JPH0977589A - 単結晶引き上げ用黒鉛部品 - Google Patents

単結晶引き上げ用黒鉛部品

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JPH0977589A
JPH0977589A JP23427695A JP23427695A JPH0977589A JP H0977589 A JPH0977589 A JP H0977589A JP 23427695 A JP23427695 A JP 23427695A JP 23427695 A JP23427695 A JP 23427695A JP H0977589 A JPH0977589 A JP H0977589A
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JP
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graphite
graphite crucible
crucible
pulling
single crystal
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JP23427695A
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English (en)
Inventor
Masato Kano
正人 鹿野
Tomohiro Tanaka
知洋 田中
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単結晶引き上げ中にSi蒸気又は液滴状Si
が黒鉛ルツボと黒鉛受け台との嵌合面より侵入し、単結
晶引き上げ後の冷却時に前記嵌合面の固着による黒鉛ル
ツボの破損の原因となる。 【解決手段】 分割形態の黒鉛ルツボ12と黒鉛ルツボ
12の底部に嵌合された黒鉛受け台13とを含んで構成
された単結晶引き上げ用黒鉛部品10における、黒鉛ル
ツボ12の底部外周面12bの嵌合面16端近傍に、少
なくとも1個以上の突起15を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単結晶引き上げ用黒
鉛部品に関し、より詳細にはチョクラルスキー法(CZ
法)等によりシリコン等の半導体物質からなる単結晶を
引き上げる際に用いられる黒鉛ルツボと黒鉛受け台とを
含んで構成される単結晶引き上げ用黒鉛部品に関する。
【0002】
【従来の技術】結晶成長法には種々の方法があるが、そ
の一つの方法として、例えばチョクラルスキー法(CZ
法)に代表される単結晶引き上げ法が挙げられる。
【0003】図6は、従来よりCZ法に用いられている
単結晶引き上げ装置を模式的に示した断面図であり、図
中、75はチャンバを示している。チャンバ75内の略
中央部には有底円筒状の石英ルツボ11と、この石英ル
ツボ11を支持すべく嵌合された同じく有底円筒状の黒
鉛ルツボ72とから構成された単結晶引き上げ用ルツボ
71が配設されている。また、黒鉛ルツボ72の底部外
周面72bには黒鉛受け台13が嵌合され、この黒鉛受
け台13は支持軸14で支持され、支持軸14が右方向
又は左方向に回転することにより単結晶引き上げ用ルツ
ボ71も同方向に回転するようになっている。単結晶引
き上げ用ルツボ71の外側には抵抗加熱式のヒーター7
6が、さらにその外側には保温筒77が同心円状に配置
されており、石英ルツボ11の内部には所定重量の原料
をヒーター76により溶融させた溶融液78が充填され
るようになっている。また、単結晶引き上げ用ルツボ7
1の中心軸上には、図中矢印方向に所定速度で回転する
引き上げ棒79が配置され、引き上げ棒79の下端部に
はシードチャック79aを介して種結晶80が取り付け
られている。そして、種結晶80を溶融液78の表面に
接触させ、結晶の成長に合わせて回転させつつ上方に引
き上げていくことにより溶融液78を凝固させ、単結晶
81を成長させていくようになっている。
【0004】ところで、この単結晶引き上げ装置におい
ては、単結晶引き上げの際、単結晶引き上げ用ルツボ7
1がヒーター76により高温に加熱されるため、内部の
石英ルツボ11が軟化して黒鉛ルツボ72に密着する。
黒鉛の熱膨張係数は石英の10倍であるため、単結晶引
き上げ後の冷却の際に、黒鉛ルツボ72の収縮が石英ル
ツボ11により妨げられ、黒鉛ルツボ72は石英ルツボ
11により内側から押し広げる方向の圧力を受けること
になり、この結果、黒鉛ルツボ72に円周方向の引張り
応力が発生する。
【0005】近年、単結晶ウエハの大口径化に伴い、引
き上げられる単結晶81の直径が大きくなっており、こ
れに伴って引き上げ用ルツボ71の大形化が進んでい
る。この結果、冷却の際に黒鉛ルツボ72に発生する前
記引張り応力が増大し、黒鉛ルツボ72に割れまたは欠
損(以下、破損と記す)が生じやすくなり、黒鉛ルツボ
72の耐用回数が減少するという問題があった。
【0006】この問題に対処するため、縦に2分割また
は3分割された黒鉛ルツボを黒鉛受け台で保持する構造
を有する黒鉛部品が用いられている。図7はこの種の縦
に2分割された黒鉛ルツボを含む単結晶引き上げ用ルツ
ボ及び黒鉛受け台等を模式的に示した断面図である。
【0007】単結晶引き上げ用ルツボ91を構成する黒
鉛ルツボ92は分割面92aで縦に2分割されており、
また黒鉛ルツボ92の下方には、分割された黒鉛ルツボ
92の底部外周面92bに嵌合するように黒鉛受け台1
3が配設され、これにより黒鉛ルツボ92の分割面92
aが密接し、石英ルツボ11が保持されるようになって
いる。また、黒鉛受け台13は支持軸14により支持さ
れている。
【0008】図8(a)は冷却時の黒鉛ルツボ92等の
状態を模式的に示した平面図であり、(b)はその縦断
面図である。
【0009】図7に示した形状の2分割された黒鉛ルツ
ボ92を冷却した際には、図6で説明した引き上げ用ル
ツボ71の場合と同様、黒鉛ルツボ92は石英ルツボ1
1により内側から押し広げられる方向の圧力(引っ張り
応力)を受ける。そして、黒鉛ルツボ92が分割されて
いることから、図示したようにこの分割面92aが開い
て前記圧力が開放されることになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような分割形態の
黒鉛ルツボ92においては、前記した石英ルツボ11の
軟化、膨張に起因する黒鉛ルツボ92の破損率は減少す
るが、単に分割しただけの黒鉛ルツボ92では依然とし
て下記の課題が解消されていなかった。
【0011】すなわち、単結晶81を引き上げる際に
は、Si溶融液78の蒸発によるSi蒸気や、Si溶融
液78と石英ルツボ11との反応により発生したSiO
ガスが、黒鉛ルツボ側部外周面92c付近を通って流れ
るが、これらSi蒸気やSiOガスの分解で生成するS
i蒸気により、黒鉛ルツボ92の側部外周面92cや底
部外周面92bには液滴状のSiが付着しやすい状態に
なっている。
【0012】また、Si溶融液78中に多結晶Si原料
を再投入する、いわゆるリチャージを行う場合がある
が、この場合に多結晶Si原料を投入すると、石英ルツ
ボ11内の溶融液78が石英ルツボ11の上端を越えて
周囲に飛散することがあり、この飛散により黒鉛ルツボ
92の側部外周面92cに液滴状Siが付着する。
【0013】このようにして黒鉛ルツボ92の側部外周
面92cに付着した液滴状Siは側部外周面92c及び
底部外周面92bを伝わって下方に流れ、黒鉛ルツボ9
2と受け台13の嵌合面96に侵入しやすい。単結晶の
引き上げ後の冷却時に、嵌合面96に侵入した溶融Si
が凝固すると、黒鉛ルツボ92と受け台13との間に固
着が生じ、石英ルツボ11の軟化に起因する引っ張り応
力の開放が阻害され、黒鉛ルツボ92が破損する虞れが
あるという課題があった。
【0014】このような黒鉛ルツボ92と受け台13と
の固着に起因する黒鉛ルツボ92の破損を防止するた
め、側部外周面に突起及び/又は窪みが形成された黒鉛
ルツボが開示されている(特開平5−279169号公
報)。図9は、側部外周面に突起及び窪みが形成された
黒鉛ルツボを模式的に示した斜視図である。
【0015】このように黒鉛ルツボ102の側部外周面
102b全体に突起103及び窪み104が形成されて
いると、黒鉛ルツボ外周面102bでの液滴状Siの滴
下を遅らせたり、止めたりすることができる。しかし、
黒鉛ルツボ側部外周面102bの全体に突起103及び
窪み104を形成すると、加工面積が大きくなるため、
黒鉛ルツボ102のコスト上昇をもたらすという問題が
あった。また、黒鉛ルツボ側部外周面102bに突起1
03を形成した場合には、黒鉛ルツボ102の径が大き
くなり、ヒーター76とのクリアランスが小さくなるた
め、液滴状Siが突起103に付着した後大きく成長し
た場合には、ヒーター76と接触し易くなり、放電によ
り黒鉛ルツボ102が破損するという問題もあった。
【0016】また、黒鉛ルツボと受け台とのすべり悪化
を防止するため、側部外周面の下端に延長部が形成され
た黒鉛ルツボが開示されている(特開昭58−9569
3号公報)。図10は、側部外周面の下端に延長部が形
成された黒鉛ルツボを模式的に示した断面図である。
【0017】このように黒鉛ルツボ112の側部外周面
112bの下端にスカート状の下端延長部112cが形
成されていると、黒鉛ルツボ外周面112bに付着した
液滴状Siが黒鉛ルツボ112と黒鉛受け台113との
嵌合面115に侵入することはない。しかしながら、単
結晶引き上げ後の冷却時に黒鉛ルツボ112が石英ルツ
ボ(図示せず)により圧力を受けて分割面112aが開
いた際、下端延長部112cが黒鉛受け台113に接触
して破損する虞れがあるという問題があった。また、黒
鉛受け台113が図示したものより小さい場合には、空
隙部114にSi蒸気等が入り込んで底部外周面112
dに付着し、その後嵌合面115に侵入し、黒鉛ルツボ
112が破損する原因となるという問題があった。
【0018】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
のであり、黒鉛ルツボと該黒鉛ルツボ底部外周面に嵌合
される黒鉛受け台との嵌合面に液滴状Siが侵入するの
を防止することができ、この液滴状Siの嵌合面への侵
入に起因して黒鉛ルツボが破損するのを防止することが
できるとともに、単結晶引き上げ後の冷却時にも破損の
虞れがない黒鉛ルツボ及び黒鉛受け台を含む単結晶引き
上げ用黒鉛部品を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段及びその効果】上記目的を
達成するために本発明に係る単結晶引き上げ用黒鉛部品
(1)は、分割形態の黒鉛ルツボと該黒鉛ルツボの底部
に嵌合される黒鉛受け台とを含んで構成された単結晶引
き上げ用黒鉛部品において、前記黒鉛ルツボ底部の黒鉛
受け台嵌合面端近傍に、少なくとも1個以上の突起が形
成されていることを特徴としている。
【0020】上記単結晶引き上げ用黒鉛部品(1)によ
れば、前記突起により黒鉛受け台へのSi蒸気の侵入を
防止することができるとともに、黒鉛ルツボ外周面に付
着した液滴状のSiが前記嵌合面に侵入するのも防止す
ることができ、前記嵌合面へのSiの侵入により、単結
晶を引き上げた後の冷却時に前記嵌合面部分に固着が生
じ、その結果黒鉛ルツボの分割面が開かず破損するとい
った事態が生ずるのを防止することができる。
【0021】また本発明に係る単結晶引き上げ用黒鉛部
品(2)は、上記単結晶引き上げ用黒鉛部品(1)にお
いて、黒鉛ルツボ底部外周面の黒鉛受け台嵌合面を除く
部分に30μm以上黒鉛ルツボの厚さの1.5%以下の
深さの表面溝が形成されていることを特徴としている。
【0022】上記単結晶引き上げ用黒鉛部品(2)によ
れば、複数回の使用により大きくなり易い液滴を前記表
面溝に吸収することができるため、前記突起による効果
と相まって、Siが前記嵌合面に侵入するのをより効果
的に防止することができ、黒鉛ルツボが破損するのを防
止することができる。
【0023】また本発明に係る単結晶引き上げ用黒鉛部
品(3)は、上記単結晶引き上げ用黒鉛部品(2)にお
いて、黒鉛ルツボ分割面から50mm以内の範囲を除い
て、表面溝が形成されていることを特徴としている。
【0024】上記単結晶引き上げ用黒鉛部品(3)によ
れば、黒鉛ルツボ分割面にSiが侵入するのを防止する
ことができるため、黒鉛分割面の固着を防止することが
でき、前記固着により黒鉛ルツボが破損するのを防止す
ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明に係る分割形態の黒鉛ルツ
ボと該黒鉛ルツボ底部に嵌合される黒鉛受け台とを含ん
で構成される単結晶引き上げ用黒鉛部品としては、通
常、前記黒鉛ルツボと黒鉛受け台との2部品からなるも
のが挙げられるが、その他に分割された黒鉛ルツボの一
部を固定するための黒鉛製のピン等、付属部品を含んで
いてもよい。また黒鉛ルツボは、2分割されたものであ
ってもよく、3分割以上されたものであってもよい。
【0026】図1(a)は、本発明に係る単結晶引き上
げ用黒鉛部品の実施の一形態を摸式的に示した断面図で
あり、(b)はこの黒鉛ルツボの底部外周面に形成され
た突起部分を示した拡大断面図である。
【0027】図1において、単結晶引き上げ用黒鉛部品
10は黒鉛ルツボ12と黒鉛ルツボ12の底部外周面1
2bに嵌合される黒鉛受け台13とから構成されてお
り、黒鉛受け台13は支持軸14により支持されてい
る。また黒鉛ルツボ12は分割面12aで縦に2分割さ
れている。そして、黒鉛ルツボ12の底部外周面12b
に嵌合された黒鉛受け台13との嵌合面16端の近傍
に、2個の突起15が形成されている。
【0028】Si蒸気又は液滴状のSiが嵌合面16に
侵入するのを防止するために、この突起15はなるべく
黒鉛受け台13との嵌合面16端の近傍に形成するのが
好ましく、少なくとも黒鉛ルツボ12の側部外周面12
c下端から黒鉛受け台13の嵌合面16端までの水平距
離2aの半分の距離aより内側に形成するのが好まし
い。Si蒸気や液滴状Siの嵌合面16への侵入を効率
より防止するために、突起15の先端は嵌合面16端よ
り下方に位置するのが好ましく、またなるべく多くの数
の突起15が形成されている方が好ましい。さらに、黒
鉛受け台13の周囲で黒鉛ルツボ12の底部外周面12
b全体に平面視円形になるように連続した形状の突起1
5を形成する方がより確実にSiの嵌合面16への侵入
を防止することができる。また、単結晶が引き上げられ
た後、単結晶引き上げ用黒鉛部品10が冷却され、引っ
張り応力により黒鉛ルツボ12の分割面12aが開いた
際に、突起15が黒鉛受け台13と接触して破損しない
ように、突起15の形状及び高さを考慮する必要があ
り、また黒鉛受け台13側面と突起15の先端との距離
wが4〜15mmとなる位置に突起15を形成する必要
がある。
【0029】黒鉛ルツボ底部外周面12bに付着した液
滴状Siの粘性は、単結晶引き上げの際にはまだかなり
低いため、突起15の高さが低い場合にはこの突起15
を越えて液滴状Siが下方に流れることもあり得る。こ
れらを考慮すると、突起の高さ(h)は2mm以上、好
ましくは5〜20mmが好ましい。突起15の高さ
(h)は、突起15の裾同士を結んだ平面から先端に垂
線を引いた際の距離hをいうことにする。
【0030】図2(a)〜(c)は実施の形態に係る単
結晶引き上げ用黒鉛部品を構成する黒鉛ルツボの底部外
周面に形成される突起の種々の形状を示した拡大断面図
である。
【0031】黒鉛ルツボに形成される突起は、図1に示
したような先端が鋭角で断面形状が略2等辺三角形状の
突起15の他、図2(a)に示したような先端部分が鋭
角で内側に向いた断面形状が三角形状の突起25、図2
(b)に示したような先端部分が余り鋭角でない断面形
状が2等辺三角形状の突起35、図2(c)に示したよ
うな断面が半楕円形状の突起45等が挙げられるが、図
1、図2(a)に示したような先端部分ができるだけ鋭
角の突起15、25が好ましい。この場合、突起15、
・・・ の根元への応力集中を抑制するために、突起15、
・・・ の根元が曲面になるように面取り加工を施すのが好
ましい。
【0032】また、黒鉛ルツボ12、22、32、42
の底部外周面には、突起15、・・・の他に、表面溝を形
成するのが好ましい。図3(a)は突起15及び表面溝
17が形成された黒鉛ルツボ52の底部外周面52b部
分を模式的に示した拡大断面図であり、(b)はこの黒
鉛ルツボ52の底面の一部を示した底面図である。
【0033】実施の形態に係る黒鉛部品50を構成する
黒鉛ルツボ52の外周面に付着した液滴状Siは冷却さ
れると粘度が大きくなり、使用が繰り返されると次第に
液滴が大きく成長する。このように液滴状Siが大きく
成長すると、突起15を越えて黒鉛ルツボ52と黒鉛受
け台13との嵌合面16にSiが侵入する虞れがある。
しかし、図3に示したように黒鉛ルツボ52の底部外周
面52bの嵌合面16を除いた部分Aに表面溝17を形
成すると、黒鉛ルツボ底部外周面52bに上部よりたれ
込んでくる液滴状Siが表面溝17に吸収され分散する
効果が生じ、液滴状Siの成長を防止することができ
る。
【0034】この場合、図3に示したように、黒鉛ルツ
ボ52の底部外周面52bに突起15及び表面溝17の
両方を形成することにより、黒鉛ルツボ52と黒鉛受け
台13との嵌合面16へのSiの侵入をより一層効果的
に防止することができる。なお、当然ながら、突起15
表面にも表面溝17を形成した方がより望ましい。
【0035】黒鉛ルツボ52の底部外周面52bに形成
する表面溝17の深さは30μm以上黒鉛ルツボの厚さ
の1.5%以下が好ましく、80μm以上黒鉛ルツボの
厚さの1.5%以下がより好ましく、また表面溝17の
密度は単位表面積当たり50%以上であるのが好まし
い。また、表面溝17は図3に示したようにランダムな
方向及び長さを有するものでもよいが、円周方向に形成
されている方が液滴状Siの分散効果が大きい。また、
図4に示しているように、黒鉛ルツボ62の底部外周面
62b全体に、平面視円形状(一部を除く)の表面溝2
7を形成した方が、液滴状Siの分散効果がより一層発
揮される。
【0036】表面溝17の深さが30μmより浅いと液
滴状Siの分散効果が十分に発揮されない傾向が表わ
れ、他方表面溝17の深さが黒鉛ルツボの厚さの1.5
%を超えると黒鉛ルツボ52の強度が低下する傾向が表
われる。また表面溝17の密度が、単位表面積あたり5
0%未満であると、液滴状Siの分散効果が低下する傾
向が表われる。
【0037】図4(a)は突起15及び表面溝27が形
成された黒鉛ルツボ62の底部外周面62b部分を模式
的に示した拡大断面図であり、(b)はこの黒鉛ルツボ
62の底部の一部を示した底面図である。
【0038】前記したようにこの黒鉛ルツボ62では、
黒鉛ルツボ62の底部外周面62bに平面視円形状の表
面溝27が形成されているが、黒鉛ルツボ62の分割面
62aから50mm以内には、表面溝27が形成されて
いない。これは、黒鉛ルツボ62の分割面62aから5
0mm以内に表面溝27が形成された場合、黒鉛ルツボ
62の分割面62aに液滴状Siが侵入して、黒鉛ルツ
ボ62の分割面62aが固着し、結果的に黒鉛ルツボ6
2が破損する虞れもあるからである。
【0039】このような表面溝17、27は、荒いサン
ドペーパを用いた表面目荒し処理や、旋盤等を用いた機
械加工により、容易に形成することができる。
【0040】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係る単結晶引き上
げ用黒鉛部品の実施例を説明する。
【0041】まず実施例1に係る黒鉛部品は図1に示し
た単結晶引き上げ用黒鉛部品10の構成とし、突起形状
としては、図2(a)に示したような先端が鋭角で内側
に向いた形状とした。そして、黒鉛ルツボ12の底部外
周面12bに形成した突起25の高さhを6mmとし、
黒鉛受け台13側面と突起25の先端との距離wを5m
mとし、またこの突起25は黒鉛ルツボ12の底部外周
面12bの全周にわたって形成した。
【0042】実施例2の場合には、突起25を黒鉛受け
台13に近いもの1個とした他は、実施例1の黒鉛部品
10と同様の構成とした。
【0043】また実施例3〜5に係る黒鉛部品は、図3
に示したように突起25が形成され、底部外周面52b
の全面(嵌合面16を除く)にわたってランダムに表面
溝17が形成されている以外は実施例1に係る単結晶引
き上げ用黒鉛部品10と同様の構成とした。
【0044】この場合の表面溝17の形成は、サンドペ
ーパーを用いて行ったが、それぞれの実施例で異なる粗
さのサンドペーパーを用い、ランダムな方向にこするこ
とにより、表面溝17を形成した。表面溝17の単位面
積当たりの割合は80%であり、その深さは下記の表1
に示した通りに設定した。
【0045】実施例6に係る黒鉛部品は、図4に示した
ような平面視円形状の表面溝27が底部外周面62bの
全周(黒鉛ルツボ分割面62aから50mm以内の範囲
を含む)にわたって形成されている以外は実施例1に係
る単結晶引き上げ用黒鉛部品10と同様の構成とした。
表面溝27の単位面積当たりの割合は80%であり、そ
の深さは表1に示した。
【0046】実施例7〜10に係る黒鉛部品は、図4に
示したような平面視円形状の表面溝27が底部外周面6
2bのほぼ全周(黒鉛ルツボ分割面62aから表1に示
した範囲を除く)にわたって形成されている以外は実施
例1に係る単結晶引き上げ用黒鉛部品10と同様の構成
とした。表面溝27の単位面積当たりの割合は80%で
あり、その深さは表1に示した。黒鉛ルツボ合わせ面6
2aから表1に示した範囲は、Rmax が7μm以下にな
るように細かいサンドペーパで表面溝を削り落した。
【0047】実施例11に係る黒鉛部品は、黒鉛ルツボ
12の底部外周面12bに形成した突起の形状を図2
(b)に示した形状の突起35とし、その高さhを6m
m、黒鉛受け台13側面と突起35の先端との距離wを
10mmとした他は、実施例7の場合と同様の構成と
し、実施例12に係る黒鉛部品は、黒鉛ルツボ12の底
部外周面12bに形成した突起の形状を図2(c)に示
した形状の突起45とし、その高さhを6mm、黒鉛受
け台13側面と突起45の先端との距離wを10mmと
した他は、実施例7の場合と同様の構成とした。
【0048】比較例1に係る黒鉛部品は、図7に示した
ように従来の底部外周面92bに突起が形成されていな
い以外は実施例1に係る単結晶引き上げ用黒鉛部品10
と同様の構成とした。
【0049】また比較例2に係る黒鉛部品は、図5に示
した側部外周面122cの下端近傍の底部外周面122
bに実施例1の場合と同様の突起25が2個が形成され
た構成とした。
【0050】上記実施例及び比較例に係る黒鉛ルツボ
は、その内径を約310mmとし、側壁の厚さを15m
mとした。また、上記実施例及び比較例に係る黒鉛ルツ
ボ及び黒鉛受け台の材質は、すべて同じ嵩密度1.87
g/cm3 の高密度黒鉛材とした。
【0051】上記実施例、及び比較例に係る単結晶引き
上げ用黒鉛部品を用い、図6に示した単結晶引き上げ装
置により結晶成長を模した模擬試験を行った。
【0052】この模擬試験は、所定量の多結晶シリコン
を石英ルツボ11に装入した後加熱し、石英ルツボ11
の深さの略1/3の高さになるように溶融させた後、単
結晶の引き上げは行わず、そのまま単結晶引き上げを行
った場合と同じ時間保持し、その後に冷却し、溶融液7
8を凝固させた。Si溶融液78の温度はヒーター76
に与える電力を高く設定することにより、Siの融点で
ある1420℃より50℃程度高くし、Si蒸気やSi
Oガスの発生量を増大させた。
【0053】また、リチャージの模擬試験も行った。こ
のリチャージの模擬試験は、通常、単結晶を引き上げる
引き上げ棒79の先に底部が開口可能な円筒容器を設置
し、その容器中にSi多結晶粒を約2kg入れ、所定の
保持時間の中間地点で、前記容器を液面付近に移動させ
て底を開き、多結晶Si粒の投入を行うという方法を採
ることにより行った。その他の条件は通常の単結晶引き
上げの場合と同様とした。
【0054】前記操作を行った後、冷却することにより
石英ルツボ11内の溶融液78を凝固させた後、再びヒ
ーター76により加熱を行って溶融液78を形成し、リ
チャージを行う工程を黒鉛ルツボ12、・・・ と黒鉛受け
台13との固着による黒鉛ルツボ12、・・・ の破損が発
生するまで繰返し行った。黒鉛ルツボ12、・・・ の破損
が発生するまでの繰返し回数を、比較例1を基準として
まとめた結果を下記の表1に示している。
【0055】
【表1】
【0056】上記表1より明らかなように、実施例に係
る黒鉛部品は、比較例1の場合と比較して耐用回数の指
数がいずれも1.7以上と大きく向上している。また底
部外周面12b、・・・ に突起25、・・・ 及び表面溝1
7、・・・ の両方が形成された黒鉛ルツボ52、・・・ にお
いては、その耐用回数の指数が2.0以上とさらに大き
く向上している。また、黒鉛ルツボの分割面62aから
一定の距離を除いた部分のみに表面溝27が形成されて
いるものでは、さらに耐用回数の指数が増大している
が、表面溝27を形成する面積が小さくなりすぎると、
逆に耐用回数が減少する傾向になっており、耐用回数は
黒鉛ルツボ62の底部外周面62bに形成する表面溝2
7の面積にある程度依存していることがわかる。
【0057】また、突起25が側部外周面122cの下
端付近に形成された比較例2に係る黒鉛部品120にお
いては、耐用回数の指数が比較例1の場合に比べて大き
くなってはいるものの、耐用回数の指数は1.2と比較
例1の場合と大差なく、他の実施例の場合に比べて小さ
い値となっている。
【0058】以上のように実施例に係る単結晶引き上げ
用黒鉛部品にあっては、黒鉛ルツボ底部外周面12b、
・・・ の黒鉛受け台嵌合面16端近傍に、1個又は2個の
平面視円形状の突起25、・・・ が形成されているか、ま
たは底部外周面52b、62bにランダムな方向に又は
平面視円形状の連続的な表面溝17、27が形成される
とともに突起25も形成されているので、突起25によ
り黒鉛受け台13へのSi蒸気の侵入を防止することが
できるとともに、黒鉛ルツボ外周面12b、・・・ に付着
した液滴状のSiが嵌合面16に侵入するのも防止する
ことができ、また表面溝17、27は液滴状Siを吸収
又は分散させることができ、嵌合面16へのSiの侵入
により、単結晶を引き上げた後冷却する際に嵌合面16
部分に固着が生じ、その結果黒鉛ルツボ12、・・・ が破
損するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る単結晶引き上げ用黒鉛部
品の実施の一形態を模式的に示した断面図であり、
(b)はこの黒鉛ルツボの底部外周面に形成された突起
部分を示した拡大断面図である。
【図2】(a)〜(c)は実施の形態に係る黒鉛部品を
構成する黒鉛ルツボの底部外周面に形成される突起の種
々の形状を示した拡大断面図である。
【図3】(a)は突起及びランダムな方向の表面溝が形
成された黒鉛ルツボの底部外周面部分を模式的に示した
拡大断面図であり、(b)はこの黒鉛ルツボの底面の一
部を示した底面図である。
【図4】(a)は突起及び連続的な表面溝が形成された
黒鉛ルツボの底部外周面部分を模式的に示した拡大断面
図であり、(b)はこの黒鉛ルツボの底面の一部を示し
た底面図である。
【図5】比較例1に係る黒鉛部品等を模式的に示した断
面図である。
【図6】従来よりCZ法に用いられている単結晶引き上
げ装置を模式的に示した断面図である。
【図7】従来の分割形態の黒鉛ルツボを含む黒鉛部品等
を模式的に示した断面図である。
【図8】(a)は従来の分割形態の黒鉛ルツボを含む黒
鉛部品等において、前記黒鉛ルツボの分割面が開いた状
態を模式的に示した平面図であり、(b)はその縦断面
図である。
【図9】特開平5−279169号公報に開示された側
部外周面に突起及び窪みが形成された黒鉛ルツボを模式
的に示した斜視図である。
【図10】特開昭58−95693号公報に開示された
側部外周面の下端に延長部が形成された黒鉛ルツボを模
式的に示した断面図である。
【符号の説明】
10、20、30、40、50、60 単結晶引き上げ
用黒鉛部品 12、22、32、42、52、62 黒鉛ルツボ 12a、22a、32a、42a、52a、62a 分
割面 12b、22b、32b、42b、52b、62b 底
部外周面 13 黒鉛受け台 15、25、35、45 突起 16 嵌合面 17、27 表面溝

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分割形態の黒鉛ルツボと該黒鉛ルツボの
    底部に嵌合される黒鉛受け台とを含んで構成された単結
    晶引き上げ用黒鉛部品において、前記黒鉛ルツボ底部の
    黒鉛受け台嵌合面端近傍に、少なくとも1個以上の突起
    が形成されていることを特徴とする単結晶引き上げ用黒
    鉛部品。
  2. 【請求項2】 黒鉛ルツボ底部外周面の黒鉛受け台嵌合
    面を除く部分に30μm以上黒鉛ルツボの厚さの1.5
    %以下の深さの表面溝が形成されていることを特徴とす
    る請求項1記載の単結晶引き上げ用黒鉛部品。
  3. 【請求項3】 黒鉛ルツボ分割面から50mm以内の範
    囲を除いて、表面溝が形成されていることを特徴とする
    請求項2記載の単結晶引き上げ用黒鉛部品。
JP23427695A 1995-09-12 1995-09-12 単結晶引き上げ用黒鉛部品 Pending JPH0977589A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019064697A1 (ja) * 2017-09-29 2019-04-04 株式会社Sumco 坩堝支持台座、石英坩堝支持装置およびシリコン単結晶の製造方法

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