JPH0971822A - 金属板の直接通電加熱方法 - Google Patents

金属板の直接通電加熱方法

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JPH0971822A
JPH0971822A JP2009096A JP2009096A JPH0971822A JP H0971822 A JPH0971822 A JP H0971822A JP 2009096 A JP2009096 A JP 2009096A JP 2009096 A JP2009096 A JP 2009096A JP H0971822 A JPH0971822 A JP H0971822A
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JP
Japan
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metal plate
roll
heating
upstream
heated
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JP2009096A
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English (en)
Inventor
Koichi Hamada
幸一 浜田
Kazusane Isaka
和実 井坂
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】通電加熱において被加熱材の先端から後端まで
を目的とする温度に加熱できる直接通電加熱方法を提供
する。 【解決手段】被加熱材である金属板の走行方向に設置し
た上流側給電ロールと下流側給電ロールとから金属板に
直接通電して、金属板をジュール熱により加熱する方法
であって、静止した金属板の先端部に、金属板走行方向
と直交する方向に上流側給電ロールと下流側給電ロール
とを一列に並べて配置して通電し、次いで通電したまま
上流側給電ロールを上流方向に移動させ所定の位置に固
定すると共に金属板の走行を開始して、上流側及び下流
側給電ロールを順次通過させながら連続的に金属板を加
熱する金属板の直接通電加熱方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板に直接通電
することにより発生するジュール熱を利用して金属板を
連続的に加熱する方法に係わり、さらに詳しくは金属板
の先端および後端部分までをも目的とする加熱温度まで
加熱することができ、金属板先後端部の昇温不足による
歩留低下を防止することのできる直接通電加熱方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】走行させながら金属材を加熱する方法と
して、(1)バーナー、炉による加熱方法と(2)誘導
加熱方法とが従来より広く実用化されている。(1)の
方法は、外部の熱源から発生する熱を輻射と熱伝達によ
り被加熱材に供給して加熱するものである。このため、
高速で走行する被加熱材を加熱するには、熱源の温度を
上げるか、もしくは加熱ゾーン長を長くして加熱時間を
確保することが必要である。熱源の温度を上げるには、
耐火物の耐久性が問題になり、また被加熱材の表面が過
熱されるという問題がある。従って、連続焼鈍炉のよう
に大規模な設備を建設し、被加熱材に長い経路を走行さ
せて加熱を行っているのが実状であり、莫大な投資が必
要となる。
【0003】次に、上記(2)の方法は、高周波を用い
て渦電流損を熱に変えて加熱するものである。このた
め、高価な高周波電源とコイルが必要である。さらに、
加熱効率は30〜80%で、特に被加熱材が非磁性体、
あるいは形状(板幅、板厚等)が多様な場合では高い効
率を維持することが極めて困難である。したがって、設
備および加熱コストは非常に高くなり、被加熱材全体を
加熱することはあまり行われておらず、エッジヒータと
して被加熱材の局部加熱のみに用いられることが多い。
【0004】近年、被加熱材に直接通電を行い、ジュー
ル熱により加熱する方法が注目されている。
【0005】図5は、従来より用いられている直接通電
加熱方法を説明するための側面図である。この方法で用
いる装置は、所定の距離Lをおいて設けた2組の給電ロ
ール2a、3a、押さえロール2b、3b、電源5、こ
の電源と給電ロールとを接続するための導電部材4とか
らなる。被加熱材の金属板1を走行させながら金属板に
直接電流を流して電気抵抗発熱させる方法であり、極め
て簡単な方法である。
【0006】この方法で加熱を開始する場合、被加熱材
の金属板1は給電ロール2aと押さえロール2b間に一
定の速度で送られ、次いで金属板の先端は給電ロール3
aと押さえロール3b間に達する。その時通電が開始さ
れ、金属板が加熱され始める。金属板を一定の速度で走
行させて、給電ロール間L(以下極間Lという)を通過
する間に加熱するのであるから、金属板の先端部分の通
電時間が最も短く、上流側に除々に長くなり極間L以降
の金属板の加熱時間は一定となる。
【0007】図6は、上記方法により加熱を行った場合
の金属板先端部から極間L相当の金属板の昇温状態を示
す図である。
【0008】金属板の先端から極間Lにある金属板の昇
温状況は、図6に示すように金属板の最先端の温度が最
も低く、除々に温度が上がり、目的の温度に加熱できる
のは極間L以降となる。
【0009】一方、金属板後端部分も、金属板後端が上
流側給電ロール2aを通過すると同時に通電できなくな
る。従って、金属板後端が給電ロール2aを離れると同
時に給電ロール3a以降の金属板の温度は除々に降下
し、金属板の後端部が最も低い温度となる。
【0010】このように、上記従来の方法では、極間距
離L相当の金属板の先端部と後端部を目的の温度にまで
加熱することができないので、それらの部分は製品には
なり得ず、歩留まり低下につながるという問題があっ
た。
【0011】この問題を解消するための通電加熱方法
が、特開平2−111817号公報に開示されている。
【0012】図7は、この方法を説明するための図で、
同図(c)は前記した従来の通電加熱方法と同じであ
る。しかし、上流側の給電ロール2aあるいは下流側の
給電ロール3aは、被加熱材の走行方向に移動可能とな
っている。被加熱材の先端部分の通電加熱時には同図
(a)に示すように電極間隔距離L1をできるだけ小さ
くして通電した後、同図(b)に示すように被加熱材の
先端が移動するのに合わせて、被加熱材の進行方向に極
間距離がLになるまで給電ロール3aを移動させ、加熱
が不十分となる極間距離Lをできるだけ短くすることに
より、歩留まりの低下を防止する方法である。
【0013】しかしながら、被加熱材の先端部分のL1
及びL2の部分は依然として加熱不十分となり、切除し
なければならないという問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題を解消することを目的としてなされたもので、直
接通電加熱において被加熱材の先端から後端までを目的
とする温度に加熱することのできる直接通電加熱方法を
提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、被加熱材
の先後端部での加熱が不十分となる被加熱材進行方向に
おける電極間距離部を無くす方法につき検討を行った結
果、金属板先端部を加熱する場合、金属板を静止させた
状態で、金属板先端部に上流側給電ロールと下流側給電
ロールとを金属板の幅方向に並べ、電極間を金属板の幅
方向に設けて通電し、ついで上流側給電ロールを上流方
向の所定の位置まで移動させればよいこと、および金属
板後端部の加熱は、金属板後端が上流側給電ロールに達
する直前に、上流側給電ロールを下流側給電ロールに並
ぶ位置まで移動させるのがよいことを知るに至り、本発
明を完成させたものであり、その要旨とするところは、
「被加熱材である金属板の走行方向に設置した上流側給
電ロールと下流側給電ロールとから金属板に直接通電し
て、金属板をジュール熱により加熱する方法であって、
静止した金属板の先端部に、金属板走行方向と直交する
方向に上流側給電ロールと下流側給電ロールとを一列に
並べて配置して通電し、次いで通電したまま上流側給電
ロールを上流方向に移動させ所定の位置に固定すると共
に金属板の走行を開始して、上流側及び下流側給電ロー
ルを順次通過させながら連続的に金属板を加熱すること
を特徴とする金属板の直接通電加熱方法、及び金属板を
走行させながら、走行方向の下流側給電ロールと、該下
流側給電ロールと所定の間隔をおいて配置した上流側給
電ロールとから金属板に直接通電して金属板をジュール
熱で連続的に加熱し、金属板の後端部が上流側給電ロー
ルを通過する直前に、通電したまま上流側給電ロールを
金属板走行方向と直交する方向において下流側給電ロー
ルと並ぶ位置まで移動させることを特徴とする金属板の
直接加熱方法」にある。
【0016】ここで「金属板走行方向と直交する方向」
とは金属板の幅方向をいう。また、金属板の先端部とは
金属板の最先端近傍を意味し、上流および下流側給電ロ
ールを一列に並べる位置は最先端に近ければ近いほどよ
い。
【0017】
【発明の実施の形態】まず、本発明の加熱方法に用いる
装置について説明する。
【0018】図1は、被加熱材の走行方向に所定の間隔
をおいて設けた2組の給電ロールを有する通電加熱装置
の一例を示し、(a)は側面図、(b)は正面図であ
る。被加熱材である金属板1の走行方向に所定の距離を
隔てて設置された2組の給電ロール2a、3aと押さえ
ロール2b、3b、と電源5と給電ロールと電源とを電
気的に接続するための短絡部材4とからなる。
【0019】図1(b)に示すように、給電ロールとし
て、例えば下流側には大径の狭幅の給電ロール3aが金
属板の両エッジ近傍に2個設置されており、その上に押
さえロール3bが配置されている。また、上流側には小
径の狭幅ロール2aと押さえロール2bの1組が設置さ
れている。
【0020】下流側の大径押さえロールは、ロールの中
心部に幅方向に軸9を設け、図示しないハウジング内の
チョックを介して設置されている。上流側給電ロール2
aは押さえロール2bと共に被加熱材の走行方向に移動
可能となっている。金属板走行方向と直交する方向にお
いて、上流側ロールと下流側のロールとを一列に並べら
れるようにするために上流側の小径押さえロールは、大
径押さえロールの軸部を回避することができるように湾
曲した治具7を介して固定されている。また、この治具
の先端部は、金属板の走行方向に小径ロールを移動させ
るためのボールネジ8あるいはレール等と接続されてい
る。
【0021】金属板の板幅が広い場合は、板幅方向に給
電ロールおよび押さえロールを複数個並べたような構造
にしてもよい。
【0022】図4は、上流側に給電ロール2aを3組、
下流側に給電ロール3aを4組設けた例を示す正面図で
ある。
【0023】給電ロールの径、バレル長、必要な個数は
それぞれ必要電流密度等をあらかじめ計算し、安全係数
を考慮して決定される。
【0024】給電ロールは、金属に代表される導電性材
料によって製作された中実もしくは中空構造であって、
加熱された被加熱材が給電ロールにより抜熱されるのを
防止するため、被加熱材温度と同程度まで加熱できるヒ
ータ等の加熱機構を備えていてもよい。また、給電ロー
ル間で急速加熱した後急冷などを行うために、水冷等に
よるロール内外からの冷却機能を備えていてもよい。
【0025】ロール材質としては、固有抵抗の低い導電
性に優れた銅等の材料あるいは高温での強度、耐酸化
性、耐食性が必要な場合には耐熱ステンレス鋼等を用い
るのがよい。
【0026】押さえロール3b、2bは空圧あるいは油
圧による圧下機構を有しており、その材質は耐熱の点で
許容されればゴム等の高偏平が達成できるものが望まし
いが、熱間域まで加熱する場合は金属を用いるのが望ま
しい。
【0027】短絡部材4は導電性に優れた銅等からなっ
ている。また、この短絡部材の電気抵抗が低いほど部材
内でのリアクタンスが小さくてすみ、加熱効率も上昇す
るので、断面積を大きくするか、または液体窒素、液体
ヘリウム等で極低温に保持するのが好ましい。短絡部材
として、近年開発が行われている超伝導材料を用いるこ
とも可能である。
【0028】金属板を走行させる手段としては、給電ロ
ールを駆動させてもよく、上流の入り側と下流の出側に
駆動ロールを設置してもよい。
【0029】次に、上記装置を用いた本発明の加熱方法
について説明する。
【0030】被加熱材の金属板1を走行させ、その先端
部が下流側給電ロール3aと押さえロール3b間で噛み
込まれた時、金属板の走行を停止し、押さえロール2
b、3bにより圧下される。次いで、同図点線で示すよ
うに上流側給電ロール2aを下流側給電ロール3aと並
ぶ位置まで移動させた後、給電ロール2a、3a間の金
属板に通電を開始し、それと同時に、上流側給電ロール
2aおよび押さえロール2bを、金属板走行方向とは逆
方向の所定の位置(極間L)まで通電しながら移動させ
る。上流側給電ロールが極間Lの位置にくると、それを
固定すると共に金属板の走行を開始する。前記上流側給
電ロールの移動速度は、金属板を走行させる速度と同じ
速度とすることにより、金属板の先端部のL間とそれ以
降の金属板との加熱条件を同じ条件とすることができ
る。
【0031】なお、上流側ロールと下流側ロールとを最
初から一列の並べておいてから金属板の先端を噛み込ま
せてもよい。また、走行方向の上流側、あるいは下流側
のいずれか一方は接地されていてもよい。
【0032】図2は、上流側給電ロールが極間Lの位置
にきた時点での極間Lに相当する金属板の温度分布を示
す。
【0033】図3は、上流側給電ロールが固定され、金
属板の走行が開始されて上流側給電ロールが固定された
位置の金属板が下流側給電ロールを通過した時の金属板
先端から極間Lに相当する部分の温度分布を示す。
【0034】金属板の先端から極間Lに相当する金属板
を静止状態で図2に示すような温度分布にしておき、次
いで金属板を走行させて加熱することによって図3に示
すような温度分布にすることができ、金属板先端から目
的とする温度に加熱することが可能となる。すなわち、
金属板先端から極間Lに相当する金属板の温度分布を図
2のようにしておき、金属板を走行させると、金属板先
端から極間L間の金属板に通電される時間は、先端から
後端に向かって除々に長くなるので、金属板のどの位置
でも下流側給電ロールを通過する時点では目標の温度に
上昇する。そして、金属板を一定の速度で走行させるこ
とにより、上流側給電ロール以降の金属板は、上流側給
電ロールを通過して下流側給電ロールに到達するまでの
時間、すなわち通電時間は一定となる。従って、上流側
給電ロール以降の金属板は常温であり、それが一定の通
電時間で下流側給電ロールを通過するので、目標の温度
に安定して連続的に加熱ができるのである。
【0035】上流側給電ロールと下流側給電ロールとの
間隔、すなわち極間Lは、ライン速度、電源容量、昇温
量の兼ね合い、及びロール径、ハウジングの大きさ等に
より決める。上流側給電ロールを定位置まで移動させる
速度は、金属板の走行速度とするのが好ましい。次に、
金属板の後端部の加熱方法について説明する。
【0036】金属板を静止した状態で金属板先端部の加
熱を行った後、極間距離Lのまま金属板を走行させて定
常の加熱状態とする。その後、金属板の後端が上流側給
電ロールを通過すると同時に金属板には通電されなくな
り、下流側給電ロール部から金属板後端までの金属板温
度は低下し始める。従って、金属板後端から極間Lに相
当する金属板は目標の温度以下となる。
【0037】この温度低下を防止するため、本発明の方
法では金属板後端が上流側給電ロールを通過する直前
に、上流側給電ロールを下流側に金属板の走行速度と同
じ速さで下流側給電ロールと並ぶ位置まで移動させるの
である。
【0038】このような方法により、金属板の後端が下
流側給電ロールを通過するまで継続して給電することが
でき、金属板端部をも目的の温度に加熱することができ
る。
【0039】図8は、本発明の方法に用いる通電加熱装
置の他の例を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面
図、(c)は平面図である。この装置では、給電ロール
と押さえロールとが1組になって、金属板幅中央に対し
て対称な位置関係、すなわち金属板の走行方向と直行す
る方向において一列に並べられる位置に2組配置されて
いる。そして、給電ロールと押さえロールの各組は、そ
れぞれ独立して走行方向に移動可能となっている。給電
ロールおよび押さえロールはハウジング10内のチョッ
クを介して設置され、さらに、各ハウジングはそれぞれ
ボールネジ8あるいはレール等の移動機構と接続されて
いる。
【0040】図9は、通電加熱装置の他の例を示す図で
ある。被加熱材が電気的に絶縁されたテーブルロール1
1を通過する場所で加熱を行う場合の装置で、押さえロ
ールは必要なく、被加熱材の上面に設けた給電ロール2
a´、3a´により加熱する。
【0041】給電ロールの大きさ(幅方向長さ)は、上
記いずれの装置も必要電流密度等より必要な接触面積を
あらかじめ計算した上で、安全係数を考慮して決定す
る。
【0042】空圧あるいは油圧による圧下機構により給
電ロールや押さえロールを金属板に押し当てると、被加
熱材との接触をより安定化させることができる。
【0043】次に、上記装置を用いて加熱する方法につ
いて説明する。
【0044】初期状態として、図8(c)に示すように
給電ロール2a″、3a´および押さえロール2b″、
3b´を、走行方向に対して直角方向に一列に並んだ状
態にしておく。
【0045】金属板1を走行させ、その先端部が給電ロ
ール、押さえロール間で噛み込まれた時、金属板の走行
を停止し、押さえロール2b´、3b´により圧下す
る。
【0046】次いで、給電ロール3a´、2a″間に通
電を開始する。その後、金属板は静止状態のまま、いず
れかの給電ロールと押さえロールの組を走行方向とは逆
方向に所定の位置(極間L)まで、通電しながら移動さ
せる。給電ロールおよび押さえロールが極間Lの位置に
くると、それを固定すると共に金属板の走行を開始す
る。
【0047】また、金属板の後端部の加熱は、図1に示
した装置による加熱方法と同じように、金属板後端部と
一緒に上流側ロールを下流側に移動させながら行う。
【0048】このようにして加熱を行うと、前記したよ
うな原理により金属板の先端から後端まで目標温度に加
熱することができる。
【0049】なお、上記装置例では、給電ロールと押さ
えロールとを一対にした例について説明したが、押さえ
ロールを給電ロールとしてもよい。特に被加熱材の板厚
が厚い場合は、上下ロール共給電ロールとすることによ
り、板厚方向における電流密度が均一となるので、板厚
方向に均一な加熱ができる。
【0050】次に、本発明の効果を具体的な実施例に基
づき説明する。
【0051】
【実施例】
(実施例1)被加熱材として、材質がSUS304、寸法が厚
さ0.5mm、幅300mm、長さ2000mmのオーステナ
イトステンレス冷延鋼板を用い、本発明例として、図1
に示す上流側給電ロールが移動可能な加熱装置を使用
し、従来例として図5に示したように給電ロールを所定
の極間距離で固定した加熱装置を使用して通電加熱を行
った。
【0052】なお、熱伝導率の低いステンレス鋼を被加
熱材として用いたのは、伝熱による温度均一化が起こり
にくい条件で加熱するためである。
【0053】本発明方法の加熱条件は下記の通りで、鋼
板の温度は下流側給電ロールの入り側および出側にそれ
ぞれ設けた放射温度計6により測定した。
【0054】 試験条件 加熱目標温度 ・・・・・・・・・・・・1000℃ 給電ロール間隔 ・・・・・・・・・・・・ 600mm (定常加熱時極間距離L) 走行速度 ・・・・・・・・・・・・・・・・1.5m/分 上流側給電ロール移動速度 ・・1.5m/分 上流側ロール材質、寸法 ・・・・ SUS 430、 直径120mm、 バレル40mm 下流側ロール材質、寸法 ・・・・ SUS 430、 直径50mm、 バレル30mm 1次側電圧、電力 ・・・・・・・・・・440V 単相、 60Hz、500KVA 2次側電流、電圧 ・・・・・・・・・・ 5000A 、10V (代表値) 上流側給電ロール2aと押さえロール2bは、図1
(a)の点線で示すように下流側ロールと鋼板幅方向に
一列に並ぶよう配置しておき、冷延鋼板1を走行させ
て、一列に並んだロールに噛ませて走行を停止させた。
【0055】そして、エアシリンダにより押さえロール
で圧下し、通電を開始して被加熱材を加熱した。通電開
始後、給電ロールと接触している金属板先端部の温度が
1000℃になるのを鋼板上に取り付けた熱電対により
確認した後、上流側給電ロール2aおよび押さえロール
2bを同時に、上流方向に上記速度で移動させながら加
熱し、下流側給電ロールから600mmの位置にきたとき
停止し、ロールを固定すると共に鋼板の走行を開始して
加熱を継続した。
【0056】上流側給電ロールおよび押さえロールの移
動は、電動モータおよびボールネジにより行った。
【0057】この走行加熱時も放射温度計6により温度
プロフィールを管理しながら通電量を調整して加熱を行
った。
【0058】鋼板の後端が上流側給電ロールを通過する
直前に上流側のロールを鋼板の走行速度と同じ速度で下
流側給電ロールの位置まで移動させた。なお、鋼板の後
端の上流側給電ロールへの接近は位置検出センサーによ
り検知した。
【0059】下流側ロール出側に設けた放射温度計によ
り鋼板先端から後端までの温度を継続して測定した。
【0060】図11は、その測定結果を示す。この図よ
り、本発明の方法によれば鋼板の先端から後端までほぼ
目標温度の1000℃に加熱することが可能であること
が分かる。
【0061】次に、従来例として上流側及び下流側給電
ロールとも、SUS430からなる直径80mm、バレル
400mmのロールを用い、ロール間隔を600mmに固定
し、鋼板を終始1m/分の速度で走行させながら上記と
同じ給電条件で加熱を行ない、下流側給電ロール出側で
放射温度計により温度測定を行った。
【0062】図12は、従来の方法で加熱した場合の温
度測定結果を示す。この図から、従来の給電ロール固定
による鋼板の走行加熱では、鋼板の先後端部の電極間距
離に相当する600mmにおいては1000℃以下の温度
にしか加熱することができないことが分かる。
【0063】(実施例2)図8に示す装置を製作し、被
加熱材としてオーステナイト系ステンレス冷延鋼板(SU
S 304)を用い、下記表1に示す条件により通電加熱
を行った。
【0064】
【表1】
【0065】先ず、図10における3a´、3b´及び
点線で示す2a´、2b´のように、上流側給電ロール
と下流側給電ロールは、鋼板との接触点が鋼板長手方向
で同じ位置、すなわち走行方向に対して直角に一列に並
んだ位置に配置し、鋼板の先端部分を給電ロールの位置
まで走行させて停止させた。
【0066】そして、図示していないエアシリンダによ
り押さえロールを圧下し、通電を開始して鋼板を加熱し
た。
【0067】通電開始後、図中右側の1組の給電ロール
と押さえロールを走行方向とは逆方向に移動させながら
加熱を行い、その給電ロールおよび押さえロールが、下
流給電ロールおよび押さえロールから600mmの位置
まできた時、移動を停止すると共に、被加熱材の走行を
開始して加熱を続行した。この時、放射温度計9により
温度プロフィールを管理しながら通電量を調整した。
【0068】鋼板の後端が上流側給電ロールを通過する
直前に、上流側のロールを鋼板の走行速度と同じ速度で
下流側給電ロールの位置まで移動させながら金属板の後
端部の加熱を行った。
【0069】金属板走行開始時点から測定した金属板の
表面温度を、図11に点線で示す。
【0070】同図から明らかなように、金属板先端から
目標加熱温度の900℃となっている。
【0071】
【発明の効果】本発明の方法によれば、被加熱材の先端
から後端までを目標の温度に均一に加熱することがで
き、歩留の大幅な向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を実施するための通電加装置を示す図
である。
【図2】鋼板を静止加熱した場合の極間部分の温度分布
を示す図である。
【図3】本発明法により加熱した場合の極間部分の温度
分布示す図である。
【図4】広幅材の通電加熱装置を示す図である。
【図5】従来の通電加熱方法を説明するための図であ
る。
【図6】従来の通電加熱方法による被加熱材先端部の温
度分布を示す図である。
【図7】従来の通電加熱方法を説明するための図であ
る。
【図8】本発明の方法を実施するのに用いる通電加熱装
置の図である。
【図9】本発明の方法を実施するのに用いる他の通電加
熱装置の図である。
【図10】実施例での通電方法を説明するための図であ
る。
【図11】本発明方法により加熱した鋼板の全長の温度
分布を示す図である。
【図12】従来の方法により加熱した鋼板の温度分布を
示す図である。
【符号の説明】
1 被加熱材 2a 上流側給電ロール 2b 上流側押さえロール 3a 下流側給電ロール 3b 下流側押さえロール 4 短絡部材 5 電源 6 放射温度計 7 小径ロール固定治具 8 ロール移動用ボールネジ 10 ハウジング 11 テーブルロール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被加熱材である金属板の走行方向に設置し
    た上流側給電ロールと下流側給電ロールとから金属板に
    直接通電して、金属板をジュール熱により加熱する方法
    であって、静止した金属板の先端部に、金属板走行方向
    と直交する方向に上流側給電ロールと下流側給電ロール
    とを一列に並べて配置して通電し、次いで通電したまま
    上流側給電ロールを上流方向に移動させ所定の位置に固
    定すると共に金属板の走行を開始して、上流側及び下流
    側給電ロールを順次通過させながら連続的に金属板を加
    熱することを特徴とする金属板の直接通電加熱方法。
  2. 【請求項2】金属板を走行させながら、走行方向の下流
    側給電ロールと、該下流側給電ロールと所定の間隔をお
    いて配置した上流側給電ロールとから金属板に直接通電
    して金属板をジュール熱で連続的に加熱し、金属板の後
    端部が上流側給電ロールを通過する直前に、通電したま
    ま上流側給電ロールを金属板走行方向と直交する方向に
    おいて下流側給電ロールと並ぶ位置まで移動させること
    を特徴とする金属板の直接加熱方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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