JPH0972896A - 耐熱材料溶接部のクリープ寿命評価方法 - Google Patents

耐熱材料溶接部のクリープ寿命評価方法

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JPH0972896A
JPH0972896A JP7228103A JP22810395A JPH0972896A JP H0972896 A JPH0972896 A JP H0972896A JP 7228103 A JP7228103 A JP 7228103A JP 22810395 A JP22810395 A JP 22810395A JP H0972896 A JPH0972896 A JP H0972896A
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JP
Japan
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cavity
creep
ratio
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damage
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JP7228103A
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Inventor
Teruo Koyama
輝夫 小山
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Mitsubishi Power Ltd
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Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱材料溶接部に発生したキャビティによる
高精度なクリープ寿命評価方法を提供する。 【構成】 キャビティ生成量の最大値からクリープ損傷
率を推定しクリープ寿命を評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温で長期間使用
される耐熱金属材料のクリ−プ寿命評価方法に係り、特
に、フェライト系耐熱材料溶接部クリ−プ損傷のキャビ
ティによる寿命評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電プラントや化学プラントにおい
て、高温・高圧下で長時間使用される機器では、運転中
に使用材料がクリ−プ、疲労あるいは時効損傷を受け、
材質が劣化することはよく知られている。クリープと
は、物体に力が加わった場合に、時間とともにその変形
が進行する現象であって、高温における金属材料にその
典型的な例がみられる。このような材質劣化は、使用材
料のメタル温度、作用応力及び使用時間によって支配さ
れるものであり、火力発電用ボイラではこれらの支配因
子を考慮し、通常10万時間の寿命を保つように設計さ
れている。
【0003】しかし、設計寿命を超えて運転されている
ボイラが多くなってきており、また運転時間が10万時
間以内でも、燃焼ガスの偏流等によるメタル温度の上昇
や使用材料中の偏析などに起因する材質劣化が原因とな
って材料が破損する事故も発生している。このような背
景から、使用材料の余寿命を的確に予測し、部分的な取
り換えや補修を計画的に実行することによって、プラン
ト全体としての寿命を延長するための技術が重要となっ
てきている。材料の余寿命を直接推定する技術は、一般
に破壊法と非破壊法に大別され、非破壊で材料の余寿命
を推定することができれば、評価時間の短縮、コストの
低減を図ることができ、さらに同一の点検部位を定期的
にモニタリングできるため非常に有効である。
【0004】非破壊的な点検方法としては、使用材料表
面の金属組織をレプリカ膜に転写して、観察評価するレ
プリカ法が広く採用されている。特に、ボイラに多く使
用されているフェライト系耐熱材料の溶接部(溶接金
属、溶接部位近傍の熱影響部)では、クリ−プ損傷によ
り結晶粒界にキャビティが発生しやすいことから、キャ
ビティの生成状態をキャビティ面積率、すなわち観察し
た面積に対するキャビティの総面積の比率、粒界率、す
なわち観察した結晶粒界数に対するキャビティの発生し
ている結晶粒界の比率、若しくは単位面積当りのキャビ
ティ発生数などにより定量的に評価してクリ−プ損傷を
評価する方法(火力原子力発電Vol.39,No.6,p75〜p86)
が一般的に採用されている。この方法を実継手における
溶接熱影響部に適用する場合、溶接熱影響部内では、キ
ャビティの生成状態が同一のものと考え、溶接熱影響部
内での平均的なキャビティ生成量を基準に評価してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、フェライト
系耐熱材料ではクリ−プによる破損は、母材や溶接金属
よりも溶接熱影響部に多く発生している。これは、溶接
熱影響部が溶接時に急熱され急冷された部位であり、組
織的に不安定であるために、クリ−プ強度が低下してい
ることが原因である。従来技術のところでも述べたよう
に、キャビティを定量化して評価する方法ではこの溶接
熱影響部内のキャビティ生成状態が同一のものとして取
扱い、溶接熱影響部の平均的なキャビティ生成量によっ
て寿命評価を行なっている。しかし溶接熱影響部は、溶
接によって変態点以上に加熱された部分であり、溶接金
属に最も近い部分では1200℃以上、最も離れた部分で80
0℃〜900℃というように、溶接金属からの距離により連
続的に加熱温度が変化している。
【0006】材料のクリ−プ強度に対応するミクロ組織
は、この最高加熱温度によって決定され、このため溶接
熱影響部にもクリ−プ強度の分布が存在する。一般的に
は、溶接金属に最も近い粗粒域で破壊するか、または最
外層の軟化部で破壊することが多い。溶接熱影響部の最
外層で破壊する場合はTypeIVクラッキングと呼ばれ、溶
接で800℃〜900℃に加熱された母材に最も近い細粒域が
軟化し、この部分で破壊する。いずれにしても溶接熱影
響部の中でクリ−プ強度の分布が存在し最も弱い部分で
破壊する。
【0007】均質な材料のクリ−プ試験における破壊を
考えると、最初は均一にクリ−プ損傷が進行してキャビ
ティが発生していくが、ある段階から局部的に弱い部分
でキャビティが連結し亀裂状になっていく。このような
状態になると断面積が減少し、このため応力が増加し、
その部分の損傷が加速度的に進行して破断に至る。溶接
熱影響部のように、均質ではなく、連続的に強度が変化
し、クリ−プ強度の低い部分がある場合には、その部分
で損傷が先行的に進行し破壊する。したがって、溶接熱
影響部の平均的なキャビティ生成量によって寿命評価す
ると、最も損傷の進行している部分が見逃され、非安全
側に偏った評価をしてしまうことになる。本発明の目的
は、このような問題点を解決し、溶接熱影響部に生成し
たキャビティによる高精度のクリープ寿命評価方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題は以下の方法
により解決することができる。 まず、高温機器に使用されているフェライト系耐熱材
料の溶接部の表面を研磨し、エッチングして金属組織を
現出させ、この金属組織を評価するためにレプリカを採
取し、溶接熱影響部のキャビティを観察する。 次に溶接金属との境界(ボンド)からの距離とキャビ
ティの生成量との関係を定量的に評価する。キャビティ
を定量化する方法としては、キャビティの生成状態を表
現できる手段として、前記したキャビティ面積率、粒界
率、単位面積当りのキャビティ発生数がよい。 キャビティを定量的に評価するためには、所定の面積
が必要となるために、ボンドからの距離は厳密には表示
できないから、ある領域でキャビティを評価し、その中
心点までの距離をボンドからの距離とする。例えばボン
ドから0〜200μmの領域のキャビティの定量値は、ボン
ドからの距離100μmの距離の値とする。 キャビティの定量値とボンドからの距離の関係をプロ
ットし回帰線を描く。この回帰線からキャビティの定量
値が溶接熱影響部内で最大となる値を求め、あらかじめ
実験室試験で求めておいたキャビティ定量値とクリ−プ
損傷率の関係からこの状態のクリ−プ損傷率を推定す
る。
【0009】発明者らは、炭素鋼、2.25Cr-1Mo鋼、Mod.
9Cr-1Mo鋼の溶接継手のクリ−プ試験を行ない、クリ−
プ損傷材の溶接熱影響部におけるキャビティ生成状態を
詳細に観察した。その結果、クリ−プ損傷によるキャビ
ティの生成量は溶接熱影響部内で分布をもっており、最
もキャビティの発生している部分から破壊することを確
認した。
【0010】従来の方法では、溶接熱影響部内は、同一
の特性を有するものとして、キャビティ生成状態も同一
として取扱い、キャビティ定量値を測定しており、局部
的に最もキャビティが発生している部分が見逃され、非
安全側に偏った評価をしてしまうことになる。本実験結
果によれば、実際に破壊する部分は最も多くキャビティ
の発生している部分であり、その部分のキャビティ生成
状態で評価する必要がある。したがって、溶接継手のク
リ−プ損傷を評価するには、溶接熱影響部内でのキャビ
ティ生成量の最大値を求め、その最大値からクリ−プ損
傷率を評価するのが妥当である。
【0011】キャビティの定量化手段は、キャビティ生
成量を表わすものであればよく、前記のキャビティ面積
率、粒界率、単位面積当りの発生数などが使用される。
これらのキャビティ定量値を測定するためには、所定の
面積が必要であり、厳密な意味での最大値は求めること
はできない。溶接時に受けた熱履歴が同一であればクリ
−プ損傷によるキャビテイ生成状態に対応するミクロ組
織が同一になることに注目し、ボンドからの距離の関数
に基づいてキャビテイ生成量を表わすことにより、上記
問題点が解決される。
【0012】具体的には、溶接熱影響部をボンドからの
距離で分割し、分割した領域内でキャビティ定量値を測
定する。分割した領域の中心値によりボンドからの距離
を定め、ボンドからの距離とキャビティ生成量の関係を
求める。例えばボンドからの距離が0〜200μmの間のキ
ャビティ定量値はボンドからの距離100μmの値とする。
なお、溶接熱影響部の分割数は細かくするとキャビティ
面積率や粒界率の測定精度が低下し、分割数を粗くする
と最大値を求める場合の精度が低下するため、本手法の
好適な分割領域の範囲は200μm〜1000μmであり500μm
が最も好ましい。
【0013】このようにしてボンドからの距離とキャビ
ティ生成量との関係を求めてプロットし回帰線を描く。
この回帰線から溶接熱影響部内での最大値を推定し、こ
の値を溶接熱影響部のキャビティ生成量を代表する値と
して採用する。クリ-プ損傷率の推定には、あらかじめ
実験室試験でキャビティ生成量とクリ-プ損傷率の関係
式を求めておき、これに、前記の代表値を代入すること
によりクリ-プ損傷率(破断時間に対する時間比)を求
めることができる。これにより、実際に破損する部位で
ある溶接熱影響部内で最もクリ−プ損傷が大きい部分が
求められ高精度の評価が可能になる。
【0014】
【実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説
明する。まず、STPA24(2.25Cr-1Mo鋼)を使用して溶接継
手を作成し、650℃,59Mpaでクリ−プ破断試験を行なっ
た結果、810hで破断し、破断位置は溶接熱影響部の最外
層である細粒域であった。次に、同じ条件でクリ−プ試
験を行ない、クリ−プ損傷率が0.2、0.4、0.6、0.8とな
るように、それぞれ162h、324h、486h、648hで試験を中
止し、レプリカを採取してキャビティの生成状態を測定
した。キャビティを定量化するパラメ−タとして本実施
の形態では、観察した面積に対するキャビティの総面積
の比、すなわち、キャビティ面積率を採用したが、キャ
ビティの生成状態を表わすものであれば、例えば、観察
した粒界数に対するキャビティの発生している粒界数の
比、すなわち、粒界率や単位面積当たりのキャビティ発
生数を用いてもよい。
【0015】図1は、クリ−プ損傷率0.8の試験片を用
いてキャビティ面積率の分布を測定した結果を示す図で
ある。測定方法としては、溶接熱影響部の幅2.5mmを5
等分し一つの領域の幅500μmにおける平均的なキャビテ
ィ面積率を測定した。ボンドからの距離は測定した部分
の中心の値を採用し、ボンドからの距離とキャビティ面
積率の関係をプロットしている。図1を用いて回帰曲線
を求め溶接熱影響部内での最大値を推定した。回帰式の
次数としては、データ点数も数点であるから簡便な方が
好ましく、3次式以下が妥当であり、ここでは2次式で
回帰曲線を求めて最大値を推定した。本実施の形態では
ボンド部にキャビティ面積率のやや高い部分があるが、
全体的にはボンドから離れるほどキャビティ面積率が大
きくなっている。したがって、キャビティ面積率の最大
値は溶接熱影響部の最外層になり破断位置と対応してい
る。
【0016】なお、本実施の形態の場合、溶接熱影響部
の幅は2.5mmであり、キャビティ面積率の最大値はボン
ドからの距離が2.5mmの位置から推定した。この最大値
を溶接熱影響部の損傷を代表するキャビティ面積率とし
クリ−プ損傷率を推定した。
【0017】クリ−プ損傷率を推定するには基準となる
デ−タが必要である。図3は、あらかじめ溶接熱影響部
を再現した試験片を作成してクリ−プ試験を行ない、キ
ャビティ面積率とクリ−プ損傷率の関係を求めた結果を
示す図である。図2は、図3を利用して溶接継手のクリ
−プ損傷率を推定した結果を示した図である。
【0018】図2において、横軸は実際のクリ−プ損傷
率、縦軸は推定クリ−プ損傷率を示す。すなわち、推定
クリ−プ損傷率は、図3により溶接熱影響部内のキャビ
ティ面積率の最大値から推定したものである。図2から
明らかなように、損傷率が0.4を超えると両者は良く対
応しており、この方法の妥当性が分かる。なお、クリ−
プ損傷率が0.4以下では対応が悪くなるが、これは図3
から知れるように、クリ−プ損傷率が0.4以下ではキャ
ビティ面積率は0%であり、キャビティ面積率が0%の
場合は安全側の値としてクリ−プ損傷率を0.4としてい
ることが原因である。また、図中には従来法である溶接
熱影響部のキャビティ面積率の平均値を代表値とした場
合の結果も併記しているが、この場合には非安全側の評
価となっており、このことからも本実施の形態による妥
当性が知れる。
【0019】
【発明の効果】本発明の実施により、最もクリ−プ損傷
が蓄積する溶接継手の寿命をキャビティによって精度良
く推定でき、未然に破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における溶接熱影響部の
キャビティ面積率とボンドからの距離の関係を示す図で
ある。
【図2】図1の実施の形態におけるクリ−プ損傷率推定
値と実際のクリ−プ損傷率の関係を示す図である。
【図3】図1の実施の形態における溶接熱影響部のキャ
ビティ面積率とクリ−プ損傷率との関係を示す図であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐熱材料溶接部の表面を研磨しエッチング
    して金属組織を現出させそのレプリカを採取して観察す
    る耐熱材料溶接部のクリ−プ寿命評価方法において、 前記溶接部近傍表面を少なくとも2つ以上の領域に分割
    するステップと、 前記分割された領域の観察面積に対するキャビティの面
    積の比からキャビティの評価パラメータ値を求めるステ
    ップと、 前記分割された領域でのキャビティ評価パラメ−タ値を
    前記領域の中心値として、溶接金属との境界からの距離
    と前記キャビティ評価パラメ−タ値の関係を示す特性図
    を求めるステップと、 前記特性図から前記キャビティ評価パラメ−タ値の最大
    値を推定するステップと、 前記キャビティ評価パラメ−タの最大値に基づいて、前
    記溶接部のクリ−プ寿命を評価することを特徴とする耐
    熱材料溶接部のクリ−プ寿命評価方法。
  2. 【請求項2】前記領域の粒界数に対するキャビティの発
    生している粒界数の比をキャビティの評価パラメータ値
    とすることを特徴とする請求項1記載の耐熱材料溶接部
    のクリ−プ寿命評価方法。
  3. 【請求項3】前記領域の単位面積当りのキャビティ個数
    をキャビティの評価パラメータ値とすることを特徴とす
    る請求項1記載の耐熱材料溶接部のクリ−プ寿命評価方
    法。
JP7228103A 1995-09-05 1995-09-05 耐熱材料溶接部のクリープ寿命評価方法 Pending JPH0972896A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010223823A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Chugoku Electric Power Co Inc:The クリープ損傷評価方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010223823A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Chugoku Electric Power Co Inc:The クリープ損傷評価方法

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