JPH0973152A - 写真用支持体 - Google Patents

写真用支持体

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JPH0973152A
JPH0973152A JP22801895A JP22801895A JPH0973152A JP H0973152 A JPH0973152 A JP H0973152A JP 22801895 A JP22801895 A JP 22801895A JP 22801895 A JP22801895 A JP 22801895A JP H0973152 A JPH0973152 A JP H0973152A
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JP
Japan
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sps
film
layer
photographic
silver halide
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JP22801895A
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English (en)
Inventor
Shigeru Shiozaki
茂 塩崎
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の二軸延伸シンジオタクティックポリ
スチレン写真用支持体の屈折率と密度を最適化すること
によって、断裁の際、きれいな(スムースな)断裁断面
を持ち、かつ寸法安定性と透明性が優れ、しかも軽量な
写真用支持体、特にハロゲン化銀写真感光材料の有用な
写真用支持体を提供する。 【構成】 シンジオタクティック構造を有し、縦方向、
横方向及び厚さ方向のそれぞれの屈折率が1.585以
下、1.585以下及び1.625以下で、密度が1.
05g/cm3以下であることを特徴とする二軸延伸シ
ンジオタクティックポリスチレン写真用支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二軸延伸シンジオタク
ティックポリスチレンフィルムを用いた写真用支持体に
関する。詳しくはシンジオタクティックポリスチレンフ
ィルムを用いたハロゲン化銀写真感光材料用支持体に関
する。
【0002】
【従来の技術】現在実用化されている写真用支持体、と
りわけハロゲン化銀写真感光材料用の支持体には、主に
ハロゲン化銀カラー写真感光材料(略してカラーフィル
ム)にはセルローストリアセテート(以下TACと略
す)フィルムが、ハロゲン化銀印刷用写真感光材料(略
して印刷感光材料フィルム)とハロゲン化銀X線写真感
光材料(略してX線フィルム)にはポリエチレンテレフ
タレート(以下PETと略す)フィルムが用いられてい
る。
【0003】カラーフィルムは機械的強度、巻癖のつき
にくさ、透明性、手で引き裂きやすいこと等が、印刷感
光材料フィルムは物性的に吸湿膨張係数、熱膨張係数、
熱収縮性、吸水性等が小さいこと、透明性がよいことな
どが、またX線フィルムではフィルムの腰が強く座屈し
にくいこと、また物流上軽量化等が要求されている。こ
れらの性質のほとんどは写真用支持体そのものの物性に
起因しているものが多い。
【0004】カラーフィルムでは、昨今カメラの小型化
に伴いフィルムの薄手化が要求されており、薄くしても
機械的強度の強い写真用支持体が求められているが、ロ
ールフィルムの付いた巻癖が現像処理で解消されるとい
う利点を他の写真用支持体ではまだ見いだされてはいな
い。
【0005】印刷感光材料フィルムの寸法安定性は、感
光層等の厚さ、弾性率及び吸湿膨張係数に大きく依存す
るが、昨今では感光層等の厚さがますます薄くなり、ま
たラテックス等柔軟にする素材が混合されるようになり
感光層等の弾性率が低下したため、寸法安定性に対する
感光層等の寄与が小さくなり、写真用支持体自体の寄与
が問題とされるようになった。PET写真用支持体の吸
湿膨張係数を小さくするために水透湿性の小さい塩化ビ
ニリデン樹脂を表面に塗設することにより、そこでPE
Tより吸湿膨張係数の小さな写真用支持体が求められて
いる。
【0006】またX線フィルムの場合、厚手のフィルム
が使用されているため、シート製品の重量が大きく、軽
量化のためにもPETより軽い写真用支持体が検討され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの要求に応える
ために、TACの変わりにPET、ポリエチレンナフタ
レート(以下PENと略す)、あるいはポリカーボネー
ト(以下PCと略す)が検討されている。印刷用感光材
料やX線感光材料などについてはまだ適当なものがな
い。
【0008】最近、シンジオタクティックポリスチレン
(以下SPSと略すことがある)フィルムが開発されて
いる。例えば、SPSは写真用としては特開平3−13
1843号が、またその他の用途のものとしては、特開
平1−110122号、同1−168709号、同1−
182346号、同2−279731号、同3−744
37号、同3−131644号、同6−207636
号、同6−322149号、同7−013024号、同
7−001643号、同7−001644号、同7−2
4911号等に提案されている。
【0009】SPS系フィルムは軽量で、機械的強度、
透明性、吸湿膨張係数等の性質に優れていることが判明
したが、写真用支持体としてTAC、PET、PENあ
るいはPCフィルムの欠点を補い得るフィルムとして実
用的に使用可能なフィルムであるかどうかを検討した結
果、ほとんどの性質については実用的であると判断され
たが、下記欠点が発見された。
【0010】すなわち、SPS系フィルムの製造条件に
よっては、SPS系写真用支持体を断裁する段階で切断
面がぎざぎざとなりハロゲン化銀写真感光材料としての
商品価値を著しく損なわれるばかりでなく、細かい断裁
くずが発生してそれらが写真用支持体あるいはハロゲン
化銀写真感光材料に付着することにより塗布故障、画像
損傷、未露光部分、未現像部分等の欠陥を生じ、商品と
して成り立たないことがわかった。
【0011】本発明の目的は断裁の際きれいな(スムー
スな)断裁断面をもつSPS系写真用支持体、特にハロ
ゲン化銀写真感光材料に用いるSPS系写真用支持体を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明はSPS系写真用
支持体の縦方向、横方向及び厚さ方向の屈折率をそれぞ
れ1.585以下、1.585以下及び1.625以下
となるようにすることにより、上記目的を達成出来るこ
とを見いだした。また更に上記厚さ方向の屈折率を1.
622以下にすることによって、上記目的がより好まし
く達成された。またその際同時にSPS系写真用支持体
の密度を1.05g/cm3以下、好ましくは1.04
g/cm3以下にすることにより上記目的は達成され
た。
【0013】以下本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明のSPSについて説明する。本発明
のSPS、すなわちシンジオタクティック構造を有する
ポリスチレン系重合体とは、立体規則性構造(タクティ
シティー)が、シンジオタクティック構造を有するも
の、すなわち、炭素−炭素結合から形成された主鎖に対
して側鎖であるフェニール基や置換フェニール基が交互
に反対方向に位置する立体構造を有するものである。S
PSは全ての主鎖のスチレン単位がシンジオタクティッ
ク構造を取っているのではなく、シンジオタクティック
構造のスチレン単位が幾つか繋がっている部分を有して
いて、それらが重なり合って結晶部分を形成している構
造になっている。この連鎖をラセモ連鎖といい、SPS
は主鎖にポリスチレンのラセモ連鎖を多く有している組
成物である。連続する複数個のスチレン構成単位が2個
の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の
場合はペンタッドと呼ばれ、本発明にいう主としてシン
ジオタクティック構造を有するスチレン系重合体とは、
通常ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%
以上、若しくはラセミトリアッド60%以上、好ましく
は75%以上、若しくはラセミペンタッド30%以上、
50%以上であることが好ましい。このタクティシティ
ーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)
により定量することが出来る。
【0015】本発明のSPS系重合体は、スチレン単独
の重合体であってもよく、スチレン誘導体あるいはその
他の単量体それを含む組成物であってもよく、スチレン
の単独重合体であれば、特開昭62−117708号記
載の方法で重合することが出来、またその他の重合体に
ついては、特開平1−46912号、同1−17850
5号等に記載された方法により重合することにより得る
ことができる。
【0016】SPS系組成物を構成する重合体の具体的
な単量体としては、スチレンの他に、メチルスチレン等
のアルキルスチレン、クロロメチルスチレン、クロロス
チレン等のハロゲン化(アルキル)スチレン、アルコキ
シスチレン、ビニル安息香酸エステル等を挙げることが
できる。
【0017】本発明のSPS系写真用支持体がスチレン
以外のスチレン誘導体としての単量体を含有する場合に
は、15%以下含有してもよく、物性よりよく維持する
ためには10%以下が好ましい。特に5〜10%が好ま
しい。この場合スチレン誘導体としては、α−メチルス
チレンが好ましい。
【0018】本発明のシンジオタクティック構造を有す
るポリスチレン系樹脂は、上記のような原料単量体を重
合用触媒として、特開平5−320448号の4頁〜1
0頁に記載の(イ)(a)遷移金属化合物及び(b)ア
ルミノキサンを主成分とするもの、又は(ロ)(a)遷
移金属化合物及び(c)遷移金属化合物と反応してイオ
ン性錯体を形成しうる化合物を主成分とするものを用い
て重合して製造することができる。
【0019】本発明のSPS系写真用支持体に用いられ
るスチレン系重合体を製造するには、まず、前記スチレ
ン系単量体を十分に精製してから上記触媒のいずれかの
存在下に重合させる。この際、重合方法、重合条件(重
合温度,重合時間)、溶媒などは適宜選定すればよい。
通常は−50〜200℃、好ましくは30〜100℃の
温度において、1秒〜10時間、好ましくは1分〜6時
間程度重合が行われる。また、重合方法としては、スラ
リー重合法,溶液重合法,塊状重合法,気相重合法な
ど、いずれも用いることができ、連続重合,非連続重合
のいずれであってもよい。ここで、溶液重合にあって
は、溶媒として、例えばベンゼン,トルエン,キシレ
ン,エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素,シクロペン
タン,ヘキサン,ヘプタン,オクタンなどの脂肪族炭化
水素などを一種又は二種以上を組合わせて使用すること
ができる。この場合、単量体/溶媒(体積比)は任意に
選択することができる。また、重合体の分子量制御や組
成制御は、通常用いられている方法によって行えばよ
い。分子量制御は例えば水素,温度,単量体濃度などで
行うことができる。重合終了後は定法によりペレット化
して使用するのが好ましい。
【0020】本発明の写真用支持体に用いられるSPS
系重合体の分子量は、製膜される限りにおいては制限が
ないが、重量平均分子量で、10000〜300000
0であることが好ましく、特には30000〜1500
000のものが好ましい。またこの時の分子量分布(数
平均分子量/重量平均分子量)は、1.5〜8が好まし
い。この分子量分布については、異なる分子量のものを
混合することにより調整することも可能である。
【0021】本発明のSPS系写真用支持体を立体規則
性からみると、SPS系単独重合体であることが好まし
いが、シンジオタクティック構造の他に、主鎖がメソ連
鎖であるアイソタクチック構造を有するスチレン系重合
体(IPS)を混合してもよく、このものは結晶化速度
のコントロールが可能であり、より強固なフィルムとす
ることが出来る。SPSとIPSとを混合する際には、
そのSPS:IPS比はお互いの立体規則性の高さに依
存するが、30:70〜99:1が好ましく、特に5
0:50〜98:2が好ましい。
【0022】本発明の写真用支持体中には、本発明の目
的を妨げない範囲において、機能性付与のために無機微
粒子、酸化防止剤、UV吸収剤、帯電防止剤、染料、顔
料、色素等をSPS系樹脂ペレット中に含有させること
が可能である。
【0023】本発明のSPS系樹脂ペレットを製膜前に
120〜180℃で、1〜24時間、真空下或いは、常
圧下で、空気又は窒素等の不活性気体雰囲気下で乾燥す
ることが好ましい。
【0024】本発明のSPS系写真用支持体の製膜につ
いて述べる。まず、製膜時に押し出す方法は、公知の方
法が適用出来るが、例えばTダイで押し出すことが好ま
しい。真空乾燥されたSPSペレットを押出機に投入し
て280〜350℃で溶融、押出して、キャスティング
ドラム上で静電印荷しながら冷却固化させて未延伸フィ
ルムを作製する。
【0025】次にこの未延伸フィルムを2軸延伸し、2
軸配向させる。延伸方法としては、公知の方法、例え
ば、縦延伸及び横延伸を順に行う逐次2軸延伸法のほ
か、横延伸・縦延伸の逐次2軸延伸法、横・縦・縦延伸
法、縦・横・縦延伸法、縦・縦・横延伸法、または同時
2軸延伸法等を採用することができ、要求される機械的
強度や寸法安定性等の諸特性に応じて適宜選択すること
ができる。一般に、最初に長手方向に、次に幅手方向に
延伸を行う逐次2軸延伸方法が好ましく、この場合、縦
横の延伸倍率としては、2.0〜5.0倍で、縦延伸温
度は,ポリマーのガラス転移温度(Tg)に依存する
(SPSのTgは約100℃)が、通常(Tg+10)
℃〜(Tg+50)℃の温度範囲で延伸する。SPS系
フイルムの場合は、110〜150℃で行うことが好ま
しい。幅手方向の延伸温度としては、長手方向より若干
高くして115〜160℃で行うことが好ましい。
【0026】次に、この延伸フィルムを熱固定する。こ
の場合、熱固定温度としては、用途に応じて適宜変更出
来る。本発明の目的を達成するめには、製膜条件にも依
存するが、熱固定温度としては、220〜260℃の温
度範囲が好ましい。熱固定時間は、特に限定されない
が、通常3〜100秒程度である。この時、必要に応じ
て、縦あるいは横方向の熱弛緩処理を施してもよい。
【0027】本発明者はSPS系写真用支持体を所定の
倍率に二軸延伸した後、続いて熱固定を200〜260
℃以上温度で処理することによって、きれいな断裁断面
を持つ写真用支持体が得られることを見いだした。その
時、SPS系写真用支持体の屈折率が縦方向及び横方向
共1.585以下、好ましくは1.570以下であり、
厚さ方向では1.625以下、好ましくは1.622以
下であることを見いだした。因に、これらの屈折率の下
限値は特に限定されないが、縦方向と横方向では共に
1.540程度であり、厚さ方向のでは1.615程度
である。
【0028】上記の屈折率にするためには、延伸温度、
延伸倍率、縦横の延伸倍率のバランス、熱固定温度、熱
固定時間等に影響されるが、屈折率の他に密度も関係が
あることがわかった。本発明のSPS系写真用支持体の
密度は、上記諸条件によって一義的には決まらないが、
特に熱固定温度が260℃以下で1.05g/cm3
下、また250℃以下では、1.04g/cm3以下で
あることを本発明者は見いだした。密度の下限は、特に
限定されないが、1.00g/cm3程度である。
【0029】この際、上記条件を満足して作られたSP
S系写真用支持体の機械的性質としての引張弾性率は3
00kg/mm2以上であり、実用上使用するのに支障
はない。
【0030】本発明のきれいな(スムースな)断裁断面
というのは、ロールカッター、スリットカッター、ギロ
チンカッター等でSPS写真用支持体を又はそれを用い
たハロゲン化銀写真感光材料を断裁した場合、断裁面に
毛羽だったような、またはごつごつなというか、ぎざぎ
ざな状態のない断面であるとことであり、つまりそれら
のない滑らかな断面を持っているということである。二
軸延伸されたPETフィルムにおいて、フィルムを裂い
た時に引き裂き面に見られるいわゆるデラミネーション
という現象をみることが出来るが、これは、延伸された
PET分子が面配向し過ぎること(テレフタル酸のベン
ゼン環が面配向)によって、面の中で劈開されやすくな
るものと考えられており、引き裂き断面が幅広くぎざぎ
ざとした面になると言われている。本発明でいうぎざぎ
ざした断裁断面とこのデラミネーションとが異質なもの
であるか、あるいは同質のものであるのかは定かでない
が、それに近い現象なのではないかと本発明者は考えて
いる。SPSフィルムでは、側鎖に規則正しく交互にベ
ンゼン環が配置されているので、延伸されてそのベンゼ
ン環が配向し、ベンゼン環の重なり具合や結晶状態にな
ることによって、ぎざぎざな断面が形成され易くなるの
ではないかと思われる。
【0031】上述の製膜法に加えて、易滑性、接着性、
帯電防止性能等の諸特性を付与するため、SPS支持体
の少なくとも片面に、前述の特性等を付与したSPS系
フィルムを積層したSPS積層フイルムを作製すること
も出来る。積層フィルムは樹脂が溶融された状態で層流
で積層した後、ダイより押し出すとか、冷却、固化した
SPS系未延伸シートまたはSPS系一軸延伸シート
に、溶融SPS系組成物を押出ラミネートし、しかる後
縦・横両方向に、又は一軸延伸方向と直角方向に延伸、
熱固定して得られる。積層SPS系樹脂の押出条件、延
伸温度、延伸倍率、熱固定温度等は、SPS系積層フィ
ルムの組み合わせによっては若干異なるが、最適条件を
選ぶよう微調整すれば良く、単層のフィルムの条件とあ
まり異なることはなくてよい。積層数は2層以上からな
り、同種ポリマーの組み合わせ(共重合ポリマーの組み
合わせを含む)であってもよいし、異種ポリマーの組み
合わせであってもよい。
【0032】上記に加えて同様な方法で表面塗布(例え
ば、塩化ビニリデン塗布によるガスバリヤー性付与、イ
ンライン塗布による易滑性、易接着性付与)を行っても
よい。すなわち、未延伸シートに、又は一軸延伸後に、
あるいは二軸延伸後に、フィルムにインラインコーティ
ングすることによって作製することが出来る。
【0033】上述の製膜法は、その用途、目的に応じて
適宜変えられるもので、本発明はいかなる理由でも、こ
れらの方法に限定されるものではない。
【0034】このようにして得られるSPS系写真用支
持体の厚さは、ハロゲン化銀写真感光材料の用途に応じ
て異なるが、カラーフィルムの50〜130μm印刷感
光材料フィルムの70〜200μm、X線フィルムの1
80μm等と多岐に亘るが、前述の製膜条件は、50〜
250μmの厚さのものに有効である。
【0035】次に、SPS系写真用支持体の下引処理に
付いて述べる。下引層を塗設する前に、薬品処理、機械
的粗面化処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処
理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、
レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理などの表面処
理を施すのが好ましい。これらの処理により、SPS系
写真用支持体表面の水との接触角は65゜以下に、好ま
しくは55゜以下にする事が出来、下引層の塗布時の濡
れ性及び接着性を良好ならしめるのに有効である。
【0036】上記コロナ処理を行う場合には、その処理
条件として、放電周波数を50Hz〜5000KHz
に、好ましくは5KHz〜数100KHzにすることが
よい。放電周波数が小さすぎると、安定な放電が得られ
ず、かつ被処理物にピンホールが生じ、好ましくない。
また周波数が高すぎると、インピーダンスマッチングの
ための特別な装置が必要となり、装置の価格が高くなり
好ましくない。被処理物の処理強度は、SPS系写真用
支持体に対しては、5〜20W・分/m2、好ましくは
6〜15W・分/m2がよい。装置の種類(電極と誘電
体ロールのギャップクリアランス、放電形状、放電周波
数、波形等)により処理強度は異なる場合があり、写真
用支持体の処理表面と水との接触角が、上述の範囲、に
なるよう装置を調節すればよい。
【0037】紫外線処理は石英管からなる高圧水銀灯又
は低圧水銀灯の180〜380nmのスペクトルを有す
るものが好ましい。紫外線処理はフイルム製膜工程(延
伸プロセス、熱固定時、熱固定後)で行うことが好まし
く、とりわけ延伸工程の後半、あるいは熱固定時に行う
ことが好ましい。紫外線照射の方法は、高圧水銀ランプ
(365nmを主波長とするスペクトルを発生)であれ
ば、照射光量100〜1500(mJ/m2)が良く、
低圧水銀ランプ(254nmを主波長とするスペクトル
を発生)の場合には、照射光量200〜1500(mJ
/m2)が、また好ましくは、400〜1300(mJ
/m2)がよい。ランプの種類、装置の種類等により処
理強度は厳密に規定出来ないので、写真用支持体の処理
表面と水との接触角が、上述の範囲を満足するように調
節すればよい。
【0038】下引層については、当業界で用いられてい
るものならいずれをも用いられる。本発明のSPS系写
真用支持体への下引は、PETフィルムと同様に製膜中
延伸前、一軸延伸後、二軸延伸後熱固定前、あるいは二
軸延伸熱固定後のいずれかのプロセスにおいて行うこと
が出来る。SPS系写真用支持体も二軸延伸後熱固定さ
れた後の下引でも十分な乳剤層等の接着には支障がない
が、配向結晶完了前下引の方が好ましい。下引層の乾燥
温度は80〜250℃の温度範囲で行うのがよい。また
下引前後の前述の如き紫外線照射やコロナ放電等の処理
は、SPS系写真用支持体に対する接着性の向上に有効
な手段である。
【0039】本発明のSPS系写真用支持体への下引素
材としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、
無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸もしくはエステル
(エステル基としてはC1〜C8のアルキル基、ヒドロキ
シエチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、
N,N−ジメチルアミノエチル基、グリシジル基等)、
アクリルアミド、N−置換アクリルアミド(置換基とし
ては、C1〜C4のアルキル基、フェニル基、スルホプロ
ピル基、ベンジル基、N−メチロール基、等)スチレ
ン、スチレンスルホン酸、塩化ビニリデン、塩化ビニ
ル、ブタジエン等の単量体から得られる重合体、もしく
は共重合体が挙げられる。また水分散系のポリエステ
ル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂
なども挙げられる。これらの中で好ましいものは、スチ
レン-ブタジエン共重合体が好ましく用いられる。具体
的には、スチレン/ブタジエンのモル比が9/1〜1/
9の共重合体が好ましい。また、第3のコモノマーとし
て上記アクリル酸等の親水性基を有するコモノマーをス
チレン/ブタジエン共重合体に対して、2〜10重量%
共重合して含ませることにより、SPSフィルムと写真
乳剤層との接着性を更に向上させる効果が得られる。他
の好ましい具体例としては、水分散性ポリエステルとス
チレン系重合体を構成要素とする共重合体である。
【0040】上記水分散性ポリエステルとは、多塩基酸
またはそのエステル形成性誘導体とポリオールまたはそ
のエステル形成性誘導体との縮重合反応により得られる
実質的に線状のポリマーである。このポリマーの多塩基
酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セ
バシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー
酸などを例示することができる。これら成分と共にマレ
イン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和多塩基酸
やp-ヒドロキシ安息香酸、p-(β-ヒドロキシエトキ
シ)安息香酸などのヒドロキシカルボン酸を小割合用い
ることができる。
【0041】また、ポリオール成分としては、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、キシリレングリコール、トリメチロ
ールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、
ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなどを例示
することができる。
【0042】該水分散性ポリエステルに水分散性及び水
溶性を付与するために、スルホン酸塩、ジエチレングリ
コール、ポリアルキレンエーテルグリコールなどの導入
が有効な手段である。特にスルホン酸塩を有するジカル
ボン酸成分(スルホン酸塩を有するジカルボン酸及び/
又はそのエステル形成性誘導体)を水分散性ポリエステ
ル中の全ジカルボン酸成分に対して5〜15モル%含有
することが好ましい。スルホン酸塩を有するジカルボン
酸及び/又はそのエステル形成性誘導体としてはスルホ
ン酸アルカリ金属塩の基を有するものが特に好ましく、
例えば4−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル
酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、4−ス
ルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−(4−ス
ルホフェノキシ)イソフタル酸などのアルカリ金属塩、
又はそのエステル形成性誘導体が用いられるが、5−ス
ルホイソフタル酸ナトリウム塩、又はそのエステル形成
性誘導体が特に好ましい。これらのスルホン酸塩を有す
るジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体
は、水溶性及び耐水性の点から全ジカルボン酸成分に対
し6〜10モル%で用いられることが特に好ましい。
【0043】水分散性ポリエステルとスチレン系(ビニ
ル系)重合体を構成要素とする共重合体とは、水分散系
ポリエステルに連鎖移動型の共重合する方法、水分散性
ポリエステルの末端に付加重合可能な基を導入してスチ
レン系(ビニル系)共重合体のモノマーと共重合するこ
とによりグラフト化する方法、スチレン系(ビニル系)
共重合体を重合しモノマーとしてカルボン酸、グリシジ
ル基もしくは置換アミノ基等水分散性ポリエステルを縮
重合する際に反応可能基を導入しグラフト化する方法等
がある。このスチレンを他のビニル系モノマーに変えて
反応させてもよい。
【0044】また、水分散性ポリエステルの存在下でビ
ニル系モノマーを共重合させる際、ラテックス状に重合
されるが、重合については、この場合特に界面活性剤を
必要とせず、重合反応が可能である。しかし、重合安定
性を改良する目的で、系内に界面活性剤を乳化剤として
用いてもよく、一般のノニオン・アニオンいずれの界面
活性剤も使用できる。
【0045】上記の水分散性ポリエステルとスチレン系
共重合体の割合は、99/1〜5/95、好ましくは9
7/3〜50/50、更に好ましくは95/5〜80/
20である。
【0046】これらの重合には重合開始剤を用いるが、
重合開始剤としては過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸類、過酸化水素等の過
酸化物、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸又はそ
の塩、2,2−アゾビス(2−アミノプロパン)塩酸塩
等のアゾビス系化合物等を用いることができる。また過
酸化物や過硫酸塩類は第1塩化鉄、第1硫酸鉄、第1硫
酸アンモンチオ硫酸ナトリウム等還元剤と組み合わせ
て、レドックス開始剤としても使用できる。
【0047】本発明のSPS系写真用支持体への下引は
水系、有機溶媒含有水系、あるいは有機溶媒系でするこ
とが出来る。有機溶媒の中で、SPSに対する溶媒とし
てはベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、
シクロペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチ
ルエチルケトン、ソクロヘキサノンがあるが、これらの
溶媒を下引液として量を多く使用し過ぎると支持体がお
かされ、平面性が損なわれるので、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、シクロヘキサノール、アセトン、
等の貧溶媒中に少量混合させるのが好ましい。その量は
貧溶媒に対して15%以下が好ましい。
【0048】また、本発明のSPS系写真用支持体の下
引としてポリマーラテックスを用いる場合も多い。その
ための下引液は水が用いられるが、その中にメタノー
ル、エタノール、アセトンの如き有機溶媒を混合して用
いることが出来る。
【0049】SPS系写真用支持体への下引液の塗布性
は下記の如き水溶性ポリマーを含有させることにより塗
布性を向上させることが出来る。有用な水溶性ポリマー
としては、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カ
ルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロー
ス(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(H
PMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHE
C)、変性ヒドロキシエチルセルロース(HMHE
C)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレン
オキシド(PEO)、キサンタン、カチオン性ヒドロキ
シエチルセルロース(CATHEC)、ヒドロキシプロ
ピルグアー(HPグアー)、グアー、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナト
リウム、及びカーボポール(Carbopol;登録商
標)アクリルアミド増粘用組成物等を挙げることが出
来、特に有用な水溶性ポリマーとしてはCMC及びMC
が好ましい。例えばCMC−7LX(アクアロン社製、
置換度=0.65〜0.80、水中5重量%の濃度での
粘度が200〜1000mPa.s)がSPS系写真用
支持体の下引液に好都合であるが、これらの他の種類の
もの、種々の粘度のもの、また種々のカルボキシメチル
置換度を有するもの等も使用出来る。更にMC、及びH
EC(アクアロン社製)、EHEC(ベロール、ノベロ
ール社製、HPMC(アクアロン社製、ダウケミカル社
製)もSPS系写真用支持体の下引液に有用である。
【0050】本発明のSPS系写真用支持体用の下引液
中の下引ポリマーの塗布濃度は20重量%以下が好まし
く、均一な塗布性を考慮すると5〜15重量%の濃度が
特に好ましい。
【0051】また、SPS系写真用支持体への下引液の
塗布量は、乾燥後で1〜20g/m 2がよく、特に塗布
性、接着性の点から5〜15g/m2が好ましい。また
下引ポリマーの塗布量は10〜3000mg/m2の範
囲がよく、 100〜1000mg/m2の範囲が更に好
ましい。
【0052】ところで、SPS系写真用支持体は、PE
T写真用支持体のそれに比べて、誘電損失が小さく、こ
のため一度帯電すると除電されにくいという性質があ
り、そのために下引塗布をする際に電荷分布に従って、
液の付き方が変わり、塗布ムラを生ずる場合がある。こ
のような場合には、下引液を塗布する前後に、強制的に
除電することが望ましい。除電方法としては、搬送支持
体の接触するロールをアースする方法、超音波等により
霧化した水を吹き付ける方法、もしくは放射線を当てま
わりの空気をイオン化して電荷を中和する方法、除電ブ
ラシを用いる方法、高圧印加法、イオン風をつくり、そ
れを吹き付ける方法等を用いることが出来る。
【0053】下引層は、単層でも構わないが、より機能
性を求め、接着力を高めるためには、重層であることが
望ましい。以下に下引の重層法について説明する。重層
法においては、上記下引層を下引層といい、下記下引層
は下引上層という。
【0054】下引処理は、前記フィルム製膜後に行って
も構わないが、下引組成物が延伸可能であるならば、製
膜途中である縦延伸の前、縦延伸と横延伸の間、横延伸
後熱処理の前など任意の場所で行うことが可能である。
延伸ができない場合例えば、親水性基を有するポリマー
を用いるには、親水性高分子間での相互作用が強く、延
伸できないことがあるが、スチーム下で延伸したり、延
伸助剤としてポリグリセリンなどを添加することにより
延伸が可能となる。
【0055】下引上層は、写真乳剤層を良く接着させる
ために親水性バインダー層であることが好ましい。親水
性バインダー層を構成するバインダーとして、ゼラチ
ン、ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸ソー
ダ、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸
共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース等の水溶性ポリマー類、ポリスチレンス
ルホン酸ソーダ共重合体と疎水性ラテックスの組み合わ
せなどが挙げられるが、このうちでゼラチンが最も好ま
しい。
【0056】これら下引上層中のバインダー層には、硬
膜剤を用いて膜強度を高めることが好ましく、このよう
な硬膜剤としては、例えばホルムアルデヒド、グルタル
アルデヒドのようなアルデヒド化合物、米国特許第2,
732,303号、同3,288,775号、英国特許
第974,723号、同1,167,207号等に記載
されている反応性ハロゲンを有する化合物、ジアセチ
ル、シクロペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス
(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−
ジクロロ−1,3,5−トリアジン、ジビニルスルホ
ン、5−アセチル−1,3−ジアクリロイルヘキサヒド
ロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,232,
763号、同3,635,718号、英国特許第99
4,809号等に記載の反応性オレフィンを有する化合
物、米国特許第3,539,644号、同3,642,
486号、特公昭49−13568号、同53−472
71号、同56−48860号、特開昭53−5725
7号、同61−128240号、同62−4275号、
同63−53541号、同63−264572号等に記
載のビニルスルホン化合物、N−ヒドロキシメチルフタ
ルイミド、米国特許第2,732,316号、同2,5
86,168号等に記載のN−メチロール化合物、米国
特許第3,103,437号等に記載のイソシアネート
化合物、米国特許第2,983,611号、同3,10
7,280号等に記載のアジリジン化合物、米国特許第
2,725,294号、同2,725,295号等に記
載の酸誘導体類、米国特許第3,100,704号等に
記載のカルボジイミド系化合物、米国特許第3,09
1,537号等に記載のエポキシ系化合物、米国特許第
3,321,313号、同3,543,292号等に記
載のイソオキサゾール系化合物、ムコクロル酸のような
ハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキ
サン、ジクロロジオキサン等のジオキサン誘導体等の有
機硬膜剤及びクロムミョウバン、硫酸ジルコニウム、三
塩化クロム等の無機硬膜剤である。またゼラチンに対し
て硬膜作用が比較的速い硬膜剤としては、特開昭50−
38540号に記載のジヒドロキノリン骨格を有する化
合物、特開昭51−59625号、同62−26285
4号、同62−264044号、同63−184741
号に記載のN−カルバモイルピリジニウム塩類、特公昭
55−38655号に記載のアシルイミダゾール類、特
公昭53−22089号に記載のN−アシルオキシイミ
ダゾール類、特公昭53−22089号に記載のN−ア
シルオキシイミノ基を分子内に2個以上有する化合物、
特開昭52−93470号に記載のN−スルホニルオキ
シイミド基を有する化合物、特開昭58−113929
号に記載のリン−ハロゲン結合を有する化合物、特開昭
60−225148号、同61−240236号、同6
3−41580号に記載のクロロホルムアミジニウム化
合物等が知られている。
【0057】この下引上層には、マット剤として2酸化
珪素、2酸化チタン等の無機微粒子や、ポリメタクリル
酸メチル等の有機系マット剤(1〜10μm)を含有す
ることが好ましい。これ以外にも必要に応じて、各種の
添加剤例えば、帯電防止剤、ハレーション防止剤、着色
用染料、顔料、塗布助剤を含有することができる。
【0058】下引層組成物の塗布液濃度は、通常20重
量%以下であり、好ましくは15重量%以下である。塗
布量は、塗布液重量で1〜30g/m2、更には5〜2
0g/m2であることが好ましい。
【0059】下引液の塗布方法としては、公知の種々の
方法が適用できる。例えば、ロールコート法グラビアロ
ールコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート
法、バーコート法、含浸法及びカーテンコート法等を、
単独もしくは組み合わせて、適用することができる。
【0060】このようにして得られるSPS系写真用支
持体はカラーフィルム、印刷用感光材料フィルム、X線
フィルム等ハロゲン化銀写真感光材料に用いられるばか
りでなく、ハロゲン化銀写真感光材料以外の、印刷フィ
ルム、OHPフィルム、マーキングフィルム、感光性樹
脂フィルム等にも使用出来る。
【0061】次に、ハロゲン化銀写真感光材料の感光層
をについて述べる。
【0062】ハロゲン化銀乳剤層としては白黒用、カラ
ー用いずれでもよい。ここでは印刷用ハロゲン化銀写真
感光材料について主として説明する。
【0063】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
るハロゲン化銀として、臭化銀、塩化銀、ヨウ臭化銀、
塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀の通常のハロゲン化銀乳剤を任
意に用いることが出来、酸性法、中性法又はアンモニア
法等いずれの方法で得られたものも使用出来る。印刷用
乳剤に好ましいハロゲン化銀は塩化銀、60モル%以上
の塩化銀を含む塩臭化銀又は60モル%以上の塩化銀を
含む塩ヨウ臭化銀である。
【0064】ハロゲン化銀粒子は、粒子内において均一
なハロゲン化銀組成分布を有するものでも、粒子内部と
表面層とでハロゲン化銀組成が異なるコア/シェル粒子
であってもよく、潜像が主として粒子内部に形成される
ような粒子であってもよい。
【0065】ハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる
粒子を用いてもよいし、種々の形状の粒子が混合された
ものでもよい。また、いかなる粒子サイズ分布を持つも
のを用いてもよく、多分散乳剤や単分散乳剤を混合して
用いてもよい。
【0066】印刷用のハロゲン化銀写真感光材料の乳剤
粒子は単分散である方が好ましく、単分散粒子の乳剤
は、平均粒径rを中心に±20%の粒径範囲(変動係
数)内に含まれるハロゲン化銀が、全ハロゲン化銀の6
0%以上であることが好ましく、特に好ましくは70%
以上、更に好ましくは80%以上である。なお、ここで
いう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合は、その
直径、また球状以外の形状の粒子の投影像を周面積の円
像に換算した時の直径である。単分散が高度に揃ってい
る方が写真画像として好ましい。単分散乳剤は特開昭5
5−48521号、同58−49938号及び同60−
122935号等の明細書に記載されている方法を参考
にして得ることが出来る。
【0067】ハロゲン化銀粒子の形状には制限はなく、
平板状、球状、立方体状、14面体状、正八面体状その
他いずれの形状でもよい。例えば、特開平5−2040
70号明細書に記載されている方法によって平板状粒子
を得ることが出来る。
【0068】本発明における可溶性銀塩と可溶性ハロゲ
ン塩を反応させる形式としては、片側混合法、同時混合
法、それらの組合せなどのいずれをも用いることが出来
る。
【0069】粒子を銀イオン過剰の下において形成させ
る方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同
時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される
液相中のpAgを一定に保つ方法、即ちいわゆるコント
ロールド・ダブルジェット法を用いることが出来、この
方法によると、結晶形が規則的で粒径が均一に近いハロ
ゲン化銀乳剤を得ることが出来る。
【0070】ハロゲン化銀乳剤に用いられるハロゲン化
銀粒子は粒子を形成する過程又は成長させる過程の少な
くとも1つの過程でカドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリ
ウム塩、イリジウム塩、ロジウム塩、あるいはこれらの
元素を含む錯塩を添加するのがよい。
【0071】ハロゲン化銀乳剤及びその調製方法につい
て、詳しくはリサーチ・ディスクロージャー(Rese
arch Disclosure 以下RDとして略
す)176号17643,22〜23頁(1978年1
2月)に記載もしくは引用された文献に記載されてい
る。
【0072】感光性ハロゲン化銀乳剤は、化学増感を行
わないで、いわゆる未熟成(Primitive)乳剤の
まま用いることが出来るが、通常においては化学増感を
行うのがよい。
【0073】本発明に用いられるハロゲン化銀写真感光
材料のハロゲン化銀乳剤は物理熟成又は化学熟成前後の
工程で、各主の写真用添加剤を用いることが出来る。こ
のような工程で使用される化合物としては例えば下記R
Dに記載されている各主の化合物を用いることが出来
る。
【0074】ハロゲン化銀写真感光材料のうち、印刷用
感光材料では、網点品質を高めるためにハロゲン化銀乳
剤層あるいは非感光層中に硬調化剤を含有させるか、現
像処理において硬調化処理が行われる。優れた硬調化剤
としては下記ヒドラジン化合物あるいはテトラゾニウム
化合物がある。これらの代表的なものを下記に挙げる
が、これらに限定されるものではない。
【0075】
【化1】
【0076】
【化2】
【0077】
【化3】
【0078】
【化4】
【0079】
【化5】
【0080】
【化6】
【0081】
【化7】
【0082】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られるハロゲン化銀乳剤は、物理熟成又は化学熟成前後
の工程で、各種の写真用添加剤を用いることができる。
このような工程で使用される化合物としては例えば、R
DNo.17643、RDNo.18716及びRDN
o.308119(1989年12月)に記載されてい
る各種の化合物を用いることができる。
【0083】これら三つのRDに記載されている化合物
種類と記載箇所を下記に掲載した。
【0084】
【表1】
【0085】片面に感光層があるハロゲン化銀写真感光
材料にはカラーフィルム、印刷感光材料フィルム等があ
り、X線フィルムのように両面に感光層があるものもあ
る。片面感光層のフィルムには一般にバック層がその裏
側に設けられ、ロール状の包装形態のものが多い。一般
に印刷用ハロゲン化銀写真感光材料は、写真用支持体上
にハロゲン化銀乳剤層、乳剤保護層が少なくともそれぞ
れ1層づつ感光層側にあり、その反対側にはある機能を
有する層とその保護層がそれぞれ少なくとも1層づつ設
けられているバック層がある。これらのハロゲン化銀乳
剤層もバック層も層数の制限は特にない。
【0086】バック層の各層にはそれぞれに機能を付与
することが出来る。例えば、機能化された層としては帯
電防止層、ハレーション防止層、イラジエーション防止
層、磁気記録層等がある。これらの層は下引層に隣接さ
れていたり、表面にあったり、その目的に応じて層を何
れかの位置に存在させればよい。
【0087】バック層に使用されるバインダーとしては
ゼラチンが最も好ましく用いられる。ゼラチンとして
は、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラ
チン、ゼラチン誘導体及び変性ゼラチン等を挙げること
が出来るが、石灰処理ゼラチン及び酸処理ゼラチンが主
に好ましく用いられる。また、他の親水性ポリマー等当
業界で一般に用いられているものはいずれも用いること
ができる。
【0088】印刷感光材料フィルムは感光層側とバック
層側とのカールバランスをとることが重要である。その
ために、バック層のゼラチン等のバインダーと感光層側
のゼラチン等親水性ポリマーとの比率(バック層/感光
層側)は、重量比にして0.1以上が好ましく、実用的
には0.32〜1.50が特に好ましく設計されてい
る。この比はハロゲン化銀写真感光材料の写真用支持体
の材質と厚さ、ゼラチン等親水性ポリマーの総量、銀量
あるいは他の添加物(例えばポリマーラテックス)の量
に依存し、ハロゲン化銀写真感光材料のカールバラン
ス、現像処理中の現像速度、あるいは処理後の乾燥速度
等の設計によって決められる。
【0089】バック層には前述の如くいろいろな機能が
付与される。
【0090】例えば、ハロゲン化銀写真感光材料の画像
の鮮鋭性ハレーション防止及びイラジエーション防止機
能には前記RDの染料の項に記載されている該当のハレ
ーション防止染料及びイラジエーション防止染料を用い
ることが出来る。
【0091】ハロゲン化銀写真感光材料の感光層とバッ
ク層とのくっつき防止機能には前記RDのマット剤及び
滑り剤を適度に用いることが出来る。マット剤の形状、
粒径に制限はないが、平均粒径が10μm以上50μm
以下の球形マット剤を使用することも出来る。
【0092】滑り剤としては、上記RDの他に、代表的
なものとして下記のものを用いることが出来る。例え
ば、米国特許第3,042,522号、英国特許第95
5,061号、米国特許第3,080,317号、同
4,004,927号、同4,047,958号、同
3,489,576号、英国特許第1,143,118
号、特開昭60−140341号等に記載のシリコーン
系滑り剤、米国特許第2,454,043号、同2,7
32,305号、同2,976,148号、同3,20
6,311号、独国特許第1,284,295号、同
1,284,294号等に記載の高級脂肪酸系、アルコ
ール系、酸アミド系滑り剤、英国特許第1,263,7
22号、米国特許第3,933,516号等に記載の金
属石鹸、米国特許第2,588,765号、同3,12
1,060号、英国特許第1,198,387号等に記
載のエステル系、エーテル系滑り剤、米国特許第3,5
02,437号、同3,042,222号に記載のタウ
リン系滑り剤等を挙げることも出来る。
【0093】帯電防止機能はハロゲン化銀写真感光材料
のバック層面側の下引層の上に帯電防止層を少なくとも
1層設けることによって達成されるが、バック層のバイ
ンダー中にあるいは保護層中に帯電防止剤を混合させた
層によっても達成される。帯電防止剤としては、当業界
で従来使用されている帯電防止剤のほとんどが使用出来
る。例えば、特公昭47−28937号あるいは同49
−23828号記載のスチレン〜マレイン酸ナトリウム
共重合体、特開昭53−82876号記載のビニルベン
ジルスルホン酸ナトリウム共重合物等、特公昭48−2
3451号記載のスチレンスルホン酸ナトリウムの共重
合体等のアニオン系高分子帯電防止剤;特開昭51−4
2535号、同54−159222号、同55−776
3号記載のアイオネン重合物(例えばトリエチレンジア
ミンとキシリデンジクロライドとの重合物)、特許米国
特許第2,882,157号記載の例えば、ポリメタク
ロイルエチルジエチルメチルアンモニウムメチルスルホ
ネート、特公昭60−51693号、特開昭61−22
3736号及び同62−9346号記載の第4級アンモ
ニウム基を側鎖に持つ架橋型共重合体粒子(例えば、コ
ポリマー〔N,N,N−トリメチル−N−ビニルベンジ
ルアンモニウムクロライド−コ−ジビニルベンゼ
ン〕)、特公昭57−12979号に記載のアルミナゾ
ルを主成分とするもの、特開昭57−104931号記
載のZnO、SnO2、TiO2、Al23、In23
SiO2、MgO、BaO、MoO3、ZiO2等の微粒
子金属酸化物、特公昭55−5982号記載のV25
の金属酸化物帯電防止剤、特公昭52−32572号記
載の高級脂肪アルコールリン酸エステル帯電防止剤、特
開平2−252726号、同2−255770号、同2
−304554号、同2−308246号、ヨーロッパ
出願特許第0593111A1号、緒方直哉編“導電性
高分子”(講談社、1990)等に記載のポリ−(5−
ドデシルベンゾチオフェン)、ポリ−(3,4−ジエト
キシ-チオフェン)、ポリ(3,4−メトキシピロー
ル)、ポリ(パラフェニレンビニレン)、メタクロイル
エチルオキシメチル−3−ポリチオフェン、等のπ電子
系導電性高分子等を挙げることが出来る。上記のように
帯電防止層にはバインダーを含有していてもよく、バイ
ンダーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、の他セル
ロースジアセテート、ビニル系のポリマーラテックス等
を用いることが出来る。
【0094】印刷感光材料フィルムにはバック層側に帯
電防止層を設けるのがよく、その位置は下引層、下引上
層、保護層下層、あるいは保護層上層のいずれかに少な
くとも1層設けるのがよい。
【0095】印刷感光材料フィルムにおいては、静電気
による作業者のショックあるいはフィルムの分離のしに
くさ、ゴミの付着による品質の低下などを改善するため
に低感度の感光層ではあるが、現像処理後も帯電防止性
能が保持されている永久帯電防止が要望されている。そ
のためには上記のうち、微粒子金属酸化物な半導体に近
い帯電防止剤が用いるのがよい。
【0096】その他、ハロゲン化銀写真感光材料のバッ
ク層には、バインダーとしてのゼラチンの硬膜剤、紫外
線吸収剤、柔軟剤、ポリマーラテックス等を含有させる
ことが出来る。硬膜剤については前記下引層のところで
挙げたもの、あるいは前記に記載されているものを使用
することが出来る。
【0097】本発明のハロゲン化銀写真感光材料のバッ
ク層を塗布する方法については特に制限はないが、前記
下引液の塗布のところで述べた方法で塗布することが出
来る。
【0098】現像処理については、ジャーナル・オブ・
ザ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(Journa
I of the American Chemica
lSociety)第73巻、第3,100頁(195
1)に記載されている公知の現像剤を使用することがで
きる。印刷感光材料フィルムは、例えば、特開平5−1
23292号及び特開昭53−17719号明細書に記
載されている処理により現像することが出来る。
【0099】ここで本発明のSPS系写真用支持体の屈
折率及び密度の測定法について説明する。
【0100】〈屈折率の測定法〉(株)アゴタ製アッベ
の屈折計を用いて、接眼レンズに偏光板を取り付け、偏
光板の向き及びフィルムの向きを測定方向に合わせて屈
折率を測定した。中間液としてα−ブロモナフタレンを
用いた。SPS写真用支持体の縦方向、横方向及び厚み
方向の屈折率を5点づつ測定し、平均をとって屈折率と
した。
【0101】〈密度の測定法〉25℃で水を用いたピク
ノメーターによる測定法のASTM、D−792−91
に準じて行った。
【0102】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0103】
【実施例】
実施例1 [SPS写真用支持体の作製] 〈SPS樹脂ペレットの作製〉特開平3−131843
号に準じてSPS樹脂ペレットを作製した。触媒の調整
から重合反応までは、全て乾燥アルゴン気流下で行っ
た。内容積500mlのガラス性容器に硫酸銅5水塩
(CuSO4・5H2O)17.8g(71mmol)精
製ベンゼン200mlおよびトリメチルアルミニウム2
4mlをいれ、40℃で8時間撹拌して触媒の調整を行
った。これをアルゴン気流下No.3ガラスフィルター
で濾過して、濾液を凍結乾燥させた。これを取り出し、
2lのステンレス製容器にいれ、この中にさらにトリブ
チルアルミニウムとペンタシクロペンタジエチルチタン
メトキシドを混合し90℃に加熱した。この中に、精製
したスチレンを1l入れ、この温度中で8時間重合反応
を続けた。この後室温まで冷却し、1lの塩化メチレン
を入れ、さらに撹拌しながらナトリウムメチラートのメ
タノール溶液を加えて触媒を失活させた。内容物を20
lのメタノール中に徐々に滴下して、更にNo.3Aの
ガラスフィルターで濾過し、1lのメタノールで3回洗
浄した後乾燥し、150℃で12時間減圧乾燥をしSP
S樹脂を得た。1,2,4ートリクロルベンゼンを溶媒
として、135℃で標準ポリスチレンで検量したGPC
の測定結果から求めたこの重合体の重量平均分子量は2
80,000であった。またこの重合体の融点は245
℃であった。13C−NMRの測定により、得られた重
合体はシンジオタクティック構造を有することを確認し
た。このSPS樹脂を300℃の押出機に導入し押出
し、ペレット化した。
【0104】〈SPS写真用支持体の作製〉得られたS
PS樹脂ペレットを回転式真空乾燥機で3時間、窒素雰
囲気下、130℃で乾燥させ、結晶化させた。結晶化S
PS樹脂ペレットを押出機に導入し、330℃で溶融
し、Tダイから40℃の冷却ドラム上シート状に溶融押
出しを行い、このシートを静電印荷法によりドラム上に
密着させ急冷固化して、未延伸シートを作製した。この
未延伸シートを、縦方向にロールを組み合わせた縦延伸
機を用い110℃で表2に記載した倍率で一軸延伸を行
い、引き続きクリップで一軸延伸フィルムの両端をくわ
えて横方向に135℃で、下記表2に記載した延伸倍率
で逐次二軸延伸し、更に、下記表2に記載の熱固定温度
で15秒間熱固定し、冷却して、厚さ100μmのSP
S写真用支持体をそれぞれ得た。
【0105】得られたSPS写真用支持体の密度(g/
cm3)及び縦方向、横方向及び厚み方向の屈折率を測
定した。それぞれの屈折率を順にnx、ny及びnzで表
した。結果を表2に示した。また下記の如く断裁断面の
状態を下記ランクに従って評価した。結果を表2に示し
た。 [評価法] 〈断裁断面の評価法〉SPS系写真用支持体を100枚
重ねギロチンカッターで押し切り、下記その断面を10
倍のルーペで観察し、下記評価レベルに従って、断裁断
面の評価を行った。
【0106】 評価レベル 観察状態 AA 断面が全てスムースで、鏡面のようであった A 断面にわずかに線状のものが見られたが、ほぼ鏡面のようで あった B 断面に若干の表面にほぼ平行なスジ状の跡が見られたが、ほ ぼスムースな面であった C 断面が若干ぎざぎざが見られ、断裁箇所の下に若干の細かい 切り粉が散見された D 断面がぎざぎざし、若干毛羽だち、細かい切り粉が僅か落ち ていた E 断面及び断裁線ががさがさし、細かい切り粉がやや多い
【0107】
【表2】
【0108】[評価と結果]表2に示す如く、本発明の
範囲内の屈折率及び密度にあるものは、断裁断面はスム
ースであることがわかる。
【0109】実施例2 実施例1と同様に製膜したSPS写真用支持体を表3の
如く作製し、それらに下引層、帯電防止層、乳剤層、バ
ック層及び保護層をそれぞれに塗布を行い、実施例1と
同様な断裁断面の切り口の状態の評価を行った。
【0110】〈SPS写真用支持体の下引〉得られた二
軸延伸済みの各SPS写真用支持体の両表面を放電条件
7(W・分/m2)で連続的にコロナ放電処理を施した
後、イオンブロア(RH−20型)でイオン風により両
表面を除電し、両面に片面ずつエアードクター方式の塗
布機で下引塗布液a−1及びb−1を乾燥膜厚が1.0
μmとなるように塗布し、160℃で乾燥して下引層A
-1及びB−1とした。
【0111】続いて、下引層の上に同様に下引上層塗布
液a−2及びb−2を乾燥膜厚が0.2μmとなるよう
に塗布し、140℃で乾燥して下引上層A−2及びB−
2とした。
【0112】 《下引塗布液a−1及びb−1》 スチレン-ブタジエンラテックス (ニッポールLX432A日本ゼオン社製) 25重量部 メチルセルロース(10%) 10.0重量部 シリカマット剤(平均粒径3.0μm) 0.5重量部 (C−1) 0.5重量部 純水 66重量部 《下引上層塗布液a−2及びb−2》 ゼラチン水溶液(10%) 80重量部 メチルセルロース(10%) 20重量部 C1225O(CH2CH2O)10SO3Na 4重量部 プロキセル 0.3重量部 (C−1) 0.5重量部 純水で1lに仕上げる。
【0113】
【化8】
【0114】〈帯電防止層塗設〉上記下引層面(B−
2)に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、下記金
属酸化物複合体帯電防止塗布液(b−3)を乾燥後の厚
みとして0.1μmになるように塗布し、160℃で乾
燥し、帯電防止層(B−3)を形成した。
【0115】《金属酸化物複合体微粒子導電性帯電防止
剤の作製》塩化第二錫230重量部、三酸化アンチモン
23重量部、をエタノール3000重量部に溶解し均一
溶液を得た。この溶液に1Nの水酸化ナトリウム水溶液
を上記溶液のpHが3になるまで滴下し、コロイド状態
酸化第二錫と酸化アンチモンの共沈殿を得た。得られた
共沈殿を50℃に24時間放置し、赤褐色のコロイド状
沈殿を得た。赤褐色コロイド状沈殿を遠心分離により分
離した。過剰なイオンを除くため沈殿に水を加え遠心分
離によって水洗した。この操作を3回繰り返し過剰イオ
ンを除去した。過剰イオンを除去したコロイド状沈殿2
00重量部を1500重量部に分散し、600℃に加熱
した焼成炉に噴霧し、青みがかった平均粒径0.2μm
の酸化錫-酸化アンチモン複合体の微粒子粉末を得た。
この微粒子粉末の比抵抗は25Ω・cmであった。上記
微粒子粉末40重量部と水60重量部の混合液をpH
7.0に調整し、撹拌機で粗分散の後、横型サンドミル
(商品名ダイノミル;WILLYA.BACHOFEN
AG社製)で滞留時間が30分になるまで分散して調製
した。
【0116】 《帯電防止塗布液(b−3)》 上記導電性微粒子分散液 10重量部 ゼラチン 1重量部 水 10重量部 メタノール 62重量部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.01重量部 ヘキサメチレン-1,6-ビスエチレンウレア 0.6重量部 [SPS写真用支持体を持つハロゲン化銀写真感光材料
の作製]各SPS写真用支持体のA−2の上に下記ハロ
ゲン化銀乳剤塗布液等及びB−3の上にバック層塗布液
等を塗布し、印刷感光材料フィルムとした。
【0117】〈ハロゲン化銀乳剤Aの調製〉同時混合法
を用いて塩化銀70モル%、残りは臭化銀からなる平均
厚み0.05μm平均直径0.15μmの塩臭化銀コア
粒子を調製した。コア粒子混合時にK3RhBr6を銀1
モルあたり8×10-8モル添加し、このコア粒子に同時
混合法を用いてシェルを付けた。その際K2IrCl6
銀1モル当たり3×10-7モル添加した。得られた乳剤
は平均厚み0.10μm平均直径0.29μmのコア/
シェル型単分散(変動係数10%)の塩沃臭化銀(塩化銀
90モル%、沃臭化銀0.2モル%、残りは臭化銀から
なる)平板粒子の乳剤であった。ついで特開平2−28
0139号に記載の変性ゼラチン(ゼラチン中のアミノ
基をフェニルカルバミルで置換したもので例えば特開平
2−280139号287(3)頁の例示化合物G−
8)を使い脱塩した。脱塩後のEAgは50℃で190
mvであった。
【0118】得られた乳剤に4−ヒドロキシ−6−メチ
ル−1,3,3a,7−テトラザインデンを銀1モル当
たり1×10-3モル添加し更に臭化カリウム及びクエン
酸を添加してpH5.6、EAg123mvに調整し
て、塩化金酸を2×10-5モル添加した後に無機硫黄を
3×10-6モル添加して温度60℃で最高感度がでるま
で化学熟成を行った。熟成終了後4−ヒドロキシ−6−
メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを銀1モ
ル当たり2×10-3モル、1−フェニル−5−メルカプ
トテトラゾールを3×10-4モル及びゼラチンを添加し
た。
【0119】SPS各写真用支持体の下引上層A−2の
上に、下記の処方1のハロゲン化銀乳剤を銀量2.9g
/m2、ゼラチン量が1.2g/m2になるように、更に
にその上に保護層として下記処方2の塗布液をゼラチン
量が0.6g/m2になるようにスライドホッパー形式
の塗布機で両面から乳剤層と保護層の同時重層塗布を行
った。また反対側の下引上層B−3上には下記処方3の
バック層をゼラチン量が0.6g/m2になるように、
その上に下記処方4のポリマー層を、更にその上に下記
処方5のバック層保護層をゼラチン量が0.4g/m2
になるようにそれぞれを同時重層塗布することでハロゲ
ン化銀写真感光材料試料を得た。
【0120】 処方1(ハロゲン化銀乳剤層組成) (C−2) 増感色素 0.6mg/m2 (H−7) ヒドラジン化合物 30mg/m2 (C−3) アミノ化合物 50mg/m2 (C−4) 界面活性剤 100mg/m2 (C−5) ラテックスポリマー 1.0g/m2 (C−1) 硬膜剤 30mg/m2 ソディウム−イソアミル−n−デシル スルホサクシネート 0.7mg/m2 2−メルカプト−6−ヒドロキシプリン 10mg/m2 EDTA 50mg/m2 処方2(乳剤保護層組成) ゼラチン 0.6g/m2 ソディウム−イソアミル−n−デシル スルホサクシネート 12mg/m マット剤:平均粒径3.5μmの単分散シリカ 25mg/m2 (C−6)硬膜剤 30mg/m2 (C−7)界面活性剤 1mg/m2 コロイダルシリカ(平均粒径0.05μm) 20mg/m2 処方3(バック層組成) ゼラチン 0.6g/m2 ソディウム−イソアミル−n−デシル スルホサクシネート 5mg/m2 (C−5)ラテックスポリマー 0.3g/m2 コロイダルシリカ(平均粒径0.05μm) 70mg/m2 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2 (C−8)硬膜剤 100mg/m2 処方4(疎水性ポリマー層組成) コポリ(メチルメタクリレート−アクリル酸)(97:3) 1.0g/m2 (C−1)硬膜剤 6mg/m2 処方5(バック層保護層) ゼラチン 0.4g/m2 マット剤:平均粒径5μmの単分散ポリメチルメタクリレート 50mg/m2 ソジウム−ジ−(2−エチルヘキシル) −スルホサクシネート 10mg/m2 (C−7)界面活性剤 1mg/m2 (C−9)染料 20mg/m2 H−(OCH2CH268−OH 50mg/m2 (C−6)硬膜剤 15mg/m2 ポリシロキサン 0.7g/m
【0121】
【化9】
【0122】得られた印刷感光材料フィルムをバック層
を上側にして100枚重ね、実施例1と同様に断裁し、
評価を行い、結果を表3に示した。
【0123】
【表3】
【0124】[評価と結果]表3に示す如く、ハロゲン
化銀写真感光材料として断裁しても、写真用支持体の断
裁断面の場合と同様に、本発明の範囲内にあるものは、
きれいな断裁断面を持っていることがわかる。
【0125】
【発明の効果】SPS写真用支持体の断裁断面のきれの
悪さが改善され、PETに変わる写真用支持体として、
吸湿膨張係数が非常に小さく、寸法安定性や透明性に優
れ、印刷業界の品質の向上に、また軽量化ができるため
フィルムの物流、特に医用フィルムの物流によい影響を
与えられることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 25:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸延伸シンジオタクティックポリスチ
    レンフィルムの縦方向、横方向及び厚さ方向のそれぞれ
    の屈折率が1.585以下、1.585以下及び1.6
    25以下であることを特徴とする写真用支持体。
  2. 【請求項2】 該フィルムの、厚み方向の屈折率が1.
    622以下であることを特徴とする請求項1に記載の写
    真用支持体。
  3. 【請求項3】 該フィルムの密度が1.05g/cm3
    以下である請求項1又は2に記載の写真用支持体。
  4. 【請求項4】 該フィルムの密度が1.04g/cm3
    以下である請求項1又は2に記載の写真用支持体。
JP22801895A 1995-09-05 1995-09-05 写真用支持体 Pending JPH0973152A (ja)

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