火物13としては、従来からランス
に用いられているものであれば格別限定されるものでは
なく、例えば、アルミナ系耐火物があげられる。本発明
の精錬用ランスを用いて溶鋼の脱硫を行う場合、まず、
従来通りに、ランス1Aを昇降手段41により降下させ
て取鍋5中の溶鋼6に所定深さ浸漬させる(図3参
照)。そして、ランス1Aの吹き込み口14aから溶鋼
6中に精錬用副資材(例えば、CaO粉末からなる脱硫
剤)をランスの軸方向下方に向かって吹き込む。
【0019】このときの吹き込み量は10.0〜20.
0kg/分・cm2 の範囲に設定される。上記した吹き
込み量を採用すると、図4に示すように、吹き込み口1
4a及びその近傍には、吹き込み口14aを覆う状態で
膨出する塊15が形成される。ここで、本発明において
は、このような塊15をヌードルという。
【0020】ヌードル15は、吹き込み口14a近傍の
溶鋼6が、精錬用副資材と混ざり合ってスラグ化すると
ともに、吹き込まれる精錬用副資材で冷却されて凝固す
ることにより形成されるものであると考えられる。そし
て、このヌードル15は3次元網状構造を有する多孔質
体であり、その内部は、複数の微細な孔が吹き込み口1
4aを中心に放射状に形成されている。したがって、吹
き込み口14aに圧送されてきた精錬用副資材は、ヌー
ドル15内の複数の微細な孔を通って溶鋼中に吹き込ま
れる。このため、ランス1Aの吹き込み口14aは1個
のみであっても、前記精錬用副資材(CaO粉末)は前
記吹き込み口14aから、下方に位置する溶鋼中に放射
状に吹き込まれ、溶鋼中に均一分散される。
【0021】このように、本発明の精錬用ランス1Aで
は、圧送されてきた精錬用副資材がヌードル15を介し
てランス下方の溶鋼中に放射状に噴流していくので、従
来の横吹き型ランスの場合のように溶鋼の対流による影
響は、ランス側部にまで及ぶことが抑えられ、その結
果、ランスの側部がえぐられるように溶損するという事
態が抑制される。そのため、従来ランス1に比べてその
耐用寿命は長くなる。
【0022】また、本発明による精錬用ランス1Aの場
合、溶損は、ランスの軸方向上方へ進んでいく。このた
め、本発明によるランス1Aにおいては、耐火物13を
比較的上部まで使いきることができるので、耐用寿命が
長くなる。更にまた、前記ヌードル15は、吹き込み口
14a及びその近傍の耐火物を覆うように形成されるた
め、吹き込み口14a近傍の耐火物13を保護すること
になり、吹き込み口近傍の溶損の進行を遅延させる働き
をして、ランスの長寿命化に寄与している(以下、被覆
保護効果という)。
【0023】ここで、溶鋼中に吹き込む精錬用副資材の
吹き込み量が10.0kg/分・cm2 未満である場合
は、良好な形状のヌードルが形成されないとともに、圧
送される精錬用副資材の圧力が溶鋼の静水圧より低くな
り、溶鋼が吹き込み口14aより流入し、貫通孔14内
で凝固してしまうことがある。逆に、前記吹き込み量が
20.0kg/分・cm2 を超えると、精錬用副資材の
吹き込み圧力が高くなり、ヌードルが形成される前に凝
固しかけた溶鋼が吹き飛ばされる事態が起こり、その結
果、良好な形状のヌードルが形成されなくなることがあ
る。
【0024】したがって、良好な多孔質ヌードルを形成
するためには、溶鋼中に吹き込む精錬用副資材の吹き込
み量を、10.0〜20.0kg/分・cm2 とするこ
とが必要である。より好ましい吹き込み量は、13.0
〜17.0kg/分・cm2である。本発明の精錬用ラ
ンス1Aにおける溶損は、図4に示すように、操業にと
もなって軸方向(図中L方向)の上方に向かって進んで
いく。しかしながら、溶損が進み、ランス1Aの吹き込
み口14aの位置が上方に移動し、溶鋼6の液面6aか
らの前記吹き込み口14aの浸漬深さが浅くなりすぎる
と、吹き込まれた精錬用副資材が溶鋼6と十分接触する
間もなく液面6aに浮上してしまい、実質的に精錬に関
わる反応が促進されなくなり、精錬効率が低下する。こ
のようなことから、実操業においては、吹き込み口14
aの位置は、溶鋼の液面6aから所定深さhよりも深い
部分に設定される。この深さhは、通常、溶鋼の深さの
25〜75%程度の位置となるように設定される。
【0025】本発明の精錬用ランス1Aにおいては、精
錬効率を所定レベルに保つために、吹き込み口14aの
位置が、前記所定深さhよりも浅くなるまで溶損した時
点をもって耐用寿命が尽きたものと判断される。ところ
で、上述したような寿命に達したランス1Aにおいて
も、上部の耐火物が十分残っている場合がある。このよ
うに、使用可能な耐火物を廃棄処分するのは不経済であ
る。
【0026】本発明においては、上記問題を解決するた
めに、ランスと資材供給手段との間に装着する延長パイ
プ16が提供される。延長パイプ16は、図5に示すよ
うに、支持部材4に取り付けられ、その上端16aに資
材搬送パイプ22が連結され、下端16bにランス1A
の連結手段12が連結される。
【0027】この延長パイプ16を用いると、昇降手段
41が最下点に達した後も、更に、ランス1Aの吹き込
み口14aを溶鋼6中に所定深さhよりも深く浸漬させ
ることができる。このため、耐火物13を無駄なく使い
きることができる。前記延長パイプ16としては、例え
ば、ステンレス鋼製のパイプを好適なものとしてあげる
ことができる。また、延長パイプ16は、ランス1Aの
浸漬深さを調節するために、適宜、複数個連結して用い
ても構わない。
【0028】尚、本発明では、鋼の脱硫に関してのみ説
明したが、鋼に施す他の精錬作業、あるいは、非鉄金属
に施す精錬作業に本発明の精錬用ランスを用いても構わ
ない。また、精錬用副資材として、粉末に関してのみ説
明したが、本発明の精錬用ランスをガスの吹き込み用と
して用いても構わない。
【0029】
【実施例】
実施例1〜5、比較例1〜4 吹き込み口14aの断面積が表1で示したような値であ
り、かつ、軸方向の長さが3300mmの各種形状のア
ルミナ系耐火物製ランス1Aを用意し、これを、図3で
示したようにセットした。
【0030】すなわち、前記ランスの連結手段の上端近
傍を、脚柱に昇降自在に配設されている支持部材に取付
けた。そして、前記ランス1Aを取鍋の略中央の上方に
吊設した。尚、ランスを吊設した後、ランスの連結手段
には、ホッパーに接続されている資材搬送パイプを連結
した。次に、前記取鍋に溶鋼を注ぎ、上述のように配置
した精錬用ランスを、昇降手段により降下させ、当該ラ
ンスを前記溶鋼中に500mm浸漬させた。そして、ホ
ッパー21より、CaO粉末を圧力をかけてランスへ供
給し、ランスの吹き込み口よりCaO粉末を、表1に示
す吹き込み量で溶鋼中に吹き込み、溶鋼の脱硫を行っ
た。このとき、一回の操業におけるCaO粉末の総供給
量は、600kg一定とした。吹き込みが終了したラン
スは溶鋼から引き上げられ、脱硫操業を終了する。
【0031】このように、取鍋へ溶鋼を注ぎ、当該溶鋼
へランスを浸漬させることから、前記ランスを引き上げ
るまでを1サイクルとし、脱硫操業を繰り返した。1サ
イクル終了後のランスに対しては、吹き込み口を観察
し、ヌードル形成の有無を確認した。その結果を表1に
併記した。また、1サイクルの操業の前後で溶鋼のサン
プリングを行い、硫黄の含有量を測定し、操業前の硫黄
の含有量から操業後の硫黄の含有量を差し引き、操業の
前後の硫黄の含有量の差、つまり脱硫量を求めた。そし
て、操業前の硫黄の含有量に対する脱硫量の割合を求
め、この割合を脱硫率とした。この脱硫率は、各サイク
ル毎に求め、その脱硫率の平均を表1に併記した。
【0032】この精錬用ランスにおいては、溶鋼とCa
O粉末とが十分接触し、所要の脱硫反応を促進させるた
めに、吹き込み口を溶鋼の液面から500mmの深さに
位置するように各サイクル毎に昇降手段を調節した。そ
して、ランスの軸方向の長さが短くなり、昇降手段を最
下点にしても、溶鋼の液面から吹き込み口までの深さが
500mmより浅くなった時点をもって当該ランスの寿
命は尽きたものとした。そして、この寿命に到達するま
での操業の回数を計数し、当該操業回数を耐用回数とし
た。この結果を表1に併記した。 比較例5 図1に示すような、外径230mm、軸方向の長さ33
00mmの円柱形状のアルミナ系耐火物の内部に、内径
16.1mmの供給路が略逆T字状に形成されている従
来の横吹き型のランスを用いたことを除いては実施例1
と同様にして、溶鋼の脱硫を行った。
【0033】当該ランスに関しても、実施例1と同様に
して、ヌードル形成の有無の確認を行い、脱硫率,耐用
回数を求めた。得られた結果を表1に併記した。尚、比
較例5におけるランスの寿命は、ランスの下端の寸法
(分岐路11bの長さr)が元の長さRの1/2になっ
た時点で寿命がつきたものとした。
【0034】
【表1】
【0035】表1の結果から明らかなように、実施例1
〜3の精錬用ランスは、脱硫率が80%以上と高いとと
もに、耐用回数が250回以上であり、寿命が非常に長
いことがわかる。これは、CaO粉末を下吹きにしてい
るので、ランスの軸方向の長さを有効に使えるととも
に、CaO粉末の吹き込み量を10.0〜20.0kg
/分・cm 2 の範囲内に設定しているので、良好な形状
のヌードルが形成されたためである。
【0036】それに対し、比較例1は、脱硫率が75%
であり実施例1〜3に比べ低いことがわかる。これは、
CaO粉末の吹き込み量が本発明で規定した吹き込み量
より少ないため、良好なヌードルが形成されず、CaO
粉末の均一分散がなされなかったので、脱硫反応が促進
されなかったためである。また、比較例1の耐用回数
は、50回であり、実施例1〜3に比べ寿命が短いこと
がわかる。これは、CaO粉末の吹き込みの圧力が低い
ために、溶鋼が、吹き込み口から入り込んで貫通孔内で
凝固してしまい、最終的に50回の操業で使用不能とな
ったためである。
【0037】比較例2の耐用回数は170回であり、実
施例1〜3のランスよりも寿命が短い。これは、CaO
粉末の吹き込み量が本発明で規定した吹き込み量よりも
多いため、ヌードルが形成されず、ヌードルによる吹き
込み口近傍の被覆保護がなされなかったことによる。ま
た、比較例2の脱硫率は、実施例1〜3のランスの脱硫
率に比べ、低いことがわかる。これは、ヌードルが形成
されないため、CaO粉末が溶鋼中に放射状に吹き込ま
れず、CaO粉末が塊となってしまい、脱硫反応が促進
されなかったことによる。
【0038】実施例4のランスは、耐用回数が270回
であり、寿命が非常に長いことがわかる。これは、Ca
O粉末を下吹きにしているので、ランスの軸方向の長さ
を有効に使えたためである。また、実施例4のランスは
脱硫率が85%と高い。これは、吹き込み口の断面積
が、6.0cm2 と小さいが、CaO粉末の単位時間当
たりの供給量を90kg/分としており、CaO粉末の
吹き込み量を15.0kg/分・cm2 と、本発明で規
定した吹き込み量の範囲内としたので、良好な形状のヌ
ードルが形成されたためである。
【0039】それに対して比較例3は、脱硫率が75%
であり、実施例4より脱硫率が低いことがわかる。これ
は、吹き込み口の断面積が6.0cm2 、CaO粉末の
単位時間当たりの供給量が30kg/分であり、CaO
粉末の吹き込み量が5.0kg/分・cm2 と本発明で
規定した吹き込み量より少ないので、良好な形状のヌー
ドルが形成されず、CaO粉末の均一分散がなされなか
ったので、脱硫反応が促進されなかったためである。ま
た、比較例3の耐用回数は、60回であり、実施例4よ
り寿命が短いことがわかる。これは、CaO粉末の吹き
込みの圧力が低いために、溶鋼が、吹き込み口から入り
込んで貫通孔内で凝固してしまい、最終的に60回の操
業で使用不能となったためである。
【0040】実施例5のランスは、耐用回数が300回
であり、寿命が非常に長いことがわかる。これは、Ca
O粉末を下吹きにしているので、ランスの軸方向の長さ
を有効に使えたためである。また、実施例5のランスは
脱硫率が80%と高い。これは、吹き込み口の断面積
が、17.3cm2 と大きいが、CaO粉末の単位時間
当たりの供給量を260kg/分としているので、Ca
Oの吹き込み量が15.0kg/分・cm2 と、本発明
で規定した吹き込み量の範囲内となっているので、良好
なヌードルが形成されたためである。
【0041】それに対して比較例4は、脱硫率が68%
であり、実施例5より脱硫率が低いことがわかる。これ
は、吹き込み口の断面積が17.3cm2 と実施例5と
同様であるが、CaO粉末の単位時間当たりの供給量が
430kg/分と多く、CaO粉末の吹き込み量が2
5.0kg/分・cm2 と本発明で規定した吹き込み量
より多くなったため、CaO粉末の吹き込みの圧力が高
くなり、吹き込み口近傍の凝固しかけた溶鋼が吹き飛ば
され、良好な形状のヌードルが形成されなかったため
に、CaO粉末が均一分散されず、脱硫反応が促進され
なかったためである。また、比較例4は、耐用回数が1
80回であり、実施例5より寿命が短いことがわかる。
これも同様に、良好な形状のヌードルが形成されなかっ
たので、ヌードルの耐火物に対する被覆保護効果が得ら
れなかったためである。
【0042】以上のように、吹き込み口の断面積が異な
っていても、CaO粉末(精錬用副資材)の供給量を調
節して、精錬用副資材の吹き込み量を本発明で規定した
範囲内に設定すれば、良好な形状のヌードルが得られ、
脱硫率が高く、長寿命であるランスが得られる。比較例
5の耐用回数は、20回であり、本発明の精錬用ランス
よりもはるかに寿命が短いことがわかる。これは、比較
例5におけるランスが従来の横吹き型であるため、溶損
は、分岐路の軸線に沿った方向、つまり、ランスの径を
縮小する方向に進むので、短い期間で寿命に達してしま
ったためである。 実施例6 実施例2のランスに対して、図5に示すように、資材搬
送用パイプとランスの連結手段との間に、内径38.4
mm、外径48.6mm、軸方向の長さ1000mmの
ステンレス鋼製の延長パイプを取付け、更に操業を行っ
た。そして、溶鋼の液面から、ランスの吹き込み口まで
の長さが500mmになるまでの操業の回数を計数し
た。
【0043】その結果、更に100回操業が行え、合計
の耐用回数は、400回となった。この結果から明らか
なように、延長パイプの使用により、昇降手段が最下点
に到達した状態でも、更にランスの使用が可能となり、
ランスの長寿命化が図れる。
【0044】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
おける精錬用ランスは、精錬用副資材をランスの軸方向
下方に向かって吹き込むので、ランスの溶損は、ランス
の軸方向上方に向かって進む。このため、ランスは、使
用可能な範囲が長くなり、ランスの耐用寿命が向上す
る。また、精錬用副資材の吹き込み量を10.0〜2
0.0kg/分・cm2 に規定することにより、ランス
の吹き込み口及びその近傍には、多孔質のヌードルが形
成される。このヌードルはその内部に複数の微細な孔を
備えており、この微細な孔を通って、精錬用副資材が溶
湯中に放射状に吹き込まれる。このため、当該精錬用副
資材は、溶湯中に均一に分散し、反応が促進され、効率
良く精錬が行われる。更に、このヌードルは、ランスの
吹き込み口近傍の耐火物を覆うようにして形成されるの
で、ランスの吹き込み口近傍の耐火物を被覆保護し、溶
損の進行を遅らせ、寿命の延長に寄与する。
【0045】更にまた、精錬用ランスと精錬用副資材の
供給手段との間に延長パイプを装着すると、溶損のため
ランスの軸方向の長さが短くなり溶湯へのランスの浸漬
深さが浅くなった場合でも、ランスを所定深さまで溶湯
中に浸漬させることができ、精錬の効率を低下させるこ
となく、ランスの耐火物を所定長さまで使いきることが
でき、経済的な操業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の横吹きのランスを用いた取鍋精錬装置の
概略構成図である。
【図2】従来の横吹きランスの構成を示す側面図であ
る。
【図3】本発明の精錬用ランスを用いた取鍋精錬装置の
概略構成図である。
【図4】本発明の精錬用ランスの構成を示す側面図であ
る。
【図5】本発明の精錬用ランスの別な態様を示す概略構
成図である。
【符号の説明】
1A 本発明の精錬用ランス 2 供給手段 6 溶湯(溶鋼) 12 連結手段 13 筒状耐火物 14 貫通孔 14a 吹き込み口 15 ヌードル 16 延長パイプ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部は溶湯に浸漬され、上部は精錬用副
    資材の供給手段に接続された筒状耐火物であって、軸方
    向には、上部と下部を結ぶ1個の貫通孔のみが形成され
    ていて、前記貫通孔には、前記精錬用副資材が10.0
    〜20.0kg/分・cm2 で供給されることを特徴と
    する精錬用ランス。
  2. 【請求項2】 前記筒状耐火物の上部と前記供給手段と
    の間に延長パイプが装着されている請求項1の精錬用ラ
    ンス。
JP23553995A 1995-09-13 1995-09-13 精錬用ランス Pending JPH0978118A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101907402A (zh) * 2010-08-06 2010-12-08 广州钢铁企业集团有限公司 一种铜熔炼炉用吹风管及其制造方法
JP2012117126A (ja) * 2010-12-02 2012-06-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶銑の精錬方法

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