JPH097168A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH097168A
JPH097168A JP33182295A JP33182295A JPH097168A JP H097168 A JPH097168 A JP H097168A JP 33182295 A JP33182295 A JP 33182295A JP 33182295 A JP33182295 A JP 33182295A JP H097168 A JPH097168 A JP H097168A
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JP33182295A
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Inventor
Yoji Arita
陽二 有田
Yuzo Seo
雄三 瀬尾
Toshihiko Kuriyama
俊彦 栗山
Junichi Kozu
順一 神津
Yasushi Sasaoka
泰 笹岡
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良好なCSS特性およびヘッドの媒体表面へ
のスティッキング特性とヘッドの低浮上化が可能な磁気
記録媒体を提供する。 【構成】 下地層を有してもよい非磁性基板上に磁性
層、保護層または潤滑層を有する磁気記録媒体に、保護
層または潤滑層を介してレーザ光を照射し、下地層、磁
性層または基板に突起を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体の製造方
法に関し、詳しくは磁気ディスク装置に使用されるハー
ドディスク、磁気テープなどの磁気記録媒体の製造方法
に関するものである。特に、磁気ディスク装置において
は、良好なCSS(コンタクトスタートアンドストッ
プ)特性およびヘッドの媒体表面へのスティッキング特
性とヘッドの低浮上化を同時に可能にする薄膜型の磁気
記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、ハードディスクはその使用に際
し、ディスクを高速で回転して磁気ヘッドを浮上させ、
ハードディスクへの書き込み/読み出し等をこの磁気ヘ
ッドを介して行っている。ハードディスクは、その磁気
特性の向上のため、ディスクの基板面あるいは基板面上
に設けられたNiPメッキ等の非磁性体からなる下地層
上に、磁気ディスクの円周方向にほぼ同心円状に機械的
研磨を行って加工痕を残す加工(以下、機械的テキスチ
ャという)が行われている。また、表面性と硬度に優れ
るガラス基板を使う場合には、フッ酸でガラスの表面を
エッチングして表面に凹凸を付ける方法や微小な粒子を
基板の表面に塗布する方法が用いられている。
【0003】近年の情報量の増大と装置の小型軽量化の
要求により、線記録密度及びトラック密度が高くなり、
1ビット当りの面積が小さくなってくると、従来のよう
な機械的テキスチャによるスクラッチ傷は情報読み出し
の際にエラーとなる確率が高くなる。また、内周部にあ
るCSSゾーンのみに機械的テキスチャを施しデータ記
録領域はそのままにする方法もあるが、データ記録領域
の面がCSSゾーンの面の高さよりも高くなり、ヘッド
がシークする時にクラッシュするという問題があった。
【0004】また、こうした機械的テキスチャに代え
て、レーザでテキスチャパターンを作る方法も提案され
ている。レーザによるテキスチャの方法の例は、米国特
許第5,062,021号、同5,108,781号に
開示されており、Nd−YAGの強パルスレーザ光によ
りNiP層を局所的に溶融し、溶融して形成された凹状
の穴部とその周囲に溶融したNiPが表面張力で盛り上
がって固化した直径が2.5〜100μmのリム部から
なるクレータ状の凹凸を多数作り、円環状の凸状リムに
よってヘッドとのCSS特性を改善する試みが提案され
ている。しかし、この方法ではヘッド下面との接触面積
が飛躍的には下がらず、ヘッドとディスク間のスティッ
キングの問題は、機械的テキスチャに較べて改善されて
いるとは言い難い。
【0005】また、本発明者らが先に提案した特願平6
−152131号のパルスレーザで作成した凸状突起を
テキスチャパターンとして利用する方法は、基板または
NiP等の下地層に対し特に有効で、CSSの改善が容
易に行なえる。しかし、製造歩留り、コストの点からは
更に改良の余地がある。また、突起をフォトリソグラフ
ィを使って形成する方法も提案されており、日本潤滑学
会トライボロジー予稿集(1991−5,A−11),
(1992−10,B−6)にはディスクの全表面に対
する面積比が0.1〜5%の同心円状の凸部、または突
起をフォトリソグラフィによって形成した磁気ディスク
のCSSのテスト結果が開示されている。しかし、この
方法では、突起の頂部が平滑なため、ヘッドの摺動回数
と共に摩擦が増加するという欠点があり、また工業化も
容易でないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録媒体の高密度
化、媒体の表面性の向上に伴い、ヘッドと媒体の摺動特
性の改善が、工業的に有利な方法で行うことが望まれて
いた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明はこうした高密度
磁気記録用媒体の作成方法に対してなされたもので、そ
の要旨は、下地層を有してもよい非磁性基板上に磁性
層、保護層または潤滑層を有する磁気記録媒体に、該保
護層または潤滑層を介してレーザ光を照射し、磁性層、
下地層または基板表面を局所的に加熱、溶融または軟化
させて、該磁性層、下地層または基板に突起を設けるこ
とを特徴とする磁気記録媒体の製造方法に存する。
【0008】
【本発明の実施の態様】以下、本発明を詳細に説明す
る。本発明において、保護層または潤滑層を介してレー
ザ光を照射し、磁性層、下地層または基板表面を局所的
に加熱、溶融または軟化させて、該磁性層、下地層また
は基板に突起を設ける。
【0009】磁気記録媒体を製造するためには、まず、
非磁性基板上に膜厚が通常20〜200nmのCr、あ
るいはCu等の下地層を設ける。非磁性基板としては、
通常Al合金基板、ガラス基板、銅、チタン等の金属基
板、セラミック基板、樹脂基板あるいはシリコン基板等
が用いられる。これらの中で、シリコン基板は基板上に
直接レーザ光を照射すると突起上に酸化物と思われる球
状の物質が形成されることがあり、CSS特性にとって
好ましくない影響を与えることから本発明の方法を採用
することは工業的にきわめて有利である。
【0010】場合によっては基板と上記層との間に更に
100〜20,000nmのNiPからなる下地層を設
けてもよい。磁気記録層は、無電解メッキ、電気メッ
キ、スパッタ、蒸着等の方法によって形成され、Co−
P、Co−Ni−P、Co−Ni−Cr、Co−Ni−
Pt、Co−Cr−Ta、Co−Cr−Pt、Co−C
r−Ta−Pt系合金等の強磁性合金薄膜を形成し、そ
の膜厚は通常30から70nm程度である。
【0011】磁気記録層上には保護層が設けられるが、
保護層としては蒸着、スパッタ、プラズマCVD、イオ
ンプレーティング、湿式法等の方法により、炭素膜、水
素化カーボン膜、窒素化カーボン膜、TiC、SiC等
の炭化物膜、SiN、TiN等の窒化物膜等、SiO、
AlO、ZrO等の酸化物膜等が成膜される。これらの
うち好ましいのは、炭素膜、水素化カーボン膜、窒素化
カーボン膜である。更に、水素化カーボンは光の透過率
が極めて高いため、特に好ましい。
【0012】次に、このようにして作成した磁気記録媒
体を回転させながら、磁性層、下地層または基板の表面
に円周方向に沿って、出力を精度良く制御したレーザ光
を照射して突起を形成する。レーザ光としては、Ar等
のガスレーザ又は単一モードで連続発振が可能なYAG
等の固体レーザを変調器で適当なパルス長にしたもの、
あるいは、YAG、YLF等の固体Qスイッチレーザ、
あるいは半導体レーザ等が使われる。パルス幅としては
100ns以上が好ましい。また、通常、波長が長い方
が保護層に対する光透過率は高いため、長波長側のレー
ザが好ましい。
【0013】保護層はレーザ光による直接的な加熱はな
いが、磁性層等の発熱が伝導して温度が上昇するため、
保護層が損傷を受ける恐れがある。特に熱伝導率の小さ
い基板、例えばガラス基板、樹脂基板等で顕著である。
そのため、保護層表面の耐久性に影響を与えない程度に
損傷を防ぐ必要があり、それには酸素含有率が大気中よ
り低い雰囲気、例えば15%以下、好ましくは10%以
下の雰囲気にしたり、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰
囲気にしておくことが望ましい。
【0014】この後、保護層上には通常、浸漬法等によ
りフッ素系液体潤滑剤等からなる潤滑層が設けられる
が、レーザによる突起の作成は、上記のように潤滑剤を
塗布した後に行なってもよい。
【0015】スライダー面にダイヤモンド状カーボンの
層等を設けたりした特殊な処理をした磁気ヘッドを使う
場合は、媒体とのトライボロジ的な性質が改善されるの
で、必ずしも保護層を設ける必要はない場合もあり、こ
うした場合は潤滑層を塗布した後にレーザを照射すると
良い。
【0016】本発明において、突起の生成機構は未だ十
分解明されていないが、次のように考えられる。パルス
レーザが媒体表面に照射されると、大部分の光は潤滑
剤、保護層を透過するため、直接的には磁性層が加熱さ
れ、熱伝導により下地層も局所的に過熱される。通常、
下地層の方が表面の磁性層よりも融点は低いため、局所
的に加熱された部分は、熱膨張し、また、条件によって
は一部溶融、軟化し体積が増加する。したがって、表面
の磁性層は上部に持ち上げられる。この時、磁性層自体
も加熱されているため、下の層からの押し上げの力に対
し、塑性的に変形し、冷却後、突起が生成する。
【0017】レーザ光の出力が小さい場合は、磁性層の
下の層または基板が熱膨張、冷却収縮時に、塑性変形を
起こし、磁性層、保護層が局所的に持ち上げられ、突起
が生成すると考えられる。また、レーザの出力が大きい
場合は、磁性層の下の層または基板が局所的に溶融また
は軟化し、液状部分での表面張力の差により特徴的な形
状を持つ突起が生成する。つまり、液体表面は通常、温
度が低い方が表面張力が高いため、温度の低い部分で丸
く凸部となり、高温部分の最後に固化する部分、つまり
レーザビームが走査された最後の部分は凹部となり急冷
固化される。磁性層、保護層も下地層または基板の形状
に沿って同じように変形する。
【0018】こうした特徴ある突起形状を作るために
は、レーザのスポット径に対し1/4以上レーザ光が掃
引されることが望ましい。この条件はレーザ光のスポッ
ト径をD、パルス幅をδ、レーザ光の掃引速度がVとし
た場合、パラメータP=δV/Dとした時に、Pが0.
25以上となる。
【0019】実際に観察される突起の形状は、磁性層、
下地層、基板の材質や、各層の厚さ、または、各層で製
膜時に生じる残留応力の分布等によって大きく変化し、
レーザの照射によってどのような現象が起こっているか
は必ずしも定かではない。
【0020】レーザ光の掃引時間を長く、または、連続
的に行なうと突起は掃引方向に対して長くなり、突起の
底部断面の長軸と短軸の比が2以上の、いわば山脈状の
突起となる。CSS特性は、一般に前記凸状突起の方が
優れているがヘッドが媒体に対して連続的に高速摺動す
るような接触記録に近い状態の場合は山脈状突起の方が
耐久性に優れている。また、連続でスパイラル状にレー
ザ光を掃引すると連続な1つの山脈状突起となる。
【0021】レーザビームの走査方向とは、静止した媒
体上でレーザビームが走査する方向のみならず、レーザ
ビームは静止させておき、媒体を回転させた状態で照射
する場合の媒体の回転方向、あるいはレーザ光、媒体を
も移動させた場合等の相対的なものである。
【0022】突起高さはレーザの強度とその平均照射時
間、及びディスクの線速度を調節することによって自由
に制御され、突起の密度は、1周当たりの突起の個数、
パルスレーザの半径方向の照射間隔、及び上記の突起の
高さを制御する条件を調節することにより自由に制御さ
れる。また、半径方向については連続的に移動させ、渦
巻状の走査を行なうようにすると時間的に効率がよい。
通常、レーザの強度は20〜500mW、平均照射時間
は0.05〜5μsec、レーザのスポット径は0.2
〜4μm、基板の線速度は1〜15m/secが好まし
い。ここで、レーザの平均照射時間とは、1つの突起を
形成させるのにレーザを下地層表面に照射した時間を示
す。
【0023】レーザビームの照射面積を変えるには、通
常、用いるレーザの波長と対物レンズの開口率を変えれ
ばよく、開口率が0.1〜0.95の対物レンズを用い
ることにより、ビームの照射径は0.3〜6μm程度ま
で制御できる。本発明に用いるビームの照射径は2μm
以下、更に望ましくは1μm以下が望ましい。レーザの
システムとしては連続発振ができるAr等のガスレーザ
に変調器を用いたものや、固体レーザのYAG、あるい
は半導体レーザ等が利用できるが、いずれにしてもスポ
ット径が小さくできるシステムが望ましい。
【0024】本発明では、保護層または潤滑層を通して
レーザ光を磁性層に照射するが、保護層、潤滑層でのレ
ーザ光吸収が少ないことを利用し、また、レーザ光の出
力を適当な範囲に調節するため、保護層、潤滑層の損傷
は殆んどない状態で突起を作成することができる。
【0025】下地層に磁性層を製膜する前にレーザ光を
照射して突起を作る方法では、製膜工程を中断して突起
生成を行なうので、工程が複雑になるが、本発明におい
ては、製膜工程が全て終了した後で突起を生成するの
で、工程上極めて有利である。非磁性基板としては通常
ガラス基板またはアルミニウム合金板が用いられるが、
銅、チタン等の金属基板、セラミック基板、樹脂基板又
はシリコン基板等を用いることもできる。
【0026】磁気記録媒体表面に作成される突起の高さ
は、JIS表面粗さ(B0601−1982)により規
定される、粗さ曲線の中心線を基準とした場合の突起の
高さを表す。この突起の高さは、好ましくは1〜60n
m、特に好ましくは10〜60nmであり、60nmを
超えるとハードディスク等ではCSS特性は良いがヘッ
ドの安定浮上高さは下げられず、また、テープ等では媒
体と磁気ヘッドのスペーシングが大きくなって出力が低
下する。また、1nm未満では基板が元来有する細かな
粗さに埋もれてしまい所望の効果は得られない。
【0027】また、突起は前述の凸状突起の場合、1m
2 あたり10〜108 個存在するのが好ましい。10
個未満では基板のうねり等によりヘッド下面を突起のみ
で支えるのは難しくなり、また108 個を超えて突起を
作ろうとすると互いに干渉しあって突起の高さをそろえ
るのが難しくなり、特に好ましい存在密度は1mm2
たり103 〜106 個である。ここで突起の存在密度は
媒体全体での平均密度ではなく、突起存在部での単位面
積当たりの密度をいう。
【0028】また、凸状突起は、その頂点から1nm下
の高さにおける等高線で囲まれた図形の面積の平均値
(以下、等高線面積という)が2μm2 以下であるのが
好ましく、さらには、1.0μm2 以下、更に好ましく
は0.5μm2 以下、特に好ましくは0.2μm2 以下
の範囲の値を有する。2μm2 を超えるとヘッドとの間
にスティッキングが発生しやすくなる。なお、この等高
線面積は、レーザ干渉による表面形状測定装置、例え
ば、米国ザイゴ社製ザイゴ(ZYGO)で測定が可能で
ある。
【0029】また、レーザ光の掃引時間を長く、または
連続的に行って掃引方向に長い突起の場合の突起の存在
密度は、掃引方向に直角方向、すなわちディスクの場合
は半径方向のピッチで5〜104 個/mm、掃引方向に
平行、すなわちディスクの場合は周方向のピッチで3〜
100μmが好ましい。この底部断面の長軸と短軸の比
が2以上である突起は、レーザ光の走査方向と直角方向
の断面長さが頂部から1nmの位置において1μm以下
であるのが好ましい。
【0030】本発明の好ましい態様として、ハードディ
スク等においては、突起は磁気ヘッドがCSS(コンタ
クトスタートアンドストップ)を行なう領域に存在し、
データ記録領域には存在しないかあるいは低い密度で存
在する磁気記録媒体の作成方法が挙げられる。このよう
にすることにより、データ記録領域においては磁性層表
面を平滑にすることができるため、従来のようなスクラ
ッチ傷によるエラーを減少させることができる。
【0031】また、さらに好ましい態様として、突起を
磁気ヘッドがCSSを行なう領域に作成しデータ記録領
域には作成せず、あるいは低い密度で作成し、かつその
突起の高さをデータ記録領域に向かって減少するように
磁気記録媒体を作成することが挙げられる。突起高さを
データ記録領域に向かって減少させることにより、デー
タ記録領域からCSSゾーンあるいは逆の方向にヘッド
を安定にシークすることができる。また、テープ等に対
しては、テープ両端の摺動特性が走行に影響を与えるの
で、テープの両端部分に本発明による突起を作成する
と、より効果的である。
【0032】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施
例によって限定されるものではない。 (実施例1〜4、比較例1〜2)実施例1においては表
面粗さRa=2nm、直径95mmのディスク状ガラス
基板上にCr層(100nm)、Co−Cr−Ta合金
磁性膜(50nm)、水素化カーボン保護膜(20n
m)を製膜した。実施例2、3においては、実施例1と
同様のガラス基板上にNiP(150nm)を製膜した
こと以外は実施例1と全く同じ構成の製膜を行なった。
また、比較例においては、実施例1で用いた磁気記録媒
体を用いた。
【0033】次に、表−1に記載した強度に精度良く制
御されたパルス的に変調された波長514nmのアルゴ
ンレーザを保護層側より照射して、磁性層に突起を作成
した。上記保護層に対する上記レーザ光の透過率は約8
5%である。なお、本実施例においては、媒体に対する
レーザ照射は空気中で行なっており、特に不活性雰囲気
とはしていない。次いで、浸漬法によりフッ素系液体潤
滑剤(モンテエジソン社製「DOL−2000」)を2
nm塗布して、磁気記録媒体を作製した。
【0034】図1、3、5、7はそれぞれ実施例1〜4
の方法により得られた磁性層の表面形状を、レーザ干渉
による表面形状測定装置(米国ザイゴ社製「ZYG
O」)で観察した結果を表す図である。図2、4、6、
8はそれぞれ図1、3、5、7の突起形状で、各図中
(a)および(b)は、それぞれ突起作成時のレーザビ
ーム走査方向に平行(//)な断面図および直角な方向の
断面図を示す。本発明による凸状突起は図1、図3、図
5および図7に示すような形状を示しており、媒体の層
の構成、レーザ光のパルス幅により生成する突起の形状
が微妙に異る。
【0035】実施例1においては、図1−(a)、図1
−(b)および図2から分かるように、レーザビームが
走査された最後の場所に突起が生成しており、更にその
凸状突起の頂部は滑らかな曲面をもち、平坦ではなく、
適度な曲率を有している。走査されたレーザビームの最
後の部分に何故、突起が生成するのか、機構的には明ら
かではないが、生成する突起の断面は、一般にレーザが
照射、掃引された面積よりもかなり小さい。実施例2に
おいては、図3および図4から分かるように、実施例1
とは反対に走査されたレーザビームの最後の部分は凹部
となっており、該走査方向においては前部の方に突起が
生じている。
【0036】また、実施例3においては、図5および図
6から分かるように、パルス幅が長いため、レーザ光の
掃引方向に山脈状の突起が生成している。また、実施例
4においては、レーザ光の出力が低い状態で突起を作成
した場合であり、図7、図8に示すように、この例では
凸部のみが観察され、図1、3、5に見られるような凹
部は殆ど見られない。これは、レーザによる局部的な加
熱、冷却に際して、加熱部分が熱応力により塑性変形し
てできたものと考えられる。この突起は表面の保護層、
磁性層、下地層等の薄膜のみが変形したものか、基板自
体も変形しているのかは明らかでないが、本発明の目的
としているヘッド−メディアの摺動特性の改善において
は、実施例1〜3と同様の効果を発揮する。
【0037】表−1に実施例1〜4および比較例1〜2
の基板の線速度、レーザの強度、レーザの平均照射時
間、平均突起密度(レーザ照射のインターバルに相
当)、平均突起高さ、頂部から1nm部分の等高線面積
(ただし、実施例3においてはレーザ光の掃引方向と直
角方向の断面距離)および、レーザの集光に用いた対物
レンズの開口率NAを示す。エネルギーの84%が集中
するスポット径はレーザの波長をλとすると、1.22
×λ/NAで表される。
【0038】
【表1】
【0039】比較例2は、高いレーザ出力を媒体表面に
当てたもので、磁性層が一部溶融、割れが観察され、保
護層も完全に損傷していた。表−2にこれらのディスク
のCSSテスト前の静止摩擦係数(初期スティクショ
ン)及びCSS2万回後の摩擦力を示した。CSSテス
トはヘッド浮上量1.6μインチ、ロードグラム6gf
の薄膜ヘッド(スライダ材質Al2 3 TiC)を用い
た。CSSゾーンの安定浮上高さは比較例−2を除きす
べて1.2〜1.6μインチであった。
【0040】
【表2】
【0041】(実施例5)表面粗さ0.6nm、直径6
5mmのディスク状ガラス基板上にCr層(50n
m)、Co−Cr−Ta合金磁性膜(50nm)、水素
化カーボン保護膜(15nm)を成膜した。
【0042】次に、表1に記載した強度に制御されたパ
ルス状に変調された波長488nmのアルゴンレーザを
保護層側より照射して、磁性層に突起を形成した。レー
ザ干渉による表面形状測定装置(米国ザイゴ社製「ZY
GO」)により、形成した突起形状を観察した結果、図
9に示すように、慶賀およそ1μmの凸型状微小突起が
形成されているのが確認された。また、平均突起密度は
25万個/mm2、平均突起高さは16nmであった。
【0043】さらにその表面に厚さ2.5nmのフッ素
系液体潤滑剤(モンテエジソン社製「DOL−200
0」)を浸漬塗布して磁気ディスクを得た。上記の磁気
ディスクについて、CSSテスト前の静止摩擦係数(初
期スティクション)及びCSS2万回後の摩擦力を測定
した。CSSテストは、ロードグラム3.5gfの薄膜
ヘッド(スライダ材質:Al23TiC)を使用し、ヘ
ッド浮上量2μ”の条件で行った。その結果、初期ステ
ィクションは0.3、CSS2万回後の摩擦力は10g
fであった。
【0044】(実施例6)表面粗さ0.6nm、直径6
5mmのディスク状ガラス基板上にCr層(50n
m)、Co−Cr−Ta合金磁性膜(50nm)、水素
化カーボン保護膜(15nm)を成膜した。
【0045】次に、表1に記載した強度に制御されたパ
ルス状に変調された波長488nmのアルゴンレーザを
保護層側より照射して、磁性層に突起を形成した。突起
形状としては、突起高さ30nm、突起幅2μm程度
で、4×104個/mm2の密度で形成した。この際、レ
ーザが照射されている保護層上の点に対して、大気雰囲
気条件下と、Arガスを内径4mmのチューブの先から
流量1.5×10-33/sで吹きかけることで、大気
中よりもO2の割合が小さい雰囲気(O2含有率10%以
下)で行った。
【0046】オージェ電子分光法で突起作成後の表面の
カーボン分布を確認したところ、Arガスを吹きかけ
ず、通常の大気中の雰囲気で作成したものに比べてAr
ガスを吹きかけながら作成したものは残留保護膜厚みの
改善が見られたほか、保護層への損傷も程度が低かっ
た。
【0047】
【発明の効果】潤滑層または保護層、あるいは両層を通
してレーザ光を照射し、磁性層または下地層、あるいは
基板表面を局所的に溶融または軟化させることにより、
媒体表面に突起を作成するため、媒体の製造工程が簡略
化される。また、磁性層の表面上に突起の高さとその先
端の形状、突起の存在領域および密度が制御された表面
形状が形成するため、磁気ヘッド下面と磁気記録媒体の
表面との接触面積が少なく、CSS時の摩擦が極端に小
さくなり、また、ヘッドの媒体表面へのスティッキング
も全く発生しなくなる。また、ヘッドのCSSゾーンの
みにこうした突起を作った場合でも、平均的な面の高さ
は、ほとんど変わらないため、ヘッドをデータゾーン、
CSSゾーン間でシークした時にヘッドの安定浮上高さ
の変動が少なく、ヘッドクラッシュやヘッドの空間での
不安定化が起こらない。更に、この突起の高さや密度を
データゾーンに近付くにしたがって制御することもでき
るため、ヘッドのデータゾーン、CSSゾーン間でのシ
ークは極めて滑らかに行なうことができ、高密度の磁気
記録媒体の製造が容易に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面形状装置により観察した本発明の実施例1
の磁性層表面の突起の形状を示す斜視図で、図1(a)
は突起形成部の斜視図、図1(b)は図1(a)の一つ
の突起の斜視図である。
【図2】実施例1の磁性層表面の突起の形状を示す図
で、(a)は突起の中心を通りレーザの走査方向を含む
垂直断面図、(b)は突起の中心を通り図1(a)の垂
直な方向の断面図である。
【図3】実施例2の磁性層表面の突起の形状を示す斜視
図である。
【図4】実施例2の磁性層表面の突起の形状を示す図
で、(a)は突起の中心を通りレーザの走査方向を含む
垂直断面図、(b)は突起の中心を通り(a)の垂直な
方向の断面図である。
【図5】実施例3の磁性層表面の突起の形状を示す斜視
図である。
【図6】実施例3の磁性層表面の突起の形状を示す図
で、(a)は突起の中心を通りレーザの走査方向を含む
垂直断面図、(b)は突起の中心を通り(a)の垂直な
方向の断面図である。
【図7】実施例4の磁性層表面の突起の形状を示す斜視
図である。
【図8】実施例4の磁性層表面の突起の形状を示す図
で、(a)は突起の中心を通りレーザの走査方向を含む
垂直断面図、(b)は突起の中心を通り(a)の垂直な
方向の断面図である。
【図9】実施例5で得られた突起の形状を示す図。
【符号の説明】
1 突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神津 順一 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 笹岡 泰 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地層を有してもよい非磁性基板上に磁
    性層、保護層または潤滑層を有する磁気記録媒体に、該
    保護層または潤滑層を介してレーザ光を照射し、磁性
    層、下地層または基板表面を局所的に加熱、溶融または
    軟化させて、該磁性層、下地層または基板に突起を設け
    ることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 照射するレーザ光に対する前記保護層ま
    たは潤滑層の光透過率が50%以上であることを特徴と
    する請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 レーザ光照射時に磁気記録媒体の非照射
    部を保護層表面の耐久性に影響を与えない雰囲気下とす
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 レーザ光照射時に磁気記録媒体の被照射
    部を不活性ガス雰囲気下あるいは酸素含有率15%以下
    の雰囲気下とすることを特徴とする請求項1に記載の磁
    気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 レーザ光がパルス状ビームであり、パル
    ス幅をδ、レーザビームスポットの直径をD、レーザビ
    ームスポットと基板面との相対速度をVとする時、 P=δV/Dで定義される掃引パラメータPが0.25
    以上である条件下で、突起を形成することを特徴とする
    請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気記録媒体の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 高さが1〜60nmの突起を1mm2
    たり10〜108 個設けることを特徴とする請求項1な
    いし5のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記突起が、各突起の頂点から1nm下
    の高さにおける等高線で囲まれた図形の面積の平均値が
    2μm2 以下であることを特徴とする請求項1、5また
    は6のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 突起の高さが1〜60nmであり、突起
    の底部断面の長軸と短軸の比が2以上であることを特徴
    とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 突起が、レーザ光の走査方向と直角方向
    の断面長さが頂部から1nmの位置において1μm以下
    であることを特徴とする請求項8に記載の磁気記録媒体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 媒体がディスク状であり、レーザ光の
    掃引を螺旋状に行うことを特徴とする請求項1〜9のい
    ずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 磁気ヘッドがCSS(コンタクトスタ
    ートアンドストップ)を行なう領域のみに突起を設ける
    ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載
    の磁気記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 突起の高さがデータ記録領域に向かっ
    て減少することを特徴とする請求項11に記載の磁気記
    録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 非磁性基板としてAl合金基板、ガラ
    ス基板、銅、チタン等の金属基板、セラミック基板、樹
    脂基板あるいはシリコン基板の何れかを用いる事を特徴
    とする請求項1〜12の何れかに記載の磁気記録媒体の
    製造方法。
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EP0853528A1 (en) * 1995-08-22 1998-07-22 Seagate Technology, Inc. Laser surface treatments for magnetic recording media

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